wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

「2019 平和のための戦争展わかやま」のご案内(2019年7月27日・28日@プラザホープ)

 2019年7月17日配信(予定)のメルマガ金原No.3422を転載します。

「2019 平和のための戦争展わかやま」のご案内(2019年7月27日・28日@プラザホープ

 毎年恒例となっている「平和のための戦争展わかやま」ですが、今年も7月27日(土)・28日(日)の両日、和歌山県勤労福祉会館プラザホープを会場として開催されます。和歌山県平和委員会の里﨑正さんからチラシが届き、Facebook第2部ブログ(あしたの朝 目がさめたら)では簡単にチラシ記載内容を紹介しましたが、こちらのブログでもご案内しておこうと思います。

 実は、そのチラシを見て驚いたのですが、今年の戦争展は、「ビキニ事件」にフォーカスするという思い切った企画になっており、「ゴジラ」展示や伊藤宏先生(和歌山信愛女子短期大学教授)がパネルディスカッションのコーディネーターを務められるというのも、その文脈からのことと思われます。
 時あたかも、戦争展の4週間後の8月25日(日)には『ゴジラ』第1作(1954年)デジタルリマスター版上映と同作主演俳優・宝田明さんの講演が行われることになっており(和歌山市民会館小ホール)、まるで今年の戦争展がそのプレ企画のようにも見える・・・などと言っては、老舗の戦争展に失礼なので言いませんが。

 8月25日に「市民会館に絶対行こう」と決めておられる方には、「是非戦争展(出来れば27日の午後)にも参加して欲しい」とお薦めしたいと思います。
 もっとも、27日(土)の午後といえば、ぞう列車合唱団の公演ともろにバッティングしているのですよね(市民会館小ホール)。困ったものです。

 それでは、以下にチラシ記載情報を転記します。

(チラシから引用開始)

2019 平和のための戦争展わかやま

日時=2019年7月27日(土)⇒28日(日)
     10時~17時(28日は13時まで)

入場無料

[展示 2階ギャラリー]
27日〈土)10:00~17:00、28日(日)10:00~13:00
ビキニ水爆実験で誕生した「ゴジラ」展示
その他のパネル展示
「広島高校生が描いた原爆の絵」・「第五福竜丸」・「和歌山大空襲」など

[講演会 4階ホール]
27日(土)13:30~16:00
(オープニング 13:00~ TOY・BOX)
「ビキニ事件」と日本の戦後~消されたマグロ漁船員たち~
講師:岡村啓佐(おかむら・けいすけ)氏(高知平和資料館・草の家 副館長)
パネルディスカッション
コーディネーター
伊藤宏氏(和歌山信愛女子短期大学教授)
パネリスト
伊藤宏氏⇒ビキニ水爆実験とゴジラ誕生
岡村啓佐氏⇒「ビキニ事件」隠ぺいに抗う元漁船員たち
仲江高丸氏(紀州語り部の会)⇒第五福竜丸串本町
※岡村啓佐氏プロフィール 1951年生まれ、高知市在住。1999年に写真集『高知の被爆ヒロシマナガサキそしてビキニ』を発刊し、同名の写真展を高知県立美術館で開催。2001年には広島平和祈念資料館で開催。2007年『高知の被爆者 未来への伝言』(高知新聞社)を発刊。2008年『731部隊と高知』を発表。2015年、写真展反戦三部作『731部隊と高知』『沖縄戦と高知』『高知の被爆者』と『フクシマの今』を同時開催。2013年からは平和資料館・草の家副館長を務め、小・中学校での平和学習や、沖縄問題、731部隊、ビキニ事件、フクシマと原発問題などをテーマに、各地で講演を行っている。

[和大・社研の報告 4階ホール]
27日(土)11:00~12:00

[市民参加企画 3階会議室1・2]
28日(日)10:00~12:30
紀州昔話・・・アラオの会
紙芝居・・・つくしんぼ
語り部・・・「私の戦争体験」
  小田哲郎さん(和歌山市在住)
  光吉敏郎さん(田辺市在住)

・・・みなさんへのお願い・・・
戦争中の資料をご提供ください。
賛同募金にご協力ください。
  1口500円から 団体6口3000円から

[主催]2019 平和のための戦争展わかやま実行委員会
[お問い合わせ先]
 和歌山市松原通3-20 教育会館 和歌山県平和委員会内
 TEL 073-488-3095 FAX 073-488-3096
[後援]朝日新聞和歌山総局/毎日新聞和歌山支局/読売新聞和歌山支局/(株)和歌山放送/(株)テレビ和歌山/わかやま新報/ニュース和歌山(株)/(株)和歌山リビング新聞

(弁護士・金原徹雄のブログから/「平和のための戦争展わかやま」関連)
2015年8月7日
「2015平和のための戦争展わかやま」(8/1)でピースライブを堪能する
2016年7月12日
予告7/30&31「2016平和のための戦争展わかやま」~半田滋さんの講演(7/30)もあります
2016年7月30日
戦地からの“最愛の妻”への手紙~「2016平和のための戦争展わかやま」から
2017年7月16日
「平和のための戦争展わかやま2017」(7/29・30プラザホープ)のご案内
2018年6月28日
「平和のための戦争展わかやま2018」のご案内(2018年7月28日・29日@プラザホープ)

7/27(土)ぞう列車が走って70年 つながれ!!明日の夢へ ぞうれっしゃコンサート@和歌山市民会館小ホールのご案内

 2019年7月18日配信(予定)のメルマガ金原No.3423を転載します。

7/27(土)ぞう列車が走って70年 つながれ!!明日の夢へ ぞうれっしゃコンサート@和歌山市民会館小ホールのご案内

 昨年末に予告記事(ぞう列車が走って70年和歌山ぞうれっしゃ合唱団 団員募集!(公演予定日:2019年7月27日)/2018年12月19日)をブログに書いたものの、その後、体調不良のために「ブログ毎日更新」を断念したという事情も重なり、なかなか続報を書けなかった「ぞうれっしゃ」ですが、先日(7月15日)、正式なチラシをようやく入手しました。和歌山市民会館大ホールで開催された和歌山県第九合唱団「夏の合唱」のプログラムに挟み込まれていたものです。こんなに素敵なチラシが出来ていたのなら、もっと早くに誰かが届けてくれていたら、Facebookやブログで宣伝したのに(もっとも大した効果はないかもしれませんが)と思わないでもありませんが、まだ9日ある、ということでご紹介することとしました。関心のある方に「是非に」とお勧めしたいと思います。

 もっとも、7月27日(土)午後といえば、昨日のこのブログでご紹介した「平和のための戦争展わかやま」(於プラザホープ)の1日目、「「ビキニ事件」と日本の戦後~消されたマグロ漁船員たち~」ともろに日程がバッティングしているのですよね。私自身、正直「どちらに行こうか?」というハムレットの心境です。

(チラシ記載情報から引用開始)
-チラシ表面-
つながれ!! 明日の夢へ ぞうれっしゃコンサート

 今年はぞう列車が走ってからちょうど70年になり、全国で「ぞうれっしゃ」コンサートに取り組まれています。

 和歌山では5年ぶりの公演。全国のみなさんと心をつないで、子どもたちも、お父さんもお母さんも、ジィジもバァバも精いっぱい歌います。

2019年7月27日(土)午後1時開場 1時30分開演
和歌山市民会館小ホール

【第1部】 チェロとピアノでこんにちは
       チェロ/大町 剛 ピアノ/辻 恵子
【第2部】 合唱構成「ぞうれっしゃがやってきた
       2019和歌山ぞうれっしゃ合唱団
       指揮/由井 勝 ほか

入場整理券
 大人 1000円程度の協力金をお願いします。
 高校生以下 500円程度をお願いします。

主催/2019和歌山ぞうれっしゃ合唱団
後援/和歌山市教育委員会
事務局/和歌山市元寺町3-27 中北幸
      TEL:090-8826-5664 mail:spgcn608@yahoo.co.jp

-チラシ裏面-
【第1部】チェロとピアノでこんにちは
 2012年、2014年のぞうれっしゃコンサートに続き、3回目の出演となります。
 チェロの大町剛さんは、関西フィルハーモニー管弦楽団のチョロ奏者で、楽団の活動以外にも、アレンジ、作曲など幅広く活動されています。
 ピアノの辻恵子さんは、ピアニストであり作曲家。ミュージカル、合唱曲など作品は多数。
 お二人は2000年に共演して以来、毎年「楽しく」をモットーに小規模なコンサートを続けておられます。息の合った演奏は、音楽の楽しさを存分に伝えてくれることでしょう。

【第2部】合唱構成「ぞうれっしゃがやってきた
合唱/2019和歌山ぞうれっしゃ合唱団
指揮/由井 勝
ピアノ/大川求実
フルート/岡田睦子
ソロ・園長/藤田和巳
ソロ・ぞう使いの娘/蟹井理央

 和歌山での「ぞうれっしゃ」の公演は、1990年12月に始まり、今回は21回目の公演にります。

 平和・命の尊さ、音楽の素晴らしさ、歌う者も聴いてくれる人も、いっしょに感動を共有してきました。

「ぞう列車」は実際にあったお話です
 1937年日中戦争がはじまり、その年の12月、名古屋の東山動物園は、木下サーカスからキーコ(メス22歳)、マカニー(メス20歳)、エルド(メス17歳)、アドン(オス16歳)の4頭の像を譲り受けました。
 戦局が悪化した1943年、空襲で動物が逃げ出したら危険だと、全国の動物園に動物の殺処分の命令が下ります。東山動物園でも、猛獣に対して毒殺や銃殺が行われました。
 しかしなんとかゾウは助けたいと、動物園の中に穀物の畑をつくりエサの確保に努めました。軍の命令に、北王園長は「ゾウを殺すのなら私を殺してかれにしてくれ」と嘆願しゾウを守りました。
 しかし1944年2月、キーコが寒さに耐えられず亡くなり、翌年1月にアドンが栄養失調で亡くなりました。
 1945年8月15日ようやく戦争が終わりました。東山動物園は東洋一の飼育数を誇っていましたが、ぞう2頭、チンパンジー1頭、カンムリヅル2羽、カモ20羽、白鳥1羽しか残っていませんでした。それでもマカニーとエルドの2頭は生き残ったのです。
 1946年動物園再開。しかし動物がいないので獣舎の前に絵や写真を展示しました。
 1947年、東京都台東区の子どもたちが子ども議会を開き、そこで生き残っているゾウがいることを知り、ゾウを貸してくださいと子ども議会の代表東山動物園を訪れます。
 しかし、弱った2頭に長旅をさせることはできませんし、2頭のきずなは強く引き離すこともできません。北王園長は仕方なく断りました。
 子どもたちの願いを知った大人たちは、ならば子どもたちを名古屋の東山動物園に運ぼうと、特別仕立ての「ぞう列車」の運行に取り組みます。これには国鉄労働組合のみなさんをはじめ、大勢の大人が力を合わせました。
 1949年6月18日、彦根から1000名の子どもたちを乗せて第1号のぞう列車が名古屋へ走りました。6月25日には東京から。その後、大阪・京都・草津、埼玉・千葉・神奈川、石川・福井、津などから名古屋へぞう列車が走りました。
 近鉄は8月3日から約3ヶ月間、大阪~名古屋へ毎日500人ずつ約4万5000人の子どもたちを運びました。
(引用終わり)

 詳しくは上記チラシのとおりなのですが、考えてみると、合唱構成「ぞうれっしゃがやってきた」の作者については何の説明もありませんので、以下に記載しておきます。参照したのは「うたごえサークルおけら」です。

原作:小出隆司
絵:箕田源二郎
台本:清水則雄
作曲:藤村記一郎

 とりわけ有名な「ぞうれっしゃよはしれ」は様々な動画がアップされていますが、ここでは、2008年11月3日、徳島市文化センターで開催された「九条のつどい」での演奏をご紹介します。


ぞう列車がやってきた

長峯信彦氏(愛知大学教授)「安倍改憲のトリックを斬る~憲法制定過程の真実と平和憲法を守る歴史的責任~」講演レジュメを読む(守ろう9条 紀の川 市民の会 第15回総会)」

 2019年6月5日配信(予定)のメルマガ金原No.3420を転載します。

 

長峯信彦氏(愛知大学教授)「安倍改憲のトリックを斬る~憲法制定過程の真実と平和憲法を守る歴史的責任~」講演レジュメを読む(守ろう9条 紀の川 市民の会 第15回総会)」

 

 私も運営委員を務める地域9条の会「守ろう9条 紀の川 市民の会」は、2005年1月に結成総会を開いて以来、概ね毎年春に総会を、秋に憲法フェスタを開催してきました。

 そして、県内の他の地域9条の会と比較して、当会の大きな特色が、上記総会と憲法フェスタでの記念講演に多くの憲法学者の皆さんをお招きしてきたことであることは、これまでも度々ご紹介してきました。

 先日(6月2日)開催した第15回総会での記念講演をお願いした長峯信彦先生(愛知大学教授)が、当会で講演されたちょうど10人目の憲法研究者となります。その10人は以下の方々です。

 

吉田栄司関西大学教授(2012年憲法フェスタ)

森英樹名古屋大学名誉教授(2014年総会)

清水雅彦日本体育大学教授(2014年憲法フェスタ)

高作正博関西大学教授(2015年憲法フェスタ)

石埼 学龍谷大学教授(2016年総会)

植松健一立命館大学教授(2017年総会)

本 秀紀名古屋大学大学院教授(2017年憲法フェスタ)

三宅裕一郎三重短期大学教授(2018年総会) ※現・日本福祉大学教授

飯島滋明名古屋学院大学教授(2018年憲法フェスタ)

長峯信彦愛知大学教授(2019年総会)

 

 なお、過去の記念講演の内容については、「九条の会・わかやま」にその要旨が掲載される例となっており、レジュメなどをご紹介した私のブログと併せ、巻末に、過去の9人の先生方の講演内容をご紹介した「九条の会・わかやま」と私のブログにリンクしておきますのでご参照ください。

 

 今回の長峯信彦先生の講演について事前告知した私のブログ(長峯信彦愛知大学教授(憲法学)講演会のご案内(2019年6月2日@和歌山市河北コミセン/守ろう9条 紀の川 市民の会)/2019年5月16日)もご参照いただければと思います。

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/53365666.html

 

 さて、今回の長峯先生から事前にお送りいただいたレジュメは、ワープロ専用機で印刷した紙ベースのものであったため(来場者にはこの全12頁のレジュメを印刷して配布)、そのまま私のブログに掲載することは無理だろうと諦めていたのですが、当会運営委員で、「九条の会・わかやま」事務局も兼ねる南本勲さんが、そのレジュメをスキャニング(及び修正作業)をしてデータとして提供してくださり、長峯先生からも、それを全文私のブログに掲載するお許しをいただきましたので、みなさまにお読みいただけることとなりました。

 講演時間は約1時間50分といったところであり、これだけのレジュメの内容をお話いただくにはとても十分とはいえず、天皇制についての部分は全面カットとなったのは残念でした。

 いずれにせよ、長峯先生がこれだけ詳しいレジュメを書かれたのは、「この日私の話を聴かなかった方にも、後日臨場感をもってご理解いただけるようにと願って書いたものです(もし、後日、皆さんのあいだでこれをネタの一つにして熱く議論していただければ、それはもう望外の喜びです。)」(当会役員へのメールから)ということですから、私のブログへの転載がそのような議論の一助となればと願っています。

 

 ふんだんにユーモアを交えながら、熱く、かつ分かりやすく語りかけてくださった長峯先生の講演を、(最近の当会の総会にしては)多くの参加者に聴いてもらえたのは幸いでした。ただ、年齢層が著しく高めに偏っているのは、いずこの「9条の会」も共通の悩みの種ではあるのですが。

 

 ちなみに、長峯先生の講演終了後の第2部は総会議事ですが、その議案書(全6頁)をPDF化しましたのでご参照いただければと思います。

 

「守ろう9条 紀の川 市民の会」2019年度 第15回総会 議案書

 http://web2.nazca.co.jp/rituko31/kinokawasiminnokaisoukaigiansyo20190602.pdf

 

 それでは、以下に長峯信彦先生の講演「安倍改憲のトリックを斬る~憲法制定過程の真実と平和憲法を守る歴史的責任~」のレジュメ全文をご紹介します。

 なお、PDF版も併せて掲載しますが、これは、南本勲さんがスキャニングした上で、極力オリジナルに近づけて整理してくださったものです。

 

PDF(レジュメ本体)

 http://web2.nazca.co.jp/rituko31/nagaminerejumepdf20190602.pdf

PDF(レジュメ資料)

 http://web2.nazca.co.jp/rituko31/nagaminesiryoupdf20190602.pdf

 

2019年6月2日(日)

和歌山市河北コミュニティセンター

 

守ろう9条 紀の川 市民の会 第15回総会 記念講演

安倍改憲のトリックを斬る

憲法制定過程の真実と平和憲法を守る歴史的責任―

 

長峯 信彦

 

≪ニーメラー牧師の警句≫

ナチスは最初、ユダヤ人を攻撃した。私はユダヤ人ではなかったから黙っていた。

そして彼らは共産党を攻撃した。私は共産主義者ではなかったから黙っていた。

更にナチスは、社会民主党自由主義者を攻撃し始めた。この時は少し怖いと思ったが、自分は聖職者だから大丈夫だろうと思っていた。

最後にナチスは、キリスト教の教会を攻撃した。私は牧師だったので、この時はさすがに声を上げたが、もうその時、一緒に声を上げてくれる者は残っていなかった。」

 

≪「憲法」とは≫

普段は憲法のありがたみや重要性はほとんど意識できないかも。しかし(たとえば阪神・東北の大震災で空気・水・電気のありがたみがわかったように)、いざそれが本当になくなってしまう時、その重要性は初めて身に染みてわかることだろう。

憲法=空気や水のような、私たちにとって必要不可欠の存在

憲法は、国や社会の基本的な「あるべき姿」を定める法規範

 

憲法や法律を真剣に勉強するには、社会における「人の痛み」を理解(想像)できるような「人の心」が必要。条文だけを暗記して人の痛みを理解できない“アタマでっかち”な人間が裁判官や弁護士になったりすると、社会は暗くて冷たいものに・・

憲法学や法律学ほど、人の心を必要とする「血の通った学問」はない(渡辺洋三)

 

【第1部】改憲主張「憲法アメリカが作った」のトリック(嘘と危険性)と憲法制定過程の真実―天皇を護る避雷針として日本の権力者はGHQ草案を選択した―

 

・1945年7月26日 ◆ポツダム宣言(米・英・中/後にソ連も)

「日本国民の自由に表明せる意思に従い、平和的傾向を有し且つ責任ある政府が樹立」されること(第12項)

「日本国民の間における民主主義的傾向の復活強化に対する一切の障害を除去」

「言論・宗教・思想の自由並びに基本的人権の尊重」の確立(第10項)

鈴木貫太郎首相「ただ黙殺するだけ」⇒連合国側「ignore無視・拒否」と理解、ポツダム宣言拒絶と解して態度を硬化

★8月6日 広島へ原爆投下/8月9日 長崎へ原爆投下

 

当時の日本政府(鈴木貫太郎内閣)はかなり迷ったあげく、「天皇の国家統治の大権」を変更しない可能性があればポツダム宣言を受諾しようとしたが、連合国側からは「日本国の最終的な政治形態は日本国民の自由に表明せる意思により決定されるべきもの」との回答だけ⇒★結局、原爆が落ちるまで戦争を止めなかった日本政府

 

・1945年8月14日 日本政府がポツダム宣言を正式に受諾【「八月革命」成立】

・8月15日 敗戦/昭和天皇のラジオ放送

 

Part Ⅰ】現憲法に結実した日本人の憲法草案―輝きを失わない鈴木安蔵らの「憲法研究会」草案―

・1945年11月5日 憲法研究会が初会合←既にこの頃GHQでは鈴木安蔵の論文を英訳して一定の注目!〔原秀成『日本国憲法制定の系譜Ⅲ』563(2006年)〕

・1945年12月26日 ◆憲法研究会の憲法草案公表(GHQ草案の約2ケ月前)

・1946年 1月11日 ◆憲法研究会案を分析し高く評価した「ラウエル文書」(GHQ民政局の内部文書)

★「民主主義的で、受け容れ可能。」(democratic and acceptable)

国民主権、差別禁止、労働者の権利など「著しく自由主義的な諸規定」(Outstanding Liberal Provisions)

★不可欠な規定が若干欠如 ラウエルはこれを綿密に列挙した⇒なぜ?

 ⇒憲法最高法規性、違憲立法審査権、刑事被告人の権利、地方自冶etc.

〔高柳賢三・田中英夫ら『日本国憲法制定の過程Ⅰ』P.27-39(1972年)〕

◆ラウエルの列挙こそ、GHQ草案作成にあたって憲法研究会秦を下敷きにした証左

★ラウエル中佐の肉声証言録音が現存(I did use, We did use that draft.)

 

≪現在の象徴天皇制につながった憲法研究会草案≫

◆①「日本国の統治権は日本国民より発する」

◆②「天皇は国政を親(みずか)らせず、国政の一切の最高責任者は内閣とする」

◆③「天皇は国民の委任により、専ら国家的儀礼を司る」

◆④「天皇の即位は議会の承認を経るものとする」

 

敗戦前後、日本政府が一番こだわったのは

◆国体の護持=「神権的君主(主権者)としての天皇」の救済延命

他方GHQは、連合国側(アメリカ本国、ソ連、オーストラリアetc)から天皇を裁判にかけるよう圧力を受けていた。

そんな中で、英国の立憲君主制(法的主権者はあくまでも国王)よりも安全な「儀礼的存在としての天皇」を早々と提唱した憲法研究会案はGHQの注目を浴び、起草の下敷きとされた。

★ラウエル中佐の肉声証言

NHK-ETV「焼け跡から生まれた憲法草案」2007.2.10放送〕

 

・1946年1月21日 幣原(しではら)喜重郎(きじゅうろう)首相がマッカーサーと会談⇒◆戦争放棄の方向で意気投合

大平(おおだいら)メモ「マッカーサーは立ち上がって、感動して幣原の手を握った」云々〔田中英夫憲法制定過程覚え書』P.92(1979年)〕

 

・2月1日 当時日本政府が作成中の保守的な憲法草案を毎日新聞がスクープ

↓(なんと)

◆日本政府の憲法草案は、明治憲法と変わらない古色蒼然としたもの

明治憲法≫ ⇒ ≪1945年当時の日本政府の諸案≫

天皇神聖にして侵すべからず⇒★天皇は至尊にして侵すべからず

天皇は国の元首にして統治権を総攬⇒★日本国は万世一系天皇統治権を総攬(そうらん)

大日本帝国万世一系天皇が統治⇒★日本国は君主国とし、万世一系天皇を以て君主となす

 

・2月3日 マッカーサー3原則発表(マッカーサーノート)

天皇は国の頭部(at the head of the state) ②戦争放棄、軍備撤廃、交戦権否認

封建制度の撤廃、貴族特権の廃止(国民の平等)

・1946年2月4日~13日 GHQ内部で憲法草案【GHQ草案】の起草

 

憲法起草をしたGHQ民政局では弁護士資格を持つ3人が中枢の運営委員(♪)となり、他に法学・政治学を修めた人も多い。中には国会議員や高位行政官の経験者もいた。かのベアテ・シィロ夕(22歳)は民政局通訳だったが、女性の人権条項を担当。

①♪ケーディス大佐(40歳) Harvard Law School卒、弁護士。合衆国の法務職員を歴任

②♪ラウエル中佐(42歳) Stanford L.S.卒、弁護士。法学博士。合衆国法務官。保守的な人、民政局では数少ない共和党員。主に司法権部分を担当

③♪ハッシー中佐(44歳) Virginia L.S.卒、弁護士。準裁判官、自治体行政官を歴任

④スウォウプ中佐(53歳) 合衆国下院議員、準州知事、合衆国内務省の局長などを歴任

 

・2月8日  当時の日本政府作成の憲法草案【松本案】がGHQに提出される

・2月13日 GHQは政府草案【松本案】を否定、逆に日本政府にGHQ草案を提示

・1946年3月6日 日本政府が新しい憲法原案【3月6日案】を発表(=政府原案)

・1946年4月10日 衆議院総選挙 ◆日本史上初の男女平等の普通選挙(45年12月成立の新選挙法下)。選挙後、幣原内閣退陣、吉田茂内閣発足。この選挙により誕生した議員たちこそ、まさに「日本国民の自由に表明せる意思」(ポツダム宣言)に相当。この意思に基き、日本政府原案に対する審議が国会で正式に行なわれることに。◆事実上の憲法制定議会

 

・6月8日 枢密院(すうみついん)本会議【天皇も出席】(枢密院は天皇による諮詢(しじゅん)/明治憲法56条)

 三笠宮崇仁昭和天皇の末弟/皇族委員)の発言「戦争放棄については、・・結構な規定と考へ賛意を表する。・・皇室典範については、皇族としてば遺憾なことと思ふ。・・新憲法については大体賛成であるが、・・反対もしないが賛成もしかねるので、本官は棄権したいと思ふ。」〔『帝国憲法改正案審議録』P.190(1986年 国書刊行会)〕

 

PartⅡ】憲法制定過程における日本の国会審議―日本人の手による「日本国憲法」の完成―

・1946年6月20日 日本政府、第90回帝国議会に「明治憲法改正案」を正式に提出(日本国憲法の政府原案が正式に日本の国会に提出された)

「第90回帝国議会」というのは、形式的には明治憲法下での議会

◆日本人自身の手による審議により、「国民主権」や「社会権」の明記などの重大修正も行なわれて新憲法

 

【1】「国民主権」の明記

憲法制定過程における最大の論点は「主権」はどこにあるのか、であった。

明治憲法と同様に「天皇」なのか(内閣は天皇を輔弼ほひつするだけの補助的存在に過ぎない)、それとも「国家全体」(天皇と国民が共有するという「君民同治」説)か、あるいは「国民」のみか、で議論は熾烈を極めていた。

【2】「生存権」の明記(現行憲法25条)

◆「社会権」は憲法研究会の森戸辰男(衆議員/後に文部大臣)が、自ら国会議員となり(社会党)、国会内の憲法制定小委員会(委員は14人のみ)で主張して実現

【3】無償・義務教育を「中学段階まで含む」ことに(現行憲法26条)

GHQ草案や日本政府原案には「初等教育」とだけしか書いてなかったが、これを中学校まで延ばし、「普通教育」と修正するように猛烈に連動した中学校教師たちが全国にいた。特に、名古屋市の守山青年学校(現・中学校)の校長であった黒田穀(つよし)は、最も中心的に運動した人として知られている。〔NHK憲法誕生」2007.4.〕

 

・1946年 8月24日 衆議院本会議において政府提出の憲法改正案を修正の上、可決

・1946年10月6日 貴族院本会議において憲法改正案を修正の上、可決

・1946年10月7日 衆議院本会議において貴族院から回付された憲法改正案を可決

・1946年10月19日 枢密院本会議【天皇は欠席】

・1946年10月21日 枢密院本会議【天皇も出席】にて憲法改正案を全会一致で可決

・1946年11月3日 「日本国憲法」を明治憲法の改正として天皇の名で公布

・1947年5月3日  日本国憲法施行

 

【第1部 憲法制定過程 まとめ】

日本国憲法は本当に私たち国民に押しつけられたのか―

◆無謀な「中国アジア侵略戦争」の遂行主体は日本の権力者たちだったという事実(1931~45年の「15年戦争」)

◆日本の権力者たちは原爆が落ちるまで戦争を止めようとしなかったという事実

◆日本政府は天皇の救済延命を図るために自らポツダム宣言受諾を選択したという事実

◆当時の日本政府の憲法案は「天皇主権」にこだわる極めて保守的なものだったという事実

◆「国民主権」「人権」を唱えていた日本人は既に明治期から存在し(自由民権連動)、戦後直後には「象徴天皇制」を唱えた日本人グループさえ存在していたという事実

日本国憲法は、初の男女平等選挙により誕生した日本人議員たちによって審議され、「国民主権」「社会権」明記など重大修正も経て国会で成立した、という事実

 ↓(しかし)

もし、それでも「憲法は押しつけられた」「自主憲法を!」と云うのであれば・・

★日本の近代化【洋服・洋食・TV・携帯などの西洋近代文明】も、最初は全て黒船来航によって西洋列強から「押しつけられた」もの。これらも全てダメなのか?

★「日曜日」などは元々キリスト教安息日。“日本国有”にこだわる方々は当然返上して、ガムシャラに働くんでしょうね!(現在のカレンダーは1582年にローマ教皇が制定した、強度にカトリック色の濃いもの)

 

【第2部】改憲主張「憲法9条は現実に合わせて変えろ」のトリック(嘘と危険性)

イイ・ワルイといった「価値判断」vs 判断の根拠となる「認識」

「パチン子的状況」に陥る日本⇒◆認識と価値判断の混濁

⇒「憲法9条は現実に合わせて変えろ」という論(に対し)

★「法の姿」と“現実”とがズレた時、なぜ“現実”に合わせるのですか?

―もし「現実に合わせて」法を変えるのなら―

・路駐だらけの道路の駐禁措置は、すぐに解禁せねばならないですよネ?

・麻薬や拳銃が国内に満ち溢れたら、「現実に合わせて」解禁するのですか?

★そもそも“現実”“現実”って、一体何を指すのですか?

◆日本の軍事費は世界で約第7~8位(約5兆円)。自衛隊武装レベルは世界最高水準。海自は(1700億円イージス艦に象徴されるように)英海軍をも凌ぐほど高性能。他方、陸自ソ連上陸対策の90式戦車(10億円)をなぜか2007年まで300両も製造。 3000億円もの巨額の無駄遣い!〔水島朝穂『徹底分析 集団的自衛権』P.285 岩波2015〕

◆ステルス性能の最新鋭戦闘機F35-Bは一機180億円。日本は今後147機配備し(中期防)、併せて日米両方のF35-Bを発艦させるべく、護衛艦イズモを空母化する。歴然とした戦力そのものを日本は蓄え過ぎていないか!〔井上哲士議員の鋭い追及 2019.2.7参予委〕

◆その“現実”とは、私たち一般市民が本当に望んでいるものなのか?戦争や軍事行動によって利益を得る勢力が望んでいるだけではないのか

◆「もし攻められたら?」という抽象的で架空の問いは無意味。なぜなら、戦争有事や軍事衝突は、地震のような偶発的自然現象ではないからだ。戦争は、貧困・大失業・経済破綻などの非軍事的要因を引き金とする人為的災厄だ。これらを除去・緩和できるのは、軍事力の安易な発動ではなく、人間の努力以外にないのである。(長峯「憲法有事法制」『月刊 自治研』(2002年7月号))

◆もし、日本政府(安倍政権)がホントに本気で「北朝鮮がミサイル攻撃して来る」と信じているのならば、原発の再稼働は絶対に許されないはずである。しかし奇怪なことに、日本海側の原発(泊・柏崎・敦賀・大飯・高浜等)を中心に再稼働申請されている。なぜか?政府自身、北朝鮮がミサイル攻撃して来ないと確信しているからである!〔豊下楢彦&古関彰一『集団的自衛権と安全保障』岩波新書2014 P.67-71〕

 ↓(まさに)

①ミサイルの脅威から国民を守るため集団的自衛権解禁と説く安倍政権が、原発がミサイルで狙われた際の対策として「屋内退避」ぐらいしか考えていないなんて不真面目すぎて許せない!と厳しく批判〔山本太郎議員の鋭い追及 2015.7.29参特委〕

②仮に万万が一、北朝鮮が狂ったように日本を攻めるとすれは、それは日米が人為的に北朝鮮を「窮鼠(きゅうそ)猫を噛(か)む」状態に追い込み、日本攻撃に大儀名分を与えてしまったような場合だ。しかしそうさせないのが外交努力であり政治の責任のはず。

 

【第3部】憲法違反の戦争法制

【1】◆戦争法制(2015.7.15衆院特委で強行採決/7.16衆院採決強行)(15.9.17参院特委「聴取不能」状況下で“採決”偽装/9.19未明 参院採決強行)

(1)武力攻撃事態法・自衛隊法の改定【2015年戦争法制】

⇒“日本の安全”のためだから、国会承認は事前も事後もOK

◆2015年戦争法制では、朝鮮有事?を想定した「公海上での米軍艦船防護」等?を口実に自衛隊の直接的な武力行使が“集団的自衛権”の名の下に正当化される。実際に日本が攻撃された事態ではないにも拘らず、日本有事との関連を大きな口実するのが特徴

 ↓(もし「安倍改憲」になれば)

憲法に「自衛隊自衛権」を明記すれば、単純に“自衛”の名の下にこれらの軍事行動(戦争活動)が野放図に拡大してゆくことは、火を見るよりも明らか!

★存立危機事態:高村(こうむら)自民党副総裁「もしホルムズ海峡が通行不能となり、石油が入って来なくなって日本の寒冷地で凍死者が出たら、国民の生命・自由・幸福追求の権利が根底から覆される事態じゃないですか!」(2015.5.3 NHK憲法記念日討論)

★安保法制懇報告書(2014.5.15)安倍首相「紛争国から逃れ出る際にお父さんお母さんや子どもたちが、紛争国から出る時に乗る米軍の船を守ることができない!」

・しかし民間機での脱出例はあるが「米軍に救出された例は聞いたことない」(防衛省

★(しかも)安倍首相の掲げる事例はリアリティーがない。通常は、戦争状態に突入するずっと前の段階で現地の大使館が日本人に退避勧告を出して帰国を徹底させるので、「米軍艦船に乗って日本人が退避する」例など、あまりにも非現実的な想定。〔柳沢協二・元内閣官房副長官補(防衛省出身)NHKスペシャル2014.5.16〕

 ↓(しかも!)

★在韓米軍が行なう非戦闘員避難救出作戦は航空機なので、艦船という想定がそもそも間違い。しかも救出対象は在韓の米国民を筆頭に英・加・豪等の欧米系に限定される。日本国民が米軍艦船で救出されることは絶対にあり得ないシナリオだ。(豊下稔彦&古関彰一「集団的自衛権と安全保障」岩波新書 2014 P11)

◆絶対にあり得ない架空のシナリオ、人を欺くトリック(豊下稔彦)

◆国民に対して総理大臣自らが行なう「出る出る詐欺」(長峯)

安倍晋三は「一日総理大臣」を毎日やっているような人!(笑)

 

(2)重要影響事態法の新設【周辺事態法からの衣替え/2015年戦争法制】

1999年の周辺事態法は、当時から戦争法と呼ばれた悪法だったが、一度も発動されずに「重要影響事態法」案に衣替えする。周辺事態法すら違憲なのに、更に異常な内容に。“日本の安全のため”を口実に、日本への攻撃はないにも拘らず、

・米軍および(今回は)他国軍の戦争行為にも軍事支援を拡げる内容

・地理的制約の撤廃⇒米軍と他国軍への軍事支援が地球規模・グローバルに

◆出撃準備中の米軍戦闘機に日本の税金で給油:憲法上疑義があるから周辺事態法では見送られていたのに(当時の大森政輔法制局長官)、今回の内容は明確に違憲ではないか!〔共産党塩川鉄也(6/26)&本村伸子(7/2)鋭い追及 2015衆特委〕

 ↓(これに対し)

安倍晋三「出撃前の戦闘機への給油は、それ自体は「燃料補給」行為であって武力行使ではない。また給油場所は、実際の攻撃行為が行われる場所から遠く離れているので問題はない。」←エッ本当ですか!〔共産党塩川鉄也 15.6.26衆特委〕

 ↓(長峯流に翻訳すると)

★もし仮に「これから名古屋で人を殺す」と明言する殺人鬼に、安倍晋三が東京で「このお握り食べて元気出してネ。この切符で新幹線乗ってネ」と言い、食料・交通費を提供しても、ただの「エネルギー補給/燃料補給」ですか? 実際の殺人が名古屋で行なわれても「遠く離れている」から殺人共犯に問われないのですか? アホな!

 ↓(しかも)

◆法案が成立していない現時点で既に、日米軍事訓練は「敵地制圧」内容。明らかに専守防衛の逸脱だ。また今まで輸送不可とされた弾薬を「武器ではない」として法案では可としているなど違憲極まりない!〔社民党福島瑞穂の鋭い追及 2015.7.30参特委〕

 ↓(更に)

自衛隊統合幕僚監部作成の内部資料では、法案が成立した前提で部隊編成計画まで詳細に書かれており、大問題だ。〔共産党小池晃の鋭い追及 2015.8.11参特委〕

自衛隊陸自教範 兵站(へいたん)」:「兵站はできるかぎり前方で、主攻撃の支援に便利なように配置する。・・(戦場での)戦闘力を維持・増進して作戦を支援する」と明記。

米軍海兵隊教科書も「兵站武力行使と一体不可分」と明記。

兵站武力行使と一体不可分の軍事行動であることは明らかではないか!

共産党小池晃の鋭い追及 2015.7.29参院特委〕

 

(3)国際平和支援法【垣久法/2015年戦争法制の中の新法】

⇒日本の安全のためでないから「例外なき国会の事前承認」(??)

一見厳しそうな条件だが、実際には「重要影響事態」などと接続すればホゴにできる

・他国のテロ等「世界の」有事の際、他国の戦争行為に自衛隊が軍事支援する内容

・既に「補給・輸送・基地警備」などという違憲性の強い項目(テロ特措法)を行なってきた“実績”を背景に、今回は◆「弾薬提供」を付加

 ↓

★中谷防衛相「核兵器もミサイルも≪弾薬と同様、消耗品≫であるから武器ではない。だからその輸送は今回の法案上は除外されない」と答弁〔2015.8.5参院特委〕

◆補給・輸送の兵站部隊こそ、戦時国際法上では確実に攻撃対象たり得るのであり、文字通り武力行使と一体である。〔共産党志位和夫の鋭い追及 2015.5.27衆院特委〕

・「現に戦闘をしている現場」でなければ、必ずしも「非戦闘地域」(イラク特措)でなくても派兵可能に。歯止めなき戦争法制の実態がますます明らかに!

 ↓(しかも驚くべきことに)

◆昨日激戦だった場所も、今日銃声が≪現に≫聞こえてなければ、戦闘現場に近い場所でも「ハイ日本製の弾薬ど~ぞ!」「ミサイル運びましたよ~」なのか?アホな!

 

【2】“集団的自衛権”― 長峯流まとめ(笑)

あるところにアベさんという人が、「コベ」という犬を一匹飼っていました。そこへリカさんという大好きな女性から「ねぇ、うちの可愛いライオンの赤ちゃん、ぜひ飼って(買って)くれない?」と優しく頼まれ、アベさんは喜んで飼うことに決めました。ちなみにリカさんの苗字は「天(あめ)」です(笑)アベさんにとってリカさんの言葉は、いつも、文字通り「天の声」なのでした。

でも、近所のヤトウさんは、家族総出で警告に。「この赤ちゃんライオン、今は可愛いけど、数年経ったら手に負えなくなっちゃうよ!」アベさんは自信たっぷり反論。「大丈夫!だってライオンの赤ちゃんって、犬と同じだよ!ちゃんと限定的かつ安全に飼うから大丈夫!ヤトウの皆さんはホント心配症だよなぁ」

アベさんは赤ちゃんライオンに「シンゾー」と名付けました。そしてアベ・コベとアベ・シンゾーは一緒の檻で飼われることに。が数年後、アベさんが帰宅すると、コベはシンゾーに噛み殺されてしまってるではありませんか!アベさんは驚愕、落胆。そこへシンゾーが、かつての可愛いさとは似ても似つかぬ横暴な態度で現れました。「アベさん、今日からオレに従ってもらうよ!人間がこの檻に入って、オレ様が檻の外に出るからね!」それを物陰から見ていた天(あめ)リカさん、こっそりシンゾーにウィンク。「あぁ、これじゃあ、本当にあべこべじゃないかぁ・・」アベさんは檻の中で、悲しく嘆き続けました、とさ。おしまい(笑)

【出演】アベさん=愚かな政治指導者 ヤトウさんの家族=野党の皆さん 

犬・ワンちゃん(コベ)=個別的自衛権文民統制の効いた自衛力

ライオン(シンゾー)=集団的自衛権/コントロール不能となって暴走する軍事力

檻=国家権力と軍事力をきちんと拘束する憲法憲法による制約

 

【第4部】日本国憲法の先進的な価値原理

【1】“普通の国”より「普遍的価値の国」へ

【人権】と【民主主義】

つい200年余前の西欧でも70年前の日本でも、人権も民主主義も反体制の危険思想

今、どうか? ⇒「人権」も「民主主義」も今や世界共通の価値理念

【徹底した平和主義】

・90年前(パリ不戦条約)までは、侵略戦争禁止の約束など実現不可能と思われていた

・ほんの70年前まで日本では、天皇の統帥大権を否定するあり得ない危険思想だった

今、どうか? ⇒「侵略戦争禁止」程度の平和主義は多くの憲法で採用

◆「戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認」(9条)や「平和的生存権」(前文)まで明記したのは日本だけ

◆戦争や軍事行動は国家権力の発動なしにはあり得ない。憲法9条はまさに世界で先駆的にそれを厳しく禁止してきたのである。

憲法9条こそは、日本全体を戦争から遠ざけ、私たち日本の市民に対する世界の信頼と安心を醸成させた、最大の「国際貢献」をしてきた功労者だ。この第9条こそ、世界共通の価値理念にしてゆくべきではないだろうか。

◆もし憲法に「自衛隊自衛権」を明記すれば、“自衛”の名の下に軍事行動(戦争活動)が野放図に拡大してゆくことは必至!

⇒しかも、軍事費の増大は火を見るよりも明らか!

2019年度:日本の軍事費5兆3000億円←年間の文教科学予算とはば同額

しかし、文教科学予算のうち1兆3000億円は「科学」関係予算。

「教育」予算は年間4兆円しかない!(義務教育賞はその中の1兆3000億円デス)

◆日本の軍事費は世界で第7~8位。しかしジェンダーギャップ指数(世界経済フォーラム )はなんと世界第110位前後。世界全体を150ヶ国とし、これを学校の一学年になぞらえると、「日本は軍事費では学年順位1ケタ!しかし男女平等に関しては学年順位110番前後の成績不良者」ということになる。この逆でなければならない!

 

【2】憲法は空気や水みたいに最も大切なもの

★2005年4月25日JR福知山線脱線事故は107名もの犠牲を出した大惨事。1分半の遅れにこだわって猛スピード出したことが原因。犠牲は、出て初めてその大きさに気づくもの

★今「自衛隊の明記」「国際環境の変化」等、多種のこだわりが改憲論を支配する。が、それらに強くこだわり続けることが、結果として、大切な憲法の「命」を失う―角を矯めて牛を殺す―ことになりはしないだろうか

日本国憲法は、近代立憲主義150年の歴史を満載した「完全装備の豪華客船」だ。

米国憲法になかった「社会権」「性別による差別の禁止」「女性参政権」は当然完備。しかも世界で最も先駆的な「戦争放棄・戦力不保持・平和的生存権」まで装備済み。

◆戦争も原発もTPPも、個人の尊厳と幸福追求からは隔絶した権力者や財界の保身・利益の象徴。そしてそれらは“国家の威信/電力安定/経済の国際化”といった耳触りの良い言葉でいつも本質が隠されてきた。しかし、もう騙されてばいけない。

◆戦争も原発も、「現実の結果」という≪答え≫をまざまざと人類に示した。あとは我々が本質をきちんと直視し、真に人類にとって必要な価値は何か、真に未来に向けた責任ある選択は何か、という≪正解≫を実現してゆくだけではないだろうか(終)

(ながみね・のぶひこ 愛知大学法学部教授・憲法

 

 

【付録】≪現行の象徴天皇制の問題点≫

【1】現行皇室典範で、生前退位を認めていない点

⇒しかし、生前退位を認めるか否かは憲法問題ではなく、あくまでも立法政策の問題。憲法には、生前退位を禁ずる規範内容も具体的規定も存在しない。

◆ただし「天皇にも人権があるから生前退位認めるべき」という理由付けには問題あり!

 ↓(なぜなら)

◆そもそも「人権」という考え方は、どんな血筋の人であれ、人一般が全て、同じ立場で憲法上の権利を享受するという原理。それは元来、身分制社会における「君主・貴族等の特権」に対抗して主張された概念である。

 ↓(それゆえ)

◆君主の血筋として認められてきた人々(天皇・皇族)が、その血筋であることの表明を一切辞めて「人一般(人間一般、一般の人)」になることなしに「人権」主体になることは、原理的にあり得ない。

◆「特定の血筋でしか継承できない特別の地位(天皇、国王等)」という考え方は、明らかに身分制概念そのもの。これは人権概念に全く逆行する。

この点をまず認識しなければ、天皇制関係の議論はぐちゃぐちゃに混乱してしまう。

 

①「天皇・皇族にだって最低限の人権はあるはずだ」という言い方はよくされるが、これは原理的には矛盾した主張だ。もし天皇や皇族が本当に「人権主体」ならば、その血筋であることの表明を辞めて「人一般(一般の人)」になったんデス、と表明しているに等しいからだ。

②あるいはもし、天皇や皇族に“人権があるはず”ならば、現在の状況は、特定の人々にだけあまりにも重大な人権制約を憲法の下で認めることになってしまい、それ自体重大な憲法違反になってしまうからだ。

 ↓(それはあたかも)

和歌山県民と三重県民にだけは、政治的な言論・表現の自由も、職業選択の自由も一切認めない、というのと同じ。

・両県民の結婚は全て、カップルごとに県議会で審議し、許可するかどうかは個別に決定する。今後結婚するカップルには、男子が誕生するまで、不妊治療も含め、諸々のことを一生懸命“頑張って”もらう、というのと同じ。

③「天皇・皇族にだって人権はあるはずだ」という言い方は、正しくは、「天皇・皇族といえども、人間としての尊厳はあるはずだ」と言うべき。

一方、人間としての尊厳の話は、裁判所を通じて実現可能な「人権(一般人の権利・自由)」の話とは異なることに注意。

天皇・皇族への特別扱い(良くも悪くも)をどのように減らしていくべきかという議論は、「天皇・皇族にだって人権はあるんだから」という俗っぽい前提から出発してはならない。その議論はあくまでも、

象徴天皇制を含む統治機構の制度が、日本国憲法上の原理原則【憲法上の公序の要請】にどこまで合致しているかいないか、という観点から行われるべきである。〔樋口陽一憲法(第3版)』P.179 (2007年)〕

 

【2】国民主権の下で、元号が「一世一元の制」になっている点

天皇死亡or天皇交代と同時に元号も変えるという「一世一元の制

◆日本の歴史上、実はたったの150年間しかない!

日本に「大王(オオキミ)/天皇」と呼ばれた最高主権者が存在した全時代約1600年間のうちの僅か10分の1にも満たない、という客観的事実

・「大化」「元禄」といった元号は存在しても、「大化天皇」「元禄天皇」はいない

・「令和」への変更は天皇の生死とは関係なく行なわれたが、一世一元の制墨守

 ↓

◆このような一世一元の制国民主権原理と調和的であるはずがない

 

【3】現行皇室典範で、女系天皇はおろか、女性天皇すら一切認めていない点

皇室典範1条「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」

論点A:女性天皇を認めないことは、憲法14条の「男女平等」に反するか?

論点B:「女性天皇を認めないこと」と「女系天皇を認めないこと」は同じか?

古来より、天皇になるには男性であれ女性であれ、「皇統に属する男系男子か男系女子」であることが絶対条件だった。⇒女系男子も女系女子も即位不可とされてきた

 

女性天皇天皇家血統 こぼれ話≫(★は女牲)

①古代の推古(すいこ)天皇★(在位592~628年)と敏達(びだつ)天皇はどちらも欽明(きんめい)天皇の子(異母兄妹)だが、推古は敏達の皇后になっている。二人の間には実子もいた。古代における異母兄妹問の結婚は珍しくない。

推古天皇★の同母兄は用(よう)明(めい)天皇。用明の息子が、有名な聖徳太子(厩(うまや)戸(ど)皇子(のみこ))。聖徳太子は叔母である推古天皇に仕えていたが、推古より先に死亡。推古は74歳まで36年もの長期にわたり異例の在位(当時の天皇は10年前後で交代している)。現在なら90歳近くの高齢になるまで、大きな政変もなく政権を維持したことになる。驚異!

蘇我入鹿(そがのいるか)を討伐した中大兄皇子(なかのおおえのみこ)で有名な天智(てんぢ)天皇は、敏達(びだつ)天皇の曾孫。大海人(おおあま)皇子(のみこ)はその同母(?)弟で、後の天武(てんむ)天皇。彼は壬申じんしんの乱で権力を掌握。

天智の娘は叔父天武の皇后となり、天武の死後、天皇になった。それが持(じ)統(とう)天皇★。

④天武と持続★の間に生まれた草壁皇子(くさかべのみこ)は、天武の次の天皇と期待されたが若くして病没(即位せず)。草壁の正妃は、天智の娘にして持続の16歳下の妹、元明(げんめい)天皇★。元明は、1歳年下の甥と結婚した姉さん女房だった。(妻は叔母、夫は甥、の関係)

天武の死後は、皇后(草壁の実母)の持統が即位。持統は天武の皇后だったから天皇になれたのではなく、父親が天皇で自分は「男系女子」だったから即位の資格があったという点に注意!持統も元明も天智の娘。後に即位する元正天皇★(文武天皇の姉、聖武天皇の伯母)も草壁・元明の娘。皆れっきとした「皇統に属する男系女子」であった。天皇になるには男性であれ女性であれ、「皇統に属する男系の男子・女子」であることが絶対条件だった。→女系男子も女系女子も即位不可

⑤他方、「皇統に属する男系男子」であれば全員に即位の資格があったかと言えば、全然そうではない。基本的に生母の血筋で即位ランキングが決まってしまい、選挙予想みたいに「当選確実」から「当落線上」「ほぼ無理」まで多岐に分かれていった。

⑥「鳴くよ(794)鶯(うぐいす)平安京」で有名な桓武(かんむ)天皇は、生母が朝鮮半島百済(くだら)からの渡来人の血筋の高野新笠(たかののにいがさ)★という身分の低い女性だったため、即位は難航した。しかも桓武の父の白壁王(しらかべのみこ)【光仁(こうにん)天皇】という人は、天智の男系の孫ではあったが、当初は即位ランキングから完全に外れていた官人(大納言)でしかなかった。以前、平成天皇が「桓武の母は朝鮮系」とわざわざ述べたことは、興味深い。

しかし政変が重なり、当時61歳の白壁王に突然白羽の矢が立ち光仁天皇として即位。今なら、有名でない80歳近くの“窓際族”官僚が突然総理大臣になる感じ。桓武はその11年後、遅めの44歳で天皇に。桓武は天智の血を引く男系男子(曾孫)だったので、これ以降の天皇家男系の血統は天武系ではなく、全て天智系に転換した。

 

【陛下・殿下】元来は敬称ではなく、逆の意味。殿下は宮殿の下の意、陛下は宮殿の下の長い大きな階段の下の意。元々中国の皇帝が住む、高い階段の上に在る宮殿に由来する語。日本には陛が存在しないので陛下という言葉は使われて来なかった。中国で陛下に立つ番兵(下っ端役人)に対し、「陛下の方にまで申し上げます」と言って取り次いでもらい、その番兵の許可を得たら、今度は大きな階段を登って宮殿の下まで行き、殿下にいる役人に「殿下の方にまで申し上げます」と言って宮殿内の貴人に取り次いでもらう。もし皇帝等が許可したら宮殿内に入れる(が、皇帝との直接対話は不可)。日本では「昇殿」と言い武士は長く昇殿できず。昇殿の初例は1098年源義家(頼朝の祖父の祖父)、内昇殿は1132年の平忠盛(清盛の父)が初という。(終)

 

 

【資料】GHQの中枢で憲法草案起草にあたったラウエルは法学博士号を持つ弁護士で、合衆国法務官も経験したことのある実務家でした。

 

憲法研究会草案に対してラウエルが詳細に書いたコメント(重要文書)

 

連合国最高司令部民政局行政部

1946年1月11日(GHQ草案作成の1ヶ月前)

 

幕僚長に対する覚え書き←マッカーサーの側近に提出

〔案件〕私的グループ(※憲法研究会)による憲法改正草案に対する所見

 

4.一般原則、第1条-第5条。主権に関するこれらの諸条項には、憲法が国の最高法規であること、および他の法規は憲法に抵触してはならないことを明確に規定する一条を追加するのがよいと考える。

5.国民の権利および義務、第6条-第18条。これらの諸条項は、権利章典をなすものであって、現行憲法明治憲法)におけるそれよりもはるかに実効的である。言論、出版、教育、芸術および宗教の自由は保障され、かつその他の社会的諸原則もその中に包含されており、そのすべては、民主主義と両立しうるものである。

14.いちじるしく自由主義的な諸規定。

a 国民主権が認められている。

b 出生、身分、性、人種および国籍による差別待遇が禁止されている。貴族制度が廃止されている。

c 労働者に認められなければならぬとされている利益には、一日8時間労働制、有給休暇、入院無料制および老齢年金が含まれている。

d 国民がその意思を直接立法に表明することができるレフェレンダム〔国民投票制度〕が規定されている。

e 皇室経費を含む財政全般に対する支配権が、国会に与えられている。繰越予算は禁止されている。会計検査が必要とされ、会計検査院の長は選挙によるものとされている。

f 財産所有の権利は、公共の福祉に役立つものでなければならぬという要件によって制限されるとされている。

g 土地は、公共の利益に最も良く合致するよう用いられなければならないとされている。

h 新憲法が、10年以内に制定されなければならないとされている。

15.要約 この憲法草案中に盛られている諸条項は、民圭主義的で、賛成できるものである。しかし、若干の不可欠の規定が入っていない。いかなる憲法も、承認を受けるには、以下に示す原理をおりこんでいなければならないと考える。

a 憲法は国の最高法規であることを、明確に宣明すること

b 国民の権利〔に関する規定〕を追加し、以下のことを実現すること

(1)人身保護令状により実現されるのと同様の諸権利を認めること

(2)刑事事件における迅速かつ公開の裁判を保障すること

(3)刑事被告人が、同一犯罪について二重の危険にさらされることを禁止すること

(4)自己負罪(self-incrimination)についての保護を確立すること

(5)刑事被告人が自己に不利益な証人のすべてと対決する権利を保障すること

(6)刑事被告人が弁護人に弁護を依頼する権利を保障すること

(7)不当な捜索および押収に対し国民を保障すること

c 立法についての専属的権限が国会に帰属する旨を明確にするよう、第19条の規定をはっきりさせること

d 第34条を修正し、内閣は国会の不信任決議があれば辞職しなければならないものとすること

e 裁判所が立法を違憲と宣言する権限をもつ旨を明確に規定し、かつ、それは、国会による再審査に服し、国会は両院の3分の2の議決により〔裁判所の判断を〕破棄できるものとすること

f 第44条を削除すること

g 憲法の改正は、国民の過半数の投票による承認をえて、はじめて有効になるものとすること

h 国の機関で国会または内閣に対し責任を負わないものは、憲法改正によるのでなければ、創設されることはないものとすること

i 都道府県および市町村の主要職員の公選を規定する条項を設けること

 

       陸軍准将

       民政局局長

        コートニー・ホイットニー

              ラウエル陸軍中佐起草

 

憲法研究会草案を熟読したラウエルが「高く評価できる所」と「欠けている所」の両方を詳細に記していることは、この草案を実際に下敷きにすれば一国の憲法が完成できる、と確信したからに他なりません。

 

(参考動画)

 長峯先生は、「守ろう9条 紀の川 市民の会」第15回総会に2週間先立つ5月19日(日)、三重県鈴鹿市で、「九条の会すずか」第15回総会で記念講演されました。

 主催者がチラシに記載していた演題は「今こそ憲法、安倍九条改憲にNO!を」であったようですが、その講演動画を紹介した「九条の会すずか」のブログの記載によれば、長峯先生が用意された演題は「安倍改憲のトリックを斬る~憲法制定過程の真実と9条を守るべき歴史的責任~」という、「紀の川 市民の会」と同じものであったようです。

 http://blog.livedoor.jp/suzuka_9jyou/archives/53387594.html

 6月2日の講演終了後、「九条の会すずか」の講演動画のことを話題にしたところ、長峯先生から、「こういう動画がアップされると、他のところで同じジョークが使いにくくなって困る」という述懐をお伺いし、「さもありなん」と納得した次第です。

  まあ、それはさておき、「守ろう9条 紀の川 市民の会」のレジュメと「九条の会すずか」の動画とを併せ学んでいただければ、とても有益だろうと確信します。

 

2019 5九条の会すずか長峯さん講演(2時間04分)

 https://www.youtube.com/watch?v=lypB93CDlvk

 

(付記・9人の憲法研究者の講演録を読む)

 過去「守ろう9条 紀の川 市民の会」の総会もしくは憲法フェスタで講演された憲法研究者は9人に及びます。

 各講演については、同会及び「九条の会・わかやま」の事務局を兼ねる南本勲(みなもと・いさお)さんが、会紙「九条の会・わかやま」に講演要旨を通常3回に分けて掲載する例となっています。

 私のブログと併せ、過去何度かご紹介していますが、10人目の憲法研究者・長峯信彦教授をお招きした講演会の内容をご紹介する機会に、過去の9人の憲法研究者の皆さんの講演要旨をまとめてご紹介します。

 

【9人の憲法研究者の講演録を読む~「守ろう9条 紀の川 市民の会」で語られたこと(吉田栄司氏、森英樹氏、清水雅彦氏、高作正博氏、石埼学氏、植松健一氏、本秀紀氏、三宅裕一郎氏、飯島滋明氏)】

 

2018年11月11日(日) 第15回 憲法フェスタ

飯島滋明氏(名古屋学院大学教授)

自民党改憲案にどう向かい合うか~私たちの具体的な対抗策は~

講演録① 会紙「九条の会・わかやま」363号

  http://home.384.jp/kashi/9jowaka/kikansi7/kikansi363.htm

講演録② 会紙「九条の会・わかやま」364号

  http://home.384.jp/kashi/9jowaka/kikansi7/kikansi364.htm

講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」365号

 http://home.384.jp/kashi/9jowaka/kikansi7/kikansi365.htm

金原ブログ「飯島滋明さんの講演「自民党改憲案にどう向かい合うか~私たちの具体的な対抗策は~」レジュメ紹介~第15回 守ろう9条紀の川市民の会 憲法フェスタにて」

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/52677035.html

 

2018年3月24日(土) 第14回 総会

三宅裕一郎氏(三重短期大学教授 ※現・日本福祉大学教授)

憲法9条が果たしてきた役割~「自衛隊」の明記によって何が変わるのか?~

講演録① 会紙「九条の会・わかやま」346号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi6/kikansi346.htm

講演録② 会紙「九条の会・わかやま」347号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi6/kikansi347.htm

講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」348号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi6/kikansi348.htm

金原ブログ「三宅裕一郎氏(三重短期大学教授)「憲法9条が果たしてきた役割-「自衛隊」の明記によって何が変わるのか?-」講演レジュメを読む(守ろう9条 紀の川 市民の会 第14回総会)」

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/51740965.html

 

2017年11月3日(金・祝) 第14回 憲法フェスタ

本 秀紀氏(名古屋大学大学院教授)

安倍政権の9条破壊を許さない~海外で戦争する『自衛隊』は認められない~

講演録① 会紙「九条の会・わかやま」336号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi6/kikansi336.htm

講演録② 会紙「九条の会・わかやま」337号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi6/kikansi337.htm

講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」338号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi6/kikansi338.htm

金原ブログ「2日連続 名古屋大学大学院教授(本秀紀氏&愛敬浩二氏)から学ぶ憲法をめぐる動向」

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/51030439.html

 

2017年4月1日(土) 第13回 総会

植松健一氏(立命館大学教授)

安倍首相はなぜ憲法(constitution)を変えたいのか

講演録① 会紙「九条の会・わかやま」321号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi6/kikansi321.htm

講演録②  会紙「九条の会・わかやま」322号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi6/kikansi322.htm

講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」323号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi6/kikansi323.htm

金原ブログ「植松健一氏(立命館大学教授)「安倍首相はなぜ憲法(constitution)を変えたいのか」講演レジュメを読む(守ろう9条 紀の川 市民の会 第13回総会)」

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/49789095.html

 

2016年4月2日(土) 第12回 総会

石埼 学氏(龍谷大学法科大学院教授)

戦争法は廃止、憲法9条が輝く日本を取り戻そう~今、私たちにできること~

講演録① 会紙「九条の会・わかやま」296号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi5/kikansi296.htm

講演録②  会紙「九条の会・わかやま」297号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi5/kikansi297.htm

講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」298号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi5/kikansi298.htm

金原ブログ①「石埼学龍谷大学法科大学院教授の講演をレジュメから振り返る~4/2「守ろう9条 紀の川 市民の会」第12回総会から」

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/47245589.html

金原ブログ②「石埼学龍谷大学法科大学院教授の【設問】に答える~「安保法制」講師養成講座2」

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/47269693.html

 

2015年11月3日(火・祝) 第12回 憲法フェスタ

高作正博氏(関西大学教授)

「戦争法制」で日本はどんな国になるのか~私たちはどう対抗すべきか~

講演録① 会紙「九条の会・わかやま」285号

 http://9jowl.mikosi.com/kikansi5/kikansi285.htm

講演録②  会紙「九条の会・わかやま」286号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi5/kikansi286.htm

講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」287号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi5/kikansi287.htm

講演録④ 会紙「九条の会・わかやま」288号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi5/kikansi288.htm

金原ブログ「「第12回 憲法フェスタ」(11/3 守ろう9条 紀の川 市民の会)レポートと11月中の和歌山での取組予定のお知らせ」

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/45947345.html

 

2014年11月8日(土) 第11回 憲法フェスタ

清水雅彦氏(日本体育大学教授)

ちょっと待った!集団的自衛権~日本を戦争する国にさせない~

講演録① 会紙「九条の会・わかやま」260号

 http://9jowl.mikosi.com/kikansi5/kikansi260.htm

講演録②  会紙「九条の会・わかやま」261号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi5/kikansi261.htm

講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」262号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi5/kikansi262.htm

金原ブログ「『脱走兵』が日本の現実とならないように~11/8守ろう9条紀の川市民の会「第11回 憲法フェスタ」」

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/41187120.html

 

2014年3月30日(日) 第10回 総会

森英樹氏(名古屋大学名誉教授)

「国家安全保障基本法」は戦争体制を作りあげるもの

講演録① 会紙「九条の会・わかやま」243号

 http://9jowl.mikosi.com/kikansi4/kikansi243.htm

講演録②  会紙「九条の会・わかやま」244号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi4/kikansi244.htm

講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」245号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi4/kikansi245.htm

金原ブログ「森英樹氏講演会を開催しました(守ろう9条 紀の川 市民の会・第10回総会)」

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888-3745ta/archives/37269182.html

 

2012年11月3日(土・祝) 第9回 憲法フェスタ

吉田栄司氏(関西大学教授)

改憲派憲法を変えて日本をどんな国にしようとしているのか

講演録① 会紙「九条の会・わかやま」205号

 http://9jowl.mikosi.com/kikansi3/kikansi205.htm

講演録②  会紙「九条の会・わかやま」206号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi3/kikansi206.htm

講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」207号

  http://9jowl.mikosi.com/kikansi3/kikansi207.htm

講演会「風力発電の低周波音問題について」(5/25@ビッグ愛/風力発電の被害を考える会・わかやま)のご案内

 2019年5月20日配信(予定)のメルマガ金原No.3419を転載します。
 
講演会「風力発電低周波音問題について」(5/25@ビッグ愛/風力発電の被害を考える会・わかやま)のご案内
 
 「風力発電の被害を考える会・わかやま」世話人代表の松浦攸吉さんから、今週末(5月25日)に迫った同会主催の講演会広報への協力依頼のメールが届きましたので、ご紹介することとします。
 実は、5月3日の“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019”の会場で、松浦さんからチラシを受け取りながら、忘れるともなく忘れてしまっていたものです。以前のように「ブログ毎日更新」を続けていれば、いつも「何か取り上げるべき材料はないだろうか?」と考えていましたので、早速紹介していたはずなのですが、いかんせん、「毎日更新」を止めてしまったため(5月になってからまだ3本しか書いていない)、こういう事態となってしまったのでした。
 
 さて、松浦さんから、この講演会にいての参加要請書の文書ファイルも送られてきましたので、それをまずお読みいただくことにしましょう。
 
(引用開始)
                              講演会開催のお知らせ
 
 平素は私たちの活動にご理解ご協力をいただき誠にありがとうございます。
 皆様もご承知のとおり生石山高原周辺に巨大風力発電建設計画が発表されて1年半が経過しました。その間、環境影響評価の配慮書、方法書等について事業者から当該地域に対しての住民説明会が開催されました。
 今年3月26日にはパシフィコ・エナジー株式会社からパシフィコ・エナジー和歌山西部洋上風力発電事業に係る計画段階環境配慮書が提出され、5000KW~12000KW級の風力を御坊市日高町美浜町海上に150基建設したいとの案が出されています。
 地域住民が風力発電建設で心配しているのは、環境破壊や景観問題もさることながら、最も心配しているのは風車周辺住民の健康被害問題です。
 しかし、環境省が2017年度に作成した「風力発電施設から発生する騒音等への対応について」の中身では、「風力発電施設から発生する超低周波音・低周波音と健康影響については、明らかな関連を示す知見は確認できなかった」ということになっており、風力発電施設から発生する低周波音20HZ以下については配慮する必要がないとなっています。
 低周波音被害と騒音被害の症状は全く異なっており、対策も異なります。
 和歌山県では風力発電施設近辺の方たちが被害を受け、低周波音被害特有の症状を訴えておられます。低周波音域20HZ以下を配慮しなくてよいということは風力発電の周辺で低周波音被害に苦しんでおられる方たちには配慮しなくてもよいということになります。
 事業者の説明会でも低周波音被害が無いかのごとく説明が進められてきています。
 住民が間違った判断をしないためには、本当のことを知る以外にないと考えています。
 このたび、医学的な立場からと工学的な立場から低周波音問題を考察していきたいと別紙の日程で講演会を企画しました。
 一人でも多くの方に講演会にご参加いただけるよう、お知り合いの方にお声かけを
よろしくお願いいたします。
                  風力発電の被害をを考える会・わかやま
                          世話人代表 松浦攸吉
                          電話 073-451-5960
(引用終わり)
 
 それでは、その講演会の内容については、チラシ記載情報を転記してご紹介しましょう。
 
(チラシ記載情報から引用開始)
講演会「風力発電低周波音問題について」
 
2019年5月25日(土)13時~16時
会場 県民交流プラザ・和歌山ビッグ愛9階会議室C
     和歌山市手平2丁目1-2(☎073-435-5200)
 
講師 翁長 博(おなが ひろし)氏
     工学博士
     元近畿大学建築学建築学科教授
     住環境の低周波音問題研究会 代表
 
講師 汐見幹夫(しおみ みきお)氏
     医学博士
     近畿大学医学部関西国際空港クリニック教授・所長
 
主催:風力発電の被害を考える会・わかやま
連絡・問い合わせ先:☎073-451-5960(松浦)
(引用終わり)
 
 私にしても、これ以上の情報の持ち合わせはないのですが、さらに関連情報を集めたいという方のために、リニューアルされた「風力発電の被害を考える会・わかやま」ホームページをご紹介しておきます。

20190520163624_00001

『日本国憲法』(長谷部恭男解説/岩波文庫)を読む~入院読書日記(3)

 2019年5月18日配信(予定)のメルマガ金原No.3418を転載します。
 
日本国憲法』(長谷部恭男解説/岩波文庫)を読む~入院読書日記(3)
 
 お待たせしました。待っていた人がいたかどうかはともかく、こう言わないと恰好がつかないので。
 3月23日に配信したブログ「『いま 日本国憲法は 原点からの検証(第6版)』(小林武・石埼学編)を読む~入院読書日記(1)」で予告した続編2編のうち、「『「表現の自由」の明日へ 一人ひとりのために、共存社会のために』(志田陽子著)については連休中の4月30日に配信し、5月半ば過ぎに何とか最後の『日本国憲法』(長谷部恭男解説/岩波文庫)にたどり着きました。
 
 簡単におさらいすると、私は、今年の1月から3月にかけて、左肺の自然気胸のため、
  2019年1月26日~1月30日
  2019年2月15日~2月19日(再発)
  2019年2月28日~3月5日(手術)
と3回の入院を繰り返したのですが、その2回目の入院時に読んだ『いま 日本国憲法は 原点からの検証(第6版)』(小林武・石埼学編)と、3回目の入院に際して読んだ『「表現の自由」の明日へ 一人ひとりのために、共存社会のために』(志田陽子著)及び『日本国憲法』(長谷部恭男解説/岩波文庫)の3冊について、「入院読書日記(1)~(3)」としてブログに読後感を発表しようと計画したものです。
 
 もともと、1月の入院直前まで、丸6年と2日間(2,193日間)ブログ毎日更新を続けていましたので、その当時であれば、3本のブログを書くのに足かけ3か月を要することなどあり得なかったのですが、翻って考えてみると、入院していなければこれらの本を読み通す機会も、無かったとは言いませんが、ずっと時間がかかった可能性は十分にあり、良いとも悪とも、何とも言えません。
 
 さて、前置きはこれくらいにして、「入院読書日記」の最終編をお送りします。これまでの2編と同様、敬体ではなく常体で書くことにします。
 

入院読書日記(3)
 
長谷部恭男 解説
2019年1月16日 第1刷発行
定価 680円+税
 
 過去、「入院読書日記」として取り上げてきた2冊の内、『いま 日本国憲法は 原点からの検証(第6版)』(小林武・石埼学編)は、11人の研究者・実務家が共同執筆した憲法教科書であり、『「表現の自由」の明日へ 一人ひとりのために、共存社会のために』(志田陽子著)は、1人の憲法研究者による「表現の自由」という単一テーマについての入門的解説書であったが、シリーズ最終作として取り上げる『日本国憲法』(長谷部恭男解説/岩波文庫)は、これら2冊とは大いに趣を異にする本である。
 どのような本であるかを知っていただくため、以下に目次を引用しよう。
 
目次(3~5頁)
日本国憲法(7~64頁)
大日本帝国憲法(65~80頁)
パリ不戦条約(戦争抛棄ニ関スル条約)(81~85頁)
ポツダム宣言(87~91頁)
降伏文書(93~97頁)
日本国との平和条約(99~131頁)
解説(長谷部恭男)(149~201頁)
索引(逆29~逆36頁)
英文 日本国憲法(逆1~逆28頁)
 
 以上の目次をご覧いただければ分かるとおり、本書は、日本国憲法の条文自体を読むための本であり、その理解に資するための関連資料と専門家(長谷部恭男早稲田大学教授)による解説を組み合わせるというオーソドックスな構成となっている。
 
 もっとも、うっかり「オーソドックス」と書いてしまったが、これは、必ずしも類書においても同じような構成がとられているということを意味しない。
 
 日本国憲法の条文を読むための本といえば、1982年に「写楽」編集部編による、条文と写真が交互に配列された『日本国憲法』(小学館)が話題を集め、この本は刊行から30数年が経った今も新版を出したりしてなお現役版であるが、付録として「大日本帝国憲法」と「英訳 日本国憲法」を収録するものの、英訳は字が小さ過ぎてとても読む気にならず、憲法についての解説は一切ない(29枚の写真説明はしっかり付いているが)。
 
 そこで、他の文庫から刊行されている類書2冊と比較してみることとした。
 なお、文春文庫から出ている『一日一条 読むための日本国憲法』東京新聞政治部/2014年4月)については、「「一日一条」読むだけでも、三か月で完全読破、完全理解。」「すべての条文を現役の政治部記者が豊富なエピソードを交えて、丁寧に解説。」(文藝春秋ホームページより)とあるとおり、著者(東京新聞政治部)による解説記事をメインとした編集となっており、ここでは取り上げない。
 
 
『新装版 日本国憲法』 学術文庫編集部 編
2013年8月29日 第1刷発行
定価 400円+税
 
 1985年3月に刊行された旧版は未見のため、どこが新しくなったのかは不明であるが、新装版の構成は以下のとおりである。
 
日本国憲法(5~58頁)
大日本帝国憲法(旧憲法)(61~77頁)
教育基本法(昭和22年制定の旧法)(78~82頁)
児童憲章(83~85頁)
英訳日本国憲法(118~87頁)
 
 講談社学術文庫版の特色をいくつか挙げてみよう。
 
〇付録として、児童憲章と併せ、「改正」前の教育基本法をそのまま掲載している(もしかしたら、旧版から入れ替える手間を惜しんだだけかもしれないが)。
〇解説が全く付いていない。だから定価を低く抑えられたのだろうが(私が購入した新装版第1刷は300円+税だった)。
大日本帝国憲法の「告文(こうもん)」は総ルビが振られているが、憲法発布勅語と本文に全くルビが振られていないのは物足りない。
 
 そして、もう1冊は角川ソフィア文庫版。
 
 
『ビギナーズ 日本国憲法』 角川学芸出版 編
株式会社KADOKAWA(角川ソフィア文庫
2013年12月25日 初版発行
定価 440円+税
 
 こちらの構成は一層シンプルなものである。
 
日本国憲法(7~80頁)※脚注・補注付き
大日本帝国憲法(81~103頁)
皇室典範(105~118頁) 
 
 いくつか特色を列記しよう。
 
〇旧憲法だけではなく、日本国憲法皇室典範についても、全ての漢字にルビが振られていて便利である。特に、大日本帝国憲法の総ルビ版は貴重。
〇「文庫版で唯一、「皇室典範」を収録」と初版の帯にうたっていた。ただし、特例法が制定されて生前譲位が実現した今となっては、改訂を要するところであるが。
日本国憲法については、脚注及び補注が付されている(凡例に「大西洋一氏(弁護士)の協力をあおいだ。」とある)。
 
 それでは、以上の講談社学術文庫版と角川ソフィア文庫版と比較して、今年1月に岩波文庫から刊行された『日本国憲法』の特色はどのような点にあるかを考えてみよう。
 
 まず第一に、長谷部恭男氏(早稲田大学教授)による53頁に及ぶ詳細な解説が付されていることが、類書との大きな違いである。
 長谷部教授による解説の構成は以下のようになっている。
 
1 大日本帝国憲法の成立と運用
(1)大日本帝国憲法の成立
(2)君主制原理と憲法の運用
2 日本国憲法の成立
(1)憲法成立の経緯
(2)「押しつけ憲法」論
(3)憲法成立の法理-八月革命説
3 天皇
(1)日本国の象徴
(2)国事行為・私的行為・公的行為
(3)皇位の継承
4 九条と平和主義
(1)不戦条約とグロティウス的戦争観
(2)個別的自衛権の行使
5 国民の権利及び義務
(1)近代立憲主義と基本権保障
(2)天皇および皇族と基本権
(3)外国人と基本権
(4)基本権の限界と制約
6 国会と内閣
(1)議院内閣制
(2)投票価値の較差と参議院選挙区の合区
(3)衆議院の解散
(4)緊急事態
7 裁判所
(1)法の権威と基本権の役割
(2)裁判官の良心と裁判員制度
(3)違憲判断の過少?
8 制度の保障
9 憲法の改正
参考文献 
  
 以上は、文庫の解説としては詳細であっても、これをもって日本国憲法全体の概説というには躊躇せざるを得ない。
 とはいえ、「入院読書日記(1)」で取り上げた『いま 日本国憲法は 原点からの検証(第6版)』(小林武・石埼学編)の「第1部 日本国憲法をデッサンする」(小林武氏執筆)について、「わずか100頁の中に、憲法全体のエッセンスを一貫した基準点に立ちながら叙述するという、一種の「力業」が見事に達成されている」と述べた評言は、長谷部教授の「解説」にもほぼそのまま当てはまると考えている。まさに、大家にして初めて書き得る文章だろう。
 
 もっとも、長谷部教授の文章に「力業」という言葉は似つかわしくないようにも思うが、今のところ適当な表現を思いつかない。
 例えば、「押しつけ憲法」論について論じた部分において、長谷部教授は、帝国議会でも活発な議論が行われ、先に紹介したものをはじめ、数多くの修正が加えられている。」という誰もが指摘する説明の後に、さりげなく以下のような文章を付け加えている(161頁)。
 
「少なくとも、ソ連の影響下にあった旧東欧諸国の憲法ほどの典型的な押しつけ憲法ではなかったと考えるべきであろう。」
 
 ここで思わず口許を緩めるかどうかは人それぞれだろうが、この部分に引き続き、長谷部教授は、「そもそも「押しつけ憲法 inposed constitution」という概念は、憲法制定権力が国民にあることを前提として、国民の自立的な意思決定なく成立した憲法を否定的に性格づけるべく用いられる概念である。こうした意味では、大日本帝国憲法をはじめとする君主制原理に基づく憲法も、すべて押しつけ憲法である。」と指摘する。同教授の意図が奈辺にあるかはともかくとして、これを読んだ者の多くは(少なくとも私は)、声高に「押しつけ憲法」論を唱える論者の多くが大日本帝国憲法に強い郷愁を感じているという事実に思い至ることになる。
 
 実は、長谷部教授による53頁に及ぶ解説中には、以上に引用したような箇所がまだまだ発見できる。私が「力業」という表現がふさわしくないのでは、と思う理由がお分かりいただけただろうか。
 
 そして、本書の、類書と比較した上での大きな特色の第2点は、豊富な付属文書とその選択の基準である。
 大日本帝国憲法と英文日本国憲法は、類書の多くも収録しているが、
 
パリ不戦条約(戦争抛棄ニ関スル条約)
降伏文書
日本国との平和条約
 
については、編者(実質的な編者は長谷部教授であろう)の明確な意図が込められている。この点について、長谷部教授は以下のように説明されている(149頁)。
 
「本書は日本国憲法および関係する基本的な文書を収める。基本的な文書としては、大日本帝国憲法から日本国憲法への変化および戦後の憲法体制の骨格の理解を助けるものを選んだ。」
 
 実は私自身、数年前に、戦後の憲法体制を考えるためには、少なくともポツダム宣言以降の重要文書の内容を理解することが必須であることに思い至り、以下のようなブログを書いたことがあった。
 
2014年1月1日
 
2014年8月30日
 
 岩波文庫版『日本国憲法』の基本的文書の選択方針について、私が全面的に賛意を表するのは以上のような経緯による。
 
 単に条文を読む、というだけであれば、インターネットでいくらでも検索して読むことができる。
 試みに、以上に取り上げた3種類の文庫に収録された法令等をネットで読むためのリンクを貼ってみよう。
 
[3文庫共通]
 
 
 
 
 
 以上のように、パソコンやタブレットを使えば、容易に原文あるいは信頼できる訳文を探し出すことができるとはいえ、誰もがそのようにして憲法を理解するための基本的文書を読んでみよう、ということにはならないだろう。
 関連文書どころか、憲法自体、どれだけの国民が全文を読んだことがあるのか、読んでもいないものを「改正すべき」とか「改正すべきでない」などと議論することの危うさ(そういう世論調査がずっと行われてきたのだが)に対する懸念こそ、これまで多くの類書が出版されてきた理由だと思われる。
 今回、満を持して岩波文庫が世に出した『日本国憲法』は、長谷部恭男教授という第一人者による詳細な解説、戦後の憲法体制を理解する上で不可欠な重要文書の多くを収録しており、社会人、学生など、広汎な国民各層の人々が1冊ずつ入手し、折に触れて読んでいただきたいと念願するものである。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/憲法条文掲載書籍関連)
2013年9月24日
2016年7月5日
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/長谷部恭男さん関連)
2014年5月16日
2015年6月7日
2015年6月11日
2015年6月16日
2016年2月6日
2016年9月2日
2018年2月18日

長峯信彦愛知大学教授(憲法学)講演会のご案内(2019年6月2日@和歌山市河北コミセン/守ろう9条 紀の川 市民の会)

 2019年5月16日配信(予定)のメルマガ金原No.3417を転載します。
 
長峯信彦愛知大学教授(憲法学)講演会のご案内(2019年6月2日@和歌山市河北コミセン/守ろう9条 紀の川 市民の会)
 
 私も運営委員を務める地域9条の会「守ろう9条 紀の川 市民の会」は、2005年1月に結成総会を開いて以来、概ね毎年春に総会を、秋に憲法フェスタを開催してきました。
 県内の他の地域9条の会と比較して、当会の大きな特色と思われるのは、上記総会と憲法フェスタでの記念講演に多くの憲法学者の皆さんをお招きしてきたことでしょう。憲法研究者以外にも、経済学者や原子力工学の研究者、故・月山桂弁護士(和歌山)、梅田章二弁護士(大阪)、羽柴修弁護士(兵庫)などにも来ていただいていますが、憲法学者に限定しても以下のような豪華ラインナップです。
 
吉田栄司関西大学教授(2012年憲法フェスタ)
森英樹名古屋大学名誉教授(2014年総会)
清水雅彦日本体育大学教授(2014年憲法フェスタ)
高作正博関西大学教授(2015年憲法フェスタ)
石埼 学龍谷大学教授(2016年総会)
植松健一立命館大学教授(2017年総会)
本 秀紀名古屋大学大学院教授(2017年憲法フェスタ)
三宅裕一郎三重短期大学教授(2018年総会) ※現・日本福祉大学教授
飯島滋明名古屋学院大学教授(2018年憲法フェスタ)
 
 なお、過去の記念講演の内容については、「九条の会・わかやま」にその要旨が掲載される例となっていますので、レジュメなどをご紹介した私のブログで併せ、過去の9人の先生方の講演内容をご紹介した「九条の会・わかやま」と私のブログへのリンクを巻末に掲載しておきますのでご参照ください。
 
 さて、今年は例年よりも開催時期が少し遅くなりましたが、第15回総会が来る6月2日(日)午後2時から、いつものように和歌山市河北コミュニティセンター2階多目的ホールで開催されます。
 今年の記念講演は、愛知大学教授の長峯信彦先生をお招きしました。当会がお招きする10人目の憲法学者であり、その内東海地方から来ていただくのはこれで5人目となります。
 入場無料、会員でなくてもどなたでもご参加いただけます。
 1人でも多くの方にご来場いただきたく、よろしくお願いします。
 
 以下に、チラシ記載情報を転記します。
 
(チラシ文字情報から引用開始)
<表面>
9条を守ろう 私たちの手で!!
守ろう9条 紀の川 市民の会 第15回総会
9条をまんなかに ~えがこう平和への道~
 
開催日:2019年6月2日(日)
会 場:河北コミュニティセンター
     (和歌山市市小路192-3 <アクセスは裏面>)
会員でなくても、どなたでもご参加いただけます!
 
【開始】14:00 【終了】16:40頃
 
第1部 講演「安倍改憲のトリックを斬る~憲法制定過程の真実と平和憲法を守る歴史的責任~」
     講師 長峯信彦氏(愛知大学教授・憲法学)
 
 安倍首相は2月の自民党大会で、「いよいよ立党以来の悲願である憲法改正に取り組む時が来た」と述べ、改憲への執念をあらわにしました。そして、自衛官募集に自治体の協力が得られないから、「憲法9条自衛隊の明記が必要だ。災害派遣を受けるなら募集活動に協力しろ」と、国民の自衛隊に対する気持につけ込み、世の中の「空気」を変え、自衛隊の明記によって徴兵制にまでつながりそうな極めて危ういことを述べています。
 安倍首相は、9条改憲への執念を捨てるどころか、ますます煮えたぎらせています。参議院選挙で何としても自民・公明・維新などの改憲勢力に打ち勝ち、安倍改憲を断念させるためには、私たちはどのようにすればよいのか、長峯先生とともにみんなで考えたいと思います。多数のみなさまのご参加をお願いいたします。
 
第2部 総会議事
 
主催:守ろう9条 紀の川 市民の会 
お問合せ先:073-462-0539 原
 
<裏面>
講師のご紹介
☆長峯信彦(ながみね・のぶひこ)さん
 1965年11月名古屋生まれ。早稲田大学法学部・同大学院法学研究科を経て、1994年早稲田大学法学部助手。1998年愛知大学法学部助(准)教授、2009年同大学教授(現職)。専門は憲法学。特に、アメリ憲法における「国旗焼き棄て」「国旗敬礼拒否」などをめぐる思想良心・表現の自由の問題や、日本のマスメディアの問題など。近年は、「憲法9条」改悪反対や(いわゆる)“慰安婦”問題などに関する講演多数。名古屋を中心とする「安倍内閣の暴走を止めよう!共同行動実行委員会」共同代表。
 著書は、樋口陽一他編『憲法の尊厳-奥平憲法学の継承と発展』(2017年)、大須賀明編『社会国家の憲法理論』(1995年)、『憲法未来予想図』(2014年)など多数。
 趣味はヴァイオリン演奏。早稲田大学在学中は早大オーケストラに在籍し、カーネギーホールなどの欧米各地で演奏されたとのことです。
 
日本国憲法を口語訳してみたら』
 「日本人として一度は日本国憲法を読んでおくべきだと思うけど、意味わかんなそうだし!」というあなたに朗報。「上から目線」の憲法を思わず笑い転げそうになる口語訳にしてみました。知らないと国民として損することもあるから要注意。エラい法学部教授もチェックしてるから(長峯信彦さん監修)、内容もお墨付き! 《幻冬社HPより》
<河北コミュニティセンターへのアクセス>
 所在:和歌山市市小路192-3 TEL:073-480-3610 (駐車場あり)
南海本線 紀ノ川駅下車徒歩3分(改札を出て左折し120m、左折し踏切を越え180m、右側)
和歌山バス 六十谷線(川永団地⇔南海和歌山市駅)梶取東バス停下車すぐ
 
<お知らせ>
①6月2日当日、託児のご希望がある場合は5月22日(水)までにご相談ください。
 相談先:090-3709-7136(馬場)
②補聴器を使用されている方がよりクリアにお聞きいだけるように、会場に『磁気ループ』を設置します。使用できるのは「Tモード」「MTモード」がある補聴器です。
 
                      「第15回総会」へのご参加のお願い
                                     「守ろう9条 紀の川 市民の会」代表  原 通範
 私たちの「守ろう9条 紀の川 市民の会」は、9条を中心に日本国憲法を「改正」しようという動きが強まった2005年1月に発足しました。以来14年が経過しました。この間、私たちは憲法「改正」をまだ許しておりませんが、特に、第1次安倍内閣の発足以降、改憲の動きはますます強まり、第2次安倍内閣になって以降、集団的自衛権行使容認、安全保障法制(戦争法)の制定など、憲法9条をないがしろにし、海外でも戦争ができる体制になっています。そして、安倍首相は本命の憲法9条改憲に向けて「いよいよ立党以来の悲願である憲法改正に取り組むときが来た」と述べ、改憲への執念をあらわにしています。安倍9条改憲を絶対に許さず、安倍退陣に追い込むためには、私たちはどのようにすればよいのか、愛知大学教授・長峯信彦さんのお話をお聞きしながらご一緒に考えたいと思います。多数のみなさまのご参加をお待ちいたしております。
(引用終わり)
 

(付記・9人の憲法研究者の講演録を読む)
 過去「守ろう9条 紀の川 市民の会」の総会もしくは憲法フェスタで講演された憲法研究者は9人に及びます。
 各講演については、同会及び「九条の会・わかやま」の事務局を兼ねる南本勲(みなもと・いさお)さんが、会紙「九条の会・わかやま」に講演要旨を通常3回に分けて掲載する例となっています。
 私のブログと併せ、過去何度かご紹介していますが、10人目の憲法研究者・長峯信彦教授をお招きする講演会をご紹介する機会に、過去の9人の憲法研究者の皆さんの講演要旨をまとめてご紹介しておきます。
 
【9人の憲法研究者の講演録を読む~「守ろう9条 紀の川 市民の会」で語られたこと(吉田栄司氏、森英樹氏、清水雅彦氏、高作正博氏、石埼学氏、植松健一氏、本秀紀氏、三宅裕一郎氏、飯島滋明氏)】
 
2018年11月11日(日) 第15回 憲法フェスタ
飯島滋明氏(名古屋学院大学教授)
自民党改憲案にどう向かい合うか~私たちの具体的な対抗策は~
金原ブログ 
「飯島滋明さんの講演「自民党改憲案にどう向かい合うか~私たちの具体的な対抗策は~」レジュメ紹介~第15回 守ろう9条紀の川市民の会 憲法フェスタにて」
 
 
2018年3月24日(土) 第14回 総会
三宅裕一郎氏(三重短期大学教授 ※現・日本福祉大学教授)
憲法9条が果たしてきた役割~「自衛隊」の明記によって何が変わるのか?~
 
2017年11月3日(金・祝) 第14回 憲法フェスタ
本 秀紀氏(名古屋大学大学院教授)
安倍政権の9条破壊を許さない~海外で戦争する『自衛隊』は認められない~
 
2017年4月1日(土) 第13回 総会
植松健一氏(立命館大学教授)
安倍首相はなぜ憲法(constitution)を変えたいのか
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」321号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」322号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」323号
金原ブログ 「植松健一氏(立命館大学教授)「安倍首相はなぜ憲法(constitution)を変えたいのか」講演レジュメを読む(守ろう9条 紀の川 市民の会 第13回総会)」

2016年4月2日(土) 第12回 総会
石埼 学氏(龍谷大学法科大学院教授)
戦争法は廃止、憲法9条が輝く日本を取り戻そう~今、私たちにできること~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」296号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」297号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」298号
金原ブログ① 「石埼学龍谷大学法科大学院教授の講演をレジュメから振り返る~4/2「守ろう9条 紀の川 市民の会」第12回総会から」
金原ブログ② 「石埼学龍谷大学法科大学院教授の【設問】に答える~「安保法制」講師養成講座2」

2015年11月3日(火・祝) 第12回 憲法フェスタ
高作正博氏(関西大学教授)
「戦争法制」で日本はどんな国になるのか~私たちはどう対抗すべきか~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」285号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」286号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」287号
講演録④ 会紙「九条の会・わかやま」288号
金原ブログ 「「第12回 憲法フェスタ」(11/3 守ろう9条 紀の川 市民の会)レポートと11月中の和歌山での取組予定のお知らせ」

2014年11月8日(土) 第11回 憲法フェスタ
清水雅彦氏(日本体育大学教授)
ちょっと待った!集団的自衛権~日本を戦争する国にさせない~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」260号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」261号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」262号
金原ブログ 「『脱走兵』が日本の現実とならないように~11/8守ろう9条紀の川市民の会「第11回 憲法フェスタ」」

2014年3月30日(日) 第10回 総会
森英樹氏(名古屋大学名誉教授)
「国家安全保障基本法」は戦争体制を作りあげるもの
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」243号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」244号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」245号
金原ブログ 「森英樹氏講演会を開催しました(守ろう9条 紀の川 市民の会・第10回総会)」
 
 

2012年11月3日(土・祝) 第9回 憲法フェスタ
吉田栄司氏(関西大学教授)
改憲派憲法を変えて日本をどんな国にしようとしているのか
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」205号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」206号

写真レポートで振り返る“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019”

 2019年5月4日配信(予定)のメルマガ金原No.3416を転載します。
 
写真レポートで振り返る“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019”
 
 2014年の憲法記念日から、和歌山城西の丸広場を会場として開催されてきた(主催:実行委員会)“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”、10連休にもめげず、今年も無事開催にこぎつけました。
 例年、実行委員会の中での私の役回りは、何となく広報担当兼公式記録員ということになっており、毎年、Facebookやブログに写真レポートを書いてきました。
 ところが、今年は1月下旬から3月上旬にかけて、左自然気胸のために3度も入院した末に手術を受ける事態となり、はたして5月3日までに体調が回復するものやら、自分でもいささか不安ということもあって、それまで皆勤を続けてきた「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」も、3月(第57回)と4月(第58回)は自重して参加を取りやめるなどして体力の回復に努めてきました。
 とはいえ、さすがに肉体労働はきついので、準備のための力仕事は勘弁してもらうこととし、当日は専ら記録係として写真の撮影に励み、当日から翌日にかけて、2日がかりでFacebookに14本の記事を投稿しました。そして、これらを記録として保存するため、例年通り、ブログに「まとめ記事」としてアップすることにしました。
 ただし、写真については、オリジナルのFacebookでは数枚(中にはもっと多いものもある)のアルバムとしてアップしていますが、ブログでは(原則として)1枚ずつの掲載としましたので、残りはリンク先のFacebookでご覧になってください(公開設定にしてありますので、各レポートのタイトル部分をクリックすればFacebookのリンク先が見られます)。
 
 なお、今年も、小谷英治さんが、イベントの模様を撮影した動画を3本に分割してYouTubeにアップしておられますので、以下に視聴の目安時間を記載してご紹介します。
 なお、事前に出演者の皆さまに動画サイトへのアップの可否について確認した結果に基づき、粉河高校軽音学部とおおたか静流さんの動画はありません。
 
Happy Birthday 憲法 in Wakayama 2019 1(22分)
 
 冒頭~ 開会・藤井幹雄実行委員会代表挨拶
 3分~ 和歌山朝鮮初中級学校・中級部
 
Happy Birthday 憲法 in Wakayama 2019 2(48分)
 
 冒頭~ Halau Uilani(ハワイアンフラ)
 30分~ 紀道(平和の祈りのダンス)
 42分~ わかやま平和賞贈賞式
 
Happy Birthday 憲法 in Wakayama 2019 3(1時間12分)
 
 3分~ 紀北農芸高校和太鼓部
 34分~ Crowfield
 
 2014年から始まった和歌山所西の丸広場での“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”、今年は10連休の7日目、皆さんいささか疲れがたまっているかもしれないタイミングではありましたが、無事開催にこぎ着けました。
DSCN4451 これまで、憲法記念日には、(少なくとも「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」を2005年5月13日に結成して以降は)開催を中止しなければならないような荒天となったことはなく、3年前に暴風警報発令という事態に見舞われたときでも、何とか最後まで持ち堪えました。
 そして、政治情勢は、警報が発令されっぱなしと言っても過言ではないこの時期ではありますが、素晴らしい好天にめぐまれ、今年も多くの人にご参加いただくことができました。
 司会は、2016年の第3回以来ずっと務めてくださっている植田奈津子さんが、今年も出ずっぱりで担当してくださいました。ありがとうございました。
 そして、開会挨拶は実行委員会代表の藤井幹雄弁護士(9条ネットわかやま世話人代表、憲法9条を守る和歌山弁護士の会代表世話人)でした。
 同弁護士は、挨拶の中で、2日前から使われることになった新元号「令和」の由来について、政府の公式見解ではない、大友旅人が踏まえたであろう中国古典(文選)まで遡った解釈を紹介した上で、「ここ数年、日本国憲法が目指す『平和』ということが崩されかけてきましたが、これ(改元)を機会に、皆さんと共により一層『平和』な世界、『平和』な日本を作っていくために、今日一日皆さんと共に、日本国憲法の72歳を祝いたいと思います。」と呼びかけました。
 
 開会挨拶の後は、県立粉河高校軽音学部の皆さん、というのが恒例となりました。実は、その粉河高校の皆さんの出演が危ぶまれるという事態があったらしいのですが(10連休の余波とか)、無事出演にこぎ着けました。
 もっとも、昨年は5つものユニットが出演してくれたのに対し、今年は3つとなり、しかもメンバーもかぶっているということで、やはり10連休の影響はあったのだろうなあと思います。
 プログラムから、3つのユニット名を転記しておきます(もっとも、1組目はソロでしたけど)。
 
1組目 打越壮真(ギター弾き語り)
2組目 富士山(2人編成)
3組目 TRAFFIC LIGHT(5人編成)
 
DSCN4473 3組目のTRAFFIC LIGHTは去年の出演者リストにも名前のあるバンドですが(4人編成でした)、メンバーの出入りはあるのでしょうね。
 なお、今年も粉河高校の出番の際は、同じ軽音学部の生徒さんを中心に(なのでしょう)、同校の生徒の皆さんとおぼしき若者がたくさん聴衆として参加してくださって、会場を賑やかに盛り上げてくれていました。
 それから、同校軽音学部の出番が終わり、次の和歌山朝鮮初中級学校・中級部の皆さんの演奏が始まった後も、多くの高校生がその演奏に耳を傾けてくれていたようで、それは良かったなと思いました(中級部の生徒さんによる最後の挨拶まで何人位残っていたかまでは確認していませんけど)。
 粉河高校軽音学部の皆さんには、是非来年も素晴らしい演奏を聴かせて欲しいと思います。
(さらに望蜀の言を付け加えるとすると、演奏前のトークで観衆の心を掴むには何を心掛けるべきかについても、演奏そのものと同じ位研鑽を積んでもらえればなと思います。)
 
 まだ、ステージ企画を2つしか紹介していないのに、いきなり「本部テントの人々」となったのは、粉河高校軽音学部の演奏が終わり、私が本部テントに戻った際、たまたま多くのメンバーが揃っていたので、急遽撮影することになったことによります。
DSCN4492 なお、5人の女性のうち、Facebook友達になっていただいている4人の皆さんについては、FBが勝手に自動タグ付けをしてしまいました。この4人についてはどんぴしゃ正解だったので驚きました。もう1人の方はFBは多分やっておられないのだと思いますが、何とこの方の孫娘さん(今日のステージにも登場)に「タグ付けしますか」と質問され、「どうしようか?」と思ったのですが、一応4人の方はそのままとし、孫娘さんの分はタグ付けしないことにしました。
(※追記 よくよく写真を見てみると、私も写っている方の写真の背後に、その孫娘さんも写っていました。それで「タグ付けしますか?」とFBが尋ねてきたということで、FBがお祖母さんを孫娘さんと誤認した訳ではありませんでした)。
 ところで、本部テント記念写真には、原則として男性スタッフは写らないことになっている(?)のですが(例外はあります)、今年は親切に「シャッターを押しましょう」と申し出てくださる方があったため、私が写った写真も掲載できることになりました。
 
 昨年に続いて2回目の出演となったのは和歌山朝鮮初中級学校・中級部の皆さんでした。
 昨年と同様、ステージの前半は、女生徒の皆さんによるカヤグムという朝鮮式お琴の演奏であり、後半は、様々な種類の打楽器による演奏が披露されました。
 そして、演奏が終わった後、校長の朴先生による挨拶の中で、来る6月16日(日)に和歌山市勤労者総合センター6階文化ホールで2回上映される(14時00分~と17時00分~)「朝鮮学校の過去と現在を学ぶことができる映画」(前川喜平さんの推薦の辞より)『アイ(子ども)たちの学校(ハッキョ)』への参加呼びかけが行われました。私も一度FBとブログでご紹介しています。是非多くの人にご覧いただきたいと思います。
DSCN4517 校長先生の挨拶(というか映画の広報)は、急遽決まった(私が映画の上映委員会の方をけしかけたからかもしれません)ようでしたが、最後は、出演者の1人(女生徒)の方が挨拶されました。小谷英治さんが撮影された動画がアップされましたので文字起こししました。短いけれど、とても心のこもった素晴らしい挨拶だったと思います。
 
「今日はこのような場にお招きいただき、またこういう風に公演をできて、とても嬉しく思います。今日の公演を機に、朝鮮学校について少しでも知っていただけると嬉しいですし、私たちも60周年を迎えた学校を輝かせるべく頑張っていきたいと思います。今日はありがとうございました。」
 
 和歌山朝鮮初中級学校の皆さんにも、是非来年以降も出演していただきたいですね。
 
 午前中の3組目は、これも常連となりましたが、ハワイアンフラチーム「Halau Uilani(ハラウ ウイラニ)」の皆さんです。
DSCN4537 このチームは、福井奈央子先生が指導されているフラチームのメンバーによって構成されており、今年は「憩楽(いこら)クラブかつらぎハワイアンフラチーム」と「ハワイアンフラ根来チーム」という2つのチームのメンバーが出演してくださいました。
 今年特に注目されたのは、プログラムの終盤で福井奈央子先生によるソロダンスが披露されたことです。これまでも、福井先生のソロがあったかどうか、にわかに思い出せないのですが、指の先まで神経が行き届いたフラの妙技を堪能させていただきました。
 唯一心残りなのは、これまでは、10時の開会前、ブルーシートを敷く前に、釘など危険なものが落ちていないかと確認する作業をしていたのに、今年は体調の問題もあり、会場入りが遅くなってしまったこともあって、この作業が出来なかったことでした。来年こそ、しっかり安全に踊っていただけるよう、ぬかりなく事前準備をしたいと思います。
 
 3年前の第3回の時から、紀州よさこい踊りのグループにも出演いただくことになった“HAPPY BIRTHDAY 憲法”、今年登場いただいた「紀道」も紀州よさこいのチーム・・・と言ってもよいかもしれないのですが(全く「よさこい」の世界に疎いのでよく分かりませんが)、披露していただいたのは「命のリレー」という楽曲をもとにした「平和の祈りのダンス」でした。
DSCN4558 何でも、この「紀道」の皆さんが主催して毎年「いきざまつり」という企画を開催しており、今年の8月17日(土)・18日(日)の両日、会場も同じ西の丸広場で記念すべき「第10回いきざまつり」が開催されるのだとか。「いきざまblog」というサイトに過去からのデータが掲載されており、私は昨年の第9回のために紀道代表の吉田大介さんが書かれた「ご挨拶」を読んで感心してしまいました。
 そういえば、昨年の「第9回いきざまつり」に誘ってくださる方があり、「土曜日なら時間の都合がつく」とお返事したものの、調整がつかずに結局行けなかったことを思い出しました。是非今年は参加できればと思います。
 ということで、「平和の祈りのダンス」です。私が写した静止画だけでも、その素晴らしさはかなり伝わると思いますが、冒頭でご紹介した小谷英治さんの動画も是非視聴していただければと思います。
 そして、今年8月17日・18日の両日は是非和歌山城西の丸広場の「第10回いきざまつり」へ!
 
DSCN4569 昼休みに入る直前にステージ上では「第5回 わかやま平和賞」(9条ネットわかやま制定)の授賞式(贈賞式)が行われました。過去の受賞者(団体)は、
 故・本多立太郎さん(第1回)
 核戦争防止和歌山県医師の会(第2回)
 月山桂弁護士(第3回)
 「大逆事件」の犠牲者を顕彰する会(第4回)
であり、“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”の会場で贈賞式が行われるのは、昨年の「大逆事件」の犠牲者を顕彰する会(会長の二河通夫さんが新宮から駆け付けてくださいました)に続いて2回目です。
 今年の受賞者は、和歌山市の元幼稚園長、山本喜美子さんです。山本さんの功績については、賞状に書かれた顕彰の辞を引用させていただくことによってお伝えしたいと思います。
 
賞 状
わかやま平和賞
  山本喜美子 殿
貴殿は一九四五年七月の和歌山大空襲での体験に基づいた紙芝居を制作され長年にわたって子どもたちを対象として演じ続け戦争の悲惨さと平和の大切さを語り伝えてこられました
貴殿のこれまでの活動に心から敬意を表し今後ますますのご活躍を祈念してわかやま平和賞を贈ります  
二〇一九年五月三日
   9条ネットわかやま
    世話人代表 花田惠子
        同    藤井幹雄
 
 まことに「わかやま平和賞」の制定趣旨に相応しい受賞者であると思います。ただ残念なことに、山本さんが体調を崩して入院されているということから、山本さんから「あなたが引き継いで欲しい」と後継指名を受けた池田香弥さんが、代わって賞状と副賞を受け取り、挨拶もしてくださいました。
DSCN4572 そして、贈賞式が終わり、昼休みに入った後、休憩所に充てていたテントの中で、池田さんが山本喜美子さんが制作された(絵も文章も)「せんそうのおはなし わかやまのくうしゅう」を上演してくださり、多くの子どもたちが熱心に聴き入ってくれていました。ただ、ステージ上では、午後からの出演者による音出しのテストが行われており、時々池田さんのお話が聴き取りにくい箇所があったのは申し訳なかったなと思います。スケジュールの都合で、この時間帯しかテストの時間がとれなかったというやむを得ざる事情ではあるのですが、紙芝居の方に簡易なアンプとマイクを設置するなどの工夫は可能であったかもしれません。
 なお、池田さんご自身がFacebookに書かれた文章は「公開」設定となっていますので、是非お読みいただければと思います。池田さんが彰状を届けるため入院先の病院まで山本喜美子さんを訪ね、子どもたちが紙芝居を「真剣な表情で聞いてくれたことを報告すると、とても喜んでくださいました」ということです。
 山本さんの一日も早いご快癒をお祈りするとともに、今後とも、子どもたちのために紙芝居「せんそうのおはなし わかやまのくうしゅう」が演じ続けられることを祈ってやみません。
 
DSCN4590 紀北農芸高校和太鼓部による“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”への出演も、今年で早4回目となります。
 昨年もそう思ったのですが、紀北農芸太鼓の演奏につられるように、いつの間にか会場のボルテージが上がっているな、と思って見回してみると、実際、演奏に熱心に聴き入ってる聴衆の数が、その前後よりも明らかに多い!
 熱心な「おっかけ」ファンがいるのだろうか?
 3年前の暴風も跳ね返してくれた同校和太鼓部の演奏を、これからも是非西の丸広場で披露し続けていただきたいと思います。
 
 今年のステージ企画の紹介も、トリのおおたか静流さんの1つ手前、Crowfieldの出番となりました。実は、2014年に始まった“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”の初回からCrowfieldは出演しており、ユニット結成のそもそものきっかけがこの集会に出演することにあったのですから、いわば“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”の申し子のような存在のバンドです。もっとも、ユニット名を現在のCrowfieldに変更したのは2016年夏からであり、昨年は出演していないかったり(娘のえなさんが加わった高校生ユニットKYKは出演していましたが)とかはあるのですが、今年は「あるべき姿」となり、無事Crowfieldが西の丸広場に戻ってきました。
 そこで、過去5回の経過を私のFacebookで振り返ってみましょう。
 
 「M&N」(親娘デュオ)としてデビュー。
 引き続き「M&N」として出演。息子のれなん君はゲストとして初登場。
 れなん君は正式メンバーとなったもののユニット名は相変わらず「M&N」。私はFBに「やはり、リードボーカルをとるようにならないと、お父さんやお姉さんが一人前とは認めてくれないのでしょうか?頑張れ「れなん」君。」と書いてしまいました。もしかしたら、これがCrowfieldへの改名のきっかけの一つ?
 Crowfieldと改名(2016年夏以降)後、初めての出演で、従来ゲストという扱いであったあゆみさんが正式にメンバーとして紹介されました。
 Crowfieldは1年お休み。代わりに、娘のえなさんが、りら創造芸術高校の同級生と結成したKYKが出演。
 
DSCN4612 さて、それでは今年演奏された曲目をご紹介しておきます。
 
1 イマジン 
2 レインボー・コネクション
3 この島~憲法9条の歌(オリジナル)
4 ウージの唄
5 島んちゅぬ宝
 
 そして、最後は最近のCrowfieldのステージのお約束、みんなでカチャーシーを踊って大団円です。
 今年の1月19日に開催した「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19わかやま県民のつどい」でも、素和歌のお2人、なかむらいづみさんと共に臨時編成ユニット「Wakayama Peace Band」を結成して演奏してくれたCrowfieldの皆さん。これからも、“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”にはなくてはならないバンドとして、素晴らしい演奏を聴かせて欲しいと思います。
 
 “HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019”のステージ、今年のトリはおおたか静流(しずる)さんが務めてくださいました。
 知っている人は熱狂的な支持者になるというタイプのアーティストがありますが、静流さんは間違いなくそのようなタイプの方だとお見受けしました。
 ライブを体験したことが一度もなく、CDを1枚も持っておらず、NHK・Eテレ「にほんごであそぼ」など一度も見たことがなく、ただYouTubeで「花」と「悲しくてやりきれない」を聴いたことがあるだけという私でさえ(あと「ふくしまボトムズ」の演奏もYouTubeで聴いた)、「きっと素晴らしいステージになるに違いない」と、おおたかさんに出演を交渉してみようと実行委員会の会議で決まった際、既に確信していましたもの。
DSCN4632 それから、スケジュールの関係から、十分なリハーサルをする時間がなく、昼休み中に少し音出しをしただけにもかかわらず、素晴らしい演奏と音響を堪能できて、さすがはプロ、さすがは大阪共立と今さらながら感心してしまいました。
 ちなみに、キーボードはASUさん、ベースはキューバ出身のHaruyoshi Mori Moralesさんでした。
 曲目は、私がよく知っている曲は、
 「ブンガワンソロ」
 「悲しくてやりきれない」
 「花」
の3曲でしたが、「サヤ・ドリーム」や「ほしのこどもたち」などもいい曲でしたね。
 私の近くで聴いていた知人の女性は、子育て中によく(「にほんごであそぼ」で)聴いたという「でんでらりゅうば」にいたく感激していたようでした。
 なお、今月18日(土)・19日(日)の両日、和歌山市新和歌浦の木村屋旅館において、【おおたか静流「おせなか音頭」MV撮影イベントat和歌山(和歌山市木村屋旅館)!】という楽しいイベントがあるそうです。一度問い合わせてみてはどうでしょうか?あなたもおおたか静流さんのMVに出演できる(かも)!
 
 今年もたくさんのブースが出店されていたので、その一々をご紹介するのは無理なので、当日来場者に配布されたステージ進行表兼ブース配置図をご覧ください。
 とはいえ、ブースの写真もいくらか撮っていますので、見繕っていくつかご紹介します。
 まずは、私がお世話になった、美味しい食べ物やお奨め品を購入したり、ゲームをして景品を貰ったりしたところです。
 最初は食事関係。チジミを美味しくいただいたのは「和歌山朝鮮初中級学校オモニ会」でした。そしてもう1つ、ソース焼きそばをいただいたのは「高野山BBS会」でした。
DSCN4486 次はお買い物編。
 玄米黒米粉など購入した「紀州農レンジャー」、美味しそうな玉葱は「まちなか百姓養成塾」、ちくま文庫「芸能人別帳」(竹中労)は「日教組和歌山春駒保存会(の前に出店していた)」、沖縄名産のお菓子は「ゆいま~る和歌山」でゲットしました。
 最後はゲーム編。
 日本にホームステイ中のフィンランドから来た女子高生が店番をしていた「こどもピースフェスタ」のコイン落としでは、3枚中1枚しか入らなかったものの、素敵なトートバッグを貰えて大満足。ワカナちゃんが店番を務める「子どもたちの未来と被ばくを考える会」では、いつものように輪投げを試みるも、一番手前に全然入らなかった(お手玉ダーツもうまくいかなかった)。
 
DSCN4518 私も会員である「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」のブースについては、やはり取り上げておくべきでしょう。
 いつも、会場入り口に最も近いブースが割り当てられ、大好評の風船プレゼントコーナーを運営する他、スーパーボールとヨーヨーという、小さな子どもたちが喜ぶ企画をずっと続けています。
 今年私が一番驚いたのは、このスーパーボール(すくい)にこれまで見たことがないほど多くの子ども達が詰めかけていることでした。もちろん、時間帯によって波があるのは当然なのですが、最大瞬間風速にしても、こんなにたくさんのお客さんが来ているとは!と感動してしまいました。
 
 その他のブースも、写真を撮っているところはまとめてご紹介しておきます。
 また、ブース以外に目について撮った写真もここでご紹介しておきます。
DSCN4573 アップした写真は以下のとおりです。
①パンダ喫茶:「子どもたちの未来と被ばくを考える会」は、輪投げやダーツ投げの他、パンダ喫茶という談話コーナーも設けました。
②ポップコーン・バザー:和歌山市9条センター
③めはりずし・飲み物:和歌山県地評女性部
④かすうどん:日教組和歌山春駒保存会
⑤焼き鳥・生ビール:和歌山県平和フォーラム
⑥和小物:和歌山県平和フォーラム
⑦雑貨・Tシャツ:ポズック雑貨店
⑧ポップコーン出張販売:和歌山市9条センターの深谷さん
⑨リクエストに応えるアコーディオンおじさん
⑩直射日光を避ける賢いワンちゃん
 
 さて、2日がかりでお送りしてきた“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019”写真レポートもいよいよフィナーレ、皆さまお待ちかねの(もう終わっていますが)餅まきです。
 私も、「餅まきの聖地」和歌山の餅まき情報というFacebookページを時々閲覧するのですが、そうすると、昨年から今年にかけて、様々なTVの情報番組で、いかに和歌山県民が餅まきを偏愛しているかが度々特集されていることが分かりました。
 実際、昨日の西の丸広場にも、在京テレビ局の取材が入っていたとか(放送で使われるのだろうか?)。
DSCN4650 私は、撮影係の特権を利用して(?)餅まきの際にはステージに上がり、撮影の合間に少しだけ餅を投げるのですが、これは一度やったら止められない。もっとも、餅を投げる側(「福」をお裾分けする側)に回りたければ、実行委員会での下積みから修行するか、もしくは集会のメインゲストになる必要がありますが(冗談ですよ)。
 餅を投げても拾っても、みんながハッピーになれる「餅まき」は止められない。“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”が続く限り「餅まき」は永遠です。
 なお、今年も、餅まきに先立ち、小学生以下の子どもたち限定でお菓子まきが行われました。
 是非、来年も、今年と同じような幸せな気持ちで餅まきを行いたいものです。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”関連)
2014年4月11日
2014年5月3日
2015年4月4日
2015年5月3日
2015年5月12日
2016年3月21日
2016年5月5日
2017年4月30日
2017年5月4日
2017年3月15日
 
2019年4月29日

『「表現の自由」の明日へ 一人ひとりのために、共存社会のために』(志田陽子著)を読む~入院読書日記(2)

 2019年4月30日配信(予定)のメルマガ金原.No.3415を転載します。
 
『「表現の自由」の明日へ 一人ひとりのために、共存社会のために』(志田陽子著)を読む~入院読書日記(2)
 
 「平成」最後の1日となった今日4月30日、平成元年(1989年)4月に司法研修所を修了し、弁護士登録した私にとって、いささかの感慨がない訳ではありません。とはいえ、それは、平成の30年を振り返ることが、同時に自分の弁護士生活30年を振り返ることになるという偶然の事情によることに過ぎず、それ以上の深い思い入れがある訳ではありません。
 
 ということで、10連休の途中とはいえ、急な法律相談に応じるために事務所に出て来たのを好い機会として、かねてから「書かなければ」と思いながら、なかなか手が着けられていなかった本稿にとりかかることにしました。
 本稿を「書いてみたいと思っています。」と予告したのは、以下のブログにおいてでした。
 
2019年3月23日
 
 今年の1月から3月にかけて、左肺の自然気胸によって、
  2019年1月26日~1月30日
  2019年2月15日~2月19日(再発)
  2019年2月28日~3月5日(手術)
と3回の入院を繰り返し、その2回目と3回目の入院時に読んだ3冊の憲法関連の本の読後感をシリーズで「書いてみたい」と広言してしまったのでした。
 2回目の入院時に読んだ『いま 日本国憲法は 原点からの検証(第6版)』(小林武・石埼学編)については早々と書き上げたものの、3回目の入院のときに読んだ『「表現の自由」の明日へ 一人ひとりのために、共存社会のために』(志田陽子著)と『日本国憲法』(長谷部恭男解説/岩波文庫)とは、なかなか書き始められませんでした。
 これが、「ブログ毎日更新」を続けていたときなら、何も考えず(?)思いついたことから書き始め、何とかそれなりに書いてしまえたはずなのですが、「毎日更新」のノルマを放擲した途端に「筆が重くなる」症状に見舞われました。このようになるということはある程度予想できたことであり、そうであればこそ、6年もの間、無理を押して「毎日更新」を続けてきたのでした。
 とはいえ、これ以上引き延ばしていると、読んだ内容を忘れてしまいかねませんので、自分の問題関心に引き寄せて、特に教えられた部分を紹介するという方針で書いてみることにしました。「入院読書日記(1)」に続き、本文は常体で執筆することにします。
 

入院読書日記(2)
 
『「表現の自由」の明日へ 一人ひとりのために、共存社会のために』
志田陽子 著
大月書店
2018年10月15日 第1刷発行
定価 1,700円+税
 
 武蔵野美術大学で教鞭をとる志田陽子教授が2018年10月に刊行された単著である。
 通常、その著書の狙いや構成は、「目次」に端的にあらわれているはずであるから、本書でもまず「目次」をご紹介しよう。
 詳細「目次」は、版元のホームページに掲載されているので、それをご参照いただくこととして、以下には大項目のみ抜きだしておく。
 
目次
はじめに
第1章 表現者の足跡――なぜ「表現の自由」か
1 「表現の自由」の足跡
2 なぜ「表現の自由」か
第2章 一人ひとりの人格権と「表現の自由
1 「表現の自由」と人格権
3 プライバシーの権利
4 肖像権
5 差別表現・ヘイトスピーチと人格権
第3章 民主主義と「表現の自由
1 民主主義と「表現の自由」と「知る権利」
2 民主主義における表現の「自由」
3 民主主義の空間と「政治的中立」
第4章 共存社会と「表現の自由
1 「生きるということ」を支える「表現の自由
2 多文化社会――マイノリティ性との共存
3 経済社会と「表現の自由
第5章 文化芸術と「表現の自由
1 法からの自由としての文化芸術の自由
2 文化芸術支援と「表現の自由
3 文化芸術と政治と「表現の自由
あとがき
主要参考文献
 
 本書は、日本国憲法21条1項によって「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」と定められ、基本的人権の中でも特に「優越的地位」が承認されている「表現の自由」について、その基本的な意義、他人の人格権と「表現の自由」の行使との調整、民主主義、共存社会を根底から支え、文化芸術の発展のために不可欠な「表現の自由」をめぐる諸問題について、具体的な事例や映画等の創作例なども豊富に交えながら、広い視野からの解説を心掛けた概説書である。
 読者は、本書を通読することにより、「表現の自由」をめぐる様々な事象を知るとともに、それらの事象相互間の関係、そして「表現の自由」が果たす役割についての全体像を把握することができるだろう。
 
 もっとも、上記は、理想的な読者を想定した感想であって、誰でも通読するだけでそのような理解に達することができるとは思われない。そういう私自身、本書に書かれた全てのピースを、「表現の自由白地図の上の最も適切な場所にはめ込むことが出来るかどうか、はなはだ心許ない。
 とはいえ、およそ「表現の自由」と全く無縁な生活を送っているのでない限り(無縁な人などいるのかということはさておき)、自ら関心をいだく問題についての言及を、きっと本書の中から見出すことが出来ると思う。そのような箇所を見つければ、その問題についての理解を一層深めつつ、その周辺に関心を広げていくという次の段階に移行し、このようにして、やがて「表現の自由白地図の空白が徐々に埋められていく、本書は、そのような作業(学習)の好個の導き手であると思われる。
 
 ここで一例を挙げよう。本書を読みながら、私が「そうか」と思わず膝を打った(実際に打った訳ではないが)箇所がある。
 それは、本書111頁以下で論じられている
  第3章 民主主義と「表現の自由
  3 民主主義の空間と「政治的中立」
及び関連する201頁以下の
  第5章  文化芸術と「表現の自由
  3 文化芸術と政治と「表現の自由
の部分(特に後者の末尾)である。
 本書は、「とくに民主主義にとっては「集会の自由」が大きな意味を持つが、この自由を確保するためには、集会の場所を確保することが必要になる。こうしたニーズに応えるため、自治体が運営する公の施設がある。」という前提を示した上で、「ここ数年、市民の自発的な集会や催事に対して、地方自治体による公共施設の貸し出し拒否や、後援拒否が多く見られるようになった。」(111頁)という近時の現象を指摘する。
 実際、私自身が関わっている団体についても、「拒否」とまではいかなかったが、その一歩手前の段階までいった事例があり(この時は類似案件についての仮処分事件の調査までやった)、似たような経験を持っている団体も多いのではないかと推察する。そのような方々には、是非とも本書を買い求めて勉強されることをお薦めしたい。
 
 さて、少し先走り過ぎたが、この問題についての本書の解説を読んでみよう。
 
 本書は、まず「公の施設」についての地方自治法244条の規定を引用する。
 
 (公の施設)
第二百四十四条 普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。
2 普通地方公共団体(次条第三項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。
3 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。
 
 そして、「正当な理由」(地方自治法244条2項)の有無をめぐって争われた泉佐野市民会館事件最高裁判決(1995年3月7日最高裁判所第三小法廷判決)が示した、自治体が施設利用を拒否できる場合の要件を紹介する(112頁)。
※判決の該当判示箇所を引用する(本書では要約が掲げられているが、以下には判決原文から引用する)。
集会の用に供される公共施設の管理者は、当該公共施設の種類に応じ、また、その規模、構造、設備等を勘案し、公共施設としての使命を十分達成せしめるよう適正にその管理権を行使すべきであって、これらの点からみて利用を不相当とする事由が認められないにもかかわらずその利用を拒否し得るのは、利用の希望が競合する場合のほかは、施設をその集会のために利用させることによって、他の基本的人権が侵害され、公共の福祉が損なわれる危険がある場合に限られるものというべきであり、このような場合には、その危険を回避し、防止するために、その施設における集会の開催が必要かつ合理的な範囲で制限を受けることがあるといわなければならない。そして、右の制限が必要かつ合理的なものとして肯認されるかどうかは、基本的には、基本的人権としての集会の自由の重要性と、当該集会が開かれることによって侵害されることのある他の基本的人権の内容や侵害の発生の危険性の程度等を較量して決せられるべきものである。」 
 
 その上で、本書は、「しかし近年、こうした判決が参照されなくなり、「正当な理由」の捉え方がそれぞれの現場で緩んできているのではないか、という心配がある。たとえば、ある自治体の「まつり出店拒否」の事例では、「政治的・宗教的な意味合いのあるもの」の参加を認めない旨の募集要項が市報に掲載されていた(2016年「国分寺まつり」の事例)。この募集要項に基づいて、3つの団体が参加を認められなかったことについて、東京弁護士会は「表現の自由」が侵害されていると認定している。前述のように、こうした傾向が全国で見られることが報道されている。」(114頁)と、現状が紹介される。
東京弁護士会は、人権救済申立事件として受理して調査を行い、2016年8月17日付で、国分寺市長及び国分寺まつり実行委員会に対し、人権侵害を認定した上で、「要望書」を執行した。
 ちなみに、出店を拒否された3団体は、「国分寺9条の会」、「ちょっと待って原発の会」、「Bye-Bye原発国分寺の会」であった。
 
 そして、以上の「国分寺まつり」の事例もそうであるが、「近年、地方自治体による公共施設の貸し出し拒否や後援拒否などが増えている。その多くが、「政治的中立を保つ」との理由によっている。」(116頁)として、九条俳句公民館だより不掲載事件を詳しく紹介している(117頁)。
 その中で、一審さいたま地裁判決(2017年10月13日)が判示した以下の部分(本書でも引用)は特に重要だと思う。
 
本件俳句(金原注:五月雨に 「九条守れ」の 女性デモ)が,憲法9条集団的自衛権の行使を許容していると解釈すべきでないとの立場を表明したものであるとすると,本件俳句を本件たよりに掲載することにより,三橋公民館は,上記立場に反対する立場の者からクレームを受ける可能性があることを否定することはできないが,前提事実(3)エのとおり,本件俳句を本件たよりに掲載する場合,別紙俳句目録1記載のように,本件句会の名称及び作者名が明示されることになっていることからすれば,三橋公民館が,本件俳句と同じ立場にあるとみられることは考え難いから,これを掲載することが,直ちに三橋公民館の中立性や公平性・公正性を害するということはできない。
 むしろ,行政が,中立性や公平性・公正性を確保する目的が,国民の行政に対する信頼を確保することにあるとすれば,本件俳句を本件たよりに掲載しないことにより,三橋公民館が,憲法9条は,集団的自衛権の行使を許容するものと解釈すべきとの立場に与しているとして,上記立場と反対の立場の者との関係で,行政に対する信頼を失うことになるという問題が生じるが,認定事実(4)で認定した本件俳句の不掲載までの経緯によれば,三橋公民館が,本件俳句を本件たよりに掲載しないこととするに当たって,三橋公民館及び桜木公民館の職員ら(C,D及びE)は,この点について何ら検討していないものと認められる(以下、略)。
 
 地方自治体が守るべき「政治的中立性」の本質とは何か?という論点を十分正しく理解することができれば(私たちにしても、行政側にしてもであるが)、近時全国で頻発している同種事例についての対処が大いに改善に向かうのではないか、と期待される。
 それでは、いよいよ私が「思わず膝を打った」本書の該当箇所を引用しよう(207頁)。
 
(引用開始)
 公的空間における表現の政治性が問題となった場合には、「政治的中立性」の原則の本来の意味を確認する必要がある。ここで要求される「政治的中立性」は、会場を使用する市民の側に要求されるものではなく、行政職員の側に要求される原則で、職員が政治活動の主体となって公の施設をこれに利用してはならない、といういことが基本である。また、職員が特定の政治的見解に基づいて会場使用の申請を受け付けたり受け付けなかったりすることも、同じ効果を生んでしまうため、あってはならない。
(引用終わり)
 
 どうだろう、先に引用したさいたま地裁判決と上記志田教授の簡にして要を得た解説を併せ読めば、「公の施設」の利用をめぐる「政治的中立性」とは何か?が、実にすっきりと腑に落ちるのではないだろうか。
 もちろん、このような立場に立つ以上、自分の身近な「公の施設」で、改憲派原発推進派による「集会」が行われることは当然容認しなければならず、さらに進んで、自らと反対の意見を持つ者とのオープンな関係を持つに足るだけの力を自らに蓄える必要があることにも思い至るだろう。その点についての志田教授の解説を引用して本稿を終えることとしたい。
 このように、常日頃関心を有しているテーマを手がかりとして、本書の各所を読み込んでいけば(私も111頁から207頁まで参照しつつ本稿を書き上げた)、「表現の自由」についての理解を深め、実践に役立てていくことがきっと出来るだろう。
 多くの方にご一読をお薦めしたい。
 
(「民主主義の基礎体力としての「表現の自由」」115~116頁から引用開始)
 《政治に無関心であれば公共の場所を使わせてもらえる》というルールは、民主主義の担い手として必要な基礎体力を人々から奪う結果につながっていないだろうか。それは明日の社会を弱らせることにならないだろうか。
(中略)
 民主主義の中に生きる市民であれば、議論が起きることは歓迎して良いことで、「公の施設」は本来そのためにある。政治的議論が起きることが危惧感の対象になるということは、民主主義を支える文化が共有されていないということではないだろうか。この問題を克服するためには、私たちがオープンな対話に耐えられる力を身に付け、それを認め合う文化をつくることも大切だろう。そうして討論のリテラシー(公共的対話の作法)こそ、教育によって培ってほしい事柄だが、学校教育のほかにも社会教育や自由な集会がその受け皿の役割を果たす。公共施設とくに公民館は、民主主義の基礎体力づくりのために重要な役割を果たすことが期待されているのである。
(引用終わり)
 

(弁護士・金原徹雄のブログから/志田陽子さん関連)
2016年8月21日
2017年6月9日
2018年7月11日
2018年12月20日
2019年1月20日
20190430160045_00001

“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019”(5/3@和歌山城西の丸広場)にご参加を!~10連休ですが今年もやります

 2019年4月29日配信(予定)のメルマガ金原.No.3414を転載します。
 
“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019”(5/3@和歌山城西の丸広場)にご参加を!~10連休ですが今年もやります
 
 史上初の10連休の3日目、皆さまいかがお過ごしでしょうか?私はといえば、弁護士会の当番弁護士兼国選弁護人待機日ということで、朝から1時間ごとに「警察署から当番弁護士申し出の連絡はないか」と弁護士会の指定電話番号にアクセスして確認しつつ、法テラスからの国選弁護人指名打診に備えて携帯電話を終始身に付けていますが、午後4時現在、何の連絡もありません。
 警察署も、10連休中に通常逮捕は避けようとするでしょうから、ほとんど現行犯逮捕か緊急逮捕、ということで、普段の待機日に比べて、出動の可能性は低いだろうと思っていましたけどね。
 
 さて、この10連休中の3日目が当番弁護士・国選待機日である上に、7日目の憲法記念日(5月3日)には例年通り“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”が和歌山城西の丸広場で開催されますので、長期旅行などはなから無理だったのですが、その上、1月から3月にかけての自然気胸による3度の入院・手術からの回復を図る必要があり、仕事、行事、静養のバランスを心掛けることになりました。
 
 ということで、私にとっての連休中唯一の公式行事、“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019”のご案内を簡単にアップしておきます。
 開催の趣旨については、4月8日付で主催の実行委員会からマスコミ各社に送信されたプレスリリースをお読みください。
 
(引用開始)
 私たちは、憲法記念日に、普段意識することの少ない「憲法」について思いをめぐらすきっかけとしていただきたいという思いから、2014年より、和歌山城西の丸広場を会場として、「HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama」というイベントを開催し、幸い多くの方々にご参加いただいてきました。
 今年も、ブースでは雑貨や様々な美味しい飲食物の販売などが行われ、高校生による和太鼓やバンド演奏、フラダンスや紀州よさこいなどがステージを彩る他、NHKEテレ「にほんごであそぼ」でおなじみのおおたか静流(しずる)さんにご出演いただくことになっています。
 また、和歌山県民が大好きな餅まきを今年もやります。
 なお、第5回「わかやま平和賞」(9条ネットわかやま制定)の受賞者に、長年、和歌山大空襲を題材とした紙芝居の制作上演を続けてこられた山本喜美子さんが選定され、当日のステージ上で贈賞式が行われることも申し添えます。
 是非多くの方に、憲法記念日の1日、ご家族連れで足をお運びいただきたいと念願しておりますので、事前の案内、当日の取材・報道をよろしくお願い致します。
 
                                         
“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019”
日時:2019年5月3日(祝)10:00~15:00
場所:和歌山城西の丸広場(和歌山市役所向かい)
*入場無料 *小雨決行
[ブース]焼き鳥、おにぎり、かすうどん、のみもの、雑貨 etc...
[ステージ]紀北農芸太鼓、高校生バンド、フラダンス、よさこい、etc...
[その他]おおたか静流、餅まき
主催 HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019実行委員会
お問い合わせ先
トライ法律事務所
〒640-8152 和歌山市十番丁12番地 十番丁ビル4階 電話073-428-6557
(引用終わり)
 
 何しろ10連休中ということで、例年出演してくださっていた常連さんが「今年だけはどうも・・・」というところがあったりしたと聞いていますが、それでも多くの方が出演を快諾してくださっています。
 例えば、昨年初出演された和歌山朝鮮初中級学校の生徒の皆さんが、今年も朝鮮の伝統音楽をステージで披露してくださる他、同校オモニ会の皆さんがブースを出店し、「キムパッ、チヂミ、キムチ、スルメ、お茶、タン炭火焼」などを販売されるとか。私は「少なくともチヂミは絶対に食べたい」と思っています。
※6月16日(日)に和歌山市勤労者総合センターで開催されるドキュメンタリー映画『アイ(子ども)たちの学校(ハッキョ)』(高賛侑監督)上映会にも是非ご参加ください。
 
 プレスリリースにもあるとおり、和歌山県民の大好きな「餅まき」を今年もやります。拾った餅に当たりシールが貼られていたら、景品をお持ち帰りいただけますので、是非お楽しみに。
 景品の一部をここだけで(?)そっとお教えすると、今年の1月末に緊急出版された『平和憲法の破壊は許さない なぜいま、憲法自衛隊を明記してはならないのか』(寺井一弘、伊藤真小西洋之共著/日本評論社/定価800円+税)を用意しています。あなたも、餅まきを楽しんで改憲問題を勉強しよう!

 
 さらに、今年のメインゲストは、おおたか静流(しずる)さんです。NHK・Eテレ「にほんごであそぼ」に出演されている、と聞いてもピンと来ない人も多いでしょうが、まさに「知る人ぞ知る」素晴らしいアーティストであることを、私自身、あらためて再認識させられました。
 私は、昨年「首都圏反原発連合「2018.11.11 原発ゼロ☆国会前集会」を視聴する~ふくしまボトムズfeat.梅津和時によるオープニング・ライブは心にしみます」(2018年11月23日)というブログの中で、おおたか静流さんが活動されているユニット「ふくしまボトムズ」の演奏を紹介したことがありました。
 
 けれども、おおたかさんの活動がそれだけにとどまるものではなく、実に幅広いものだということは、公式サイトのプロフィールを一瞥するだけでも明らかです。
 今年の“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”のチラシが出来上がり、私のFacebookで広報を開始した途端に、多くのFB友達がシェアしたりコメントを書き込んだりしてくれたのですが、そのうちの1人、私の司法修習の同期、大阪弁護士会の青木佳史弁護士からのコメントの一部を引用してみましょう(無断ですが、多分了解してくれますよね)。
 
(引用開始)
長年のファンなんです。そのヴォイスはもちろん、様々な向き合う姿勢に敬意を抱いているアーティストなんです。
金原さんには、ぜひ信州の無言館の絵を取り上げた「あの夏のまま」の朗読と歌を聴いてほしいです。
(引用終わり)
 
 青木さんの推奨する「あの夏のまま・・・」は、今でも入手可能なようです。

 AMAZONの内容紹介には、「戦没画学生慰霊美術館 無言館に飾られた一枚の裸婦画・・・その前に一人の老婦人が立ちました。かつての恋人が綴った感想文ノートを、窪島誠一郎が朗読します。そして帰らぬひとへの想いは歌になりました。戦争への道を二度と歩まないようにと願いつつ・・・」と書かれています。
 
 なお、おおたか静流さんは、この5月、3日の和歌山城西の丸広場出演だけではなく、前日の2日には紀三井寺の「デサフィナード」というお店でライブをされますし、18日(土)・19日(日)の両日は、新和歌浦の木村屋旅館で【おおたか静流「おせなか音頭」MV撮影イベントat和歌山(和歌山市木村屋旅館)!】という楽しいイベントもされるということで、すっかり和歌山づいておられます。
 
 以上で、今年の“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019”の予告は終わりです。
 最後に、私のブログに掲載した2014年の第1回から昨年の第5回までのレポートをご紹介します。
 
 
 
 
 
 
 
 さて、今年もこのような「写真レポート」が書けるでしょうか?これだけのレポートを書くためには、午前10時の開演前から午後3時の終演後まで、カメラを持って、ほぼ立ちっぱなし、歩きっぱなしの作業が必要です。それだけの体力が戻っているかどうか、一抹の不安があるので、「乞うご期待」とは申し上げません。
 是非皆さまお一人お一人に西の丸広場にご来場いただきたいと心からお願い致します。

“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019”チラシ

望月衣塑子さん(東京新聞記者)が和歌山で講演されます~2019年4月26日@和歌山県民文化会館小ホール(青法協・憲法を考える夕べ)

 2019年4月6日配信(予定)のメルマガ金原.No.3413を転載します。
 
望月衣塑子さん(東京新聞記者)が和歌山で講演されます~2019年4月26日@和歌山県民文化会館小ホール(青法協・憲法を考える夕べ)
 
 青年法律家協会和歌山支部では、1984年以来、市民の皆さまと共に憲法を考えるための記念行事を、おおむねゴールデンウイーク直前の金曜日の夜に開催するのを例としてきました。
 その35回目となった昨年(2018年)4月28日、前川喜平さんと寺脇研さんを和歌山県民文化会館大ホールにお招きしたところ、空前にしておそらく絶後の1,500人もの聴衆においでいただくことができました。
 36回目となる今年は、いくら何でも去年のようなことはあるまいということで、「平常モード」に戻り、時期も例年通り連休直前の金曜日(4月26日)の夜、和歌山県民文化会館の小ホール(キャパ324席)を確保し、「憲法を考える夕べ」を開催することとなりました。
 今年講師としてお招きすることになったのは、東京新聞社会部記者の望月衣塑子(もちづき・いそこ)さんです。
 昨年、来場者に配布するために作った資料に、第1回~第34回までの憲法記念行事一覧表を掲載していますので、それを参考にしながら、最近10年間の企画を抜き出しておきます(括弧内の肩書きは講演当時のもの)。
 
2009年(第26回) 斎藤貴男氏(フリージャーナリスト)
2010年(第27回) 池間哲朗氏(NPO法人アジアチャイルドサポート代表理事
2011年(第28回) 伊波洋一氏(前宜野湾市長)
2012年(第29回)  今中哲二氏(京都大学原子炉実験所助教
2013年(第30回)  孫崎 享氏(元外交官、元防衛大学校教授)
2014年(第31回) 半田 滋氏(東京新聞論説兼編集委員
2015年(第32回) 山本健慈氏(和歌山大学前学長)
2016年(第33回)  青井未帆氏(学習院大学法科大学院教授)
2017年(第34回)  中野晃一氏(上智大学国際教養学部長、教授)
2018年(第35回) 前川喜平氏(前文部科学事務次官
              寺脇 研氏(京都造形芸術大学教授、映画評論家)
 
 ところで、先ほど「今年は、いくら何でも去年のようなことはあるまい」と書きましたし、実際、望月さんに講演をお願いしてご内諾いただいた昨年末にはそれほど心配もしていなかったのですが、ちょうどその頃(昨年12月28日)、上村秀紀・首相官邸報道室長名で内閣記者会に対し、菅義偉官房長官の定例記者会見で望月記者が行った質問に「事実誤認」があったとし、「記者の度重なる問題行為は深刻なものと捉えており、問題意識の共有をお願いしたい」という文書が送られていたことが後に発覚して大問題となりました。
 この問題については、様々な報道もありましたが、以下には、東京新聞自身が2月20日に公表した【検証と見解】が、同紙ホームページで全文公開されていますのでリンクしておきます。是非お読みいただければと思います。
 
東京新聞 2019年2月20日付朝刊
【検証と見解/官邸側の本紙記者質問制限と申し入れ】
 
 併せて、各種団体・有志からも多くの声明が発表されましたが、その内のいくつかにリンクしておきます。
 
 
 実は、色々な事情から、本講演会のチラシの完成が遅れ、本格的な広報を始めたのは4月に入ってからという状況なのですが、チラシ配布に先立ち、3月28日に先行して私がFacebookにチラシ完成版の画像を添付して投稿したところ、またたく間に「シェア」が20件以上に!
 講演会の概要を伝えたFacebookへの投稿をそのまま引用します。
 
 
金原徹雄 Facebookへの2019年3月28日13時41分の投稿
【4/26 和歌山県民文化会館小ホールで望月衣塑子氏(東京新聞記者)が講演!~青法協・憲法を考える夕べ】
 
(引用開始)
 まだチラシは完成していませんが、事務局長から「この内容でチラシを発注しました」という連絡がありましたので、勝手に広報を開始します(あと4週間しかない!)。
 「今話題の」という表現が適切かどうかという問題はありますが、あの望月衣塑子(もちづき・いいそこ)さん(東京新聞社会部記者)が、青年法律家協会和歌山支部の招きにより、来る4月26日(金)(10連休突入の前夜)午後6時から、和歌山県民文化会館小ホールで講演されます。
 昨年の「憲法を考える夕べ」には前川喜平さん&寺脇研さんのダブル講演に、同会館大ホールに1500人もの聴衆が詰めかけました。今年はいくら何でもそんなことはないはずですが、それでも望月さんから内諾をいただいた後、急に浮上した官邸による言論封殺の動きで一躍「時の人」に!小ホールのキャパは324席ですが、広報の出遅れでちょうど良いくらいかも・・・。
 以下にチラシ記載情報を転記します。
 
青法協憲法記念行事 憲法を考える夕べ
 
2019年4月26日(金)開場 午後5時30分 開演 午後6時00分
和歌山市松原通一丁目1番地 電話:073-436-1331)
入場無料・予約不要(先着順)
 
民主主義とは何か 安倍政権とメディア
講師 望月衣塑子(もちづき・いそこ)氏
 1975年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、(株)中日新聞に入社、東京本社に配属。東京地方裁判所東京高等裁判所での裁判担当、経済部記者などを経て、現在東京新聞社会部記者。著書『武器輸出と日本企業』(2016年、角川書店)『新聞記者』(2017年、角川書店
 
主催 青年法律家協会和歌山支部
問い合わせ先
 和歌山市南材木丁二丁目38 電話:073-488-3090
 ふたば法律事務所(弁護士 太田達也)
(引用終わり) 
 
 望月さんの会社の先輩である半田滋さん(2014年)や、望月さんとご一緒に講演されてもいる中野晃一先生(2017年)でも、県文小ホールの半分ほどしか埋まらなかったというこれまでの実績から、「まあ溢れることはないのでは」「幸か不幸か広報も出遅れているし」と思う一方、前川さん並みとはいかないけれど、かなり反応が良いことは事実であり、正直、どれだけの方が会場に来てくださるのか、ふたを開けてみるまで分かりません。ということで、チラシに「先着順」とわざわざ断っている趣旨をご了解の上、ふるってご参加いただければと思います。
 
 なお、望月さんが2017年に角川新書で刊行された『新聞記者』を原案として、同題の映画が制作され、今年の6月28日に公開されるということを知りましたので、これもFacebookで紹介しました。話題作のようなので、おそらく和歌山のシネコンでも公開されるでしょう。是非観たいものです。
新聞記者 (角川新書)
望月 衣塑子
2017-10-12

 
(引用開始)
 来る4月26日(金)午後6時から、和歌山県民文化会館小ホールにおいて、「民主主義とは何か 安倍政権とメディア」と題した講演をされる東京新聞記者・望月衣塑子(もちづきいそこ)さんですが(主催:青年法律家協会和歌山支部/入場無料・予約不要・会場キャパ324・先着順)、その望月さんが2017年に角川新書から刊行した『新聞記者』を「原案」とする映画『新聞記者』(藤井道人監督)が6月28日に公開されます。シム・ウンギョン&松坂桃李のW主演!ということで話題を集めています。映画の公式サイトを探したのですが見つけられなかったので、とりあえず公式Twitterをご紹介します。
 予告編も、2分間の本格的なものは見当たらず、まだ短い「特報」だけが公開されているようです。こちらの方も是非注目したいですね。
  
(引用終わり)
 
(参考動画)
【全編動画】「FIGHT FOR TRUTH 私たちの知る権利を守る3.14首相官邸前行動」(日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)主催) ※望月さんのスピーチは1時間22分~1時間32分
 
望月衣塑子氏(東京新聞社会部記者)スピーチ+集会アピール提案「FIGHT FOR TRUTH 私たちの知る権利を守る3.14首相官邸前行動」
 ※上記動画の抜粋
 
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/望月衣塑子さん関連)
2017年6月18日
2018年1月21日
2018年1月31日
2018年2月10日

0001 (2)