wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

志田陽子さん(武蔵野美術大学教授)公演「歌でつなぐ憲法の話~憲法に託された夢と希求」(2019年1月14日@新宿区角筈区民ホール)を視聴する

  2019年1月20日配信(予定)のメルマガ金原.No.3398を転載します。
 
志田陽子さん(武蔵野美術大学教授)公演「歌でつなぐ憲法の話~憲法に託された夢と希求」(2019年1月14日@新宿区角筈区民ホール)を視聴する
 
 ここ何か月かの間、常に意識続けていた企画、「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」が、多くの方々のご協力により、盛会裡に終了しました。取り急ぎ、昨日のうちにブログに報告をアップすべく頑張ったおかげで、事務所を出たのはほぼ午前1時でした。
 こういう翌日というのは、やらねばならないことはまだまだたくさんありながら、なかなか意識と身体が動かないもので、夕方になって、ようやく「今日のブログ、どうしよう」ということに頭がいくようになりました。
 
 実は、「この動画がアップされたら、それを視聴した上でブログで紹介しよう」と目星をつけていた企画があり、ツイキャス生放送を担当していた「なにぬねノンちゃんねる」をチェックしたところ、昨日(1月19日)アップされていました!その企画というのは、去る1月14日に新宿区角筈区民ホールで開催された、志田陽子さん(武蔵野美術大学教授)による「歌でつなぐ憲法の話 憲法に託された夢と希求(「歌でつなく憲法の話-第一集-」リリース記念、「あたらしい表現活動と法」、「教職のための憲法」出版記念公演)」(主催:歌でつなぐ憲法の話実行委員会、後援:九条の会・小平、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める西東京市民連合、科学者九条の会)というものです。
 
 巻末の私のブログへのリンク一覧にあるとおり、私は、インターネットで視聴できる志田先生の憲法をめぐる「歌と講演」のいくつかをご紹介してきましたが、おそらくは、この1月14日に行われた公演が、志田先生のイメージに最も近い、本来の「歌でつなぐ憲法の話」なのだろうと想像していました。
 そして、1時間38分に編集された「なにぬねノンちゃんねる」による動画の全編を視聴して、私の想像は間違っていなかったことが確認できたと思います。
 まず、歌が多い!1曲歌われるごとに、その曲と憲法との関わりをお話されるスタイル(歌唱と講話が半々くらい)だと、どうしても演奏できる曲の数は少なくならざるを得ません。
 今回は、お話は短めに凝縮し、曲と憲法との関わりについての説明は、演奏中に上映されるスライド(写真や文章)に多くを譲っておられました。
 その上、1曲、1曲演奏してもおかしくない数曲をメドレーにしている箇所もあったりします(公演時間の問題かもしれませんが)。
 
 志田先生のFacebookを拝見していると、公演直後には「今、燃え尽きた灰になっておりまして、気の効いた言葉を思い付きません(笑)。ともかくこの2年ほどの活動の集大成というか、こういうふうにやりたかったんだ、と思ってきたことが、ようやく、形になったと思っています。」と「公開」で書かれていたのが、
一昨日(1月18日)には、早くも「友達限定」ではありますが、半年後の再チャレンジを予告するという意欲を示しておられます。
 
 私も、燃え尽き症候群のなりかけでしたが、夕刻から志田先生のコンサート(ですよね)を視聴して、また憲法問題に自分なりの取組を続けて行こうという元気が回復してきました。是非皆さんも視聴してください。
 なお、14日の公演では、ゲストスピーカーとして、東京新聞記者の望月衣塑子さんがお話されましたが、その部分は動画には含まれていないことをお断りします。
 
20190114 志田陽子「歌でつなぐ憲法の話」(1時間38分07秒)
5分20秒~ お話
6分57秒~ 『オールド・ブラック・ジョー』
9分41秒~  お話(伴奏者紹介)
         ピアノ:沼館千佳子さん
         ギター:須藤 祐
         ブルースハープ:小林トモカズさん
13分15秒~ 『マイ・オールド・ケンタッキー・ホーム』
19分36秒~ お話
21分05秒~ 『HOUSE OF THE RISING SUN』
23分52秒~ お話(ヤサグレ調で)
26分14秒~ 『朝日のあたる家』(日本語詞)
32分16秒~ ハナミズキ
38分20秒~ お話
39分42秒~ ゲスト:小川佳代子さん(安保法制違憲訴訟原告)のスピーチ
50分11秒~ お話
52分20秒~ メドレー
        ①『禁じられた遊び』(ギターソロ)
        ②『やさしいキスをして』
        ③『童神(わらびがみ)』
        ④『ダニーボーイ』
1時間04分15秒~ お話
1時間05分53秒~ ノーサイド
1時間12分10秒~ お話
1時間13分25秒~ 『蛍(「ラストゲーム・最後の早慶戦」主題歌)』
1時間17分50秒~ お話
1時間18分57秒~ 『夢の話』(作詞作曲:志田陽子)
1時間23分35秒~ 終演
-アンコールを求める拍手-
1時間24分45秒~ 再登場してお話
1時間26分05秒~ 贈る言葉
1時間30分25秒~ お話
1時間32分45秒~ 『ヘイ・ジュード』
1時間37分30秒~ 最後のご挨拶
 
(参考)
 そもそもこの公演は、「歌でつなく憲法の話-第一集-」リリース記念、「あたらしい表現活動と法」、「教職のための憲法」出版記念と銘打たれていました。後半の2冊は分かりますよね。この2著にリンクしておきます。
志田陽子編、志田陽子・比良友佳理著『あたらしい表現活動と法』(2018年4月・武蔵野美術大学出版局刊)
志田陽子編著『合格水準 教職のための憲法』(2017年11月・法律文化社刊)
 ただ、「歌でつなく憲法の話-第一集-」は、AMAZONで検索しても出てこないですね。ライブ会場(?)での手売りで入手するしかないのだろうか?
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/志田陽子氏関連)
2016年8月21日
響け!歌声 自由のために 歌と映画と憲法と~予告8/28志田陽子教授(武蔵野美術大学憲法学)がおくる歌と講演(平和を育てる大泉9条の会)
2017年6月9日
九条の会・小平12周年の集い」(星美智子さんの歌と志田陽子さんの講演)を視聴する
2018年7月11日
志田陽子さん(武蔵野美術大学教授)が歌い、語る「楽しく聴いて知るコンサート」を視聴しましょう
2018年12月20日
志田陽子さん(武蔵野美術大学教授)講演「安保法制違憲訴訟における平和的生存権・人格権」と『虚空(そら)の名前』など3曲の演奏を聴く

「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)からのメッセージ

  2019年1月19日配信(予定)のメルマガ金原.No.3397を転載します。
 
「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)からのメッセージ
 
 これまで4回にわたり、事前告知を繰り返してきた「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」が、今日(1月19日)の午後4時過ぎ(ほぼ予定通りの時刻です)に無事終了しました。
 和歌山県下各地をはじめ、一部は県外からも参加してくださった方は約900名にのぼりました。実行委員会を代表して(と言えるような立場かどうかの詮索はさておき)、参加してくださった皆さまに、心からお礼申し上げます。

f:id:wakaben6888:20190119140711j:plain

 
 ということで、今日は、その「つどい」の詳細レポートを書きたいのはやまやまながら、「それは無理だろう」ということは、事前に覚悟していました。
 私の立場は、10団体で構成する実行委員会の事務局というものであり、もちろん、ロビー企画は「安保関連法に反対するママの会@わかやま」のBさん、音楽部門は「9条ネットわかやま」のNさん、舞台・楽屋まわりは「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」のMさん、という具合に、それぞれ中心になって担当していただいている方はいるのですが、桂文福さんや小林節先生との交渉窓口は私がやっていましたし、どうしても、ロビーに設置した本部席、舞台袖、楽屋などにいる時間が(開会後も)長くならざるを得ず、実際、今日私は客席に一瞬たりとも座ることはありませんでしたので、レポートをお届けするのは断念しました。
 
 そこで、今日のブログをどういうものにしようとしているかというと、後日、この「つどい」がどういうものであったかを振り返った際、その概略を知ることができるようにしたいということで、本日来場者に受付で配布したA4・4枚分をA3裏表に印刷した資料をまるごとご紹介しようというものです。正直、大半が引用なので、私が「楽ができる」ということも、もちろんあります。
 
 まずは、その配付資料のPDFを掲げておきます。
 
 その1頁目は、プログラムのご紹介、その他です。
 
(配付資料1頁から引用開始)
                      危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲
                           1・19和歌山県民のつどい
                                 プ ロ グ ラ ム
 
2019年1月19日(土) 和歌山県民文化会館大ホール
 
開場 12時30分 
 様々なロビー企画がお待ちしています。子どもコーナー(紙芝居、絵本、折り紙)、 インスタフレーム、みんなで作る年表 など
 開会前に場内で、県内での様々な取組を紹介するスライドショーも上映します。
 
開会 13時30分
 主催者挨拶 柏原 卓さん(九条の会・わかやま)
「つどい」へのメッセージ(立憲野党から) 紹介
 第1部 相撲甚句河内音頭、そして9条新作落語
       桂 文福(かつら・ぶんぶく)さん(芸人9条の会) 
 第2部 講演「安倍壊憲をなぜ阻止しなければならないのか」
       小林 節(こばやし・せつ)さん(慶應義塾大学名誉教授・弁護士)
 第3部 平和を奏でる有志たち
       津軽三味線 龍絃会(りゅうげんかい)
             Wakayama Peace Band
「つどい」からのメッセージ 提案
閉会 16時00分(予定) 
 
「あの青い空のように」の歌詞(第3部で一緒に歌いましょう)
 1 よろこび ひろげよう
   ※小さなぼくたちだけど
     あの青い空のように
        すみきった心になるように
 2 力を合わせよう
   ※くりかえし
 3 心をつなげよう
   ※くりかえし
 4 あかるさ いつまでも
   ※くりかえし
   あの青い空のように
      すみきった心になるように
     作詞作曲:丹羽謙次 ※2番・3番の冒頭は替え歌
 
※主催者からのお願い
  会場内での子どもたちの撮影について、個人が特定される状態の写真や動画をネット上にアップされることはご遠慮ください。
(引用終わり)
 
 「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」の重藤雅之(しげとう・まさゆき)弁護士の司会で始まった「つどい」は、実行委員会構成団体の1つ、「九条の会・わかやま」事務局の柏原卓(かしわばら・すぐる)さんによる主催者挨拶に続き、立憲野党6党からいただいたメッセージを披露しました。
 その一々をご紹介することは致しませんが、メッセージを頂戴した政党と県組織の代表者のお名前(組織名は全ていただいたメッセージに記載されていたとおりに表記)のみご紹介します(メッセージ本文はPDFファイルをご覧ください)。
 
こくみん民主党 和歌山県連 代表
 衆議院議員 岸本周平(きしもと・しゅうへい)様
 委員長 下角 力(しもかど・つとむ)様
 代表 谷口和樹(たにぐち・かずき)様
 代表 内海洋一(うつみ・よういち)様
 代表 野見山 海(のみやま・あつみ)様
 委員長 小谷英治(こたに・えいじ)様
 
 続いて、第1部は地元和歌山県(桃山町)ご出身で、芸人9条の会の創立以来のメンバーである落語家・桂文福(かつら・ぶんぶく)さんによる約30分の楽しいステージでした。
 ただ、何を言うにも、この第1部と、それに引き続く第2部の小林節先生による講演については、場内で(立ち見で)拝聴している時間よりも、場外にいる時間の方が長かったので、その全体の内容についてあれこれ書くだけの材料がありません。
 そこで、この第1部については、後ほど、小谷英治さんによってYouTubeにアップされる予定の動画をご覧いただきたいと思います(私も楽しみに拝見します)。
 ちなみに、この動画は、桂文福さん、小林節先生のお二人から、「自由に動画サイトにアップしてくださって結構です」というご了解が得られたため、公開できることになったものです。
 なお、文福師匠は、ご自身の出番が終わった後も、第2部の小林節先生の講演、第3部の龍絃会やWakayama Peace Bandの演奏を、ずっと舞台下手の袖で聴いておられました。
 
 桂文福さんの後、第2部は小林節(こばやし・せつ)先生(慶應義塾大学名誉教授・弁護士)による講演「安倍壊憲をなぜ阻止しなければならないのか」でした。講演の内容は、以下の動画で聴講していただくとして、その概略を頭に入れていただくために、配付資料の2頁目に掲載した小林先生のレジュメをご紹介します。
 
(配付資料2頁から引用開始)
第2部 講演「安倍壊憲をなぜ阻止しなければならないのか」レジュメ
 
                                                              憲法学者 小林  節
 
1.安倍政権による憲法破壊
 :特定秘密保護法(⇔知る権利)
  戦争法(⇔専守防衛、海外派兵の禁止)
  共謀罪(⇔プライバシー)
  労働法制改悪(⇔生存権(人間らしい生活))
  LGBT批判(⇔個人の尊厳、法の下の平等
  入管法改正(⇔立法権の空洞化)
  モリ・カケ問題、山口(「強姦」)不逮捕、メディア支配、官僚(含、司法?)  
  支配(権力の私物化(人治主義)(⇔法治主義、法の支配、民主主義、法の下の平等
 
2.安倍政権の改憲提案
  本命:9条に加憲:「必要な自衛を行う自衛隊を保持する」:9条2項(専守防衛、海外派兵の禁止)を否定:米軍の二軍化:愚か!
  その他:緊急事態条項(首相独裁)、参院選合区解消(「1人1票原則」を否定)、教育の充実(法律・予算で可能:憲法事項ではない)
  評価:要するに憲法改悪以外の何ものでもない
 
3.衆参同日選+国民投票の可能性
 :運動方法・費用が無制限(強者有利)になってしまう
 
4.護憲の唯一・完全な方法
 :国民投票での否決と政権交代
 
5.政権交代の方法
 :1人区における真の野党共闘の実現、これに尽きる
 
[小林 節(こばやし・せつ)氏 プロフィール]
  1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義!日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著)
                                          (以上「日刊ゲンダイDIGITAL」より)
 なお、小林先生は、和歌山県では、2015年11月21日に田辺市(紀南文化会館小ホール)で、2016年5月14日に和歌山市和歌山市民会館大ホール)で講演されています。
(引用終わり)
 
 小林先生のご見解は、日刊ゲンダイ連載のコラム「ここがおかしい 小林節が斬る!」に随時掲載されますので、是非注目していただければと思います。
 
 小林先生の講演終了後は第3部「平和を奏でる有志たち」となります。
 この部分は動画のアップはありませんので、私が書いた司会者用台本(第3部だけは私が書きました)を引用しておきます。
 
龍絃会のご紹介
「ここからは、「第3部 平和を奏でる有志たち」でお楽しみください。まずはじめは、津軽三味線奏者の三木久美夫(みき・くみお)さん率いる「龍絃会(りゅうげんかい)」の皆さまによる演奏です。三木さんは、2017年、2018年と2度にわたり、「ラブ&ピースライブ和歌山~平和を祈るコンサート」の開催を多くのミュージシャンに呼びかけて成功させるなど、音楽を通じて平和を訴える活動に積極的に取り組んでこられました。
 なお、龍絃会の演奏につきましては、写真撮影、録音録画は禁止とさせていただきますので、よろしくお願いします。
 それでは、龍絃会の皆さまによる津軽三味線の妙技をご堪能ください。」
 
Wakayama Peace Bandのご紹介
「平和を奏でる有志たち、続いての出演はWakayama Peace Bandの皆さんです。これまで、三木さんたちと共に、音楽で平和を訴えてきた素和歌(そわかか)と Crowfield(クロウフィールド)という2つのユニットに、第3部のコーディネーター、なかむらいづみさんが加わった7人編成による、この「つどい」のために結成されたスーパーバンドです。それでは、Wakayama Peace Bandの皆さんによる演奏をお楽しみください。」

f:id:wakaben6888:20190119155914j:plain

 
 なお、Wakayama Peace Bandが演奏した4曲は以下のとおりです。
 
1 イマジン(ジョン・レノン/英語詞)
2 この島~日本国憲法の歌(Crowfield/オリジナル)
3 Heal the World(マイケル・ジャクソン/英語詞)
4 風に吹かれて(ボブ・ディラン/日本語詞)
 
 この第3部の最後を締めくくるのは、配付資料1頁目に掲載されていた曲「あの青い空のように」(作詞作曲:丹羽謙次)であり、Wakayama Peace Bandのなかむらいづみさんからの呼びかけをきっかけに、客席に待機していた子どもたちやママ・パパたちがステージに上がり、客席と一緒に歌ってフィナーレを迎えました。
 
 そして、ステージで一緒に歌っていたうちのお1人、田辺市から参加してくださった「9条ママnetキュッと」の笠松美奈さんが、「つどい」からのメッセージを朗読(提案)してくださいました。
 実は、笠松さんがこのメッセージの朗読(提案)を担当することが正式に決まったのは、何と今日の開会前(!)というドタバタであり、笠松さんにはまことに申し訳ない次第でした。けれども、今日会場で美奈さんが読み上げるメッセージを聴いた方は、誰もそんなことには気がつかず、とても心に染みる立派な提案であったと感動したことと思います。さすがは、あの名曲『スナメリ泳ぐ海』の作者だけのことはある、とうなずいた方も少しはいたかな?
 このメッセージの原案自体、公表がはばかられるドタバタの末に生み出されたのですが、会場で聴かれた方、そして以下に掲載するメッセージを読まれた方はどう受け止められたでしょうか?
 事前に十分な打合せが出来なかったために、会場に拍手による賛同を求める段取りがもたついてしまったのは、美奈さんや、第3部の最後で「あの青い空のように」を歌った後、ステージに残ってメッセージを聴いていた子どもたち、ママ・パパたち、Wakayama Peace Bandの皆さんにも申し訳なかったな、と反省しきりです。
 まあ、それはそれとして、少なくとも私が感じた会場の反応は、普通の「集会アピール」で賛同の拍手を送る時の反応とは明らかに違うもので、とても大きな共感を持っての拍手をいただけたのではないか(手前味噌ではありますが)というものでした。
 それでは、配付資料の最終頁(4頁)に掲載されていた「つどい」からのメッセージをご紹介します。
笠松美奈さんについての参考ブログ(弁護士・金原徹雄のブログ)
2013年11月16日
『スナメリ泳ぐ海』から世界を見たら
『スナメリ泳ぐ海』を演奏する「なつおmeets南風」(笠松美奈さんはキーボード)
 
(配付資料4頁から引用開始)
                             「つどい」からのメッセージ
 
 私たちは、この「つどい」で、子どもたちや会場の皆さんと一緒に歌うために、「あの青い空のように」という曲を選びました。この曲の歌詞の1行目は、歌う者が自由に替え歌にして、自分たちの思いを歌い上げることが広く行われています。今日私たちが選んだことばは、「力を合わせよう」と「心をつなげよう」でした。
 
 今、私たちが大事にしてきた日本国憲法が、何だかよく分からない理由で変えられようとしています。私たちが、戦争のない平和な暮らしを子どもたちに手渡すことができるのか、その瀬戸際にあるということも学びました。
 私たち1人1人の力はとても小さいけれど、力を合わせれば、きっとできる。必ず子どもたちに私たちの宝物をひきつぐことができる。そのために「力を合わせよう」というメッセージを送ります。
 
 今は幼い子どもたちも、やがては自分で周りを見わたし、自分で考え、自分の足で歩き出します。
 私たちがみんなで力を合わせるためにも、お互いを理解し合い、心を通わせること、世代を超えて心をつなぐことがとても大切です。
 私たちの思いを子どもたちにつなぎ、成長した子どもたちが、平和を願い、そのために自ら行動する人となるように、「心をつなげよう」というメッセージを送ります。
 
 この「つどい」に集まった私たちは、老いも若きも、女性も男性も、互いに1人1人の人格を尊重し、平和を願い、公正を尊ぶという日本国憲法の理念を守り、より良い世界の実現のために全力を尽くすことを誓います。
 
  2019年1月19日 
 
      「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 
       1・19和歌山県民のつどい」 参加者一同
(引用終わり)  
 
 以上で、本日の「つどい」(開会~閉会)の流れをご紹介しました。もちろん、開会前には、様々なロビー企画が「ママの会」を中心に行われましたし、開会前には、県下各地の様々な平和に関する取組の写真を上映するスライドショーなども行われましたが、それらをご紹介するだけの余力はありませんので、写真を中心にブログに先だってFacebookに投稿した記事にリンクしておきます。
 
Facebookへの投稿1(タペストリー、横断幕)
Facebookへの投稿2(シール投票、みんなで作る年表、絵手紙)
Facebookへの投稿3(3000万人署名、紀州九条せんべい)
Facebookへの投稿4(桂文福さん)
Facebookへの投稿5(Wakayama Peace Band)
Facebookへの投稿6(「つどい」からのメッセージ)
 
 最後に、配付資料3頁目の「賛同団体一覧表」を掲載します。ここで一言お断りしておくべきは、今日の「つどい」で「きび9条の会」から賛同書をいただいたということで、本日用意して配布した資料には当然同会の記載は間に合いませんでしたが、以下の「引用」分には、「きび9条の会」を追加しておきました。ちなみに、有田川町にある「きび9条の会」には、私も去る2016年3月に、同会の学習会の講師にお招きいただいたのでした。
 
(配付資料3頁から引用開始)
            私たちはこの「つどい」に賛同します!(賛同団体一覧表)
 
安倍9条改憲NO!かつらぎ町民アクション/安倍9条改憲NO!「3000万署名」和歌山市民アクション/「安倍9条改憲を許さない」那賀連絡会/安保条約をなくし、平和と民主主義、生活向上をめざす和歌山県民会議/岩出市九条の会/うたごえオールスターズ/輝け9条!芳養の会/きび9条の会/紀宝9条の会(三重県紀宝町)/紀南9条の会/くしもと9条の会/くまの平和ネットワーク/九条の会いなみ/9条の会・うちた/9条の会・かつらぎ/九条の会・きし/9条の会・高野口/九条の会ゆら/9条ママnetキュッと/キリスト者9条ネット和歌山/憲法9条を守る有田共同センター/憲法9条を守る伊都・橋本連絡会/憲法9条を守る和歌山市共同センター/古座川九条の会/雑賀9条の会/四箇郷9条の会(準)/市役所・水道局退職者九条の会/白浜9条の会/新日本婦人の会有田川支部新日本婦人の会紀の川支部新日本婦人の会西牟婁支部新日本婦人の会広川準備支部新日本婦人の会みなべ町支部新日本婦人の会龍神支部新日本婦人の会和歌山県本部/新日本婦人の会和歌山市支部/田辺・9条の会/治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟和歌山県本部/はしもと9条の会/はしもと9条の会西部/ピース9の会・パープル/広川憲法9条の会/平和と憲法を守りたい市民の声/平和・民主・革新の日本をめざす和歌山県の会/守ろう9条 紀の川 市民の会/守ろう9条 有功・直川の会/みなべ「九条の会」/和歌山うたごえ九条の会和歌山県医療労働組合連合会/和歌山県職員組合牟婁地方支部和歌山県農業協同組合・農業関連団体労働組合連合会/和歌山県母親大会連絡会/和歌山県民主医療機関連合会/和歌山市ひがし9条の会/和歌山司法9条の会/和歌山障害者・患者九条の会/和歌山中央医療生活協同組合(五十音順)
 
危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい実行委員会
構成団体
安全保障関連法制の廃止を求める和歌山大学有志の会/安保関連法に反対するママの会@わかやま/安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合わかやま/9条ネットわかやま/九条の会・わかやま/憲法九条を守るわかやま県民の会/憲法9条を守る和歌山弁護士の会/戦争をさせない和歌山委員会/和歌山県地方労働組合評議会/和歌山県平和フォーラム
(引用終わり)
f:id:wakaben6888:20181203110334j:plain
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」関連)
2018年12月3日
速報!「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)を開催します
2018年12月23日
詳報「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)
2019年1月10日
日刊ゲンダイのコラムで読む小林 節さん(慶應義塾大学名誉教授・憲法学)の「安倍壊憲」批判と「真の野党共闘」の勧め
2019年1月15日
直前情報「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)

番組予告「ベイリーとゆいちゃん」(NHKスペシャル@2019年1月27日)

 2019年1月18日配信(予定)のメルマガ金原.No.3396を転載します。
 
番組予告「ベイリーとゆいちゃん」(NHKスペシャル@2019年1月27日)
 
 世の中には、[猫派」と「犬派」と「どちらも嫌い派」の3種類の人がいるらしいのですが、どう考えても、私は「猫派」の家系でした。けれども、6年前に満20歳で家猫を喪ってからは、自分の年齢も考えて、新しいペットは迎えていません。
 とはいえ、我が家に犬がいた時期も、わずかながらにあり、私の小学生から中学生にかけての頃だったでしょうか、紀州犬を2代続けて(母犬と娘犬)飼ったことがありましたが、惜しいことに、いずれも短命でした。
 
 そんな「猫派」の私でも、以下のような番組告知を読むと、「見てみたいな」という気になったりします。
 
NHK総合テレビ 2019年1月27日(日)午後9時00分~9時49分
NHKスペシャル「ベイリーとゆいちゃん」
(番組案内から引用開始)
神奈川県立こども医療センターには、医療現場に常駐するセラピー犬、ベイリーがいる。長期入院で気分が沈みがちな子どもに寄り添い心をいやしたり、手術室に行くのを嫌がる子どもに付き添ったり。ベイリーが関わった患者は9年間で実に3000人以上。ベイリーに始まった医療現場へのセラピー犬の本格的な導入は、今、全国の医療機関へと広がりを見せている。リハビリの現場にセラピー犬が参加すると、患者の回復が早まったり、自閉症児のコミュニケーション能力が向上したりするケースがあることが注目されている。今回、番組では、重い病と決別するため、大手術を受ける少女、ゆいちゃん(10歳)とセラピー犬ベイリーが、心を通わせながら様々な苦難を乗り越えていく日々を追う。さらに、最新科学は『なぜ犬が人間の心を癒やすのか?』その理由を解き明かしつつある。人と犬の間には、種が違うにもかかわらず『互いに愛情を感じ、心を癒やし合う仕組み』が確かに存在することが分かってきたのだ。それは、人と犬が共に歩んだ3万年の“共進化”が生みだした奇跡の絆だった。犬好きの方!必見です。
(引用終わり)
 
 このベイリーが所属する(というのかな)特定非営利活動法人シャイン・オン・キッズのホームページに、昨年の10月、「“名誉ファシリティドッグ”ベイリーの引退セレモニーを行います」というプレスリリースが掲載されていましたので、引用してみます。
 
(抜粋引用開始)
 ファシリティドッグのベイリー(10歳・オス)は、国内初のファシリティドッグとして、平成22年1月より静岡県立こども病院で活動を開始。その後、平成24年7月に神奈川県立こども医療センター(総長:山下純正氏 http://kcmc.kanagawa-pho.jp)に着任し、病院スタッフの一員として、ハンドラー森田優子と一緒に大勢の子どもたちを笑顔にしてきました。
 ベイリーは10歳の誕生日を機に徐々に病棟業務を後任犬のアニー(2歳・メス)に引き継ぎ、最近は“名誉ファシリティドッグ”として病院内ボランティア団体での活動に移行。この度ひとつの節目として引退セレモニーを執り行います。
【日時】10月16日(火)14:00スタート (13:30受付開始)
【場所】神奈川県立こども医療センター体育館 http://kcmc.kanagawa-pho.jp/
 特定非営利活動法人シャイン・オン・キッズ( http://sokids.org/ja/ )が派遣するファシリティドッグは、1年半から2年にわたる特別なトレーニングを積み、治療行為に関わる「動物介在療法」を主体として活動します。今回の引退セレモニーには育成元の「アシスタンスドッグス・オブ・ハワイ」(アメリカ・ハワイ州)の創設者モーリーン・マウラー氏とトレーナーでベイリーのパピーレイザーだったシャロン・ダーキスト氏も、シャイン・オン!キッズ理事長のキンバリー・フォーサイスと共に参加します。
 今までベイリーが病院で出会った子どもの数は、のべ2万人以上。「苦しかった入院生活に彩りを与えてくれた」、「ベイリーが来てくれることが楽しみで乗り越えられた」、「リハビリを頑張れたのはベイリーのおかげ」等、たくさんの声が寄せられています。当日は、お子さんからの感謝のスピーチや、お手紙や絵のご紹介もいたします。
 今後は後任犬のアニー(メス・2歳)にバトンを渡し、ボランティア犬として第二の人生を歩みます。
【ファシリティドッグとは】
 病院に常勤して医療チームの一員として働けるように、専門的なトレーニングを受けた犬です。 ハンドラーとペアになって活動し、単なる患者との触れ合いにとどまらず、小児がんや重い病気の治療にも関わっています。
 日本ではまだ、シャイン・オン!キッズが派遣する静岡県立こども病院と神奈川県立こども医療センターにしか存在しません。(都内公的病院に新規導入準備中)
 ファシリティドッグの大きな特徴は、毎日同じ病院に勤務し、個々のニーズに合わせた活動を行うことです。痛い検査や手術室への付き添い、リハビリ支援なども行います。いろいろな病院や施設を巡回訪問することはありません。
 ときどき訪れて短い時間だけふれ合うのではなく、同じ犬がいつもそこにいて多くの時間を繰り返し過ごせることが、入院治療している子どもたちの心の励みになります。ファシリティドッグプログラムは、歯の妖精「TOOTH FAIRY」プロジェクト(日本歯科医師会協賛・日本財団実施)をはじめ、多くの企業、団体、個人のご支援により運営しています。
(引用終わり)
 
 実は、ベイリーのことは本にもなっているのですね。2011年11月に、岩貞るみ子さんの文、澤井秀夫さんの写真で、小学館から刊行されています。思わずAMAZONマーケットプレイスで注文してしまいました。
 
『ベイリー、大好き セラピードッグと小児病院のこどもたち』
 
 27日の放送までに本も届いているでしょうから、ざっと目を通した上で、番組を視聴できればと思います。

「終活のススメⅡ~心穏やかな老後と残された人の幸せを願って~」(2/23法テラス和歌山・法教育セミナー)のご案内

 2019年1月17日配信(予定)のメルマガ金原.No.3395を転載します。
 
「終活のススメⅡ~心穏やかな老後と残された人の幸せを願って~」(2/23法テラス和歌山・法教育セミナー)のご案内
 
 昨日、消費者ネットワークわかやま公開学習会「無縁社会と終活~人生のエンディングを考える~」(2019年2月9日@和歌山県勤労福祉会館プラザホープ2階多目的室)をご案内したところですが、2日続けての「終活」企画のご案内です。
 今日ご紹介するのは、法テラス和歌山(正式名称は日本司法支援センター和歌山地方事務所)が主催する法教育セミナー「終活のススメⅡ~心穏やかな老後と残された人の幸せを願って~」(2019年2月23日@和歌山県民文化会館小ホール)です。
 
 「終活のススメⅡ」ということは「終活のススメⅠ」があった訳で、それは4年前に開催した「法テラス和歌山 法教育セミナー-終活のススメ-」(2015年3月14日@和歌山市あいあいセンター6階ホール)でした。
 前回の「終活のススメ」は、第1部でドキュメンタリー映画エンディングノート』(砂田麻美監督)を上映し、第2部で、相続・遺言を主なテーマとした座談会形式の弁護士による法律講座という構成でした。事前告知した私のブログは以下のとおりです。
 
2015年2月2日
映画『エンディングノート』上映と法律講座のご案内(予告3/14法テラス和歌山法教育セミナー)
 
 前回は映画を上映した第1部、今回は林家染二(はやしや・そめじ)師匠に落語をお願いしています。
 私自身、上方落語といえば、長らく米朝事務所と提携して和歌山で落語会を開催してきている和歌山音楽愛好会フォルテに関わってきた関係から、米朝一門の皆さんの高座は何度も拝見してきましたが、染二さんの師匠である四代目林家染丸一門の噺家さんとはこれまで一度もご縁がありませんでしたので、今回の企画で初めて染二師匠の落語を聴くことができるのを非常に楽しみにしています。
 
 ちなみに、染二師匠のオフィシャルサイトに掲載されたプロフィールによると、染二さんは龍谷大学法学部のご出身、「2012年~落語家で初めて京都大学で講義(※「宇宙総合学」全学部1・2回生対象)を担当し、その他大阪電気通信大学京都造形芸術大学大阪成蹊大学にも出講している。」とか。
  もっとも、2月23日には「出講」していただくという訳ではなく、高齢者が消費者被害にあわないようにという創作落語の一席をお願いしているのですが。
 
 そして、第2部は、今回も座談会形式の法律講座で、弁護士、司法書士により、相続、遺言、成年後見などについて、分かりやすく説明します。
 
 以下に、チラシ記載情報を転記します。
 
(チラシから引用開始)
終活のススメⅡ
~心穏やかな老後と残された人の幸せを願って~
 
第1部 落語 林家染二(はやしや・そめじ)さん
 
第2部 座談会 林家染二さん・弁護士・司法書士
     (相続、遺言、成年後見について)
 
開催日時 平成31年2月23日(土)
     開場/14:00 開会/14:30 閉会予定/16:15
会場 和歌山県民文化会館小ホール
      和歌山市松原通一丁目1番地
定員 300名
入場無料
予約不要
手話通訳あり 手話通訳が必要な方は事前に法テラスにご連絡ください。お席を確保します。
  
参加者特典
『法テラス和歌山特製エンディングノート(冊子)』と『LEDライト付きペン』を差し上げます。(300名限定)
 
主催者・お問合せ先
日本司法支援センター和歌山地方事務所(法テラス和歌山)
 TEL:050-3383-5457(受付時間平日9:00~17:00)
 
後援
(引用終わり)

f:id:wakaben6888:20190117213302j:plain

 
 上掲の、4年前に書いた私のブログでもご紹介したとおり、無料でダウンロードできるエンディングノートも色々ありますが、法テラス和歌山のスタッフが独自に作成し、法教育講座などで配布して好評を博している特製エンディングノートを、普段はカラーコピーで対応しているのですが、今回の企画に合わせて特に印刷することになりました。ご期待ください。
 
 私自身、エンディングノートや終活を素材として、「法」のはたす役割についてお話する機会があり、その骨子を文章にまとめていますので、その一部を以下に引用し、今日の記事のまとめとしたいと思います。
 
「法テラス和歌山では、2015年3月に、一般市民を対象とした法教育セミナーを開催し、その中で、『エンディングノート』(砂田麻美監督作品/2011年)というドキュメンタリー映画を上映しました。
 映画は、長年ビジネスの最前線で活躍していた男性が、定年を迎えて間もなく癌の宣告を受け、自分の生と死を見つめながら、様々な思いを整理してエンディングノートを作成していく様子を実の娘さんが撮影したもので、非常に感銘深いものでした。
 セミナーでは、映画を上映した後、後半で、和歌山弁護士会高齢者・障害者支援センター運営委員会の正副委員長を招き、法テラス和歌山法律事務所のスタッフ弁護士がコーディネーターを務めて、遺言や相続についての解説をしてもらうという構成で進行しました。
 皆さんは、エンディングノートというものを見たことがあるでしょうか?色々なものが市販されていますし、ネットで無償ダウンロードできるものもたくさん公開されています。
 自分がどんな人生を歩んできたかを振り返る「自分史」、死後に子どもや親族が困らないように、亡くなったことを連絡して欲しい人の連絡先、葬儀や墓についての希望、財産や負債のことなどが書けるようになっているものが多いようです。
  これは、どちらかと言えば「トラブルが起こらないようにするにはどうするか」という問題ですが、少し私の意見を書いてみます。
 人はみな「自分らしく生きたい」「自己実現したい」と望んでいるはずです。実は、上でご紹介したエンディングノートは、「どう死ぬか」ということ、すなわち究極の「自己実現」のためのツールなのだと思います。
  しかし、セミナーの後半で取り上げたテーマは、「相続」「遺言」でした。
  それはこういうことです。
  人は、様々な社会集団や家族の中で生活しています。彼ら、彼女たちは、朝起きてから夜眠りにつくまで、習俗、道徳、規則(校則や就業規則)、法律、条例など、様々な規範の中で生きています。
  そのような「社会的動物」である人間が、自らを取り巻く環境の中で、いかに「自分らしく」生きていくかということに、「法」が関与できる部分というのは決して多くはありません。分野にもよることですが、「ごく一部」であると言っても良いでしょう。
 しかし、「一部」だから重要性が低いということにはなりません。第1でも少し説明しましたが、裁判制度によって担保された「法」の体系が存在することにより、私たちは、最終的には「権力者による恣意」ではなく、法律を基準とした「公正な判断」が得られると社会(国)を信頼することができます。
 人類は、全能の君主による一方的な裁きではなく、衆智を集めて作った「法」を公正に適用する裁判制度こそ、信頼するに足ると選び取ったのです。近代「法治主義」とは、すなわちそのような「法」に対する信頼の体系なのです。
  もちろん、社会には、「法」は関与せず、習慣や道徳に委ねるべきと考えられる分野もたくさんありますし、そのような問題が法廷に持ち出されても裁判所は不適法として却下します。
  そして、「法」によって規律されている社会的事象をめぐってトラブルが生じないように、あらかじめ明確な「遺言書」や「契約書」を作ったりすること。万一トラブルが生じた場合に、「法」に則った公正な解決がなされるようにすること。そのような「法的」な解決のためのアクセス障害を克服するためにこそ、法テラスが設立され、民事法律扶助業務を運営しているのです。」

「無縁社会と終活~人生のエンディングを考える~」(2/9消費者ネットワークわかやま公開学習会)のご案内

 2019年1月16日配信(予定)のメルマガ金原.No.3394を転載します。
 
無縁社会と終活~人生のエンディングを考える~」(2/9消費者ネットワークわかやま公開学習会)のご案内
 
 重なるときは重なるもので・・・というのは、ここ最近、「終活」というキーワードにかかわる企画をほぼ同時期に3つも目にすることになったのです。
 
 そもそも、「終活(しゅうかつ)」とは?と言ったところで、「公的な」定義がある訳ではありません。
 インターネットで検索してみれば、一般社団法人終活ジャパン協会とか、一般社団法人終活カウンセラー協会などという団体のホームページがあったりしますが、法制度としての「終活」というものはありません。ただ、一般に言われている「「人生の終わりのための活動」の略。人間が自らの死を意識して、人生の最期を迎えるに当たって執る様々な準備や、そこに向けた人生の総括を意味する言葉である。」(Wikipediaより)のうちのごく一部が、「遺言」などとして個別に制度化されているだけです。
 上のWikipediaの説明によると、「終活」という言葉自体の生みの親は「週刊朝日」で、2009年の連載以降広まったとされています。
 
 実際、私が「終活」という言葉を知ったのはそれほど以前のことではなく、3年前に『エンディングノート』(砂田麻美監督/2011年)という映画の上映を含む企画に関わった時が最初でした。
 その時に書いたブログが以下のものです。
 
2015年2月2日
映画『エンディングノート』上映と法律講座のご案内(予告3/14法テラス和歌山法教育セミナー)
 
 3年前の3月14日に上の企画を主催した法テラス和歌山では、今年の2月23日(土)に、その続編ともいうべき「終活のススメⅡ~心穏やかな老後と残された人の幸せを願って~」を開催するのですが(和歌山県民文化会館小ホール)、それはまた機会をあらためてご紹介します(今回の企画の第1部は、映画上映ではなく落語上演です)。
 
 以上が、「終活」関連の3つの企画の1つなのですが、あと2つのうちの1つは、私の友人で、ある障害者団体の役員をしている女性から、「終活に関する学習会を企画しているので弁護士を講師に依頼したい」という相談を受け、和歌山弁護士会高齢者・障害者支援センター運営委員会を紹介したというものです。
 
 そして、3つめの「終活」に関わる企画というのが、今日ご紹介する消費者ネットワークわかやま公開学習会「無縁社会と終活~人生のエンディングを考える~」です。
 もっとも、私自身、この企画に関わっている訳ではなく、単に主催団体の役員の方からチラシをいただいただけなので、そこに記載された以上の情報の持ち合わせはありません。
ただ、そのチラシに「最近では「終活」を狙った悪徳商法や詐欺が問題となっています。」とあるのを読み、インターネットで「終活」と検索してヒットするサイトを子細に見ていくと、そういうサイトを公開しているところ自体は「悪徳商法や詐欺」と無関係であったとしても、「終活」が、新手の消費者被害の素材になりつつあるという事情も、「そうかもしれない」と何だかうなずかれるような気がしてきます。
  
 それにしても、こう私の周辺で「終活」という言葉を頻繁に聞くようになるとは、これが「時流」というものでしょうか。
 以下に、「無縁社会と終活」のチラシ記載情報をご紹介します。
 
(チラシから引用開始)
消費者ネットワークわかやま 公開学習会
無縁社会と終活~人生のエンディングを考える~
 
 人と人とのつながりが希薄化するなか、1人で孤独に亡くなり、引き取り手もない「無縁死」が急増しています。
 2010年に放送されたNHKスペシャル『無縁社会』では、年間3万2千人が「無縁死」していると報道され、大きな話題となりました。
 
 そうした中で、人生の最期を考え、準備する「終活」への関心が高まっています。最近では「終活」を狙った悪徳商法や詐欺が問題となっています。
 
 無縁社会や終活にともなう消費者トラブルについて学び、人生のエンディングについて、一緒に考えてみませんか。
 
講師プロフィール
板垣淑子(いたがき・よしこ)さん
 NHK名古屋放送局 報道部(報道番組)チーフ・プロデューサー
 1994年NHK入局。報道局制作センター、大型企画開発センター、報道局社会番組部あどをへて、現在は名古屋放送局報道部チーフ・プロデューサー。主な担当番組は、NHKスペシャル「ワーキングプア~働いても働いても豊かになれない(2006年)」(ギャラクシー賞大賞)、同「無縁社会~“無縁死”3万2千人の衝撃~(2010年)」(菊池寛賞)、同「終の住家はどこに 老人漂流社会(2012年)」、などを制作。2015年、放送文化基金賞個人賞を受賞。
 
日時 2019年2月9日(土)開場13:00 講演13:30~15:30
会場 和歌山県勤労福祉会館プラザホープ 2F 多目的室
   (和歌山市北出島1丁目5-47)
お問合せ 消費者ネットワークわかやま 事務局 ☎073-474-1124
(引用終わり)

f:id:wakaben6888:20190116211924j:plain

 
(参考サイト)
○「無縁社会から有縁社会へ ~高齢者の孤立をなくすために~」(2018年8月)

直前情報「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)

 2019年1月15日配信(予定)のメルマガ金原.No.3393を転載します。
 
直前情報「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)
 
 今週末の1月19日(土)、和歌山県民文化会館で開催される「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」については、本ブログでも、既に3回にわたって取り上げてきました。
 
2018年12月3日
速報!「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)を開催します
 
2018年12月23日
詳報「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)
 
2019年1月10日
日刊ゲンダイのコラムで読む小林 節さん(慶應義塾大学名誉教授・憲法学)の「安倍壊憲」批判と「真の野党共闘」の勧め
 
 県下10団体で結成した実行委員会の事務局を担当する私としては、この「つどい」が終わって初めて新年を迎える心境です。
 今日は、本番の4日前、最後の直前情報をお伝えします。
 チラシ(12月3日に確定)には書き切れなかった情報を補足してお知らせするとともに、「つどい」への期待感を高め、1人でも多くの方に、「あと1人でも2人でも、声をかけてみようかな」と思っていただきたいという、涙ぐましい(?)願いをこめた内容になるはずです。
 
【手話通訳をお願いしています】
 本「つどい」の大体の構成は、以下のとおりとなっています。
 
開会(13時30分)
主催者挨拶 
「つどい」へのメッセージ(立憲野党6党から) 紹介
第1部 桂 文福(かつら・ぶんぶく)さん(芸人9条の会)
      相撲甚句河内音頭、そして9条新作落語
第2部 小林 節(こばやし・せつ)さん(慶應義塾大学名誉教授、弁護士)
      講演「安倍壊憲をなぜ阻止しなければならないのか」
第3部 平和を奏でる有志たち
     ① 津軽三味線 龍絃会(りゅうげんかい)
     ② Wakayama Peace Band
「つどい」からのメッセージ 提案
閉会(16時00分予定)
※文福さんのステージは30分、小林先生の講演は60分がおおよその目安です。
 
 チラシには、「小林節さんの講演には手話通訳がつきます。」とだけ記載していますが、上記プログラムの「開会」から「第2部 小林節さん講演」の終了まで、手話通訳をお願いしています。第3部は音楽なので手話通訳はありません。また、最後の「つどい」からのメッセージについては、当日配布資料に文案を掲載する予定です。
 ということで、聴覚障害者の方にも是非ご参加いただきたいと存じます。
 
【磁気ループを設置します】
 補聴器を使用する方が、音声を聴き取りやすくする磁気ループを、和歌山市からお借りし(無料です)、当日設置すべく手配しています。
 猫の手も借りたい実行委員会の窮状を見かねて、ボランティアで設置を引き受けてくださる方が見つかりました。ありがたいことです。
 なお、和歌山市役所のホームページによると、「利用するには磁気ループに対応した補聴器等が必要です。」ということですが、講演会の際に、いつも市役所から磁気ループを借り出している「守ろう9条 紀の川 市民の会」のチラシを読むと、「使用できるのは「Tモード」「MTモード」がある補聴器です。」とあります。
 
【開場は12時30分~開会前にも様々な楽しみがお待ちしています】
 開会は13時30分ですが、その1時間前の12時30分に開場します。開会まで1時間の時間をとっているのは、開会前にロビーにおいて、様々なブース、コーナーを設け、親子連れでも楽しんでいただけるよう、特に「安保関連法に反対するママの会@わかやま」の皆さんが準備を重ねてくださっているからです。
 子どもコーナーでは、紙芝居、折り紙、絵本、カルタなどが用意されている他、インスタフレーム、みんなで作る年表、シール投票などもあるとか。
 少し早めに入場して、楽しんでくださいね。
 
 それから、当日は、ロビーでピースグッズ販売コーナーなども設けられるのですが、私の一押しは、広島の楾大樹(はんどう・たいき)弁護士考案になる「檻の中のライオン・日本国憲法全条文クリアファイル」(200円)ですね。数に限りがありますので、お買い求めはお早めに。
 
 また、県下各地で行われている様々な活動の模様を伝える写真が集められ、スライドショーにして開会前に場内で映写されることになっています。上映時の背景音楽として、中川敬さんのご了解を得て、ソウル・フラワー・ユニオンの音楽が使用されるとか。どんな曲が使われるのか(私も聞いていません)楽しみです。
 
紀州九条せんべい復活!】
 皆さんは、12枚ワンセットになった煎餅に憲法9条の条文が焼き付けられた「紀州九条せんべい」を食べたことがありますか?一時は、和歌山に於ける憲法関連のめぼしい行事の際にはよく売られていたもので、「食べ飽きた」という人もいるかもしれません。何しろ、出資者を募って「紀州九条せんべいの会」というのが設立された位で、そういえば、私も1口出資したのだった。
 けれども、ここ何年かはお見かけすることもなく、忘れるともなく忘れていたのですが、何と「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」に結集するため、「紀州九条せんべい」も再び立ち上がることになりました。つまり、12枚の焼き印(出資金で製作したもの)を提供して煎餅屋さんに新たに焼いてもらうことになったそうです。食べたことのある人もない人も、是非ご家族、ご近所へのお土産に「紀州九条せんべい」をお買い求めください。
 なお、「紀州九条せんべい」の成り立ちについて、発案者である中北幸次さんが法学館憲法研究所の「今週の一言」コーナーに寄稿された「『紀州九条せんべい』誕生物語」を是非お読みください。
 
【みんなで歌おう『あの青い空のように』】
 第3部「平和を奏でる有志たち」では、三木久美夫さん率いる龍絃会(「つどい」では3人編成とか)による津軽三味線の妙技に引き続き、素和歌(そわか)のお2人、Crowfield(クロウフィールド)のご家族4人、それに第3部全体のコーディネーター、なかむらいづみさんが加わって臨時結成される「Wakayama Peace Band」による演奏が行われるのですが、最後に、『あの青い空のように』(作詞作曲:丹羽謙次)を会場の皆さんと一緒に歌おうと計画されています。
 「ママの会」からの提案による選曲ですが、短くて歌詞も憶えやすいし、とても良い曲ですよ。
 以下の動画などで馴染んでいただいた上で、是非当日ご一緒に歌いましょう。
いちごくらぶ「あの青い空のように」(2分26秒)
 
桂文福さん&小林節さん】
 メインゲストのお2人、桂文福さんと小林節さんについては、既にこれまでのブログで詳しくご紹介しています。特に、桂文福さんについては「詳報「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)」を、
小林節先生については、「日刊ゲンダイのコラムで読む小林 節さん(慶應義塾大学名誉教授・憲法学)の「安倍壊憲」批判と「真の野党共闘」の勧め」を是非お読みください。
 文福さんにしても、小林先生にしても、実行委員会を代表して交渉・連絡の窓口となった私から見て、この「つどい」への出演を非常に意欲的に受け止めてくださっており、必ずや参加者の皆さまにご満足いただけるものと確信しています。
 
 南北に長く、県庁所在地の和歌山市が県域の北西端に偏っている地理的特性のため、紀南地方の市町村からの参加はハードルが高いのですが、バスをチャーターして来てくださる地域もあると聞いており、感謝に堪えません。
 是非、集会のタイトルにあるとおり、危険な安倍改憲を絶対に阻止するという県民の意思を広くアピールする「つどい」となるよう、もう一段の周りへの参加の呼びかけをよろしくお願い致します。

f:id:wakaben6888:20181203110334j:plain

神戸から勇気と力を!~森松明希子さんのお話と川口真由美さんのライブから(〈生きる権利を求めて〉阪神淡路大震災24周年集会)

 2019年1月14日配信(予定)のメルマガ金原.No.3392を転載します。
 
神戸から勇気と力を!~森松明希子さんのお話と川口真由美さんのライブから(〈生きる権利を求めて〉阪神淡路大震災24周年集会)
 
 もうすぐあの阪神淡路大震災(1995年1月17日)からちょうど24年が経過します。その間には、東日本大震災(2011年3月11日)なども発生し、次にどこに大規模災害が発生してもおかしくない列島に私たちは住んでいるのだということを実感します。
 
 ところで、近時、新聞報道の見出しなどで、「借り上げ復興住宅からの退去強制」などという文字を見かけたことはありませんか?
 最初にこれを見た時。私はてっきり、東日本大震災(特に原発災害)からの避難者のための借り上げ住宅からの退去強制のことかと思いましたが、実は阪神淡路大震災の被災者の問題だったのですね。
 一例として、1月11日付の神戸新聞の記事を引用します。
 
神戸新聞NEXT 2019/1/11 07:00
借り上げ復興住宅問題 80代で不本意転居「命縮む」
(抜粋引用開始)
(略)
 「年を取って引っ越しなんてするもんじゃない」
 持病を抱えつつ転居したという男性(84)は嘆く。
 転居先は神戸市東灘区の市営住宅の高層階。1人暮らしで、引っ越しの荷物を詰めた段ボール箱の多くは、半年以上たった今も積み上がったままだ。
(略)
 男性は震災で東灘区の自宅が全壊。1997年に同区の借り上げ復興住宅に入った。趣味の観葉植物を並べ、2005年に病死した妻と過ごした思い出の場所でもある。
 17年10月に借り上げ期間が終了。各自治体で借り上げ復興住宅の継続入居要件は異なり、同世代の被災者でも明暗が分かれ、男性は転居対象になった。「迷惑はかけられん」と市営住宅に申し込んだが、「本当は残りたかった」。
 18年6月に移った市営住宅は約300メートルの距離だが、居住環境は一変。数日後、大阪府北部地震で戸棚のガラスが割れ、エレベーターに乗るのが怖くなった。転居前は2階で暮らし、買い物や通院にさっと外出できたが、今はおっくうに思う。
 「引っ越してから心臓に違和感があって、少しでも動いたらこたえる」。脳梗塞の後遺症もあり「うまく眠れない」と漏らす。
 訴訟も辞さない市の姿勢に、やむを得ず転居する高齢者が相次ぐ。男性は「みんなしんどい目をしてると思うよ。無理はさせんといてほしいなあ」と気遣った。
【借り上げ復興住宅】兵庫県と県内5市が、都市再生機構(UR)や民間などから住宅を借り上げ、最多時は7千戸超を提供。1月の取材時点では、計約2千世帯が暮らす。前年比で約250世帯減。神戸市では2019年度以降に18団地で借り上げ期間が終了する。期間後も暮らす住民に対し、神戸市は12世帯、西宮市は7世帯に退去を求めて提訴。神戸地裁は3世帯に退去を命じ、1世帯が明け渡す内容で和解した。訴訟を継続する住民らは「入居時に期間終了時の明け渡しの説明は受けていない」などと主張している。
(引用終わり)
 
 被災者の高齢化などから、発災時刻(夜明け前)に行う追悼行事が相次いで中止のやむなきに至っているという報道なども目にしますが、復興借り上げ住宅からの(多くは高齢者でしょうね)退去問題も、もっと当事者の事情に細やかに配慮した対応が出来るはずではないのか、という思いが去来したりします。
 
 そのような状況の下、昨日(1月13日)午後、神戸市の新長田勤労市民センター(大会議室)において、被災地反失業総行動参加団体連絡会が主催する「〈生きる権利を求めて〉1・13阪神淡路大震災24周年集会」が開催されました。
 様々な方が発言されたようですが、メインゲストはお2人。
 まずはじめに、原発賠償関西訴訟原告団代表で東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream(サンドリ)代表の森松明希子さんが、「原発事故と私たちの人権~原発賠償関西訴訟で訴えていること~」と題して講演されました。
 そして、2人目のゲスト、シンガーソングライターの川口真由美さんによるミニコンサートが行われました。
 
 この集会の企画会議に出た訳ではありませんが、集会の趣旨に相応しいゲストを、ということは当然のことながら、終わった後、「自分もまだまだ頑張らねば」という元気が出てくるようなゲストがいいなあ、と話し合ったのではないか?と勝手に想像しています。
 私は、かけ違って川口真由美さんにお目にかかったことはなく、ネットでその演奏をお聴きしているだけですが、森松さんと川口さんというお2人に出演交渉をしようと決めた企画者は「目が高い!」と感心します。
 熱くパワフルな講演とライブ演奏の2本立てがこうして実現した訳です。
 
 まず、IWJ兵庫によるTwitcasting録画をご紹介します。固定された引きの映像ですが、音声はクリアに収録されています。
 
〈生きる権利を求めて〉阪神淡路大震災24周年集会(神戸市) —「原発事故と私たちの人権」〜原発賠償関西訴訟で訴えていること~話 森松明希子氏(福島からの避難者、原発賠償関西訴訟原告団代表) 2019.1.13 記事公開日:2019.1.13 取材地:兵庫県
 
 ただし、「※著作権保護のため講演中一部中断があります。ご了承ください。」という断りがあります。
 
 もう1つ、挨拶、会場発言などはカットし、森松さんの講演部分と川口さんのライブのみ、YouTubeにアップしている方があります。「絵」はこちらの方が断然きれいに見られます。
 
20190113 森松明希子 〈生きる権利を求めて〉(53分)
 
 いつも元気な森松さんも、講演の最初はしおらしい様子(?)でそろそろとスタートしていますね。徐々にエンジンがかかってきますけど。
 それから、IWJが途中でカットした部分も、今のところこちらの動画ではカットされていません。仮にこの動画が削除されたら、IWJの方で視聴してください。
 
 それから、川口真由美さんによるライブの動画です。この「amanakuni」というYouTubeチャンネルは、「主に祭りや友人のライブ、脱原発憲法・平和などの集会・講演会を撮っています。」と説明されており、過去のアーカイブ動画を見てみると、なかなか他ではお目にかかれないアーティストの演奏やパフォーマンスがいっぱいアップされています。
 
 なお、上記アーカイブ一覧でお分かりのように、川口さんのライブについては、1曲ごとに切り分けてアップした動画もありますが、以下では「通し」の動画をご紹介します。ただ、メインカメラとは別カメラによって撮影された『真実は沈まない』だけは、別にご紹介します。
 
20190113 川口真由美 〈生きる権利を求めて〉 通し(26分)
冒頭~『pray』 
4分~『花はどこへ行った』
7分~『NO WAR』
11分~『人間の歌』(作詞作曲:山ノ木竹志)
16分~『真実は沈まない』
21分~『ぺんぺん草』
 
2019 01 13 川口真由美 「真実は沈まない」진실은 가라앉지 않는다(3分41秒)
 ※原曲(韓国語)の歌詞と動画
  ※日本語詞
   闇は 光に勝てない
   嘘は 真(まこと)に勝てない
   真実は 沈まない
   私たち あきらめない
 
 いかがでしたでしょうか?自ずから力がわいてくる素晴らしい講演とライブだったと思います。願わくは、今週末(1月19日)に和歌山で開催する「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」が、同じように、参加された皆さまの力と勇気をかき立てるものでありますように。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/森松明希子さん関連)
2013年9月1日
8/31シンポ「区域外避難者は今 放射能汚染に安全の境はありますか」(大阪弁護士会)に参加して
2013年12月21日
森松明希子さんが語る原発避難者の思い(12/19大阪市立大学にて)
2014年2月8日
母子避難者の思いを通して考える「いのち」(「母と女性教職員の会」に参加して)
2014年9月12日
原発賠償関西訴訟と森松明希子さん『母子避難、福島から大阪へ』
2014年9月16日
9/18原発賠償関西訴訟第1回口頭弁論に注目を!~原告団代表・森松明希子さん語る
2014年11月29日
東日本大震災避難者の会「Thanks & Dream」(略称「サンドリ」)の活動に期待します
2015年4月11日
原発賠償関西訴訟(第1回、第2回)を模擬法廷・報告会の動画で振り返る(付・森松明希子原告団代表が陳述した意見)
2015年10月30日
「避難の権利」を求める全国避難者の会が設立されました
2015年12月1日
11/23世界核被害者フォーラム「広島宣言」&「世界核被害者の権利憲章要綱草案」(付・森松明希子さんの会場発言「避難の権利と平和的生存権」)
2015年12月14日
避難者の声を届けたい~森松明希子さんのお話@12/13東京都文京区(放射線被ばくを学習する会)
2016年1月11日
「避難者あるある五七五」東日本大震災避難者の会Thanks&Dream(サンドリ))の挑戦~五七五だから語れる避難者の思い
2016年9月17日
UPLAN【原発事故避難者インタビュー】に注目しよう~まずは松本徳子さんと森松明希子さん
2016年11月30日
「避難の権利」を訴える総理大臣と福島県知事への手紙~森松明希子さんから
2017年3月5日
『3.11避難者の声~当事者自身がアーカイブ~』(東日本大震災避難者の会Thanks&Dream(サンドリ))を是非お読みください
2017年9月19日
「ともに生きる未来を!さようなら原発さようなら戦争全国集会」(2017年9月18日@代々木公園)の動画を視聴する
2017年9月20日
平和のうちに生きる権利を求めて~森松明希子さんの「ともに生きる未来を!さようなら原発さようなら戦争全国集会」(2017年9月18日@代々木公園)での訴え
2018年3月9日
院内勉強会「国連人権理事会、福島原発事故関連の勧告の意義とは?」を視聴し、3/16国連人権理事会での森松明希子さんのスピーチに声援を送る
2018年3月21日
国連人権理事会での森松明希子さんのスピーチ紹介~付・4か国からのUPR福島勧告と日本政府による返答
2018年5月29日
森松明希子さんらによる「国連人権理事会発言者による報告会~東電福島原発事故と私たちの人権~」(2018年5月27日@スペースたんぽぽ)を視聴する
2018年7月5日
院内勉強会「国連人権理事会に福島原発事故被災者が参加~国連国内避難民に関する指導原則を政策に生かす~」(2018年7月4日)を視聴する
2018年7月12日
森松明希子さん「原発事故による被ばくからの自由・避難の権利とは」(2018年8月26日@和歌山ビッグ愛)へのお誘い
2018年8月26日
森松明希子さん 和歌山で語る!

沖縄弁護士会「「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例」に基づく県民投票が全県下で実施されることを強く求める会長声明」を読む

 2019年1月13日配信(予定)のメルマガ金原.No.3391を転載します。
 
沖縄弁護士会「「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例」に基づく県民投票が全県下で実施されることを強く求める会長声明」を読む
 
 昨年10月26日に沖縄県議会で可決成立し、同月31日に公布(同日施行)された「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例」に基づく県民投票が、来る2月24日に実施が予定されているところ、同条例13条で「投票資格者名簿の調製、投票及び開票の実施その他の規則で定めるものは、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の17の2の規定により、市町村が処理することとする。」とされているにもかかわらず、沖縄市宜野湾市宮古島市石垣市などが、「議会の意向を尊重する」などとして、県民投票への不参加を表明している問題に心を痛めている人も多いことと思います。
 
 正直に言って、同条例13条や、その規定が根拠を置く地方自治法252条の17の2の規定をどう読んだら、市町村に事務処理を拒否する権限があると解釈できるのか、さっぱり分かりませんでした。
 
 どうやらその理論的扇動元(?)はこれらしいという情報を沖縄タイムスがキャッチし、報道してくれたことを沖縄弁護士会の小口幸人さんのFacebookで知りました。
 
沖縄タイムス+プラス ニュース 2019年1月13日 05:00
自民系衆院議員の作成資料に県民投票「否決」への道筋 勉強会で配布
(抜粋引用開始)
 名護市辺野古の新基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票について、沖縄タイムスは12日までに、自民系衆院議員が作成し、保守系議員を対象にした勉強会などで配布された複数の資料を入手した。地方自治法(地自法)の解釈を示し、県の見解を否定する部分もある。住民から議員個人への損害賠償請求には「『門前払い』になる」と想定し、関連予算を否決することに対する議員の不安を払しょくする内容になっている。資料は予算案を否決する根拠となった可能性がある。
 自民党関係者によると、弁護士資格を持つ宮崎政久衆院議員が作成した。宮崎氏は12日、取材に「内容は後日紹介したい。レジュメはごく一部で、勉強会の中では義務的経費か、そうでないかなど、いくつかの考え方を説明した。それを聞いて、決めるのは当然、議員個人である」と答えた。
(略)
 資料では、関連予算を議会が否決した場合、地自法では市町村長が予算案を「執行できる」のであって、必ずやらなければならないわけではなく、「これに反して市町村長が予算案を執行することは議会軽視であり、不適切である」と展開している。
 実際に市議会が予算案を否決したことで、県民投票に不参加を表明した市長は一様に「議会の意向を尊重する」と理由に挙げており、この意見が反映された可能性がある。
 一方、昨年12月作成の別の資料では、議会が関連予算を否決した場合、「住民に対して損害賠償の責任を負うか」との項目では、「県民投票の結果に法的拘束力がない」「地自法で長と議会の『二元代表制』が採用されている」「県と市町村は対等な立場だ」と強調。「原告の法的利益、当事者適格を考えれば住民訴訟うんぬんは法的にあり得ない。たとえ提訴されても『門前払い』になると思慮する」と説明している。
(略)
(引用終わり)
 
 ちなみに、宮崎政久衆議院議員は、衆院沖縄2区に2012年以来3回連続して自民党公認で立候補したものの、社民党照屋寛徳氏(こちらも弁護士ですね)に3連敗を喫しながら、いずれも比例復活したという方です(一番最近の比例復活は、昨年11月に園田博之氏が死去したことにともなう繰り上げ当選)。
 そういえば、1月の通常国会召集までまだ間があるので、議員も地元で活動する時間が確保しやすく、沖縄で頑張って活動していたということなのでしょうね。
 
 ところで、昨年12月10日、日本政府が辺野古沿岸への土砂投入を始める4日前、「辺野古新基地建設が、沖縄県民にのみ過重な負担を強い、その尊厳を踏みにじるものであることに鑑み、解決に向けた主体的な取り組みを日本国民全体に呼びかけるとともに、政府に対し、沖縄県民の民意を尊重することを求める決議」という、なかなかこれ以上長い表題の決議はないだろうという渾身の総会決議を採択した沖縄弁護士会が、去る1月9日、県民投票問題についても会長声明を出してくれていましたので、以下に全文をご紹介します。
 
(引用開始)
          「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例」
          に基づく県民投票が全県下で実施されることを強く求める会長声明
 
 2018(平成30)年10月26日、沖縄県議会において、「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例」(以下「辺野古県民投票条例」という。)が可決・成立した。辺野古県民投票条例は、条例制定請求者らからの地方自治法第74条第1項の規定による条例制定請求を受け、沖縄県議会において修正議決されたものである。同条例に基づく投票(以下「県民投票」という。)は、本年2月24日に実施されることが予定されている。  
 辺野古県民投票条例は、普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋立てに関し、県民の意思を的確に反映させることを目的とするものであるところ(同条例1条)、同条例に基づく県民投票は、個々の県民が自らの政治的意思を表明するとともに、直接、県の意思形成に参加する機会を提供するものであり、表現の自由及び民主主義の見地から、極めて重要な意義を有している。また、地方自治体の意思決定がその構成員である住民の参加と同意に基づいて行われることが重要であるとする住民自治の観点からも、その意義は大きい。  
 ところで、県民投票に関する事務は知事が執行するものであり(同条例3条)、投票資格者名簿の調製、投票及び開票の実施等(以下「投票事務」という。)は、地方自治法252条の17の2の規定により、市町村が処理することとされているところ(同条例13条)、近時、複数の県内市町村の首長が、県民投票への不参加、つまり投票事務を実施しないことを表明する事態が相次いでいる。  
 しかしながら、前述のような県民投票の意義に照らせば、辺野古県民投票条例により投票資格を有する者(同条例第5条。以下「投票資格者」という。)には、全て等しく投票の機会が保障されなければならず、一部市町村首長の判断を受け、当該市町村において投票事務が行われないことにより、当該市町村に居住する投票資格者の投票の機会が失われることがあれば、それは、当該投票資格者の政治的意思を表明する権利をないがしろにし、直接民主主義の意義を没却する、由々しき事態といわなければならない。
 
 辺野古県民投票条例は、有効署名数9万2848筆にのぼる県民の条例制定請求に基づき、県民の負託を受けた沖縄県議会において可決・成立した法令である。市町村首長の判断で同法令に基づく投票事務が行われないことは、このような民主的プロセスを経て制定された法令を市町村首長の判断で無力化し、その結果、一部の県民から県の意思形成に参加する機会を奪うものであって、決して許されるものではない。また、同じ投票資格者でありながら、たまたま居住している地域によって投票できる者とできない者が生じることは、法の下の平等の見地からも、極めて不合理というべきである。  
 
 県民投票の実施に賛成しない県民は、県民投票を棄権する、白票を投ずるなどの方法により、その意思を的確に表明することが可能である。そのため、かような県民の意思をおもんばかり、投票を望む県民の政治的表現及び民主主義的参加の機会を損なってまで投票事務を実施しないとする判断は、その意味においても正しいものということはできない。
 
 以上のことから、当会は、この度の県民投票において、県内の全ての市町村に居住する投票資格者に投票の機会が保障されるよう、沖縄県及び県内各市町村が協力して、全県下で投票事務が実施されることを強く求めるものである。
 
                   2019年(平成31年)1月9日     
                      沖縄弁護士会         
                       会 長  天 方   徹
(引用終わり)
 
 どうでしょうか?読み通してみてどこか引っかかるところがありますか?私は「ない」と思いました。ということは、論理の筋道がしっかり通っている証です。
 
 これを、さらに憲法の視点から、投票不参加を表明した首長の判断を批判する論考が、1月10日に沖縄タイムス+に掲載されました。
 同紙に「憲法の新手(しんて)」という連載を続けている木村草太氏(首都大学教授・憲法学)による緊急寄稿「県民投票不参加は憲法違反」です。
 その主要部分を引用しましょう(全文ネットで公開されていますので、是非リンク先で全文をお読みください)。
 
沖縄タイムス+ 2019年1月10日 11:57
木村草太氏が緊急寄稿 「県民投票不参加は憲法違反」 2019年1月10日 11:57
(抜粋引用開始)
(略)
 しかし、宜野湾市宮古島市で、県民投票の事務処理を拒否する動きが進んでいる。この動きには、地方自治法・県条例のみならず、憲法の観点からも問題がある。
 一番の問題は、憲法14条1項が定める「法の下の平等」に反することだ。一部の市町村で事務執行がなされないと、住んでいる場所によって「投票できる県民」と「投票できない県民」の区別が生じる。「たまたま特定の市や町に住んでいた」という事実は、県条例で与えられた意見表明の権利を否定するだけの「合理的な根拠」とは言えない。したがって、この区別は不合理な区別として、憲法14条1項違反だ。
(略)
 この点については、昭和33年(1958年)の最高裁判決が、「憲法が各地方公共団体条例制定権を認める以上、地域によって差別を生ずることは当然に予期されることであるから、かかる差別は憲法みずから容認するところ」との判断を示していることから、自治体間の差異は許されるのではないか、との疑問を持つ人もいるかもしれない。
 しかし、この判決は、各自治体の条例内容の差異に基づく区別についての判断だ。今回は、各市町村が自らの事務について独自の条例を定める場面ではなく、県条例で与えられた県民の権利を実現する責任を負う場面だ。最高裁判例の考え方からも、地域による差別は許容されない。
 さらに、平等権以外にも、問題となる権利がある。県民投票は、県民全てに開かれた意見表明の公的な場である。県民の投票へのアクセスを否定することは、憲法21条1項で保障された「表現の自由」の侵害と認定される可能性もある。さらに、憲法92条の規定する住民自治の理念からすれば、「県政の決定に参加する権利」は、新しい権利として憲法13条によって保護されるという解釈も成り立ちうる。
 このように考えると、各市町村の長や議会には、県民の憲法上の権利を実現するために、「県民投票に関わる事務を遂行する義務」がある。議会が関連する予算案を否決したり、長が地方自治法177条の原案執行を拒否したりするのは、この義務に反する。訴訟を検討する住民もいると報道されているが、市町村が事務執行を拒否した場合、裁判所も厳しい判断をする可能性がある。
(略)
 ちなみに、県条例は棄権の自由を認めているから、県民投票反対の県民は、市長や市議会議員に代表してもらわなくても、棄権という形で抗議の意思を表明できる。市民全員に棄権を強制することは不合理だ。
(略)
 県民投票は、県民の重要な意見表明の機会だ。沖縄県内の市町村長・議会議員の方々には、ぜひ、県民の権利を実現する憲法上の義務のことも考えてほしい。(首都大学東京教授、憲法学者
(引用終わり)
 
 以下に、参考のため、辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例の全文、それから地方自治法日本国憲法の関連条文を引用しておきますので、是非ご自分でも考えてみていただければと思います。
 
沖縄県条例第62号
辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例
 (目的)
第1条 この条例は、普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋立て(以下「本件埋立て」という。)に対し、県民の意思を的確に反映させることを目的とする。
 (県民投票)
第2条 前条の目的を達成するため、本件埋立てに対する賛否についての県民による投票(以下「県民投票」という。)を実施する。
 (県民投票事務の執行)
第3条 県民投票に関する事務は、知事が執行する。
(県民投票の実施等)
第4条 県民投票は、この条例の公布の日から起算して6月以内に実施しなければならない。
2 県民投票の期日(以下「投票日」という。)は、知事が定め、投票日の10日前までにこれを告示しなければならない。
 (投票資格者等)
第5条 県民投票において投票を行う資格を有する者(以下「投票資格者」という。)は、前条第2項の規定による告示の日の前日において、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第9条の規定により、沖縄県の議会の議員及び知事の選挙権を有する者(同法第11条第1項若しくは第252条又は政治資金規正法(昭和23年法律第194号)第28条の規定により選挙権を有しない者を除く。)とする。
2 知事は、投票資格者名簿を調製しなければならない。
 (投票の方法)
第6条 投票は、1人1票に限る。
2 投票資格者は、投票日に自ら投票所に行き、投票資格者名簿又はその抄本の対照を経て、投票をしなければならない。
3 投票資格者は、本件埋立てに賛成するときは投票用紙の賛成の記載欄に○の記号を、これに反対するときは反対の記載欄に○の記号を自ら記載しなければならない。この場合において、投票資格者は、投票用紙を自ら投票箱に入れなければならない。
4 投票用紙には、投票資格者の氏名を記載してはならない。
 (点字投票等)
第7条 前条第3項前段の規定にかかわらず、投票資格者は、点字による投票を行う場合においては、投票用紙に、本件埋立てに賛成するときは賛成と、反対するときは反対と自ら記載するものとする。この場合において、規則で定める点字は文字とみなし、投票用紙の様式その他必要な事項は、規則で定める。
2 前条第3項並びに第9条第2項及び第3項の規定にかかわらず、心身の故障その他の事由により、自ら○の記号を記載することができない投票資格者は、規則で定めるところにより代理投票をさせることができる。
3 前条第2項及び第3項後段の規定にかかわらず、規則で定める事由により、投票日に自ら投票することができないと見込まれる投票資格者は、規則で定めるところにより投票をすることができる。
 (投票の秘密保持)
第8条 何人も、投票資格者の投票した内容を陳述する義務はない。
 (投票の効力)
第9条 投票の効力の決定に当たっては、次項又は第3項の規定に反しない限りにおいて、投票した投票資格者の意思が明白であれば、その投票を有効とする。
2 点字投票以外の投票については、次の各号のいずれかに該当する投票は、無効とする。
(1) 所定の投票用紙を用いないもの
(2) ○の記号を賛成の記載欄及び反対の記載欄のいずれにも記載したもの
(3) ○の記号以外の事項を記載したもの
(4) ○の記号を自ら記載しないもの
(5) ○の記号を賛成の記載欄又は反対の記載欄のいずれに対して記載したかを確認し難いもの
3 点字投票(第7条第3項の規定による投票であって、点字により行われるものを含む。)については、次の各号のいずれかに該当する投票は、無効とする。
(1) 所定の投票用紙を用いないもの
(2) 賛成の文字及び反対の文字をともに記載したもの
(3) 賛成の文字又は反対の文字のほか、他事を記載したもの
(4) 賛成の文字又は反対の文字を自ら記載しないもの
(5) 賛成の文字又は反対の文字のいずれを記載したかを確認し難いもの
 (投票結果の尊重等)
第10条 知事は、県民投票の結果が判明したときは、速やかにこれを告示しなければならない。
2 県民投票において、本件埋立てに対する賛成の投票の数又は反対の投票の数のいずれか多い数が投票資格者の総数の4分の1に達したときは、知事はその結果を尊重しなければならない。
3 前項に規定する場合において、知事は、内閣総理大臣及びアメリカ合衆国大統領に対し、速やかに県民投票の結果を通知するものとする。
 (情報の提供)
第11条 知事は、県民が賛否を判断するために必要な広報活動を行うとともに、情報の提供に努めなければならない。
2 前項の広報活動及び情報の提供は、客観的かつ中立的に行うものとする。 
 (投票運動)
第12条 県民投票に関する投票運動は、自由とする。ただし、買収、脅迫等により県民の自由な意思が制約され、又は不当に干渉されるものであってはならない。
 (事務処理の特例)
第13条 第3条に規定する知事の事務のうち、投票資格者名簿の調製、投票及び開票の実施その他の規則で定めるものは、地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の17の2の規定により、市町村が処理することとする。
 (委任)
第14条 この条例の施行に関して必要な事項は、規則で定める。
   附 則
 この条例は、公布の日から施行する。
 
地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)抜粋
 (条例による事務処理の特例)
第二百五十二条の十七の二 都道府県は、都道府県知事の権限に属する事務の一部を、条例の定めるところにより、市町村が処理することとすることができる。この場合においては、当該市町村が処理することとされた事務は、当該市町村の長が管理し及び執行するものとする。
2 前項の条例(同項の規定により都道府県の規則に基づく事務を市町村が処理することとする場合で、同項の条例の定めるところにより、規則に委任して当該事務の範囲を定めるときは、当該規則を含む。以下本節において同じ。)を制定し又は改廃する場合においては、都道府県知事は、あらかじめ、その権限に属する事務の一部を処理し又は処理することとなる市町村の長に協議しなければならない。
3 市町村の長は、その議会の議決を経て、都道府県知事に対し、第一項の規定によりその権限に属する事務の一部を当該市町村が処理することとするよう要請することができる。
4 前項の規定による要請があつたときは、都道府県知事は、速やかに、当該市町村の長と協議しなければならない。
 
日本国憲法(昭和二十一年憲法)抜粋
十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
第九十二条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

改憲阻止の闘いを展望する!和歌山障害者・患者九条の会学習会(2019年2月11日)のご案内

 2019年1月12日配信(予定)のメルマガ金原.No.3390を転載します。
 
改憲阻止の闘いを展望する!和歌山障害者・患者九条の会学習会(2019年2月11日)のご案内
 
 2006年6月4日に「結成のつどい」を開いた和歌山障害者・患者九条の会は、それから12年以上の間、たゆみなく様々な活動に取り組んできた、和歌山県下の「9条の会」の中でも最も活発な会の1つであることは、誰もが認めるところだと思います。
 私は、「結成のつどい」で記念講演をさせていただいて以降も、何度か学習会の講師にお招きいただいた上に、単なる一参加者としてお邪魔したことも何度かあるなど、非常に親しくお付き合いさせていただいてきました。
 
 和歌山障害者・患者九条の会では、6月の総会の他、2月にも学習会を行うのが恒例になっているようで、昨年2月18日には、由良登信弁護士が講師を務めておられます。
 そして、今年2月の学習会については、私が担当させていただくことになりました。
 現在の憲法をめぐる状況から、主催者としては、どうしても「情勢論」「運動論」を語れる講師を、というご希望になるのはやむを得ないところではあるのですが、講師を送り出す「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」としても、若手講師陣のさらなる育成が急務ですね。とはいえ、依頼がないと派遣する機会もなく、若手に経験を積んでもらうこともできませんので、是非、県下諸団体の皆さま、積極的に学習会を企画してください。
 
 それでは、以下にチラシ記載情報を転記します。
 
(チラシから引用開始)
和歌山障害者・患者九条の会学習会
 
日時 2019年2月11日(月・祝) 13時~15時
会場 和歌山市ふれ愛センター 3階 研修室1
     (和歌山市木広町5-1-9 ℡073-433-8866)
 
プログラム
開場 12時30分
開会  13時00分
記念講演 13時10分~14時40分
 演題 「改憲4項目の危険性を知り 改憲阻止の闘いを展望する」
  講師 金原 徹雄(きんばら てつお)弁護士
質疑 14時40分~
閉会 15時00分
 
※参加協力費300円
点字資料、手話通訳あります
 
平成は戦争のない時代でした。次の時代も私たちの手によって、戦争で命を落とすことのない世の中にしていかなければなりません。なぜなら、「障害者は平和でなければ生きられない」からです。勝負の2019年を切り開きましょう!
 
講師プロフィール
金原徹雄先生
1954年 和歌山市出身。
和歌山県立桐蔭高校、大阪市立大学法学部を経て、
1989年 和歌山弁護士会に所属。
2006年1月から2012年1月まで6年間「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」の二代目事務局長。
2011年3月から「メルマガ金原」の配信を開始し、2013年1月からは「弁護士・金原徹雄のブログ」も開設。現在まで「毎日配信」を続ける。
和歌山障害者・患者九条の会では、2006年6月4日の「結成のつどい」での記念講演をはじめ、度々学習会の講師をしていただいています。
 
問い合わせ先 和歌山障害者・患者九条の会事務局
℡ 073-460-1833(東本)
(引用終わり)
 
 チラシに特に記載はありませんが、和歌山障害者・患者九条の会の会員でなくても、志を共有して参加したいという方は歓迎されるはずです(参加協力費300円はご負担ください)。
 
 これまでも何度かご紹介していますが、上のチラシにも書かれている「障害者は平和でなければ生きられない」と共に、「守れ9条世界の宝」と書かれた横断幕を持って、会員の方がデモ行進される写真を掲載します(撮影:金原)。

f:id:wakaben6888:20190112213839j:plain

 これは、2013年5月3日の憲法記念日に、憲法9条を守る和歌山弁護士の会が呼びかけて実施した第1回「憲法9条を守り生かそう わかやまアピール行進」に参加してくださった和歌山障害者・患者九条の会の皆さんです。
 もっとも、第1回と言いつつ、翌年の憲法記念日からは、和歌山城西の丸広場を会場として、“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”を開催することになったため、この「憲法9条を守り生かそう わかやまアピール行進」の2回目を行う機会がなかなかないのですが(「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」を2014年6月以来毎月実施しているという事情もあります)、また折を見て企画してみてもいいかもしれませんね。
 
 最後に、この横断幕に書かれた文字を正確に転記しておきます。
 
   守れ9条世界の宝
   障害者は平和でなければ生きられない
   和歌山障害者・患者九条の会
 
(追記)
 まだ、私自身、2月11日のためのレジュメは作れていませんが、おそらく、昨年の10月21日に、かつらぎ体育センターで開かれた第10回「伊都・橋本9条まつり」においてお話させていただいた内容に、時間の都合で(50分という持ち時間でした)不十分であった点を補充し、さらに開会後の通常国会での動きをフォローする、ということになるだろうと思います。 
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/和歌山障害者・患者九条の会関連)
2013年2月22日
予告3/31「憲法第9条をもう一度抱きしめて 2013年 春の憲法学習会」(和歌山障害者・患者九条の会
2013年9月21日
予告11/10「憲法しゃべり場」に集いませんか(和歌山障害者・患者九条の会
2013年11月10日
伊藤真さんのDVDを視聴する前に私が話したこと(憲法しゃべり場@和歌山障害者・患者九条の会
2014年10月14日
和歌山障害者・患者九条の会の活動を讃える~11/1秋の学習会の案内を兼ねて
2016年4月30日
祝!「和歌山障害者・患者九条の会」10周年~結成のつどいで「平和のうちに生きるために」をお話してから10年が経った
2018年2月5日
和歌山障害者・患者九条の会学習会「ストップ!安倍「壊」憲!~9条と25条を私たちの手に~」(2018年2月18日)のご案内
2018年5月28日
和歌山障害者・患者九条の会 第12回総会と記念講演会~沖縄から我が国の平和を考える(2018年6月10日@和歌山市ふれ愛センター)のご案内

少年法適用年齢の18歳への引き下げに反対する日本弁護士連合会の意見書、パンフレットのご紹介

 2019年1月11日配信(予定)のメルマガ金原.No.3389を転載します。
 
少年法適用年齢の18歳への引き下げに反対する日本弁護士連合会の意見書、パンフレットのご紹介
 
 日本弁護士連合会は、弁護士法第1条(弁護士の使命)に基づき、様々な課題についての研究、実践、提言等を行っていますが、とりわけ重点的に取り組んでいる課題については、WEBサイトのトップページに目立つバナーを設け、特設コーナーに誘導するようにしており、その6つある「日弁連が取り組む重要課題」のうちの1つが、「少年法適用年齢の引き下げに反対します」です。
 
 この「少年法の適用年齢引き下げ(20歳→18歳)には反対です!」コーナーでは、日弁連が発表した意見書や会長声明にリンクしている他、一般市民向けに作成したパンフレットのPDF版にもリンクされ、誰でもダウンロードできるようになっています。
 
 同じ日弁連WEBサイトの特設コーナーでも、これまでたびたびご紹介してきた「憲法を考える」などとは異なり、
少年法適用年齢を20歳から18歳に引き下げることの是非については、いまひとつ、市民の理解を得るのが難しいテーマかもしれません。
 第一、「少年法って何?」「選挙権も18歳からになったし、民法成人年齢もいずれ18歳になるらしいから、別にいいんじゃないの?」という素朴な疑問に、分かりやすい言葉で説得しなければならないのですから、これはなかなか大変です。
 もっとも、司法修習生の給費制復活に比べれば、まだしも主張しやすいかもしれませんが。
 
 なぜ、日弁連をはじめ、全国全ての弁護士会弁護士会連合会が、少年法適用年齢の20歳(現行)から18歳への引き下げに反対しているかについては、巻末に、昨年11月21日付で日弁連が発表した「少年法における「少年」の年齢を18歳未満とすることに反対する意見書」を引用しておきますので、是非お読みください。
 ただ、相当な分量となりますので、「意見の理由」の内、
  第1 はじめに
  第2 少年犯罪の動向と現行少年法制に対する評価
     第3 少年法の適用年齢引下げ論の根拠について
  第6 結論
は全文引用し、
  第4 年齢の引下げに伴う刑事政策的懸念と検討されている犯罪者処遇策
  第5 少年法の適用年齢を引き下げた場合に生じる未検討の問題
については、基本的に項目のみご紹介しています。
 
 なお、このような「意見書」を多くの人に読んでいただくことは難しいだろうということで、日弁連では、2種類のパンフレットを発行し、WEBサイトからダウンロードできるようにしています。
 
パンフレット「少年法の適用年齢引下げを語る前に~なぜ私たちは引下げに反対するのか~」(2017年6月改定版)
 
 以上が、主要な論点に目配りし、現場の声も取り入れた全般的な理解を求める内容になっているのに対し、このたび発行された(実は今日1月11日にWEBサイトにアップされたばかりです)新しいパンフレットは、「日弁連が2018年11月6日に開催したシンポジウムで、少年院出身者や少年事件被害者、元家庭裁判所調査官、元少年院長、研究者など様々な方が、それぞれの立場から、少年法適用年齢引下げの問題を語りました。その発言をベースに」作成されたのが以下のパンフレットです。
 
パンフレット「リレートーク 私も少年法適用年齢引下げに反対します」(2019年1月11日)
 
 やはり、長年現場に身を置いた方々のご意見にはとても説得力があると思います。一々引用はしませんが、是非お読みいただければと思います。
 
 引用はしないと書きましたが、これだけはどうしても引用させてください。
 
龍谷大学矯正・保護課程講師、元浪速少年院長 菱田 律子さん
少年法適用年齢の引下げは18歳・19歳の立ち直りのチャンスを奪う
(抜粋引用開始)
 今、少年院は、収容減に直面しています。「はやらない店」はコックさんの腕が鈍る。少年院の場合は教官の処遇力が鈍ることになります。
 少年法適用年齢が引き下げられると、少年院は整理削減され、広域収容が拡大し、保護者との関係改善にも悪影響を及ぼすことになります。ますます「はやらない店」状態になり、何もいいところがありません。危機感をひしひしと感じています。
 少年院を必要とする少年たちのために、これからの日本のために、少年法適用年齢の引下げに反対します。
(引用終わり)
 
 以下の日弁連「意見書」にもあるとおり、少年犯罪は減少しています。あるいは「激減している」と言ってもよいほどです。
 少年院に収容される少年が減少しているということは、審判前の一定期間(原則として4週間以内)少年を収容する少年鑑別所の収容人数も減少しているということです。それは、少年人口の減少のペースをはるかに超えた減少であることを、私たち法曹実務家は実感しています。
 この上、年長少年(18歳・19歳)を少年法の適用対象から外した時にどんな事態を迎えるのか、とても「明るい未来」が開けようとは思えません。
 皆さんも、上記のパンフレットなどをお読みいただき、この問題に関心を持っていただければ幸いです。
 
 それでは、以下に日弁連少年法における「少年」の年齢を18歳未満とすることに反対する意見書」をご紹介します。
 
(抜粋引用開始)
       少年法における「少年」の年齢を18歳未満とすることに反対する意見書
 
                                              2018年(平成30年)11月21日
                                                                  日本弁護士連合会
 
                              意 見 の 趣 旨
 少年法の適用年齢を18歳未満とした上で,18歳及び19歳の者について,少年法の果たす機能を代替するためのいかなる刑事政策的な配慮をしたとしても,現行少年法制の果たしてきた機能や効果には遠く及ばない。
 改めて,少年法における「少年」の年齢を18歳未満とすることに反対する。
                                       
                              意 見 の 理 由
第1 はじめに
 当連合会は,2015年2月20日,公職選挙法の選挙権年齢と民法の成年年齢の引下げが議論される状況を踏まえ,「少年法の『成人』年齢引下げに関する意見書」(以下「2015年意見書」という。)を公表し,仮に民法の成年年齢を18歳に引き下げた場合であっても,少年法2条の「成人」年齢を引き下げることには反対である旨を表明した。
 その後,2017年2月には,法務大臣が法制審議会に対し,「非行少年を含む犯罪者に対する処遇を一層充実させるための刑事の実体法及び手続法の整備の在り方」とともに「少年法における『少年』の年齢を18歳未満とすること」を諮問するに至った。
 これを受け,法制審議会に少年法・刑事法(少年年齢・犯罪者処遇関係)部会(以下「部会」という。)が設置され,仮に少年法の適用年齢を18歳未満とした場合に採り得る刑事政策的対応を含めた犯罪者処遇策が検討されており,また,それらも踏まえた上で少年法の適用年齢引下げの是非が議論されている。
 さらに,この間,2018年6月には,飲酒・喫煙,公営ギャンブル等に関する各法律については20歳を基準として現行の適用年齢を維持する一方で,民法の成年年齢を18歳に引き下げる内容の民法の一部改正法が,様々な意見がなおある中で成立した(2022年4月施行予定)。
 そこで,当連合会は,このような2015年意見書公表後における状況の進捗を踏まえ,改めて,少年法2条の「成人」及び「少年」の年齢引下げに関して意見を述べるものである。
 
第2 少年犯罪の動向と現行少年法制に対する評価
 まず,少年法の適用年齢引下げについて議論するに当たっては,その前提として,以下のことが確認される必要がある。
1 少年犯罪は増加も凶悪化もしていないこと
 少年法の年齢引下げに関する世論調査によると,反対よりも賛成が多い傾向にあるが,その背景には,「少年非行が増加している。少年犯罪は凶悪化している。」という誤解があると思われる。
 実際には,少年の検挙者数は近年14年連続で減少し,2017年には,1983年のピーク時の13.6%にまで減少(86.4%減)している(少年人口当たりの発生数で比べても2016年においてピーク時の23.9%にまで減少(76.1%減))。また,少年による殺人・強盗・放火・強姦の「凶悪事件」についても,2017年には,1960年のピーク時の3.6%にまで減少(96.4%減)(少年人口比ではピーク時の5.4%にまで減少(94.6%減))している。このように,少年非行は増加しておらず,それどころか重大事案を含め大きく減少しているのであり,このような傾向は18歳,
19歳の少年についても同様である。
2 現行の少年法制は有効に機能していること
 旧少年法(大正11年法律第42号)は,少年の年齢を18歳未満としていたが,1948年に制定された現行少年法(昭和23年法律第168号)は,これを20歳未満に引き上げた。改正法案の国会審議では,政府委員は,20歳くらいまでの者の犯罪の増加と悪質化が顕著であることを指摘した上で,「この程度の年齢の者は,未だ心身の発達が十分でなく環境その他外部的条件の影響を受け易いことを示しているのでありますが,このことは,彼等の犯罪が深い悪性に根ざしたものではなく,従ってこれに対して刑罰を科するよりは,むしろ保護処分によってその教化を図る方が適切である場合の極めて多いことを意味している」と説明している。そして現行少年法により採用された全件送致主義,調査官調査を中核とした審判手続及び少年院教育等の保護処分は,70年にわたり,極めて有効に機能している。上記のような少年犯罪の著しい減少という状況も,現行少年法が有効に機能していることの一つの表れである。
 この点については,法制審議会の部会においても,「今回の議論というのは,現行少年法の下で18歳,19歳の年長少年に対して行われている手続や保護処分が有効に機能していないので,少年法の適用年齢を下げることを検討しようとするものではないのだということについては,意見の一致がある。」「現行法の下での年長少年に対する手続や処遇の有効性という観点からは,少年法の適用年齢を引き下げる必要性はない。」と整理されており,これに対する異論は出ていない。
 つまり,部会における現在の議論も,現行少年法制の機能に問題があるという問題意識によるものではなく,逆に,現行少年法制が有効に機能していることを前提にした上で,その中で適用年齢を18歳未満とすることができるかという問題設定がなされているのである。
 
第3 少年法の適用年齢引下げ論の根拠について
 少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げるべきとする立場からは,いくつかの根拠が挙げられている。そこで,それらの根拠について,特に民法の成年年齢引下げとの関係を中心に検討を加えることとする。
1 適用年齢は法律ごとに個別具体的に検討すべきであること
 まず,法律の適用年齢については,それぞれの立法趣旨や目的に照らして,法律ごとに個別具体的に検討すべきである。この点については,政府も,民法の成年年齢引下げに関する国会審議において,「法律で定められている年齢要件は,それぞれの法律の趣旨や立法目的に基づいて定められていることから,その変更の可否を検討するに当たっても,それぞれの法律の立法目的等を考慮する必要がある」との立場を明らかにしている。
 そして,現行少年法は,旧少年法の適用実践とその成果を踏まえ,若年犯罪者については刑罰より保護処分の方が更生にとって適切かつ効果的であるとの立法政策に基づいて,適用年齢を18歳未満から20歳未満に引き上げたものである。それ以来現在に至るまで,現行少年法の運用は現実にその効果を挙げているのであるから,民法の成年年齢が引き下げられても,それに伴って少年法の適用年齢を引き下げるべきではない(2015年意見書)。
2 「国法上の統一」「分かりやすさ」は根拠となり得ないこと
 これに対し,「一般的な法律において『大人』として取り扱われることとなる年齢は,一致する方が国民にとって分かりやす」いとの意見や,「大人と子供の分水嶺を示す各種法令には国法上の統一性が必要である。」との意見があるようである。
 しかし,政府も,法律の適用年齢について,それぞれの法律の趣旨や立法目的等を考慮する必要があるとしているのは,前述したとおりである。
 そして,飲酒に関しては,未成年者飲酒禁止法の趣旨が健康被害防止と非行防止という二点にあり,民法の成年年齢の定めとはその趣旨を異にしていることから,民法の成年年齢と一致させる必要がないとし,さらに,競馬法勝馬投票券購入制限年齢についても,青少年保護の観点から定められたものであるから,やはり民法の成年年齢と一致させる必要がないとしており,その結果,民法の成年年齢は18歳に引き下げられることとなった一方で,飲酒・喫煙,公営ギャンブル等については,20歳以上とする適用年齢が維持されたのである。
 以上からも明らかなとおり,法律で定められている年齢要件は,それぞれの法律の趣旨や立法目的に基づいて定められているべきであって,民法の成年年齢の引下げがなされたからといって,あらゆる法律において「大人」として取り扱われるべき年齢が変わったということはできない。また,実際にも,各種法令における適用年齢は統一されていないのであるから,「国法上の統一」等は少年法について適用年齢を下げる根拠とはなり得ない。
3 「民法上の成年者への保護主義に基づく介入は過剰」とは言えないこと
 また,少年法の保護処分は,少年が類型的に未成熟であって判断能力が不十分であることから,国家が後見的に介入するという保護主義パターナリズム)によって正当化されている側面があるところ,親権に服さず取引に関する行為能力も認められる民法上の「成年者」を,類型的に保護主義に基づく保護処分の対象とすることは過剰な介入である,との意見もある。
 しかし,パターナリズムによる国家の介入が許容される年齢は,一律に決定されるものではなく,その介入の必要性や介入の内容・性質によって異なる。
 上記の飲酒・喫煙・ギャンブルの禁止も,「健康被害防止」「非行誘発の防止」「青少年保護」など,本人の利益を護るという観点からのパターナリズムによる国家の介入であって,民法上の「成年者」に対する介入を許容することとしている。そして,少年法による介入は,身体拘束も含むものであって,その程度は大きいとは言えるが,他方で,未成熟で可塑性の高い少年に対して更生や社会復帰の効果は大きく,当該少年にとって利益になるから,民法上の「成年者」であっても,これを保護処分の対象とすることが「過剰な介入」になるものではない。
 現行法においても,婚姻により「成年者」とみなされる者(民法753条)も,なお少年法の対象とされており,また,審判時に20歳未満であれば,その後民法の成年年齢に達してもなお少年院での収容を継続できるが(少年院法137条~139条,更生保護法66条,68条,71条,72条),これらについて「過剰な介入」であるとの批判は見受けられない。
 また,「親権」は,民法上,親の子どもに対する権利ではなく,むしろ親の社会的責務や親の配慮と整理されており,国家が保護主義によって後見的に介入し得る期間が親権の対象となる期間と一致しなければならない理由もない。
 さらに,現実に保護処分の対象となる者は,18歳・19歳の者全てではなく,資質上のハンディキャップや厳しい生育環境の中で親や周囲からの適切な教育・援助が受けられなかったことから非行に至った者がほとんどである。すなわち,少年法が実際に適用されるのは,20歳未満の者の中で成長発達のために特別の支援が必要とされる者なのであるから,少年法による国の介入の根拠を民法上の未成年であることと直結させることは相当でない。
4 「各制約の根拠は,未成熟・判断能力不十分で共通であり,整合性をはかるべき」とも言えないこと
 さらには,各法律の制度の根拠に共通する部分があるのであれば整合性が図られるべきであり,少年法民法は,共に本人が未成熟であって判断能力が不十分であることに鑑み,本人のためにその自由を制約するものであるから,民法上成年として扱われ,そのような保護の対象とならない18歳・19歳の者について,少年法上類型的に少年と扱って国家が後見的に介入することは整合的でない,との意見もあるが,以下に述べるとおり相当ではない。
 まず,今回の民法の成年年齢引下げの国会審議においても,「18歳・19歳の若年者が大人として完成されたことを意味するのではなく,いまだ成長の過程にある」などとされており,18歳・19歳の者は未成熟であるという認識が共有されていることが重要である。
 今回の民法の成年年齢引下げは,その認識を前提にしつつ,主として経済取引に着目した社会的,経済的成熟度を基準にすべきとの立場に立ってされたものであり,さらに踏み込んで,18歳の者の中の自立心を持ち経済活動に意欲を有する者に対して積極的な社会参加を促し,社会の活性化を図るという目的が挙げられる場合もある。
 他方,少年法は,18歳・19歳になっても生育環境や資質上のハンディキャップを抱えて非行を犯した者に対し,国が教育・指導を施して社会人として行動できるようにすることを目的としているのであり,今回の民法の成年年齢引下げとは,その目的及び想定する場面を異にしている。
 以上のとおり,民法少年法とは,そもそも適用年齢を検討すべき視点が全く異質なのであり,制度の根拠が共通していると評価することもできない。むしろ,少年法の適用年齢は,「非行防止」を目的とする未成年飲酒禁止法や,「青少年保護」の観点から定められた競馬法勝馬投票券購入制限年齢と趣旨・目的が共通しており,20歳を維持すべきである。
 
第4 年齢の引下げに伴う刑事政策的懸念と検討されている犯罪者処遇策
 次に,少年法の適用年齢引下げに伴って生じると懸念されている問題とその対応策について検討を加える。
 この点,少年法の適用年齢を18歳未満にすべきとする立場からも,罪を犯した者の社会復帰や再犯防止といった刑事政策的観点からは,現行少年法の保護処分が果たしている機能には大きなものがあり,年齢引下げに伴い,18歳・19歳の者が従来の保護処分による働き掛けや,その前提となる家庭裁判所における調査を受けられないことになれば,改善更生・再犯防止という観点から問題が生じる,との懸念が示されている。単なる年齢引下げだけでは18歳・19歳の者の改善更生や社会復帰に問題が生じるという懸念については,年齢引下げに賛成・反対いずれの立場においても共通の認識となっていると言ってよい。
 このような刑事政策的懸念を受け,部会では,まず,仮に少年法の年齢を引き下げた場合に採り得る措置を含めた犯罪者処遇策を検討し,その上で少年法の年齢引下げの是非について議論する,との進行予定の下で審議が進められている。
 そして,部会内に設置された3つの分科会において検討された犯罪者処遇策の結果が2018年7月の部会第8回会議で報告され,以降,部会において議論が重ねられている。
 そこで以下,部会で議論されている犯罪者処遇策について検討する。
1 検討されている犯罪者処遇策の概要
 部会では,18歳・19歳の者を少年法の対象から外して「成人」として扱う場合には,現在20歳以上に適用されている刑事訴訟法が18歳・19歳に適用されることを前提として,①自由刑のいわゆる実刑,②自由刑の執行猶予,③罰金刑,④起訴猶予,などの各場面でどのような「処遇」を行うことが可能か,が検討されている。
2 公訴が提起され刑事裁判手続で処遇が決せられる場合の問題点
(1) 刑事裁判手続全般における問題-家庭裁判所調査官による調査の欠如
ア 想定される問題状況
イ 検討されている対応策について
(2) 比較的重い罪を犯した18歳・19歳の処遇に関する問題
ア 収容される場合でも少年院ではなく刑務所に収容されてしまうこと
(ア) 想定される問題状況
(イ) 検討されている対応策について
(ウ) 小括
イ 刑の全部執行猶予となる場合の問題
(ア) 想定される問題状況
(イ) 検討されている対応策について
(ウ) 小括
(3) 比較的軽微な罪を犯した18歳・19歳の者が罰金刑となる場合の問題点
ア 想定される問題状況
イ 検討されている対応策について
ウ 小括
3 起訴猶予となる場合の問題点
(1) 想定される問題状況
(2) 検討されている対応策について
ア 検察官による「起訴猶予に伴う再犯防止措置」
イ「若年者に対する新たな処分」
(ア) 処分の位置付けと概要
(イ) 審判手続・調査の実効性
(ウ) 他の成人との公平性の問題
(エ) 検察審査会制度との関係
4 まとめ
 以上のとおり,現在検討されている犯罪者処遇策でも,少年法の適用年齢引下げに伴う問題点は解消されない。
 そもそも,18歳・19歳の者を保護主義の対象外とし,行為責任主義の下で扱うとしながら,保護主義に基づく現行少年法と同様に有効性ある刑事政策的措置を講じようとすること自体に矛盾・無理があるというべきであり,理論的に整合する範囲で実効性ある制度設計は不可能と言うほかない。
 既に述べたとおり,現行少年法は極めて有効に機能しているのであるから,その実効性を損なうような適用年齢の引下げを行うべきではない。
 
第5 少年法の適用年齢を引き下げた場合に生じる未検討の問題
 他にも,少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げた場合には,以下に述べるような,未検討・未解決の問題が生じる。
1 年齢の基準時の問題
2 資格制限の問題
3 保護者への働き掛けに関する問題
4 ぐ犯に関する問題
5 推知報道禁止の問題
 
第6 結論
 以上に述べたとおり,現在,部会で検討されている犯罪者処遇策によっても,少年法の適用年齢引下げに伴う刑事政策的な懸念や問題は解消されない。また,民法の成年年齢が引き下げられたことを踏まえても,少年法の適用年齢を引き下げる必要性は全く認められず,むしろ引下げの弊害が極めて大きいのであって,これを行うべきではない。
 したがって,当連合会は,少年法における「少年」の年齢を18歳未満へ引き下げることには改めて反対する。、
(引用終わり)