wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

「自由なラジオ LIGHT UP!」最新アーカイブを聴く(042~045)~YouTubeトラブルは解決していないけれど

 今晩(2017年2月9日)配信した「メルマガ金原No.2718」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「自由なラジオ LIGHT UP!」最新アーカイブを聴く(042~045)~YouTubeトラブルは解決していないけれど

 「ラジオフォーラム」の事実上の後継番組として、昨年の4月からスタートした「自由なラジオ LIGHT 
UP!」のアーカイブYouTubeポッドキャストPODCAST)の両方で聴取することができるということで、これまでアーカイが3~4回分たまったところでご紹介してきました。
 ところが、今年に入って、「YouTubeアーカイブが開けない!」というトラブル発生。やがて、「jiyunaradio funclu」という新アカウントで順次古い番組も再アップされましたので、私も、過去のメルマガ(ブログ)で配信した紹介記事を、YouTubeへのリンクをやり直した上
で、順次再配信し始めたのです。
 しかし、何ということか、またしても、この再アップされたアーカイブを聴くためにYouTubeを開けようとしても、真っ黒な画面に「この動画は再生できません。申し訳ありません。」という無情な文字が出て
くるだけになってしまいました。
 そのうち、また復旧するかと思ってチェックしているのですが、「第39回 選挙戦から撤退した前新潟県知事の英断 原子力ムラの圧力と地元新聞社の『総合的判断』とは?」以降のアーカイブだけは何とかYouTubeで聴けますが、第1回~第38回のアーカイブを視聴しようとすれば、ポッドキャストPODCAST)で聴くしかないようです。iTunesをダウンロードした上で「関連付け」などの作業を行えば、無料でアーカイブを聴くことができますが、若い人には何でもなくても、そういう作業は苦手という人もいるだろ
うなあ。
 ということで、YouTubeで全てのアーカイブを再び聴けるようになることを願いつつ、とりあえず今日は、未紹介の第42回~第45回の4本をご紹介します。
 

「ヒップホップグループのMCという異色の経歴をもつ松戸市議会議員のDELIさんに、3.11以降、政
治そして音楽にかけた思いをたっぷりと伺いました。
 メジャーレーベルからCDデビューもしているDELIさんですが、東日本大震災福島第一原発が爆
発してから、意識がどんどんと変わっていったといいます。きっかけとなったのは、地元千葉県松戸市に、南相馬の人たちが避難してきたこと。その中にDJ仲間の親御さんもいて、その仲間の誘いで原発5キロ圏内近くまで、ガイガーカウンターをもって放射線量を測りに行ったことがありました。その結果、場所によっては、南相馬より地元松戸の方が線量が高い場所もあることを知ったといいます。他人事ではない、自分たちの問題なんだと気づかされたのだといいます。
 まずは、被ばく被害を真っ先に受ける子どもたちを守らなければならないと、SNSなどを駆使して仲
間を募り、札幌など安全な場所に子どもたちを逃がす運動「オペレーション・コドモタチ」を立ち上げます。
 これが原点となって、ひとりのミュージシャンが世の中を変えようと動きはじめます。松戸市議会議員へも「脱被ばく、脱カスタマー」だけをスローガンに出馬し、見事当選。脱カスタマーとは、他人事でいるな、ヒーローは待っていても来ない、ひとりひとりが主人公にならなければならないというお考えだそうです。「ミュージシャンだからとか、わかってないとか馬鹿にするならすればいいけど、俺の考えに投票して当選させた人たちがいる。それを馬鹿にするな!」という主張は、民主主義の的を射ているといえ
ますね。拍手です。
 そして、今、松戸市議会議員として精力的に活動しながら、「プラネット・ロック」という政治団体を立ち上げて、さらに人々の「無関心」と闘っておられます。「俺みたいなのが立ち上がらなければならない世の中なんだなと思って、気が付いてくれればいい」と自虐的に表現されていましたが、強面のヒップ
ホッパーの心は、熱く、限りなく愛に満ちていました。どうぞお聞き逃しなく!!
DELIさん公式ホームページ
 
http://www.planetrock.jp/
■LIGHT?UPジャーナル:廃炉が決まった「もんじゅ」と高速炉の行方
「今回は大阪のスタジオから、新聞うずみ火の矢野宏が、京都大学原子炉実験所研究員の今中哲二さんに廃炉が決まった「もんじゅ」と、さらに研究が進むという高速炉の行方について伺いました。こちらもたいへんわかりやすい解説です。どうぞお楽しみに!」
 

「2015年9月19日の安保法制強行採決から早1年4ヶ月。当時、抗議行動の波は全国各地に広がり、学生団体
SEALDs(シールズ)などが一躍注目を集めました。そんな反対行動の中心になった団体のひとつに、子どもを持つお母さんたちの会がいたことをご存知でしょうか?安保関連法に反対するママの会(通称ママの会)。今回は、この会の発起人である西郷南海子さんをゲストに迎え、ママたちが安保法反対に立ち上がった理由、経緯から、今後、市民が政治を変えるためにはどのような方法が適切だと考えるかなどについ
て、ジャーナリストの西谷文和がインタビューします。
※お知らせ:西郷南海子さんと絵本作家浜田桂子さんの共著「だれのこどももころさせない」が3月に刊行
されます。是非、チェックしてみて下さい。」
LIGHT?UPジャーナル:小出裕章さん電話インタビューat LOFT9 Shibuya
「昨年末12月29日に東京渋谷の「LOFT9 Shibuya」で、当番組のイベントが開催されました(市民のための自由なラジオ“Light Up!”大忘年会)。今回の「Light-Upジャーナル」は、会場から小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所)に電話インタビューを行った模様をお届けします。舞台上の進行は、今西憲之。出演はパーソナリティの木内みどり、おしどりマコ・ケン、ゲストは、山本太郎参議院議員、映画監督で弁護士の河合弘之さん、元東京電力社員の蓮池透さんでした。」
ニュースの歩き方:西谷文和・12月のイラク取材報告
「昨年12月、入国拒否によりイラク取材を断念した西谷文和が改めて入国に成功。IS掃討作戦が展開され
たモスルの街を取材しました。現地は名目上ISからの奪還はすでに成功し解放されていますが、街はゴーストタウンのまま。未だに住民の帰還は叶っていません。なぜ帰れないのか。モスルの現状について解説
します。」
※金原注 「イラクの子どもを救う会」ブログに掲載された昨年12月25日付の西谷文和さんのレポー
「前線へ」を是非お読みください。
 

「1995年7月22日、大阪市東住吉区の住宅の建物に組み込まれたシャッター付き駐車場で火災が発生。住人
である内縁の夫、母親、長男は脱出して助かるも、駐車場に隣接する浴室で入浴中だった長女が焼死しま
した。
 母親と内縁の夫が死亡した長女に1500万円の生命保険をかけていたことなどから、警察はこれを保険金詐取目的の殺人との疑いを持ち逮捕。取り調べの末に自供を得たとして起訴。最高裁まで争うも、内縁の夫と母親には無期懲役という判決が下りました。しかしこれは、取調べの際に拷問による自白の強要があったとして、二人は無罪を主張。多くの支援者にも支えられて、昨年再審が認められ仮釈放。そして昨年8
月10日に無罪を勝ち取りました。
 今回は、この「東住吉放火冤罪事件」の被害者のひとりである青木惠子さんをゲストに迎え、なぜこの事件が起こったのか?再審無罪までの道のりはどのようなものだったのか? 問題の警察取調べとは実際
にどのようなものだったのか?などについて今西憲之が聞きます。」
■Light-Upジャーナル:「柏崎刈羽原発 新潟知事、東電に表明」について
「昨年12月には、泉田裕彦新潟県知事をゲストにお招きしたばかりですが、今回も引き続き、東京電力柏崎刈羽原発に関連した話題をお届けします。1月5日、新潟県米山隆一知事は、県庁で東京電力のトップと面会し、福島第一原発事故の原因究明など県独自の検証を最優先する考えを伝えました。今回はこの「柏崎刈羽原発再稼働より3つの検証」を巡って、小出裕章さんが解説します。」
 

「今回のお客様は、インドネシアパプア州で株式会社オルター・トレード・ジャパンの現地駐在員とし
てお仕事をされている津留歴子さんです。世界で2番目に大きな島、赤道直下にあるニューギニア島。その西半分が、インドネシア領パプアです。日本とほぼ同じ面積ですが、人口約400万人といますから人口密度はとても低い、自然豊かなところです。
 1885年にニューギニア島は、オランダ、ドイツ、イギリス領に分割され、西側がオランダ領となったのですが、戦時中は日本が占領していた歴史もあるところ。その後1969年にインドネシアに併合されました。
そこに住む先住民の血を引くパプアの人たちは、まつ毛が長く褐色の肌、ちりぢりの髪と、とても特徴的です。「パプア」はマレー語で「縮れ毛」を意味する「プア・プア」から来ているといいます。そんなパプアに昨年、パーソナリティ・木内みどりが訪れたときに出会ったのが津留歴子さんです。自然への畏敬の念を忘れず、現地に生きる人々の日々の営みを大切にしながら、カカオ農園などでの生産活動を後押しする活動をされています。
 手つかずの自然も多く残るこの島は、農作物の宝庫。放っておいてもどんどん育つという環境の中で、人々は欲にまみれることもなく、素朴で穏やかな心をつないで暮らしています。都留さんは、現地の人々との交流の中で、良質なチョコレートの原料となるパプアのカカオを、日本をはじめとする世界に紹介しています。アメリカのボストンで暮らし、グリーンカードまでもっていた津留さんが、なぜ保証された将
来を捨てて現地NGOに加わったのか?
 そこまで津留さんを魅きつけたものとは?高度に成長したとされる先進国の文明の中に生きる私たちが、もはや望んでも手に入らない本当の「豊かさ」がそこにはあるといいます。番組で紹介したチョコレー
ト「パラダイス・パプア」を口にすれば、その素朴な味が、あなたに何かを伝えてくれることでしょう。
 http://altertrade.jp/cacao
LIGHT-UPジャーナル:私たちはどんな心構えで「情報」と向き合うべきか
落合恵子さんにお電話をおつなぎします。今回のテーマは、落合さんはどうやって情報をとっているのか?です。ご自宅では新聞2紙をとり、外出先ではその他の新聞もチェックするという落合さん。情報があふれる今、私たちはどんな心構えで情報と向き合うべきなのでしょう?資本と報道が深いつながりがある日本のメディアだからこそ、流されてはいけない。騙されてはいけない。自分自身でしっかりと社会を見つめなければ。そんなことを改めて考えさせられるインタビューとなりました。」
 

(付録)
『スナメリ泳ぐ海』 作詞・作曲:笠松美奈 
演奏:なつおmeets南風
 
※2015年9月23日ライブ@ララ・ロカレ
※参考ブログ「『スナメリ泳ぐ海』から世界を見たら」(弁護士・金原徹雄のブログ)

 

「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」(2017年2月1日)を読む

 今晩(2017年2月8日)配信した「メルマガ金原No.2717」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」(2017年2月1日)を読む

 3日連続の共謀罪シリーズ第3回は、去る2月1日に発表された刑事法研究者による反対声明です。
 「刑事法研究者有志による声明といえば、最近何か読んだ記憶があるな」という方もきっとおられるでしょう。昨年12月28日に発表された「山城博治氏の釈放を求める刑事法研究者の緊急声明」であり、私のブログ(巻末参照)でもご紹介しました。
 上記緊急声明の呼びかけ人・賛同人は、本年1月18日現在で64人。これに対し、2月1日に発表された「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」の呼びかけ人・賛同者は、昨日(2月7日)現在、149名に達しています。
 数が多ければ偉いというものでもありませんが、憲法研究者にとっての安保法案と同様、刑事法研究者にとっての共謀罪法案が、自らが人生をかけて取り組んでいる研究対象の基本原理を踏みにじろうとしていることが許せない、ここは立ち上がる時だ、という認識を多くの研究者が共有している証ではないかと思われます。
 そのことを示すため、呼びかけ人の1人である高山可奈子京都大学教授のブログを引用します。
 
2017年2月 1日 (水)
共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明

(引用開始)
 
本日、呼びかけ人7名と賛同者130名の計137名で、
  共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明
を公表いたしました。
 大きく次の5点の理由で反対しています。
 
1.テロ対策立法はすでに完結しています。
2.国連国際組織犯罪防止条約の締結に、このような立法は不要です。
3.極めて広い範囲にわたって捜査権限が濫用されるおそれがあります。
4.日本.日本は組織犯罪も含めた犯罪情勢を改善してきており、治安の悪い国のまねをする必要はありません。
5.武力行使をせずに、交渉によって平和的に物事を解決していく姿勢を示すことが、有効なテロ対策です。
 
 全文もそれほど長くありませんので、よろしければご覧ください。
 
PDFファイルはこちらです。
 
 このために日夜時間を割いてくださった呼びかけ人の先生方(全員、日本刑法学会の現役理事です)、短い時間にご協力くださいました賛同者のみなさまに心より御礼申し上げます。
 刑事法研究者の賛同をなお募集中です。
 
 故・平野龍一先生が私の年齢だったら、やはり反対なさっていただろうと信じます。
 
 今回、刑事法研究者以外の方にはご参加いただいていませんが、一般市民の方々にもご参加いただける次のようなアクションが始められています。
法律家・労働団体などが1万9500筆を超える反対署名を提出
共謀罪法案提出に反対するハガキアクション
(「安全保障関連法に反対する学者の会」や市民連合のプラカードを作成された和田裕一氏の行動提起です)
(引用終わり)
 
 故・平野龍一先生(1920~2004)のお名前が出てくるので、東大出身かなと思って調べたところ、そのとおりでした。けれど、平野先生が東大を定年退官された1985年、高山さんはまだ高校生だったようですが。 
 それでは、以下に声明全文を引用します。
 反対の論拠が分かりやすく整理されており、中でも、「捜査法」の分野への致命的な悪影響を指摘した3項がとりわけ重要ではないかと思います。
もっとも、この声明に対しても、自説に固執して批判する者もあるようですが、今はそんな時ではないでしょうに。
 
(引用開始)
共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明
 
2017年2月1日
 
 政府は、これまでに何度も廃案となっている共謀罪を、「テロ等準備罪」の呼び名のもとに新設する法案を国会に提出する予定であると報道されています。しかし、この立法は以下に述べるように、犯罪対策にとって不要であるばかりでなく、市民生活の重大な制約をもたらします。
 
1. テロ対策立法はすでに完結しています。
 テロ対策の国際的枠組みとして、「爆弾テロ防止条約」や「テロ資金供与防止条約」を始めとする5つの国連条約、および、その他8つの国際条約が採択されています。日本は2001年9月11日の同時多発テロ後に採択された条約への対応も含め、早期に国内立法を行って、これらをすべて締結しています。
 
2. 国連国際組織犯罪防止条約の締結に、このような立法は不要です。
 2000年に採択された国連国際組織犯罪防止条約は、国際的な組織犯罪への対策を目的とし、組織的な犯罪集団に参加する「参加罪」か、4年以上の自由刑を法定刑に含む犯罪の「共謀罪」のいずれかの処罰を締約国に義務づけているとされます。しかし、条約は、形式的にこの法定刑に該当するすべての罪の共謀罪の処罰を求めるものではありません。本条約についての国連の「立法ガイド」第51項は、もともと共謀罪や参加罪の概念を持っていなかった国が、それらを導入せずに、組織犯罪集団に対して有効な措置を講ずることも条約上認められるとしています。
 政府は、同条約の締約国の中で、形式的な基準をそのまま適用する共謀罪立法を行った国として、ノルウェーブルガリアを挙げています。しかし、これらの国は従来、予備行為の処罰を大幅に制限していたり、捜査・訴追権限の濫用を防止する各種の制度を充実させたりするなど、その立法の背景は日本とは相当に異なっています。ほとんどすべての締約国はこのような立法を行わず、条約の目的に沿った形で、自国の法制度に適合する法改正をしています。国内法で共謀罪を処罰してきた米国でさえ、共謀罪の処罰範囲を制限する留保を付した上で条約に参加しているのです。このような留保は、国会で留保なしに条約を承認した後でも可能です。
 日本の法制度は、もともと「予備罪」や「準備罪」を極めて広く処罰してきた点に、他国とは異なる特徴があります。上記のテロ対策で一連の立法が実現したほか、従来から、刑法上の殺人予備罪・放火予備罪・内乱予備陰謀罪・凶器準備集合罪などのほか、爆発物取締罰則破壊活動防止法などの特別法による予備罪・陰謀罪・教唆罪・せん動罪の処罰が広く法定されており、それらの数は70以上にも及びます。
 一方、今般検討されている法案で「共謀罪」が新設される予定の犯罪の中には、大麻栽培罪など、テロとは関係のない内容のものが多数あります。そもそも、本条約はテロ対策のために採択されたものではなく、「共謀罪」の基準もテロとは全く関連づけられていません。本条約は、国境を越える経済犯罪への対処を主眼とし、「組織的な犯罪集団」の定義においても「直接又は間接に金銭的利益その他の物質的利益を得る」目的を要件としています。
 
3. 極めて広い範囲にわたって捜査権限が濫用されるおそれがあります。
 政府は、現在検討している法案で、(1)適用対象の「組織的犯罪集団」を4年以上の自由刑にあたる罪の実行を目的とする団体とするとともに、共謀罪の処罰に(2)具体的・現実的な「合意」と(3)「準備行為」の実行を要件とすることで、範囲を限定すると主張しています。しかし、(1)「目的」を客観的に認定しようとすれば、結局、集団で対象犯罪を行おうとしているか、また、これまで行ってきたかというところから導かざるをえなくなり、さしたる限定の意味がなく、(2)概括的・黙示的・順次的な「合意」が排除されておらず、(3)「準備行為」の範囲も無限定です。
 また、「共謀罪」の新設は、共謀の疑いを理由とする早期からの捜査を可能にします。およそ犯罪とは考えられない行為までが捜査の対象とされ、人が集まって話しているだけで容疑者とされてしまうかもしれません。大分県警別府署違法盗撮事件のような、警察による捜査権限の行使の現状を見ると、共謀罪の新設による捜査権限の前倒しは、捜査の公正性に対するさらに強い懸念を生みます。これまで基本的に許されないと解されてきた、犯罪の実行に着手する前の逮捕・勾留、捜索・差押えなどの強制捜査が可能になるためです。とりわけ、通信傍受(盗聴)の対象犯罪が大幅に拡大された現在、共謀罪が新設されれば、両者が相まって、電子メールも含めた市民の日常的な通信がたやすく傍受されかねません。将来的に、共謀罪の摘発の必要性を名目とする会話盗聴や身分秘匿捜査官の投入といった、歯止めのない捜査権限の拡大につながるおそれもあります。実行前の準備行為を犯罪化することには、捜査法の観点からも極めて慎重でなければなりません。
 
4. 日本は組織犯罪も含めた犯罪情勢を改善してきており、治安の悪い国のまねをする必要はありません。
 公式統計によれば、組織犯罪を含む日本の過去15年間の犯罪情勢は大きく改善されています。日本は依然として世界で最も治安の良い国の1つであり、膨大な数の共謀罪を創設しなければならないような状況にはありません。今後犯罪情勢が変化するかもしれませんが、具体的な事実をふまえなければ、どのような対応が有効かつ適切なのかも吟味できないはずです。具体的な必要性もないのに、条約締結を口実として非常に多くの犯罪類型を一気に増やすべきではありません。
 そればかりでなく、広範囲にわたる「共謀罪」の新設は、内心や思想ではなく行為を処罰するとする行為主義、現実的結果を発生させた既遂の処罰が原則であって既遂に至らない未遂・予備の処罰は例外であること、処罰が真に必要な場合に市民の自由を過度に脅かさない範囲でのみ処罰が許されることなどの、日本の刑事司法と刑法理論の伝統を破壊してしまうものです。
 
5. 武力行使をせずに、交渉によって平和的に物事を解決していく姿勢を示すことが、有効なテロ対策です。
 イスラム国などの過激派組織は、米国と共に武力を行使する国を敵とみなします。すでに、バングラデシュでは日本人農業家暗殺事件と、日本人をも被害者とする飲食店のテロ事件がありました。シリアではジャーナリストの拘束がありました。安保法制を廃止し、武力行使をしない国であると内外に示すことこそが、安全につながる方策です。
 
 こうした多くの問題にかんがみ、私たちは、「テロ等準備罪」処罰を名目とする今般の法案の提出に反対します。
 
呼びかけ人(五十音順)
葛野尋之一橋大学教授)
高山佳奈子京都大学教授)
田淵浩二(九州大学教授)
本庄武(一橋大学教授)
松宮孝明立命館大学教授)
三島聡(大阪市立大学教授)
水谷規男(大阪大学教授)
 
賛同者
赤池一将(龍谷大学教授)、浅田和茂(立命館大学教授)、足立昌勝(関東学院大学名誉教授)、安達光治(立命館大学教授)、雨宮敬博(宮崎産業経営大学准教授)、荒川雅行(関西学院大学教授)、荒木伸怡(立教大学名誉教授)、生田勝義(立命館大学名誉教授)、石川友佳子(福岡大学准教授)、石田倫識(愛知学院大学准教授)、石塚伸一龍谷大学教授)、石松竹雄(大阪弁護士会)、一原亜貴子(岡山大学准教授)、伊藤睦(三重大学教授)、稲田朗子(高知大学准教授)、稲田隆司(新潟大学教授)、指宿信(成城大学教授)、上田寛(立命館大学名誉教授)、上田信太郎(北海道大学教授)、上野達彦(三重大学名誉教授)、内山真由美(佐賀大学准教授)、内山安夫(東海大学教授)、梅田豊愛知学院大学教授)、大貝葵(金沢大学准教授)、大久保哲(宮崎産業経営大学教授)、大出良知(東京経済大学教授)、大場史朗(大阪経済法科大学准教授)、大薮志保子(久留米大学准教授)、岡田行雄(熊本大学教授)、岡本洋一(熊本大学准教授)、小田中聰樹(東北大学名誉教授)、海渡雄一第二東京弁護士会)、香川達夫(学習院大学名誉教授)、春日勉(神戸学院大学教授)、門田(秋野)成人(広島大学教授)、金澤文雄(広島大学名誉教授・岡山商科大学名誉教授)、金澤真理(大阪市立大学教授)、神山敏雄(岡山大学名誉教授)、嘉門優(立命館大学教授)、川崎英明(関西学院大学教授)、川口浩一(関西大学教授)、神例康博(岡山大学教授)、木谷明(元裁判官、元法政大学法科大学院教授、第二東京弁護士会)、北野通世(福岡大学教授・山形大学名誉教授)、金尚均龍谷大学教授)、楠本孝(三重短期大学教授)、公文孝佳(神奈川大学准教授)、黒川亨子(宇都宮大学専任講師)、小浦美保(岡山大学准教授)、古川原明子(龍谷大学准教授)、後藤昭(青山学院大学教授)、小山雅亀(西南学院大学教授)、斎藤司(龍谷大学教授)、斉藤豊治(甲南大学名誉教授、大阪弁護士会)、坂本学史(神戸学院大学准教授)、佐川友佳子(香川大学准教授)、櫻庭総(山口大学准教授)、佐々木光明(神戸学院大学教授)、笹倉香奈(甲南大学教授)、佐藤博史(元東京大学客員教授・元早稲田大学教授、第二東京弁護士会)、佐藤元治(岡山理科大学准教授)、塩谷毅(岡山大学教授)、島岡まな(大阪大学教授)、白井諭(岡山商科大学准教授)、白取祐司(神奈川大学教授・北海道大学名誉教授)、新屋達之(福岡大学教授)、鈴木博康(九州国際大学教授)、末道康之(南山大学教授)、陶山二郎(茨城大学准教授)、関哲夫(國學院大学教授)、関口和徳(愛媛大学准教授)、園田寿甲南大学教授、大阪弁護士会)、高倉新喜(山形大学教授)、高田昭正(立命館大学教授)、高橋有紀(福島大学准教授)、高平奇恵(九州大学助教)、武内謙治(九州大学教授)、多田庶弘(神奈川工科大学非常勤講師)、辰井聡子(立教大学教授)、田中輝和東北学院大学名誉教授)、恒光徹(大阪市立大学教授)、寺中誠(東京経済大学非常勤講師)、土井政和(九州大学教授)、戸浦雄史(大阪学院大学准教授)、徳永光(獨協大学教授)、冨田真(東北学院大学)、友田博之(立正大学准教授)、豊崎七絵(九州大学教授)、豊田兼彦(関西学院大学教授)、内藤大海(熊本大学法学部准教授)、長井圓(中央大学教授)、永井善之(金沢大学教授)、中川孝博(國學院大學教授)、中島洋樹(関西大学教授)、中島宏(鹿児島大学教授)、中村悠人(東京経済大学准教授)、名和鐵郎(静岡大学名誉教授)、新倉修(青山学院大学教授)、新村繁文(福島大学特任教授)、庭山英雄(元専修大学教授、東京弁護士会)、朴元奎(北九州市立大学教授)、東澤靖(明治学院大学教授、第二東京弁護士会)、玄守道(龍谷大学教授)、平井佐和子(西南学院大学准教授)、平川宗信名古屋大学名誉教授・中京大学名誉教授)、平田元(熊本大学教授)、福井厚(京都女子大学教授)、福島至(龍谷大学教授)、福永俊輔(西南学院大学准教授)、渕野貴生(立命館大学教授)、本田稔(立命館大学教授)、前田朗東京造形大学教授)、前野育三(関西学院大学名誉教授、兵庫県弁護士会)、前原宏一(札幌大学教授)、正木祐史(静岡大学教授)、松倉治代(大阪市立大学准教授)、松本英俊(駒澤大学教授)、丸山泰弘(立正大学准教授)、水野陽一(北九州市立大学専任講師)、緑大輔(一橋大学准教授)、光藤景皎(大阪市立大学名誉教授)、三宅孝之(島根大学名誉教授)、宮澤節生(神戸大学名誉教授・カリフォルニア大学ヘイスティングスロースクール教授)、宮本弘典(関東学院大学教授)、村井敏邦一橋大学名誉教授)、村岡啓一(白鴎大学教授)、村田和宏(立正大学准教授)、森尾亮(久留米大学教授)、森川恭剛(琉球大学教授)、森下忠(広島大学名誉教授)、森久智江(立命館大学准教授)、守屋克彦(元東北学院法科大学院教授)、安田恵美(國學院大學専任講師)、山口直也(立命館大学教授)、山﨑俊恵(広島修道大学准教授)、山名京子(関西大学教授)、山中友理(関西大学准教授)、吉弘光男(久留米大学教授)、吉村真性(九州国際大学教授)、その他氏名非公開賛同者 3名
 
呼びかけ人・賛同者合計149名(2017年2月7日現在)
呼びかけ人・賛同者合計148名(2017年2月6日現在)
呼びかけ人・賛同者合計147名(2017年2月5日現在)
呼びかけ人・賛同者合計146名(2017年2月3日現在)
呼びかけ人・賛同者合計143名(2017年2月2日現在)
呼びかけ人・賛同者合計137名(2017年2月1日現在) 
(引用終わり)
 

(付録)
『ひかりのわ』 作詞・作曲:嶋田奈津子 
演奏:なつおmeets南風
 
※2015年9月23日ライブ@ララ・ロカレ

日弁連パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版2015年9月)を読む

 今晩(2017年2月7日)配信した「メルマガ金原No.2716」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
日弁連パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連共謀罪に反対します!!―」(五訂版2015年9月)を読む

 昨日に引き続き、共謀罪シリーズをお届けします。
 今日は、日本弁護士連合会が発行して配布しているパンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連共謀罪に反対します!!―」をご紹介します。
 昨日ご紹介した月刊レファレンス(国立国会図書館)掲載論文「共謀罪をめぐる議論」でも説明されていたとおり、いわゆる共謀罪法案は、2003年から2005年にかけて3度国会に上程されながらいずれも廃案(最終は2009年7月の衆院解散により)となっていたのですが、日弁連のパンフレットも都度都度改訂され、現在の版は、2015年9月発行の五訂版です。
 当然、現在開会中の第193回国会(常会)に提出されると言われている「テロ等準備罪」法案には対応していません。そもそもまだ法案も確定・公表されていないのですから(閣議決定が必要でしょう)、六訂版を発行する訳にはいきません。ただし、法案が確定次第、間をおかずに六訂版を発行できるよう、日弁連共謀罪法案対策本部では、急ピッチで予定稿を準備中だと思います(単なる想像ですが)。
日弁連・共謀罪パンフレット ということで、現時点までの日弁連としての見解は、2012年4月に発表された「共謀罪の創設に反対する意見書」にまとめられており、その内容を市民向けに分かりやすくアピールするために発行されたのがパンフレット五訂版(2015年9月)ですから、間もなく六訂版に差し替えられるかもしれませんが、これまでの議論の結果を日弁連の立場から振り返るため、パンフレット五訂版全文をご紹介したいと思います。
 なお、日弁連ホームページには、「日弁連は共謀罪に反対します」という特設コーナーが設けられており、上記の意見書やパンフレットの他、共謀罪に関する法務省や外務省の見解に対する反論を含め、日弁連が公表した意見書、声明等が網羅されており、大いに参考になると思います。
 
パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版2015年9月)(PDFファイル4ページ)
(引用開始)
共謀罪とはなにか?
 共謀罪とは、具体的な犯罪について、2人以上の者が話し合って合意することだけで処罰することができる犯罪のことです。
 政府がこれまで提案していた共謀罪法案は、長期4年以上の懲役・禁固等を定める600を超える罪を対象とする広範なものです。
 
共謀罪の骨子】
① 長期4年以上の刑を定める犯罪について(合計で600以上)
② 団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの(組織犯罪集団の関与までは求められていない)
③ 遂行を共謀(合意)した者は
④ 原則として懲役2年以下の刑に処される。
⑤ 死刑、無期、長期10年以上の処罰が科せられた犯罪の共謀については懲役5年以下の刑に処される。
⑥ 犯罪の実行の着手より前に自首したときは、刑を減免される。
 
法案は条約締結に必要な範囲を越えています
 日本政府は、すでに締結した国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約が「重大な犯罪」について共謀罪を設けることなどを求めていることから、この条約を批准するために必要だとして、共謀罪法案を国会に提出しようとしていると報道されています。
 この条約は、もともとマフィアなど経済的利益を目的とする組織犯罪を対象にしていましたが、2001年の9・11のテロ事件を契機に、テロ対策のために利用しようという動きが出てきました。
 2020年の東京オリンピックパラリンピック開催に向けて、政府は、テロ対策として共謀罪制定が必要であると説明することが予想されます。しかし、この条約の本来の目的は、国際的な組織犯罪の防止ですから、テロ対策とは直接関係ありません。
 しかも、政府がこれまで提案してきた共謀罪の規定は、国際的な組織犯罪やテロ行為の共謀だけを対象とするのではなく、600を超える重大とはいえないものを含む犯罪を合意の段階で処罰しようとするものであり、市民の自由な生活を大きく脅かすおそれがあります。
(注)国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約:国連越境組織犯罪防止条約またはパレルモ条約とも呼ばれています。日弁連は、この条約が国境を越える組織犯罪への対処を求める条約であることから、「越境組織犯罪防止条約」と訳してきました。この条約はイタリアのパレルモで署名されたことから「パレルモ条約」と呼ばれることもあります。
 
既遂行為を処罰するのが日本国内の基本原則であり、それ以前の行為を処罰するのは例外
 犯罪は、人の内心で生まれ、共犯の場合は共犯者との合意を経て、準備され(「予備」段階)、実行に着手され(「未遂」段階)、そして、実行されて結果が生じます(「既遂」段階)。
 我が国の刑法は、「既遂」処罰を原則としています。法律で保護された利益(法益)を現実に侵害して、結果が発生した場合に処罰することとしているわけです。
 「未遂」は、特に法律で定められた場合に処罰されるのであり、例外的なものといえます。このように未遂を例外扱いし、刑罰の減軽を認めていることから、「罪を犯そうとす
る危険な意思」を処罰するのではなく、「法益侵害の危険性を発生させたこと」を処罰すると考えられています。
 「予備」の処罰は、未遂よりも更に例外的で、殺人・強盗・放火などの重大な犯罪に限って規定されています。現在、「予備」の一種である「共謀」の処罰は、いわば「危険な意思」の処罰といえますが、このような処罰の対象となっているのは、内乱の陰謀罪・私戦陰謀罪など極めて特別な場合に限られています。
 
一挙に600を超える共謀罪を新設するのは我が国の刑法の基本原則を否定
 このように我が国の国内法の基本原則は、「既遂」の処罰を原則とし、「未遂」は例外的、「予備」は更に例外的、「共謀」に至っては極めて特別な重大な法益侵害に関するものに限って処罰するというものです。
 しかし、共謀罪法案で一挙に新設して処罰しようとしている犯罪の数は600を超えています。この中には、窃盗罪の中の万引きや詐欺罪の中の釣り銭詐欺やキセル乗車などのように犯罪の態様としては決して重大とは言えないような犯罪も含まれます。建造物損壊罪のように、未遂も予備も処罰されていないのに、共謀罪だけが新設される犯罪もあるのです。
 これは、「未遂」「予備」「共謀」を例外とする我が国の刑法の原則に合致しません。国際的な組織犯罪の防止のために「重大な犯罪」について共謀罪を設けるという条約締結の目的からみても広すぎるでしょう。
 また、共謀罪の規定には別の弊害もあります。そもそも、人と人とが犯罪を遂行する合意をしたかどうか、合意の内容が犯罪にあたるかどうかの判断はたいへん難しいといえます。人と人との合意の有無は、その場にいない第三者から見て、すぐに分かるものではないからです。
 このように第三者から見て分かりにくい段階から処罰することにすると、捜査機関の判断によって恣意的な検挙が行われたり、日常的に市民のプライバシーに立ち入って監視するような捜査がなされるようになるかもしれません。これでは市民の人権に及ぼす弊害が余りにも大きいと考えられます。

(注)日本では、犯罪の法定刑の幅が非常に広いので、それほど重大ではない犯罪でも長期4年以上の懲役・禁固刑の犯罪として共謀罪の対象となってしまうのです。
 
市民運動団体や労働組合、会社などの団体の活動も処罰が可能に
 過去に国会に提出され、3度廃案となった政府の共謀罪法案では、「団体の活動」の共謀の処罰が可能でした。
 団体には、市民運動団体や労働組合、会社組織なども含まれます。例えば、労働団体が、ストライキをして、その際に工場のロックアウトを計画したりすれば、逮捕監禁罪の共謀罪が成立し得ることになります。
 そうすると、捜査機関が、市民運動団体や労働組合などについて、共謀罪の容疑があるとしてその構成員を検挙するなど、恣意的に運用される事態も予想されます。
 
共謀罪のために室内盗聴、潜入捜査等の新たな捜査手法が導入される可能性も
 共謀罪は、人と人とのコミュニケーションそのものが犯罪行為となるので、共謀罪を検挙し、立証するためには、通信傍受(盗聴)が有効と考えられることも予想されます。
 また、通信傍受に限らず、共謀罪を検挙・立証するために、会話傍受(室内盗聴)が導入されたり、警察官が組織の中に入って情報収集する潜入捜査などが導入されるおそれもあります。
 さらに、政府がこれまで提出していた共謀罪法案には、自首すれば自首した者の刑を減軽または免除する規定があり、警察の捜査の在り方が根本から変わる可能性もあります。
 
共謀罪法案がなくても条約は批准できます
 国境を越えた組織犯罪への対応は必要であり、本条約は早期に批准されるべきでしょう。先進国では、日本と大韓民国だけが批准していないのも事実です。
 この点、政府は、共謀罪法案を成立させなければ本条約を批准できないと説明してきましたが、そのようなことはありません。
 日弁連が調査した限りでは、この条約を批准した各国とも、その国の法制度で既に条約を満たしているとするか、多少の法整備をするなどして批准している国がほとんどです。つまり、各国の国内法の原則に合わせた立法がなされればよく、それは日本でも同じです。
 さらに、この条約については、共謀罪を制定することなく、条約の一部について留保をしたり、解釈宣言(自国による条約の解釈を示す一方的な宣言)をするなどの柔軟な対応によって、批准が可能であると考えられ、現にそのようにしている国もあります。
 日本には、すでに、重大な法益を侵害する犯罪などに、例外的に、陰謀罪が8、共謀罪が15、予備罪が40、準備罪が9存在しており、判例上も一定の要件を満たした場合に共謀共同正犯として犯罪に共謀した者を処罰することも認められています。それだけでなく、我が国においては、テロ関連条約のうち 「核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約」を除く全てを批准しており、条約上の行為を国内法で犯罪と規定しており、そこでも未遂以前の段階から処罰できる体制が整っています。例えば、アメリカ合衆国では適法に銃を所持することが可能ですが、我が国では、銃砲刀剣類所持等取締法により、銃砲や刀剣の所持自体が厳しく規制されています。これらにより、実質的には、組織犯罪集団による重大な犯罪については、未遂以前に処罰することができ、条約の批准は十分に可能となっています。
 さらに600を超える共謀罪を新設する必要はないのです。
 
共謀罪法案の制定に反対します
 特定秘密の保護に関する法律(特定秘密保護法)には、共謀罪法案を先取りする形で、既に3種類の共謀罪が規定されてしまいました。そして、2015年の通常国会以降、共謀罪法案がいつ国会に上程されてもおかしくない情勢にあります。
 日弁連は、共謀罪法案は、我が国の国内法の基本原則に反するものであり、捜査機関による恣意的な運用により、私たち市民の人権が脅かされるおそれがあると考えて、一貫して反対してきました。この条約の批准は必要ですが、600を越える共謀罪を新設する共謀罪法案が国会で可決されることがあってはなりません。
 市民の皆さんと一緒に、問題点の多い共謀罪法案の国会への制定には強く反対していきたいと思います。
 
共謀罪法案提出の経緯】
2002年 法制審議会で検討
2003年  3月 第156回通常国会に法案提出(廃案)
2004年  2月 第159回通常国会に法案再提出(継続)
2005年  8月 衆議院解散に伴い廃案
2005年10月 第163回特別国会に法案提出(継続)
2009年  7月 衆議院解散により廃案
 
日弁連の意見については、次の各意見書をご覧ください。
共謀罪新設に関する意見書(2006年(平成18年)9月14日)
 
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/060914.pdf
共謀罪の創設に反対する意見書(2012年(平成24年)4月13日)
 
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2012/opinion_120413_4.pdf
 
発行年月 2015年9月 (五訂版)
編集・発行者 日本弁護士連合会
〒100-0013 東京都千代田区霞が関1-1-3
TEL. 03-3580-9841(代表)
http://www.nichibenren.or.jp/
(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2017年2月6日
レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む

レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む

 今晩(2017年2月6日)配信した「メルマガ金原No.2715」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む

 私は、憲法問題をテーマとした学習会の講師を頼まれることは時々ありますが(昨日も某団体から依頼されて話してきました)、それ以外の問題をテーマとしてということになると、依頼自体めったにありま
せんから、いざ頼まれると、「にわか勉強」をしなければならなくなります。
 実は、今日、以前から付き合いのある某団体から「共謀罪についての学習会をやりたいので」ということで講師を頼まれたものの、とても人前で話すほどの知識の蓄積はないと自覚していましたので、「他に詳しい弁護士がいるのでは?」と言って断わろうとしたのですが、たってと頼まれたため、断り切れずに
引き受けてしまいました。
 現時点では、我ながら「安請け合い」と言うしかありませんが、引き受けてしまったからには、最低限
の準備はせざるを得ません。けれども、メルマガ「毎日配信」、ブログ「毎日更新」のかたわら、共謀罪
の勉強もするという両面作戦をやっている時間はありません。
 かくなる上は、メルマガ(ブログ)において、シリーズで「共謀罪」関連の情報を紹介がてら、自分の
勉強もするしか方法がありません。
 ということで、今日は、日本における「共謀罪」をめぐる議論状況を俯瞰する論文を探し出しましたの
で、それを読んでみたいと思います。
 それは、国立国会図書館が、「各分野の国政課題の分析、内外の制度の紹介、国政課題の歴史的考察等、国政の中長期的課題に関する本格的な論説を掲載した月刊の調査論文集」として発行している月刊誌「レファレンス」の昨年9月号に掲載された論文です。
 
レファレンス No.788(2016年9月)
共謀罪をめぐる議論
国立国会図書館 前 調査及び立法考査局 行政法務課 長末  亮

http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10195997_po_078803.pdf?contentNo=1


 「短報」という角書きが付いていますが、PDFファイルで14ページありますので、全文引用する訳にもいきません。以下には、「目次」、「要旨」、「はじめに」、「Ⅶ 共謀罪に対する賛否」、「おわ
りに」のみ引用しますが、出来ればリンク先で全文をお読みいただきたいと思います。
 立法の参考資料を提供するという国立国会図書館のあり方からして当然のことですが、賛否両論のどちらかに偏することなく、これまでの議論状況を簡潔に要約した小論であり、これから色々な論文を読んだり、動画を視聴したりする上での前提知識として、頭に入れておく価値があると思います。
 
(引用開始)
目 次
はじめに
Ⅰ 概念の整理
Ⅱ 国際組織犯罪防止条約との関係
Ⅲ 各国の規定
Ⅳ 検討の経緯
Ⅴ 各案の比較
 1 適用団体
 2 共謀以外の行為
 3 対象犯罪
 4 配慮規定等
Ⅵ 国際組織犯罪防止条約に関する論点
 1 共謀罪の創設の義務付け
 2 共謀罪の対象犯罪の限定
Ⅶ 共謀罪に対する賛否
 1 肯定的な立場について
 2 批判的な立場について
おわりに
別表 共謀罪各案の比較
 
要旨
 最近、改めて注目されている共謀罪について、議論の背景や論点の整理を行う。共謀罪をめぐっては、人権の制約の懸念と、犯罪・テロ対策の必要性の調和をいかにして行うかという議論がなされている。背景には、国際組織犯罪防止条約の存在があり、内容の是非のほか、条約の解釈・適用についても議論が行われている。
 
はじめに
 最近、特に 2015年 11月のパリ同時多発テロ事件の発生以降、いわゆる共謀罪の創設に関する新聞報道等が目に付くようになってきている。現行法では、テロリスト等の組織的犯罪集団が大量殺人の実行を決定したとしても、計画にとどまる段階では検挙・処罰することができないため、共謀罪を新設し、計画段
階で処罰すべきとの主張がある。一方、処罰対象が広がりすぎること等を危惧する見解もある。
 刑事法辞典では、共謀とは「犯罪を共同で遂行しようという意思を合致させる共同謀議、または謀議の結果として成立した合意、あるいは共同犯行の意識の形成をいう」と説明している。共謀罪とは、ある特定の犯罪を行うことを合意(共謀)することによって成立する犯罪を指す。なお、共謀罪の内容について、例えば文末の別表に挙げた政府案では、おおよそ次のように規定している。懲役・禁錮長期4年以上の犯罪(例えば殺人罪はこれに含まれる)を、組織犯罪処罰法が定める団体(組織化されたテロリスト集団は
これに含まれ得る)が共謀した場合を処罰する。共謀以外の行為については文言上要求していない。
 共謀罪を創設する法案は、我が国が未締結である国際組織犯罪防止条約に加入するために必要であるとされ、平成15(2003)年以降、数度にわたって国会に提出されてきたが、成立していない。
 共謀罪の必要性が最近改めて論じられるようになったもう1つのきっかけとしては、平成25(2013)年に、オリンピック・パラリンピック東京大会が平成32(2020)年に行われることが決まり、テロ対策の必要
性が改めて注目されるようになったことがある。ただし、国際組織犯罪防止条約は、経済的利益を目的とした国際的組織犯罪を対象にしているものであり、主義主張を背景とするテロとは本来関係ないというこ
とも指摘されている。
 共謀罪の創設をめぐる議論は、国際組織犯罪防止条約が関係するため、法案の内容の是非のほか、条約の解釈・適用についても議論が行われていることが特徴である。国際組織犯罪防止条約の締結については、マネーロンダリングやテロ資金供与対策の国際協力を推進する政府間会合である金融活動作業部会(Financial Action Task Force: FATF)から指摘がなされており、国際的な観点からの対応も迫られている。本稿では共謀罪についての議論の経緯を紹介し、国際組織犯罪防止条約に関するものを含めた論点の整理を行う。
 
Ⅰ 概念の整理 (略))
Ⅱ 国際組織犯罪防止条約との関係 (略)
Ⅲ 各国の規定 (略)
Ⅳ 検討の経緯 (略)
Ⅴ 各案の比較 (略)
Ⅵ 国際組織犯罪防止条約に関する論点 (略)
 
Ⅶ 共謀罪に対する賛否
 これまで、共謀罪法案と国際組織犯罪防止条約との関係、共謀罪法案各案の比較等について説明してき
たが、これらの事項を踏まえ、最後に共謀罪そのものについての賛否両論を紹介する。
1 肯定的な立場について
 共謀罪が必要であるとする立場からは、①国際組織犯罪防止条約を締結し、国際的な義務を果たすこと
の重要性、②摘発を行う上での有効性が主張される。
 ①については、主要先進国の1つである我が国が国際組織犯罪防止条約を締結していない状態は望ましくない、捜査共助や犯罪人引渡しについて、我が国が「抜け穴」(ループホール)にならないような措置が必要である、と主張されている。ただし、前述のとおり、共謀罪(あるいは参加罪)を創設しなくても条約自体は締結できるとする見解もあり、議論が分かれているところである。また、犯罪人引渡しについては、共謀罪が創設されていない状況下でも、米国において薬物犯罪の共謀罪(コンスピラシー)で追われていた人物を引き渡す際、我が国と米国の双方で犯罪とされているかどうかという点につき、肯定的に解
して引渡しを認めたという東京高等裁判所の決定はある。
 ②については、テロが起こった後では遅すぎる、テロの実行を相談して決めたという段階で検挙しなければ、未然防止が難しい、と主張されている。ただし、「はじめに」でも触れたように、国際組織犯罪防止条約それ自体はテロを対象にしているわけではないとの指摘がある。また、地下鉄サリン事件について、たとえ共謀罪があったとしても情報がなかったから防ぐことは無理であったし、逆に情報があったなら
共謀罪がなくても防げたであろうとの意見も述べられている。
2 批判的な立場について
 共謀罪について批判的な立場からは、①多数の犯罪について犯罪の実行の着手がない場合を処罰するこ
とは、思想でなく行為を処罰する刑事法体系の基本原則と矛盾する、憲法上の内心の自由表現の自由を脅かすことが懸念される、②処罰範囲があいまいで拡大するおそれがある、共謀罪の対象となる団体に企
業やNGO、組合も含まれ、一般市民も処罰されることが懸念される、といった意見が表明されている。
 この点、①については、我が国のこれまでの刑事法では実行の着手前の処罰は例外的であり、共謀罪を創設することは、結果犯を中心とする考え方に添わないのは確かであるが、国際組織犯罪防止条約は社会への脅威という危険を重視する観点から犯罪の共謀段階からの処罰を組織犯罪対策として定めたのであり
、この意義を踏まえて世界標準に合わせていくべきだといった見解がある。
 ②の懸念に対しては、前述のとおり、国会に提出された共謀罪法案は複数存在し、対象となる団体や犯罪を限定することについて、様々な検討がなされた。
 
おわりに
 最近の報道によると、法務省は、共謀罪という罪名を変更すること、適用対象団体を組織的な犯罪集団に限定すること、共謀だけでは処罰対象とはせず、犯罪実行に必要な資金や物品の準備などがあって初め
て適用すること、といった形で法案の内容を検討しているとされている。
 共謀罪の創設をめぐっては、国会において活発に審議がなされた平成18年から最近に至るまで一貫して、人権の制約への懸念と、犯罪対策の必要性との調和をいかにして行うかという議論が行われている。新
しい犯罪の創設については、内容を吟味して建設的な議論を行うことが必要であろう。
(引用終わり)
 

(付録)
『そこにある場所』 作詞・作曲:嶋田奈津子 
演奏:なつおmeets南風
 
※2015年9月23日ライブ@ララ・ロカレ

「憲法と平和・原発・沖縄問題を考えるシンポジウム(基調講演:森ゆうこ参議院議員)」2017年2月5日@和歌山市を振り返る

 今晩(2017年2月5日)配信した「メルマガ金原No.2714」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
憲法と平和・原発・沖縄問題を考えるシンポジウム(基調講演:森ゆうこ参議院議員)」2017年2月5日@和歌山市を振り返る

 昨日の記事で予告した(かな?)とおり、昨日(2月4日)、和歌山市のアバローム紀の国で開催された「憲法と平和・原発・沖縄問題を考えるシンポジウム」(同実行委員会主催)についてお伝えします。
 2時間を超える内容をどうお伝えするか考えた結果、幸い昨日のうちにアップされた動画(撮影:小谷英治さん)をまずご紹介し、その流れに沿って、視聴のための目安の時間とともに、語られた項目を書き出すことにしました。こうすれば、皆さんが特に関心を持たれた項目について、動画の該当部分を直接視聴して確認していただく便宜になるのではと考えたからです。
 
憲法と平和・原発・沖縄問題を考えるシンポジウム 基調講演:森ゆうこ参議院議員:20170204(2時間27分)

司会 金原徹雄
冒頭~ 開会挨拶 花田惠子さん
5分~ 
来賓挨拶
 動画なし 坂田隆徳さん(民進党和歌山県総支部連合会副代表、和歌山県第2区総支部長)
 5分~ 雑賀光夫さん(日本共産党和歌山県議団団長)
ブログ
 8分~ 渡辺喜彦さん(自由党大阪府総支部連合会代表、元衆議院議員
 15分~ 服部良一さん(社民党国連合常任幹事、元衆議院議員
Facebook
21分~ メッセージ披露(司会)
 衆議院議員岸本周平さんから
 社民党和歌山県連合代表・野見山海さんから
 
23分~ 基調講演「新潟選挙でのたたかい」 森ゆうこさん(参議院議員
 23分~ 司会による森ゆうこ議員の経歴紹介
「講師の森ゆうこ様のご経歴を簡単にご紹介しますと、森様は、新潟市のご出身。1999年に横越町(よこごしまち)町議会議員に当選され、その後、2001年CIMG68747月の参議院議員選挙新潟県選挙区に自由党から出馬されて初当選。2期12年の間に文部科学副大臣も務められました。そして、昨年7月の参議院議員選挙新潟県選挙区では、市民連合とオール野党の民進党共産党生活の党と山本太郎となかまたち社民党新社会党緑の党の推薦を得て大激戦の末に当選を果たされ、続く新潟県知事選挙では米山隆一(よねやま・りゅういち)候補選挙対策本部長の重責を果たされました。森様にはこの「新潟ショック」と言われた「新潟選挙でのたたかい」をテーマにご講演をお願いしております。また、森様は現在、自由党参議院会長を務めておられます。」
 
25分~ 私の本籍は和歌山です(金原注:森さんのご主人は、私や豊田泰史弁護士と同じ和歌山県立桐蔭高校25期生であり、お2人の馴れ初めなども語られています)
 28分~ 2016年・参院選新潟県選挙区でのたたかい
  国家権力と森ゆうこの闘い(安倍首相は3度も新潟入りした)
  合同選挙対策本部は作れなかった
  各地域の連絡調整会議が地域の実情に応じた様々な創意工夫を
  若い人たちの選挙参加/「ぼくたちの選挙プロジェクト」(ぼくセン)
  愛媛県選挙区の永江孝子候補(惜敗)との違い
 46分~ 新潟県知事選挙を選対本部長としてたたかって
  泉田裕彦知事から「あとは頼む」と言われて
  知事選挙は「絶対に勝てる」という自信があった
  泉田知事に対する県民の熱烈な支持
  「弔い合戦」は強い
  民進党を排除せず
 56分~ 
自民党に勝てる!
  自民党良識派は声を出せない(カジノ法そして共謀罪・・・)
  憲法「改正」もお茶の子さいさい
  目指すべきは政権交代
  安倍首相も怖がっている
  二階(俊博)さんを見習おう(何でも呑み込んで排除せず)
  違いを言い立てるのではなく国民の生活を豊かにすることを結節点にして結集を

1時間06分~ 
シンポジウム「憲法と平和・原発・沖縄問題を考える」
 1時間06分~ コーディネーターの堀内秀雄さん(和歌山大学名誉教授)からシンポジウムの趣旨説明
「私たちは、日本及び和歌山の未来にとって、何よりも、市民の人権・個人の尊厳が尊重される社会でなければならないと確信しています。けれども、私たちを取り巻く現実の社会には、これまで考えられなかったような、憲法の基本原理を蔑ろにする風潮が蔓延し、そのことは「平和・原発・沖縄」などの諸問題に集中して表れています。私たちは、そのような問題意識から、今日ここに、森ゆうこ参議院議員をお招きし、新潟の経験、選挙の勝利から学びながら、和歌山でこれから何をなすべきかということを、各界各層のシンポジストを招いて、森議員のコメントをいただきながら、議論を進めてまいりたいと思います。」
 
1時間09分~ シンポジスト自己紹介
  1時間09分~ 
伊藤宏さん(和歌山信愛女子短期大学教授)
  1時間11分~ 
松永久視子さん(安保関連法に反対するママの会@わかやま)
  1時間12分~ 
服部涼平 さん(WAASA(和大有志の会)) 
 1時間15分~ 森さんの講演から学んだことと質問したいこと
  1時間16分~ 
松永久視子さん
  1時間17分~ 
服部涼平さん
  1時間18分~ 伊藤宏さん
  1時間20分~ 
森ゆうこさん
 1時間28分~ 
それぞれの活動と思い
  1時間28分~ 
松永久視子さん
  1時間39分~ 
服部涼平さん
  1時間49分~ 
伊藤宏さん
 2時間00分~ 
私の決意と提案
  2時間01分~ 伊藤宏さん
  2時間04分~ 
松永久視子さん
  2時間06分~ 服部涼平さん
 2時間10分~ 最後に
  2時間10分~ 
森ゆうこさん(市民と野党共闘の進め方、和歌山へのエール)
  2時間16分~ 堀内秀雄さん(シンポジウムのまとめ)
 
2時間20分~ 閉会挨拶 豊田泰史さん   
 
 1日経ってシンポジウムの全体を振り返ってみました。さすがに、森ゆうこさんのお話は、激戦を勝ち抜いてきた者ならではの迫力と含蓄に満ちたもので、今後の和歌山での野党共闘の道筋を考える上でも、非常に有益な示唆を与えられたと思います。
 それに、森さんの「本籍」が和歌山だったって、地元の人でもほとんど知らなかったでしょう?私自身、森さんの旦那さんが桐蔭高校の同級生だと知ったのは、つい最近のことなのですから。
 それにしても、半日ご一緒しただけですが、森ゆうこさんは魅力的な方ですね。新潟での激戦を勝ち抜いた要因の相当部分は、森さんに惚れ込んだ(若い人たちやかつての対立陣営の人たちを含めた)支援者の頑張りが預かって力があったのではと思いました。
 
 また、昨年の参院選以来、様々な経緯はあったものの、民進党共産党自由党社民党の立憲野党各党が、それぞれ挨拶のために参加してくださったことは、非常に良かったと思います。
 
CIMG6879 第2部では、昨年の参院選和歌山県選挙区での闘いの同志であった松永久視子さんや服部涼平さんからも貴重な意見が伺えましたし、伊藤宏さんからも、共同通信記者として三重県青森県で体験されたことなども含め、原発の抱える問題点についての指摘がありました。

 もともと、「平和・原発・沖縄問題」というシンポジウムのテーマは、それぞれがとても重い問題で、こんな短い時間でまとまりがつくはずがなく、今後も追いかけるべき目標であることを確認できれば良しということでは?と私個人は考えていました。
 
 同じ日に様々な企画が競合する中、それでも本シンポジウムに足を運んでくださった約100名の参加者の皆さまが、それぞれが、今後に向けた自分の行動の糧を持ち帰っていただければ、という主催者の願いが果たされたのであれば嬉しいのですが。
 
 最後に一言。「原発報道の検証」と並んで伊藤宏さんがライフワークとされている「怪獣ゴジラウルトラマンの研究」の成果をお伺いできるのではないかという、開会挨拶で花田惠子さんが表明された期待(会場にいた何人かも共有していたはずです)は、残念ながらかなえられませんでした。たしかに、昨日のシンポの流れの中で「ゴジラ」を持ち出すことは難しかったでしょうね。閉会後、会場の出口のところで伊藤さん、花田さんとお会いし、是非どこかの団体が企画して伊藤宏さんに「ゴジラ原発」をテーマにした講演をお願いしなければ、という話で盛り上がりました。いつ実現するか分かりませんが、是非ご期待ください。
 

(付録)
『スマイル』 作詞・作曲:嶋田奈津子 
演奏:ナツオ
 

※2012年9月23日ライブ@木村酒造屋敷跡

セミナー「どこへ行く、原発輸出?~泥沼化する国際原子力産業の実態と各国の選択~」(1/31)を動画と資料で学びたい

 今晩(2017年2月4日)配信した「メルマガ金原No.2713」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
セミナー「どこへ行く、原発輸出?~泥沼化する国際原子力産業の実態と各国の選択~」(1/31)を動画と資料で学びたい

 今日(2月4日)、和歌山市では各種行事の花盛りで、「身体がいくつあっても足りない!」と悲鳴をあげていた人も多かったことと思います。
 そんな中、私は、午後1時30分からアバローム紀の国で開かれた「憲法と平和・原発・沖縄問題を考えるシンポジウム」の司会を務め、終了後にスタッフが集まった打ち上げに顔を出してから、15分ほどの距離を歩いて自分の事務所に戻ってきました。
 そこで「さて今日のメルマガ(ブログ)をどうしよう?」ということなのですが、今日のシンポジウムの内容をご紹介すれば良いようなものの、今日の基調講演(森ゆうこ参議院議員)や後半のパネルディスカッションの模様は、後日YouTubeに動画がアップされる予定なので、その動画をご紹介がてら、私の感想を書く方が、私も楽ができるし(!)、皆さまにとっても役立つ情報提供になると思われます。
 その上、明日(2月5日)11時から、某団体から頼まれて憲法問題についてのミニ講演(約40分)
をしなければならないのですが、忙しさにかまけて内容を詰め切れておらず、いくらなんでも、簡単なレジュメぐらい書かなければならないということで、時間をかけてメルマガ(ブログ)を書いている余裕が全くありません。

 こういう時の二大「奥の手」の1つがTVドキュメンタリー番組放送予告、もう1つが講演(シンポ)動画紹介です。
 前者については、地上波で近日見られる番組の内、2月5日(日)深夜のNNNドキュメントと来週2月7日(火)・8日(水)両日のEテレ・ハートネットTVについては、既に紹介済みです。
 
日本テレビ系列 NNNドキュメント
2017年2月5日(日)24時55分~(6日・0時55分~)(拡大)
『お笑い芸人VS.原発事故 マコ&ケンの原発取材2000日』
 
NHK・Eテレ 
本放送 2017年2月7日(火)午後8時00分~8時29分
再放送 2017年2月14日(火)午後1時05分~1時34分
ハートネットTV『シリーズ 暮らしと憲法 第三回 障害者』
 
 
 それ以外で私が「これは」と思ったのは、NHKスペシャルで明日(2月5日)放送される『巨龍中国 大気汚染 超大国の苦闘 ~PM2.5 沈黙を破る人々~』なのですが、何しろ明日午後9時からの放送で、あんまり間際すぎますからね。
 
 ということで、今日は「奥の手」のもう一方、動画紹介でいくことにします。こちらの方で一番頼りになるのは、何と言ってもIWJとUPLANですが、今日は後者の最近の動画の中から、1月31日(火)、参議院議員会館で行われたセミナー「どこへ行く、原発輸出?~泥沼化する国際原子力産業の実態と各国の選択~」をご紹介したいと思います。これは、共催:国際NGO FoE-Japan、メコン・ウォッチ、協力:原子力資料情報室という強力タッグによる充実したセミナーであり、産業としての原発の実態を明らかにする、非常に有益な内容であったように思われます。
 私もまだ少ししか見ていないものの、私の直感はほぼ当たる(?)ので、ご覧になった上で、「時間の無駄だった」というようなことは絶対にないはずです。
 セミナーの開催趣旨を、主催の国際NGO FoE-Japanサイトから引用します。
 
(引用開始)
 震災から発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故から6年が経とうとしています。原発事故後の廃炉・除染・賠償の費用は21.5兆円に跳ね上がり、将来世代も含めて国民が広く負担しなければならない事
態となっています。
 また、WHの買収に端を発した東芝の経営危機により、あらためて原発ビジネスのリスクとコストが浮き
彫りになっています。
 それなのに、日本政府は「インフラ輸出」の一環として、公的資金を使い、官民あげて原発輸出を進め
てきています。
 一方、昨年11月、日本が原発輸出を予定していたベトナムが、原発計画の撤回を決定しました。
 今回の院内集会では、ベトナム原発から撤退した経緯をふりかえり、私たちの税金との関係について考えます。また、関連事業と目されるODA事業の揚水発電所計画、核拡散防止条約(NPT)未加盟の核保有国であるインドとの原子力協定、東芝をはじめとした原子力産業の経営の現状について報告します。ぜひ
ご参加ください。
(引用終わり)
 
 上記の国際NGO FoE-Japanサイトには、各発言者の用意した資料がPDFファイルでアップされていますので、動画の視聴と併せて読めば、非常に参考になると思います。
 それでは、2本に分割されたUPLANの動画をご紹介します。いずれも興味深い内容ですが、私は特に後半で語られた「東芝の経営危機:原発ビジネスの負のスパイラル」に注目しました。東芝が、いつどのような形で終焉を迎えるのか、日本人はそろそろその日に備えた気持ちの整理をつけておくべきでしょうから、是非しっかりと視聴したいと思います。
 
20170131 UPLAN【前半】「勇気ある撤退-ベトナム原発計画を撤回したわけ」他(1時間02分)

冒頭~ イントロダクション:世界の原発事情FoE Japan 深草亜悠美
49分~ 挨拶 糸数慶子参議院議員(沖縄の風)
53分~ 質疑応答
 
20170131 UPLAN【後半】「東芝の経営危機:原発ビジネスの負のスパイラル」他(1時間44分)

冒頭~ 日印原子力協定とインドへの原発輸出原子力資料情報室 松久保 肇
36分~ 東芝の経営危機:原発ビジネスの負のスパイラル…プラント技術者の会 川井康郎
1時間24分~ 質疑応答(最初の質問者は吉岡斉原子力市民委員会座長でした)

(付記)
 今日の「憲法
平和・原発・沖縄問題を考えるシンポジウム」の撮影を担当した小谷英治さんが、頑張って日が変わらぬうちに動画をアップしてくださいました。なお詳細は後日。
 
 

(付録) 
『The Water Is Wide』 スコットランド民謡 日本語訳・演奏:円香

※2017年1月26日ライブ@渋谷GLAD
YouTubeチャンネルより引用
円香(まどか)
1997年和歌山生まれ。 うたを歌って、作詞・作曲・楽曲提供などをやってます。 音楽と自然と人が好きです。
今日も1日 みんなが健康で、
明日も1日 みんなが幸せで、
そして 世界が平和でありますように。

 

(再配信)南相馬市が全戸配布した憲法冊子を市民はどう読んだか?~予告・ハートネットTV「シリーズ 暮らしと憲法 第三回 障害者(2/7)」「第四回 原発被災者(2/8)」

 今晩(2017年2月3日)配信した「メルマガ金原No.2712」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
(再配信)南相馬市が全戸配布した憲法冊子を市民はどう読んだか?~予告・ハートネットTV「シリーズ 暮らしと憲法 第三回 障害者(2/7)」「第四回 原発被災者(2/8)」

 わずか11日前に配信した記事を再配信することなど、過去に一度もなかったことですが、今回ばかりはやむを得ません。
 NHK・Eテレの「ハートネットTV」で始まった「シリーズ 暮らしと憲法」の「第三回 被災地」が2月7日(火)に、「第四回 障害者」が翌2月8日(水)に放送されると予告されていましたが、その後、放送日程が入れ替わり、2月7日に「第三回 障害者」、翌2月8日に「第四回 原発被災者」(こちら
はタイトルも変わりました)が放送されることになっていました。
 タイトル変更だけであれば、わざわざ再配信するまでもないのですが、さすがに日程変更に気がついた以上、メルマガ読者の方にお知らせしない訳にもいきません(既に放送まで1週間を切っていますので、録画予約された方がおられるかもしれません)。
 ということで、放送日程変更にともなう順序の入れ替えや文章の手直しなどを施した上で、1月23日の記事を再配信します。
 
 そして、ついでと言ってはさしさわりがありますが、2月16日(木)放送予定の「待ちわびて―袴田巌死刑囚 姉と生きる今―」も是非視聴したいと思ったということを付け加えておきます。
 

 NHK・Eテレの「ハートネットTV」(毎週月曜~木曜午後8時00分~8時29分、再放送翌週月曜~木曜午後1時05分~1時34分)で始まった「シリーズ 暮らしと憲法」の「第一回 女性」と「第二回 外国人」の再放送を紹介してから1ヶ月近くが過ぎました。
 その時、「憲法施行70周年の5月3日まであと4ヶ月近くあるのですから、まさかこの2本で終わりということはないでしょう。」と書いたとおり、第三回と第四回の放送が予告されていました。テーマは「障害者」と「原発被災者」です。いずれも重要なテーマですが、わずか30分の放送枠の中で、どういう切り口から取り上げようとしているのか、とても興味があります。
 まず番組案内を見てみましょう。

NHK・Eテレ 
本放送 2017年2月7日(火)午後8時00分~8時29分
再放送 2017年2月14日(火)午後1時05分~1時34分
ハートネットTV「シリーズ 暮らしと憲法 第三回 障害者」

(番組案内から引用開始)
放送内容
今年は、日本国憲法が施行されてから70年の節目の年。戦後日本は、憲法を道しるべに社会を築いてきました。しかし、憲法のことを普段は、あまり意識しないのではないでしょうか?ハートネットTVでは、シリーズで暮らしの現場から憲法を見つめていきます。
第三回 障害者
憲法に具体的な文言として明記されていない障害者。しかし今日では様々な法が整備され、社会生活支援も提供されるようになってきています。その実現に大きな役割を果たしてきたのは他でも無い当事者の声。それはまさしく憲法12条が謳う「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」という理念そのものでした。現在もなお「不断の努力」を続ける障害者、そして憲法が制定された戦後からの障害者運動の歩みを振り返りながら、私たちはどう憲法と付き合うべきなのかを考えます。
(引用終わり)
 
NHK・Eテレ 
本放送 2017年2月8日(水)午後8時00分~8時29分
再放送 2017年2月15日(水)午後1時05分~1時34分
ハートネットTV「シリーズ 暮らしと憲法 第四回 原発被災者」

(番組案内から引用開始)
第四回 原発被災者
福島県南相馬市。昨年、全国で初めて全2万5000世帯に憲法の冊子が配布されました。そこは、憲法の間接的な起草者と言われる鈴木安蔵氏の故郷です。第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」・・・終戦後、GHQや政府案にもなかったこの草案を作ったのが、安蔵氏を中心とした民間の憲法研究会でした。そんな安蔵の故郷に起きた、原発事故。そこに、憲法の理念は生きているのでしょうか?
今回番組では、昨年7月に避難指示が解除された南相馬市小高区にカメラを据えました。1万人以上いた住民のうち、戻ってきたのは1000人程度。町の居酒屋やパーマ屋、酪農家の元に、突然、1冊の憲法が届けられたのです。原発事故という未曾有の試練を経験した人々は、憲法を手に何を想うのか。憲法とは何か?70年の時を経て、その問いに向き合う町で考えます。
(引用終わり)

 「第三回 障害者」を憲法13条(個人の尊重、幸福追求権)や14条(法の下の平等)からではなく、12条から考えるという視点がユニークですね。日本国憲法12条の条文を、それと一体として読むべき11条、及び前記13条、14条とともに引用します。

第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

 そして、「第四回 原発被災者」です。
 福島県南相馬市で、昨年、「全2万5000世帯に憲法の冊子が配布され」たというのを初めて知りました。「南相馬市憲法冊子」でGoogle検索をすると、トップで毎日新聞の記事がヒットしました。

毎日新聞 2016年4月26日 15時00分
南相馬市 全戸に憲法冊子 原発事故で軽視された人権守る

(抜粋引用開始)
 福島第1原発事故の被害を受けた福島県南相馬市は、県内外の避難住民を含む全世帯約2万5000世帯に、憲法の小冊子を配布することを決めた。原発事故で今も約1万人が市外に避難しており、憲法が保障する国民の権利を見つめ直してもらう狙い。5月1日発行の市広報紙とともに全戸配布する。憲法は5月3日、施行から69年を迎える。
 南相馬市では、旧原町市が憲法公布25年を記念し、1971年に小冊子を全戸配布したのに続く試み。市内に四つある市民団体「九条の会」が昨年2月、原発事故で軽んじられた基本的人権生存権を取り戻そうと、南相馬市議会に復刻を陳情した。同6月には、自民党に近い保守系会派の市議を含む全会一致で、陳情を趣旨採択していた。
 小冊子はA6判で約60ページ。前文と全103条が記され、「震災と原発事故で憲法が保障する健康で文化的な生活がかなえられない市民がいる。憲法とは何かを考えていただきたい」という桜井勝延市長のあいさつが入る。約70万円かけて3万部を作成し、残部が出た場合も来年以降の成人式で配り、市外の避難者には郵送する。
(引用終わり)

 さらに、「南相馬市憲法冊子」Google検索で2番目にヒットするのが、南相馬市ホームページに掲載された桜井勝延市長による挨拶と全64ページに日本国憲法全文を印刷した冊子のPDFファイルです。
 以下に、桜井市長のあいさつをご紹介しましょう。

(引用開始)
市長あいさつ
 私たち南相馬市民は、東日本大震災東京電力福島第一原発の事故によって、大きな苦難に直面しました。五年経った今でも、憲法で保障された健康で文化的な生活がかなえられていない市民が数多くいます。
 このような中、政治を担う人たちから憲法改正を積極的に呼びかける動きが出てきました。
 しかしながら、東日本大震災によって人権の大切さを改めて痛感させられました。加えて、恒久平和の必要性を考えさせられています。
 子どもたちの未来のため、幸せのために私たちはどのような憲法を伝えていくべきなのでしょうか。私たちの生活再建と安心して暮らせる環境を取り戻すため、日本の憲法とは何かを考えていただきたいと思い、本冊子を発行いたしました。
                           南相馬市長 桜井勝延
(引用終わり)

 桜井市長が「憲法で保障された健康で文化的な生活」と言及されたのは、南相馬市民が置かれた窮状を訴えるという他に、1945年12月26日に「憲法草案要綱」を発表し、その後のGHQ草案に大きな影響を与えた憲法研究会の中心メンバーであった鈴木安蔵氏が、相馬郡小高町(現南相馬市)出身であるということも当然念頭にあったことでしょう。

 制憲議会となった第90回帝国議会枢密院の議を経た帝国憲法改正案が勅書をもって提出されたのは、1946年6月20日のことでした。その帝国憲法改正案では、「健康で文化的な生活」はどのように規定されていたかというと、日本国憲法25条に連なる条文は23条でした。

帝国憲法改正
第二十三条 法律は、すべての生活部面について、社会の福祉、生活の保障及び公衆衛生の向上及び増進のために立案されなければならない。

 これが、制憲議会での審議を経てどのように修正されたかを見ておきましょう。
 
日本国憲法
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 国(国会)の努力義務を定めていた原案を第2項に回し、その前に国民の基本的権利として第1項を規定することにしたもので、制憲議会における修正の中でも、最も重要なものの1つと言われています。
 そして、その基になったのが、憲法研究会「憲法草案要綱」の以下の条項でした。
 
憲法研究会「憲法草案要綱」 1945年12月26日
国民権利義務
一、国民ハ健康ニシテ文化的水準ノ生活ヲ営ム権利ヲ有ス

 鈴木安蔵氏は、憲法研究会の事務局を担っていましたが、一民間人に過ぎず、制憲議会に修正案を提案するようなことはできません。現行憲法25条1項の生存権規定を憲法に盛り込むように強く主張したのは、憲法研究会のメンバーの1人であり、「憲法草案要綱」の発表後に行われた戦後第1回目の選挙で衆議院議員に当選していた森戸辰男氏(日本社会党、政界引退後は広島大学学長等)であったと言われています。

 日本国憲法との所縁も深い南相馬市を襲った東京電力福島第一原発事故憲法はどのように生かされなければならないのか、全戸配布された憲法全文を、南相馬市民はどのような思いで読んだのでしょうか。この回のハートネットTVは是非とも視聴したいですね。

 ところで、地方自治体が日本国憲法の全条文を冊子化して全戸配布したという例が、南相馬市(及び旧原町市)以外にもあるのか、残念ながら私は知らないのですが、ここでは、憲法施行(1947年5月3日)にあたり、GHQの指導もあり、貴族院衆議院の両院と政府が、帝国議会内に設置した「憲法普及会」が様々な(今から思えばその規模の大きさに驚きますが)普及啓発活動を行ったことが想起されます。
 中でも、『新しい憲法 明るい生活』という30ページの小冊子が「直接国民への普及を図るために刊行され、全国の各家庭に配布され」ました。その発行部数は2,000万部にも及んだそうです。
※『新しい憲法 明るい生活』は、上記記のとおり、ネットでも読めますが、岩波現代文庫にも収録されています。
『あたらしい憲法のはなし 他二篇(付 英文対訳日本国憲法)』 高見勝利 編

(付録)
『しあわせの歌』 
作詞・作曲・演奏:円香
 
※2017年1月26日ライブ@渋谷GLAD
YouTubeチャンネルより引用
円香(まどか)
1997年和歌山生まれ。 うたを歌って、作詞・作曲・楽曲提供などをやってます。 音楽と自然と人が好きです。
今日も1日 みんなが健康で、
明日も1日 みんなが幸せで、
そして 世界が平和でありますように。

 

「原発がこわい女たちの会ニュース」第100号が届きました

 今晩(2017年2月2日)配信した「メルマガ金原No.2711」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
原発がこわい女たちの会ニュース」第100号が届きました

 松浦雅代さんから、「原発がこわい女たちの会ニュース」の第100号が届きましたので、この前の「第99号が届きました」のリード文を再掲します。
 
(引用開始)
 そこで、私から「100号目前ですね。記念号を楽しみにしています。」というメールを送ったところ、松浦さんから「女たちの会100号は記念号にしません。普通の100号になると思います。」という返信が。まあ、発行者自身が「記念号」と触れ回るような「はしたない」真似はできないでしょうから、そういうものでしょうけど。
(引用終わり)
 
 そして、その予告通り(?)「普通の100号」が届きました。
 この流れでいけば、3ヶ月後には「普通の101号」が届き、半年後には「普通の102号」が届くのでしょうね。

 ところで、「原発がこわい女たちの会」は、例年4月に「結成〇〇年のつどい」を開催しており、昨年の「結成29年のつどい」は今中哲二さんが講演されたのですが、今年の4月(かどうか分かりませんが)の「結成30年のつどい」はどうなるのだろう?3月4日に山崎知行医師をお招きした講演会の開催が今号のニュースで予告されていますが、それとは別に「つどい」は開くのでしょうね。こちらも、松浦さんからお知らせいただきましたら、すぐにメルマガ(ブログ)で告知するようにします。
 

原発がこわい女たちの会ニュース NO100号・2017年1月30日発行
事務局 〒640-0112和歌山市西庄1024-15 TEL・FAX073/451/5960松浦雅代方
新ブログはこちら⇒原発がこわい女たちの会ブログ
 
http://g-kowai-wakayama.seesaa.net/
深刻化する福島の状況
 
女100・1 東北地方太平洋沖地震による津波福島第一原発事故は私たちに衝撃を与えました。その福島第一原発事故から丸6年。深刻化する福島の状況を一緒に考えましょう。
 この6年間、毎月のように福島県に行かれ福島で被災者の方々の相談に乗ってこられた山崎知行医師に福島の被災者の状況を話していただきます。
 
〇講師 山崎知行氏(医師)
〇日時 
2017年3月4日(土)14:00~16:30
〇場所 
フォルテワジマ6階「ボランティアサロン」C会議室
  (和歌山市本町2丁目1 電話073-426-0168)
〇参加費無料  
 
無料駐車場は和歌山市役所の駐車場があります(市役所北側)。
 
主催 原発がこわい女たちの会 
連絡先073/451/5960松浦
 

いのちを守れ!フクシマを忘れない さようなら原発 全国集会 
2017年3月20日 代々木公園
主催:「さようなら原発」一千万署名 市民の会
【金原注】チラシから、開催趣旨を引用します。
福島原発事故から6年。福島では、8万人近い被災者が、いまでも苦しい避難生活を強いられており、被災者は、子どもたちの甲状腺がん、帰還と補償打ち切り、中間貯蔵施設、労働者被曝などの問題が山積する中で悩み苦しんでいます。また、政府は、福島原発廃炉などの事故処理費用を21.5兆円と試算し、費用の一部を電気料金に上乗せして、消費者にツケを回そうとしています。安倍政権は、原発の再稼働、核燃料サイクルの推進、原発輸出を掲げ、原発推進を強行しています。しかし、高速増殖炉もんじゅ」は廃炉に追い込まれ、核燃料サイクルの崩壊が始まっています。原発再稼働も、市民の強い反対の前で思うように進んでいません。フクシマの被災者と連帯し、原子力政策の根本的転換を迫りましょう。」
 
また、「さようなら原発ライブ」には、「李政美さん、板橋文夫さん、ジンタらムータ、趙博さん、中川五郎さん」などの魅力的なミュージシャンが続々登場ということで、どこかがネット中継してくれないかなと期待しています。
 

「高浜原発うごかすな!1.22関電包囲全国集会」に参加しました
 
集合(大阪中之島)→出発集会→デモ行進(西梅田公園まで)→関電本店ビル前での集会 のコース。参加報告です。

関西電力高浜原子力発電所は、福井県の西端にあり京都府舞鶴市と隣接するところに建てられています。高浜3・4号機の再稼働と差し止めの経過、および1・2号機の老朽原発については以下の通り。
●1974年に1号機による営業運転を開始、以降85年に運転開始の4号機まで、4基の原子炉がある。2011年1月には3号機でプルサーマルによる本格運転が再開されたが、福島第一原発事故の影響を受け、2012年までにすべての原子炉が停止した。●15年2月、3.4号機について原子力規制委員会は新規制基準によるGOサインを出したが、15年4月、福井地裁(樋口英明裁判長)は再稼働を認めない仮処分の決定。同年12月、福井地裁(林潤裁判長)は関西電力の異議申立を受けた異議審で先の再稼働差し止め仮処分を取り消し。●16年1月に3号機が、同じく2月に4号機が再稼働したが、4号機は直後に機器トラブルにより緊急停止。●16年3月には大津地裁(山本善彦裁判長)が、3・4号機について運転停止を命じる仮処分の決定を出し、運転中の3号機停止。7月異議審での関電の主張は退けられ、審理は大阪高裁へ。●一方、1・2号機については、16年6月、原子力規制委員会が運転を最長20年間延長することを認めた。建設から40年超の老朽原発で審査に合格し延長が許可されたのは初めて。
●現在、大阪高裁(山下郁夫裁判長)では3・4号機の大津地裁仮処分決定に対する抗告審が行なわれ、2月にも決定が出るもよう。もし、逆転判決が出れば、2月中の再稼働の可能性がある。
 
そういった中で、今回のデモ・集会の意味について次のように呼びかけられていました。
「関電は、何が何でも早急に結論を得て、再稼働に漕ぎ着けたいと躍起です。許してはなりません。これを許せば、関電は、世界的に見ても老朽な40年越え原発・高浜1、2号機、美浜3号機を含む他原発の再稼働の動きをさらに加速するでしょう。また、原子力規制委員会、政府、電力会社も、破綻した「もんじゅ」だけを切り捨て、それによって国民の信頼を回復して、荒唐無稽な核燃料サイクルをさらに推進するでしょう。このような状況の中で、関西および福井の各地で原発全廃の運動を進めてきた「原子力発電に反対する福井県民会議」、「さいなら原発・びわこネットワーク」、「さよなら原発神戸アクション」、「さよなら原発なら県ネット」、「ストップ・ザ・もんじゅ」、「若狭の原発を考える会」は 、呼びかけ団体となって、阪高裁決定前の1月22日(日)に、「高浜原発うごかすな!1.22関電包囲全国集会」を大阪で開催し、[原発NO!」の断固たる民意を司法に示し、全国に訴えたいと考えました。」(呼びかけ文より引用。太字は筆者)
【金原注】このパラグラフはニュースには掲載されていませんでしたが、「原発がこわい女たちの会」新ブログから転載しました。
 
動かすな高浜・中之島集会さて、デモ・集会参加の記ですが、とにかく大変過酷な気象条件でした。集合場所の中之島の市役所隣は地下鉄淀屋橋をあがってすぐ、すでにおおぜいの参加者と、ノボリが賑やかにはためいていました。出発集会を終えてデモに出発、という段になって激しい雨。プラカードを手に雨傘さして水溜まりよけながら歩く。御堂筋を北上し左折して関西電力本店ビルの近くまで約1時間の行程でした。
 
関電本店包囲の集会は時間通り16時に始まりました。雨はあがり薄日もさしていましたが、こんどは強風。関電ビルの正面はまともに西からの寒風があたり、寒いこと寒いこと。でもここは耐えるしかない、と気力で頑張りました。立ち姿勢でできる肩腕や足の筋肉運動やりながら。
 
木原壯林さん(若狭の原発を考える会)の主催者挨拶に続き、全国各地からの連帯の報告と決意表明がなされました。福島を皮切りに南は川内から北は泊まで、原発立地で反原発を闘っている11団体が結集と、全国ほぼ網羅。また、地元の関西や福井県の反原発グループや労働者、障がい者などからの発言が続きました。
 
じっくり情報共有するには正直、時間も環境も不足するのですが、北陸・志賀原発から来られた方の、戦前・戦中の朝鮮人労働者の犠牲の上に建設された富山の黒部ダム(事業主体は関電)のエピソードや、「命を大切に」との脳性まひの方からの訴えは心に迫るものでした。
 
福井原発訴訟(滋賀)弁護団長の井戸謙一さんは、次のようにアピールされました。「大阪高裁決定」が厳しいものになると悲観的な予想が多いが、必ずしもそうではない。原発を動かせば必ず事故のリスクをともなう。そのリスクを住民に負わすことは許されないこと。車や新幹線にもリスクがあるという人がいるが、原発とは違う。なぜなら原発がなくても発電は可能だから。必要ないのにリスクは大きい、この原発の本質を裁判所が理解すれば、私たちは訴訟に勝てる、と。
 
最後に、若狭の原発事故では数百万人の避難者を生み、1450万人の水源びわ湖が汚染され深刻な事態を引き起こしかねないこと、自然災害と違って原発事故は止められること、
私たちは原発の全廃を闘いとる、と決議して集会を終えました。参加者数はデモ450人、集会1000人だったそうです。悪天候にしては、よく集まったのではないでしょうか。
 
追記:この前々日に、高浜原発サイトで大型クレーン1台が核燃料を保管する建物に倒れこみ屋根を破損する事故が起こったばかり。暴風警報発令時などはクレーンを折り畳むなり寝かすなりするもの。自然の脅威を舐めている関電という会社の体質をあらためて思い知らされた一件でした。 (梅原清子)
 
以下に当日の動画があります。
 

 
東京電力福島第一原発事故後、福島県が実施している「県民健康調査」の検討委員会が27日、開催され、2巡目の健診で悪性または悪性疑いと診断された子どもは、前回より9人増え68人となった。また手術をして甲状腺がんと確定したのは、10人増え44人となった。1巡目と2巡目をあわせた数は、甲状腺がんの悪性または悪性疑いが183人。手術を終えた人が146人で、1人をのぞく145人が甲状腺がんと確定した
 
本格検査で甲状腺がんの疑いがあると診断された68人の年齢は、2次検査時点での年齢は9歳から23歳。性別は男性31人、女性が37人と1:1.19の比率だった。通常、甲状腺がんは女性の比率が高いが、男性比率が極めて高い結果となった。
 
清水一雄委員がこの点について、ベラルーシ甲状腺医デミチク医師が「チェルノブイリの変化のひとつに男女比がある」と言及していたことに触れ、県立医大の見解を糺したが、甲状腺検査を担当している大津留晶氏は回答を控えた。
 
また春日文子委員が再発状態や遠隔転移について質問したが、これについても、回答しなかった。
なお腫瘍の大きさは5.3ミリから35.6ミリで、先行検査の結果は、A1判定だった人が31人、A2だった人が31人で計62人。B判断だった人は5人。先行検査未受診者が一人いた。
 
岡山大学大学院環境生命科学研究科の津田敏秀教授が、今回新たに公表された2巡目のデータを解析した。津田教授は、「2巡目の検診結果は、相馬地区を除き、すでに桁違いの甲状腺がんの多発を示している。もちろん、統計的有意差が十分にある。」とした上で、「もはや2巡目について、スクリーニング効果」や「過剰診断仮説」は原理上は使えず、むしろ1巡目における「スクリーニング効果」や「過剰診断仮説」を評価をするにあたっての基準になる」と指摘する。
  
津田教授は、甲状腺がんの多発の原因について議論を避けている検討委員会を厳しく批判。「疫学理論を知っているかどうかよりも、論理的思考能力があるのかどうか、医学的根拠に基づいて議論することができるのかどうかという、公的機関の委員としての資質に問われる事態になったと思われる。」と述べた上で、海外を含め、きちんとした専門家を招き、議論するべきであると提言した。

~以上、ourplanet-TVの記事を転載~
【金原注】図表や動画(第25回「県民健康調査」検討委員会&記者会見)については、リンク先のourplanet-TVサイトでご覧ください。
 
ほっとけない話です。
小児甲状腺がん福島県やその周辺で増えています。しかし国は東京電力福島第一原発事故による放射能の影響だとは認めていません。
そのような中、親子で孤立し、診察や通院で経済的に追い込まれたり、進学、就職、結婚などで壁に突き当たったりしている子どもたちを支えるために「3.11甲状腺がん子ども基金」が昨年発足し(当会ニュース99号でお知らせ)、早急に必要な医療費給付事業「手のひらサボート」が動き出しました。(子ども基金のチラシ同封)
下記は「3.11甲状腺がん子ども基金2016/12/26ニュース」より。
 
 全国の皆さまからの寄付をいただき、昨年12月1日から受付を開始しました、療養費給付事業「手のひらサポート」は、昨年12月20日に給付対象者を決定し、26日から療養費を給付いたしました。第1回目となった給付を受けたのは35人。福島県26人のほか、神奈川県3人、宮城県群馬県、千葉県、埼玉県、長野県、新潟県が各1人でした。
 
 「手のひらサポート」の第一期は3月31日まで。
 1月半ばに第2回審査会議があり、1月末には、第2回の給付をいたします。第一期は、1月31日が第3回給付の申請締め切り、2月27日が第4回給付の申請締め切り、3月31日が第5回給付の申請締め切りとなっています。
 
 「手のひらサポート」は、甲状腺がんの手術をした方、または穿刺細胞診で甲状腺がんと診断された方に、療養費を給付する事業です。
 給付対象となる方は、2011年の原発事故以降に、岩手県宮城県山形県福島県新潟県、栃木県、群馬県茨城県、千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、静岡県、山梨県、長野県の1都14県に居住していた25歳以下の住民で、甲状腺がんと診断された方。金額は一律10万円で、アブレーション治療やアイソトープ治療の必要があると診断された人には10万円を追加して給付します。
 
 今回、第1期の募集期間は、2017年3月31日までで、事業は4月以降も継続します。
 
【金原注】「特定非営利活動法人 3・11甲状腺がん子ども基金」については、充実した公式ホームページがありますので是非ご覧ください。
 
同サイトから、「設立趣旨」と「役員」を引用します。
(引用開始)
設立趣旨
 チェルノブイリ原発事故後、子どもたちの間で小児甲状腺がんが急増しました。福島県民健康調査でも、多くの子どもたちが甲状腺がんと診断され、手術を受けました。リンパ節転移や遠隔転移、再発など、深刻な症例が報告されています。福島県外においても、自治体や民間の自主的な検診により、子どもたちの甲状腺がんが報告されています。政府は、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響による健康被害は起きないとしており、包括的な支援策が一切とられていない状況です。
 こうした中、甲状腺がんと診断された子どもと家族は孤立し、度重なる診察や通院費用などの面で経済的に困窮したり、進学、就職、結婚、出産などの度に壁にぶつかったりしています。また再発や転移により、一生、治療と向き合わなければならないケースも出ています。
 このような状況を解決するためには、治療費や通院費などの給付を含めた経済的支援はもちろん、多様かつ継続的な支援体制が欠かせません。また被曝による健康影響には、甲状腺がん以外の甲状腺疾患や白血病などの血液系のがん、乳がんを含む固形がん、非がん系の疾病など、様々な病気があり、これらの健康被害を見据えた上での、調査や対策が必要です。
 「3・11甲状腺がん子ども基金」は、独立性の高い資金によって、甲状腺がんの子ども等を支援するとともに、原発事故による健康被害状況の調査・把握を行っていきます。
役員
代表理事:崎山比早子
副代表理事:海渡雄一・武藤類子
理事:河合弘之・満田夏花・吉田由布子
監事:坂本有希・福田健治
(引用終わり)
 

電力システム改革とは
東電救済と原子力政策の負担を
国民に押し付けるシステムの事なのか。
 
 今までの電力事業者は総括原価方式で、必要なコストを全て原価に組み入れて電気料金に反映できた。その総括原価方式が2020年に撤廃される。そうなると多額の事故処理を抱える東電は、競争力が落ちて不利になる。だから、新電力に乗り換えた利用者も、必ず支払う託送金に賠償費用や廃炉費用を上乗せして、広く国民負担にさせる仕組みを作ろうと必死。「これを許してしまえば、今後、国民が支払う原発事故処理費用は、青天井になる可能性があります。」と大島堅一氏

 経産省は昨年12月、国民に非公開で、原子力を推進する財界人などで話し合う「東京電力改革・IF問題委員会」を開催。その中で、廃炉や賠償費用など、福島第一原発事故の処理費用が、2012年に試算した11兆円から、倍の21.5兆円に増えるという試算を示した。それに合わせて、政府は昨年末、事故処理費用を国民の電気料金にさらに上乗せすることを閣議決定した。
 
国民負担策・驚きの理由
 過去分の賠償金を45年前にさかのぼって徴収。日本に原子力発電所が出来た1966年から、事故が起きるまでの45年分をさかのぼり、「過去分」の賠償費用として、電気代の内“託送料金”と呼ばれる送電線使用料に上乗せして、2020年から40年かけて電気利用者から回収する。というのだ。(単純にその間の利益はどうするのだ)

 原発事故後、賠償費用以外にも、その事故処理費用で電気代に上乗せされているものがまだある。原発事故後から私たちの電気料金に含まれる負担総額は年1689円、2020年以降はさらに1500円値上がりして3165円になる。(3人家族で平均的な電気使用量の家庭で大島氏試算)

 国は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構を通して、事故後、東電に約9兆円近い交付国債を発行。東電はこれを、除染や賠償費用などに充てて来た。「問題は、このお金が東電への“貸し付け”ではなく“特別利益”として計上されていること。形式的には東電の債務にはならず、返済の義務もありません」ただし、東電を含む原子力事業者は、“負担金”という形で、毎年数千億円のお金を支援機構に支払っているが、負担金の多くは電気代に上乗せされ、国民から徴収されている。莫大な額の国民負担なのだ。

 さらに核燃料再処理(2011年2月に女の会「本当のはなし」で大島氏の講演で聞いた)や高速増殖炉もんじゅの開発費用など原発政策全体にかかわる費用を合わせると、現在でも年間4494円負担しているが、2020年以降は6000円近くも電気料金に上乗せされることになる。

 もっといろいろな問題がありこんな大きな電力ステム改革を市民に説明もなく。市民に分からせないで電気代として徴収してしまう魂胆だ。(「女性自身」1月30日号を参考にしました)松浦雅

 週刊エコノミスト2月7日号は詳しく「電気代は税金となった」特集を載せています。
 

汐見文隆先生、ありがとうございました
 
2016年11月3日、汐見文隆さんを偲ぶ会の報告。和歌山市勤労者総合センターにて、参加者107名と盛会でした。
 
医師・汐見文隆の行跡 汐見さんの主催された「公害教室」は、公害問題の学習の場として1972年に第1回が開催されて以来、166回(2002年)まで続けられましたが、この間、環境汚染、食品公害、薬害、たばこ問題、原子力発電、低周波音公害等々、幅広いテーマと講師の多彩さには圧倒されます。そして、学習だけに終わることはありませんでした。学んだ人たちが、或いは汐見さんご自身が原発現地の闘争などに関わってこられました。
 なお遺稿集『医師・汐見文隆の行跡』には、これらの膨大な記録が収められており、当日の参加者に配付されました。この大変貴重な文献の編集、出版に関わっていただいた皆さまに、深く感謝!!です。
 
 今回の偲ぶ会は「第167回公害教室・最終章」と銘打たれているように、前段15分は、残された汐見さんの映像による低周波音被害についての授業。
低周波音公害と現在医療~汐見文隆~(15分29秒)
 
◆参考DVD「風力発電の羽根の下で~和歌山における被害の実態~」(53分53秒)

 会の後段は県内外から集まられた方々から、それぞれの分野での足跡を振り返るお話をお聞きしました。どの方も生前の汐見さんについて超人的といってもよいその功績と運動の位置づけを語られました。お話しも尽きない感があって、終了予定時刻を大幅に過ぎてしまいました。
 会場にはご親族とともに、お連れ合いの汐見恵さんも車いすで参加され、じっと見守っておられました。恵さんはご承知の通り、長らく原発がこわい女たちの会の代表世話人として手腕を発揮されました。汐見文隆さんにも会の運営を陰ながらサポートしていただきました。ともにありがとうございました。
 
 公害はまだ終わっていない、原発もこれから、です。残された課題は大きいが、汐見文隆さんの遺志を継いで最後まで運動を持続していきましょう。     
 
◆「医師・汐見文隆の行跡」は、発行所・和歌山から公害をなくす市民のつどい、編集・寿郎社、2016年10月31日発行で、非売品ですが、汐見文隆・著『低周波音被害を追って』が寿郎社より同時発売されています(定価1900円)。 (梅原清子)
 
【金原注】
 寿郎社から刊行された『低周波音被害を追って—低周波音症候群から風力発電公害へ』のAMAZONに掲載された「内容紹介」を引用します。
(引用開始)
今後、より大きな問題となっていくであろう“知られざる公害"について書かれた〈社会・公害〉の棚に必備の一冊。 ◉低周波音被害とは 人間の耳には聞こえない低周波の空気振動が頭痛・吐き気・呼吸困難・しびれ等を引き起こす健康被害のことです。新幹線や車等の交通機関、モーター類の業務用機器、冷蔵庫やエアコンの室外機といった一般家電などが発生源です。また、近年ではエコキュート風力発電を発生源とした被害報告も相次いでいます。 人体への影響には個人差があり、さらに長期間同じ場所に暮らし続けている人にある日突然症状が出始めるため、他人に被害を理解されづらいのが特徴です。そのため医療機関に頼っても単なる不定愁訴と診断されやすく、また行政や企業を訴えても解決には至りません。これまでにも多くの被害者が慣れ親しんだ家を捨てることを余儀なくされてきました。 ◉著者・汐見文隆氏は 日本で初めて低周波音被害に取り組んだ内科医です。一九九〇年代からさまざまな著作・講演活動を通じて、この問題を広く訴えてきましたが、行政・法律の改善はいまだ見ず、全国にいる被害者は現在もなお苦しんでいます。汐見氏は二〇一六年四月に逝去。享年九二。本書はその遺稿でもあります。
(引用終わり)
 

お知らせコーナー
 
山口県・上関原発のその後
 2009年12月に「準備工事妨害行為者に対する損害賠償」として中国電力から提訴され、4800万円もの損害賠償を村民2人・カヤッカー2人計4人が請求されていたスラップ訴訟(女の会73号に記事)は、2016年8月30日に勝利的和解が成立しました。しかし、まだ上関原発建設計画は止まっていません。福島原発事故後、態度を引き延ばしていた山口県知事は中国電力の埋め立て免許延長申請を(2016年8月3日)許可してしまいました。
 
◇11月13日 琵琶湖が危ない-老朽原発美浜3号も廃炉に!11・13琵琶湖集会
 当会も賛同団体になり松浦が参加してきました。
【金原注】3時間に及ぶ集会の模様がIWJによるアーカイブ動画で視聴できます。
 
盛沢山な内容をIWJサイトから転記してご紹介します。
開会挨拶 アイリーン・美緒子・スミス氏(グリーン・アクション代表)
第1部「老朽原発廃炉に」
報告 鹿島啓一氏(弁護士、高浜1・2号老朽原発廃炉裁判等の弁護団)高浜1・2号老朽原発裁判の紹介等
報告 小山英之氏(美浜の会代表)「美浜3号機の40年越え運転にストップを!廃炉に!」
挨拶 北村栄氏(弁護士、高浜原発40年廃炉名古屋訴訟弁護団長)
/鹿島氏・小山氏 質疑応答/避難者から 菅野みずえ氏(福島県浪江町からの避難者)
第2部「避難計画では住民の安全は守れない」
報告 石地優氏(福井県若狭町)/宮崎宗真氏(福井県おおい町)/島田清子氏(避難計画を案ずる関西連絡会、美浜の会)
第3部「各地の運動の交流と廃炉署名集約、今後の取り組み」
報告 阪上武氏(原子力規制を監視する市民の会、フクロウの会)
/福井・京都北部・舞鶴・滋賀(県知事申し入れ)・京都・名古屋・岐阜・首都圏・大阪・京田辺(ビデオメッセージ)・兵庫・滋賀(保養キャンプ)から/今後の活動についてほか
集会アピール提案・採択
 
◇12月3日(土) もんじゅ廃炉へ!全国集会。
 女の会として賛同。参加は出来ませんでした。
 政府は21日午後、原子力関係閣僚会議を開き、高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉を決定した。使った以上の燃料を生み出す「夢の原子炉」と期待されたが1兆円以上の事業費を投じながら、わずか250日しか運転できなかった。しかし高速炉開発の継続方針。
【金原注】これも、IWJ福井によって中継されたアーカイブ(2本あります)を視聴できます。
 
内容は以下のとおりでした。
11:00~ 現地抗議集会と原子力機構への申し入れ(白木海岸)
・スピーチ 伴英幸氏(原子力資料情報室)/松永寛治氏(敦賀地区平和センター)
・申入書提案・採択/シュプレヒコール
・デモ 白木海岸→もんじゅゲート前/申入書受け渡し
13:00~ もんじゅ廃炉を求める全国集会(プラザ萬象)
・司会 佐伯昌和氏(反原発運動全国連絡会世話人
・開会挨拶 藤本泰成氏(原水爆禁止日本国民会議原水禁〕事務局長)
・福井現地報告 中嶌哲演氏(原子力発電に反対する福井県民会議)
・講演 福武公子氏(弁護士、旧・新もんじゅ訴訟弁護団)「もんじゅを安全に運転することは出来ない」
・講演 菅直人氏(元内閣総理大臣衆議院議員)「福島原発事故の真実」
・集会決議提案・採択 池島芙紀子氏(ストップ・ザ・もんじゅ)/シュプレヒコール
15:00~ 敦賀市内デモ プラザ萬象→敦賀駅
 
◇12月21日、原告になっている国相手の大飯原発止めよう裁判を傍聴しました。(松浦)
第20回法廷:11:00~大阪地裁202号法廷で
被告の準書面に対する反論と新たに、①福井地震のデーターによれば、「入倉・三宅式」による地震モーメントの数値は過小評価となり、一方で、「武村式」による地震モーメントの数値は実測値に近く、地震モーメントを正確に評価していること、及び、②.地震の加速度(短周期レベル(地震動のレベル))を算出するにあたり、「壇他の式」ではなく、「片岡他の式」を用いるべきであることを主張した。
 
◇安孫子亘監督ドキメンタリ―映画「知事抹殺」の真実 が完成しました。
昨年4月に梅原さんと福島の佐藤栄佐久氏宅にお伺いした時、映画製作中だと仰っていました。福島県から上映会が開催されています。
【金原注】映画『「知事抹殺」の真実』(安孫子亘監督)の公式サイトは以下
予告編


◇記 
遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。
昨年、隣の畑から侵入してきた茅を素手で引っこ抜こうとして右手を痛めた。中指が「バネ指」と診断されたのは、それが原因だと思う。
女たちの会は今年結成30年になります。
泉谷富子さんが生前70歳を過ぎて意識して外に出るようにしている。と言われていた。
私もそんな年になった。
「生きてるうちが花なのよ!死んだらそれまでよ党宣言 」という映画を思い出した。(松浦雅代)

(付記・金原より)
 「原発がこわい女たちの会」(新)公式ブログに、ニュース第100号
PDFファイルとして掲載されています。
 

(付録)
『声』 
作詞・作曲・演奏:円香
 
※2017年1月26日ライブ@渋谷GLAD
YouTubeチャンネルより引用
円香(まどか)
1997年和歌山生まれ。 うたを歌って、作詞・作曲・楽曲提供などをやってます。 音楽と自然と人が好きです。
今日も1日 みんなが健康で、
明日も1日 みんなが幸せで、
そして 世界が平和でありますように。

「週刊女性(2月14日号)」が掲載した「やっぱり『憲法改正』は必要なかった!」

 今晩(2017年2月1日)配信した「メルマガ金原No.2710」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
週刊女性(2月14日号)」が掲載した「やっぱり『憲法改正』は必要なかった!」
 
 日本における女性週刊誌の草分け(1957年創刊)である「週刊女性」の最新号(2月14日号)の表紙を眺めていると、以下のような記事のタイトルが目に飛び込んできます。
 
松本潤(33)「15年ぶりにジャニーさんと仕事した」
2017年ジャニーズ“帝劇の変”
 特別付録「ユーリ!!! on ICE」オリジナル両面ポスター
特別付録 防弾少年団?ひとり占め 最旬撮り下ろし&インタビュー
 
雅子さま(53)が目指す“平成流”の継承と削減
発掘秘話 横綱稀勢の里(30)稽古がつらい日に聴いた思い出CD
 
追悼特集&グラフ 愛されすぎた男の知られざる素顔
 松方弘樹さん(享年74)恋人、行きつけ店のオーナーらが明かす・・・
 
 以上のような芸能(ジャニーズ、韓流等)ネタ、皇室ネタの他、生活密着タイプ(?)の以下のような特集もあったりします。
 
10P特集 個人年金、イデコ、国債・・・
今年こそ今よりお金持ちになる!
 
 そして、よくよく目を凝らしていくと、「雅子さま(53)が目指す“平成流”の継承と削減」の右横(表紙の一番右端)に、小さなポイントの字で、
 
安倍首相はなぜ改憲ありきなの?
やっぱり憲法改正は必要なかった!
 
という記事のタイトルを見つけることができます。
 コンビニの店頭で立ち読みしていてこの記事を見つけ、「週刊女性(2月14日号)」を買ってきた・・・訳ではなく、実際は、私の事務所の事務員に頼んで(銀行などの外回りに行くついでに)コンビニに寄って買ってきてもらったものです。
 それというのも、私も登録している某MLに、昨日(1月31日)、名古屋学院大学教授の飯島滋明先生から、「今日発売の週刊女性で、憲法改正に関する記事が掲載されています。そこでコメントをしていますので、ご覧いただけますと幸いです。」というお知らせがあり、しかも、週刊女性が、最近も沖縄に関する良い記事を掲載していることを紹介された上で、「そうした雑誌を応援していただくという意味で」ぜひ購入して欲しいということでしたので、事務員をコンビニに派遣したという次第です。
 
 入手して読んでみたところ、この記事は見開き2ページという分量であり、内容的には、ジャーナリストの大谷昭宏さんと憲法学者の飯島先生からの取材を基に構成されたものでした。
 飯島先生からのお勧めもあり、「週刊女性」をささやかに応援するという趣旨で購入したのですが(税込430円)、同誌のめぼしい記事を転載する「週刊女性PRIME(シュージョプライム)」というサイトがあることを思いだして閲覧してみたところ、「安倍首相、通常国会で狙う憲法9条改正は「支持を得やすい項目から改憲を目指す」」というタイトルで、早くも今日(2月1日)、アップされていました。
 ネットで公開されていますので、どんな内容の記事か、少しだけ引用してみたいと思いますが、こんなに「気前よく」ネットで公開して、雑誌の売り上げに悪影響はないのでしょうか?
 
(抜粋引用開始)
憲法施行70年の節目にあたり、私たちの子や孫、未来を生きる世代のため、次なる70年に向かって日本をどのような国にしていくのか。その案を国民に提示するため、憲法審査会で具体的な議論を深めようではありませんか」
 安倍晋三首相(62)は1月20日、施政方針演説でそう述べた。昨夏の参院選で自民・公明・維新など改憲に前向きな勢力は衆参両院で3分の2を上回り、憲法改正の発議要件を満たしている。ついに、自分の手で歴史を変えるときがやって来た─。そういわんばかりの、のぼせあがった表情だった。
 ジャーナリストの大谷昭宏氏は、
「国民の反発を気にしてか、安倍首相は改憲についてしばらくトーンダウンしていましたが、どうやら、再びエンジンを吹かし始めたようですね」とみる。
(略)
 憲法学者はどう見ているのか。名古屋学院大学の飯島滋明教授(憲法学・平和学)は、「改憲論者が本当に目標としているのは、自衛隊の海外での武力行使を可能にするため、戦争や武力の行使を禁止している憲法9条を変えることです」と言い切る。
自民党などの改憲派は、9条改正が国民の支持をすぐ得られるとは思っていないため、支持を得やすいと思われる項目から改憲を目指しています。現段階では、大規模自然災害などに対処する『緊急事態条項』や家族は互いに助け合わなければならないという『家族条項』、『環境権』、高校・大学などの『教育無償化』の追加が有力です」(飯島教授)
 いずれも一見、“あってもいいかな”と思えるような項目だ。しかし、仮に国民の理解を得られる内容になったとして、その法整備は憲法を変えるしかないのだろうか。
「教育無償化を例にとると、本人の能力に応じた教育を国や自治体が提供することは憲法26条の『教育を受ける権利』が求めていることであり、憲法改正は必要ありません。別の法律を制定し、政策として実現すればいいだけの話です。緊急事態条項も、自然災害に対応するだけであれば、災害対策基本法などがすでに存在しているので必要ありません」(飯島教授)
(略)
 これから衆参両院の憲法審査会で改憲項目が絞り込まれていくとみられる。数にモノをいわせて改憲発議にこぎつけても、最後は国民投票で過半数の賛成がなければ憲法は改正できない。
憲法の旧仮名遣いを現代語にする改正が必要との主張があります。しかし、多くの中学では社会の授業で憲法前文を暗記させるなどして意味を教えていますし、わかりやすく説明する書籍も多く出版されています。むしろ、そのどさくさに紛れて憲法の意味を変える改正がなされるのが心配なんです」と飯島教授。
 ところで安倍首相は1月24日の代表質問で、民進党蓮舫代表の質問に「訂正でんでんというご指摘はまったくあたりません」と答弁。「云々」を「伝々」と読み間違えたとみられる。日本語に「伝々」という言葉はない。
 麻生財務相も首相在任中、「未曾有=みぞうゆう」「頻繁=はんざつ」「踏襲=ふしゅう」「低迷=ていまい」と誤読を連発して笑われた。安倍首相には“でんでん首相”と不名誉な呼び名もついただけに、言葉遣いを理由に改憲をゴリ押しするのはさすがに難しくなったのではないか。その動向に目を光らせたい
(引用終わり)
 
 書かれていること自体は、かねてから改憲反対運動に取り組んでいる人にとっては「今さら」のことかもしれませんが、普通の国民は、こんなこと知らないでしょうしね。いわゆる「護憲派」が、普通の国民の耳に届く言葉をなかなか持ち得ないことが最大の問題であるという認識を共有する者にとって、女性週刊誌によるこのような記事は、非常に「ありがたい」ものだろうと思います。ここは、430円で購入した上で、編集部(〒104-8357 東京都中央区京橋3-5-7 主婦と生活社 「週刊女性」編集部)に感謝の手紙を書くに如くはないですね(余っている年賀状を使ってもいいし)。
 
(余談/飯島滋明教授の業績)
 この記事を書くためにネット検索していて気がついたのですが、名古屋学院大学ホームページの教員情報には、「研究業績」を紹介する欄の右端に「PDF」という部分があり、論文などのPDFファイルにリンクされて公開されているのです。もちろん、全部という訳ではなく、教員の中にはほとんどPDFにリンクされていない方もおられますが、飯島滋明教授は、公開に非常に積極的とお見受けしました。
 ざっと眺めるだけでも、私の関心分野にぴったりの論考がいくつも目につきます。試しに何本か抜き出してみます。是非時間を作って勉強したいと思います。
 
 
 

(付録)
『500マイル』 
作詞・作曲:Hedy West 日本語歌詞:忌野清志郎 演奏:円香
 
※2017年1月26日ライブ@渋谷GLAD
YouTubeチャンネルより引用
円香(まどか)
1997年和歌山生まれ。 うたを歌って、作詞・作曲・楽曲提供などをやってます。 音楽と自然と人が好きです。
今日も1日 みんなが健康で、
明日も1日 みんなが幸せで、
そして 世界が平和でありますように。

 

続報・内容が固まってきました!“フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017”(2017年3月12日@和歌山城西の丸広場)

 今晩(2017年1月31日)配信した「メルマガ金原No.2709」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
続報・内容が固まってきました!“フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017”(2017年3月12日@和歌山城西の丸広場)
 
 昨年中に「速報」をお伝えした「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2017」(2017年3月12日@和歌山城西の丸広場)ですが、開催まであと1ヶ月半を切り、ほぼ内容も固まってきましたので、この辺で「続報」をお伝えしようと思います。

 「速報」でご説明したとおり、3.11直近の日曜日に、和歌山城西の丸広場において、今に繋がる「フクシマを忘れない!」「原発ゼロ」に特化した集会が開かれるようになったのは2013年からで、今年で5回目となります。
 内容のマンネリ化を指摘する声が一部にあることは承知しており、参加者の底上げを図るためにも、企画内容に新機軸を打ち出すことはもとよりとても重要ですが、それもこれも、まずは「続ける」という大前提があってのことですからね。
 
 さて、固まりつつある内容のうち、ステージ企画の出演者の内、この2組(といっても各1人ですが)はもう公表しても差し支えないでしょう。
 1人目は、今や「西の丸広場の歌姫」と称してもどこからも異論は出ないと思われる二児の母、ナツオさんです。昨年は、田辺から笠松美奈さんと南健二さんの友情出演を得て、和歌山市では久々の「なつおmeets南風」としてのステージでしたが、今年はまたウクレレ弾き語りのソロとしての登場でしょうか。
 ここでは、なっちゃんが第二子出産間際の2015年9月、田辺市のララ・ロカレで「なつおmeets南風」として演奏した名曲『スナメリ泳ぐ海』(作詞作曲・笠松美奈)をお届けしましょう。なお、この曲の詳細については、私のブログ(『スナメリ泳ぐ海』から世界を見たら/2013年11月16日)をお読みください。
 
 
円香2 もう1人は西の丸広場初登場(でしょうね)の円香(まどか)さんです。私が初めて円香さんの歌声に接したのは、昨春4月、和歌山市ぶらくり丁に出来た「almoギャラリー」のオープン記念企画・グループ展「内なる翼 10wings」を見るためにお店を訪れた際、2階のギャラリーで出展された彫刻作品などを見学していると、ふと窓の下から女声による歌が聞こえてきたのです。清浄で、伸びやかでいて音程もぶれない素晴らしい歌声に思わず聞き惚れてしまいました。あまりに感心したので、演奏終了後、思わず写真を撮らせてもらい、名刺を渡して「Facebookに写真をアップします」と約束したのでした。その時のスナップをご紹介します(そういえば、この時、ナツオさんも演奏していたのだった)。
 円香さんは、和歌山県海草郡紀美野町にあるりら創造芸術高等専修学校(昨年4月からはりら創造芸術高等学校)の卒業生ですが、彼女を見ているだけでも、素晴らしい学校なのだろうと思えてきます。
 ここで、円香さんの曲を1曲。開設されたばかりの公式YouTubeチャンネルから、1月26日、渋谷GLADでのライブ『星めぐりの歌』(作詞作曲:宮沢賢治)をお聴きください。

円香(まどか)YouTubeチャンネルより引用
1997年和歌山生まれ。うたを歌って、作詞・作曲・楽曲提供などをやってます。音楽と自然と人が好きです。
今日も1日 みんなが健康で、
明日も1日 みんなが幸せで、
そして 世界が平和でありますように。
 
 ところで、ナツオさんと円香さんは午後からのステージ企画に登場予定ですが、10時から始まる午前中の全体集会のオープニングに、あの女声ボーカルと男性2人(ギター&カホン)の3人組が出演して演奏してくれるという情報が飛び込んできました。これまでの実行委員会では全然話に出ていませんでしたが、多分確定でしょうね。詳しくは、第3弾のお知らせ(「速報」「続報」の次ですから、確定版のチラシをご紹介がてらの「詳報」になると思います)をお待ちください。
 
 以上は、音楽関連の企画ですが、午前中には全体集会を開き、ゲストを招いてのスピーチ等があります。過去のメインゲストは以下の方々でした。
 
2013年 
 小出裕章さん(当時・京都大学原子炉実験所助教
※西の丸広場近くの会場で行われる講演会のために来和された小出さんに、講演前にスピーチをお願いしたもの。小出さんのスピーチの時には大雨でした。
 渡辺陽子さん(当時・福島県郡山市から和歌山に母子避難されていました)
 佐藤勉さん(当時・福島県富岡町から和歌山に避難されていました)
2014年 
 伊東達也さん(原発問題住民運動全国センター筆頭代表委員、浜通り医療生活協同組合理事長)
2015年
 増山麗奈さん(画家・映画監督)「トーク&アート」
 竹本修三さん(脱原発京都訴訟原告団団長・京都大学名誉教授)「大飯原発再稼働差反対の訴え」
2016年
 吉沢正巳さん(希望の牧場・ふくしま代表)
 
 そして、今年の全体集会のメインゲストは、3.11当時、福島県立双葉高校で教諭をされていた松本佳充(まつもと・よしみつ)さんをお招きすることになりました。
 松本さんご自身、浪江町のご自宅は帰還困難区域ということで、郡山市で避難生活をされており、3.11から6年が経過した福島の現状を語っていただく予定です。
 
 最後に、過去2回のゲストである吉沢正巳さん(2016年)のスピーチ動画、そして竹本修三さん(2015年)のスピーチ原稿をご紹介したいと思います。
 吉沢さんのスピーチ動画は過去何度かご紹介していますが、竹本さんのスピーチ原稿のご紹介は初めてです。
 実は、今日、竹本先生から久しぶりにメールを頂戴し、「大飯原発差止京都訴訟の「原告団長報告集」のホームページを1週間かかってやっと作りました。今日公開しましたが、一度、ご覧いただければ幸いです。」ということでしたので、早速そのホームページを閲覧しました。
 貴重な論考がいくつも掲載されている中に、「2015年7月24日原告団総会その他」というコーナーに、2015年3月8日に和歌山城西の丸広場で開催された「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2015」における竹本さんのスピーチ原稿が全文掲載されていました。
 そこで、竹本先生に私のメルマガ(ブログ)への全文掲載をお願いし、ご快諾いただいたという次第です。
 なお、和歌山からも原告に参加している現在の大飯原発差止京都訴訟の状況については、原告団のホームページをご覧ください。
 
希望の牧場吉沢正巳さん20160313 in原発ゼロへ和歌山集会(20分)
 

原発再稼働は認めない!和歌山集会にて――竹本修三原告団長の訴え
2015 年3月8日「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2015」(3/8和歌山城西の丸広場)
原発再稼働は認めない。すべての原発廃炉に!
竹本修三(大飯原発差止京都訴訟原告団長、京都大学名誉教授)
◆ご紹介いただいた竹本でございます。本日は、この大きな集会にお招きいただき、発言の機会を与えてくださった金原徹雄先生や江利川春雄先生をはじめとする実行委員会の皆さまに、厚く御礼を申し上げます。
◆さて、ここ和歌山県は、日高町那智勝浦町周辺及び日置川(ひきがわ)町で原発設置計画がもちあがったときに、そのすべてに「NO!」の回答を出し、県内に原発を作らせませんでした。この和歌山県民の皆さまの見識の高さに、私は深く敬服いたしております。いま、和歌山の皆さんと私たち京都の仲間が、全ての原発廃炉にするために共に闘っていくことができることを、大変嬉しく存じます。
◆皆さま、よくご存じのように、昨年5月21日に福井地裁で樋口英明裁判長から「大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない」という原告勝訴の歴史的判決が言い渡されました。この判決文のなかに、ひとたび原発事故が起これば、250km以内の人に被害が及ぶ可能性があることが指摘されています。日本の原発から250kmの範囲を、コンパスで描いてみますと、日本のほとんどがこの範囲に入ります。僅かに北海道の東部と、沖縄県がここから外れるだけです。
◆和歌山の皆さんも、若狭湾原発群や浜岡原発から250kmの圏内に入ります。あなた方も原発事故の当事者なのですね。ですから、今日お集まりの皆さんは、原発の問題を他人事でなく、自分の問題として考え、自分のできる範囲で原発ゼロへの意思表示をしたいという思いで来られておられるのだろうと思います。私も同じ思いで、今日、ここに参りました。
◆昨年5 月21 日に福井判決の出た日に、京都地裁では大飯原発差止訴訟の第四回口頭弁論が開かれておりました。午後2時から始まった弁論の最初に、私は「地震国ニッポンで、原発稼働は無理!」という陳述を致しました。午後3時に口頭弁論が終わり、法廷を出て、横にある弁護士会館で開かれていた報告集会の会場に向かう途中、弁護団から「たったいま、福井地裁で勝利判決が出た」と知らされました。そこで早速私は、弁護団世話人の中島晃弁護士と共に福井に駆けつけ、福井県教育センターで開かれていた福井判決・勝利集会に出席し、福井の仲間と喜びを分かち合いました。この福井訴訟弁護団の事務局長と事務局次長である笠原一浩弁護士と阿部剛弁護士は、二人とも京大理学部の出身で、私の後輩です。この二人を中心に、福井の弁護団が科学的に根拠のある意見陳述をしてくれたことが、勝利判決に大きく貢献したのだろうと考えております。
◆それから1 か月ちょっと過ぎた6月28日に、私達は京都駅前のキャンパスプラザで「福井地裁判決の報告集会 in 京都」を開催し、福井訴訟弁護団の事務局長と事務局次長と共に、小浜の明通寺住職の中嶌哲演原告代表、並びに原告団の松田正事務局長をお招きして話を聞かせていただきました。集会には300名を超える人が集まってくれて、福井判決への関心の高さを改めて思い知らされました。
◆福井地裁の判決は、3・11福島第一原発の重大事故のあとに初めて出た原告勝訴の判決です。しかし、それよりも前に2例だけ、原発差止に関する原告勝訴の判決があります。その1つは、1985年に始まる福井県敦賀市高速増殖炉もんじゅの設置許可無効確認訴訟です。この裁判は、原告の適格性をめぐっていろいろやりとりがあり、福井地裁、名古屋高裁金沢支部及び最高裁の間をいったりきたりしましが、2003年に名古屋高裁金沢支部で、もんじゅの設置許可処分をめぐって原告勝訴の判決が出ました。2つ目は、1999 年に始まる石川県の志賀原発2号機建設・運転差止訴訟です。これは、2006年に金沢地裁で運転差止を命ずる判決がでました。しかし、この2例とも、その後の上級審で判決が逆転されて、原告側が敗訴になってしまいました。
◆私達は、2014年 11月 8日にキャンパスプラザにおいて、志賀原発訴訟の原告団弁護団のメンバーのほか、いまは大津市に住んでおられる当時の裁判長であった井戸謙一弁護士にもビデオ出演をお願いし、「原発再稼働を許すなひ京都集会-四半世紀にわたる『能登原発とめよう』運動の経験に学ぶ-」という集会を開催しました。これも大きな反響をよび、200人近い人々が集まってくれました。
◆昨年、福井地裁で大飯原発差止の判決が出されましたが、これ1つだと、それ以前の「もんじゅ」訴訟や「志賀原発」訴訟のように、上級審でひっくり返される可能性が高いです。そこで京都地裁でも福井地裁と同様に原告側の主張を認める判決が出て、2つの地裁で原告側が勝訴すれば、それを高裁でひっくり返すのが難しくなるでしょう。そこからすべての原発廃炉にする道筋が開けると考えております。
◆また、昨年11月27日に大津地裁では、「大飯原発、高浜原発の再稼働差し止め仮処分申し立て」に対して、山本義彦裁判長から申し立て却下が言い渡されてしまいました。しかし、その決定内容には、基準地震動の策定方法に関して関電から何ら説明がないことや住民の避難計画の策定が進んでいないことなども述べられていて、裁判長が原発稼働に強い危惧を抱いていることが読みとれます。そのうえで、こんな危険な状態なのだから「原子力規制委員会がいたずらに早急に、再稼働を容認するとは到底考えにくい」として、申し立てを却下したのです。この判決が出てすぐに、私は新聞社からコメントを求められ、「裁判長の判断の原子力規制委員会が早急に再稼働を容認するとは考えられないという見通しは、楽観的すぎる」と返事をしました。その後の原子力規制委員会の動きをみますと、まさに私が指摘した通りの経緯を辿っています。
◆今年2月12日に、原子力規制委員会は、高浜原発3・4号機が新規制基準を満たすと認めて、再稼働を承認しました。規制委員会の新規制基準には、「原子力施設の設置や運転等の可否を判断するためのもの」で、「絶対的な安全性」を確保するものではない、と書かれています。つまり、規制委員会は、「安全審査」ではなく、基準に合っているかどうかの「適合性の審査」を行うものであり、原発稼働にお墨付きを与えるための委員会なのです。ですから、規制委員会は、電力会社に対して対応可能な程度の改善策を提示し、電力会社の対応を見たうえで、「運転にあたり求めるレベルの安全性は満足しています」という審査書を出すことは、あらかじめ予想されていました。これは規制委員会と電力業界のなれあいの茶番劇であり、こんなことを許していては、無辜の国民は救われません。
◆話は戻りますが、昨年5月21日に福井地裁で出された判決文の地震原発に関する個所には、次のように書かれています。「地震大国日本において、基準地震動を超える地震大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しにしかすぎない上、基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば、そこでの危険は、万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険と評価できる」。これは、当日、福井判決の出る一時間前に私が京都地裁で陳述した内容と軌を一にするものだったので、大変心強く思いました。
◆さらに、福井地裁の判決文には、普通の人が普通の生活をする権利、つまり生存を基礎とする「人格権」こそが、すべての法分野において、最高の価値を持つものであり、それを脅かすものは、排除しなければならないということが述べられています。原発を稼働させないと化石燃料等の輸入が増えるから、国民の負担増になるという意見に対しては、「コストの問題に関して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることこそが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている」と、極めて人間性豊かな判決文になっています。
◆また、地球温暖化に関しては、「被告は、原子力発電所の稼働が CO2(二酸化炭素)排出削減に資するもので環境面で優れていると主張するが、原子力発電所でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染は凄まじいものであって、福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染であることに照らすと、環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである」と、被告側の主張を明快に退けています。ストンと腑に落ちる名判決ですね。この判決文はWeb からダウンロードできますので、皆さん、ぜひお読みください。
◆先ほども触れましたが、原子力規制委員会は、つい先日、高浜原発3・4号機が新規制基準を満たすと認めて、再稼働を承認しました。これによって原発再稼働を目指す国や関電の動きは勢いづくと思います。それを視野に入れて、私達は今年5月28日に予定されている京都訴訟の次の第7回口頭弁論で、高レベル放射能廃棄物の処分問題をメインテーマとして陳述を展開したいと考えております。
原発を動かす限り、高レベルの放射能廃棄物が貯まり続ける訳ですが、その処分方法は、いまだに何も具体的に決まっていないのです。まさに「トイレなきマンション」ですね。この状態のままにしておいて再稼働を認めれば、高レベル放射能廃棄物をますます増やすことになり、後世の世代に大きな負債を背負わせることになります。この一点だけでも鋭く追及すれば、原発再稼働はアウトです。こうして、福井地裁に続いて京都地裁でも原告勝訴の判決を勝ち取れれば、そこから全ての原発廃炉にする展望が開けてきます。「今さえよければあとはどうなってもいい。ケセラセラだ」という安倍首相の態度は、あまりに無責任だ、と皆さん思われませんか? 私は許せません。
◆私達は、2012年に1,107名の原告で大飯原発(1~4号機)の運転差し止め訴訟を起こしました。その後、2013年に856名で第二次提訴、2015年1月29日に730名で第三次提訴を行い、現在の原告は合計2,693名となっています。数は力なので、2015年中にさらに1,000人の新規原告を増やして第四次提訴をしたいと考えております。今日お集まりの皆さんも、ぜひこの趣旨にご賛同いただき、原告のひとりになっていただきたいと思います。
◆原告になっていただくには5,000円の参加費が要りますが、そのほとんどは訴訟の際の収入印紙代に消えてしまい、弁護士費用も捻出できません。私も個人としては、5,000円の参加費はいささか痛いですが、それが可愛い孫の世代に負債を残さないで済む道筋につながると思えば、仕方ないかと思っております。
 

(金原注)2016年3月9日、大津地裁(山本善彦裁判長)が高浜原発3号機、4号機の運転を差し止める仮処分決定を出したことはご存知のとおり。
 

(付録)
りら創造芸術高等学校 10周年記念式典オープニング動画』 音楽・円香