wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

2016年12月前半までのTVドキュメンタリー~小泉純一郎、夏目漱石、ボブ・ディラン、原田要

 今晩(2016年11月25日)配信した「メルマガ金原No.2641」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
2016年12月前半までのTVドキュメンタリー~小泉純一郎夏目漱石ボブ・ディラン原田要

 ほぼ1週間に一度お送りする、と決めている訳ではないのですが、素材探しをしている時間もない時には、まずこの「手」です。
 実際、1週間も経つと、興味深いドキュメンタリー番組の予告が新たにホームページに掲載されているのですよね。ということで、今日も備忘録代わりのTV番組案内をお届けします。
 12月4日(日)早朝(テレビ朝日:午前4時30分~5時00分、朝日放送:午前5時20分~5時50分)のテレメンタリー「飯舘村 10年後の手紙」も少し気にはなりますが、帰還推進政策との兼ね合いも懸念されますので、それ以外に目に付いた、「人物」をフューチャーした番組を4本ご紹介することにしました。
小泉純一郎夏目漱石ボブ・ディラン原田要(元海軍パイロット)が、どのように取り上げられているか、いずれも興味深いものがありそうです。
 
2016年11月28日(月)午前0時50分~1時50分(日曜深夜)
毎日放送(MBS) 映像’16
なぜ私は変わったのか~元総理・小泉純一郎と3.11

※詳細な番組案内と「取材ディレクターより」が公式サイトに掲載されていますが、コピペできない設定のようなので、是非リンク先でお読みください。小泉純一郎氏の「脱原発」に懐疑の目を向ける人の気持ちも分からないではありませんが、利用できるものは何でも利用しなければね。
 
2016年12月3日(土)午後11時00分~午前0時30分
NHK・Eテレ ETV特集
漱石が見つめた近代~没後100年 姜尚中がゆく~

夏目漱石没後100年。政治学者の姜尚中さんは「漱石は近代化の行く末を見抜いていた」という。留学先のイギリスで西洋近代の光と影を体験した漱石日露戦争に勝利して大陸に進出する日本の姿を旧満州中国東北部朝鮮半島への旅で見つめていた。新発見の資料をもとに姜さんがロンドンから大連、旅順、ハルビン、そして韓国を訪ねる。文明批評家・夏目漱石の姿をアジアの研究者や作家・黒川創さんとの対話から探ってゆく。」
※通常は60分枠のETV特集ですが、特別に90分となっています。
 
2016年12月10日(土)午後9時00分~9時49分
NHK総合 NHKスペシャル
ボブ・ディラン~ノーベル賞詩人の素顔~(仮)

反戦フォークの旗手、偉大な芸術家、今世紀最高の詩人・・・。1961年、ケネディ大統領誕生に沸くニューヨークに現れた一人のシンガーは、アメリカの時代の精神を歌に刻みながら歩み続け、“生ける伝説”となった。今年ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディラン。これまで、その謎めいた比喩や歌詞は、正確な意味をめぐって研究者の間でも解釈が分かれ、議論を呼び続けてきた。ボブ・ディランとは何者なのか。そして、詩に込められた真意とはどのようなものなのか。今回、NHKはディランの秘蔵のメモやデモテープ、リハーサルを収めたフィルムなどの未公開資料を独自に入手。ひとつの歌が生まれるまでに、ディランがどんなまなざしで時代と向き合い、切り取り、詩へと凝縮させてきたのかを描いていく。その創作過程は、まさにアメリカの現代史そのものでもある。「受賞式は欠席」と伝えたあと再び沈黙を続けているボブ・ディラン。世界中が注目する授賞式の当日に、ノーベル賞詩人の知られざる素顔に迫っていく。」

2016年12月12日(月)午前2時05分~
日本テレビ系列 NNNドキュメント’16
ゼロ戦乗りの遺言~真珠湾出撃 原田要の肖像~

零戦パイロットとしてハワイ真珠湾を戦い、その体験を語り継いできた原田要さん(享年99)。霞ヶ浦航空隊を首席で卒業、命がけで敵を撃墜することが最高の名誉と考えていたが、出撃を繰り返す中で意識が変わっていく。平和を重んじる人間を育てたいと戦後は幼稚園を経営。半世紀近く自身の体験を語らなかった原田さんが、湾岸戦争をテレビで見た園児の言葉に衝撃を受け、語り部として生きる覚悟を決めたという。元零戦乗りの遺言。」

 
(弁護士・金原徹雄のブログから)

新任務を付与されて南スーダンに派遣された陸上自衛隊と「5党合意」

 今晩(2016年11月24日)配信した「メルマガ金原No.2640」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
新任務を付与されて南スーダンに派遣された陸上自衛隊と「5党合意」

 以下は、去る10月29日に配信した「10月29日の冒険~『法華経』、『標的の村』、木村草太氏講演会」という、謎めいた三題噺のようなタイトルの記事の一部をスピンオフさせつつ、新たな視点から書き足したものです。

 この三題噺の3つ目、木村草太首都大学東京教授(憲法学)による和歌山市での初めての講演会(主催:和歌山県保険医協会)を聴講した私が、[辺野古新基地建設と日本国憲法]という論点(これについては、3日前に、「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第2回・木村草太首都大学東京教授「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」は視聴できないけれど」で再び取り上げました)と、もう一つ取り上げた論点が、安保関連法制についてのいわゆる[5党合意]でした。
 木村さんが和歌山での講演会で「5党合意」を取り上げたのは、主には、存立危機事態における防衛出動に例外なく国会の事前承認を要するとした「5党合意」2項前段を紹介するためでしたが(この合意から、例外なき国会承認を要すると解釈するのは無理ではないかと私は思っていますが)、今日、私が「5党合意」を振り返っておこうと考えたのは、その合意の中に、「駆け付け警護」に関する条項が含まれているからです。
 
 まず、「5党合意」についてのおさらいをしておきましょう(以下は、10月29日に書いた私自身の文章をほぼそのまま再掲しています。
 
[5党合意について]
 2015年5月15日に内閣から衆議院に提出されたいわゆる安全保障関連法案(「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律」及び「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律」の2法案)は、7月16日に衆議院を通過して参議院に送られました。参議院では、「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」(鴻池祥肇委員長)で審議が行われてきましたが、9月27日の会期末を控え、与党による強行採決が取り沙汰される中、9月15日には中央公聴会、翌16日には地方公聴会横浜市)が行われるという日程が確定しました。
 以上のような緊迫した情勢の中、自民・公明の与党と一部少数野党との間で修正協議が行われてきましたが、修正案を可決しても、会期末までに衆議院での再議決を行う時間的余裕はなく、結局9月16日、自由民主党公明党、日本を元気にする会、次世代の党、新党改革の5党は、「平和安全法制に関する合意事項」を内容とするいわゆる「5党合意」を締結し、これを踏まえ、翌17日の参議院特別委員会において「附帯決議」を付した上で安保関連2法案を可決し、9月19日未明の参議院本会議における採決によって両法案が成立したことを受け、持ち回りにより、閣議決定「平和安全法制の成立を踏まえた政府の取組について」が行われました。
 参議院における「附帯決議」に法的効力はありませんが、この「5党合意」の特徴は、合意事項を担保する方法として、「附帯決議」の他に「閣議決定」を行うことも合意されたことであり、この合意に基づき、9月19日に行われた閣議決定において、「4 政府は、本法律の施行に当たっては、上記3の5党合意の趣旨を尊重し、適切に対処するものとする。」とされました。
※基本文献
「平和安全法制についての合意書」(5党合意)
「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案に対する附帯決議」
閣議決定「平和安全法制の成立を踏まえた政府の取組について」
 
 さて、以上の「5党合意」が行われてから1年半が経過し、ついに、新安保法制に基づく新たな任務を付与された陸上自衛隊南スーダンに派遣されました。
 本来であれば、このような場合に、独自の立場から「5党合意」の履行と慎重な運用を政府に迫るべき野党3党(日本を元気にする会、次世代の党、新党改革)が、とてもそのような状況でないことは確認しておかねばならないでしょう。
 この「5党合意」でおそらく野党側の中心となったのは「日本を元気にする会」(当時の代表は松田公太参議院議員)でしょうが、松田氏自身、今夏の参院選に出馬せずに政界を引退し、政党要件も喪失した上に、参議院会派としての「日本を元気にする会」も解散となり、結局、実体としての「日本を元気にする会」はほぼ消滅した、と言うべきでしょう。
 また、「新党改革」は、もともと「5党合意」当時から、荒井広幸参議院議員1人しか国会議員のいない政党でしたが、その荒井氏も今夏の参院選で落選し、「新党改革」は解散ということになりました。
 結局、残るは「次世代の党」あらため「日本のこころを大切にする党」だけですが、そもそも、同党があの「5党合意」で主導的な役割を演じたとはとても思えず、当時も現在も、政府与党の暴走にブレーキをかけることなど期待する方が無理でしょう・・・と思わないでもありませんが、本当はそういう決めつけはよくありませんね。
 公党として国民のために行った「合意」なのだから、しっかりとその履行を政府に要求すべきだと声援(というか叱咤)を送るべきなのだと思います。
 もっとも、そういう声援のしがいのある「合意」なのかどうかが問題です。
 
 そこで、「駆け付け警護」です。この点については、「5党合意」3項第2文が以下のように定めています(第1文と併せて引用します)。
 
3 平和安全法制に基づく自衛隊の活動については、国会による民主的統制を確保するものとし、重要影響事態においては国民の生死に関わる極めて限定的な場合を除いて国会の事前承認を求めること。
 また、PKO派遣において、駆け付け警護を行った場合には、速やかに国会に報告すること。
 
 PKOに特化した「合意」は、実はこの3項第2文だけです。この条項については、私がメルマガ(ブログ)に10回連載した「安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか」の「(4)~逐条的に読んでみた③(3項)」で詳しく検討していますので、やや長くなりますが、第2文に関する部分のみ再掲(引用)します。
 
(引用開始)
 重要影響事態法についてはこの程度とし、5党合意の合意事項3項第2文「また、PKO派遣において、駆け付け警護を行った場合には、速やかに国会に報告すること。」を検討しましょう。
 とはいえ、PKO協力法(国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律)についての概略をおさらいするだけの余力はありませんので、とりあえずは、いわゆる駆け付け警護を含む新たな業務を定めた規定を見ておきましょう。
 
(定義)
第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一~四 略 
五 国際平和協力業務 国際連合平和維持活動のために実施される業務で次に掲げるもの、国際連携平和安全活動のために実施される業務で次に掲げるもの、人道的な国際救援活動のために実施される業務で次のワからツまで、ナ及びラに掲げるもの並びに国際的な選挙監視活動のために実施される業務で次のチ及びナに掲げるもの(これらの業務にそれぞれ附帯する業務を含む。以下同じ。)であって、海外で行われるものをいう。
イ・口 略
ハ 車両その他の運搬手段又は通行人による武器(武器の部品及び弾薬を含む。二において同じ。)の搬入又は搬出の有無の検査又は確認
二~へ 略
卜 防護を必要とする住民、被災民その他の者の生命、身体及び財産に対する危害の防止及び抑止その他特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、検問及び警護
チ・リ 略
ヌ 矯正行政事務に関する助言若しくは指導又は矯正行政事務の監視
ル リ及びヌに掲げるもののほか、立法、行政(フに規定する組織に係るものを除く。)又は司法に関する事務に関する助言又は指導
ヲ 国の防衛に関する組織その他のイから卜まで又はフからネまでに掲げるものと同種の業務を行う組織の設立又は再建を援助するための次に掲げる業務
(1)イから卜まで又はワからネまでに掲げるものと同種の業務に関する助言又は指導
(2)(1)に規定する業務の実施に必要な基礎的な知識及び技能を修得させるための教育訓練
ワ~ソ 略
ツ イからソまでに掲げるもののほか、輸送、保管(備蓄を含む。)、通信、建設、機械器具の据付け、検査若しくは修理又は補給(武器の提供を行う補給を除く。)
ネ 国際連合平和維持活動又は国際連携平和安全活動を統括し、又は調整する組織において行うイからツまでに掲げる業務の実施に必要な企画及び立案並びに調整又は情報の収集整理
ナ イからネまでに掲げる業務に類するものとして政令で定める業務
ラ ヲからネまでに掲げる業務又はこれらの業務に類するものとしてナの政令で定める業務を行う場合であって、国際連合平和維持活動、国際連携平和安全活動若しくは人道的な国際救援活動に従事する者又はこれらの活動を支援する者(以下このラ及び第二十六条第2項において「活動関係者」という。)の生命又は身体に対する不測の侵害又は危難が生じ、又は生ずるおそれがある場合に、緊急の要請に対応して行う該活動関係者の生命及び身体の保護
 
 上記3条5号ラに定められた業務がいわゆる「駆け付け警護」です。ちなみに、同号トによる治安維持のための「監視、駐留、巡回、検問及び警護」は、実は「駆け付け警護」よりもはるかに危険性が高いのではないかと言われている業務です。
 これらの危険性の高い新業務については、武器使用基準も大幅に緩和されています。
 
(武器の使用)
第二十六条 前条第三項(同条第七項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に規定するもののほか、第九条第五項の規定により派遣先国において国際平和協力業務であって第三条第五号卜に掲げるもの又はこれに類するものとして同号ナの政令で定めるものに従事する自衛官は、その業務を行うに際し、自己若しくは他人の生命、身体若しくは財産を防護し、又はその業務を妨害する行為を排除するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、第六条第二項第二号ホ(2)及び第四項の規定により実施計画に定める装備である武器を使用することができる。
2 前条第三項(同条第七項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に規定するもののほか、第九条第五項の規定により派遣先国において国際平和協力業務であって第三条第五号ラに掲げるものに従事する自衛官は、その業務を行うに際し、自己又はその保護しようとする活動関係者の生命又は身体を防護するため、やむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、第六条第二項第二号ホ(2)及び第4項の規定により実施計画に定める装備である武器を使用することができる。
3 前二項の規定による武器の使用に際しては、刑法第三十六条又は第三十七条の規定に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない。
4 (略)
 
 26条1項が治安維持活動における、同条2項が駆け付け警護における、それぞれ武器使用基準を定めた規定であり、「その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で」武器を使用することができるとされています。
 
 ところで、PKO協力法において、実施計画や国際平和協力業務についての国会への報告義務について定めた規定は7条であり、これは改正されておらず、従来のままです。
 
(国会に対する報告)
第七条 内閣総理大臣は、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に規定する事項を、遅滞なく、国会に報告しなければならない。
一 実施計画の決定又は変更があったとき 当該決定又は変更に係る実施計画の内容
二 実施計画に定める国際平和協力業務が終了したとき 当該国際平和協力業務の実施の結果
三 実施計画に定める国際平和協力業務を行う期間に係る変更があったとき 当該変更前の期間における当該国際平和協力業務の実施の状況  
 
 5党合意の3項第2文「駆け付け警護を行った場合には、速やかに国会に報告する」とあるのは、7条に追加して(横出しして)別途報告義務を課した合意と解することができます。
 私は、個人的には、「駆け付け警護」(3条5号ラ)よりも、「治安維持活動」(3条5号ト)の方がはるかに危険な業務だと思っており、どうせなら、そちらを抑制するような合意はできなかったのか、などと思ったりもします。
 結局は、国会の事前承認でしっかりチェックできるかどうかなのですが。 
(引用終わり)
 
 さて、今回のいわゆる新任務「駆け付け警護」の付与は、「実施計画の変更」にあたりますから、PKO協力法7条1号に基づき、「当該決定又は変更に係る実施計画の内容」を「遅滞なく、国会に報告」しなければなりません。
 ただ、求められている報告は「実施計画の内容」に過ぎません。
 今回の「駆け付け警護」任務付与を含む「実施計画の変更」については、11月15日の閣議により、以下のとおり決定されました。
 
(引用開始)
2.変更内容
・国際平和協力業務の種類及び内容
国際平和協力法第3条第5号ラに掲げる業務に係る国際平和協力業務を追加

・同意の安定的維持について、UNMISSの活動内容、期間等に関して安保理における決議がなされる場合その他の必要な場合においては、速やかに国家安全保障会議を開催し再確認する旨を追記
・いわゆる参加5原則が維持されている場合でも、安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と認められる場合には、国家安全保障会議における審議の上、南スーダン国際平和協力隊及び自衛隊の部隊等を撤収する旨を追記
(引用終わり)
 
 そこで、「5党合意」に戻ってみれば、「駆け付け警護を行った場合には、速やかに国会に報告すること」とあり、これは、PKO協力法7条各号に規定のない事項ですから、実際に「駆け付け警護」を行ったなら、特定秘密に指定して頬被りなどせず、必ず国会に報告するように約束させた、という意義はありますが、それ以上のものではなく、「駆け付け警護」任務の遂行を抑制させる効果があるとは思えません。
 
 陸上自衛隊ホームページによると、「派遣される第11次要員は、第9師団隷下の第5普通科連隊長、田中仁朗(たなか よしろう)1等陸佐を隊長に、第9師団主体とした隊員約350名が派遣され、約6か月間にわたり、アフリカの南スーダン共和国の首都、ジュバ市及び同周辺において国連施設の整備、道路補修、給水支援などの活動を行うことを予定しています。」とありました。
 350名の派遣部隊を統率する田中仁朗1等陸佐の肩にのしかかる重圧を、どれだけの日本人が具体的に想像しているでしょうか。政治の無責任さによるしわ寄せがあげて現地派遣部隊に押しつけられているのです。
 
 従って、ここで想起すべき「5党合意」は、以上に紹介した3項第2文ではなく、「国会が自衛隊の活動の終了を決議したときには、法律に規定がある場合と同様、政府はこれを尊重し、速やかにその終了措置をとること。」という5項の規定ではないかと思います。
 PKO協力法は、2年ごとに国会の承認を要求していますが(6条7項、10項)、上記「合意」は、2年の期間の経過を待つことなく、国会が活動終了の決議を行って撤収させる道を開いた規定と解釈できるだろうと考えています(安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(6)~逐条的に読んでみた⑤(5項))。
 与党が衆参両院で圧倒的な議席を保有する状況では、現実に発動される見込みはないかもしれませんが、派遣自衛官全員の生命に対して全ての国会議員が責任を負っているのだということは、どうあっても自覚してもらわなければなりません。
 
 私は、昨年の連載「安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか」の最終回「(10・完)~私はこう読んだ(総集編)」の末尾において以下のように書きました。
 陸上自衛隊南スーダンPKO第11次要員派遣という事態を受け、その気持ちはますます強まっています。
 
(引用開始)
3 おわりに~5党合意をどう活かすか
 参議院・我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会で、安全保障関連2法案が強行採決される前日の9月16日に、自由民主党公明党、日本を元気にする会、次世代の党、新党改革の5党間で締結された「平和安全法制に関する合意事項」については、締結直後の冷ややかな雰囲気も過ぎ去り、いまやほとんどの国民が忘れてしまっているのではないかと思える今日この頃である。
(略)
 もちろん、5党合意と一口に言っても、様々な内容を含んでおり、各条項の解釈にしても、必ずしも断定しかねる曖昧さを残すものも少なくない。それに、私自身、浅学非才の故に、思わぬ検討不足や勘違いをしている可能性も十分にある。従って、多くの人が「5党合意を自分はこう読んだ」という意見を次々と発表してくれることが一番良いと思っている。
 安保関連法制自体を廃止できる時がくれば、「5党合意」はその意味を失うが、それまでにあとどれだけの期間を要するのか誰にも分からない。それまでにも、生身の自衛官が危険な戦地に派遣される可能性は(法律の施行後は特に)常に存在する。そうである以上、自衛隊の戦地派遣を阻止する、あるいはせめて抑制するために使える手段はどんなものでも総動員しなければならない。私が5党合意の注釈をしつこく続けたのはそのためであった。
 このまことに中途半端と言えば中途半端な5党合意が、もしかすると将来、思わぬ効力を発揮する場面があるかもしれない(それが良いことなのかどうかは別論として)。
(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2015年10月4日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(1)~とにかく読むだけは読まなければ(資料編)

2015年10月5日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(2)~逐条的に読んでみた①(前文・1項)
2015年10月7日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(3)~逐条的に読んでみた②(2項)
2015年10月9日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(4)~逐条的に読んでみた③(3項)
2015年10月11日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(5)~逐条的に読んでみた④(4項)
2015年10月13日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(6)~逐条的に読んでみた⑤(5項)
2015年10月15日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(7)~逐条的に読んでみた⑥(6項)
2015年10月18日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(8)~逐条的に読んでみた⑦(7項、8項)
2015年10月20日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(9)~逐条的に読んでみた⑧(9項)
2015年10月25日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(10・完)~私はこう読んだ(総集編)

「市民連合わかやま」が再スタートを切りました~11/23「賛同団体・賛同者の集い」開催

 今晩(2016年11月23日)配信した「メルマガ金原No.2639」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「市民連合わかやま」が再スタートを切りました~11/23「賛同団体・賛同者の集い」開催

 週の真ん中の祝日(勤労感謝の日)となった11月23日、色々な行事が目白押しであり、私個人としても、カトリック屋形町教会で開かれた松浦悟郎司教(カトリック名古屋教区)講演会「平和の道しるべ・憲法9条―日本の危機的状況の中で―」(主催:ピース9和歌山3グループ、共催:キリスト者9条ネット和歌山)は是非行きたかったのですが、今日ご紹介する「市民連合わかやま」の集いを優先せざるを得ず、泣く泣く断念したのでした。
 
 さて、その「市民連合わかやま」です。もともと、2016年7月の参院選和歌山県選挙区に野党統一候補の擁立を各野党に要請しようと、昨年末に有志が集まって活動を始めた「安保法制の廃止を求める和歌山の会」が、最終的に、ゆら登信(たかのぶ)弁護士を統一候補として擁立し、野党各党に推薦を要請することが決議された今年4月16日の第2回「賛同団体・賛同者の集い」を機に、「市民連合わかやま」と名称を変更し、そのまま参院選になだれ込んでいったという次第です。
 
 奮闘むなしく、参院選において現職の鶴保庸介氏(自民党)の再選を許した結果、和歌山県民全体が恥ずかしい思いを強いられている中、「市民連合わかやま」が、通算3回目の「賛同団体・賛同者の集い」を開催することになりました。
 その開催趣旨については、報道機関各社に送ったプレスリリースをお読みいただければと思います。
 
プレスリリースの本文から引用開始)
 私たち「市民連合わかやま」(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合わかやま)は、安保関連法の廃止と集団的自衛権行使を容認した閣議決定の撤回を求め、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻すことを目指し、去る7月10日施行の参議院選挙和歌山選挙区に、野党統一候補としてゆら登信(たかのぶ)氏を推薦し、その後ご推薦いただいた社会民主党日本共産党生活の党と山本太郎となかまたち(当時)とともに、多くの市民が一丸となって選挙運動を闘い抜きました。
 結果は、残念ながら当選には至りませんでしたが、市民が主体となって野党に共闘を呼びかけ、事実上の統一候補を擁立して選挙に参加した意義は非常に大きく、この成果をさらに発展させたいと考えています。
 そこで、県下各地で「市民連合わかやま」の趣旨に賛同し、ともに活動してくださった賛同団体・賛同者の皆さまにお集まりいただき、これまでの活動を振り返るとともに、「市民連合わかやま」の理念・目的を再確認し、今後の進むべき方向について話し合うための集いを開催することと致しました。
 本「集い」は、基本的に「市民連合わかやま」の賛同団体・賛同者に限定したクローズの集会ですが、その目的の公益性に鑑み、報道機関の皆さまには是非取材をお願いしたくご案内することと致しました。何卒よろしくお願い申し上げます。
                       記
日 時 2016年11月23日(水・祝日)午後2時00分~(終了4時予定)
場 所 和歌山県勤労福祉会館プラザホープ 2階 多目的室
      (和歌山市北出島1丁目5-47)
集会名 「市民連合わかやま 賛同団体・賛同者の集い」
主  催 市民連合わかやま
連絡先 あすか綜合法律事務所
        和歌山市六番丁24番地 ニッセイ和歌山ビル11階
        TEL:073-433-3980 FAX:073-433-3981
(引用終わり)
 
 ということで、十分な準備期間もありませんでしたが、本日(11月23日)午後2時からの「集い」に、県下各地から数十名の方にご参加いただくことができました。
 もっとも、急なことでもあり、基本的には、過去に賛同団体・賛同者になるという連絡をFAXでいただいたことのある団体・個人のリストを基に、事務局から郵便で開催案内をお送りするという方式での告知であったため、とりわけ、団体としてではなく、個人として「市民連合わかやま」と繋がり、参院選でもいろいろと協力してくださった方への個別の案内ができておらず、私が今日の「集い」をFacebookで速報したところ、「知らなかった」というコメントを書き込まれた方もおり、今後に向けた反省点が浮かび上がってきました。
 
CIMG6798 式次第自体、開会直前に主だった何人かが相談してあらましを決め、誰が司会を担当するかに至っては、開会5分前に「私」に決まったという泥縄状態であり、いくら規約も何もない緩い組織とはいえ、今後はもう少し事前の段取りをちゃんとした方が良いのではないか、というのがもう一つの反省点です。
 
 掲載した写真には共同代表に選出された5人の内の3人の方が写っています。左から由良登信(ゆら・たかのぶ)さん(弁護士)、豊田泰史(とよだ・やすふみ)さん(弁護士)、そして閉会のまとめの挨拶をされる堀内秀雄さん(和歌山大学名誉教授)です。そして、後ろのホワイトボードに書かれているのが今日の式次第です。
 
1 挨拶・経過報告
2 リレートーク・意見交換
3 提案(申合事項、方針、役員)
4 閉会挨拶
 
 開会挨拶(とこれまでの経過報告)は、設立当初から代表を務めてきた豊田泰史弁護士。
 その後、あらかじめ発言をお願いしていた方からのリレートーク、そして参加者に自由に意見を述べていただく(一部「押しつけた」人もいましたが)ことに多くの時間(約80分)を費やしました。
 一々の発言者のお名前や発言内容のご紹介は省略しますが(司会者として次の段取りを考えていたのでメモできていないということもあり)、橋本・伊都や田辺・西牟婁などの県内各地からおいでいただいた方を含め、全部で13名の方から発言していただくことができました。

 これらの意見を踏まえ、由良さんと豊田さんから「提案」が行われました。
 
 まず、「市民連合わかやま」の目的を再確認するための「申合事項」が由良登信さんから提案され、全会一致で承認されました。
 
(引用開始)
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合わかやま 申合事項
1 「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合わかやま」(略称 市民連合わかやま)は、2015年9月19日に成立した安全保障関連法を廃止し、2014年7月1日の集団的自衛権の行使を容認した閣議決定を撤回し、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻すための活動及び個人の尊厳を擁護する政治を実現するための活動をすることを目的とする。
2 市民連合わかやまは、前項の目的を達するために必要な諸活動を行う。
3 市民連合わかやまは、本会の目的に賛同する団体・個人によって運営する。
4 市民連合わかやまの活動経費は、寄付金その他の収入をもって賄う。
以上
(引用終わり)
 
 続いて、豊田泰史さんから新たな役員案が提案され、いずれも異議なく承認されました。なお、今後の日常的な活動は、共同代表、事務局も加わった常任幹事会が中心になって運営していくことになりますが、さらに県下各地域での運動を実際に担ってくださる方々の中から、幹事を選出していく方針も併せて承認されました。
 
共同代表(5名)
 豊田泰史さん、堀内秀雄さん、松浦攸吉さん、由良登信さん、外1名(女性、本日欠席で就任承諾未確認)
事務局(3名)
 里﨑正さん、重藤雅之さん、芝野友樹さん
会計(1名)
 金原徹雄
常任幹事数名(メモしきれなかった)
 
 そして、当面の「市民連合わかやま」としての活動方針が豊田共同代表から提案されました。そして、司会者として、承認を求める提案内容を「どう要約したものか?」と悩んだ末、とりあえず以下の2点に集約しました。
 
1 来るべき衆院選において、立憲野党に共闘を呼びかけ、その実現を目指す活動を行う。
2 実際の年齢にかかわらず、青春まっただ中という気持ちをもって、楽しく賑わい豊かに活動する。
 
 本当にこの「要約」で良かったのかどうか、いまだに自信はありませんが、豊田さんからも、他の出席者からも特段の異論は出ず、全員が拍手で賛成して承認されましたので、これが「市民連合わかやま」の当面の活動目標となりました。皆さん、この線で頑張りましょう。
 
 そして、リレートークの最初のスピーカーをお願いした堀内秀雄先生に、閉会に際してのまとめの挨拶もお願いし、終始一貫した「集い」となったと思います。
 発言の順序は、何も決まっていなかったので、司会者の一存で決めていきましたが、皆さんのご協力を得て、なかなか良かったのではないかと(自画自賛で恐縮ですが)思います。
 
 衆議院の1月解散は遠のいたという観測もありますが、まだまだ早期解散の目は消えていないと考えなければならないでしょう。
 「市民連合わかやま」に結集した私たちも、次の目標に向けて再スタートを切らねばならないということで、本日の「集い」を開催したのですが、もちろん、この動きは全国的なものです。
 今週末の土曜日(11月26日)には、「市民連合」が呼びかけて、「第3回全国市民意見交換会」が東京で開催されることになっており、「市民連合わかやま」にも参加要請がありましたので、1名派遣することになりました(※全国の市民団体に送られた「市民連合」からの参加要請書)。
 次の目標は、最低でも衆議院における「与党+日本維新の会」の議席を2/3未満に押さえ込むことですが(それだけ「関西」の責任は大きい)、もはや、スタートは遅過ぎるくらいです。さあ、頑張ろう。
 

「国民安保法制懇見解-安保関連法制定から 1 年を経て-」(2016年9月19日)を読む

 今晩(2016年11月22日)配信した「メルマガ金原No.2638」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「国民安保法制懇見解-安保関連法制定から 1 年を経て-」(2016年9月19日)を読む

 2014年5月、12人の識者が、「政府の恣意的な「解釈変更」によって、これまで憲法が禁止してきた集団的自衛権行使を可能にすることは、憲法が統治権力に課している縛りを政府自らが取り外すことに他ならず、立憲主義の破壊に等しい歴史的暴挙と言わざるを得ない。私たちは、主権者である国民としてこの暴挙を黙認することは到底できない。かかる立憲主義の破壊に抗うべく、憲法国際法、安全保障
などの分野の専門家、実務家が結集し、ここに「国民安保法制懇」を設立する。」と宣言しました。
 その後、国民安保法制懇によって公表された「声明」は、末尾にリンクしたとおり、その都度メルマガ
(ブログ)でご紹介してきました。
 
 設立当初12人で発足した国民安保法制懇ですが、現在のメンバーは以下の10人(少なくとも最近の声明に名前を連ねているのは)です(敬称略・五十音順)。
 
愛敬 浩二(名古屋大学教授)
青井 未帆(学習院大学教授)
伊勢崎賢治東京外国語大学教授)
伊藤 真(弁護士)
大森 政輔(元内閣法制局長官
小林 節(慶應義塾大学名誉教授)
長谷部恭男早稲田大学教授)
樋口 陽一(東京大学名誉教授)
孫崎 享(元外務省国際情報局長)
柳澤 協二(元内閣官房副長官補)
 
 上記メンバーは、個々に様々な活動を行っている方々であり、国民安保法制懇として恒常的な活動を行うということはありませんが、活動を休止したという訳でもなく、重要な節目に際し、メンバーの意見を集約した「声明」を発表することにしているようです。

 最近まで気がついていなかったのですが、去る9月19日には、「国民安保法制懇見解-安保関連法制定
から1年を経て-」を公表していました。
 この「見解」は、「南スーダンPKO派遣の点に焦点を絞りつつ、安倍政権の非民主的な政権運営に対して
も批判する」ことを内容とするものです。

 新任務を付与された青森の陸上自衛隊第9師団第5普通科連隊を中心とした編成された部隊が、21日に南スーダンのジュバに到着したというニュースに接した今日(11月22日)、この「国民安保法制懇見解」をご紹介するというのは遅きに過ぎたかもしれませんが、やはり読んでいただこうと思います。
 以下に、国民安保法制懇ホームページに掲載された「お知らせ」と「見解」全文を引用します。
 「この「見解」は、これまで同様、元内閣法制局長官や元政府高官、憲法学者らそれぞれが意見を出し合い、議論を重ねて一致点を形成し、取りまとめたものです。」とあるとおり、「この部分は伊勢﨑さんか柳澤さんが主張したのだろう」とか、「ここは憲法学者の誰かが強く主張したのだろう」などと想像されたりもしますが、いずれにせよ、10人の尊敬すべき識者が「議論を重ねて一致点を形成」した「見解」であり、聴くべきところの多い意見だと思い、ご紹介することとしました。
※注 「お知らせ」の文章はどう考えても推敲不足ですが、勝手に修正する訳にもいきませんので、そのまま引用しています。
 
2016年9月19日
国民安保法制懇見解-安保関連法制定から1年を経て

(引用開始)
9月19日、安保関連法が制定されて1年を迎えました。
安保関連法制定から1年を経て、安倍政権は、いよいよ安保関連法を作動し始めようとしています。
焦点となるのは、今後、南スーダンPKOに派遣される自衛隊の部隊に「駆けつけ警護」の任務が付与される
かどうかです。「駆けつけ警護」任務での武器使用は、憲法の禁止する「武力行使」に踏み出しかねませ
ん。
国民安保法制懇は、元内閣法制局長官や元政府高官、憲法学者らで結成しましたが、この間もメンバーそれぞれの立場で、安保関連法等、憲法9条を正面から破壊しようとする安倍政権の行動を批判してきまし
た。
安倍政権が現実に安保関連法を作動し始めようとしていることに対し、国民安保法制懇のメンバーとして一致した「見解」を出そう、ということとなり、南スーダンPKO派遣の点に焦点を絞りつつ、安倍政権の非
民主的な政権運営に対しても批判する「見解」を作成いたしました。
この「見解」は、これまで同様、元内閣法制局長官や元政府高官、憲法学者らそれぞれが意見を出し合い
、議論を重ねて一致点を形成し、取りまとめたものです。
見解は下記です。PDFにしておりますので、ご確認下さい。
 国民安保法制懇見解-安保関連法制定から1年を経て-
国民安保法制懇のメンバーは、今後も、より積極的に安保関連法の問題に対して積極的に発言し、行動してゆく覚悟であることも申し添えます。
(引用終わり)
 
 それでは、「国民安保法制懇見解」の全文をご紹介します。
 
(引用開始)
                  国民安保法制懇見解
              ─安保関連法制定から 1 年を経て-
 
                                   2016年9月19日
                                    国民安保法制懇
 
 われわれ国民安保法制懇のメンバーは、集団的自衛権行使容認へと踏み出した 2014年7月の政府見解、昨年5月に法案が提出され同年9月に制定された安全保障関連法等、憲法9条を正面から破壊しようとする安倍政権の行動を批判し、日本の安全保障および自衛隊の活動に関する冷静で理性的な判断と対応を求めてきた。安全保障関連法の制定から1年が経過したことを踏まえ、現時点でのわれわれの見解を示したい。
 政府は、参議院選挙後の8月24日、安全保障関連法に基づく自衛隊活動の訓練を順次実施すると発表した。選挙が終わるまではなりをひそめて安保法への目を逸らし、選挙が終わってから安保法を運用に移したことになる。さらに、いかなる訓練を行うかについて、具体的な説明はまったくない。予想される訓練の中には、PKO活動に参加する国連NGO の職員らが武装集団等に襲われたとき、武器を携行して救援に赴く「駆けつけ警護」も含まれる。
 
 焦点となるのは、今後、南スーダンPKOに派遣される部隊に「駆けつけ警護」の任務が付与されるか否かである。最近の南スーダンでは、首都ジュバで大規模な戦闘が行われるなど、そもそも派遣要件であるPKO参加5原則、中でも紛争当事者間での停戦への合意が満たされているか否かに疑いがある。そうした状況下で自衛隊に「駆けつけ警護」の任務を与えるならば、自衛隊員の安全に従来を大きく上回るリスクをもたらすことが予想される上、「駆けつけ警護」任務での武器使用が、憲法の禁止する武力の行使に踏み出すことになりはしないか、再度の慎重な検討が必要となっている。
 また、自衛隊の武器使用が不幸にも民間人の殺傷をもたらした場合に、それがいかなる責任をもたらし、その責任を国と個々の自衛隊員がいかに分担することになるかがきわめて不分明であることも懸念材料である。さらに、1999年8月12日付国連事務総長告示「国連主導多国籍軍による国際人道法の遵守」はすでに、戦闘時においてPKO部隊が紛争の当事者として限定的に交戦権を行使することを一般論として想定しており、PKO活動に関する内外の認識が大きく変容しつつあることも、自衛隊の任務遂行の是非に関して考慮すべき要素であろう。
 
 安保法はすでに本年3月に施行されている。自衛隊の活動によって生じる現地での住民感情の悪化や緊張の激化は、やがては国内外における国民の安全を脅かすリスクを含むのであるから、この法制の下でどのような活動を行い、どのようなリスク・効果が見込まれるのかにつき、政府は国民に真摯に説明し理解を求める努力を行うべきであった。しかしながら、政府から国民に対する真摯な説明は全くなされていない。
 国民への説明を怠って選挙を戦い、選挙が終わりさえすればあたかも国民の白紙委任を得たかのように周囲の声に耳を傾けることなく、強引にことを進める政府の姿勢、人がそれぞれ自律的な判断主体であることを無視し、説明を通じて納得を求めることもしない政府の姿勢、すべては選挙結果を目当てとして人心を操作するための術策であるかのように振る舞う政府の態度は、普遍的価値を標榜するリベラル・デモクラシーの政府にはおよそ似つかわしくない。それは、形ばかりの選挙を施行する非民主的な独裁国家に、むしろふさわしい。
 政府が集団的自衛権容認の根拠としてあげた憲法第13条にいう国民の生命、自由、幸福追求の権利を真に守るのであれば、同条が定めるように、すべての国民を個人として尊重することこそが、政府には求め
られるであろう。
                                              以上
 
国民安保法制懇
 愛敬 浩二(名古屋大学教授)
 青井 未帆(学習院大学教授)
 伊勢崎賢治東京外国語大学教授)
 伊藤 真(弁護士)
 大森 政輔(元内閣法制局長官
 小林 節(慶應義塾大学名誉教授)
 長谷部恭男早稲田大学教授)
 樋口 陽一(東京大学名誉教授)
 孫崎 享(元外務省国際情報局長)
 柳澤 協二(元内閣官房副長官補)
(引用終わり)
 

「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第2回・木村草太首都大学東京教授「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」は視聴できないけれど

 今晩(2016年11月21日)配信した「メルマガ金原No.2637」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第2回・木村草太首都大学東京教授「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」は視聴できないけれど

 今日は、去る11月18日(金)、「立憲デモクラシーの会」が主催する「立憲デモクラシー講座」に
初登場した木村草太首都大学東京教授(憲法学)の講演動画をご紹介しようと考えていました。しかも、予告されていた演題が「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」という、一見して、いや、よく考えてみてもやはり「突飛」なものであり、皆さんも「是非視聴したい」と思われるでしょう?
 私も、過去の「立憲デモクラシー講座」は、全てUPLANの動画で視聴し、メルマガ(ブログ)でもご紹介して拡散に努めてきたところであり、今回の「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」についても、19日(土)にUPLANのYouTubeチャンネルで確認したところ、ちゃんとこれまで通りアップされていましたので、(
その日は視聴する時間がありませんでしたが)安心して今日に回して取り上げることにしたものです。
 ところが、今夜、確認してみたところ、問題の動画がない!そこで、UPLAN主宰者である三輪祐児さんのFacebookを確認したところ、「木村草太氏ご本人からの申し出により、映像は非公開といたしました」「非公開の理由は、もともと主催者から木村氏への了解に手違いがあったことによるもの」ということでし
た。
 うーん、まことに残念。たしかに、木村さんの講演動画というのは、昨年行われたごくわずかの例外を除き、ほとんどアップされていません。ようやく見つけたと思ったら、木村さんが連載を持っている沖縄
タイムス主催の講演会であったり、同じく主催者であるヒューマン・ライツ・ナウ自身の動画アカウントによるアップであったりという「特別の事情」が推測されるものだけでした。
 けれども、見られないということになると、いよいよ気になりませんか?(私は気になります)
 そこで、仕方がないので、辺野古問題についてのこれまでの木村さんの主張などを参考に、今回の講演の内容を推測するための資料を集めてご紹介することにしました。
 
【木村草太氏の辺野古問題についての発言】
 10月29日(土)に和歌山市で行われた講演会(主催:和歌山県保険医協会)でも木村さんが言及されていたかねてからの主張、すなわち、米軍のための新基地建設は、地方自治体の権限を大きく制約するものであって、法律事項である(憲法92条)とともに、「一の地方公共団体のみに適用される特別法」(憲法95条)に他ならず、住民投票で過半数の賛成を要するが、そのような手続を践んでいない辺野古基地建設は違憲であるという説を公にした論考及び講演動画をここでもご紹介しておきます。
 
木村草太氏講演会 「沖縄で憲法を考える」(音声)
 

 もう1つ、本年9月の福岡高裁那覇支部判決についての所感を木村さんがビデオニュース・ドットコム
で語った映像もご紹介しておきます(やっぱり日本の裁判所は安保では不条理に踏み込めなかった)。
 
 
辺野古訴訟は今どうなっているのか?】
 翁長知事の公有水面埋立承認取り消しに始まる一連の訴訟は、相当に複雑な経過をたどっていま
すが、とりあえず、最近の私のメルマガ(ブログ)で取り上げた記事をご紹介しておきます。
 
2016年3月4日
沖縄県と国との和解条項(2016年3月4日・福岡高裁那覇支部)を読んで考えた

2016年9月18日
辺野古訴訟判決(9/16福岡高裁那覇支部)の「骨子」をとりあえず読む
2016年9月19日
辺野古訴訟判決(9/16福岡高裁那覇支部)の「判決要旨」をじっくりと読む
 
【「泣いた赤鬼」ってどんな話?】
 ウイキペディアによると、「『泣いた赤鬼』(ないたあかおに)は、浜田廣介作の児童文学である。浜
田の代表作で、学校教科書にも採用された。初出は『おにのさうだん』の表題で1933年『カシコイ小学二年生』8月号から連載。初版は1935年7月に刊行された『ひろすけひらかな童話』岡村書店に所収。」であり、浜田廣介氏の没年は1973年ということなので、まだ著者の死後50年間という著作権保護期間切れていません。
 そこで、ウイキペディアから「あらすじ」を引用しておきます。
 
(引用開始)
 とある山の中に、一人の赤鬼が住んでいた。赤鬼はずっと人間と仲良くなりたいと思っていた。そこで、「心のやさしい鬼のうちです。どなたでもおいでください。おいしいお菓子がございます。お茶も沸か
してございます」という立て札を書き、家の前に立てておいた。
 しかし、人間たちは疑い、誰一人として赤鬼の家に遊びに来ることはなかった。赤鬼は非常に悲しみ、
信用してもらえないことを悔しがり、終いには腹を立て、せっかく立てた立て札を引き抜いてしまった。
 一人悲しみに暮れていた頃、友達の青鬼が赤鬼の元を訪れる。赤鬼の話を聞いた青鬼はあることを考えた。それは、「青鬼が人間の村へ出かけて大暴れをする。そこへ赤鬼が出てきて、青鬼をこらしめる。そうすれば人間たちにも赤鬼がやさしい鬼だということがわかるだろう」という策であった。これでは青鬼
に申し訳ないと思う赤鬼だったが、青鬼は強引に赤鬼を連れ、人間達が住む村へと向かうのだった。
 そしてついに作戦は実行された。青鬼が村の子供達を襲い、赤鬼が懸命に防ぎ助ける。作戦は成功し、おかげで赤鬼は人間と仲良くなり、村人達は赤鬼の家に遊びに来るようになった。人間の友達が出来た赤
鬼は毎日毎日遊び続け、充実した毎日を送る。
 だが、赤鬼には一つ気になることがあった。それは、親友である青鬼があれから一度も遊びに来ないことであった。今村人と仲良く暮らせているのは青鬼のおかげであるので、赤鬼は近況報告もかねて青鬼の
家を訪ねることにした。しかし、青鬼の家の戸は固く締まっており、戸の脇に貼り紙が貼ってあった。
 それは「赤鬼くん、人間たちと仲良くして、楽しく暮らしてください。もし、ぼくが、このまま君と付き合っていると、君も悪い鬼だと思われるかもしれません。それで、ぼくは、旅に出るけれども、いつまでも君を忘れません。さようなら、体を大事にしてください。ぼくはどこまでも君の友達です」という青
鬼からの置手紙であった。
 赤鬼は黙ってそれを2度も3度も読み上げ、涙を流した。その後、赤鬼が青鬼と再会することはなかった

(引用終わり)
 
【三輪祐児さん(UPLAN)の意見】
 当初、動画をアップしたUPLANの三輪祐児さんは、Facebookに以下のような投稿をされています。しかも、コメント欄への書き込みによると、「私の見解については木村氏からも好意的に評価されるコメントを
いただいています。」ということです。
 その三輪さんの見解というのは以下のようなものです。
 
(引用開始)
木村草太さま
タイムパラドックスは解決できます
 タイムマシンは超光速を前提にしていますから、問題は量子論の解釈で解決できます。私の場合でした
シュレディンガーの猫仮説を導入します。箱の中の猫は確率論的に生きていて同時に死んでいるように
、物語の中のA氏とB氏も生きていて同時に死んでいますから、パラドックスは発生しません。
 この状態は箱の蓋を開くことによって壊れます。木村さんはA氏とB氏の存在と物語を知ったわけですから、その瞬間に物語の箱の蓋は開いたわけです。それまで箱の中の存在を知らなかった私も、木村さんからこの話を伺った瞬間に箱の蓋を開いてしまいました。すなわち生きていて同時に死んでいる状態で幸せに物語を紡いでいたA氏とB氏の自由を奪い、生きているかそれとも死んでいるかを選択せよと詰め寄って永遠に逃れようのないパラドクスに陥れた犯人はまず蓋を開いた木村さんであり、次に私であったわ
けです。
●赤鬼くんの苦悩は解決できます
 適当な時が経過し、村人たちとの信頼が十分醸成された段階において自叙伝「泣いた赤鬼」を出版すれば村人もわかってくれます。全国的ベストセラーになるでしょうから、どこかで青鬼くんも見つかるでしょうから、戻ってきてもらって仲良く暮らします。したがって最良の解決方法は、赤鬼くんがUPLAN
に相談に来てくれることです。
(引用終わり)
 
 11月18日に行われた「立憲デモクラシー講座」第Ⅱ期第2回「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」の内容を推測する手がかりとして、私が提供できるのはとりあえず以上のようなところです。
 少しは推測がつきましたか?「赤鬼」「青鬼」「村人たち」という主要な配役に、辺野古訴訟当事者及びその周辺の関係者がどう割り振られているのか、正直、とんと見当がつきません。三輪さんの文章を読
んでも、さらに謎は深まるばかりです。
 そのうち、ネットでも、講演を聴いて感想をアップしてくれる人も出てくるでしょうけどね。それまでの間、上にご紹介した資料を基に、あれこれ考えていただくことが、辺野古訴訟への理解を深める一
番の近道かもしれません。そうか、だから木村草太さんは動画のアップを断ったのか(そんなことないか)。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/「立憲デモクラシー」関係)
2015年11月15日
佐々木惣一が発見した「国民の存在権」(憲法13条)と自民党改憲案~石川健治東大教授の講義で学ぶ(11/13立憲デモクラシー講座 第1回)
2015年12月12日
山口二郎法政大学教授による「戦後70年目の日本政治」一応の総括~12/11立憲デモクラシー講座 第3回)
2016年1月8日
中野晃一上智大学教授による「グローバルな寡頭支配vs.立憲デモクラシー」~1/8立憲デモクラシー講座 第4回)
2016年1月31日
杉田敦法政大学教授による「憲法9条の削除・改訂は必要か」~1/29立憲デモクラシー講座 第5回)
2016年3月28日
立憲デモクラシー講座第6回(3/4三浦まり上智大学教授)と第7回(3/18齋藤純一早稲田大学教授)のご紹
2016年4月11日
立憲デモクラシー講座第8回(4/8)「大震災と憲法―議員任期延長は必要か?(高見勝利氏)」のご紹介(付・『新憲法の解説』と緊急事態条項)
2016年4月25日
立憲デモクラシー講座第9回(4/22)「表現の自由の危機と改憲問題」(阪口正二郎一橋大学教授)」のご紹介(付・3/2「放送規制問題に関する見解」全文)
2016年5月15日
立憲デモクラシー講座第10回(5/13)「戦争化する世界と日本のゆくえ」(西谷修立教大学特任教授)のご紹介
2016年6月16日
立憲デモクラシー講座第11回(6/3石田英敬東京大学教授)と第12回(6/10岡野八代同志社大学大学院教授)のご紹介
2016年10月22日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」スタート~第1回・白藤博行専修大学教授「辺野古争訟から考える立憲地方自治」(10/21)のご紹介
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/「木村草太氏」関係)
2014年7月22日
「閣議決定」についての木村草太氏の見解に耳を傾ける(ビデオニュース・ドットコム)
2014年10月28日
7月1日閣議決定についての木村草太氏の解釈には無理がある
2015年4月1日
木村草太氏の那覇市での講演動画の視聴をお勧めします(3/31)
2015年5月25日
「哲学と憲法学で読み解く民主主義と立憲主義」(國分功一郎氏&木村草太氏)を読む
2015年6月13日
あらためて「存立危機事態」の解釈を問う~木村草太説と公明党(北側一雄氏)の認識

2016年3月31日
開催予告5/14「憲法という希望~対談:木村草太×国谷裕子」(大阪弁護士会)
2016年9月1日
7.1閣議決定についての木村草太説を振り返り 10.29木村草太氏講演会(和歌山県保険医協会)に期待す
2016年10月29日
10月29日の冒険~『法華経』、『標的の村』、木村草太氏講演会

第12回「那賀9条まつり」とそこでお話しした「戦争法緊急事態条項とは」

 今晩(2016年11月20日)配信した「メルマガ金原No.2636」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
第12回「那賀9条まつり」とそこでお話しした「戦争法緊急事態条項とは」

 今日(11月20日)は、午前11時から、和歌山県紀の川市桃山町調月(つかつき)の那賀スポーツレクリエーションセンターを会場として、「九条を守ろう」那賀郡の会が主催する「那賀9条まつり」に行ってきました。
CIMG6778 様々な美味しい食べ物を提供してくれるブースや、新鮮野菜が驚きの価格で提供されるブースなどがあり、屋根付き固定ステージでは、音楽の演奏やフラダンスなどが披露されるという、和歌山城西の丸広場で開催している“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”によく似ているというよりも、まだ3回しか開催実績のない西の丸広場に対し、「那賀9条まつり」は今年が12回目の開催ということで、こちらの方がはるかに「先輩」なのですよね。

 さて、私が今年の「那賀9条まつり」を訪れたのは、プログラムの中の「平和について」リレートーク第1部で15分ほど話して欲しいというご依頼があったことによります。こういうリレートークが出来るのも、会場が適度にこぢんまりとまとまっていればこそだろうなあというのが、実際にしゃべってみた上での私の感想です。西の丸広場で同じことをやっても、広過ぎて誰も聴いていない、というか、誰も聴いているようには見えず、話し手の方が空しくなってしまうでしょう。

 おそらく来年の憲法記念日憲法施行70周年の節目の日)も、和歌山城西の丸広場では、“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2017”が開催されると思いますが、その企画の参考とするため、大先輩である「第12回 那賀9条まつり」の、本日会場で来場者に配られたプログラム(私が受け取ったもの)をPDF化するとともに、以下に転記します(若干補足・訂正した部分もあります)。

プログラムから引用開始)
2016年 第12回「好きなんよ 9条」まつり プログラム
11:00~ 開会のあいさつ(9条の会呼びかけ人 増田博さん)
 署名・カンパの訴えについて(司会者より)
11:15~ オープニング ウクレレ弾き語り(momoさん)
11:45~ 「平和について」リレートーク第1部
 戦争法緊急事態条項とは(憲法9条を守る和歌山弁護士の会 金原徹雄さん)
 教育の反動化について(那賀教組 覚道さん)
12:10~12:25 ビンゴ大会(金券500円×10人)
12:25~12:50 休憩(模擬店を散策して下さい)
12:50~13:10 バンド演奏(横出ファミリー)
13:10~13:30 フラダンス(年金者組合)
13:30~ 銭太鼓(新婦人紀の川支部桃山班)
13:50~ 「平和について」リレートーク第2部
 平和への願い、沖縄問題(田林さん)
 平和の願い、若者の訴え(光部さん)
14:15~14:35 バンド演奏(ROCK OUT)
14:40~14:55 みんなで歌いましょう 2曲(見上げてごらん夜の星を、一人の手)(うたごえ那賀、指揮 城さん)
14:55 閉会のあいさつ(赤山さん)
15:00 抽選会、終了
(引用終わり)
 
 私は、時間の都合で、開会から「休憩(模擬店を散策して下さい)」の途中までしかいられず、横出ファミリー(“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”での粉河高校軽音楽部の演奏でいつもお世話になっている横出先生のファミリーバンド)の演奏を聴くことが出来なかったのが心残りでした。いっそ、粉河高校のメンバーと一緒に来年5月3日のステージに登場してもらったら?

CIMG6781 ところで、私が貰ったプログラムには、「くじ引き抽選番号 0126」と印字されていますが、これは、閉会挨拶の後のお楽しみ「抽選会」まで残っていなかったので、当選していたかどうか不明です。
 ただし、私は12:10からのビンゴ大会では、真っ先に「ビンゴ!」となったうちの1人として、模擬店で使える金券500円分(100円券×5枚)をゲットしたのですよ。ただし、この金券については、残る賞品1人分となった最後で「ビンゴ!」になった3人の内、ステージ前でのじゃんけんに間に合わなかった小さな女の子に譲りました。というのも、私は「ビンゴ」の前に、主催団体から、出演料代わりに(?)金券500円分をいただいていましたので、何だかダブルでいただいたようで気が引けていましたので。
 結局、この金券は、カレーや焼きそばを食べ、野菜(白菜など)を買ったりして使い切りました(+500円出費)。
 西の丸広場の「売り」は「餅撒き」ですが、「那賀9条まつり」では、それが「ビンゴ」と「抽選会」なのですね。たしかに、「抽選会」の結果が気になる人は、最後まで残ってくれるでしょうから。
 
 さて、以下に、私が今日「那賀9条まつり」でお話したことのあらましを掲載します。ただし、これはスピーチ用原稿ではありません。本来なら、昨日のうちに原稿を書き上げ、今日のメルマガ(ブログ)にはその原稿をそのまま掲載する目論みだったのですが、書くための時間が確保できず、結局、原稿なしのアドリブでのスピーチとなりました。
 従って、以下に掲載するのは、「何を話したかなあ」と思い返しながら、「これも話せば良かった」という部分を補充したりした事後的「スピーチ用原稿」です。
 なお、緊急事態条項については、先月行った2回の講演で詳しくお話していますので、詳しくはそちらのレジュメをお読みいただければと思います。
 

第12回 那賀9条まつり
「平和について」リレートーク 第1部
「戦争法緊急事態条項について」
金 原 徹 雄 (憲法9条を守る和歌山弁護士の会)
 
 皆さん、こんにちは。ただいまご紹介いただきました弁護士の金原と申します。
 「那賀9条まつり」では、毎年楽しい企画が盛りだくさんということは聞いていましたが、おじゃましたのは今年が初めてです。
 今日私がお話することになったのは、「憲法九条を守るわかやま県民の会」の事務局長を通じて依頼があったからですが、どうせみんな模擬店のブースなどを回るのに忙しく、話をじっくり聴くような雰囲気ではないだろうから、せいぜい「みんなで頑張りましょう」という連帯挨拶を5分程度するのかな?と思っていたところ、主催団体事務局の部屋さんからFAXで届いたプログラムを読むと、「平和について」リレートーク第1部「戦争法緊急事態条項とは」となっており、その後電話で伺った部屋さんによると、「15分程度話して欲しい」ということでした。しかも、既にチラシは配布されており、今さらテーマを変更することは無理なようでした。
CIMG6789 だいたい、「戦争法」といえば、昨年9月19日に成立してしまい、今年3月29日に施行されたいわゆる安全保障関連法のことであり、対して、「緊急事態条項」というのは、戦争、内乱、大規模自然災害などが起きた際、行政権に権限を集中して緊急事態を乗り切るための憲法上の規定を設けるかどうかという問題です。私は、このいずれについても学習会で講師を務めてきましたが、どちらも少なくとも90分は時間をいただきたいとお願いする重大なテーマであり、それを、ひとまとまりのものとして「戦争法緊急事態条項とは」何かを、しかも15分で話をしろと言われても、これは至難の業ではないだろうか?と思わないではありませんが、まあ、何とかやってみることにします。
 
 ご承知のとおり、去る7月10日に実施された参議院議員選挙の結果、衆参両院で、自民、公明、日本維新の会、日本のこころを大切にする党などの「改憲勢力」が2/3以上の勢力を有するに至り、「明文改憲」が現実のものとなる条件が整いました。そして、いわゆる「緊急事態条項」を新設する改憲発議のなされる可能性が最も高いのではないかと言われていることは、皆さんご存知のことと思います。
 現に、日本会議神社本庁などの改憲勢力が結集した「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が作成したパンフレット類、あるいは「憲法おしゃべりカフェ」といった集会では、東日本大震災で、災害対応が十分に出来ず、多くの人が震災関連死したのは、憲法に緊急事態条項がないからだというとんでもないデマが平然と垂れ流されています。
 大規模自然災害に対する法的な備えについては、伊勢湾台風による甚大な被害を受けて制定された災害対策基本法を始め、多くの災害法制の整備が進んでおり、何より重要な災害対策は、緊急時に権限を現場の市町村に大胆に移譲することであり、中央政府に権限を集中するのは百害あって一利なしであることは、多くの識者が指摘しています。
 つまり、事前の法整備(憲法改正など必要ない)と、万一に備えた訓練や備蓄こそが災害による被害の最小化の王道であって、憲法に緊急事態条項を設ける必要などありません。 さらに、このことは、日本国憲法の制定過程を振り返ることによっても確認できます。
 日本国憲法は、大日本帝国憲法明治憲法)の改正案として、昭和21年に召集された第90回帝国議会の議に付され、同年中に制定・公布され、翌昭和22年5月3日に施行されました。
 その帝国議会の審議において、緊急事態条項についても議論されているのです。明治憲法には、帝国議会閉会中に発生した緊急事態に対処するためとして、緊急勅令(8条)や緊急財政処分(70条)などの規定がありましたが、日本国憲法は、参議院の緊急集会を例外としつつも、明治憲法のような緊急事態条項は設けないことにしていました。これについての議員からの質問に対し、憲法問題担当の金森徳治郎国務大臣は、次のように明確にその理由を述べています。
「緊急勅令及ビ財政上ノ緊急処分ハ、行政当局者ニ取リマシテハ実ニ調法ナモノデアリマス、併シナガラ調法ト云フ裏面ニ於キマシテハ、国民ノ意思ヲ或ル期間有力ニ無視シ得ル制度デアルト云フコトガ言ヘルノデアリマス」「此ノ憲法ハ左様ナ非常ナル特例ヲ以テ――謂ハバ行政権ノ自由判断ノ余地ヲ出来ルダケ少クスルヤウニ考ヘタ訳デアリマス」
 すなわち、現行憲法に旧憲法における緊急勅令や緊急財政処分などにあたる規定がないのは、単なる「不備」などではなく、明確な意図に基づいて「削除」されたのだということが明らかなのです。
 以上のことから、大規模自然災害に備えるために憲法に緊急事態条項を設ける必要があるという改憲勢力の主張には理由がないということはご理解いただけたでしょうし、改憲派が言い募る「デマ」に対しても、皆さん1人1人が十分に反駁できるはずです。
 
 残された問題が1つあります。それは、諸外国では憲法に緊急事態条項があるのが普通であるという改憲派の主張についてです。確かに、緊急事態条項のある国が多いという事実はありますが、それらの国は、みな「戦争をする」からこそ緊急事態条項を設けているのですね。日本は、絶対に「戦争をしない」と憲法で決意した国ですから、その不戦の決意を撤回せずに緊急事態条項だけを憲法に規定するというのは意味がないことになります。
 言い換えれば、改憲派が緊急事態条項を憲法に新設するように主張する本当の理由は、大規模自然災害への対処などではありません。それは、国民からの賛同を調達(盗み取ると言っても良い)するための手段に過ぎません。真の狙いは「戦争をする」ために、どうしても必要だからです。
 私たちは、このことを肝に銘じ、緊急事態条項を設けるとの「憲法改正」を何としても阻む決意を新たにする必要があります。
 ここで、ようやく「戦争法」と「緊急事態条項」が結びつきました。ごく雑駁ではありますが、「戦争法緊急事態条項とは」という主催者から指定されたテーマについてのお話を以上で終わります。ご静聴ありがとうございました。

放送予告11/26「路地の声 父の声~中上健次を探して~」(ETV特集)

 今晩(2016年11月18日)配信した「メルマガ金原No.2634」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
放送予告11/26「路地の声 父の声~中上健次を探して~」(ETV特集

 和歌山弁護士会の会員向け研修の多くは午後6時~8時という時間に設定されており、これに参加して
いったん事務所に戻り、それから帰宅すると9時を回ることも珍しくありません。
 今日は、静岡県弁護士会の永野海先生(日弁連災害復興支援委員会副委員長)を講師にお招きした、
 第1部 東日本大震災の裁判例にみる災害対策、災害対応と安全配慮義務の問題
 第2部 災害関連法と被災者支援の問題
 第3部 静岡県弁護士会の平時の災害対策の取組み-自治体との災害連携を中心に-
という3部構成の欲張った(?)研修会に参加していたため、やはり帰宅は9時を過ぎました。

 そのまま、食事をし、少しテレビでも見て、風呂に入って寝る分には何の問題もありませんが、私がそういう生活と縁を切ってから既に5年半以上が経過しています。何度も書いていますが、「メルマガ金原
」創刊号の発信が2011年3月28日、以来「毎日配信」を続けて現在に至る、という訳です。
 もっとも、今夏の参院選の間、公職選挙法の規定により、やむなくメルマガ配信を休んだ日がありましたが、その場合も、ブログでは「毎日更新」を続けており、事実上、連続配信記録継続中です。・・・と、自慢するほどのことでもなく、「毎日配信」に一体何の意味があるのか?と正面切って問われると答えに窮しますけどね。
 
 ただし、そんな時間に帰宅しながら、その時点で「何を書くか」が全然決まっていないこともしばしばで(実は今日がそうなのですが)、そういう時に頼るのが地上波TVドキュメンタリー紹介シリーズです。    
 12月4日(日)午後9時からのNHKスペシャ「深海の巨人~知られざる戦艦武蔵の最後~(仮)」にも少し心引かれますが、和歌山の人間としてはやはりこれでしょう。11月26日(土)午後11時から放映のETV特集「路地の声 父の声~中上健次を探して~」が見逃せません。
 
 私は、おそらく中上健次の良い読者ではないと思います。私の書庫に収まっている20冊余りの中上作品が、全て著者本人が生前刊行に消極的だった文庫本ばかりだから、というだけではなく、おそらく何度も読み返した本は1冊もないのですから(少なくとも長編は)。まあ、中上作品が「読んで楽しい」から何度でも読み返したくなるという人はそうはいないでしょうが。
 けれども、ごく稀れにではありますが、相当以前に読んだ中上作品のあやふやな記憶が蘇ってくることがあります。いつになるか分かりませんが、「紀州サーガ」を一から読み返そうという日が来るかもしれ
ません。そんなことを思いながら、ETV特集を視聴したいと思います。
 
NHK Eテレ
本放送 2016年11月26日(土)午後11時00分~12時00分
再放送 2016年12月3日(土)午前0時00分~1時00分(金曜深夜)
ETV特集「路地の声 父の声~中上健次を探して~」

「今年生誕70年を迎えた作家・中上健次。36年前の肉声が録音されたカセットテープが発見された。中上の故郷、和歌山県新宮市の「路地(被差別部落)」に住む5人の老婆達への聞き取りである。長女で作家の中上紀さんは、この夏、父が出会った老婆達の遺族を新宮に訪ねた。そして、作家の星野智幸さんや「日輪の翼」の公演を続けるやなぎみわさんと対談。中上健次が路地の聞き取りからどのように作品を生み出したのか探って行く。」

トランプ大統領が誕生しても安心できない「著作権保護期間70年への延長問題」~青空文庫の主張を読む

 今晩(2016年11月17日)配信した「メルマガ金原No.2633」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
トランプ大統領が誕生しても安心できない「著作権保護期間70年への延長問題」~青空文庫の主張を読む

 米国大統領選挙において、TPPからの脱退を明言するドナルド・トランプ氏が当選したことにより、同条約の発効の見通しが立たなくなったという観測が一般的であり、他の面における影響はともかく、とりあえずTPP発効を阻止するという一点からは、トランプ大統領誕生は歓迎できると思っている日本人も少なく
ないかもしれません。
 けれども、ことはそう単純ではないというのは、仮に米国が脱退して(批准せずでも同じことですが)条約が発効しないとしても、TPP合意の過程で、とりわけ米国に譲歩した個別の案件について、米国の新政権から履行を迫られる、あるいは、迫られずとも、日本政府が独自の思惑によって、TPP合意の線で「国内法整備」を行うという可能性は否定できないからです。
 
 その中で、私が一番懸念しているのは、著作権保護期間著作者の死後50年から70年への延長問題です。
 たしかに、世界的に見れば、著作権保護期間を日本と同じ50年に据え置いている国は多いのですが(ほとんどが著作権使用料の出入りに関しては赤字の国です~日本もそうです)、ことOECD加盟国に限定すると
圧倒的少数派となってしまいます。
 従って、TPP合意がなくても、かねてより著作権保護期間延長に対する「圧力」は内外からあったのであり、以下のニュースにあるとおり、文化庁などは勇んで国内法整備の方針を打ち出した(今年の「2月」
にですよ)ほどです。
 
知財情報局 発信:2016/02/25(木)
TPP合意対応、保護期間延長や非親告罪含む著作権制度見直し案まとまる

(引用開始)
 環太平洋経済連携協定(TPP)の合意に対応する国内の著作権制度の見直しについて、文化庁の文化審議会著作権分科会が2月24日に開催され、著作権保護期間の延長や非親告罪の導入を含む法制度の整
備についての方針が固まった。
 見直しのポイントは、(1)音楽・書籍の著作権保護期間を現行の著作者の死後50年から70年に延長、(2)著作権者の告訴がなくても警察が海賊版を取り締まれる「非親告罪」の導入、(3)著作権侵害民事訴訟
損害額の立証ができなくても、最低限の賠償金を請求できる「法定賠償」制度の導入、等となっている。
 これらのポイントのうち、非親告罪の導入については、「パロディー」など二次創作活動を委縮させる問題を避けるため、元の権利者の収益に影響を与えない二次創作や、漫画の一部を複製する行為などは除
外することが了承された。
 また、法定賠償制度の導入については、米国の損害額の3倍賠償制度などのような追加的賠償制度は導入せず、著作権管理事業者が定めた使用料の規定を目安とするなどで、米国のような乱訴は起こらないよ
う配慮された。
 政府は、この文化審議会の考え方に沿って、今国会で著作権法改正案を成立させ、2018年以降に予想さ
れている協定発効時期に施行する方針を固めている。
(引用終わり)
 
 ここで、「50年」と「70年」を比べてその利害得失を云々する能力は私にはありませんが、私個人は、著作者の死後「50年」とする現行著作権法のままで良いと思っています。・・・というだけでは説得力がないでしょうから、少し古いものですが(2013年6月)、著作権について造詣の深い福井健策弁護士による論考をご紹介するとともに、青空文庫が、文化庁著作権課からの求めに応じて提出し、2015年11月4日開催の文化審議会著作権分科会:法制・基本問題小委員会(第6回)で配布された資料の総論部分を、少し長くなりますが引用します。私個人としては、青空文庫のこの意見に大いに共鳴するのですが、皆さんはいかがでしょうか?
 
 
青空文庫
文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会(2015年11月4日(水))
審議用意見提出資料

(抜粋引用開始)
 青空文庫では、知的財産に関する今回のTPP協定の合意と今後の著作権法改正が、自分たちに対してのみならず、パブリック・ドメイン著作権保護期間の満了した公有財産としての作品)を共有していく新し
い文化のあり方にも、大きな影響を与えるのではないかと危惧しております。
 TPP大筋合意との報道に際して、先日当文庫のサイト上で公開した文章でも触れておりますが、青空文庫に関わるボランティアは、その多くが作家や作品のファンであり、また少なからぬメンバーが、自分たちの好きな本がいつまでも読み継がれ、世界じゅうで自由に分かち合われ、これから先も公有財産として大切にされてゆくことを強く願うだけでなく、共有された知や文化が社会に循環され、次の新しい創作物が
生まれて未来の文化が育まれてゆくことを心から祈って、日々の作業に取り組んでおります。
 著作権法ではその第一条に、権利を定めて保護を図る一方で、作品が広く公正に使われることにも意を払うこと、保護と利用、双方を支えとして文化の発展を目指すことが謳われています。だからこそ保護に期限を設け、社会の資産として広く活用されるよう願って、あるところで個人の手を離れるように定めて
います。
 この文化の共有を公的に保証するあり方は、インターネットを得てはじめて、実効性のある仕組みとして機能しはじめ、そして簡便な電子端末を得てようやく、その益を広く享受できはじめています。延長が現実のものとなれば、青空文庫含め、自分たちの文化を社会で共有していく試みが制約され、自由な文化
は確実に狭くなっていくでしょう。
 著作権の保護期間が満了するまで経済的価値を持つ作品はごく少数です。その数少ない作品の利益を守るために、そのほかの作品が社会で再発見され、再び人々に共有されることを妨げるのは、作品の公正な利用という側面からも問題があるものだと考えられます。多くの作品を長く社会や文化のなかで大事にしていくためには、保護と利用のバランスを考えても、そうした再発見や再活用の可能性をできるだけ大き
くしておくことが必要です。
 青空文庫はよく、文学作品が無料で読める、という形で言及されますが、同じ「フリー」でも、この一件は、単に「モノが無料で手に入るかどうか」ではなく、「文化が自由であるかどうか」の問題であると
考えております。
 当文庫はインターネット図書館というよりはむしろ、ボランティアや読者、さらに活用する人たちで作
る、ひとつの共有文化のようなものです。「自由」に「見てほしい」「読んでほしい」「残ってほしい」、そして「活用してほしい」と、ボランティアひとりひとりが思った作品を自ら電子化し、青空という共
有の棚へ並べてきました。
 また活用する側もこれに応じるように、自分から「こう読んでみたい」「こう届けてみたい」と考えて、自由なやり方でパブリック・ドメインを扱い、ネット上での朗読だけでなく、携帯端末のアプリや耐水
性の本、視障者向けの読書支援、用例検索サービス、または二次創作など様々なことをしてきました。
 つまり青空文庫を初めとするデジタル・アーカイヴで公開されるパブリック・ドメインは、ただ単に読まれるだけでなく、自由に朗読されたり、あるいは教育利用としてテキストやテスト問題等に活用された
り、視障者向けの音訳本や点字本・拡大本に活用されたり、海外にいて日本語コンテンツを手に入れづらいユーザーや研究者の益に供されたり、またビジネスでも新技術や新サービス等(お風呂で読める本やオーディオブック、オンデマンド本)が開発された際のPR用のコンテンツとして用いられたりすることがあ
るわけです。
 また、これまでにも朗読コンテストや漫画化コンテスト、表紙絵コンテストなどが、各種団体や企業で独自に実施されており、若いクリエイターが名作の肩を借りて競うことも行われています。もしこのまま進んでいけば、創作者たちがさらに多くの作品と自由に触れあうことで実力を伸ばし、より豊かな文化が
生まれていくことでしょう。
 さらに青空文庫などでパブリック・ドメインが電子化されれば、埋もれた作品に再び光を当てることに
もなります。作家の死後50年ましてや70年後まで、市場に流通する作品はごく稀です。しかしながら、作品が電子化されてインターネットで合法的に共有されることで、作品と出会いやすくなり、そこから再発見される作家は少なくありません。作家は何よりも自分の作品が読み継がれることを望み、そして芸術の愛好者たちも、自らの愛する作品がより広く愛されることを望んでおります。青空文庫を初めとする各種
デジタル・アーカイヴは、そうした希望の受け皿ともなっております。
 芥川龍之介の「後世」という短文でも、五十年百年ののち価値観が変われば、自分の作品が読まれなくなっているかもしれないが、それでも図書館の隅にあるのを誰かが見つけ、一行一文字でも読んで、何かしらの幻や蜃気楼などを思い浮かべてはくれないだろうか、と切なる願いを記し、後の世に自身の本が保存されて読まれる可能性がせめて残ることを希望しています。
 こうした願いを受け止める形で活動してきた結果、今では在外邦人や、日本に興味を持つ海外の方々にとっても大事な読書・研究リソースとなっており、国内のみならず海外も含めて、貴重な文化的財産を国際的に共有するという文化ができあがって参りました。こうしたデジタル・アーカイヴは、インターネットを介することで、海外での日本の理解や友好を深める役割もあるわけです。
 著作権保護期間の延長は、ごく一部の著作権者の利益を増やすことができる反面、パブリック・ドメインから広がるこうした豊かな活用や、作家やファンの願いを、確実に狭めてしまうものでもあります。そのような立場からすれば、影響はただ青空文庫のみならず、日本ひいては世界の文化へ大きな害を与える
ものとなるではないかと、たいへん憂慮しております。
 当文庫は、開設の際の趣意書「青空文庫の提案」にもあるように、「青空の本は、読む人にお金や資格を求めません。いつも空にいて、そこであなたの視線を待っています。誰も拒まない、穏やかでそれでいて豊かな本の数々を、私たちは青空文庫に集めたいと思うのです。」として、読者の範囲を制限せずに活動を続けて参りました。ゆえに人々が自由に読むとともに、自由に活用できていますし、そしてそこから
新しい文化が生まれ、それが基盤となって新しい経済活動も生まれてくるのだと思います。
 今ようやく芽生えてきたパブリック・ドメインによる豊かで多様な共有文化が損なわれないような、柔
軟な著作権のあり方を切に望みます。
(引用終わり)
 
※参考 青空文庫より
(全文引用開始)
 私は知己を百代の後に待たうとしてゐるものではない。
 公衆の批判は、常に正鵠を失しやすいものである。現在の公衆は元より云ふを待たない。歴史は既にペリクレス時代のアゼンスの市民や文芸復興期のフロレンスの市民でさへ、如何に理想の公衆とは縁が遠かつたかを教へてゐる。既に今日及び昨日の公衆にして斯かくの如くんば、明日の公衆の批判と雖も、亦推して知るべきものがありはしないだらうか。彼等が百代の後よく砂と金とを弁じ得るかどうか、私は遺憾ながら疑ひなきを得ないのである。
 よし又理想的な公衆があり得るにした所で、果して絶対美なるものが芸術の世界にあり得るであらうか。今日の私の眼は、唯今日の私の眼であつて、決して明日の私の眼ではない。と同時に又私の眼が、結局日本人の眼であつて、西洋人の眼でない事も確である。それならどうして私に、時と処とを超越した美の存在などが信じられやう。成程ダンテの地獄の火は、今も猶東方の豎子(じゆし)をして戦慄せしむるものがあるかも知れない。けれどもその火と我々との間には、十四世紀の伊太利なるものが雲霧の如くにたなびいてゐるではないか。
 況んや私は尋常の文人である。後代の批判にして誤らず、普遍の美にして存するとするも、書を名山に蔵する底の事は、私の為すべき限りではない。私が知己を百代の後に待つものでない事は、問ふまでもなく明かであらうと思ふ。
 時々私は廿年の後、或は五十年の後、或は更に百年の後、私の存在さへ知らない時代が来ると云ふ事を想像する。その時私の作品集は、堆うづだかい埃に埋もれて、神田あたりの古本屋の棚の隅に、空しく読者を待つてゐる事であらう。いや、事によつたらどこかの図書館に、たつた一冊残つた儘、無残な紙魚(しみ)の餌となつて、文字さへ読めないやうに破れ果てゝゐるかも知れない。しかし――
 私はしかしと思ふ。
 しかし誰かゞ偶然私の作品集を見つけ出して、その中の短い一篇を、或は其一篇の中の何行かを読むと云ふ事がないであらうか。更に虫の好い望みを云へば、その一篇なり何行かなりが、私の知らない未来の読者に、多少にもせよ美しい夢を見せるといふ事がないであらうか。
 私は知己を百代の後に待たうとしてゐるものではない。だから私はかう云ふ私の想像が、如何に私の信ずる所と矛盾してゐるかも承知してゐる。
 けれども私は猶想像する。落莫たる百代の後に当つて、私の作品集を手にすべき一人の読者のある事を。さうしてその読者の心の前へ、朧げなりとも浮び上る私の蜃気楼のある事を。
 私は私の愚を嗤笑(しせう)すべき賢達の士のあるのを心得てゐる。が、私自身と雖も、私の愚を笑ふ点にかけては、敢て人後に落ちやうとは思つてゐない。唯、私は私の愚を笑ひながら、しかもその愚に恋々たる私自身の意気地なさを憐れまずにはゐられないのである。或は私自身と共に意気地ない一般人間をも憐れまずにはゐられないのである。
(引用終わり)
 
 ここで、著作権保護期間延長問題と青空文庫について、分かりやすくまとめたサイトもご紹介しておきます。
 
 
 上の記事にも書かれているとおり、昭和40年(1965年)に亡くなった江戸川乱歩谷崎潤一郎の作品が今年(2016年)1月1日からパブリックドメインとなり、青空文庫に順次作品がアップされ始めています。
 
 
 
 あれもこれもと目移りしながら、お薦め作品を選ぼうかとも思いましたが、それでは皆さんの「探索の楽しみ」を奪うことになってしまうでしょうから止めておきます。

 江戸川乱歩谷崎潤一郎のようなビッグネームであれば、あと20年、著作権保護期間が延長されたとしても、もしかしたら、作品の入手に不自由はしないかもしれません。けれども、彼らほどの大家であっても、全集の片隅に埋もれ、読む者もほとんどない作品というのもあるでしょう。実際、芥川龍之介が『後世』という文章を書いていることなど、私は今日初めて知りました。
 著作物が公有(パブリックドメイン)になるということは、その著作物に新たな生命が吹き込まれるチャンスでもあるのです。そのことと、著作者の子孫の経済的利益とのバランス点として、ベルヌ条約が定める最低基準の「50年」というのは、絶妙な期間だと思うのですが。
 
 著作権保護期間の延長は、最近でこそ、TPPとの関連で話題になっていましたが、(他のTPP合意の各分野でもきっとそうなのでしょうが)TPP交渉のずっと前から、様々な議論が積み重ねられてきた問題でもあるのです。従って、TPPが発効するかどうかということはもちろん大問題ですが、個別案件についての注意も怠らないようにしなければと思います。

12/9映画『辺野古 圧殺の海 第2章』(藤本幸久・影山あさ子共同監督)上映@和歌山市(メディア・アート・ホール)

 今晩(2016年11月16日)配信した「メルマガ金原No.2632」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
12/9映画『辺野古 圧殺の海 第2章』(藤本幸久・影山あさ子共同監督)上映@和歌山市(メディア・アート・ホール)

 今日、和歌山県平和フォーラムの藤原慎一郎さんが、私の事務所まで、以下にご紹介する映画『辺野古 圧殺の海 第2章』(藤本幸久・影山あさ子共同監督)上映会のチラシを届けてくださいました。
 藤原さんの説明によれば、この企画は、12月10日(土)に東京・日比谷野外音楽堂で開催される「最高裁地方自治の破壊を許さず、民意によりそう判決を!辺野古新基地建設を許さない!12.10東京集会」(主催:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会ほか)に呼応して開催する企画ということでした(注:フォーラム平和・人権・環境からの「要請書」参照)。
 ただ、12月10日(土)は適当な会場が空いておらず、9日(金)夜に開催することになったとか。
 
 現在、沖縄県では高江でのヘリパッド建設工事を阻止しようとする住民に対する弾圧が続いていますが、工事自体は訴訟の結論待ちということで一時的に止まっている辺野古についても、年度内にも最高裁が判決を出すのではと言われており、12月10日の統一行動(全国アクション)は、「高裁判決を覆し、民主主義と地方自治を取り戻す」(前記「フォーラム平和・人権・環境要請書)ために取り組まれるものです。
 
 上映会の詳細については、以下のチラシをお読みいただくとして、若干の補足説明をしておきます。
 
〇17時45分開会ですが、最初は「最高裁地方自治の破壊を許さず、民意によりそう判決を!辺野古新基地建設を許さない!12・9和歌山集会」の主催者挨拶や各団体決意表明などがあるため、実際に映画上映が始まるのは間違いなく18時を回るそうです。
〇藤原さんによると、今回の企画は、森の映画社から上映権付DVDを購入して上映するのだそうです。「今後、この作品を上映したいという場合には、遠慮なく和歌山県平和フォーラムまでご連絡ください。」ということでした。著作者から上映権を付与された和歌山県平和フォーラムが主催者に名前を連ねていれば、今後の上映も問題ないでしょう(というのは私見です)。
 実は、12月9日、私は終日大阪出張で、大急ぎで和歌山まで帰っても、映画は終わりの方しか観られないと思いますので、どこかの団体が和歌山県平和フォーラムとの共催で第2弾の上映会をやってくれると嬉しいのですが。
 
チラシから引用開始)
-チラシ表面-
辺野古 圧殺の海 第2章
 
2014年7月1日の辺野古新基地建設の着工から、
翁長知事誕生までを描いた「圧殺の海」。
その後、沖縄・辺野古では何が起きていたのか。
翁長知事は、沖縄県民は、どうたたかって来たのか。
この映画は、翁長知事誕生からの激動の18ヶ月、
その抵抗の記録である。
 
辺野古 圧殺の海 第2章
2016年/107分/カラー/森の映画社
共同監督:藤本幸久/影山あさ子
撮影:栗原良介/小田切瑞穂/酒村多緒/藤本幸久/影山あさ子/川村拓希
編集:栗原良介
ナレーター:影山あさ子
歌:「人間をかえせ」きむきがん(ありらん食道)
題字:金城武
配給:影山事務所
 
上映日:2016年12月9日(金)17:45(開場17:30)
会場:和歌山県図書館2階「メディア・アート・ホール」
     (和歌山市西高松1-7-38)
主催:「最高裁地方自治の破壊を許さず、民意によりそう判決を!辺野古新基地建設を許さない!12・9和歌山集会」
 和歌山県平和フォーラム、部落解放同盟和歌山県連合会、戦争をさせない和歌山委員会
お問合せ:和歌山県平和フォーラム TEL:073-425-4180
 
-チラシ裏面-
 
2014年11月16日、沖縄県知事選挙。10万票差で仲井眞前知事を破り、「辺野古に新基地はつくらせない」を公約とする翁長知事が誕生した。しかし、日本政府は、前知事が承認したのだから「粛々とすすめる」と工事を再開する。
 県民は、キャンプシュワブのゲート前に座り込み、道路に寝そべり、車の下に入り込み、工事用資材と車両の搬入を止め始めた。海では、フロートを乗り越え、コンクリートブロックの投入を止めようとした。
 県民の民意を反映した直接行動を前に、安倍政権は、警察権力で圧倒しようとする。船を転覆させ、死者を出しかねない暴力を振るう。
 県民たちは、しかし、毎日、ゲート前に座り、海に出続けた。名護警察署を取り囲み、抗議し、逮捕された仲間を取り返してきた。暴力を振るい続ける海保を海には出さないと、海保の車両をゲート前で止め続けた。工事は政府の思うように進まず、ボーリング調査の予定はどんどん延びてゆく。
 そして台風の季節。
 2015年8月、安保法案に反対する市民が国会前に連日押しかけるようになると、政府は沖縄県に、1ヶ月工事を中断しての集中協議を持ちかける。そして安保法案が通ると、また工事を再開した。
 2015年10月、翁長知事は遂に公有水面の埋め立て承認を取り消す。しかし安倍政権は、工事を中止するどころか、直ちに、国土交通省行政不服審査を請求、知事の承認取り消しを執行停止とした。同時に、埋め立て承認取り消しの権限を知事から取り上げようと代執行訴訟を提訴する。
 知事の権限をないがしろにし、国が工事を強行するなら、自分たちが工事を止める。
 県民たちは、キャンプシュワブゲート前に駆けつける。
 毎週水曜日、と提起された早朝行動は、500人、700人、1000人と人数を増し、さらに木曜行動へ広がってゆく。沖縄県警だけでは押さえられないと、安倍政権は警視庁機動隊を導入。県民も、体にペンキを被って座り込む。コンクリートブロックを並べるなど、知恵をしぼって抵抗を続ける。工事用車両がゲートを通れない時間が増えてゆく。県民たちは、米軍車両も止め始める。
 2016年3月4日、突然、国は代執行訴訟の和解受け入れを発表した。
 「新基地建設を阻止するためにあらゆる権限を行使する」という知事の姿勢、海でもゲート前でも弾圧を恐れない県民の日々のたたかいが、国に和解を受け入れさせた。
 「和解」は、1)国は工事を中断する、2)協議をする、3)裁判手続きを地方自治法に基づいてやり直す、の3点を内容とするが、新たな裁判の判決で沖縄県の手足を縛り、工事を再開しようとする国の思惑が見え隠れしている。
 
 今、工事は止まっている。しかし、中止されたわけではない。それゆえ、現場での抵抗も、止まることなく、続いている。
 
 裁判の和解とともに新たな段階に入った辺野古。圧殺の海 第2章「辺野古」は、翁長知事誕生からの激動の18ヶ月、その抵抗の記録である。
                          (藤本幸久、影山あさ子)
 
企画・製作・著作:森の映画社 http://america-banzai.blogspot.jp/
配給 影山事務所:TEL/FAX:011-206-4570 marinesgohome@gmail.com
チラシ製作協力:スペース・オルタ
(引用終わり) 
 
(参考動画)
【映画 予告編】『圧殺の海 第2章「辺野古」』(1分08秒)
 
 
 

若手弁護士に贈る“自民党改憲案”学習会を1日で準備するための資料

 今晩(2016年11月15日)配信した「メルマガ金原No.2631」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
若手弁護士に贈る“自民党改憲案”学習会を1日で準備するための資料

 先日、さる団体から自民党改憲案を考える学習会の講師を依頼された和歌山の若手弁護士から、参考になるレジュメや資料があったら教えて欲しいと要請されました。
 そこで、いささか安直のそしりはまぬがれませんが、今年の6月以降に私のメルマガ(ブログ)に掲載した学習会・講演会のレジュメ(私のものが2つ、由良登信弁護士のものが1つ)と、今や古典的動画(?)と言っても過言ではない伊藤真弁護士の語り下ろしビデオ『憲法ってなあに?』(2013年4月収録、翌14年4月YouTubeにアップ)を紹介するメールを送りました。
 その若手弁護士からは、すぐに「早速ありがとうございます!とてもとても助かります。(略)しっかり資料を読み込んで&視聴して、あさって頑張ってきます!」というお礼の返信がありましたが、その結果についてはまだ聞いていません。
 第一、2日前に入手した資料を読み込んで(読み込む時間は何とか作れるということでしたが)間に合うのか?という疑問を持たれる方もおられるでしょうが、もともと彼は、和歌山弁護士会に入会して間もない新人の頃、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」にもすぐに入会し、シンガーソングライターの横井久美子さんコンサートを提案して実現したり、3.11後、高校の先輩であるフォトジャーナリスト・広河隆一さんの写真展&講演会を企画して開催にこぎ着けるなどの実績があり、また、障害者の人権保障を活動の中心に位置付けて素晴らしい判決などを勝ち取っていますので、少し参考資料に目を通せば、自民党改憲案のどこが問題か、聴衆に説得力豊かに講演してくれたものと想像されます。
 
 ということで、私自身、短時間で書き上げられるメルマガ(ブログ)の素材がどうしても必要な事情があり(ということは昨日書きました)、「そうだ、〇〇さんに送ったメールをそのまま転載しよう」と思いついた次第です。
 〇〇さんだけではなく、初めて自民党改憲案を考える学習会の講師を頼まれた若手弁護士が、丸一日準備にあてる時間を確保して以下のレジュメを読んだり動画を視聴すれば、何とか講師が務まるだろうというつもりで読んでいただければと思います。

 なお、今回、メルマガ(ブログ)に掲載するにあたり、若干の補訂を施しましたし、さらに、由良登信(ゆら・たかのぶ)弁護士の本年7月31日の講演用レジュメは、緊急事態条項に関する部分が別刷りになっていましたので、統合した最新版のレジュメを送って欲しいと由良弁護士にお願いしたところ、来る11月19日に地元の御坊市で行う講演用のレジュメを送っていただきました。そこで、そのレジュメPDFファイルも追加でご紹介することにしました。
 

〇 〇 〇 〇 先生

 金原です。
 自民党改憲案の問題点を批判する学習会のために参考となる資料をみつくろってみました。
 この種の学習会といえば、由良先生が数え切れないほどやっていて、私がぼちぼちやっているというところです。
 ただ、あまり以前のものは参考にならないと思うので、今年の6月以降に行われた3つの学習会資料をご紹介します。
 私のレジュメが2つ、由良先生のレジュメが1つです(注:由良弁護士のレジュメを1つ追加しました)。

2016年6月15日 金原徹雄
自民党改憲草案を斬る~いま主権者がなすべきこと~」
(主催 憲法を守りくらしに活かす田辺・西牟婁会議)
レジュメ掲載サイト

レジュメPDFファイル
 
2016年7月31日 由良登信
自民党憲法改正草案」を斬る!」
(主催 憲法9条を守る和歌山市共同センター)
レジュメ掲載サイト
レジュメPDFファイル
 その1 
 その2 
 ※「その2」は緊急事態条項について
講演動画(YouTube


2016年10月22日 金原徹雄
参院選後の改憲の動きと私たちの課題」
(主催 憲法を生かす会 和歌山)
レジュメ掲載サイト
レジュメPDFファイル
講演動画(YouTube

※この講演では、緊急事態条項に主眼を置いたので、それ以外は手薄です。従って、その辺は6月15日のレジュメを参考にしてください。

2016年11月19日 由良登信
自民党憲法改正草案」を斬る!」
(主催 憲法9条を守り・いかす日高連絡会)
レジュメPDFファイル
 
 それから、伊藤真弁護士が、そもそも憲法とは何のためにあるのか?自民党改憲案のどこが問題か?を、2013年4月に語り下ろしたDVD「憲法ってなあに?憲法改正ってどういうこと?」が、1年後の2014年4月に、憲法ってなあに?」というタイトルでインターネット(YouTube)で公開されています。(55分)
 
 なお、DVD(500円)やテキスト(文字起こし)・パワポ資料(100円)も、引き続き「ワーカーズ・フォー・ピース」によって販売中です。
 注文は、インターネットのフォームから受け付けています。
 
 明後日の講演、頑張ってください。