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タカ派こそ「和平」を進められる~けれどもタカ派にも色々ある

 202022日配信(予定)のメルマガ金原No.3441を転載します。

タカ派こそ「和平」を進められる~けれどもタカ派にも色々ある

 本稿は、昨日(2月1日)書いた「テキスト(印刷教材)は捨てられない」の続編ともいうべきものであり、まずFacebookに投稿し、それを転載することとしたものです。

タカ派こそ「和平」を進められる~けれどもタカ派にも色々ある】

 放送大学の2020年度第1学期で新規に開講される放送授業の中に「中東の政治('20)」(高橋和夫放送大学名誉教授)という科目が含まれており、是非受講しようと考えているのですが、その代わり、4年前から開講されている同教授の「パレスチナ問題('16)」が閉講となるため、「中東の政治」の予習をかねて、録画してある「パレスチナ問題」全15回を再視聴しています。今日は「第11回 ラビン/その栄光と暗殺」と「第12回 ネタニヤフとバラク」を視聴しました。

 思い返せば、2016年度2学期に私が受講した「パレスチナ問題」の単位認定試験で高橋先生が出題された問題は、
「【設問】以下のうちから1問を選び750字以上800字以内で答えなさい。
問1 ラビンについて論じなさい。
問2 エルサレム公開大学について論じなさい。」
というものでしたので、私は①を選び、第三次中東戦争の英雄(参謀総長だった)で、2度イスラエルの首相を務め、2度目の首相在任中の1993年、PLOとの間でいわゆる「オスロ合意」を結び、パレスチナ和平の扉を開きながら、1995年、銃弾に倒れたイツァーク・レビンについて回答し、高橋先生から合格点をいただいて2単位取得したのですが、イスラエルにはもう1人、2度首相を務めた政治家がいます。それが、今も同国の首相の地位にあるベンヤミン・ネタニヤフ氏(1949年10月生)です。

 同氏の最初の首相在任が1996年6月から1999年7月まで。そして、2009年3月に首相に返り咲き、何と2020年の今もまだ首相にとどまっています。もっとも、先月(1月)末にはイスラエルの検察当局がネタニヤフ首相を収賄や背任の容疑で起訴したことが伝えられており、そろそろ年貢の納め時が近いのかもしれませんが。

 ところで、今日視聴した放送授業「パレスチナ問題('16)」は2016年4月に開講されたもので、海外取材を含む番組作りはその前年には終わっていたと思いますが、その中で、イスラエルの平和活動家として高名なウリ・アブネリ氏に対するインタビューが何回分かの授業で使われており、「第12回 ネタニヤフとバラク」においても、同氏のネタニヤフ氏に対する(辛辣な)評価が聴けます(アブネリ氏は、惜しくも2018年に94歳の高齢で逝去されました)。
 私は視聴していて、(インタビューは英語で行われているのですが)思わず日本語字幕を書き写してしまいました。以下に、高橋先生によるウリ・アブネリ氏インタビューの(字幕)書き起こしをご紹介します。

高橋和夫氏「ベンヤミン・ネタニヤフについてお話しを」
〇ウリ・アブネリ氏「ネタニヤフですか・・・。ネタニヤフ氏はイスラエルにとり災いです。
非常に右翼的です。
父親は歴史家でしたが、さらに右翼的でした。極端すぎて右翼の政治指導者とも敵対していましたがね。
そして父親はネタニヤフを高く買わなかった。父親が目をかけていたのは兄の方で、この兄はアフリカでの軍事作戦で戦死しています。
ネタニヤフは政治家として非常に有能です。非常にテレビ映りがよいのです。現代の政治家には必要な資質です。
でもネタニヤフにはビジョンがない。戦略上の現実的な見通しを持ち合わせていないのです。
その取り巻きと言えば、非常に野卑な―右翼の扇動家たちです。ライバルになりそうな人は党から追い出したのです。」

 補足すれば、アフリカで戦死したネタニヤフ氏の兄というのは、1976年に発生したハイジャック事件の人質救出作戦(何度も映画化されたエンテベ空港奇襲作戦として知られる)の指揮官で、作戦に従事したイスラエル軍の中で唯一戦死したヨナタン・ネタニヤフ中佐のことです。

 私が、以上のインタビューをご紹介しようと思い立ったのには、おそらく国民にとっても「意外」なほど長期化した政権を持つことになってしまったイスラエルの事情が、わが国とどのような点で近似しているのかを考えるよすがになるのでは、ということももちろんありました。
 しかし、それだけではありません。
 本講義を受講していると、パレスチナ問題というのはイスラエル問題であるということが否応なく見えてきます。
 そして、高橋先生が強調されているとても印象深い一節を「第11回 ラビン/その栄光と暗殺」から書き起こしてみたいと思います。

「(高橋和夫先生)ラビンの生涯を見ていて、私は2つのアイロニーのようなものを感じます。
 その1つは、「和平」というのは、やはり平和主義者にはできなくて、タカ派であるという人が向いてるんだなあということですよね。
 アルジェリアに独立を与えたのは第2次大戦の英雄ド・ゴール大統領でしたよね。オスロ合意を始めたのもラビン将軍ですよね、67年戦争の英雄です。エジプトと和平を結んだのもタカ派として知られたベギンさんです。
 ですから、タカ派こそが「和平」を進めるというのは、歴史の用意したアイロニーなんでしょうかね。」
(註:もう1つのアイロニーは、ラビンが勝利に導いた第三次中東戦争の結果、多くの占領地を獲得したことが、イスラエル内部に宗教的高揚をもたらし、これが結果的にラビンを倒す銃弾を用意したということ)

 平和主義者(ハト派)ではなく、タカ派こそが「和平」を進めるというのは、ある意味、普遍的真理を含んだテーゼであると思いますが、タカ派なら誰でも「和平」を進めることができる訳ではないということも事実ですよね。
 トータル14年近くイスラエル首相の座にありながら、ネタニヤフ氏が、「和平」を進めるためにどれだけの貢献をなし得たかを思うと、「タカ派にも色々ある」と思わざるを得ません。
 私がネタニヤフ政権の対パレスチナ政策でまず思い出すのは、2014年のガザ侵攻で2000人以上の犠牲をパレスチナ側に強いたことですからね。

 さて、日本の安倍政権です。逆説的に、安倍政権こそ中国や韓国・北朝鮮との関係を劇的に改善することが可能と主張する向きがない訳ではありませんが、私は非常に懐疑的です。
 そのように解する根拠を説明するために、ネタニヤフ氏についてのウリ・アブネリ氏の評価がとても参考になると思ったというのが本稿を書くことにした狙いなのです。
 平和主義者にも色々あるように、タカ派にも色々あるということでしょう。

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テキスト(印刷教材)は捨てられない

 2020年2月1日配信(予定)のメルマガ金原No.3440を転載します。

 

テキスト(印刷教材)は捨てられない

 

 以下の文章は、本日(2月1日)、Facebookの公開グループ「放送大学バーチャルキャンパス」に投稿したものを(ほぼ)そのまま転載するものであり、放送大学シリーズ(?)の一編となります。

 https://www.facebook.com/groups/OpenUnivJapan/permalink/2875397922522622/

 少し前提として書いておくと、私は昨年3月、在籍年限ぎりぎりの10年ちょうどで放送大学教養学部(社会と産業コース)を卒業し、直ちに同学部(生活と福祉コース)に再入学しました。この再入学の場合、最長6年間在籍できるそうなので、あまり早く必要単位を取ってしまわないように調整しつつ、6年ちょうどで2度目の卒業ができれば良いなと思っています。

 なお、放送大学ではテキスト(教科書)のことを「印刷教材」と称しています。

 

【テキスト(印刷教材)は捨てられない】

 

 ある方の投稿で、単位認定試験が終わった後、テキスト(印刷教材)をゴミ箱に捨てる人を目撃したことが紹介されており、人それぞれとは言いながら、「自分にはとてもできない」という感慨しきりでした。

 1月29日に今期登録していた全2科目の放送授業の試験が終わり、次学期に是非受講しようと考えている「中東の政治('20)」(高橋和夫本学名誉教授)の予習を兼ねて、高橋先生の、中東を扱った講義を再視聴し、テキスト(印刷教材)を読み返すという「自主学習」を始めたばかりだったから、特にそう感じたのかもしれません。

 画像で紹介した2冊がそれで、開講年度(2016年)に受講した「パレスチナ問題('16)」と、その先行科目である「第三世界の政治 パレスチナ問題の展開('05)」です。

 

 ちなみに、後者については、2005年当時私はまだ放送大学の学生ではなく、閉講前に入学こそしたものの、その講義の価値に気が付かず、受講登録しませんでした。

 ただ、何となく気になり、ラジオ授業15回分は全て(今はなき?)ミニディスクに録音していましたが、それをカーオーディオで聴いたのは閉講後のことで、「受講すべきだった」と後悔してもあとのまつりでした。

 

 ただ、その「第三世界の政治」のテキストを何故所有しているかというと、私が所属する和歌山学習センターでは、何年か前までは、閉講した科目の印刷教材を希望する学生に無償提供(希望者多数の場合は抽選)してくれており、そのような機会に入手したもので、背表紙には「禁帯出」というシールが貼ってありますが、当然書き込みもなく、新品同様でした。

 これはとても良い制度だと思い、楽しみにしていたのですが、閉講科目印刷教材の無償譲渡のお知らせが来なくなってかなり経ちますね。何か問題があったのだろうか?

 

 いずれにせよ、自分で受講した科目はもとより、学習センターからいただいた分も含め、テキスト(印刷教材)を捨てるということなど思いもよりません。

 もともと、前期高齢者となった今に至るまで、私の人生で「本を捨てる」というような習慣を持ったことなどなく(さすがに週刊誌などは残していませんが)、おかげで本の収納スペースには苦労しており、今はやりの「断捨離」などどこの世界のことかという旧派です。

 時代遅れではあれ、大事に保存していればこそ、「第三世界の政治 パレスチナ問題の展開('05)」のテキストを再読して、新たな学びの機会が得られることに喜びを感じています。

 

 本稿のテーマ「テキスト(印刷教材)は捨てられない」については以上のとおりですが、余談を2つばかり。

 

高橋和夫先生が単独執筆された以上2冊のテキストは、何が違うといって、何より分量が違います。「パレスチナ問題('16)」が252頁(含索引)であるのに対し、「第三世界の政治 パレスチナ問題の展開('05)」は365頁(含索引)です。「第三世界の政治」の「まえがき」によれば、「本書の前半部分の大半は『アラブとイスラエルパレスチナ問題の構図」(講談社現代新書、1992年)として出版されている。(略)また、後半部分を微修正したものが、『アメリカとパレスチナ問題/アフガニスタンの影で』(角川ワンテーマ21、2002年)として出版されている」ということであり、内容的にも非常に充実しています。「パレスチナ問題('16)」は、「第三世界の政治('05)」を基礎としつつ書き直したそうですが、比較してしまうと、「もう少し分量があれば」という感は否めません。

 印刷教材の分量の圧縮(ページ数の減少)は大学としての方針によるものだったと聞きますが、このように読み比べてしまうと、残念でないこともありません。

 

◎高橋先生の新規開講科目「中東の政治('20)」は受講をとても楽しみにしていますが、ただ、シラバスを読む限り、これが「第三世界の政治 パレスチナ問題の展開」や「パレスチナ問題」とは異なり、中東全域に目配りし、そこで影響力を行使する主要プレイヤーに注目する内容となりそうで、パレスチナ問題は背景に退くことになるのでは、という気がします。

 https://www.wakaba.ouj.ac.jp/kyoumu/syllabus/PU02060200211/initialize.do

 それはそれで仕方がないと思いますが、それなら「パレスチナ問題('16)」を閉講する必要はなかったのでは?

 もっとも、そうすると、「イランとアメリカ('17)」(大学院科目)、「現代の国際政治('18)」、「国際理解のために('19)」と併せ、全部で5科目を高橋先生1人で担当ということになってしまい、どう考えてもキャパシティオーバーですけどね。

 

(弁護士・金原徹雄のブログから/放送大学関連)

2015年1月30日

放送大学オープンコースウェア)受講の勧め~学ぶことは楽しい

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/42554034.html

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放送大学「日本美術史('14)」単位認定試験にかかわる見過ごせない大学の措置について

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/45780419.html

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 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/49964524.html

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山部赤人はどこから富士を眺めたのか?~「名歌「田子の浦ゆ・・・」を解釈する

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/50096424.html

2017年8月17日

高橋和夫教授(放送大学)の「パレスチナ問題('16)」全15回を是非視聴して欲しい(再説)

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/50590924.html

2018年1月19日

放送大学あれこれ~高橋和夫教授の退任と「子ども居場所づくりで子そだち子そだて支援-学びは生きる力-」(2/10和歌山学習センター)

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/51414539.html

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初めて大学の卒業式(学位記授与式)に出席しました

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/53207518.html

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小田嶋隆さんのコラム「人の結婚に介入したがる彼らは何者なんだ?」を読み、選択的夫婦別姓制度の今後を考える

 2020年1月24日配信(予定)のメルマガ金原No.3439を転載します。

小田嶋隆さんのコラム「人の結婚に介入したがる彼らは何者なんだ?」を読み、選択的夫婦別姓制度の今後を考える

 一昨日(1月22日)の衆議院本会議において、野党統一会派「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」を代表して質問に立った玉木雄一郎国民民主党代表が、選択的夫婦別姓の導入を求める質問をしている途中に、「だったら結婚しなくていい」という趣旨のヤジが飛び、これが自民党杉田水脈(すぎた・みお)議員(比例中国ブロック)によるものではないかということで物議を醸しています。
 杉田議員といえば、「新潮45」2018年8月号に、「LGBTのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり生産性がないのです」などと寄稿して国内外から大きな批判を浴び、最終的に、同誌が休刊(事実上の廃刊)に追い込まれたことが思い出されます。

 ところで、今日の昼食後、Facebookをチェックしていたところ、佐藤康宏先生(東京大学教授・日本美術史)がシェアされている小田嶋隆さんのコラムに気が付きました。小田嶋さんが日経ビジネスに連載されている「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」~世間に転がる意味不明」に今日アップされた「人の結婚に介入したがる彼らは何者なんだ?」という記事であり、早速一読した私はとても感銘を受け、自分もFacebookで「シェア」させていただきがてら、若干の感想を書きました。
 これから書こうとするブログは、Facebookに書いた文章をベースに少し敷衍したものになるはずです。

 この問題の根本は、現在の日本の法制度において、婚姻した夫婦は、必ず元々の夫または妻の氏(姓、名字)のどちらかを名乗らなければならない(夫婦同氏を強制される)ことになっていることに由来します。

 (夫婦の氏)
(民法)第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

 しかし、他の日本の「伝統」と言われるものの多くがそうであるように、「夫婦同氏の強制」も、たかだか明治以降に導入された制度に過ぎず、選択的に夫婦別氏(夫婦別姓)を認めるべきではないのかという議論はかねてからありました。
 しかも、単にそのような説が有力であったというにとどまらず、法務省に設置された法制審議会が議論を重ねた末、平成8年(1996年)2月26日開催の総会で、民法第4編「親族」、第5編「相続」の規定の多くを改正するための「民法の一部を改正する法律案要綱」を決議しました。
 同要綱の改正項目は多岐にわたり、その後改正が実現した項目もありますが、とりわけ注目を浴びた項目を3点あげてみましょう。

第三 夫婦の氏
一 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称するものとする。
二 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、夫又は妻の氏を子が称する氏として定めなければならないものとする。

第七 裁判上の離婚
一 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができるものとする。ただし、(ア)又は(イ)に掲げる場合については、婚姻関係が回復の見込みのない破綻に至っていないときは、この限りでないものとする。
(ア)配偶者に不貞な行為があったとき。
(イ)配偶者から悪意で遺棄されたとき。
(ウ)配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
(エ)夫婦が五年以上継続して婚姻の本旨に反する別居をしているとき。
(オ)(ウ)、(エ)のほか、婚姻関係が破綻して回復の見込みがないとき。
二 裁判所は、一の場合であっても、離婚が配偶者又は子に著しい生活の困窮又は耐え難い苦痛をもたらすときは、離婚の請求を棄却することができるものとする。(エ)又は(オ)の場合において、離婚の請求をしている者が配偶者に対する協力及び扶助を著しく怠っていることによりその請求が信義に反すると認められるときも同様とするものとする。

第十 相続の効力
嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分と同等とするものとする。

 第七の裁判上の離婚要件は「五年別居」で離婚できると受け取る向きもあり、離婚訴訟の実務に与える影響も大きいということで、私の周辺でも、賛否の意見が対立していたという記憶があります。
 ただ、第三の選択的夫婦別姓制度の導入と、第十の非嫡出子相続分差別規定の撤廃につうては、弁護士業界では(よほどの変わり者でない限り)「当然でしょう」ということであったと思います。
 実際、その年(1996年)の10月25日に行われた人権擁護大会において、日本弁護士連合会は、「選択的夫婦別姓制導入並びに非嫡出子差別撤廃の民法改正に関する決議」を採択し、「政府に対し、すみやかに上記民法改正案を国会に上程し、選択的夫婦別姓制の導入と非嫡出子の相続分差別の撤廃を実現することを強く求める。」という意見を明らかにしました。

 しかし、その後の経過はどうであったかと言えば、事態は遅々として進展しませんでした。
 上記2つの懸案のうち、まだしも抵抗が少ないのではと思われた、非嫡出子の相続分を嫡出子の1/2とする規定の改正すら行われずに時間だけが経過していき、平成25年(2013年)9月4日、ついに最高裁判所が「憲法14条1項に違反して」無効との違憲判決を言い渡すに及び、同年12月、国会は判例変更の後追いで民法を改正するに至りました。法制審議会が答申を出してから17年以上が経っていました。

 そして、選択的夫婦別姓制度です。法制審議会の答申から24年、野党が一致して改正を求めても(まあ、全野党ではないかもしれませんが)、現在の政権は全く民法改正に対する意欲を示しません。

 それでは、国民の多くが選択的夫婦別姓に反対しているのかというと、そんなことはありません。小田嶋さんのコラムでも紹介されていましたが、平成29年(2017年)に政府が実施した「家族の法制に関する世論調査」の結果によれば、「婚姻をする以上、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきであり、現在の法律を改める必要はない」と答えた人の割合は29.3%にとどまり、「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望している場合には、夫婦がそれぞれ婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない」と答えた人の割合が42.5%、「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが、婚姻によって名字(姓)を改めた人が婚姻前の名字(姓)を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについては、かまわない」と答えた人の割合が24.4%となっており(法務省ホームページ「選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について」より)、選択的夫婦別姓制度容認派こそ多数派なのです。

 「非嫡出子の相続分差別規定の撤廃」と「選択的夫婦別姓制導入」が、法制審議会の答申以来、かくも長い間放置され続けた(後者はいまだにそうです)背景には、全く「同根」の事情があったことは明らかだと思われます。
 一昨日、衆議院本会議の議場で飛ばされた「ヤジ」も、そのような長きにわたる抵抗(憲法24条に「家族は、互いに助け合わなければならない」という規定を書きこもうとしたりする人々やその周辺の〇〇会議とかによる)の1つの現れ(「飛沫」のようなもの)でしょう。

 こうなれば、「非嫡出子の相続分差別規定」に続いて、「夫婦同氏の強制」についても、最高裁違憲判決を出すしか仕方がないと思いますけどね。

 最後に、小田嶋隆さんによる「人の結婚に介入したがる彼らは何者なんだ?」の末尾の部分のみ引用させていただきます。ここは、このテーマについての小田嶋さんの「まとめ」であると共に、このコラムのタイトルの由来が明かされています。
 

(引用開始)
 家族を大切にする考え方に異存はない。
 ただ、その「家族」なり「家族観」なりを防衛するために、日本中の家族が、どれもこれも同じスタンダードで再生産される粒ぞろいの斉一的な家族単位であることが望ましいというふうには私は考えない。
 自分の家族について自分が思うことと、他人の家族に関して他人が考えるところは、おのずと違っている。あたりまえの話だ。とすれば、自分自身の個人的な「家族観」とやらを守るために、他人の家族のあり方に注文をつける態度は、少なくとも私には思いもよらぬことだ。失礼にもほどがある。
 不思議なのは、日本の伝統的な家族観を守るためには、伝統的家族観を守りたいと思っていない人たちに対しても伝統的家族観を守ることを強制しないといけないと思い込んでいる人たちがいることだ。
 彼らは、いったい何者なんだろう?
 そういえば、百田尚樹さんの著書『日本国紀』の帯には、
 「私たちは何者なのか」
というキャッチコピーが大書されていた。
 せっかくなので、この場を借りて、私も問うておきたい。

 あんたたちは何者なんだ?
(引用終わり)

(弁護士・金原徹雄のブログから/小田嶋隆さん関連)
2014年1月9日
今こそ読もう!『9条どうでしょう』(ちくま文庫)

1年前の「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」を振り返りこれからを展望する

 2020年1月20日配信(予定)のメルマガ金原No.3438を転載します。

 

1年前の「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」を振り返りこれからを展望する

 

 新春早々、和歌山市では3万世帯以上、8万人余の市民に影響が及ぶまる3日間の断水(1月19日22時から同月22日22時まで)が市水道局から予告され、対象地域となった私の事務所でも、3日間分の飲料水、食器洗い用の水、水洗トイレに流す水などの備蓄に大わらわでしたが、結局、漏水の補修工事を開始したところ、広域断水を要する本管ではなく、支管の取り替えで済むことが分かったということで、断水は何とか回避されました。

 和歌山市内の対象地域では、私の知る限りでも、某女子短期大学が20日~22日の臨時休校を早々と決定しており、私がたまに利用する予約制の割烹でも、3日間の予約を全てキャンセルして臨時休業することを発表するなど、その影響は広範囲に及んでいましたので、断水取りやめ自体は結構なことではあるものの、なかなか喜びきれない人たちも多かろうと思いますね。

 いずれにせよ、水道管の老朽化が進んでいるらしいということが市民の共通認識になったこと、断水がしばらく続く場合に備えて各自がどのような準備をしなければならないかを考えるきっかけとなったことが、今回の「断水」騒動による目に見える効果でしょうか。

 余談ながら、この騒動が、市営水道の民営化という馬鹿げた企てを粉微塵にしたということなら不幸中の幸いなのですが。

 

 以上は単なるマクラであり、以下に2020年初のブログ更新の本編を書こうと思い立ったのですが、年が改まってからほぼ3週間が過ぎようとしているにもかかわらず、なかなかブログが書けなかったのは、大晦日に「憲法をめぐる激動の2019年を和歌山の地から振り返る」をどうにかこうにかアップして、ほっと一息ついたものが、二息も三息も休養したいという癖がついてしまったということでしょう。

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/54185444.html

 

 もっとも、ブログの更新を怠けている間も、Facebookは比較的こまめに投稿しており、昨日も3本アップしています。

 

〇「さつきのあきちゃんねる」から『青空』(THE BLUE HEARTS)のカバー演奏を紹介

 https://www.facebook.com/tetsuo.kimbara/posts/2666829456743010

〇「1年前の今日(1/19)を回顧する」と題し「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」を振り返った

 https://www.facebook.com/tetsuo.kimbara/posts/2667345706691385

〇「2/2(日)和歌山障害者・患者九条の会~人権と平和の学習会」を予告

 https://www.facebook.com/tetsuo.kimbara/posts/2667365983356024

 

 いよいよ1月も下旬となり、このままでは1月中に一度も更新できないのではないかという恐れもあり、とにかく何が何でもアップしようということで、昨日Facebookに投稿した3本のうちの2本を素材に、ブログ用に少し手を入れてアップすることにしました(和歌山障害者・患者九条の会の学習会はまた別の機会に)。

 

 ちょうど1年前の昨日(1/19)、和歌山県民文化会館大ホールで、県下10団体で構成する実行委員会が主催する「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」が開かれました。

 私は、この企画の言い出しっぺであった「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」から派遣されて実行委員会に加わったという行きがかり上、(心ならずも)実行委員会事務局の責任者のような立場になってしまい、構成団体間の意見集約や資金分担の調整など、やるべきことが山のようにあり、開催直前には寝るまもなく(というのは大袈裟ですが)、成功裡に「つどい」が終わって1週間もせぬうちに自然気胸を発症して緊急入院し、さらに再発を繰り返して全快までに1ヶ月半以上を要したということはよく知られている(?)ことと思います。

 

 まあそれはさておき、安保関連法に反対するママの会@わかやま、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合わかやま、9条ネットわかやま、九条の会・わかやま、憲法九条を守るわかやま県民の会、和歌山県地方労働組合評議会、和歌山県平和フォーラム

などの諸団体の他、「第3部 平和を奏でる有志たち」をコーディネートしていただいたなかむらいづみさん、出演してくださった三木久美夫さん(龍絃会)、素和歌、Crowfieldの皆さん、土壇場で「つどいからのメッセージ」の朗読という大役を引き受けてくださった田辺の笠松美奈さんなど、お名前を挙げればきりがないほど多くの方々のご協力をいただきました。もちろん、第1部の桂文福師匠、第2部の小林節先生にも大変お世話になりました。心から感謝致します。

 

 1年前の「つどい」を回顧するため、その式次第及び開催概要を振り返っておきましょう。

当日配布資料PDF

 http://web2.nazca.co.jp/rituko31/190119program.pdf

 

危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい

2019年1月19日(土) 和歌山県民文化会館大ホール

 

開場 12時30分 

 様々なロビー企画がお待ちしています。子どもコーナー(紙芝居、絵本、折り紙)、 インスタフレーム、みんなで作る年表 など

 開会前に場内で、県内での様々な取組を紹介するスライドショーも上映します。

 

開会 13時30分

 

主催者挨拶 柏原 卓さん(九条の会・わかやま)

 

「つどい」へのメッセージ(こくみん民主党和歌山県連、日本共産党和歌山県委員会、立憲民主党和歌山県連合、自由党和歌山県支部連合会、社会民主党和歌山県連、新社会党和歌山県本部) 紹介

 

第1部 相撲甚句河内音頭、そして9条新作落語

     桂 文福(かつら・ぶんぶく)さん(芸人9条の会) 

 

第2部 講演「安倍壊憲をなぜ阻止しなければならないのか」

     小林 節(こばやし・せつ)さん(慶應義塾大学名誉教授・弁護士)

 

 以上、開会~第2部までの動画が視聴できます。

 

危ないぞみんなで止めよう1 19和歌山県民のつどい(1時間45分)

 https://www.youtube.com/watch?v=g7dqSR5vf-Y&feature=emb_title

 冒頭~ 開会(司会:重藤雅之弁護士)

 1分~ 主催者挨拶 柏原 卓さん(九条の会・わかやま)

 5分~ 「つどい」へのメッセージ(立憲野党から) 紹介

 12分~ 第1部 桂 文福さん

 49分~ 第2部 小林 節さん

 

第3部 平和を奏でる有志たち

    津軽三味線 龍絃会(りゅうげんかい)

       Wakayama Peace Band

 

 以上のうち、Wakayama Peace Bandの演奏が動画で視聴できます。

 

2019 01 19 Wakayama Peace Band

 https://www.youtube.com/watch?v=aCv8uCYkXMU&feature=emb_title

 冒頭~ イマジン(ジョン・レノン

 5分~ この島~日本国憲法の歌(Crowfield/オリジナル)

 10分~ Heal the World(マイケル・ジャクソン

 16分~ 風に吹かれて(ボブ・ディラン

 

「あの青い空のように」を歌いましょう

 

「つどい」からのメッセージ 提案 笠松美奈さん 

 

閉会 16時00分(予定) ※実際には10分以上押したと思う

 

賛同団体一覧

安倍9条改憲NO!かつらぎ町民アクション/安倍9条改憲NO!「3000万署名」和歌山市民アクション/「安倍9条改憲を許さない」那賀連絡会/安保条約をなくし、平和と民主主義、生活向上をめざす和歌山県民会議/岩出市九条の会/うたごえオールスターズ/輝け9条!芳養の会/きび9条の会/紀宝9条の会(三重県紀宝町)/紀南9条の会/九条の会いなみ/9条の会・うちた/9条の会・かつらぎ/九条の会・きし/9条の会・高野口/九条の会ゆら/9条ママnetキュッと/キリスト者9条ネット和歌山/くしもと9条の会/くまの平和ネットワーク/憲法9条を守る有田共同センター/憲法9条を守る伊都・橋本連絡会/憲法9条を守る和歌山市共同センター/古座川九条の会/雑賀9条の会/四箇郷9条の会(準)/市役所・水道局退職者九条の会/白浜9条の会/新日本婦人の会有田川支部新日本婦人の会紀の川支部新日本婦人の会西牟婁支部新日本婦人の会広川準備支部新日本婦人の会みなべ町支部新日本婦人の会龍神支部新日本婦人の会和歌山県本部/新日本婦人の会和歌山市支部/田辺・9条の会/治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟和歌山県本部/はしもと9条の会/はしもと9条の会西部/ピース9の会・パープル/広川憲法9条の会/平和と憲法を守りたい市民の声/平和・民主・革新の日本をめざす和歌山県の会/守ろう9条 紀の川 市民の会/守ろう9条 有功・直川の会/みなべ「九条の会」/和歌山うたごえ九条の会和歌山県医療労働組合連合会/和歌山県職員組合牟婁地方支部和歌山県農業協同組合・農業関連団体労働組合連合会/和歌山県母親大会連絡会/和歌山県民主医療機関連合会/和歌山市ひがし9条の会/和歌山司法9条の会/和歌山障害者・患者九条の会/和歌山中央医療生活協同組合(五十音順)

 

「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」実行委員会構成団体一覧

安全保障関連法制の廃止を求める和歌山大学有志の会/安保関連法に反対するママの会@わかやま/安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合わかやま/9条ネットわかやま/九条の会・わかやま/憲法九条を守るわかやま県民の会/憲法9条を守る和歌山弁護士の会/戦争をさせない和歌山委員会/和歌山県地方労働組合評議会/和歌山県平和フォーラム

 

 1年前の「つどい」をどういう趣旨で開催したのかについては、最後に採択された「つどいからのメッセージ」を読んでいただくのが一番でしょう。

 

(引用開始)

「つどい」からのメッセージ

 

 私たちは、この「つどい」で、子どもたちや会場の皆さんと一緒に歌うために、「あの青い空のように」という曲を選びました。この曲の歌詞の1行目は、歌う者が自由に替え歌にして、自分たちの思いを歌い上げることが広く行われています。今日私たちが選んだことばは、「力を合わせよう」と「心をつなげよう」でした。

 

 今、私たちが大事にしてきた日本国憲法が、何だかよく分からない理由で変えられようとしています。私たちが、戦争のない平和な暮らしを子どもたちに手渡すことができるのか、その瀬戸際にあるということも学びました。

 私たち1人1人の力はとても小さいけれど、力を合わせれば、きっとできる。必ず子どもたちに私たちの宝物をひきつぐことができる。そのために「力を合わせよう」というメッセージを送ります。

 

 今は幼い子どもたちも、やがては自分で周りを見わたし、自分で考え、自分の足で歩き出します。

 私たちがみんなで力を合わせるためにも、お互いを理解し合い、心を通わせること、世代を超えて心をつなぐことがとても大切です。

 私たちの思いを子どもたちにつなぎ、成長した子どもたちが、平和を願い、そのために自ら行動する人となるように、「心をつなげよう」というメッセージを送ります。

 

 この「つどい」に集まった私たちは、老いも若きも、女性も男性も、互いに1人1人の人格を尊重し、平和を願い、公正を尊ぶという日本国憲法の理念を守り、より良い世界の実現のために全力を尽くすことを誓います。

 

 2019年1月19日 

 

  「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 

   1・19和歌山県民のつどい」 参加者一同

(引用終わり)

 

 以上が1年前の私たちの決意でした。

 そしてこれからの展望です。

 時あたかも、今日1月20日に召集された通常国会(第201回国会)冒頭で行った施政方針演説の中で、安倍晋三首相は、「国のかたちを語るもの。それは憲法です。未来に向かってどのような国を目指すのか。その案を示すのは、私たち国会議員の責任ではないでしょうか。新たな時代を迎えた今こそ、未来を見つめ、歴史的な使命を果たすため、憲法審査会の場で、共に、その責任を果たしていこうではありませんか。」と、あくまで改憲を目指す姿勢を改めて明瞭に示しました。

 https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0120shiseihoushin.html

 

 安倍首相は、明確に改憲を目指す発言をする際には自民党総裁としてのものという、かつてはかろうじて保っていた建前も完全にかなぐり捨て、今や、「憲法改正というのは、決してたやすい道ではありませんが、必ずや、私自身として、私の手でなし遂げていきたいと、こう考えています。」(2019年12月9日官邸での首相記者会見にて)、

 https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2019/1209kaiken.html

憲法改正を私自身の手で成し遂げていくという考えには全く揺らぎはありません。」(2020年1月6日伊勢神宮での首相記者会見にて)

 https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0106nentou.html

というように、自らの手で改憲をなし遂げるという(「憲法というのはそういうものではないだろう」と言ってもこの人物には全く通じない)妄想を繰り返し明言しています。

 

 昨年は、私たちの「つどい」のおかげもあって(?)、改憲発議に至りませんでしたが、今年から来年にかけて、まだまだ油断がならないことは、以上に引用した安倍首相の発言からも明らかです。

 そのためにどうするのかということについては、早急に具体的な方針を立てて実行に移さねばなりませんが(今月から始まった「安倍9条改憲NO!改憲発議に反対する全国緊急署名」もその1つですが)、ただ、もう一度改憲阻止のための「県民のつどい」をやることになったとしても、私自身二度と実行委員会の事務局長は引き受けられませんので(生命の危険がある)、適任者の人選を今からよろしくお願いします。

 

(弁護士・金原徹雄のブログから/「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」関連)

2018年12月3日

速報!「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)を開催します

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/52768421.html

2018年12月23日

詳報「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/52838979.html

2019年1月10日

日刊ゲンダイのコラムで読む小林 節さん(慶應義塾大学名誉教授・憲法学)の「安倍壊憲」批判と「真の野党共闘」の勧め

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/52904828.html

2019年1月15日

直前情報「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/52921909.html

2019年1月19日

「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)からのメッセージ

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/52936631.html

 

(付録)

『青空』 作詞作曲:真島昌利  歌:さつきのあき

 https://www.youtube.com/watch?v=RDuT_jEvGuE

静岡市出身で和歌山市在住のシンガー「さつきのあき」さんが、THE BLUE HEARTSの『青空』をカバーした演奏です(2018年6月1日公開)。「さつきのあき ちゃんねる」は、今年から毎月「5日」「15日」「25日」の3回(去年までは毎週だった)、新しい演奏をアップするとのことです(是非チャンネル登録を)。

 https://www.youtube.com/channel/UChtzT6oCunUZZLcaKYN_SuA

ところでこの『青空』。甲本ヒロトさんの歌唱とは全然似ていませんが、「精神は近い」と思いませんか?私の胸にはとても迫ってきました。

f:id:wakaben6888:20181203110334j:plain

憲法をめぐる激動の2019年を和歌山の地から振り返る

 2019年12月31日配信(予定)のメルマガ金原No.3437を転載します。

憲法をめぐる激動の2019年を和歌山の地から振り返る

 年末(おおむね大晦日)に、その1年間を振り返り、和歌山の市民が憲法問題にいかに取り組んだかを記録に残すため、「弁護士・金原徹雄のブログ」に「憲法をめぐる激動の〇〇〇〇年を和歌山の地から振り返る」と題する記事を初めて書いたのが2014年のことであり、その後、昨年まで5年連続して掲載してきました。

2014年12月27日
憲法をめぐる激動の2014年を和歌山の地から振り返る
2015年12月31日
憲法をめぐる激動の2015年を和歌山の地から振り返る
2016年12月31日
憲法をめぐる激動の2016年を和歌山の地から振り返る
2017年12月31日
憲法をめぐる激動の2017年を和歌山の地から振り返る
2018年12月31日
憲法をめぐる激動の2018年を和歌山の地から振り返る

 しかし、その「2019年版」をまとめるかどうか、色々葛藤がありました。その主たる原因は、2013年1月24日から「ブログ毎日更新」を続けてきた私が、体調不良(1月から3月にかけて3度の入院を繰り返した)から、「2019年1月25日」をもって「毎日更新」を打ち止めとせざるを得なくなり、その後もはかばかしくブログを更新することが出来ない(平均して月に2回程度でしょうか)状態が続いているからです。

 とはいえ、私の体調はさておくとして、憲法をめぐる情勢が少しも楽観を許さないという状況に何ら変わりはなく、そのような中で和歌山の市民が繰り広げた様々な取組みを回顧する意義は相変わらず大きく、幸い、これまでの回顧を作成する際にも非常に頼りにさせていただいてきた「九条の会・わかやま」による発信は、今年も引き続き活発に行われていましたので、例年以上に「九条の会・わかやま」に「おんぶに抱っこ」状態となるでしょうが、今年も「憲法をめぐる激動の2019年を和歌山の地から振り返る」を作ろうと決意し、12月半ばからぼちぼち作業を始めました。
  その際、最も頼りにしたのが「九条の会・わかやま」ホームページであることは上に述べたとおりですが、私自身、「弁護士・金原徹雄のブログ」の更新頻度は激減したものの、その代わり、Facebookでの情報発信(公開設定)には引き続き力を入れ、一部は私の第2ブログ(あしたの朝 目がさめたら 弁護士・金原徹雄のブログ2)に転載していますので、例年より、それらにリンクしているものが増えているはずです。

 以下に取り上げる各行事について参考サイトへのリンクをはる場合、次のような略称を用いました。

 「九条の会・わかやま」ホームページ「県内の取り組み」→県内
 「九条の会・わかやま」ホームページ「会紙『九条の会・わかやま』」→会紙
 「弁護士・金原徹雄のブログ」→金原
 「あしたの朝 目がさめたら(弁護士・金原徹雄のブログ2)」→金原2
 「金原徹雄Facebook」→金原F

 「九条の会・わかやま」事務局の柏原卓さん(ホームページ担当)、南本勲さん(会紙担当)のたゆみないご努力に、今年も深甚なる敬意を表したいと思います。「九条の会・わかやま」による情報の収集と蓄積なくしては、とてもこのような作業は出来ませんでした。
 ただ、「九条の会・わかやま」にしても、全県下から多くの情報が寄せられているとはいえ、全ての企画を網羅している訳でないのは当然です。
 それから、毎月特定の日に行動を行っている団体もありますが、その一々について取り上げることもできていません。毎月実施している「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」を取り上げているのは、たまたま私が毎回(今年は体調の問題から2回欠席しましたが)参加しているからです。
 以上のとおり、様々な「漏れ」があることは否めませんが、このクロニクルが、憲法問題に取り組む皆さんにとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

 前置きはこれくらいにして・・・と言いたいところですが、これも恒例になっているので書かないとどうも座りが悪いのが「和歌山県の人口(推計値)」最新版の確認です。前置きの最後にこの人口問題を書いておきます。
 まず、過去5年の回顧事から該当箇所を引用します。

2014年12月「人口97万人(年明けには96万人台になっている可能性が高い)の和歌山県の人々が、この危機にどのように立ち向かったのかを思い出すよすがとして~」

2015年12月「ちょうど1年後の今、これは「人口96万人(年明けには95万人台になっている可能性が高い)の和歌山県の人々」と改訂する必要があります(2015年12月1日現在の人口速報値960,682人)。」

2016年12月和歌山県のホームページで、2016年12月1日現在の人口(速報値)を調べてみたところ、「952,725人(男性448,153人、女性504,572人)」となっており、前年同月比7,957人の減少でした。」

2017年12月和歌山県ホームページで、2017年12月1日現在の人口(推計値)を調べてみました。その結果は、「943,101人(男443,481人、女499,620人)」であり、対前年比9,624人(男4,672人、女4,952人)の減少ということで、減少の割合は前年よりも大きくなっています。」

2018年12月和歌山県ホームページ(企画部企画政策局調査統計課)によれば、平成30年12月1日現在の人口(推計値)は、「932,687人(男438,663人、女494,024人)」であり、対前年比で10,414人(男4,818人、女5,596人)が減少しており、人口減少のスピードに加速度がついてきたという感じです。」

 これまでのペースでいけば、2019年12月1日現在の人口は当然92万人台になっていると予想されるでしょう?「ご正解」と言わざるを得ないのが残念ですが、まさにそのとおりです。
  和歌山県調査統計課(和歌山県統計情報館)発表の「毎月推計人口(毎月1日現在の人口)」「令和元年12月1日現在」の推計値は「922,489人(男433,846人、女488,643人)」で、対前年比10,198人の減少」でした。
 昨年の回顧では、「一つだけ確実に言えるのは、必要な電気を生み出すために原子力発電所を稼働させることなど全く無用であることは、この人口減少のスピードを見るだけでも明らかであるということです。」というコメントを書きましたが(今でもそう思っていますが)、今年は気の利いたコメントを考える気力もわいてきませんのでパスします。ただ、冷徹な数字から目を背けないようにしたいと思うばかりです。


【2019年 和歌山県における憲法問題への取組】
1月6日(日)11時00分頃~ 和歌山県民文化会館(「はたちのつどい」会場)前
平和と憲法を守りたい市民の声 和歌山市・新成人アンケート2019
 金原(1) 金原(2)

1月16日(水)集合:正午 デモ:12時20分~
第55回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

1月19日(土)13時30分~ 和歌山県民文化会館大ホール
危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい
落語・相撲甚句河内音頭 桂 文福(芸人9条の会)
講演「安倍壊憲をなぜ阻止しなければならないのか」 小林 節氏(慶応義塾大学名誉教授・弁護士)
音楽ライブ~平和を奏でる有志たち~ Wakayama Peace Band
主催 「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」実行委員会(安全保障関連法制の廃止を求める和歌山大学有志の会、安保関連法に反対するママの会@わかやま、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合わかやま、9条ネットわかやま、九条の会・わかやま、憲法九条を守るわかやま県民の会、憲法9条を守る和歌山弁護士の会、戦争をさせない和歌山委員会、和歌山県地方労働組合評議会、和歌山県平和フォーラム)
 会紙(1) 会紙(2) 会紙(3) 会紙(4) 金原(1) 金原(2) 金原(3) 金原(4)
動画(1)
https://www.youtube.com/watch?v=g7dqSR5vf-Y&feature=emb_title
動画(2)
https://www.youtube.com/watch?v=aCv8uCYkXMU&feature=emb_title

2月10日(日)14時00分~ 和歌山市東部コミュニティセンター(多目的ホール和歌山市ひがし9条の会 第5回平和コンサート
フォーク&カントリー 若林量也さん
スコップ三味線 スコップみだれ組
フォルクローレ マヤウァカ
主催 和歌山市ひがし9条の会
 県内 会紙

2月11日(月・祝)13時00分~ 和歌山市ふれ愛センター 3階 研修室1
改憲阻止の闘いを展望する!和歌山障害者・患者九条の会学習会
講演「改憲4項目の危険性を知り改憲阻止の闘いを展望する」 金原徹雄弁護士
主催 和歌山障害者・患者九条の会
 県内 会紙 金原

2月13日(水)集合:正午 デモ:12時20分~
第56回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

3月10日(日)13時00分~ 串本町文化センター2階会議室B
くしもと9条の会 記念講演会および第5回総会
第1部 講演「戦争とマスコミ」 西谷文和氏(フリージャーナリスト)
第2部 総会
主催 くしもと9条の会
 県内

3月13日(水)集合:正午 デモ:12時20分~
第57回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙

3月24日(日)
和歌山県福祉バスで巡る春の交流ハイキング
「和歌山障害者・患者九条の会」戦跡ツアー
主催 和歌山障害者・患者九条の会
 会紙

4月19日(金)集合:正午 デモ:12時20分~
第58回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

4月26日(金)18時00分~ 和歌山県民文化会館小ホール
青法協憲法記念行事 憲法を考える夕べ
講演「民主主義とは何か 安倍政権とメディア」 望月衣塑子氏(東京新聞記者)
主催 青年法律家協会和歌山支部
 県内 会紙(1) 会紙(2) 会紙(3) 会紙(4) 金原F 金原

5月3日(金・祝)10時00分~ 和歌山城西の丸広場
HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019
メインゲスト:おおたか清流
 県内 会紙 金原(1) 金原(2)
動画(1)
https://www.youtube.com/watch?v=wzxQyF2MsYA&feature=emb_title
動画(2)
https://www.youtube.com/watch?v=MZ7FQt49l4A&feature=emb_title
動画(3)
https://www.youtube.com/watch?v=UGzzsKPw3LM&feature=emb_title

5月15日(水)集合:正午 デモ:12時20分~
第59回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

5月18日(土)13時30分~ 和歌山市民会館市民ホール
2019 We Love 憲法~5月の風に 沖縄から憲法を考える
講演「沖縄はあきらめない!!-沖縄県民はなぜ辺野古新基地建設に抗うのか-」 稲嶺進氏(前沖縄県名護市長)
主催 憲法九条を守るわかやま県民の会
 県内 会紙(1) 会紙(2) 会紙(3)

6月2日(日)14時00分~ 和歌山市河北コミュニティセンター2F多目的ホール
守ろう9条 紀の川 市民の会 第15回総会
第1部 記念講演「安倍改憲のトリックを斬る~憲法制定過程の真実と平和憲法を守る歴史的責任~」 長峯信彦氏(愛知大学法学部教授・憲法学)
第2部 総会議事
主催 守ろう9条 紀の川 市民の会
 県内 会紙(1) 会紙(2) 会紙(3) 会紙(4) 金原(1) 金原(2) 金原(3) 金原(4)
      

6月9日(日) 和歌山市ふれあいセンター
和歌山障害者・患者九条の会 13周年の総会&記念講演会
講演「平和・人権・私たちの活動」 山東浩二氏(和歌山県聴覚障害者協会)
主催 和歌山障害者・患者九条の会
 会紙

6月12日(水)集合:正午 デモ:12時20分~
第60回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

7月1日(月)集合:正午 デモ:12時20分~
第61回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

7月14日(日)10時00分~15日(月・祝)17時00分 和歌山県JAビル1階アグリテラス催し場
第18回 2019年 原爆と戦争展
平和な未来と命を大切にする社会を子ども達に残そう
主催 「原爆と戦争展」を成功させる和歌山の会
 県内 金原2

7月27日(土)13時30分~ 和歌山市民会館小ホール
つながれ!!明日の夢へ ぞうれっしゃコンサート
第1部 チェロとピアノでこんにちは
第2部 合唱構成「そうれっしゃがやってきた」
主催 2019和歌山ぞうれっしゃ合唱団
 県内 金原(1) 金原(2)

7月27日(土)・28日(日) 和歌山県勤労福祉会館プラザホープ
2019平和のための戦争展わかやま
講演・パネルディスカッション(27日)「「ビキニ事件」と日本の戦後~消されたマグロ漁船員たち~」 岡村啓佐(おかむら・けいすけ)氏(高知平和資料館・草の家 副館長)/仲江孝丸氏(紀州語り部の会)/伊藤宏氏(和歌山信愛女子短期大学教授)
主催 2019平和のための戦争展わかやま実行委員会
 県内 金原

8月4日(日)13時30分~ 由良町中央公民館
第15回 戦争体験と平和への思いを語り継ぐ会
「20歳で戦没した叔父への思い」 湯川逸紀氏(美浜町三宝寺住職)
主催 九条の会ゆら
 県内 会紙

8月6日(火)集合:正午 デモ:12時20分~
第62回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

8月10日(土)10時00分~ 県民交流プラザ和歌山ビッグ愛 1階 展示ホール
こどもピースフェスタ2019
主催 こどもピースフェスタ実行委員会
 金原 金原2

8月24日(土)14時00分~ 和歌山南コミュニテイーセンター4階
戦争はイヤ!平和と文化を語るつどい
「本土決戦に備えて 高津子山・秋葉山に砲台や陣地があった」 お話:森崎順臣さん(郷土史家)、藤本清二郎さん(元和歌山大学副学長)
主催 戦争イヤ!憲法9条を守る和歌山市南の会
 県内 会紙

8月25日(日)11時00分~ 和歌山市民会館小ホール
ゴジラ 和歌山上陸!宝田明さんと考える「平和」~これまでとこれからと~
ゴジラ』第1作(1954年)デジタルリマスター版上映と主演俳優宝田明さんの講演
ロビー展示:伊藤宏さん(和歌山信愛女子短期大学教授)秘蔵のゴジラコレクション(フィギュア)
主催 和歌山G&Tプロジェクト、9条ネットわかやま
 県内 会紙 金原

9月18日(水)17時20分~ わかちか広場(JR和歌山駅西口地下広場)
採決強行から4年 戦争法(=安保法制)は憲法違反
みんなで平和のメッセージをつなげよう!とどけよう!
ニコンサート Crowfield
ピースメッセージ(リレートーク
よびかけ 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会(和歌山県平和フォーラム、和歌山県地評)
賛同団体 安全保障関連法制の廃止を求める和歌山大学有志の会、安保関連法に反対するママの会@わかやま、9条ネットわかやま、憲法九条を守るわかやま県民の会、憲法9条を守る和歌山弁護士の会、戦争をさせない和歌山委員会、平和と憲法を守りたい市民の声、ゆいま~る和歌山
 県内 会紙 金原2

9月19日(木)集合:正午 デモ:12時20分~
第63回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

9月20日(金)19時00分~ 和歌山県勤労者福祉会館プラザホープ多目的室
憲法学習会「憲法どおりの日本をつくろう ~連立政権構想へ向けて~」 石川康宏氏(神戸女学院大学教授)
主催 憲法九条を守るわかやま県民の会、憲法改悪阻止和歌山県各界連絡会議
 県内

9月28日(土)13時30分~ 和歌山市ふれ愛センター4階会議室
和歌山障害者・患者九条の会 秋の学習会
講演「安倍9条改憲のねらいと改憲阻止の展望」 坂本文博氏(憲法九条を守るわかやま県民の会)
主催 和歌山障害者・患者九条の会
 会紙

10月6日(日)13時30分~ 和歌山市中央コミュニティセンター
和歌山で考える、沖縄のこと 元山仁士郎さんに聞く沖縄県民投票
沖縄の歴史と基地のはなし(和歌山大学社会科学研究会)、講演(元山仁土郎さん)、対談(元山仁士郎さんと服部涼平さん)
主催 ゆいま~る和歌山
 県内 金原F

10月9日(水)集合:正午 デモ:12時20分~
第64回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

10月15日(火)19時10分~ 和歌山県民文化会館3階特設会議室
憲法学習会 日韓問題の本質とは!!~安倍政権の日韓対応のねらいは何か~
講師:飯田光徳氏(日本コリア協会・大阪理事長)
主催 憲法改悪阻止和歌山県各界連絡会議、憲法九条を守るわかやま県民の会
 県内 会紙(1) 会紙(2)

10月26日(土) 男女共生推進センターみらいホール6階(あいあいセンター内)
映画『沖縄スパイ戦史』上映会(2回上映)
主催 『沖縄スパイ戦史』上映和歌山実行委員会
 県内 金原2

11月3日(日) 和歌山市河北コミュニティセンター
第16回憲法フェスタ 9条をまんなかに~えがこう平和への道~
メイン会場(13:30~16:30)
①「MAYAHUACA(マヤウァカ)」フォルクローレ演奏
②報告「憲法9条ノーベル平和賞を」 江川治邦氏
③講演「戦場へ行く自衛隊~改めて安保法制の違憲性を考える」 長岡徹氏(関西学院大学教授)
映像の部屋(10:30~12:05)
憲法自衛隊」(18分)、「速報 辺野古2018年5月」(27分)
他、展示の部屋、リサイクル広場、写真展示「ヒロシマナガサキ 原爆と人間」など
主催 守ろう9条 紀の川 市民の会
 県内 会紙(1) 会紙(2) 会紙(3) 会紙(4) 金原(1) 金原(2)

11月3日(日)14時00分~  御坊商工会館3階
自衛官募集問題を考える 御坊・日高学習会
講師:布施祐仁氏(平和新聞編集長)
主催 日高平和委員会
 県内

11月9日(土)14時00分~ 和歌山市勤労者総合センター6階
安倍改憲NO!秋の憲法学習会
講演「安倍改造内閣のたくらみと私たちの運動課題」 長峯信彦氏(愛知大学法学部教授)主催 憲法9条を守る和歌山市共同センター(略称:市9条センター)
 県内 会紙(1) 会紙(2)

11月11日(月)集合:正午 デモ:12時20分~
第65回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

11月23日(土)13時30分~ 南部公民館2階大会議室
第8回 平和を願う町民のつどい
第1部
オープニング ウクレレ弾き語り(嶋田奈津子氏)
戦争を語る
①「戦争―私の父と母」 山中紀子氏
②「戦争・中国 そして戦後」 光吉敏郎氏
第2部 総会
主催 みなべ「九条の会
 県内 会紙

11月30日(土)13時30分~ 和歌山市南コミュニティセンター4階研修室
憲法9条を守ろう 学習会
講演「憲法9条改憲をめぐる最近の動向について~憲法審査会の動きを中心に~」 金原徹雄氏(憲法9条を守る和歌山弁護士の会)
主催 戦争イヤ!憲法9条を守る和歌山市南の会(略称九条和歌山市南の会)
 県内 金原2 金原

12月4日(水)18時30分~ 和歌山市勤労者総合センター6階文化ホール)
講演「ゴジラが伝える日本国憲法の意義-平和・反核・民主主義-」 伊藤宏氏(和歌山信愛女子短期大学教授・学長補佐)
主催 和歌山県平和フォーラム
後援 戦争をさせない和歌山委員会
 県内 金原2

12月7日(土)11時00分~ 紀の川市桃山会館
第15回 好きなんよ 9条まつり
主催 「九条を守ろう」那賀郡の会
 県内 会紙

12月7日(土)14時00分~ 和歌山県民文化会館小ホール
憲法改正問題シンポジウム
基調報告 阪本康文弁護士(和歌山弁護士会憲法委員会委員)
パネルディスカッション「憲法改正について考える」
パネラー
自由民主党和歌山県議団会長 尾﨑太郎県議会議員
国民民主党和歌山県支部連合会幹事長 浦口高典県議会議員
立憲民主党和歌山県支部長 谷口和樹県議会議員
日本共産党和歌山県委員会委員 楠本文郎県議会議員
公明党和歌山県本部副代表 中拓哉県議会議員
日本維新の会和歌山県支部幹事長 林隆一県議会議員
コーディネーター
由良登信弁護士(和歌山弁護士会憲法委員会委員長)
主催 和歌山弁護士会
共催 日本弁護士連合会、近畿弁護士会連合会
 県内 会紙 金原2(1) 金原2(2) 金原

12月7日(土)14時00分~ 橋本市産業文化会館アザレア大ホール
映画『明日へ-戦争は罪悪である-』(藤嘉行監督)上映会
主催 反戦映画「明日へ-戦争は罪悪である-」を観る会実行委員会
共催 「憲法を守ろう 那賀郡の会」
 金原2

12月9日(月)集合:正午 デモ:12時20分~
第66回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

白浜町議会が放射性物質の受け入れを拒否する「白浜町安心・安全なまちづくり推進条例」を可決(2019年12月18日)

 2019年12月19日配信(予定)のメルマガ金原No.3436を転載します。

白浜町議会が放射性物質の受け入れを拒否する「白浜町安心・安全なまちづくり推進条例」を可決(2019年12月18日)

 昨日(12月18日)、最終日を迎えた白浜町議会(和歌山県)は、放射性物質の受け入れを拒否することなどを内容とする「白浜町安心・安全なまちづくり推進条例」を全会一致で可決しました。
 多くのメディアがこの件を伝えましたが、以下に、地元紙・紀伊民報の報道(WEB版)を引用します。

2019年12月18日 紀伊民報(WEB版 AGARA)
核のごみ「拒否」条例可決 白浜町議会が全会一致

(引用開始)
 白浜町議会(和歌山県)は18日、「核のごみ」を含む放射性物質の受け入れを拒否する町の条例案を全会一致で可決した。同種の条例が県内の市町村で制定されたのは初めて。
 条例案の討論では、溝口耕太郎議員(無)が「住民が将来にわたって安心して暮らせるよう、また観光客が楽しく観光できる町として全国に発信するためにも条例は必要だ」、広畑敏雄議員(共産)は「町長の英断と考える。評価して賛成したい」と、いずれも賛成の立場で意見を述べた。反対討論はなかった。
 議会終了後、井澗誠町長は「町民や観光客の視点から考えて今回の条例制定を考えた。大きな一歩になったと考えている」と語った。
(略)
 「脱原発わかやま」代表の冷水喜久夫さん(68)=白浜町大古=は「条例が可決され、大変良かった」と評価。「核のゴミはいらん日置川の会」筆頭共同代表の前岩崇さん(73)=同町塩野=も「全会一致で可決されたことに、町や議会には感謝したい」とした上で「関西電力(や関連会社)が持つ土地については、再生可能エネルギーなどに使ってもらえるよう、町から要望してもらいたい」と語った。
 条例は「安心・安全なまちづくり推進条例」。その中では、まちづくりに影響を及ぼすと危惧される事項を認めないと規定。事項の一つに、原子力発電所の核燃料、使用済み燃料などを町内に持ち込むことや、それらを貯蔵、処分する施設を町内に建設することを挙げている。(後略)
(引用終わり)

 以上の記事から明らかなように、本条例案は町当局から提案されたものであり、12月議会開会前から、制定が有力視されていました。これについても、紀伊民報の記事を引用したいと思いますが、とりわけ【白浜町での中間貯蔵施設などを巡る主な発言や動き】が、今回の条例の提案・可決に至る経過を分かりやすくまとめてくれていますので、是非お読みください。

2019年12月4日 紀伊民報(WEB版 AGARA)
核のごみ拒否へ 白浜町が条例制定の方針

(引用開始)
 和歌山県白浜町は3日、原子力発電所から出る放射性廃棄物(核のごみ)の受け入れを拒否する条例を制定する方針を明らかにした。町議会12月定例会に条例案を提出する。議会で可決されれば、町内での原子力関連施設の立地は事実上、不可能になる。
 2017年に経済産業省が核のごみの最終処分場の適地を色分けした「科学的特性マップ」を公表後、全国で受け入れを拒否する条例が施行されている。
 町によると、同種の条例は県内の市町村では初めてになる。井澗誠町長は本紙取材に「(放射性物質を)受け入れないための条例を制定することは、将来に禍根を残さないためで、町の発展につながる。大地震による被害も想定されており、紀伊半島にそういう施設(原子力関連施設)は似合わない、というのが大方の意見だろう」などと語った。
 町議会の全員協議会が3日にあり、町が条例案を初めて示した。名称は「安心・安全なまちづくり推進条例」。
(略)
 白浜町では、旧日置川町で昭和50年代以降に原発誘致計画の問題が浮上。推進、反対それぞれの立場での住民活動が活発になり、町を二分する問題に発展した。
 最近では、関西電力が旧日置川町に土地を所有しているとして、一部住民の間から「使用済み核燃料の中間貯蔵施設ができるのではないか」との疑念が表面化。町議会では17年以降、町の姿勢をただす質問が続いたほか、市民団体からの要望提出などが相次いだ。井澗町長は当初、「(国や電力会社から)申し出があれば話は聞く」などと答えていたが、後に「受け入れる考えはない」と表明している。
白浜町での中間貯蔵施設などを巡る主な発言や動き】
17年12月
・町長が「何の情報もないが申し出があれば話を聞く」と町議会で答弁
18年2月
・町長が「(受け入れは)頭の中にない」と町議会で答弁
・市民団体が「受け入れ拒否」の表明を求め町に要望書を提出
(4月には別の市民団体も同様の要望)
18年6月
・町長が「受け入れは考えていない」と町議会で答弁
18年7月以降
・町内で施設受け入れ反対のための団体が設立
18年8月
・受け入れ拒否の議会議決を求め住民有志が町議会へ請願を提出
・市民団体が「受け入れない」表明を求め町に要望書を提出
18年9月
・町長が「申し入れがあっても協議する考えはない」と町議会で表明
18年12月
・町議会が8月に提出された請願を不採択に
・市民団体が「拒否」条例の制定を求め町に要望書を提出
19年9月
・町長が「受け入れないための条例や宣言の制定を検討」と町議会で答弁
・市民団体が条例の制定を求め町に要望書を提出
19年12月
・町が町議会に「拒否」条例を提案へ
(引用終わり)

 上記紀伊民報の報道にもあるとおり、現在は白浜町の一部となっている旧日置川町(ひきがわちょう)では、関西電力による原子力発電所立地計画のために町を二分する大問題に発展した歴史があります。
 しかしながら、私自身、和歌山県民でありながら、その歴史について知ったのは3.11以降という情けない状況であり、もっぱら脱原発わかやまが編集した以下の書籍から学ばせてもらいました。

原発を拒み続けた和歌山の記録』
 汐見文隆 監修
 「脱原発わかやま」編集委員会 編集
  寿郎社 2012年5月11日刊 

原発を拒み続けた和歌山の記録 [単行本]

寿郎社

2012-05-11

 


 ところで、日置川町での原発建設計画が頓挫した後も、関西電力は入手済みの土地を手放さず、現地事務所も閉鎖せずに職員を常駐させ続けていることから、「使用済核燃料の中間貯蔵施設建設を狙っているのでは?」ということが、長く取り沙汰されてきました。
 そして、その「噂」が具体的な「懸念」に転化したのは2017年11月のことでした。同月23日、関西電力の岩根社長は福井県知事に対し、使用済核燃料中間貯蔵施設の県外立地について「2018年には具体的な計画地点を示す」と表明したのです。これは、知事が大飯3・4号再稼働同意にあたり「できるだけ具体化してほしい。関電は再稼働にあたって答えを示す必要がある」と求めたことに応じたものでした。
 これにより、一気に日置川町と合併した白浜町に注目が集まることになり、関西電力の関連会社が新たな土地を買い入れていることなども広く知られる事態となりました。
 これ以降、パンダと温泉の町・白浜に核のゴミはいらない、という運動が盛り上がり、県内、県外の諸団体からの要請や地元住民による反対運動のための団体結成が相次ぎ、このため、当初腰が定まらないと見られていた井澗誠(いたに・まこと)町長も、昨年の9月定例会の冒頭で、「使用済み核燃料の中間貯蔵施設につきましては、(略)受け入れることは考えておりませんし、仮に将来的に事業者等から申し入れがあったとしても、受入の協議を行う考えはありません」と表明するに至りました。
 巻末リンクのとおり、当時まだ「ブログ毎日更新」を続けていた私も、2018年当初からこの問題をフォローし続けていたのですが、上記井澗町長による受け入れ拒否声明で安心(?)してしまい、その後のフォローを怠っていました(体調の問題からブログの更新がストップしたこと、「原発がこわい女たちの会」が休会となって情報が入ってきにくくなったのが大きいのですが)。
 けれどその間にも、地元では、中間貯蔵施設等の核施設の受け入れを拒否する条例の制定を要望し続けていたのですね。

 そのような条例が全国でどの程度制定されているかについては、末田一秀さんが運営するサイト「環境と原子力の話」の中に「核関連施設・廃棄物拒否条例」としてまとめられており、それぞれの条例について、「条例本文」と「背景と解説」を読むことができます。 

 上記サイトには、昨日可決された「白浜町安心・安全なまちづくり推進条例」が早くも掲載されていました。

条例本文
背景と解説
(引用開始)
和歌山県白浜町
白浜町安心・安全なまちづくり推進条例
 合併した旧日置川町はかつて原発建設が狙われた地であり、今も関西電力及び関連会社が3か所に9ha,16ha,37haの土地を所有している。駐在員が2017年に2名から4名に増員されたことから、使用済み核燃料の中間貯蔵施設の立地場所にされるのではないかと反対運動が広がった。当初は町長も反対を明言せず、議会も2018年12月に受け入れ拒否の議会議決を求めた請願を不採択としていた。しかし、2020年春に改選を迎える町長が2019年9月議会で拒否条例制定を検討すると答弁し、12月議会で全会一致で成立した。
 安心・安全なまちづくりに影響を及ぼすと危惧される事項を認めないとし、対象となる事項は、廃棄物、土砂等の不適切な処分と放射性物質の持ち込み、貯蔵又は処分する施設の建設としている。「認めない」という条文は町の立場の表明で禁止ではないでしょうが、条文解釈が問題になる事態は条例制定によって阻止できたはずです。安心・安全のために関電の持つ土地への対応を町には求めたい。
(引用終わり)

 なお、白浜町のサイトに、昨日(12月18日)議会に提出された議案第88号「白浜町安心・安全なまちづくり推進条例の制定について」がPDFファイルとして掲載されていますので、条文全文と「制定の要旨」を読むことができます。
 以下に、この条例の制定に至った理念を表明した「前文」と、この条例のキモである「第7条」を引用します。

(引用開始)
白浜町安心・安全なまちづくり推進条例
前文
 白浜町は、紀伊山地の山々や吉野熊野国立公園に指定されている円月島、千畳敷、三段壁、志原海岸など変化に富んだ魅力ある海岸線の自然景観に加え、日本三古湯の一つに数えられる白浜温泉をはじめとする椿温泉や日置川温泉などの温泉資源、世界遺産「熊野参詣道大辺路」や紀南熊野ジオパークをはじめとした多くの観光資源に恵まれており、そこに訪れる多くの観光旅行者は、幅広い産業に経済効果をもたらし、多くの雇用を創出するとともに、交流人口の拡大による地域の活性化に大きな役割を果たしている。
 これらの環境は、未来永劫守り続けていかなければならない。そのためには、町民が安心して、安全に暮らし、そして本町を訪れる人々が「訪れてよかった。また行きたい」と思えるまちづくりを続けていく必要がある。
 よって、ここに、町及び町民等がそれぞれの役割を果たし、安心で安全な観光立町としてふさわしい環境を守り続けていくことを決意し、この条例を制定する。
第1条(目的) 略
第2条(基本理念) 略
第3条(町の役割) 略
第4条(町民の役割) 略
第5条(地域活動団体の役割) 略
第6条(推進体制の整備) 略
第7条(環境の整備等)
 町は、全ての町民、観光旅行者等が安心して、安全かつ快適に生活又は滞在することができる環境の整備に努め、安心・安全なまちづくりに影響を及ぼすと危惧される事項を認めないものとする。
2 前項に規定する安心・安全なまちづくりに影響を及ぼすと危惧される事項は、次の各号に掲げるものとする。
(1) 廃棄物、土砂等の不適正な処分等を町内において行うこと。
(2) 放射性物質原子力発電所など原子力関連施設の核燃料並びにこれらから生ずる使用済燃料及び放射性廃棄物をいう。)の町内への持込み、及びこれらを貯蔵又は処分する施設を町内に建設すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、この条例の目的達成を阻害すること。
第8条(財政上の措置) 略
第9条(広報啓発等) 略
第10条(委任) 略
附則
 この条例は、公布の日から施行する。
(引用終わり)

 この条例制定が1つの区切り、大きな成果であることは間違いないでしょう。この運動の主眼は、そもそも核のゴミを受け入れる自治体などどこにもないのだから、そのような物を生み出してはならない、ということに帰結するのですから、自信を持って推進していけるはずです(既に生み出してしまった核のゴミを最終的にどうするのか?という悩ましい問題はありますが)。

(弁護士・金原徹雄のブログから/白浜町・中間貯蔵施設関連)
2018年1月8日
「和歌山に中間貯蔵施設はいらない!~脱原発わかやま原発学習会」(2018年1月20日)のご案内
2018年2月3日
「和歌山に中間貯蔵施設はいらない!」(講師:小山英之美浜の会代表)が和歌山市でも開催されます(2/18あいあいセンター)
2018年2月4日
吉原毅氏を招いて/「原発ゼロ法案」と「核のゴミ」を考える~白浜に核のゴミ(中間貯蔵施設)は来るのか!?~(2/23田辺ビッグ・ユー)のご案内
2018年2月25日
白浜町長に県内8団体が要望書を提出~使用済核燃料の中間貯蔵施設は受け入れないとの意思の表明を求める(2018年2月23日)
2018年2月26日
パンダの町・白浜町は関西電力の中間貯蔵施設を受け入れるのか?~白浜町議会2017年12月定例会会議録を読む
2018年4月17日
白浜町長への要望書「(略)白浜町を核のゴミの捨て場にしないよう使用済核燃料の「中間貯蔵施設」は受け入れないとの意思をあらかじめはっきりと表明してください」を読む
2018年7月31日
「核のゴミはいらん日置川の会」が結成されました~松浦雅代さんからの報告
2018年9月8日
白浜町の井澗(いたに)誠町長が使用済み核燃料中間貯蔵施設を受け入れる意思のないことを議会で表明(2018年9月6日)
2018年10月15日
白浜町議会(2018年9月6日)で使用済み核燃料中間貯蔵施設を受け入れる意思のないことを表明した井澗(いたに)誠町長の発言全文(書き起こし)

和歌山弁護士会が「憲法改正問題シンポジウム」を開催しました(2019年12月7日)

2019年12月7日配信(予定)のメルマガ金原No.3435を転載します。

和歌山弁護士会が「憲法改正問題シンポジウム」を開催しました(2019年12月7日)

Facebookから転載します。

 本日(12月7日)午後2時から、和歌山県民文化会館小ホールにおいて、和歌山弁護士会主催(共催:日本弁護士連合会、近畿弁護士会連合会)による「憲法改正問題シンポジウム」が開かれ、私も会員の1人として参加してきました。ただ、自分で告知などしていながら、チラシをよく読んでいなかったからか、てっきり「開演:午後1時30分」と思い込んで1時過ぎに会場入りしたところ、1時半というのは「開場時刻」であることが判明してがっかりしてしまいました。

 それはさておき、年末慌ただしい土曜日の午後にもかかわらず、会場いっぱいとまではいきませんでしたが、概数200名近くの参加者があり、動員的にも成功だったと思いますが、それよりも何よりも、内容的に十分「やって良かった」「成功だった」と言っても、仲間褒めのそしりは免れるのではないかと思います。


 まず、和歌山弁護士会憲法委員会委員(昨年度の日本弁護士連合会・憲法問題対策本部担当副会長)の阪本康文弁護士から、憲法改正問題、とりわけ9条改憲問題の現状と弁護士会の意見について基調報告があり、それに引き続いて、県議会に議席を有する6政党から1人ずつの議員の皆さんをパネラーとするパネルディスカッションが行われました(コーディネーターは和歌山弁護士会憲法委員会委員長の由良登信弁護士)。
 基調報告の中で阪本弁護士からも紹介がありましたが、全国各地の弁護士会が行っているこの種のシンポジウムにおいて、6党もの主要政党の議員が登壇して意見を述べ合うという企画は、今回の和歌山がおそらく初めてであり、全国的にも注目されているということで、実は、今日のシンポには、他府県の弁護士も視察(?)のために参加しておられたよし。

 今回のシンポにパネラーとして登壇された県議会議員は以下の皆さんでした。
  自由民主党 尾﨑太郎さん
  国民民主党 浦口高典さん
  立憲民主党 谷口和樹さん
  日本共産党 楠本文郎さん
  公明党 中 拓哉さん
  日本維新の会 林 隆一さん
 皆さん、所属政党の公式見解を踏まえつつ、基本的にはそれぞれ1人の政治家としての個人的見解を述べるというスタンスであったと思います。
 例えば、尾﨑太郎議員は、2012年の党大会で採択された「日本国憲法改正草案」による「自衛隊国防軍」という改正案があるにもかかわらず、「改正しても何も変わらない」と言いつつ「9条1項、2項を残しながら9条の2で自衛隊を明記する」という改憲案に個人としては納得していないことを隠そうとしておらず、その率直な発言に好感を持ちました。もちろん、9条や憲法に関する意見が尾﨑議員と一致するということでは全然ありませんが、「立場が違うことを前提に、意見を闘わせることができる人(だろう)」だという意味での「好感」です。
 他の5人の議員の皆さんも、それぞれが置かれた立場の中でせいいっぱい率直かつ誠実に発言していただいたと思います。登壇された6人の議員の皆様に心から感謝したいと思います。
 特に、私個人としては、普段なかなか機会のない自民党公明党、維新の会の皆さんの意見を伺えて非常に良かったと思います。もっとも、それも人選が当を得ていたからかもしれず、他の議員ではこうはいかなかったかもしれませんが。

 なお、パネルディスカッションの主要なテーマは、私の理解したところでは、①立憲主義、②9条の役割、③自民党9条改憲案(自衛隊明記)について、であったと思います(由良弁護士の話の振り方から推測)。その一々についての6人のパネラーのご意見をご紹介することは私の手に余りますし、そもそも細かなメモも取っていません。
 こういう時に動画サイトに講演の模様がアップされると便利なのですが、この種の企画の動画撮影について和歌山の第一人者と思われるKさんから撮影並びに動画サイトアップについての許可申請がなされたところ、パネラーの意見も踏まえ、撮影は許可されたものの動画サイトへのアップは許可されなかったそうです。

 ところで、画像で表紙だけご紹介していますが、今日の参加者には以下の2つの冊子が配布されました(他にオマケとして日弁連特製ポケットティッシュ)。
 1つは「弁護士と一緒に考えてみませんか 自衛隊や自衛の措置を憲法に書き加えても何も変わらないの?」というB5版オールカラー全8頁のリーフレットで、2018年5月25日・日本弁護士連合会定期総会決議の内容を分かりやすく説明するものです。

 もう1つは、今日のシンポのために和歌山弁護士会がコピーして配布した「憲法改正問題資料集」(表紙を含めて48頁)で、これがなかなか貴重なものですよ(今日来場された方は得しましたね)。その内容は以下のとおり。

1 自由民主党 憲法改正推進本部「日本国憲法改正の考え方~「条文イメージ・たたき台素案」Q&A~」
 自民党が2018年3月に発表した改憲4項目の「条文イメージ(たたき台素案)」自体は、当初から自民党憲法改正推進本部のホームページに掲載されています。
 しかし、同本部が今年の2月に党所属国会議員に配布した「ビラ」と「条文イメージ(たたき台素案)Q&A」は、いつまで待ってもホームページに掲載されず、かえって、改憲問題対策法律家6団体連絡会による「自民党憲法改正推進本部作成改憲案『Q&A』に対する徹底批判」の方が先に公表されるという事態になっています。
 ということで、このQ&Aを読んだ人はそう多くはないと思いますので、貴重な資料です。

2 国民民主党「基本政策」

3 立憲民主党「憲法に関する考え方~立憲的憲法論議」

4 日本共産党
「2019参院選・各分野の政策・54憲法」
「安倍首相の改憲発言で志位委員長が会見」

5 公明党
「平和の党」が金看板
「北側一雄公明党憲法調査会長-改憲論議を問う」(時事ドットコム)

6 日本維新の会
・「憲法改正問題に関する回答」※ネット上で公表されたものではなく、「2019年11月」という日付からも、和歌山弁護士会憲法委員会からの照会への「回答」なのかもしれません(特に説明はありませんでしたから断言はできませんが)。
「馬場伸幸日本維新の会幹事長-改憲論議を問う」(時事ドットコム)

 今日のシンポの「速報」はこんなところです。「詳報」は?多分、来年5月発行予定の和歌山弁護士会「会報」に由良委員長が長文の(広報委員会指定の字数をいつもオーバーして編集者を困らせている)レポートを書くでしょう(運が良ければ和歌山弁護士会ホームページに転載されるかもしれません/もっとも、広報委員会は最近あまりホームページへの転載に熱心ではないようだけれど)。

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長岡徹氏(関西学院大学教授)の講演「戦場へ行く自衛隊~改めて安保法制の違憲性を考える~」レジュメを読む(第16回 守ろう9条紀の川市民の会 憲法フェスタ)

2019年11月4日配信(予定)のメルマガ金原No.3432を転載します。

長岡徹氏(関西学院大学教授)の講演「戦場へ行く自衛隊~改めて安保法制の違憲性を考える~」レジュメを読む(第16回 守ろう9条紀の川市民の会 憲法フェスタ)

 昨日(11月3日)、和歌山市河北コミュニティセンターにおいて、紀の川北岸に居住する和歌山市民によって結成された「守ろう9条 紀の川市 民の会」による16回目の憲法フェスタが開かれました。
 2005年1月に結成総会を開いた同会は、毎年欠かすことなく、総会(概ね春)と憲法フェスタ(概ね秋)を開催してきました。憲法フェスタについては、創立当初、年に2回開催した年があったため、今回が第16回となります。
  私も、結成時から運営委員に名前を連ね、微力ながら運営に力を尽くしてきました。

 地域9条の会としては、休止状態に陥ることなく、継続して15年間活動を続けてきたこと自体が重要な成果だと思います。
 もちろん、会員・役員の高齢化、新規入会者、とりわけ壮年・若年層の著しい不足は、いずれの9条の会にとっても悩みの種であり、もちろん当会も例外ではありません。
 しかし、特効薬がある訳でもなく、とにかく体力・気力の続く限り頑張るしかないだろうと、やや開き直り気味に考えている昨今であり、若い人が中心になって動き出す時には、今の9条の会とは違う、それなりの組織が構築されるのだろうと思います。

 なお、「守ろう9条 紀の川市 民の会」の著しい特色として、地方の小さな9条の会としては、大胆にも、多くの憲法研究者の皆さんを記念講演の講師としてお招きしてきたことが挙げられます。
 2012年の第9回憲法フェスタの吉田栄司先生(関西大学教授)以降、今回の長岡徹先生(関西学院大学教授)まで、全部で11人の憲法研究者の皆さんにご講演いただいてきました。その皆さんというのは以下の方々です。

吉田栄司関西大学教授(2012年憲法フェスタ)
森英樹名古屋大学名誉教授(2014年総会)
清水雅彦日本体育大学教授(2014年憲法フェスタ)
高作正博関西大学教授(2015年憲法フェスタ)
石埼 学龍谷大学教授(2016年総会)
植松健一立命館大学教授(2017年総会)
本 秀紀名古屋大学大学院教授(2017年憲法フェスタ)
三宅裕一郎三重短期大学教授(2018年総会) ※現・日本福祉大学教授
飯島滋明名古屋学院大学教授(2018年憲法フェスタ)
長峯信彦愛知大学教授(2019年総会)
長岡徹関西学院大学教授(2019年憲法フェスタ)

 近年、記念講演のために用意していただいたレジュメを私のブログに転載させていただくことが多く、長岡先生からも快くご許可をいただくことができましたので以下に掲載させていただきます。

 昨日の閉会挨拶でもお話しましたが、私自身、今月末に和歌山市内の某地域9条の会かっら学習会の講師を頼まれており、その準備のためということもあって、我ながら気合いを入れて(?)聴講させていただきました。
 長岡先生のお話は明快で分かりやすく、聴衆の理解も進んだのではないかと思いますが、私にとっても、自分がこれから作るレジュメに取り入れたい部分が随所にあり、非常に参考になりました。
 とりわけ、私が思わず「目からウロコ」状態になったのは、三、3)「憲法に「自衛隊」を書きこむと、自衛隊は「軍」になる」という部分です。
 現在は、自衛隊は「行政」の一組織として「内閣」の下にあるけれど、「9条の2」で「内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊」と規定することにより、首相の「統帥権」が確立し、自衛隊は「内閣」の下で「行政」を担う組織ではなく、首相を最高司令官とする「軍」となる、というロジックがすとんと胸に落ちました。
 ちなみに、現行の自衛隊法7条「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。」から、自民党改憲案9条の2「内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。」への移行には、とんでもなく大きな深淵を跳躍する覚悟が必要なのですね。

 ところで、長岡先生のお話によると、演題との関連でレジュメの記載が手薄な部分は、パワーポイントで補充されたそうですが、以下にご紹介するのはもともとのレジュメのみであることをお断りします。

 また、第16回 憲法フェスタの長岡先生の講演以外の内容については、Facebookに簡単な写真レポートを掲載していますので、リンク先をご参照いただければと思います。

写真レポート①~9条をかみしめる
写真レポート②~展示の部屋
写真レポート③~映像の部屋
写真レポート④~リサイクルひろば
写真レポート⑤~写真展示「ヒロシマ・ナガサキ原爆と人間」
写真レポート⑥~「MAYAHUACA(マヤウァカ~)による演奏
写真レポート⑦~江川治邦さんによる報告
写真レポート⑧~長岡徹氏(関西学院大学教授)による講演「戦場へ行く自衛隊~改めて安保法制の違憲性を考える~」

 それでは、以下に昨日の長岡先生の講演用レジュメ全文を転載します(掲載の便宜のため、体裁は金原の責任で手直しした部分があります)。

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(長岡徹先生レジュメから引用開始)
戦場へ行く自衛隊~改めて安保法制の違憲性を考える~

                       2019.11.3 
                       第16回憲法フェスタ(和歌山)
                       関西学院大学 長岡 徹

一 はじめに
  参院選後の憲法をめぐる情勢
  安倍改憲の危険性
  自衛隊への歯止めを失わせる戦争法(安保法制)

二 19年参院選の結果と安倍改憲阻止の課題
1)参院選の結果をどう見るか
ポイント 安倍改憲策動を勢いづかせるか、それとも安倍改憲の息の根を止めるか
 改憲勢力の3分の2を覆し、改憲策動の加速化は防いだ。
 しかし、安倍改憲を断念させるほどの結果でもなかった。対決は新たな局面に入った。

2)安倍首相 改憲を争点に設定
2016年7月参院選 改憲勢力、衆参両院で3分の2を確保
 衆議院では12年以来確保してきた
2017年5月 安倍首相ビデオレター 9条1・2項はそのままで自衛隊を書き込む
 「自衛隊を合憲化することがわれわれ世代の使命」「2020年を新しい憲法で」
2017年10月 衆議院総選挙
 自民党は結党以来初めて、重点公約6項目の6番目に改憲問題を据える
2018年3月 自民党 改憲4項目を提示
2018年10月 安倍自民党総裁3選 自民党改憲推進本部の幹部人事
 「憲法族」を退け、安倍側近を据える
 下村博文 推進本部長 11月「議論すらしないのは職場放棄だ」
 新藤義孝衆議院憲法審査会自民党筆頭幹事
 萩生田幹事長代行 4月「少しワイルドな憲法審を見せないといけない」
安倍首相 3分の2を頼りに憲法審査会でごり押ししようとしても改憲審議は進まない
 国民世論が改憲に消極的 国民世論を大きく変えなければならない
 参院選では、憲法改正の必要性と憲法の議論の必要性を訴える
 そして3分の2を確保する

3)19年参院選で、憲法改正は争点になったのか
 テレビ等の党首討論では必ず触れられていたが・・・・・・
 党首の街頭演説で、憲法改正に触れていたのは、自民、共産、社民のみ
   安倍 14.5%→8.3%
   志位 14.8%→21%
 投票で憲法を重視したのは、改憲反対派
 共同通信 出口調査    安倍首相の下での憲法改正
   全体  賛成 40.8%  反対 47.5%
   女性  賛成 34.9%  反対 50.6%
   無党派 賛成 25.6%  反対 63.6%

安倍政権で改憲「反対」41%=慎重論が顕在化-時事世論調査
               2019年08月17日08時05分(Jiji.com)
 時事通信の8月の世論調査で、安倍政権下での憲法改正について聞いたところ、「反対」が41.3%で、「賛成」の32.1%を上回った。「どちらとも言えない・分からない」は26.7%だった。参院選前の7月調査では、選挙後に議論を進めることに「賛成」が多かったが、性急な改憲には慎重な世論が根強いことがうかがえる結果となった。
 安倍晋三首相は目標に掲げる2020年の改正憲法施行に向け、与野党に衆参両院の憲法審査会での議論を呼び掛けている。7月調査では参院選後に改憲議論を進めることに「賛成」は41.2%で、「反対」は26.3%だった。
 今回調査では、自民党改憲案にある憲法9条への自衛隊明記について、「賛成」35.3%で、「反対」36.1%と拮抗(きっこう)した。
 自衛隊明記に「賛成」と回答した人に対し、国会が初めて発議する改憲案に9条改正を盛り込むべきかどうかを尋ねたところ、「盛り込むべきだ」が57.5%、「こだわる必要はない」が37.3%となった。
 調査は9~12日に全国の18歳以上の男女2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は62.4%。

  安倍首相は、改憲の加速化には失敗した
  とはいえ、安倍改憲の危険性が十分に理解されているわけでもない

4)選挙を終えて……改憲の新局面
 安倍首相 「憲法改正の議論をすべきだという国民の審判」
 8月 父・祖父の墓前で「国会においていよいよ本格的に議論を進めていくべき時を迎えている」
 ①自民党全党を挙げて憲法改正に取り組む体制をつくる
  二階幹事長、岸田政調会長の言質を取る
 ②野党を分断し、改憲論議に誘いこむ
  まずは改憲手続法の改正から
  萩生田幹事長代行 衆議院議長交代に言及 「改憲シフトを国会が行うことが極めて大事」
  大島衆議院議長 国民投票法改正「結論を出してほしい」
 ③草の根からの世論形成
  これまでも日本会議を中心とした運動があったが、これからは党を挙げて
  10.18 和歌山「憲法を考える県民集会」から始まった
ただ、弱点もありそう
  二階「憲法の重大性を国民に訴えてゆく」「焦っては駄目」
  岸田「党を挙げて憲法改正を動かしてゆく」「憲法は国民のもの」
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2019-09-28





5)安倍改憲阻止の課題
 ①草の根からの世論形成
 ②安倍改憲の危険性を知らせる
 ③実質改憲阻止のたたかい

三 安倍改憲の危険性
1)自民党改憲4項目
〈教育〉本気なら、法律を制定すればよい
〈合区解消〉参議院改革の思考を放棄している
 参議院に「地方代表」的性格を持たせるなら、「全国民の代表」である衆議院とほぼ同等の権限を持たせるべきではない
 参議院の権限の見直しを伴う必要がある
〈緊急事態条項〉(時間があれば、詳しく述べますが)
 自然災害対策は法律を柔軟に解釈適用して対応している
 議員の任期については、参議院の緊急集会で対応可能
 すべては「法律の定めるところ」による「なんちゃって改憲
〈9条の2〉「自衛隊を書き込むだけで、現状は変わらない」というのはフェイク
 「我が国」の異様……「わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し」(前文)

2)9条の2「自衛隊を書き込むだけ」はフェイク
 ①安保法後の自衛隊を書き込む
  集団的自衛権を行使する自衛隊
  「存立危機事態」「重要影響事態」という名の他国防衛
  つまり、ねらいは、戦争法の合憲化
  ただし、2項の制約があるので論争は続く?
  9条2項「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。  国の交戦権は、これを認めない。」
  自衛隊は、「国際紛争を解決する手段としての戦力」ではない
  ⇒自衛隊は、日本国が武力攻撃を受けた時に対処するための実力
  ⇒自衛隊は、日本国が武力攻撃を受けていないのに実力を行使することはできない(旧政府見解)
 ②「必要な自衛の措置」のための実力組織
  この「自衛」には当然、集団的自衛が含まれる
  これは、2項の解釈と矛盾する
  しかし、「国の安全を保つために必要」との論理が優先されることになろう
  かくして、2項は死文化する
 ③「必要最小限度の実力」の文言がない
  2項の死文化が予定されているから「必要最小限度実力」である必要はない
  「自衛」のために必要な「実力」を持つ自衛隊
  かくして、自衛隊普通の国の軍隊になる
 ④つまり、
  「多数の国民が支持している自衛隊」ではなく
  「戦争法後の自衛隊」でもなく
  「ふつうの国の軍隊」ができ上る
  「現状と何も変わりません」というのは全くのフェイク(ウソ)
  そもそも変わらないのであれば850億円もかけて変える必要はない

3)憲法に「自衛隊」を書きこむと、自衛隊は「軍」になる
 憲法に書かれている国家の組織 国会、内閣、裁判所、会計検査院
 自衛隊はそれらに並ぶ国家組織となる
  今は、自衛隊は「行政」の一組織として、「内閣」の下にある
  自衛隊を書き込むと、「行政」からは独立した組織となる
  「軍隊」の組織法上の特徴:統帥権の所在の明確性、軍法会議の存在
  「9条の2」は、首相の統帥権を規定している
  かくて、組織法上、自衛隊は、内閣の下にある「行政」各部ではなく、
  首相を最高司令官とする「軍」となる
  あとは軍法会議だが、最高裁への上訴の道を開いておけば、法律で設置可能

四 実質改憲阻止のたたかい
1)自衛隊の海外派兵の常態化
 自衛鑑の中東派兵:有志連合には不参加、というが緊密に連携
 防衛庁設置法にいう「調査・研究」目的で
  元々自衛隊の海外派兵を想定していない規定を拡大解釈
  船舶の警護はできない、武器の使用も正当防衛や緊急避難に限定される
  ジブチ自衛隊基地を活用
  何かあれば「海上警備行動」に転換
  攻撃を受ければ、「自衛隊の武器防護のための武器使用」
  「調査」の過程で情報を交換している米軍等が攻撃を受ければ、「米軍等の武器防護のための武器使用」

2)財政の軍事化
 アメリカの武器の爆買い
 防衛予算対GDP比1%枠は、どうなっている
 「しかし我々は、これについて[防衛費が無制限に膨張すること]は厳重な歯止めをつくっております。かぎはちゃんとかかっておるのであります。それは何であるかといえば、憲法憲法に基づいて我々がここで国民の皆さんにお誓いしてきたことです。専守防衛あるは軍事大国にはならない。非核三原則を守る、そして節度ある防衛力を我々は心がける、そのことをはっきり申し上げておるのであります。」(中曽根康弘首相。1987 年2 月2 日衆院本会議)
 専守防衛のたがが外れ、さらに憲法自衛隊が明記されると、どうなるか

3)産業の軍事化
 MAST Asia:海上・航空関係の国際的兵器見本市
  2015年から隔年で国内開催 今年は6月に幕張メッセで開催
 DSEI Japan:本年11月18日から20 幕張メッセで開催
  ロンドンで隔年開催されている国際的兵器見本市の初の海外出張版
  国内外150社が出展予定
 2014年4月 安倍政権が「武器輸出3原則」」を撤廃、「防衛装備移転3原則」に実質的な武器輸出全面解禁

4)科学の軍事化
 防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」 軍事に結びつく研究の公募
 2015 年度総額3億円でスタートし、17年度には110億円に

五 まとめ

(資料)
自民の改憲4項目、条文案 (2018/03/23 朝日新聞 朝刊 4ページ)
引用省略

※金原注
 レジュメの末尾に、2018年3月23日付「朝日新聞」朝刊に掲載された「自民の改憲4項目、条文案」が資料として紹介されていました。私も、自民党の4項目条文案をまとめて読むことができたのはこの記事が最初でしたが、朝日新聞デジタルでは「有料会員限定記事」となっていますので、ブログでの引用は差し控えることとします。
 その代わり(?)、2018年3月25日21時09分に産経ニュースが「【自民党大会】「改憲4項目」条文素案全文」をアップしており、今でも無料で読めます。
 実は、憲法フェスタ閉会後、長岡先生を囲んだ懇親会の席上でも話題となったのですが、今の学生(学生に限らないでしょうが)は新聞を読んでおらず、情報源はもっぱらネットだということで、それ自体は「多分そうだろうなあ」というところなのですが、問題なのは、朝日や毎日のネット版の記事は多くが有料会員限定記事であるのに対し、産経は原則無料なので、実売部数では劣勢の産経が、ネットの世界での占有率は非常に侮りがたい存在だということです。
 これなどもその一例でしょうか。
 なお、現在、自民党改憲4項目そのものについては、2018年3月26日に自民党憲法改正推進本部ホームページに掲載された「憲法改正に関する議論の状況について」に4項目の「条文イメージ(たたき台素案)」とその提案理由などがまとめられていますので、ご参照ください。

 

【付録・10人の憲法研究者の講演録を読む~「守ろう9条 紀の川 市民の会」で語られたこと(吉田栄司氏、森英樹氏、清水雅彦氏、高作正博氏、石埼学氏、植松健一氏、本秀紀氏、三宅裕一郎氏、飯島滋明氏、長峯信彦氏)】

2019年6月2日(日) 第15回総会
長峯信彦氏(愛知大学教授)
安倍改憲のトリックを斬る~憲法制定過程の真実と平和憲法を守る歴史的責任~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」376号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」377号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」378号
金原ブログ①「長峯信彦氏(愛知大学教授)「安倍改憲のトリックを斬る~憲法制定過程の真実と平和憲法を守る歴史的責任~」講演レジュメを読む(守ろう9条紀の川 市民の会 第15回総会)」前編
金原ブログ② 同 中編
金原ブログ③ 同 後編

2018年11月11日(日) 第15回憲法フェスタ
飯島滋明氏(名古屋学院大学教授)
自民党改憲案にどう向かい合うか~私たちの具体的な対抗策は~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」363号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」364号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」365号
金原ブログ「飯島滋明さんの講演「自民党改憲案にどう向かい合うか~私たちの具体的な対抗策は~」レジュメ紹介~第15回守ろう9条紀の川市民の会 憲法フェスタにて」

2018年3月24日(土) 第14回総会
三宅裕一郎氏(三重短期大学教授 ※現・日本福祉大学教授)
憲法9条が果たしてきた役割~「自衛隊」の明記によって何が変わるのか?~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」346号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」347号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」348号
金原ブログ「三宅裕一郎氏(三重短期大学教授)「憲法9条が果たしてきた役割-「自衛隊」の明記によって何が変わるのか?-」講演レジュメを読む(守ろう9条紀の川 市民の会 第14回総会)」

2017年11月3日(金・祝) 第14回憲法フェスタ
本 秀紀氏(名古屋大学大学院教授)
安倍政権の9条破壊を許さない~海外で戦争する『自衛隊』は認められない~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」336号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」337号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」338号
金原ブログ「2日連続 名古屋大学大学院教授(本秀紀氏&愛敬浩二氏)から学ぶ憲法をめぐる動向」

2017年4月1日(土) 第13回総会
植松健一氏(立命館大学教授)
安倍首相はなぜ憲法(constitution)を変えたいのか
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」321号
講演録②  会紙「九条の会・わかやま」322号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」323号
金原ブログ「植松健一氏(立命館大学教授)「安倍首相はなぜ憲法(constitution)を変えたいのか」講演レジュメを読む(守ろう9条 紀の川 市民の会 第13回総会)」

2016年4月2日(土) 第12回総会
石埼 学氏(龍谷大学法科大学院教授)
戦争法は廃止、憲法9条が輝く日本を取り戻そう~今、私たちにできること~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」296号
講演録②  会紙「九条の会・わかやま」297号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」298号
金原ブログ①「石埼学龍谷大学法科大学院教授の講演をレジュメから振り返る~4/2「守ろう9条 紀の川 市民の会」第12回総会から」
金原ブログ②「石埼学龍谷大学法科大学院教授の【設問】に答える~「安保法制」講師養成講座2」

2015年11月3日(火・祝) 第12回憲法フェスタ
高作正博氏(関西大学教授)
「戦争法制」で日本はどんな国になるのか~私たちはどう対抗すべきか~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」285号
講演録②  会紙「九条の会・わかやま」286号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」287号
講演録④ 会紙「九条の会・わかやま」288号
金原ブログ「「第12回 憲法フェスタ」(11/3 守ろう9条 紀の川 市民の会)レポートと11月中の和歌山での取組予定のお知らせ」

2014年11月8日(土) 第11回憲法フェスタ
清水雅彦氏(日本体育大学教授)
ちょっと待った!集団的自衛権~日本を戦争する国にさせない~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」260号
講演録②  会紙「九条の会・わかやま」261号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」262号
金原ブログ「『脱走兵』が日本の現実とならないように~11/8守ろう9条紀の川市民の会「第11回 憲法フェスタ」」

2014年3月30日(日) 第10回総会
森英樹氏(名古屋大学名誉教授)
「国家安全保障基本法」は戦争体制を作りあげるもの
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」243号
講演録②  会紙「九条の会・わかやま」244号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」245号
金原ブログ「森英樹氏講演会を開催しました(守ろう9条紀の川 市民の会・第10回総会)」

2012年11月3日(土・祝) 第9回憲法フェスタ
吉田栄司氏(関西大学教授)
改憲派憲法を変えて日本をどんな国にしようとしているのか
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」205号
講演録②  会紙「九条の会・わかやま」206号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」207号

12/7(土)和歌山弁護士会が「憲法改正問題シンポジウム」を開催~各党から県議会議員が登壇~

【12/7(土)和歌山弁護士会が「憲法改正問題シンポジウム」を開催~各党から県議会議員が登壇~】

 来る12月7日(土)午後、和歌山県民文化会館小ホールにおいて、和歌山弁護士会が「憲法改正問題シンポジウム」を開催します。和歌山弁護士会憲法委員会委員の阪本康文委員(昨年度は日本弁護士連合会の憲法問題担当副会長でした)からの基調報告の後、6つの政党から各1名の県議会議員の皆さんが登壇され、意見を述べられるということです。
 私は和歌山弁護士会の会員ではありますが、憲法委員会の委員ではないので、これ以上立ち入った内容には不分明ですが、6党足並み揃って議員の皆さんが出席してくださることになって良かったと思います。

以下、チラシ記載情報を転記します。1人でも多くの方にご参加いただきたくご案内します。

(チラシ記載情報から)
憲法改正問題に取り組む全国アクションプログラム
憲法改正問題シンポジウム
日時 2019年12月7日(土)
 13時30分開場 14時00分開会(16時30分終了予定)
和歌山県民文化会館小ホール
入場無料 予約不要

基調報告 阪本康文弁護士(和歌山弁護士会憲法委員会委員)
パネルディスカッション「憲法改正について考える」
《パネラー》
自由民主党和歌山県議団会長 尾﨑太郎県議会議員
国民民主党和歌山県支部連合会幹事長 浦口高典県議会議員
立憲民主党和歌山県支部長 谷口和樹県議会議員
日本共産党和歌山県委員会委員 楠本文郎県議会議員
公明党和歌山県本部副代表 中拓哉県議会議員
日本維新の会和歌山県支部幹事長 林隆一県議会議員
《コーディネーター》
由良登信弁護士(和歌山弁護士会憲法委員会委員長)

 政権与党の自由民主党は、憲法改正に向けた「条文イメージ(たたき台素案)」を発表し、今後憲法審査会に提出して、審査会で改憲案を作成することを目指しています。そこで、各政党所属の和歌山県議会議員の皆様にご参加いただき、憲法改正についての意見をお聞きしたいと思います。様々な意見を聞くことで、憲法改正についての判断の一助となればと考え、本シンポジウムを開催します。

主催 和歌山弁護士会
共催 日本弁護士連合会 近畿弁護士会連合会
お問い合わせ 和歌山弁護士会
〒640-8144 和歌山市四番丁5番地
TEL:073-422-4580 FAX:073-436-5322

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和歌山県議会9月定例会で「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」に反対した6人の議員の皆さん

 2019年10月9日配信(予定)のメルマガ金原No.3430を転載します。

和歌山県議会9月定例会で「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」に反対した6人の議員の皆さん

[この記事は、昨日、Facebook第2ブログ(あしたの朝 目がさめたら)に掲載した文章に大幅な補訂を加えて再掲するものです。]

 去る9月27日に閉会した和歌山県議会9月定例会は、最終日に「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」を賛成多数で採択しました。
 決議は、以下のような内容でした。

(引用開始)
                                          和議第10号
             統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議(案)
 特定複合観光施設、いわゆる統合型リゾート(以下「IR」という。)は、成長戦略の一つとして、我が国の観光立国政策に貢献するとともに、和歌山県における新たな産業の創出や観光振興、地域振興、雇用の拡大、財政の改善、さらには人口減少の抑制など、将来の本県の発展に多大な貢献をもたらすことが期待できる。
 また、こうした経済的・社会的効果を発現させることにより、日本におけるIR導入の成功例として、本県の存在感を全国に示す絶好の機会となるものである。
 よって、和歌山県議会は、本県が目指すIR誘致の取組を支持するとともに、特定複合観光施設区域の一つに選ばれるよう、地元の合意形成に向けた誘致機運の醸成を図るなど、IRの誘致活動を積極的に推進する。
 以上、決議する。
   令和元年9月27日
                  和歌山県議会
                  (提 出 者)
                   総務委員会委員長 川畑 哲哉
(引用終わり)

 平成28年に成立した「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「IR推進法」「カジノ推進法」)で使われている「特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものである」(同法1条)というような謳い文句をベースに、「人工減少の抑制」「本県の存在感を全国に示す」など、県民の心をくすぐる(?)と起案者が考えたご当地用フレーズをまぶせば、まあこんなものになるのでしょう。

 ところで、「賛成多数」での採択と書きましたが、和歌山県議会議員は全部で42人であり、その会派別構成は以下のとおりとなっています。

自由民主党県議団 27人
改新クラブ 5人
日本共産党県議団 4人
公明党県議団 3人
無所属の会 2人
日本維新の会 1人

 無所属の会のことはよく知りませんが、改新クラブは完全な寄り合い所帯で、対立が激しい決議、意見書の採決では、意見が割れることも珍しくありません。

 ところで、和歌山県議会では、個々の議員の議案に対する賛否は公開していませんが(これは早急に改善すべきでしょう~電子投票システムを導入する予算がないのだろうか?)、会派ごとの賛否の状況は公表しています。
 そこで、「令和元年9月定例会における議案等に対する各会派の賛否の状況」を調べてみました。
 それによると、「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」についての会派別の賛否は以下のとおりでした。

(賛成)
自由民主党県議団
公明党県議団
無所属の会
改新クラブの一部
(反対)
日本共産党県議団(奥村規子、高田由一、楠本文郎、杉山俊雄各議員)
日本維新の会(林隆一議員)
改新クラブの一部

 案の定、改新クラブの意見は割れたのですが、同クラブの5人の賛否をどうすれば確認できるのか?
 知り合いの県議会議員に直接尋ねるという方法もあるでしょうが、誰でもできる方法をご紹介しましょう。
 まず、基本的に採決は、全会一致の場合には(事前に事務局が調査するらしい)「議長:ご異議ございませんか?」「議場:異議なし」で済まし、賛否が別れる場合には、賛成者に起立を求める方法で行うようですから、誰が立ったのか、誰が座ったままだったのかを映像で確認すれば良いのです。
 採決の模様は、県議会ホームページの「本会議中継・録画」というコーナーで視聴することができます。
 今回のIR誘致決議については、以下の方法で録画が視聴できます。

和歌山県議会 インターネット中継
  ↓
録画中継
  ↓
令和元年度
  ↓
9月定例会
  ↓
9月27日(金) ※52分12秒

 以上の最終日の録画のうち、「統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議」については、43分~48分で、日本共産党県議団の奥村規子議員による反対討論が行われています。映像を注意深く視ていると、討論終了後の48分11秒あたりで、奥村議員に拍手する議員が5人確認できます(結局、その5人と奥村議員が反対することになるのですが)。

 その直後の48分55秒~49分09秒あたりで採決が行われ、賛成の議員は起立し、反対の議員は座ったままなのですが、反対した議員が誰かを調べるためには、県議会ホームページの中の「本会議場議席図」をご覧ください。
 私はこの議席図をプリントアウトした上で、中継録画の映像との照合を行いました。こう書くと面倒そうですが、何しろ反対者は少ないですからね。たった6人でした。
 結局、この議案の採決に際して座ったままだったのは、奥村規子議員の演説に拍手を送った5人に、奥村議員自身を加えた6人だけだったことが映像で確認できます。
 あらためて、その6人の議員を賞賛するために、以下にその氏名を掲載します。

日本共産党県議団
 奥村規子さん、高田由一さん、楠本文郎さん、杉山俊雄さん
日本維新の会
 林隆一さん
改新クラブの一部
 谷口和樹さん

 なお、「和歌山カジノに反対する海南の会」さんのFacebookに、ネット中継された採決の模様を静止画にしたものがアップされていましたので、議長席から見て右側の部分だけですが借用して掲載させていただきました。こちら側に、反対した議員6人全員が写っています。

 余談ながら、日本維新の会の林隆一議員がなぜ反対したのか?理由が知りたいと思い、同議員のTwitterFacebookを閲覧してみましたが、よく分かりませんでした。可能性としては、①カジノそのものに反対、②大坂維新の会が推進する大阪・夢洲へのカジノ誘致に対する援護射撃、③その他、などが考えられますが、はて?

 和歌山市議会議員当時、林さんの市民図書館問題について市当局を厳しく追及する姿勢には注目していたものですが。

 それにしても、と私が想起するのは、2014年9月定例会で和歌山県議会が採択した「国会に憲法改正の早期実現を求める意見書」の賛否状況です。この時は、意見書を発出して欲しいという請願を採択するかどうかと、意見書そのものの採択で賛否を使い分けた議員(公明党など)がいたりしてややこしかったのですが、少なくとも請願採択に反対した議員が7人いました(以下のとおり)。

(引用開始)
賛成 自民党公明党全員・改新クラブの一部(長坂隆司・片桐章浩)
反対 共産党全員(雑賀光夫・高田由一・松坂英樹・奥村規子)
     改新クラブの一部(藤本眞利子・浦口高典・谷口和樹)
(引用終わり)

 それがカジノについては、維新の会を含めても反対「6人」ですからね。やれやれ・・・。
 和歌山県民の中で、カジノ誘致に賛成という者が36/42(86%)もいるとは到底思えませんが、議会の現状はこのとおりです。
 それにしても、今回賛成した議員は、4月の統一地方選で、本当に「カジノは誘致すべき」と県民に訴えて当選したのだろうか?

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