wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

院内勉強会「国連人権理事会に福島原発事故被災者が参加~国連国内避難民に関する指導原則を政策に生かす~」(2018年7月4日)を視聴する

 2018年7月5日配信(予定)のメルマガ金原No.3199を転載します。
 
院内勉強会「国連人権理事会に福島原発事故被災者が参加~国連国内避難民に関する指導原則を政策に生かす~」(2018年7月4日)を視聴する
 
 昨日7月4日(水)午前11時から、衆議院第一議員会館第6会議室において、【院内勉強会】「国連人権理事会に福島原発事故被災者が参加~国連国内避難民に関する指導原則を政策に生かす~」が開催されました。
 主催は、「国際環境NGOグリーンピース・ジャパン」、「東日本大震災避難者の会 Thanks&Dream(サンドリ)」、「ひなん生活をまもる会」の3団体、他に「原発事故被害者を救済する全国運動」が共催として加わっています。
 主催団体のサンドリのホームページに予告記事が掲載されていましたので、その一部をご紹介しましょう。
 
【院内勉強会のご案内とご協力のお願い】 2018年7月4日(水)11〜13時「第37/38回国連人権理事会に福島原発事故被災者が参加 ~国連国内避難民に関する指導原則を政策に生かす~」@衆議院第一議員会館(参加費無料)
(抜粋引用開始)
【サンドリからのお願い】
 お知り合いの国会議員地方議会議員・候補者・秘書の皆さまがおられましたら、ぜひ、ご参集のお呼びかけをお手伝いいただけませんでしょうかm(_ _)m
 全国47都道府県に原発事故避難者(国内避難民)がまだまだ困難な状況を抱えて3.11から7年3ヶ月経過した今も存在しています。2018年3月19日に人権理事会本会議に参加させていただいて、日本の3.11以降の被災者の人権状況についてお伝えしてまいりました。
 その共有と、今後の被災者の人権擁護のために、全国でお支えくださる皆さまとともにご一緒に避難者(国内避難民)の人権状況の改善にお力をお貸しいただけましたらとてもありがたく存じます。
 避難者は皆さまのお住まいの都道府県に存在し、実は身近なところでまだ苦難を抱えています。
 今後も、学校、地域、職場、市民社会全体でともに考えて参りたいと思っています。
 なぜなら、災害は、いつ、誰にでも起こりうる事で、自然災害はもとより、原子力災害による惨禍も、ほぼ全国で起こりうる状況があるからです。今、被災者救済の制度や施策が確立されないで、いつ確立するのでしょうか。
 メディアの皆様方にもぜひ、国連人権理事会とは何をしているところかも含めた報道を通じて、日本が世界からどのようなご指摘(勧告)を受けているのか、ぜひ報道していただきたいと思います。
 お知り合いのメディア・報道機関各社にもどうぞお知らせをお願い申し上げます。
 院内勉強会の開催させていただけますことを心から感謝申し上げます。
 開催に向けてご協力くださいました皆様方に心より感謝申し上げます。
 出来るだけ多くの皆様方とともに、院内勉強会を通して具体的に全国の未だ困難にある状況の福島原発事故被災者の人権状況を少しでも改善される施策の実施に繋がりますよう、心から願っています。
 どうぞ引き続きのご支援・ご協力を重ねてお願い申し上げます。
(引用終わり)
 
 あらためてこの【サンドリからのお願い】を読みながら、私自身、知り合いの議員やメディア関係者に何の働きかけもしなかったなと、忸怩たる思いになりました(反省)。
 
 なお、昨日の院内勉強会の趣旨自体については、上記「サンドリ」サイトに画像としてアップされているチラシから引用しておきます。
 
(引用開始)
 現在、スイスのジュネーブで第38回国連人権理事会が開かれています。6月27日には、「国内避難民(IDP)」の権利について、東電福島原発事故避難者である園田さん(福島県から避難中)がIDPの権利についての特別報告者とオーストリアホンジュラスウガンダの代表団共催のサイドイベントに招かれ、国連人権機関関係者や人権理事会加盟国代表者らと意見交換をしました。
 そこで園田さんの参加を仲介した国際環境NGOグリーンピースから、サイドイベントの報告をいたします。また、第37回国連人権理事会で原発事故被災当事者として演説をした森松明希子さん、国際人権NGOヒューマンライツナウ事務局長の伊藤和子さんをお招きし、国連IDP原則を日本の避難者政策に適用させる必要性、どう生かすべきか、を伺います。報告の前に、「国連国内避難民に関する指導原則」について外務省よりご説明いただきます。
(引用終わり)
 
 それでは、UPLANさんによる中継動画をご覧ください。
 
20180704 UPLAN 第37/38回国連人権理事会に福島原発事故被災者が参加~国連国内避難民に関する指導原則を政策に生かす(2時間05分)
冒頭~ 司会 城野千里さん(国際環境NGOグリーンピース・ジャパン広報担当)
2分~ 山崎誠衆議院議員立憲民主党・東北ブロック比例)
8分~ 3月の人権理事会での森松明希子さんのスピーチについて(動画)
12分~ 山口忍さん(外務省 国際協力局 緊急・人道支援課 課長代理)
25分~ 山口さんの説明についての質疑応答
29分~ 伊藤和子さん(国際人権NGOヒューマンライツナウ事務局長)「福島第一原発事故と女性・子どもの権利 UPR審査の意義」
44分~ 国会議員挨拶
1時間04分~ 鈴木かずえさん(国際環境NGOグリーンピース・ジャパン)「第38回国連人権理事会で「国内避難民」の権利について議論」
1時間13分~ 国会議員挨拶
1時間15分~ 森松明希子さん(東日本大震災避難者の会 Thanks&Dream(サンドリ)代表
1時間23分~ 車田麻美さん(東日本大震災避難者の会 Thanks&Dream(サンドリ)副代表
1時間29分~ 国会議員挨拶
1時間32分~ パネルディスカッション「IDP原則を政策にどう生かすか?」
  
 「国連国内避難民に関する指導原則」については、外務省で翻訳するという表明があったようですが、今のところは、以下の日本語版作成委員会による翻訳がネットで読めます。
 
PDF「国内強制移動に関する指導原則 日本語版」(2010年10月)
作成・編集・出版 GPID日本語版作成委員会(代表:墓田 桂)
池田丈佑、小澤藍、小坂順一郎、佐藤以久子、長嶺義宣、墓田桂、橋本直子、山本哲史
 
 国連「国内避難民に関する指導原則」を、東電福島第一原発事故による避難民の救済にどう生かすのか、というのは、これまで国内ではあまり取り上げられてこなかった視点であり、この【院内勉強会】開催を機に、この考えを広めていきたいというのが、主催者の重要な開催目的だったのだろうと思います。
 私もしっかりと勉強しなければ。
 
(予告)
 なお、話は変わりますが、私も世話人に名前を連ねている「子どもたちの未来と被ばくを考える会」(会の連絡先は金原法律事務所となっています)が、来る8月26日(日)に、森松明希子さんをお招きすることになりました。いずれ詳しくブログでもご紹介するつもりですが、日程は以下のとおりです。和歌山の方は、是非今からご予定ください。
日時:2018年8月26日(日)14時00分~16時30分
会場:県民交流プラザ 和歌山ビッグ愛 9階 会議室A
     和歌山市手平2丁目1-2
講師:森松明希子さん
主催:子どもたちの未来と被ばくを考える会
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/森松明希子さん関連)
2013年9月1日
8/31シンポ「区域外避難者は今 放射能汚染に安全の境はありますか」(大阪弁護士会)に参加して
2013年12月21日
森松明希子さんが語る原発避難者の思い(12/19大阪市立大学にて)
2014年2月8日
母子避難者の思いを通して考える「いのち」(「母と女性教職員の会」に参加して)
2014年9月12日
原発賠償関西訴訟と森松明希子さん『母子避難、福島から大阪へ』
2014年9月16日
9/18原発賠償関西訴訟第1回口頭弁論に注目を!~原告団代表・森松明希子さん語る
2014年11月29日
東日本大震災避難者の会「Thanks & Dream」(略称「サンドリ」)の活動に期待します
2015年4月11日
原発賠償関西訴訟(第1回、第2回)を模擬法廷・報告会の動画で振り返る(付・森松明希子原告団代表が陳述した意見)
2015年10月30日
「避難の権利」を求める全国避難者の会が設立されました
2015年12月1日
11/23世界核被害者フォーラム「広島宣言」&「世界核被害者の権利憲章要綱草案」(付・森松明希子さんの会場発言「避難の権利と平和的生存権」)
2015年12月14日
避難者の声を届けたい~森松明希子さんのお話@12/13東京都文京区(放射線被ばくを学習する会)
2016年1月11日
「避難者あるある五七五」東日本大震災避難者の会Thanks&Dream(サンドリ))の挑戦~五七五だから語れる避難者の思い
2016年9月17日
UPLAN【原発事故避難者インタビュー】に注目しよう~まずは松本徳子さんと森松明希子さん
2016年11月30日
「避難の権利」を訴える総理大臣と福島県知事への手紙~森松明希子さんから
2017年3月5日
『3.11避難者の声~当事者自身がアーカイブ~』(東日本大震災避難者の会Thanks&Dream(サンドリ))を是非お読みください
2017年9月19日
「ともに生きる未来を!さようなら原発さようなら戦争全国集会」(2017年9月18日@代々木公園)の動画を視聴する
2017年9月20日
平和のうちに生きる権利を求めて~森松明希子さんの「ともに生きる未来を!さようなら原発さようなら戦争全国集会」(2017年9月18日@代々木公園)での訴え
2018年3月9日
院内勉強会「国連人権理事会、福島原発事故関連の勧告の意義とは?」を視聴し、3/16国連人権理事会での森松明希子さんのスピーチに声援を送る
2018年3月21日
国連人権理事会での森松明希子さんのスピーチ紹介~付・4か国からのUPR福島勧告と日本政府による返答
2018年5月29日
森松明希子さんらによる「国連人権理事会発言者による報告会~東電福島原発事故と私たちの人権~」(2018年5月27日@スペースたんぽぽ)を視聴する

「立憲デモクラシー講座・第Ⅲ期」第6回・前川喜平氏(前文部科学事務次官)「教育改革における「個人」と「国家」~臨時教育審議会のパラドックス~」のご紹介

 2018年7月4日配信(予定)のメルマガ金原No.3198を転載します。
 
「立憲デモクラシー講座・第Ⅲ期」第6回・前川喜平氏(前文部科学事務次官)「教育改革における「個人」と「国家」~臨時教育審議会のパラドックス~」のご紹介
 
 立憲デモクラシーの会が主催(時に協力ということも)する「立憲デモクラシー講座」の第Ⅲ期も、回を重ねて第6回が開かれました。時期的に見て、第Ⅲ期はこれが最後かもしれません・・・と思っていたのですが、最後の山口二郎さん(共同代表)の挨拶によると、7月20日(金)、戦前の国体思想や学問の弾圧(だけではないでしょうが)などをテーマとして開催するようで、基調講演2人+パネルディスカッション(西谷修さんや石川健治さんも参加)という盛り沢山な内容となるようです。
 以上予告された次回もそうですが、従来、政治学憲法学の研究者が講師を務めることが多かった「立憲デモクラシー講座」の取り上げるテーマや講師が、第Ⅲ期では、相当に広い範囲から選ばれるようになったという印象があります。
 何しろ、最新の第6回の講師は前川喜平さん(前文部科学事務次官)だったのですからね。
 以下に、第Ⅲ期の講師とテーマをご紹介しておきます。
 
第1回 2017年12月15日 
山口二郎氏、佐々木寛氏、柿崎明二氏「市民連合と選挙政治-到達点と課題」
 
第2回 2018年1月26日 
本田由紀氏(東京大学大学院教授)「家族に干渉する国家―家庭教育支援法案を中心に」
 
第3回 2018年3月2日 
石田淳氏(東京大学大学院総合文化研究科教授)「安全保障のディレンマと立憲デモクラシー」
 
第4回 2018年4月27日
上西充子氏(法政大学キャリアデザイン学部教授)「働き方改革という策略―裁量労働制高度プロフェッショナル制度をめぐって」
 
第5回 2018年5月11日
丹羽宇一郎氏(元伊藤忠商事会長、元駐中国大使)「戦争に近付くな」
 
第6回 2018年6月29日
前川喜平氏(前文部科学事務次官)「教育改革における「個人」と「国家」~臨時教育審議会のパラドックス~」
 
 今回も、いつものようにUPLANさんによる動画がアップされていますのでご紹介します。
 
20180629 UPLAN 前川喜平「教育改革における「個人」と「国家」~臨時教育審議会のパラドックス~」(2時間03分)
 
 なお、残念ながら音声レベルは、聴きとりやすいとはどうも言いにくいようなので、外付けのアンプ付き小型スピーカーを接続して聴かれることをお勧めしたいと思います(パソコンで講演動画を視聴する人の必需品~「ダイソー300円スピーカー」をお薦めします/2018年6月16日)。
 
 なお、講演の内容に関連していくつかのサイトをご紹介しておきます。
 
〇文部省『学制百二十年史』(ぎょうせい刊/1992年)
 第三編 教育・学術・文化・スポーツの進展と新たな展開
  第一章 教育改革
   第三節 臨時教育審議会と教育改革
    一 臨時教育審議会設置までの教育改革の検討
    二 臨時教育審議会の発足
        三 臨時教育審議会の答申
    四 臨時教育審議会答申の実施状況
 提唱者であった中曽根康弘首相をして、「会長を学者にしたのと(財界人にすれば良かった)、事務局を文部省にしたのが失敗だった」と言わしめた臨教審の成果について、文科省サイトの中で詳しく言及しているのは以上の部分しか見つかりませんでした。4次にわたる答申自体も、ネットで見つけることができませんでした。
 わずかに、以下の第4次(最終)答申の(抄)が見つかっただけです。
 
〇教育改革に関する第4次答申(最終答申)(抄)
 
 前川さんが、1947年・教育基本法の前文を諳(そら)んじておられることはつとに有名だと思いますが、この立憲デモクラシー講座の冒頭においても、同前文を暗唱される前川さんの姿を視聴できます。
 以下に、いまだに文科省サイトに掲載されている1947年・教育基本法から前文を引用します。
 
文部科学省 教育基本法資料室へようこそ! 昭和22年教育基本法制定時の条文
(前文を引用開始)
 われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
 われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。
 ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。
(引用終わり)
 
(参考書籍)
 前川さんの初めての単著でしょうか、前川さんの座右の銘をそのままタイトルにした『面従腹背』という本が出来ました。私も未入手ですが、是非読んでみたいと思います。
 
前川喜平著『面従腹背』(毎日新聞出版
【目次】
はじめに~個人の尊厳、国民主権
第1章 文部部官僚としての葛藤
第2章 面従腹背の教育行政
第3章 教育は誰のものか
第4章 特別座談会 加計学園問題の全貌を激白
 前川喜平
 寺脇研京都造形大学教授)
 倉重篤郎(毎日新聞専門編集委員
おわりに~面従腹背から眼横鼻直へ
巻末 面従は一切なし Twitterなら何でも言える
    ほぼ独り言の「腹背発言集」
 
 上の目次(おわりに)に出てくる「眼横鼻直」は「がんのうびちょく」と読む道元禅師の説法に由来する禅語であり、「あたり前の事実を、ありのままに見て、しかも、そのままである真実を頷(うなず)き取る。」意だそうです(臨済禅・黄檗禅公式サイトより)。
 「面従腹背から眼横鼻直へ」の真意を知りたい人は、この本を買わねばならないでしょうね。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/立憲デモクラシー講座)
2015年11月15日
佐々木惣一が発見した「国民の存在権」(憲法13条)と自民党改憲案~石川健治東大教授の講義で学ぶ(11/13立憲デモクラシー講座 第1回)
2015年12月12日
山口二郎法政大学教授による「戦後70年目の日本政治」一応の総括~12/11立憲デモクラシー講座 第3回)
2016年1月8日
中野晃一上智大学教授による「グローバルな寡頭支配vs.立憲デモクラシー」~1/8立憲デモクラシー講座第4回)
2016年1月31日
杉田敦法政大学教授による「憲法9条の削除・改訂は必要か」~1/29立憲デモクラシー講座 第5回)
2016年3月28日
立憲デモクラシー講座第6回(3/4三浦まり上智大学教授)と第7回(3/18齋藤純一早稲田大学教授)のご紹介
2016年4月11日
立憲デモクラシー講座第8回(4/8)「大震災と憲法―議員任期延長は必要か?(高見勝利氏)」のご紹介(付・『新憲法の解説』と緊急事態条項)
2016年4月25日
立憲デモクラシー講座第9回(4/22)「表現の自由の危機と改憲問題」(阪口正二郎一橋大学教授)」のご紹介(付・3/2「放送規制問題に関する見解」全文)
2016年5月15日
立憲デモクラシー講座第10回(5/13)「戦争化する世界と日本のゆくえ」(西谷修立教大学特任教授)のご紹介
2016年6月16日
立憲デモクラシー講座第11回(6/3石田英敬東京大学教授)と第12回(6/10岡野八代同志社大学大学院教授)のご紹介
2016年10月22日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」スタート~第1回・白藤博行専修大学教授「辺野古争訟から考える立憲地方自治」(10/21)のご紹介
2016年11月21日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第2回・木村草太首都大学東京教授「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」は視聴できないけれど
2016年12月17日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第3回・五野井郁夫高千穂大学教授「政治的リアリズムと超国家主義丸山眞男の国際政治思想から現代世界を読む」のご紹介
2017年1月16日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第4回・山口二郎法政大学教授「民主主義と多数決」のご紹介
2017年3月11日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第5回・青井未帆学習院大学教授「裁判所の果たす役割~安保法制違憲国家賠償請求訴訟を題材に」のご紹介
2017年5月5日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第6回・石川健治東京大学教授「天皇と主権 信仰と規範のあいだ」のご紹介
2017年6月29日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第7回・島薗進上智大学特任教授&石川健治東京大学教授「教育勅語―なにが問題か:天皇・軍隊・人間」のご紹介
2017年12月17日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅲ期」第1回・山口二郎氏、佐々木寛氏、柿崎明二氏「市民連合と選挙政治-到達点と課題」のご紹介
2018年1月30日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅲ期」第2回・本田由紀氏(東京大学大学院教授)「家族に干渉する国家―家庭教育支援法案を中心に」のご紹介
2018年3月3日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅲ期」第3回・石田淳氏(東京大学大学院総合文化研究科教授)「安全保障のディレンマと立憲デモクラシー」のご紹介
2018年4月29日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅲ期」第4回・上西充子氏(法政大学キャリアデザイン学部教授)「働き方改革という策略―裁量労働制高度プロフェッショナル制度をめぐって」のご紹介
2018年5月13日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅲ期」第5回・丹羽宇一郎氏(元伊藤忠商事会長、元駐中国大使)「戦争に近付くな」のご紹介
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/YouTube版・立憲デモクラシー講座)
2018年2月18日
YouTube版・立憲デモクラシー講座が始まった~第1回(山口二郎氏)、第2回(杉田敦氏)、第3回(長谷部恭男氏)のご紹介
2018年3月12日
YouTube版・立憲デモクラシー講座第2回「立憲政治とは何か」(杉田敦法政大学教授)のご紹介~【音声改良版】再アップ
2018年3月14日
YouTube版・立憲デモクラシー講座に石川健治東京大学教授(憲法学)が登場~しかも3回分(第4回~第6回)の「大河」講義
2018年4月6日
YouTube版・立憲デモクラシー講座・第7回「「メディアと政治」を考える」(石田英敬東京大学教授)を視聴する
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/前川喜平氏関連)
2017年6月2日
前川喜平前文部科学事務次官の記者会見&インタビュー動画を視聴する
2017年7月22日
前川喜平前文部科学事務次官の日本記者クラブ記者会見&国会参考人質疑を読む(視聴する)
2017年11月25日
前川喜平/寺脇研『これからの日本、これからの教育』(ちくま新書)を読む
2017年12月7日
【日程速報】2018年4月27日・前川喜平氏寺脇研氏が和歌山で語る(青法協憲法記念の夕べ)&【必見動画】前川喜平氏ロングインタビュー(IWJ)
2018年1月10日
「前川喜平さん・寺脇研さんズバリ加計問題を斬る」で「加計問題」を語り、同日「寺脇研トークセッション004」では「教育」を語る(2018年1月8日@岡山市
2018年1月31日
市民連合「あたりまえの政治を取りもどす 1.30シンポジウム」に登壇した前川喜平さん、望月衣塑子さん、寺脇研さん
2018年2月7日
神戸市(1/16)と今治市(2/3)での前川喜平氏講演会の動画を視聴しながら、和歌山市(4/27)での講演会を心配する私
2018年3月8日
前川喜平氏寺脇研氏が語る「これからの日本 憲法と教育の危機」~青法協和歌山支部憲法を考える夕べ(2018年4月27日)へのお誘い
2018年4月5日
会場が変わりました!前川喜平氏寺脇研氏が語る「これからの日本 憲法と教育の危機」(2018年4月27日@和歌山県民文化会館大ホール)
2018年4月18日
「これからの日本 憲法と教育の危機(前川喜平氏寺脇研氏)」4/27@和歌山県民文化会館大ホールのお知らせと前川氏講演動画「憲法とわたし」(4/17)のご紹介
2018年4月22日
市民連合「あたりまえの社会を考えるシンポジウム~貧困・格差の現場から」(2018年4月20日北とぴあ・さくらホール)を視聴する~本田由紀さん、前川喜平さん他
2018年4月28日
前川喜平氏寺脇研氏、堀内秀雄氏「これからの日本 憲法と教育の危機」(青年法律家協会和歌山支部)に1,500人!~天の時・地の利・人の和

和歌山県が公表した「旧優生保護法に関連した資料等の保管状況等調査結果」(2018年7月2日)を読んで

 2018年7月3日配信(予定)のメルマガ金原No.3197を転載します。
 
和歌山県が公表した「旧優生保護法に関連した資料等の保管状況等調査結果」(2018年7月2日)を読んで
 
 本日(7月3日)午後1時から3時まで、和歌山弁護士会館において、通算3回目の「全国一斉 旧優生保護法による不妊手術110番」が実施されました。
 残念ながら(と言うべきでしょうか)、今回も相談はありませんでしたが、和歌山弁護士会では、今後も随時相談を受け付けています。
  和歌山弁護士会  
  電話:073-422-4580 FAX:073-436-5322
 
 今日の相談会については、私もブログでご紹介しましたが(和歌山弁護士会など「全国一斉 旧優生保護法による不妊手術110番」(2018年7月3日)実施のお知らせ~今度が3回目です/2018年6月24日)、
和歌山弁護士会が開いた記者会見の模様を、地元紙のわかやま新報が伝えてくれていましたので、一部ご紹介します。
 
わかやま新報 18年06月30日18時57分
優生保護法の被害相談会 3日弁護士会
(抜粋引用開始)
 和歌山弁護士会(山下俊治会長)は3日午後1時から3時まで、和歌山弁護士会館(和歌山県和歌山市四番丁)で「全国一斉旧優生保護法による不妊手術110番」の来館相談と電話相談を実施する。
 和歌山弁護士会人権擁護委員会委員長の藤井幹雄弁護士と同高齢者・障害者支援センター運営委員会委員長の長岡健太郎弁護士が、同弁護士会館で記者会見を行い発表した。
(略)
 記者会見で藤井弁護士は「ご本人自ら相談するのはハードルが高いので、周りの方が本人に伝えてほしい」、長岡弁護士は「和歌山でも間違いなく被害がある。被害実態をぜひ相談してほしい」と呼び掛けた。
(引用終わり)
 
 ところで、和歌山での強制不妊手術の実態(というほどのものではありませんが)について、昨日、和歌山県から以下のような発表がありました。
 
優生保護法に関連した資料等の保管状況等調査結果
(発表は7月2日付、県ホームページでの公開は7月3日)
連絡先 福祉保健部 健康局 健康推進課 
担当者 森、尾﨑 
電話 073-441-2642(内線2642)
FAX 073-428-2325 
E-mail e0412001@pref.wakayama.lg.jp
 
 厚生労働省から照会のあった本調査について、本県の調査結果は次のとおりです。
 なお、今回の調査により新たに個人が特定された情報はありません。
 
1 旧優生保護法において、作成・提出等が定められている資料と同内容の資料の保有状況 
 「優生手術台帳」1冊(昭和24年~昭和60年(ただし、申請のない年もある。))
 
2 優生手術の申請、審査、手術実施の各段階における件数
・申請件数193件の内訳は、男24件、女157件、不明12件で、第4条に基づく申請が179件、第12条に基づく申請が14件でした。
 なお、審査の結果、手術を行うことが「適当(適)」と認められたのは165件、「不適当(否)」となったものが2件、いずれの記載もないものが26件でした。
・手術実施日の記載があるのは127件、手術未実施の記載のあるのは9件であり、55件については、いずれの記載もありませんでした。                
・第3条関係で確認できた資料はありませんでした。
(※詳細は別紙のとおり)
 
3 その他の統計資料等(※情報公開コーナー・文書館に保管)
・「衛生統計年報」昭和24年(和歌山縣の衛生統計)、昭和38年~47年
・「事業概要(健康対策課)」昭和58年~61年、平成元年~6年、平成8年、平成9年
 
<調査の概要>
(1)調査目的
 旧優生保護法第3条(第1項第4号及び第5号を除く。)、第4条、第12条に基づき実施された優生手術にかかる資料や記録の現時点での県等の保有状況を把握するため
(2)調査対象
 旧優生保護法が施行されていた昭和23年から平成8年までの都道府県等における行政機関(本庁、公文書館、保健所等)が保有する資料や記録等
(3)調査事項
①旧優生保護法において、作成・提出等が定められている資料及びそれらと同内容が記載されているその他の資料
②上記資料から把握できる優生手術の申請、審査、手術実施の各段階における件数
③その他、優生手術に関係する情報が含まれている統計資料や説明資料、記録等
 
PDFによる報道発表資料
優生保護法に関連した資料等の保管状況等調査結果
優生手術台帳に基づき作成(昭和24年~昭和60年)された性別・年齢階層等一覧
(引用終わり)                                             
 
 以上の和歌山県による調査は、厚生労働省が本年4月25日付で各地道府県に依頼した「旧優生保護法に関連した資料等の保管状況等調査の実施について」(回答期限6月29日)に基づいて行われたものだと思います。他府県のホームページでも、調査結果を公開しているところがいくつかあります。
 
香川県 2018年6月25日
優生保護法に関連した資料等の保管状況等調査結果について
 
神奈川県 2018年6月29日
優生保護法に関する調査結果について
 
新潟県 2018年7月3日
優生保護法に関する調査について厚生労働省に報告を行いました
 
 和歌山県が公開した調査結果の中で注目されるのは、昭和24年から同60年までの間の各年ごとに、優生保護審査会によって手術適当と判断された人及び優生手術台帳に手術日の記載のある人の性別・年齢階層別の人数が一覧表示されていることです。
 一例として、今から60年前の昭和33年(1958年)を見てみると、
 
(審査会で「適」とされた人・合計12人)
 男性 0人
 20~29歳の女性 3人
 30~39歳の女性 7人
 40~49歳の女性 2人
(優生手術台帳に手術日の記載がある人・合計8人) 
 男性 0人
 20~29歳の女性 1人
 30~39歳の女性 5人
 40~49歳の女性 2人
 
であったことが分かります。
 つまり、この年に旧優生保護法による手術を受けた人の中で最も若かった人(女性)の年齢を20歳、最も高齢であった人(女性)の年齢を49歳であったと仮定すれば、この年優生手術を受けた人の現在の年齢は、80歳~109歳に分布することが分かります。
 そして、この一覧表を概観すると、和歌山県で最も積極的に優生手術が行われていた時期が、昭和25年(1950年)から同39年(1964年)までの15年間であったことが読み取れます。
 実際、審査会で「手術適当」と判断された193人のうち、昭和40年(1965年)以降に審査された人は23人(他に年不明の人が29人)、手術台帳に手術日の記載がある127人のうち、昭和40年以降に手術した人は11人に過ぎません。
 
 以上から、和歌山県下で優生手術の対象となった人たちのおおよその年齢分布が明らかになりました。昭和20年代から30年代にかけて手術を受けた方々は、既に手術から半世紀以上が経過しています。該当者の高齢化ということが、和歌山県での一斉相談に今のところ反応がない一因であることは間違いないでしょう。
 従って、当事者のもとに直接相談会の情報を伝えることには大きな困難がともなうと言わざるを得ません。是非、周囲の支援者、知人などを介して、必要な情報が当事者のもとに伝わるよう、呼びかけを継続し、一層の工夫をこらす必要があると思います。
 
 和歌山弁護士会では、引き続き、「旧優生保護法による不妊手術」についての相談を随時受け付けています。
  和歌山弁護士会  
  電話:073-422-4580 FAX:073-436-5322
 相談を和歌山弁護士会に申し込んでいただければ、同会人権擁護委員会と高齢者・障害者支援センター運営委員会において適切に対応します。
 心当たりの方がお近くにおられれば、是非一度「弁護士会に相談してみたはどうか」とお勧めください。
 
 なお、本日の全国一斉相談の結果については、いずれ、優生保護法被害弁護団ホームページに掲載されるはずなので、ご確認ください。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/旧優生保護法関連)
2018年3月28日
和歌山弁護士会など「全国一斉 旧優生保護法による不妊手術110番」(2018年3月30日)実施のお知らせ
2018年4月3日
放送予告(4/15)NNNドキュメント「57年目の告白 強制不妊 産み育てる尊厳奪われ」
2018年5月17日
和歌山弁護士会など「全国一斉 旧優生保護法による不妊手術110番」(2018年5月21日)実施のお知らせ
2018年6月4日
NHKサイトで聴きかつ読む「旧優生保護法下での強制不妊手術」&ハートネットTV:闇に埋もれた真実は(1)「私も不妊手術を受けさせられた」のご案内
2018年6月24日
和歌山弁護士会など「全国一斉 旧優生保護法による不妊手術110番」(2018年7月3日)実施のお知らせ~今度が3回目です
2018年6月27日
放送予告・「私の人生を返して下さい~旧優生保護法 国が強制した不妊手術~」(2018年7月8日@テレメンタリー

「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案要綱」と「憲法改正手続法の抜本的な改正を求める」日弁連会長声明を読む

 2018年7月2日配信(予定)のメルマガ金原.No.3196を転載します。
 
日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案要綱」と「憲法改正手続法の抜本的な改正を求める」日弁連会長声明を読む
 
 自民、公明、日本維新の会希望の党の4党は、先週6月27日(水)、「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案」を衆議院に提出しました。
 
朝日新聞デジタル 2018年6月27日13時24分
自公など4党、国民投票法改正案を衆院提出 立憲は欠席
(抜粋引用開始)
 国民投票法改正案は、2007年の国民投票法成立後の改正公職選挙法の内容を反映するもので、大型商業施設などに共通投票所を設置できるようにすることなどを盛り込んだ。改憲そのものに反対する共産、社民両党を除く与野党は5月末、テレビCM規制などを検討することを前提に、大筋で合意していた。
(引用終わり)
 
 立憲民主党が、当初の「大筋合意」から提出反対に舵を切ったについてはそれなりの理由はあるのですが、一般には少し分かりにくいかもしれませんね。
 
 この問題について、真正面から提出に反対した改憲問題対策法律家6団体連絡会の緊急声明をブログでご紹介していますので(改憲問題対策法律家6団体連絡会「『日本国憲法の改正手続に関する法律』の一部を改正する法律案の国会提出に反対する法律家団体の緊急声明」を読む/2018年6月8日)、是非ご参照いただければと思います。
 
 とはいえ、改正案が提出されてしまったのですから、まずは改正案の中身がどんなものか、知っておく必要があるでしょう。
 ただ、この法案は閣法(内閣提出法案)ではないため、主務官庁のホームページで新旧条文対照表を調べるという訳にもいきません。今のところ、衆議院ホームページの中の、「第196回国会 議案の一覧」⇒「衆法の一覧」⇒「42番 日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案」⇒「本文」から閲覧できる、「提出時法律案」と「要綱」によって内容を知ることができる程度です。
 このうち、法律案そのものについては、新規立法ではなく、既存の法律の改正案なので、一読しただけでは全然頭に入ってこないと思います(弁護士の私が読んでもそうです)。
 
衆法 第196回国会 42 日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案
 
 そこで、とりあえず「要綱」を引用しておきますので、これによって改正案の概要を理解するようにしてください。
 
日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案要綱
(引用開始)
一 投票環境向上のための公職選挙法改正並びの改正
1 投票人名簿等の縦覧制度の廃止及び閲覧制度の創設(第29条の2、第29条の3等関係)
 投票人名簿及び在外投票人名簿の内容確認手段について、個人情報保護の観点から、従来の縦覧制度を廃止し、次のように閲覧できる場合を明確化、限定するなどした新たな閲覧制度を創設すること。
・投票人名簿の抄本等の閲覧をできる事由を法律上明記すること。
・閲覧を拒むに足りる相当な理由があると認められるときは、閲覧を拒むことができるものとすること。
・不正閲覧対策に関する措置(罰則や過料を含む。)を法律上規定すること。
2 「在外選挙人名簿」への登録の移転の制度(出国時申請)の創設に伴う国民投票の「在外投票人名簿」への登録についての規定の整備(第35条関係)
 出国時に市町村の窓口で在外選挙人名簿への登録を申請できる制度(出国時申請)が新たに創設されたが、これを利用して、国民投票の投票日の50日前の登録基準日直前に出国した場合に、国民投票の在外投票人名簿に反映されない場合があり得ることから、この「谷間」を埋めるための法整備を行うこと。
3 共通投票所制度の創設(第52条の2関係)
 投票の当日、市町村内のいずれの投票区に属する投票人も投票することができる共通投票所を設けることができる制度を創設すること。
4 期日前投票関係
① 期日前投票事由の追加(第60条第1項関係)
 期日前投票事由に「天災又は悪天候により投票所に到達することが困難であること」を追加すること。
② 期日前投票所の投票時間の弾力的な設定(第60条第6項関係)
 開始時刻(8:30)の2時間以内の繰上げ及び終了時刻(20:00)の2時間以内の繰下げを可能とすること。
5 洋上投票の対象の拡大 (第61条第7項関係)
 外洋を航行中の船員について、ファクシミリ装置を用いて投票することができるようにする洋上投票制度について、①便宜置籍船等の船員及び②実習を行うため航海する学生・生徒も対象とすること。
6 繰延投票の期日の告示の期限の見直し(第71条第1項関係)
 天災等で投票を行うことができないとき又は更に投票を行う必要があるときに行う繰延投票の期日の告示について、少なくとも5日前に行うこととされていたものを少なくとも2日前までに行えば足りることとすること。
7 投票所に入ることができる子供の範囲の拡大(第72条第2項関係)
 投票所に入ることができる子供の範囲を、「幼児」から「児童、生徒その他の18歳未満の者」に拡大すること。
二 施行期日等
1 施行期日(附則第1条関係)
 この法律は、公布の日から起算して3月を経過した日から施行すること。
2 適用区分(附則第2条関係)
 改正後の規定は、この法律の施行の日以後に登録基準日がある国民投票について適用し、この法律の施行の日前に登録基準日がある国民投票については、なお従前の例によること。
3 その他
 その他所要の規定を整備すること。
(引用終わり)
 
 今次の「日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案」についての私の意見は、基本的に、先にご紹介した改憲問題対策法律家6団体連絡会による緊急声明のとおりなので、それを繰り返すことはしませんが、最後に、法案が衆議院に提出された6月27日当日に発表された日本弁護士連合会の会長声明をご紹介しておきます。
 日弁連の声明に改正案の提出自体を直接批判する文言はありませんが、「憲法9条の改正など、憲法改正に向けた議論が始まりつつある中、今般提出された憲法改正手続法改正案には、見直すべき重要な課題が取り上げられていない」と指摘した上で、かねて日弁連が提言している「憲法改正手続法の抜本的な改正」を求めています。
 2009年11月18日付意見書、2018年5月25日付総会決議と併せてお読みいただければと思います。
 
憲法改正手続法改正案の国会提出に当たり、憲法改正手続法の抜本的な改正を求める会長声明
(引用開始)
 本日、日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案(以下「憲法改正手続法改正案」という。)が国会に提出された。憲法改正手続法改正案は、駅や商業施設に共通投票所を設置するなど、2016年の公職選挙法の改正に伴い導入された投票環境向上のための7項目にわたる規定の整備である。
 当初、この7項目に加え、憲法改正手続法改正案では、今国会に提出される予定の公職選挙法改正案の郵便投票の対象拡大も検討するとされていたが、この提案は見送られている。投票環境向上のための方策として、郵便投票の対象拡大も十分に検討されるべきである。
 当連合会は、憲法改正手続法に関して、以下の8項目の見直しを求めている(2009年11月18日付け「憲法改正手続法の見直しを求める意見書」、2018年5月25日定期総会「憲法9条の改正議論に対し、立憲主義を堅持し、恒久平和主義の尊重を求める立場から課題ないしは問題を提起するとともに、憲法改正手続法の見直しを求める決議」)。①原則として各項ごと(場合によっては条文ごと)の個別投票方式とすること、②公務員・教育者に対する運動規制は削除されるべきであること、③組織的多数人買収・利害誘導罪の設置は削除されるべきであること、④広報協議会は賛成派と反対派の委員を同人数とすべきであること、公費による意見広告は幅広い団体が利用できる制度にすべきであること、有料意見広告については、賛成派と反対派の意見について実質的な公平性が確保されるよう、慎重な配慮が必要であること及び広告禁止が国民投票の期日前14日となることが適切であるか十分に検討されるべきであること、⑤発議後国民投票までの期間は最低でも1年間は必要であること、⑥最低投票率の規定は必要不可欠であり、また、無効票を含めた総投票数を基礎として過半数を算定すべきであること、⑦国民投票無効訴訟の提起期間の「30日以内」は短期にすぎ、また少なくとも全国の各高等裁判所を管轄裁判所とすべきであること、⑧合同審査会や両議院の議決が異なった場合に開くことのできる両院協議会は各議院の独立性に反するので国会法の改正部分は削除されるべきであること。
 以上の8項目のうち、とりわけ憲法改正手続法成立時の参議院の附帯決議において、施行までに必要な検討を加えることが求められている、テレビ、ラジオの有料意見広告規制及び最低投票率制度については、上記のような見直しが早急に必要である。
 憲法9条の改正など、憲法改正に向けた議論が始まりつつある中、今般提出された憲法改正手続法改正案には、見直すべき重要な課題が取り上げられていない。よって、当連合会は、改めて憲法改正手続法の抜本的な改正を求めるものである。
  2018年(平成30年)6月27日
  日本弁護士連合会      
  会長 菊地 裕太郎
(引用終わり)
 
2009年11月18日付「憲法改正手続法の見直しを求める意見書」
2018年5月25日定期総会「憲法9条の改正議論に対し、立憲主義を堅持し、恒久平和主義の尊重を求める立場から課題ないしは問題を提起するとともに、憲法改正手続法の見直しを求める決議」

柳澤協二氏が語る「北朝鮮核問題に見る戦略理論の混迷」~シリーズ「朝鮮半島の今を知る」(日本記者クラブ)から

 2018年7月1日配信(予定)のメルマガ金原.No.3195を転載します。
 
柳澤協二氏が語る「北朝鮮核問題に見る戦略理論の混迷」~シリーズ「朝鮮半島の今を知る」(日本記者クラブ)から
 
 昨日(6月30日)、今日(7月1日)の2日間、久しぶりに放送大学和歌山学習センターの面接授業を受講してきました。和歌山大学大学院教育学研究科教授の岡崎裕先生による「国際理解教育史~過去から未来へ」というもので、「国際理解教育」について、何の予備知識もなく、虚心に受講してきましたが、とても勉強になりました。
 2009年4月に放送大学の全科履修生になって以来の通算在籍学期数が「19」、今年10月~来年3月の次学期が在籍可能最終学期となりますので、いよいよ必修で1単位だけ残してある外国語科目を履修して、来年3月にはめでたく(?)放送大学を卒業する予定ですが、心残りなのは、面接授業を受講できなくなることです。今まで、再入学ということは考えていませんでしたが、面接授業のことを思うと少し考えがぐらつきますね。
 
 さて、先日、「平和のやめの戦争展わかやま2018」(7月28日・29日@プラザホープ)において、柳澤協二さん(元内閣官房副長官補)が講演される予定であることをご紹介しましたが(「平和のための戦争展わかやま2018」のご案内(2018年7月28日・29日@プラザホープ)/2018年6月28日)、ブログをアップしたのと同じ6月28日、柳澤協二さんが、日本記者クラブの招きにより、「北朝鮮核問題に見る戦略理論の混迷」と題してお話されている動画を発見しましたので、それをご紹介したいと思います。7月28日の和歌山市での講演会に参加される方には、予習としてお勧めします。
 
 なお、この柳澤さんの会見は、日本記者クラブが現在シリーズで行っている「朝鮮半島の今を知る」という研究会の第10回として開催されたものですから、過去の動画にもついでにリンクしておきます。ただし、第3回と第8回については動画が掲載されていません。理由は分かりませんが、第3回については、会見リポートを読むと、ゲストの古川勝久氏が「現実的に米朝会談が行われる可能性は非常に低いのでは」という意見を(3月23日の時点で)述べられたようです。
 
 私自身、最新の柳澤さんの回しか視聴していませんが、時間が作れれば視てみたいと思わせる会見もたくさんあります。「朝鮮半島の今を知る」という共通テーマについて、各ゲストの異なった視点からの見方を知ることによって、複眼的、立体的に対象を捉えることができる、というのが主催者の意図だと思います。
 
2018年06月28日15:00~16:30 9階会見場
朝鮮半島の今を知る(10) 北朝鮮核問題に見る戦略理論の混迷 
柳澤協二・元内閣官房副長官補(安全保障)(1時間28分)
(会見メモ)
米朝合意は「トランプが譲歩したように見えるが、譲歩された金正恩はこの合意を維持せざるを得なくなる。これを壊して米国と戦争すれすれまで行けるわけがない。その意味では金正恩が追い込まれている」と分析した。
司会 五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞
 
2018年02月01日15:00~16:30 9階会見場
朝鮮半島の今を知る(1) 文在寅政権下の日韓関係 国際環境の変化とその影響 
木村幹・神戸大学教授(1時間34分)
(会見メモ)
「『韓国は日本を重要視している』との前提はもう通用しない。ただ韓国は日本の対米影響力は気にしている」「五輪の南北合同チームへの世論の反発は政権の誤算」「韓国の進歩派は民族主義者の顔を持つ」。文在寅政権を歯切れよく論評した。
司会:五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞
 
2018年02月16日15:00~16:30 10階ホール
朝鮮半島の今を知る(2) 南北関係の視点
李鍾元・早稲田大学大学院教授(1時間39分)
(会見メモ)
李鍾元さんは、韓国の大邱出身で1982年来日。立教大学法学部教授などを経て2012年4月から早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授。韓国の世論調査をもとに「五輪の南北合同入場は支持53%、女子南北合同ホッケーチームは反対が50%。昔ならほとんどが賛成。隔世の感がある」と述べた。
司会:五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞
 
2018年03月23日13:00~14:30 10階ホール
朝鮮半島の今を知る(3)  
古川勝久・国連北朝鮮制裁委専門家パネル元委員
(会見メモ)
北朝鮮へは、より強い制裁を科すのではなく、現在の制裁をしっかり実行することが大切」。制裁の網をかいくぐって物資が流通している実態を、具体例を挙げて詳細に解説した。
司会 五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞
※動画はありません。
 
2018年04月06日14:00~15:30 10階ホール
朝鮮半島の今を知る(4) 北朝鮮 意思決定の構造
李相哲・龍谷大学教授(1時間22分)
(会見メモ)
金正日秘録 なぜ正恩体制は崩壊しないのか』(産経新聞出版)などの著書がある李相哲氏と、『金正恩 狂気と孤独の独裁者のすべて』(文藝春秋)を3月に出版した五味洋治氏が、北朝鮮の意思決定メカニズム、権力構造について対論形式で考察した。
司会 五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞
 
2018年04月16日13:00~14:30 10階ホール
朝鮮半島の今を知る(5) 文在寅政権のビジョン 
浅羽祐樹・新潟県立大学教授(1時間34分)
(会見メモ)
新潟県立大学の浅羽祐樹教授が、「朝鮮半島の論理をどう読み解くのか」と題して韓国の政治・外交の見方を分析した。
司会 五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞
 
2018年05月10日14:00~15:30 9階会見場
朝鮮半島の今を知る(6) 北朝鮮核危機とサミット外交
小此木政夫・慶応大学名誉教授(1時間37分)
(会見メモ)
北朝鮮は、軍事力の二義性=抑止力と外交力をよく理解している。核ミサイルがなければ誰も相手にしないことをわかっている」「米国は北朝鮮を放置すれば米本土に到達する核ミサイルが完成することを重く見た」などの分析を披露しながら、初の米朝首脳会談への動く朝鮮半島情勢について話した。
司会 五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞
 
2018年05月30日10:30~12:00 10階ホール
朝鮮半島の今を知る(7) 
アンドレイ・ランコフ・韓国・国民大学教授(1時間28分) 
(会見メモ)
ランコフ氏は北朝鮮金日成総合大学への留学経験があり、『北朝鮮の核心――そのロジックと国際社会の課題』など北朝鮮関連の著作も多い。
「市民の生活は向上している。地方も向上しているが平壌のスピードとは差があり、地方と平壌の格差は広がっている」「金正恩が選ぶ道は<開放なき改革>しかない。生活水準の向上で民心をつかみながら、韓国の現状を民衆が知ることのないよう政治的な締め付けは強化せざるを得ない」「トランプ米大統領の出現で<米国の先制攻撃はない>という前提が崩れた」と、5月に訪朝した際の写真をまじえながら現状を分析した。
司会 五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞
通訳 李希京
 
2018年06月07日16:00~17:30 9階会見場
朝鮮半島の今を知る(8) 
礒﨑敦仁・慶応大学准教授
(会見メモ)
司会 五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞
※動画はありません。
 
2018年06月19日13:00~14:30 9階会見場
朝鮮半島の今を知る(9) 米朝首脳会談の評価と今後の展望 
西野純也・慶応大学教授(1時間34分)
(会見メモ)
6月12日の米朝首脳会談に至るまでの経緯と合意事項などその結果について分析、朝鮮半島の安全保障秩序の展望について話した。
司会 五味洋治 日本記者クラブ企画委員(東京新聞

司法に安保法制の違憲を訴える意義(25)~東京・差止請求訴訟(第7回口頭弁論)における原告訴訟代理人による陳述

 2018年6月30日配信(予定)のメルマガ金原.No.3194を転載します。
 
司法に安保法制の違憲を訴える意義(25)~東京・差止請求訴訟(第7回口頭弁論)における原告訴訟代理人による陳述
 
 去る6月20日(水)に東京地裁103号法廷で開かれた安保法制違憲・差止請求事件の第7回口頭弁論を取り上げます。
  前回(第6回)の口頭弁論の模様をお伝えしたブログ(司法に安保法制の違憲を訴える意義(24)~東京・差止請求訴訟(第6回口頭弁論)における原告訴訟代理人による陳述/2018年5月22日)にも掲載しましたが、今回も、差止請求訴訟が「何の差止めを求めているのか?」を再確認するため、当初の提訴(2016年4月26日)における「請求の趣旨」と、追加提訴(2017年8月10日)の「請求の趣旨」を引用します。
 
2016年4月26日 請求の趣旨
1 内閣総理大臣は,自衛隊法76条1項2号に基づき自衛隊の全部又は一部を出動させてはならない。
2 防衛大臣は,重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律の実施に関し,
(1) 同法6条1項に基づき,自ら又は他に委任して,同法3条1項2号に規定する後方支援活動として,自衛隊に属する物品の提供を実施してはならない。
(2) 同法6条2項に基づき,防衛省の機関又は自衛隊の部隊等(自衛隊法8条に規定する部隊等をいう。以下同じ。)に命じて,同法3条1項2号に規定する後方支援活動として,自衛隊による役務の提供を実施させてはならない。
3 防衛大臣は,国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律の実施に関し,
(1) 同法7条1項に基づき,自ら又は他に委任して,同法3条1項2号に規定する協力支援活動として,自衛隊に属する物品の提供を実施してはならない。
(2) 同法7条2項に基づき,自衛隊の部隊等に命じて,同法3条1項2号に規定する協力支援活動として,自衛隊による役務の提供を実施させてはならない。
4 被告は,原告らそれぞれに対し,各金10万円及びこれに対する平成27年9月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5 訴訟費用は,被告の負担とする。
との判決並びに第4項につき仮執行の宣言を求める。
 
2017年8月10日 請求の趣旨
1 防衛大臣は、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律9条4項に基づき、自衛隊の部隊等に、同法3条5号ト若しくはラに掲げる国際平和協力業務又は同号トに類するものとして同号ナの政令で定める国際平和協力業務を行わせてはならない。
2 防衛大臣は、自衛隊法95条の2に基づき、自衛官に、アメリカ合衆国の軍隊その他の外国の軍隊の部隊の武器等の警護を行わせてはならない。
との判決を求める。
 
 要するに、
 ①存立危機事態における防衛出動(当初1項)
 ②重要影響事態対処法に基づく後方支援活動(当初2項)
 ③国際平和共同対処事態法に基づく協力支援活動(当初3項)
 ④PKO協力法に基づく駆け付け警護等(追加1項)
 ⑤自衛隊法に基づく米軍等武器防護(追加2項)
の5項目がとりわけ、違憲性の程度が高いということで、差止請求の対象となっている訳です(慰謝料請求(当初4項)は、いわゆる「おさえ」でしょう)。
 
 さて、第6回口頭弁論で行われたことですが、原告は「準備書面(16)」を陳述し(福田護弁護士がその要点を意見陳述として述べました)、原告の陳述書49通を書証として提出するとともに、原告13人の本人尋問を申請しました。
 これを承けて裁判所(東京地裁民事第2部)は、正式な証拠の採否は期日間に決定するとしながら、10月15日(月)及び12月14日(金)のいずれも午後1時30分から4時30分の時間帯で2期日を指定しました。
 これにより、東京・差止請求訴訟も、東京・国賠請求訴訟に続いて立証の段階に入り、原告本人尋問を行うところまではこぎつけたということになります。
 
 あとは、原告申請の証人尋問を裁判所が採用するかが当面の焦点ですが、今のところ、ハードルはなかなか高そうです。
 東京・国賠請求訴訟では、8人に絞り込んだ証人申請(元内閣法制局長官の宮﨑礼壹さん、元最高裁判事の濱田邦夫さん、参議院議員福山哲郎さん、ジャーナリストの半田滋さん、軍事評論家の前田哲男さん、ジャーナリスト・NGO職員の西谷文和さん、小説家・歴史家の半藤一利さん、学習院大学教授(憲法学)の青井未帆さん)についての採否の判断を、次回弁論期日(7月20日)で裁判所が示すことになっています。
 
 なお、以下に、東京・差止訴訟第7回口頭弁論終了後に行われた報告集会(衆議院第二議員会館)で配布された資料から、福田護弁護士による意見陳述原稿を転載します。
 

原告ら訴訟代理人 弁護士 福 田   護
 
 原告準備書面(16)に関し、本件における被告の対応の不当性、特に原告の主張に対する認否回避の不当性について述べます。
 
1 戦争の危険とPKO及び武器等防護
 本件は、この国日本が戦争に直面する危険、自衛隊が武力を行使するに至る危険を論ずるものです。新安保法制法の制定が、その危険を大きく拡大し、原告らがその具体的危険にさらされていることを問題とするものです。
 そして現に日本は、新安保法制法の適用として、南スーダンPKOにおいて、また北朝鮮への日米共同の対応、その一環としての米軍の武器等防護において、戦争ないし武力の行使に極めて近接した状況に置かれたのでした。昨年の追加提訴は、その危険を指摘し、PKOにおける駆け付け警護等の危険な新任務の実施と米軍等の武器等防護の実施の差止等を求めたものです。
 したがって、本件において、この新安保法制法の2つの適用過程に関する事実関係は、原告らが置かれた危険の具体的内容をなすものであり、中心的な事実を構成します。ところが被告は、その準備書面(4)での答弁において、これらの重要な事実の一部について、ことさらに認否を回避しています。以下、その不当性を指摘し、改めて被告が正面から認否・反論することを求めたいと思います。
 
2 武器等防護の認否の回避について
(1)原告らの追加提訴に対する被告の答弁において極めて特徴的なのは、自衛隊法95条の2による武器等防護に関係する事実の認否の徹底した回避です。
 原告は、訴状において、昨年2017年2月以降北朝鮮のミサイル発射が繰り返され、
米空母打撃群が日本海に展開するという状況の下で、4月29日防衛大臣海上自衛隊
衛艦「いずも」と「さざなみ」に米海軍貨物弾薬補給艦「リチャード・E・バード」の武
器等防護の警護命令を発し、5月1日「いずも」が横須賀基地を出港して房総半島沖で米
補給艦と合流して警護を開始し、同月2日「さざなみ」が呉基地を出港して翌3日四国沖で合流し、自衛艦2隻が奄美大島付近まで警護した後、米補給艦は日本海の米空母打撃群に向かったとみられる旨主張しました。
 ところが被告は、「海上自衛隊護衛艦と米海軍補給艦の行動及びそれに係る防衛大臣の命令については、米軍等の能力を明らかにし、その活動に影響を及ぼすおそれがあることから、公表済みのものを除き、これを明らかにすることはできない」とし、その根拠として「民事訴訟法223条4項1号参照」として、武器等防護についての事実関係の存否にすら触れないで済まそうとしています。
 上記の事実関係は、昨年5月1日以降すでにメディアで広く報道されているにもかかわらずです。そしてこれらは「政府関係者によれば」との報道であり、防衛省は今回の武器等防護の実施について公式発表はしない方針だと報じられています。つまり、都合のいい部分だけリークし、情報を操作しようとしているのです。国家安全保障会議が2016年12月に決定した「自衛隊法第95条の2の運用に関する指針」では、「自衛隊又は合衆国軍隊等の部隊に具体的な侵害が発生した場合等、本条による警護の実施中に特異な事象が発生した場合」には公表するとあるだけで、それ以外、国民に公表するかしないかは政府の判断に委ねることにしています。すなわち、国民は「特異な事象」が発生しない限り、自衛隊が米軍等の武器等防護をしたかしないかすら、知らされないのです。
(2)しかし、このような秘密主義、情報操作こそがまさに問題なのです。
 武器等防護は、米軍等の部隊に何らかの武力攻撃に至らない侵害が発生し、「それが状況によっては武力攻撃にまで拡大していくような事態」(2014年7月1日閣議決定)を想定したものですから、自衛艦等に警護命令が発せられるのは、何らかの緊迫した状況があり、米側から警護の要請があることが前提になります。そして自衛官が武器を使用しなければその緊迫した状況が悪化しないで済んだことになりますが、それは国民には知らされません。逆に自衛官が武器を使用した場合には―その武器は、自衛艦や戦闘機のミサイルかもしれません―、事後的に国民に知らされますが、そのときはすでに自衛官の武器使用を発端として、日本と米国は敵対国との武力の行使に突き進んでいるかもしれないのです。
 したがって、武器等防護の実施に関する事実関係は、本件原告らにとって、また国民全体にとっても、戦争の危険にさらされるのかどうか、その危険の程度も含めて、極めて重要かつ切実な事実なのです。しかも、原告が訴状で主張した事実は、新聞に報道された、昨年5月1日から3日にかけて実施された武器等防護のごく基本的かつ断片的な事実にすぎません。この範囲ですら認否できないという被告の応訴態度は、極めて不当なものです。
(3)被告が武器等防護に関する事実を明らかにすることができないという根拠として援用するのは、民事訴訟法223条4項1号です。この規定は、公務員の職務上の秘密に関
する文書について、「他国との信頼関係が損なわれるおそれ」があるとして文書提出義務
はないとの意見を述べたときは、裁判所はその意見に相当の理由があると認めるに足りない場合に限り、文書の提出を命ずることができるというものです。
 しかし、原告準備書面(16)(p34)で指摘したとおり、まず、この民訴法の規定
は文書提出命令に関する規定であって、主張や認否に関する規定ではありませんから、被
告の主張は全く的外れで、認否を回避する理由になりません。
 また、仮に民訴法223条4項1号に即してみても、同準備書面で指摘したとおり、また、前回2月5日の口頭弁論期日で原告代理人から口頭で指摘したように、この条項に該当するかどうかを裁判所が的確に判断できるよう、当該文書に即してその理由を具体的に述べるべきものとされています。そして、前回の期日において裁判所からも、被告に対し、具体的理由について検討するよう求められていたところです。しかし本日まで、被告からは何らの回答もありません。
 先に述べたように、原告が主張している武器等防護に関する事実関係は、本件において、新安保法制法の制定によって原告らが戦争の危険に具体的にさらされているのかどうかを判断するために、必要不可欠な事実です。被告は、すべからくその認否を明らかにすべきものです。
 
3 PKOに関する認否の回避について
 被告は、被告準備書面(4)におけるPKOに関する認否において、原告の「国連PKOの変質と駆け付け警護」の主張及び「南スーダンPKOにおける情報の隠蔽」の主張の全部について、「争点と関連しないので認否の要を認めない」との対応をしています。
 しかし、「争点と関連しない」というのは被告の独断にすぎません。自らの一方的な判断で決めつけ、都合の悪いことには認否を回避するという応訴態度は許されません。
(1)まず国連PKOの変質というのは、日本が自衛隊の部隊等を派遣してその指揮下で活動をする国連PKO自体が、特に2000年前後から明確に変質し、かつての停戦監視
を任務とするPKOから、住民保護任務を中心とし、そのために武力の行使を認められた紛争主体となってきており、南スーダンPKO(UNMISS)も安保理決議による2014年5月以降はそのようなPKOとなっていたというものです。そこでは、日本のPKO参加5原則がそもそも妥当しうるのか自体疑問なのです。
 そしていうまでもなく、本件で問題になっているのは、そのような国連PKOの下で、
新たに認められた駆け付け警護や安全確保業務を行い、その任務遂行のための武器使用を行う場合の危険性です。これまで認められていなかったこの武器使用は、敵対勢力からの妨害を排除する等のために武器を使用するものですが、そのような活動を行う自衛隊の部隊等は、国連PKOの構成部隊としてその指揮下で行動するのであり、国連PKOが現在どのような性格のものになっているかは、その活動の危険性に直接関連する重要事項です。
したがって、これを「争点と関連しない」ということは到底できないものであり、被告は原告の主張にきちんと認否ないし反論をしなければなりません。
(2)次に、南スーダンPKOの日報隠しの問題は、情報の秘匿や操作によって日本の国と国民の命運が左右されかねないという重大な問題です。
 南スーダンPKOにおいては、2016年11月駆け付け警護の新任務を付与された第11次隊が派遣されましたが、その後の2017年2月になって、廃棄したとして不開示とされた現地からの「日々報告」等の文書が、実は存在したことが発覚しました。
 そしてその文書から、首都ジュバでは大統領派と反大統領派の「戦闘」が繰り返され、自衛隊宿舎のすぐ隣のビルで銃撃戦が発生していたことなどが判明したのです。それは、
ジュバがもはやPKO参加5原則を満たすような状況ではなく、本来なら自衛隊は撤退すべきであったこと、その危険な場所に、さらに危険な新任務を課して第11次隊を送り込んだことを指し示すものでした。
 この文書が明らかになった直後の2017年3月、政府は南スーダンPKOからの撤退を決めたのですが、自衛隊の部隊はいつ戦闘に巻き込まれ、武力行使をせざるを得ないことになるか分からない、実に危険な状況に直面していたのです。隊員の中には遺書をしたためていた者もありました。
 問題は、なぜこのような文書が秘匿され、また、その情報が国民に知らされないまま危
険な新任務を付与した派遣という政策決定がなされたのかということです。
 戦争は、誤った情報の流布や、意図的な情報操作によって開始され、拡大され、その結
果悲惨な被害がもたらされるという愚かな経験を、人類はいやというほど繰り返してきま
した。南スーダンPKOも、その轍を踏みかねないところまで行っていたのです。文民
制が働かなかったという問題を含めて、日々報告等の文書が「廃棄した」として開示され
なかった経緯、それによって危険な選択がなされた経緯は、できる限りきちんと検証され
なければなりません。同様の問題が、イラク戦争時にサマワに派遣された自衛隊の日報についても、最近になって明らかになりました。イラク特措法で「非戦闘地域」とされていた場所が実に危険な場所であったことが明らかなこの文書が、新安保法制法の国会審議の時期に開示されていたならば、少なくとも新安保法制法の問題性がもっと明らかになっていたはずです。
 本件で原告らが危惧する新安保法制法による戦争の危険は、政府による情報隠し、情報
操作による戦争の危険を含むものです。したがって、南スーダンPKOにおける日報等の
不開示、隠匿の経過は、事実として明確にされなければならず、被告はこの問題について
も正面から認否し、対応すべきであり、原告らはそれを求めるものです。
 

(弁護士・金原徹雄のブログから/安保法制違憲訴訟関連)
2016年9月3日
東京・安保法制違憲訴訟(国賠請求)が始まりました(2016年9月2日)
※過去の安保法制違憲訴訟関連のブログ記事にリンクしています。
2016年9月6日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(1)~東京・国家賠償請求訴訟(第1回口頭弁論)における原告訴訟代理人による意見陳述
2016年9月10日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(2)~東京・国家賠償請求訴訟(第1回口頭弁論)における原告による意見陳述
2016年10月4日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(3)~東京・差止請求訴訟(第1回口頭弁論)における原告訴訟代理人による意見陳述
2016年10月5日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(4)~東京・差止請求訴訟(第1回口頭弁論)における原告による意見陳述
2016年12月9日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(5)~東京・国家賠償請求訴訟(第2回口頭弁論)における原告代理人による意見陳述
2016年12月10日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(6)~東京・国家賠償請求訴訟(第2回口頭弁論)における原告による意見陳述
2017年1月5日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(7)~寺井一弘弁護士(長崎国賠訴訟)と吉岡康祐弁護士(岡山国賠訴訟)の第1回口頭弁論における意見陳述
2017年1月7日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(8)~東京・差止請求訴訟(第2回口頭弁論)における原告訴訟代理人による陳述
2017年1月8日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(9)~東京・差止請求訴訟(第2回口頭弁論)における原告(田中煕巳さんと小倉志郎さん)による意見陳述
2017年2月14日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(10)~東京「女の会」訴訟(第1回口頭弁論)における原告・原告代理人による意見陳述
2017年3月15日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(11)~東京・国家賠償請求訴訟(第3回口頭弁論)における原告代理人による陳述 
2017年3月16日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(12)~東京・国家賠償請求訴訟(第3回口頭弁論)における原告(田島諦氏ほか)による意見陳述
2017年4月21日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(13)~東京・差止請求訴訟(第3回口頭弁論)における原告代理人による陳述
2017年4月22日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(14)~東京・差止請求訴訟(第3回口頭弁論)における原告による意見陳述(様々な立場から)
2017年6月23日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(15)~東京・国家賠償請求訴訟(第4回口頭弁論)における原告訴訟代理人による陳述
2017年6月25日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(16)~東京・国家賠償請求訴訟(第4回口頭弁論)における原告による意見陳述(野木裕子さん他)
2017年8月7日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(17)~東京・差止請求訴訟(第4回口頭弁論)における原告訴訟代理人による陳述
2017年8月8日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(18)~東京・差止請求訴訟(第4回口頭弁論)において3人の原告が陳述する予定だったこと
2017年8月20日
「私たちは戦争を許さない-安保法制の憲法違反を訴える」市民大集会(2017年9月28日/日本教育会館)へのご参加のお願い
2017年9月30日
市民大集会「私たちは戦争を許さない」(2017年9月28日)で確認されたこと
2017年11月1日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(19)~東京・国家賠償請求訴訟(第5回口頭弁論)における原告訴訟代理人による陳述
2017年11月2日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(20)~東京・国家賠償請求訴訟(第5回口頭弁論)における原告による意見陳述(今野寿美雄さん他)
2017年11月5日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(21)~東京・差止請求訴訟(第5回口頭弁論)における原告訴訟代理人による陳述
2018年5月14日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(22)~東京・国家賠償請求訴訟(第6回口頭弁論)において7人の原告が語ったこと(横湯園子さん他)
2018年5月16日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(23)~東京・国家賠償請求訴訟(第7回口頭弁論)において3人の原告(井筒高雄さん他)と5人の代理人が語ったこと
2018年5月22日
司法に安保法制の違憲を訴える意義(24)~東京・差止請求訴訟(第6回口頭弁論)における原告訴訟代理人による陳述

映画『日本と原発 4年後』全編版がYouTubeで公開されました!~1人でも多くの人に観てもらうために(拡散希望)

 2018年6月29日配信(予定)のメルマガ金原.No.3193を転載します。
 
映画『日本と原発 4年後』全編版がYouTubeで公開されました!~1人でも多くの人に観てもらうために(拡散希望
 
 脱原発弁護団全国連絡会共同代表の河合弘之弁護士が映画を作った(!)と話題になったのは2014年のことで(『日本と原発 私たちは原発で幸福ですか?』)、翌2015年には、早くもその改訂版『日本と原発 4年後』が制作され、和歌山でもその自主上映会が開催されました(私も実行委員として関わりました)。
 そのようなことから、私のブログでも、少なくとも3回は『日本と原発 4年後』を取り上げてきました(巻末リスト参照)。
 
 私のこの作品を観た上での感想を、上映会当日にFacebookにアップしていますので、引用しておきます。
 
(抜粋引用開始)
映画を観てくれた方からの反応はすごく良く、アンケート用紙の回収率も非常に高いものでした。正直、映画には素人の弁護士が監督する作品ということで、不安な気持ちもあったのですが、欲目抜きで「非常に優れている」と思いました。もちろん、編集にはしかるべきプロが力量を発揮しているはずですし、脚本を担当した海渡雄一弁護士の構成力も作品の成功を支えた重要な要素でしょう。しかし、この作品によって原発推進論を完璧に粉砕してみせるという河合監督の鉄の意志がなければ、この作品は成り立たなかったことは間違いありません。普通の意味で「良い映画」か?と問われればいささか疑問もありますが、制作意図(河合監督が最大のターゲットとした“観客”は多分裁判官です)は十分に達成されていると思いました。
(引用終わり)
 
 ところで、『日本と原発 4年後』については、河合弘之監督映画サイト(公式サイト)に掲載されている以下の情報が要注目だと思います。
 
学園祭・学校等の授業での上映支援中! 17/07/21
(抜粋引用開始)
 Kプロジェクトの映画は、未来を担う若い世代にこそ、原発問題を理解していただきたいと考えています。
 原発に関わる多様な問題を、複合的に、冷静に、かつ客観的に捉える材料となることを願い制作いたしました。
 この映画を学園祭や大学等の先生方に上映いただくことは、次世代を担う若い人々の視野を拡げ、若い人々が事実を多角的に判断する絶好の機会となることでしょう。
 諸先生方、運営企画を行っておられる学生の皆さん。皆さんの作る未来の礎の一部としての映画の活用をご検討ください。
◆無料
『日本と原発』70分短縮版、全長版
『日本と原発 4年後』60分短縮版、全長版
『日本と再生』34分短縮版、70分短縮版
◆有料(学園祭・授業)※一般の上映会よりもお安くしております 
『日本と再生』全長版
(引用終わり)
 
 実際、私の知人の女性が、この取組を利用して、昨年の秋、非常勤講師をしておられた京都の大学で、『日本と原発 4年後』短縮版を借り出して上映するとともに、ご自身の福島県からの避難体験も話されたと伺っています。
 
 また、『日本と原発 4年後』については、「法廷上映版」が、昨年の5月にYouTubeで公開されていました。
 
日本と原発 4年後 法廷上映版(32分)
(動画解説から引用開始)
法廷上映用30分版を公開しました!
『日本と原発 4年後』は、全国の原発差止訴訟の証拠資料として裁判所に提出され、法廷での上映も実現しています。実際に法廷で上映された30分の短縮版をご覧ください。
【これまでの法廷での上映記録(2017年4月現在)】
2015年  
2月10日 伊方原発運転差止訴訟 第10回口頭弁論
4月28日 泊原発運転差止訴訟 第13回口頭弁論
7月1日 大飯原発運転差止訴訟 控訴審 第4回口頭弁論
7月9日 柏崎刈羽原発運転差止訴訟 第11回口頭弁論
9月17日 東海第二原発運転差止等訴訟 第11回口頭弁論
9月28日 島根原発3号機設置変更許可処分無効確認訴訟  第8回口頭弁論
10月15日 志賀原発運転差止訴訟 第16回口頭弁論
10月22日 浜岡原発運転差止訴訟 控訴審 第19回口頭弁論
12月10日 川内原発操業差止訴訟 第11回口頭弁論
2016年  
5月19日 浜岡原発運転終了・廃止等請求事件 第24回口頭弁論 
(引用終わり)
 
 以上に書いたことは、ほぼこれまでのブログで取り上げてきたことの復習であり、それだけであれば、今日、あらためてブログで『日本と原発 4年後』を取り上げようということにはならなかったでしょう。
 それでは、私が『日本と原発 4年後』に注目した理由とは?
 何と、この上映時間2時間18分に及ぶ『日本と原発 4年後』の全編動画が、今月(6月7日)YouTubeで公開されていたのです。しかも、「シーン別の頭出しができます」というサービス付きで。
 以下に、その全編動画をご紹介します。
 まだ観たことのない方は是非ともご覧になってください。また、既に観た方も、是非もう一度視聴してみてください。きっと新たな発見があると思います。
 
映画『日本と原発 4年後』全編版(シーン別の頭出しができます)(2時間18分)
00:00:00 プロローグ原発の始まり
00:02:59 原発事故・浪江町の惨劇
00:11:14 失われた飯舘村
00:14:38 原子力発電とは 
00:16:21 過酷事故シミュレーション
00:19:45 東電退避問題と国家壊滅危機
00:30:10 福島事故の最悪シナリオ
00:32:00 前原子力委員長近藤駿介氏1
00:37:43 放射線被曝とは
00:41:00 東電元役員たちの責任追及
00:44:11 相関図で見る 原子力ムラ
00:49:35 古賀茂明氏に聞く電力癒着
00:52:19 原発訴訟
00:56:05 原発推進派の夢のエネルギー
01:01:15 安全ではない規制基準
01:07:43 原発はテロの標的
01:14:40 前原子力委員長近藤駿介氏2
01:17:05 原発の科学・技術進歩を問う
01:19:48 地震大国日本~浜岡原発危機
01:23:13 勝訴!大飯原発差止訴訟
01:26:33 被曝 母親たちの苦悩
01:31:32 失われた浪江町
01:34:41  原発事故と自死
01:36:55 汚染水問題
01:41:26 使用済み核燃料の行方
01:43:04 原発無しでも電力不足にならない
01:43:42 大島堅一氏に聞く原発のコスト
01:46:06 元原子力委員木元教子氏
01:48:11 国富流出論を問う
01:50:37 高浜原発差止仮処分決定!
01:54:20 不当な川内原発仮処分却下
01:55:49 強制起訴!東電元役員たちの責任
02:00:42 自然エネルギーの隆盛
02:05:55 4年後
02:09:32 エピローグ日本と原発54基
 
 おそらく、虚心に見始めた人の多くは、2時間を超えるこの作品を、新垣隆さん作曲・指揮によるオーケストラ作品をバックに映し出される「日本の原発」の光景(エピローグ)まで、目が離せなくなるはずです。
 問題は、どうすれば、1人でも多くの人に、この作品を視聴してもらうかでしょう。皆さん、1人1人の努力が期待されているのだと思います。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/『日本と原発 4年後』関連)
2016年3月26日
和歌山でも『日本と原発 4年後』(河合弘之監督)を脱原発運動として上映します(5/22@和歌山市あいあいセンター)
2016年5月22日
映画『日本と原発 4年後』を和歌山市で上映しました(2016/5/22)
2017年8月11日
映画『日本と原発 4年後』『日本と再生』ダイジェスト版上映とトーク(河合弘之氏&飯田哲也氏)を視聴する

「平和のための戦争展わかやま2018」のご案内(2018年7月28日・29日@プラザホープ)

 2018年6月28日配信(予定)のメルマガ金原.No.3192を転載します。
 
「平和のための戦争展わかやま2018」のご案内(2018年7月28日・29日@プラザホープ
 
 毎年開催されている「平和のための戦争展わかやま」。今年も、7月28日(土)・29日(日)の両日、和歌山県勤労福祉会館プラザホープを会場として開催されます。和歌山県平和委員会の里﨑正さんからチラシが届きましたので、まずその記載内容をご紹介しましょう。
 
(チラシから引用開始)
平和のための戦争展わかやま2018
 
日時=2018年7月28日(土)►29日(日)
        10:00~17:00(29日は13:00まで)
場所=和歌山県勤労福祉会館プラザホープ
        和歌山市北出島1丁目5-47 電話073-425-3335
入場無料
 
講演►4Fホール
7月28日(土)
13:00~[オープニング]生協コーラスみらい      
14:00~16:00「戦争危機の時に考える平和の道筋」
講師 柳澤協二氏
    国際地政学研究所理事長・元内閣官房副長官
[プロフィール]1946年東京都出身。東大法学部卒。防衛庁入庁、官房長、防衛研究所長を経て、小泉・第一次安倍・福田・麻生政権で内閣官房副長官補(安全保障・危機管理の担当)。現在、国際地政学研究所理事長。
 
展示►2Fギャラリー
中学生のための「慰安婦」展
●その他のパネル展示
大逆事件(新宮グループ)」「第五福竜丸」「満蒙開拓団」「友ヶ島の戦跡(戦争末期)」「和歌山大空襲」など
 
ピースライブ►7月28日(土)10:30~13:00 4Fホール
出演:北野亮/SEIZY/藍田真一/TOY・BOX
 
学生たちのブース►7月28日(土)10:00~13:00 2F多目的室
「4つのテーマで戦争について発表します!」
 
市民参加の企画►7月29日(日)10:00~12:30 2F多目的室
●朗読・・・つくしんぼ
●詩(原爆詩集から)朗読・紀州民話・・・アラオの会
語り部・・・私の戦争体験(和歌山大空襲など)
 
~みなさんへのお願い~
●戦争中の資料をご提供ください。
●賛同募金にご協力ください。1口500円から 団体6口3000円から
 
[主催・お問い合わせ先]
2018平和のための戦争展わかやま実行委員会 
 和歌山市松原通3-20 県教育会館内 TEL/FAX:073-488-3095
[後援]
朝日新聞和歌山総局/毎日新聞和歌山支局/ニュース和歌山株式会社/株式会社和歌山リビング新聞社/株式会社わかやま新報社/読売新聞和歌山支局
(引用終わり)
 
 今年の記念講演は、柳澤協二さん。柳澤さんが和歌山で講演されるのは、私の記憶によれば、2014年5月17日、場所も同じプラザホープ4Fホールで開かれた憲法九条を守るわかやま県民の会主催の「5月の風に We  Love 憲法」のメインゲストとして招かれて以来ではないかと思います(集団的自衛権-彼らは何がしたいのか?私たちは何をしなければならないのか?/2014年5月18日)。
 
 今さら、柳澤協二さんについて詳しくご紹介する必要もないと思いますので、柳澤さんの肩書きをいくつか付加しておきます。
 
自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会(略称:自衛隊を活かす会) 代表
◎新外交イニシアティブ(ND) 評議員
◎立憲デモクラシーの会 呼びかけ人
※柳澤さんは、設立当初から「立憲デモクラシーの会」呼びかけ人に名前を連ねておられましたが、どうも同会メンバーとしての活動実績はないようです。もっとも、同じく呼びかけ人であった丹羽宇一郎さん(元中国駐在大使)が、先頃同会の立憲デモクラシー講座の講師を務められたりしていますので、柳澤さんについても、そのような機会が今後あるかもしれません。
◎国民安保法制懇 委員
※「国民安保法制懇」自体は、2016年9月19日に「安保関連法制定から1年を経て」という声明を出したのを最後として、事実上活動を終えているようです。
 
 また、「平和のための戦争展わかやま」の中心企画となる展示コーナー(2Fギャラリー)では、中学生のための「慰安婦」展という意欲的な企画が予定されている他、「大逆事件(新宮グループ)」についての展示も行われるとか(7月28日(土)10:00~17:00、29日(日)10:00~13:00)。
 
 その他、チラシに記載のとおり、盛り沢山な企画が用意されています。1人でも多くの方に参加いただきたいですね。

f:id:wakaben6888:20180628190232j:plain

 
(弁護士・金原徹雄のブログから/「平和のための戦争展わかやま」関連) 
2015年8月7日
「2015平和のための戦争展わかやま」(8/1)でピースライブを堪能する
2016年7月12日
予告7/30&31「2016平和のための戦争展わかやま」~半田滋さんの講演(7/30)もあります
2016年7月30日
戦地からの“最愛の妻”への手紙~「2016平和のための戦争展わかやま」から
2017年7月16日
「平和のための戦争展わかやま2017」(7/29・30プラザホープ)のご案内

放送予告・「私の人生を返して下さい~旧優生保護法 国が強制した不妊手術~」(2018年7月8日@テレメンタリー)

 2018年6月27日配信(予定)のメルマガ金原.No.3191を転載します。
 
放送予告・「私の人生を返して下さい~旧優生保護法 国が強制した不妊手術~」(2018年7月8日@テレメンタリー
 
 旧優生保護法下で障害者らに施された不妊手術や人工妊娠中絶に関する弁護士による一斉相談が行われ、併行して、被害者が国の責任を問う国家賠償請求訴訟がいくつかの地裁に提起されるなどの動きをうけて、マスメディアにおいても、この問題を取り上げたドキュメンタリー番組が放送されるようになり、そのうち、以下のものは私のブログでも事前告知しました。
 
日本放送系列 2018年4月16日(月)0時55分~1時25分(15日深夜)
NNNドキュメント「57年目の告白 強制不妊 産み育てる尊厳奪われ」
 
NHK・Eテレ 2018年6月5日(火)午後8時00分~8時30分
ハートネットTV「闇に埋もれた真実は(1)「私も不妊手術を受けさせられた」」
 
 ちなみに、後者の番組は、放送後、テキスト化されたものがアップされていますのでご紹介しておきます。
 
優生保護法 対象外でも行われた不妊手術の実態
記事公開日:2018年06月12日
(冒頭部分から引用開始)
障害者への強制不妊手術を認めていた旧優生保護法(1948~96)をめぐり、国を訴える裁判が全国で起こされ注目を集めています。「不良な子孫の出生を防止する」ことを目的に掲げ本人の同意なく強制不妊手術されたのは、分かっているだけでもおよそ16,500人。しかし、その数に含まれない旧優性保護法の対象“外”でも不妊手術に追い込まれた人たちがいたことが分かってきました。なぜそのような悲劇が起きたのか、当事者たちが重い事実を語ってくれました。  
(引用終わり)
 
 今日は、来る7月8日(日)に(違う放送日の放送局もありますが)、テレビ朝日系列で放送されるテレメンタリー「私の人生を返して下さい~旧優生保護法 国が強制した不妊手術~」をご紹介します。
 
テレビ朝日 2018年7月8日(日)午前4時30分~5時00分
朝日放送テレビ 2018年7月8日(日)午前4時55分~5時25分
テレメンタリー2018「私の人生を返して下さい~旧優生保護法 国が強制した不妊手術~」
(番組案内から引用開始)
1996年に「母体保護法」へと改正されるまでの約50年間、障害がある人などに対し不妊手術を強制していた「優生保護法」。「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止する」として手術を強制された人は全国で約1万6500人、宮城県では2番目に多い1400人に上っている。
「私の人生を返して下さい」。手術の被害を20年前から訴え続けてきた県内の女性を通して、宮城で不妊手術が推し進められていった背景を追った。
ナレーター:湯浅真由美
(引用終わり)
 
 なお、来る7月3日に行われる第3回「全国一斉 旧優生保護法による不妊手術110番」を伝える優生保護法被害弁護団サイトの中の「全国一斉電話相談(7/3)実施予定」のページにリンクするとともに、
和歌山での相談会の概要を再掲しておきます。
 
(1)日時 平成30年7月3日(火)午後1時~午後3時
(2)相談方法   
   面接相談:和歌山弁護士会館(和歌山市四番丁5番地)にて
   電話相談:073-421-6055
    上記番号は、当日のみの開設です。
   FAX:073-436-5322
    電話による相談が困難な方のためにFAXでも相談を受け付けます。
 ※なお、7月3日以降も、和歌山弁護士会では随時ご相談を受け付けています。
   電話:073-422-4580 FAX:073-436-5322
(3)対象 障害当事者や、そのご家族、支援者等。
(4)相談料 無料
(5)相談内容 旧優生保護法による不妊手術や人工妊娠中絶に関する問題等。
(6)相談員 和歌山弁護士会人権擁護委員会及び高齢者・障害者支援センター運営委員会委員が担当
(7)主催 和歌山弁護士会
(8)お問い合わせ先
   和歌山弁護士会 TEL:073-422-4580
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/旧優生保護法関連)
2018年3月28日
和歌山弁護士会など「全国一斉 旧優生保護法による不妊手術110番」(2018年3月30日)実施のお知らせ
2018年4月3日
放送予告(4/15)NNNドキュメント「57年目の告白 強制不妊 産み育てる尊厳奪われ」
2018年5月17日
和歌山弁護士会など「全国一斉 旧優生保護法による不妊手術110番」(2018年5月21日)実施のお知らせ
2018年6月4日
NHKサイトで聴きかつ読む「旧優生保護法下での強制不妊手術」&ハートネットTV:闇に埋もれた真実は(1)「私も不妊手術を受けさせられた」のご案内
2018年6月24日
和歌山弁護士会など「全国一斉 旧優生保護法による不妊手術110番」(2018年7月3日)実施のお知らせ~今度が3回目です

セクハラ問題に関する角田由紀子弁護士による動画2本(ビデオニュース・ドットコム&日本記者クラブ)のご紹介

 2018年6月26日配信(予定)のメルマガ金原.No.3190を転載します。
 
セクハラ問題に関する角田由紀子弁護士による動画2本(ビデオニュース・ドットコム&日本記者クラブ)のご紹介
 
 財務事務次官によるセクハラ疑惑をめぐる財務省の対応が大きな批判を浴びた際、我が国における初の本格的なセクハラ訴訟を担当し、この問題の第一人者と目される角田由紀子(つのだ・ゆきこ)弁護士が、様々な媒体でコメントを求められましたが、ここでは、4月に収録されたビデオニュース・ドットコムによるインタビューと、昨日(6月25日)日本記者クラブで行われた記者会見の模様をご紹介しておきます。
 ちなみに、私にとって、角田先生といえば、何よりまず安保法制違憲訴訟の会共同代表のお一人であったのですが、これらの動画を視聴したのを機に、角田先生の『性の法律学』(有斐閣選書/1991年)や『性差別と暴力―続・性の法律学 』(有斐閣選書/2001年)、『性と法律―変わったこと、変えたいこと』(岩波新書/2013年)などを手にとって勉強したいと思いました。
 ご紹介する2本の動画が、皆さんが、セクハラとは何か、セクハラの何が問題なのか、という基本的なところから理解しようとする際の導き手となることを確信します。
 
ビデオニュース・ドットコム ニュース・コメンタリー(2018年4月24日)
セクシュアルハラスメントが人権問題であることを認識して欲しい(50分
(番組案内から引用開始)
ゲスト:角田由紀子氏 (弁護士)
司会:迫田朋子
 財務次官のセクハラ疑惑をめぐる財務省の対応は、最強官庁と呼ばれる財務省におけるセクシュアル・ハラスメントに対する前時代的な認識を露わにした。福田淳一前財務次官のセクハラを告発した被害者であるテレビ朝日の女性記者に対し、財務省と顧問契約を結んでいる弁護士事務所に名乗り出るよう要請したのだ。
 辞任した福田氏の後任次官と目されている矢野康治官房長にいたっては国会で、「(名乗り出ることは)そんなに苦痛なことなのか」と言い出す始末である。
 セクハラ問題に対する最低限の理解があれば、被害者が声をあげることがいかに困難であるかは当然理解できていなければならないことだ。
 そもそもセクシュアル・ハラスメントは男女雇用機会均等法に規定された不法行為であり、同法はその11条で事業主の責務として「雇用管理上の必要な措置をとらなくてはならない」ことを明確に定めている。さらに公務員については、人事院規則のなかにセクシュアル・ハラスメントの防止等という項目があり、「他の者を不快にさせる性的な言動」について「職員がその職務に従事する際に接する職員以外の者を不快にさせる」場合も含め、その長が適切に対応しなければならないことが明記されている。
 1989年に福岡で日本初のセクハラ訴訟が起きてから30年近くが経つ。福岡訴訟で被害者の代理人を務めた角田由紀子弁護士は、92年に勝訴判決が出て以降、セクハラに対する社会の問題意識が少しずつ進んできたことを実感してきた。判例を積み重ねながら、企業の対策も進んできていた。だからこそ、中央省庁のトップエリートといわれる財務省の今回の対応には、驚きを禁じ得ないという。入省年次や出身大学、身分(キャリア(総合職)とプロパー(一般職)など)によって上下関係が当たり前のように受け入れられている官僚機構という特殊なヒエラルキーのなかで、人権意識が失われてしまっているのではないかと、角田氏は指摘する。
 1980年代にアメリカで初めてセクシュアル・ハラスメントが社会問題化したときから、アメリカではセクシュアル・ハラスメントは人権問題として取り扱われてきた。1986年、アメリカ連邦裁判所はセクシュアル・ハラスメントを「雇用における性差別」として位置づけ、公民権法上の不法行為としてこれを断罪している。日本でもセクハラという言葉だけは広まったが、その根本に性差別があり、これが人権侵害であるという認識が正しく理解されてこなかったことを角田氏は危惧する。
 福岡訴訟以来30年にわたりセクシュアル・ハラスメント問題に取り組んできた弁護士の角田氏とジャーナリスト迫田朋子が議論した。
【ゲスト・プロフィール】
角田 由紀子 (つのだ ゆきこ)
弁護士
1942年福岡県生まれ。67年東京大学文学部卒業。75年弁護士登録。専門はセクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンスなど。東京強姦救援センター法律アドバイザー、女性の安全と健康のための支援教育センター代表理事を兼務。著書に『性と法律』、『性差別と暴力』など。
※本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。
(引用終わり)
 
「セクハラ問題の30年」角田由紀子弁護士 2018.6.25(1時間10分)
(会見メモから引用開始)
1989年のセクハラに関する国内最初の訴訟で代理人を務めた角田氏。その後「セクハラ」という言葉は浸透し、不法行為として損害賠償請求が行われるようになったが、「性差別が生み出す性暴力である」との認識が未だに欠けていると指摘。性差別を定義し、それを禁じる法が必要、と主張した。
司会 福本容子 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞
(引用終わり)