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東京高等検察庁検事長定年延長問題について(4)~「国家的悲劇」を象徴する痛ましい姿(小田嶋隆さんのコラムを読む)

 2020222日配信(予定)のメルマガ金原No.3446を転載します。

東京高等検察庁検事長定年延長問題について(4)~「国家的悲劇」を象徴する痛ましい姿(小田嶋隆さんのコラムを読む)

 最初から意図した訳ではありませんが、東京高等検察庁検事長定年延長問題をこのブログで取り上げるのも今日で4回目となりました。
 過去3回は以下のとおりです。

2020年2月8日
東京高等検察庁検事長定年延長問題について~法律の規定は読み間違えようがない

2020年2月11日
東京高等検察庁検事長定年延長問題について(2)~政府の解釈はこういうことだろうか?

2020年2月16日
東京高等検察庁検事長定年延長問題について(3)~論点は出そろった(渡辺輝人氏、園田寿氏、海渡雄一氏の論考を読んで)

 前回は、2月12日の衆議院予算委員会において、後藤祐一議員(国民民主党)の質問に対し、人事院の松尾恵美子給与局長が、人事院としては、国家公務員法に定年制を導入した際には、昭和56年4月28日衆議院内閣委員会での人事院任用局長の答弁の通り、「検察官については、国家公務員法の勤務延長を含む定年制は検察庁法により適用除外されていると理解していたものと認識をしており」「現在までも特にそれについて議論はございませんでしたので、同じ解釈を引き続いている(「引き継いでいる」?)ところでございます」と答弁したのに対し、翌2月13日の衆議院本会議において、安倍晋三首相が、検察官については、昭和56年当時、国家公務員法の定年制は検察庁法により適用除外されていたことを認めながら、「他方、検察官も一般職の国家公務員であるため、今般、検察庁法に定められている特例以外については、一般法たる国家の公務員法が、国家公務員法が適用されるという関係にあり、検察官の勤務延長については、国家公務員法の規定が適用されると解釈することとしたところです。」と、「今般」解釈を変更したと答弁したというところまでをフォローした上で、「論点はでそろった」と判断し、現状を踏まえて書かれた、渡辺輝人弁護士、園田寿甲南大学法科大学院教授、海渡雄一弁護士の論考をご紹介しました。

 そして今週の動きですが、インターネット審議中継で詳細に追いかけるだけの時間的余裕がないため、インターンネットで無料公開されている報道記事を3本引用するにとどめたいと思います。

時事ドットコムニュース 202002192005
人事院局長、異例の答弁修正 検事長定年延長で審議紛糾―衆院予算委
(引用開始)
 黒川弘務東京高検検事長の定年延長をめぐり、人事院の松尾恵美子給与局長は19日の衆院予算委員会で、異例の答弁修正を行った。検察官には国家公務員法の定年延長規定が適用されないとした政府見解を「現在まで引き継いでいる」としてきたが、一転して引き継いだのは法務省から相談を受けるまでと変更。野党は反発し、審議はたびたび紛糾した。
 立憲民主党山尾志桜里氏は、安倍内閣が従来の政府見解を変更し、定年延長に関する規定は検察官にも適用されると決めたのはいつかとただした。
 森雅子法相は、1月17~21日に内閣法制局と、同22~24日に人事院とそれぞれ協議し、双方から「異論はない」との回答を得たため、同29日に黒川氏の定年延長を閣議に諮ったと説明した。(金原注:黒川検事長の定年延長を決定したのは1月31日開催の定例閣議
 ところが、2月12日の衆院予算委では、定年延長規定が検察官には適用されないとした1981年の政府見解について、松尾氏は「現在まで特に議論はなく、解釈は引き継いでいる」と明言しており、矛盾が生じた。
 山尾氏がこの点をただすと、松尾氏は「『現在』という言葉の使い方が不正確だった」と述べ、12日の答弁を撤回。反発した野党が退席し、審議は一時中断した。
 再開後、松尾氏は「現在まで」の部分を「1月22日に法務省から相談があるまでは」に修正。
(略)
(引用終わり)

(参考動画)
衆議院インターネット審議中継 2020年2月19日 (水) 予算委員会

中日新聞 2020222日 朝刊
解釈変更文書、正式決裁なし 検事長定年延長、法相答弁矛盾
(引用開始)
 法務省人事院は二十一日の衆院予算委員会理事会で、黒川弘務東京高検検事長の定年延長を巡る法解釈変更の経緯を示した文書に関し、正式な決裁を取っていないと説明した。森雅子法相は二十日の予算委で「部内で必要な決裁を取っている」と答弁しており、説明の矛盾が露呈。野党は森氏が虚偽答弁をした疑いがあるとの見方を強め、「進退に関わる」(立憲民主党安住淳国対委員長)として追及する方針だ。
 法務省は二十日に示した文書に日付がなかったとの指摘を受け、二十一日の理事会で「一月二十二日人事院へ交付」と追記した文書を提出。野党は「後付け」で日付を入れたとして反発した。
 立民の大串博志幹事長代理が記者団に理事会の内容を説明した。法務省人事院は「日時を証拠付けられるペーパーはない」とも報告した。大串氏は一連の対応を「国会答弁に合わせて注釈を付けただけで、証明するものがないと明らかになった。疑念がさらに強まった」と批判した。
 政府は一月二十四日に解釈を変更したと主張するが野党は国会答弁と矛盾点があるとして追及。理事会では、人事院が提出していた法務省への返答文書についても、法務省の注釈として「一月二十四日受領」と追記された文書が示された。
 法務省の文書では、黒川氏の定年延長を可能とした国家公務員法の勤務延長規定と、検事総長以外の検察官の定年を六十三歳と規定した検察庁法の関係について「検察官にも国家公務員法の規定が適用されると解するのが自然だ」と妥当性を主張。人事院文書は法務省の解釈変更を追認した。
(引用終わり)

東京新聞 2020222日 朝刊
法解釈変更記載なし 検事長定年延長 閣議決定前の政府文書
(引用開始)
 政府が黒川弘務東京高検検事長の定年を延長する閣議決定に先立ち、国家公務員法の解釈を変更した経緯を示す証拠として国会に提出した文書に、法解釈を見直す記載のないことが分かった。検察官は定年延長制の対象外とした一九八一年の政府見解にも触れていない。解釈変更は定年延長の閣議決定後だった疑いが強まった。
 政府は二十日と二十一日にかけて、定年延長を決める以前の検討状況を記録した文書計三通を衆院予算委員会の理事会に提出。法務省が一月に内閣法制局人事院にそれぞれ交付した文書は「定年延長制度の検察官への適用について」と題し、八五年の改正国家公務員法の施行後は、定年延長制が「検察官にも適用されると解するのが自然である」と結論づけた。
 内閣法制局の「応接録」と題した文書には、一月十七~二十一日にかけて法務省から照会を受け「意見がない旨回答した」と了承したことを明記した。人事院は翌二十二日に法務省の文書を受け取り、二日後に「特に異論を申し上げない」と文書で回答した。
 三通の文書には、法解釈の「変更」「見直し」といった表現はなく、解釈を改めたと理解できる記載もない。政府は定年延長は八五年当時から可能だったと解釈し、黒川氏の定年延長を決めたことになる。
 安倍晋三首相は閣議決定の二週間後の二月十三日に政府として初めて法解釈変更に言及。政府はその三日前に野党から八一年見解との整合性をただされ、答弁が行き詰まっていた。(清水俊介)
(引用終わり)

 今朝の東京新聞の記事で紹介されている、政府が衆議院予算委員会理事会に提出したという「定年延長を決める以前の検討状況を記録した文書計三通」を是非読んでみたいものだと思ったのですが、探し当てることができませんでした。
 その代わり(?)、日本共産党の山添拓参議院議員が2月14日のTwitterで公開した「衆院予算委に提出された文責者の記載もない政府文書」というのを書き写しておきましょう。

(引用開始)
                 検察官の勤務延長について
 昭和56年当時、検察官については、国家公務員法の定年制は検察庁法により適用除外されていると理解していたものと認識している。
 他方、検察官も一般職の国家公務員であるから、検察庁法に定められている特例以外については、一般法たる国家公務員法が適用されるという関係にある。したがって、国家公務員法検察庁法の適用関係は、検察庁法に定められている特例の解釈に関わることであり、法務省において整理されるべきものである。
 そこで、検察庁法を所管する法務省において国家公務員法検察庁法との関係を検討したところ、
検察庁法が定める検察官の定年による退職の特例は、定年年齢と退職時期の2点であること
○特定の職員に定年後も引き続きその職務を担当させることが公務遂行上必要な場合に、定年制度の趣旨を損なわない範囲で定年を越えて勤務の延長を認めるとの勤務延長制度の趣旨は、検察官にも等しく及ぶというべきであること
から、一般職の国家公務員である検察官の勤務延長については、一般法である国家公務員法の規定が適用されると解釈することとし、このような解釈を政府として是としたもの。
(引用終わり)

 20日から21日にかけて、衆議院予算委員会理事会に提出されたという「文書」3通にしても、上記文書の「そこで」以下の文章と同工異曲なのでしょう(多分)。
 森雅子法務大臣の2月3日以降の国会(衆議院予算委員会)での答弁は、ひたすらこの「そこで」以下を繰り返すことに終始している訳で、これを一言で評するとすれば、「痛ましい」と言うしかありません。

 そして、森法相以上に「痛ましい」のが松尾恵美子人事院給与局長です。衆議院インターネット審議中継での松尾局長の姿は正視に耐えません。茂木敏充外相に犬のごとく追い払われる衝撃的な映像とともに、松尾局長は、今回の検事長定年延長問題による「国家的悲劇」を象徴する人物に、心ならずもなってしまったと言わねばなりません。

 そのことを鋭敏にも感じ取ったコラムニストの小田嶋隆さんが、以下のようなコラムを書かれており、心から敬服しました。全文無料で公開されていますので、是非ご一読ください。そして、周りの人にもお薦めください。

小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」~世間に転がる意味不明 2020221
10人の部下を持つ人間がウソをつくと、10人のウソつきが誕生する
(引用開始)
(略)
 個人的に、このニュースは、現政権が「人間」を道具のように扱うやりざまのひとつの典型例だと思っているのだが、より専門的な見地から、今回の人事を、三権分立の原則を脅かすとてつもない暴挙だと評している人たちもいる。
 当稿では、そこのところには触れない。
 理由は、私が法の支配や三権分立に関して専門的な知識を持っていないからでもあるのだが、それ以上に、個人的な関心に訴えたのが、「ボスと下っ端の間のやりとり」という、より卑近なテーマだったという事情に依拠している。
(略)
 松尾局長は、山尾氏の
 「なぜ212日の時点で解釈変更に言及せず、解釈を引き継いでいると説明したのか」という追い打ちの質問に対して
 「つい言い間違えた」
と答えている。
 これには驚いた。あんまりびっくりしたので、この時のやりとりは、わざわざネット動画を探しに行って確認した。
 と、松尾局長は、本当に
 「つい言い間違えた」
と言っている。なんと。本当に、生身の人間が、国会で「つい言い間違えた」と言わされていたのである。
 私自身、こんな国会答弁を聞いたのは初めてだ。
 見ていて気の毒になった。いや、動画を見てもらえればわかる。彼女の表情はまったく生気を失っている。これほどまでにいたましい人間の振る舞い方を見て、心を痛めない人間はそんなにいないはずだ。
(略)
 本当のことを言ってはいけない立場に立たされた時、正直な人間は、正体を失う。自分自身をさえ失う。
 彼女は、自分が従事している仕事の職業倫理に反する回答を求められ、それを衆人環視の中で自分の口から吐き出さなければならなかった。
 とすれば、ロボットみたいな無表情で機械的な発話を繰り返すか、でなければ、3歳児の如き無垢を発揮するほかに対処のしようがないではないか。
(略)
 おそらく、公衆の面前であからさまなウソをついてしまった人間のうちの何割かは、二度とそれ以前の自分に戻れなくなっているはずだ。
 意に沿わぬウソをつかされた人間は、精神的に死んでしまう。
 中には本当に死んでしまう人もいる。
 松尾さんには、ぜひ立ち直ってもらいたいと思っている。
(略)
 ただ、上の立場の人間がウソを押し通す時、その下で働く人間は、ボスのウソをカバーする立場に追い込まれる。これは、当事者にとっては、非常に苦しいミッションだ。
 安倍さんは、その、とてつもなく不毛で罪深い仕事を、自分の足元にいる非常に広範囲の人間たちに強要している。私の個人的な考えでは、安倍政権の罪は、ウソをついたことそのものよりも、部下にウソをつかせ続けてきたことの中にあると思っている。
 ウソをつかされた人間は、死んでしまう。
 自分のウソを糊塗するためにウソをつくのもそれはそれでキツい仕事だが、他人が勝手に言い放ったウソの尻拭いのために自分が人前でウソをつかねばならない立場に追い込まれることは、誇り高い人間にとっては、死を意味している。
(略)
 うちの国の政権中枢に連なる人々は、これまで、財務省の官僚に不自然な答弁を強要し、公文書を改ざんさせ、ホテルの担当者に沈黙を求め、人事院の官僚に答弁を撤回させてきた。
 一つのウソを守るために、10のウソが必要になるというのは、よく言われる話で、実際、時系列に沿って考えればその通りなのだと思う。
 もう一つウソという同じ言葉について、権力勾配に沿って考える見方を推奨しておきたい。
 10人の部下を持つ人間がウソをつくと、10人のウソつきが誕生する。
 安倍首相ご自身は、あるいは、ウソをついている自覚を持っていないのかもしれない。
 しかし、ご自身が何百人何千人のウソつきを生産していることは、ぜひ自覚してもらいたい。ついでに、その何百人何千人のウソつきたちの心が、かなりの度合いで死んでいることも、できれば思い出してあげてほしい。ぜひ。
(引用終わり)

 実は、今日このブログを書き始めた時には、昨日(2月21日)立憲デモクラシーの会が公表した「検察官の定年延長問題に関する声明」をご紹介するつもりだったのですが、この1週間の注目すべき動きを簡単に紹介しようと思っているうちに、自然と松尾恵美子人事院給与局長に焦点が合ってしまい、そうすると、小田嶋隆さんのコラムをご紹介しない訳にはいかないということで、ここまでで相当長くなってしまいました。
 そこで、立憲デモクラシーの会による声明のご紹介は明日(多分書けると思います)に回すことにしました。


(関連法令)
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)
 (定年による退職)
第八十一条の二 職員は、法律に別段の定めのある場合を除き、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の三月三十一日又は第五十五条第一項に規定する任命権者若しくは法律で別に定められた任命権者があらかじめ指定する日のいずれか早い日(以下「定年退職日」という。)に退職する。
〇2 前項の定年は、年齢六十年とする。ただし、次の各号に掲げる職員の定年は、当該各号に定める年齢とする。
一 病院、療養所、診療所等で人事院規則で定めるものに勤務する医師及び歯科医師 年齢六十五年
二 庁舎の監視その他の庁務及びこれに準ずる業務に従事する職員で人事院規則で定めるもの 年齢六十三年
三 前二号に掲げる職員のほか、その職務と責任に特殊性があること又は欠員の補充が困難であることにより定年を年齢六十年とすることが著しく不適当と認められる官職を占める職員で人事院規則で定めるもの 六十年を超え、六十五年を超えない範囲内で人事院規則で定める年齢
○3 前二項の規定は、臨時的職員その他の法律により任期を定めて任用される職員及び常時勤務を要しない官職を占める職員には適用しない。

 (定年による退職の特例)
第八十一条の三 任命権者は、定年に達した職員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において、その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときは、同項の規定にかかわらず、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、その職員を当該職務に従事させるため引き続いて勤務させることができる。
○2 任命権者は、前項の期限又はこの項の規定により延長された期限が到来する場合において、前項の事由が引き続き存すると認められる十分な理由があるときは、人事院の承認を得て、一年を超えない範囲内で期限を延長することができる。ただし、その期限は、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して三年を超えることができない。

  附  則
十三条 一般職に属する職員に関し、その職務と責任の特殊性に基いて、この法律の特例を要する場合においては、別に法律又は人事院規則(人事院の所掌する事項以外の事項については、政令)を以て、これを規定することができる。但し、その特例は、この法律第一条の精神に反するものであつてはならない。

検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)
第二十二条 検事総長は、年齢が六十五年に達した時に、その他の検察官は年齢が六十三年に達した時に退官する。

第三十二条の二 この法律第十五条、第十八条乃至第二十条及び第二十二条乃至第二十五条の規定は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)附則第十三条の規定により、検察官の職務と責任の特殊性に基いて、同法の特例を定めたものとする。

東京高等検察庁検事長定年延長問題について(3)~論点は出そろった(渡辺輝人氏、園田寿氏、海渡雄一氏の論考を読んで)

 2020年2月16日配信(予定)のメルマガ金原No.3445を転載します。

東京高等検察庁検事長定年延長問題について(3)~論点は出そろった(渡辺輝人氏、園田寿氏、海渡雄一氏の論考を読んで)

 私は、東京高等検察庁検事長定年延長問題について、このブログで過去2回、自らの考えをまとめるための(頭の整理をするための)文章を書きました。

2020年2月8日
東京高等検察庁検事長定年延長問題について~法律の規定は読み間違えようがない

2020年2月11日
東京高等検察庁検事長定年延長問題について(2)~政府の解釈はこういうことだろうか?

 そして、その後の事態の推移を踏まえ、昨日(15日)・今日(16日)の休日を利用して、以上の続きを書かねばならないかなと思っていました。
 そう考えた主な理由は以下のようなものでした。

 2月10日の衆議院予算委員会において、山尾志桜里議員(立憲民主党)が質問に立ち、一般職国家公務員に定年制度(「定年による退職の特例」としての勤務延長を含む)を導入するための国家公務員法改正案が審議されていた第94回国会(衆議院内閣委員会)において、当時の立法担当者が、既に別の法律で定年が定められている検察官には、国家公務員法改正案に定める定年制度(現在の第81条の2以下の諸規定)は適用されないということを明言していたことを明らかにしたところまでは、2月11日のブログでご紹介しました。

第94回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 昭和56年4月28日
(引用開始)
○斧誠之助政府委員(人事院事務総局任用局長) 検察官と大学教官につきましては、現在すでに定年が定められております。今回の法案では、別に法律で定められておる者を除き、こういうことになっておりますので、今回の定年制は適用されないことになっております。
(引用終わり)

 その後の「事態の推移」の中で、私が「ブログに続きを書かなければ」と思った主な「事態」は以下の2点です。

○2月12日の衆議院予算委員会における後藤祐一議員(国民民主党)の質問に対し、人事院の給与局長が、人事院として、昭和56年4月28日答弁の見解は変更していない旨答弁した。

○2月13日の衆議院本会議において、安倍晋三首相が、昭和56年当時の政府見解(検察官に国家公務員法の定年制は適用されないという)の存在を認めながら、今般、検察官に国家公務員法の規定を適用できると解釈するに至ったと答弁した。

 以上の答弁は、衆議院インターネット審議中継で確認できます。以下に、その書き起こしを掲載しますが、人事院給与局長の答弁については、後にご紹介する渡辺輝人弁護士の論考「東京高検検事長の定年延長はやはり違法」(2月14日)において、渡辺弁護士が文字起こしされたものを引用させていただき、動画を視聴しながら、一部修正を加えたものであることをお断りします。

 まず、はじめの松尾恵美子人事院給与局長の答弁です。

衆議院インターネット審議中継 2020年2月12日 (水) 予算委員会
問:過去の国会答弁の「定年制」に法81条の3の定年延長の規定が含まれるか
3時間02分30秒~
松尾恵美子人事院給与局長  お答え申し上げます。人事院といたしましては、国家公務員法に定年制を導入した際は、委員ご指摘の昭和56年4月28日の答弁の通り、検察官については、国家公務員法の勤務延長を含む定年制は検察庁法により適用除外されていると理解していたものと認識をしております。
問:現在もその解釈は変わりないか
3時間04分26秒~
松尾人事院給与局長  お答え申し上げます。先ほどご答弁した通り制定当時に際してはそういう解釈でございまして、えー、現在までも特にそれについて議論はございませんでしたので、同じ解釈を引き続いているところでございますが、他方、検察官も一般職の国家公務員でございますので、検察庁法に定められている特例以外については、一般法たる国家公務員法が適用されるという関係にございます。従いまして、国家公務員法検察庁法の適用関係は検察庁法に定められている特例の解釈に関わることでございまして、法務省において適切に整理されるべきものというふうに考えております。
※金原注 後半の答弁で最も重要な部分、渡辺輝人弁護士の書き起こしでは「現在までもそれについて特に議論はございませんでしたので、同じ解釈を続いている訳ですが」となっていましたが、何度も聞き直した結果、「現在までも特にそれについて議論はございませんでしたので、同じ解釈を引き続いているところでございますが」と修正しました。文脈から考えると、「同じ解釈を引き継いでいる」とした方がスッキリするのですが、どうもそうは聞こえないので。

 次に、2月13日の衆議院本会議における安倍首相の答弁です。

衆議院インターネット審議中継 2020年2月13日 (木) 本会議
1時間35分18秒~
まず、幹部公務員の人事については、内閣人事局による一元管理の下、常に適材適所で行っており、内閣人事局制度を悪用し、恣意的人事を行ってきたとのご指摘は全くあたりません。検察官については、昭和56年当時、国家公務員法の定年制は検察庁法により適用除外されていると理解していたものと承知しております。他方、検察官も一般職の国家公務員であるため、今般、検察庁法に定められている特例以外については、一般法たる国家の公務員法が、国家公務員法が適用されるという関係にあり、検察官の勤務延長については、国家公務員法の規定が適用されると解釈することとしたところです。ご指摘の黒川東京高検検事長の勤務延長については、検察庁の業務遂行上の必要性につき、検察庁を所管する法務大臣からの閣議整理により閣議決定されたものであり、何ら問題はないものと考えております。
※金原注 問題の黒川検事長の勤務延長を決定したという1月31日の定例閣議については、2月16日現在、まだ首相官邸ホームページにアップされていません(いつものペースに比べて遅くないですか?)。

 当初の構想では、以上の「事態」を踏まえ、「検察官に国家公務員法を適用して定年延長することが法的に可能なのか?」という問題についての3本目の記事を書くつもりでした。
 国家公務員法上の定年制度(くどいようですが、「定年による退職の特例」としての勤務延長を含む)は検察官には適用されないという(当たり前のというか、それ以外に解釈のしようがない)解釈を人事院がとり続けている中で、一内閣が閣議決定において、「検察官の勤務延長については、国家公務員法の規定が適用されると解釈することとしたところです。」って「一体何なんだ、これは」ということを書かねばと思ったのですが、それを書いたところで、ボヤキか鬱憤晴らしにしかならない可能性が高いなという懸念もありました。

 そう考えていた14日から15日にかけて、よくぞ書いてくださったという論考が3本、あいついでネット上に出現しましたので、これらの論考を1人でも多くの方に読んでもらえるように「拡散」に務めることが大事と思い至りました。
 その3本の論考というのは以下のとおりです。

2020年2月14日(金)12:04
渡辺輝人氏(弁護士)「東京高検検事長の定年延長はやはり違法」

2020年2月15日(土)10:26
園田寿氏(甲南大学法科大学院教授、弁護士)「検事長定年延長問題は、なぜこんなにも紛糾しているのか」

2025年2月15日(土)11:21
海渡雄一氏(弁護士)「法務大臣と検事総長が持たなければならない緊張関係 伊藤栄樹「新版逐条解説検察庁法」を読む」(Facebook)

 渡辺輝人(わたなべ・てるひと)弁護士の論考は、以下の5つの項目につき、帝国議会や国会における会議録など、立法者意思を知るための基礎資料を豊富に引用し、安倍政権による解釈が「非」であり、黒川検事長の定年延長を行った閣議決定は違法はであることを論理的に立証したものであり、現時点での「決定版」だと思います。

(「東京高検検事長の定年延長はやはり違法」の構成)
1 検察庁法の退官(定年)の規定は例外的延長制度を置かない趣旨
2 国家公務員法検察庁法の特例の関係
3 検察官には国家公務員法の定年制度は適用されないこと
4 今国会で示された「解釈の変更」
5 安倍政権による「解釈の変更」は成り立たない

 渡辺弁護士は、論考の末尾において、国家公務員法第1条の規定を引用しながら以下のように述べておられます。

(引用開始)
 国家公務員法1条3項は「何人も、故意に、この法律又はこの法律に基づく命令に違反し、又は違反を企て若しくは共謀してはならない。又、何人も、故意に、この法律又はこの法律に基づく命令の施行に関し、虚偽行為をなし、若しくはなそうと企て、又はその施行を妨げてはならない。」と明記しています。内閣が法律違反をする行為はそもそも許されませんが、憲法15条1項の「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」、2項の「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」という規定に由来する国家公務員法を内閣が勝手に解釈変更することは、なおさら許されないでしょう。
(引用終わり)

 次に、園田寿(そのだ・ひさし)教授の論考は、「検事長の定年延長問題が紛糾しています。この混乱の背景にはさまざまな問題がありますが、ここでは法の解釈運用という技術的な観点から問題を整理したいと思います。」という意図をもって執筆されたものであり、とりわけ、、法解釈の技術として最も重要な「後法優先原理」と「特別法優先原理」が分かりやすく解説されていますので、前記渡辺弁護士の論考と併せ読めば、一層理解が進むものと思います。
 なお、園田教授は、その論考の末尾で以下のように述べられています。

(引用開始)
 報道によると、事前に「内閣法制局人事院とも相談し異論はないとの回答を得ている」とのことですが、正直言って驚きを禁じえません。このような極めて軽い、説得性のかけらもない理由で、閣議決定によって数十年の法的安定性を覆すことができるということに、日本という国が足元からグラグラと揺れるような恐怖を感じました。
(引用終わり)

 3つめの海渡雄一(かいど・ゆういち)弁護士の論考は、前二者とは趣を異にし、法務大臣による検事総長に対する指揮権の問題にフォーカスし、検察官のトップたる検事総長に求められる資質を、元検事総長であった伊藤栄樹氏(1925―1988)の著書『新版 逐条解説 検察庁法』(良書普及会)を読み解くことによって明らかにしようとしたものです。
 伊藤氏が検事総長に在任中の昭和61年(1986年)に刊行された新版(これが最後の版となった)において、法務大臣による指揮権発動についてどのように書いているか、誰しも興味深いものだと思います。海渡弁護士の文章からの孫引きですが、引用してみます。

(引用開始)
 本書旧版において、わたくしは、「しかし、このような事実上の措置にもかかわらず、不幸にして、終局的に相互の意見の対立をみた場合においては、検事総長のとるべき態度として、(1)不服ながらも法務大臣の指揮に従うか、(2)指揮に従わず、自らこれに反する取扱いをし、または、部下検察官に対して法務大臣の指揮に反する指揮をするか、(3)官職を辞するか、の三つが考えられる。(1)の態度をとる場合、ことがらの性質上、国民の前に、法務大臣の指揮を不当と考えるゆえんを発表して、検察の態度を明らかにすることは、許されるものと考える。また、(2)の態度をとる場合、法務大臣は、検事総長の任免権者である内閣に対してその懲戒を申し出て、内閣が懲戒権を行使することとなろう(国家公務員法第八二条)が、もし、検事総長がその懲戒を不服とすれば、国家公務員法所定の公開の口頭審理の手続(同法第九一条)等が行なわれることとなろう。これを要するに、検事総長が(1)(2)(3)いずれの態度をとったとしても、ことは、当然政治問題化し、国民の批判にさらされることとなろう。」と述べた。検事総長の対処ぶりとして考えられるのは、こんなところであろう。
(引用終わり)

※参考条文
検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)
第十四条 法務大臣は、第四条及び第六条に規定する検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。

 以上の伊藤栄樹元検事総長の見解などを踏まえ、海渡弁護士が論考の「まとめ」として主張された部分をご紹介しましょう。

(引用開始)
 伊藤氏が、半生をかけて考え抜いた、法務大臣検事総長の関係について、みてきた。結局のところ、検察の独立性を守るのは最終的には指揮権発動を受ける可能性のある検事総長の識見、人物、独立不羈の精神に帰着することがわかった。だからこそ、検察組織は検事総長に清廉で権力に阿らない人材を配し、政治権力による検察権に対する不当な介入の防波堤を築こうとしてきた。そして、歴代自民党政権も、検事総長人事は聖域として、前任の検事総長の推薦をそのまま受け容れてきたのである。
 森法務大臣と内閣によって任期を延長してもらい、異例な形で検事総長になることが想定されている黒川検事長と森法務大臣あるいは官邸の間には、検察庁法が想定していたような厳しい緊張関係がないことは明らかだ。黒川氏が検事総長に任命されることは検察組織の独立性の根幹を脅かす危機をもたらすだろう。そして、それは政治権力にある者がどんな違法を繰り返しても、裁かれることのない法体制を招いてしまう。なんとしても、そのような事態は食い止めなければならない。
(引用終わり)

 以上、一昨日及び昨日公表された3つの論考をご紹介しました。法律の解釈という、法律家ならざる一般市民にとって、「縁遠い」とか「難しい」と思われるテーマについて書かれたものであり、分かりにくい点もあるかと思いますが、是非辛抱して読み通していただきたいと思います。
 3つの論考は全て筋の通った論理的な文章ですから、理解できないはずはありません。

 そして、読み通していただければ、3人の執筆者の皆さんの、「これ(政府による違法な措置)を黙視はできない」「許してはならない」という法律家としての使命感をひしひしと感じていただけると確信します。
 ご一読の上、是非周りの方にも広めてくださるよう、切にお願いします。


(関連法令)
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)
 (定年による退職)
第八十一条の二 職員は、法律に別段の定めのある場合を除き、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の三月三十一日又は第五十五条第一項に規定する任命権者若しくは法律で別に定められた任命権者があらかじめ指定する日のいずれか早い日(以下「定年退職日」という。)に退職する。
〇2 前項の定年は、年齢六十年とする。ただし、次の各号に掲げる職員の定年は、当該各号に定める年齢とする。

一 病院、療養所、診療所等で人事院規則で定めるものに勤務する医師及び歯科医師 年齢六十五年

二 庁舎の監視その他の庁務及びこれに準ずる業務に従事する職員で人事院規則で定めるもの 年齢六十三年

三 前二号に掲げる職員のほか、その職務と責任に特殊性があること又は欠員の補充が困難であることにより定年を年齢六十年とすることが著しく不適当と認められる官職を占める職員で人事院規則で定めるもの 六十年を超え、六十五年を超えない範囲内で人事院規則で定める年齢
○3 前二項の規定は、臨時的職員その他の法律により任期を定めて任用される職員及び常時勤務を要しない官職を占める職員には適用しない。

 (定年による退職の特例)
第八十一条の三 任命権者は、定年に達した職員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において、その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときは、同項の規定にかかわらず、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、その職員を当該職務に従事させるため引き続いて勤務させることができる。
○2 任命権者は、前項の期限又はこの項の規定により延長された期限が到来する場合において、前項の事由が引き続き存すると認められる十分な理由があるときは、人事院の承認を得て、一年を超えない範囲内で期限を延長することができる。ただし、その期限は、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して三年を超えることができない。

  附  則
十三条 一般職に属する職員に関し、その職務と責任の特殊性に基いて、この法律の特例を要する場合においては、別に法律又は人事院規則(人事院の所掌する事項以外の事項については、政令)を以て、これを規定することができる。但し、その特例は、この法律第一条の精神に反するものであつてはならない。

検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)
第二十二条 検事総長は、年齢が六十五年に達した時に、その他の検察官は年齢が六十三年に達した時に退官する。

第三十二条の二 この法律第十五条、第十八条乃至第二十条及び第二十二条乃至第二十五条の規定は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)附則第十三条の規定により、検察官の職務と責任の特殊性に基いて、同法の特例を定めたものとする。

東京高等検察庁検事長定年延長問題について(2)~政府の解釈はこういうことだろうか?

 2020年2月11日配信(予定)のメルマガ金原No.3444を転載します。

東京高等検察庁検事長定年延長問題について(2)~政府の解釈はこういうことだろうか?

 今日は、2月8日に配信した「東京高等検察庁検事長定年延長問題について~法律の規定は読み間違えようがない」の続編です。
 前回は、2月3日(月)の衆議院予算委員会における、渡辺周氏(国民民主党)の質問に対する森雅子法務大臣の答弁をご紹介したところですが、その後も、この問題を追及する野党議員の質問が続き、それに対する政府側(森法相)の答弁をフォローしなければと考えた次第です。
 ただ、委員会審議の議事録が公開されるまでにはある程度の時間を要するので、それまでは、動画(インターネット審議中継など)を視聴し、必要であれば自分で文字起こしすることになります。

 まず、2月4日(火)の衆議院予算委員会において、統一会派「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」の本多平直議員(立憲民主党)がこの問題について質問しており、法令の解釈にかかわる部分は短いものであったため(それが物足りなくもありますが)、文字起こししたものを以下に掲載します。

衆議院インターネット審議中継
2020年2月4日 予算委員会

※5時間05分経過頃

テレ東NEWS【ノーカット】前代未聞!高検検事長の『定年延長』は安倍政権の“守護神”だから?立憲・本多議員が追及(24分13秒)
※19分53秒~
  

本多平直委員)
これね、専門的過ぎて分かんないかもしれないですけど、この(註「逐条 国家公務員法」のこと)解釈によるとですよ、こういう解説本が、しかし今国会図書館に確認したら今出てるのは一個だけです。法務省の皆さんも裁判の時にはこれ持って使ってますよね。これにはどう書いてうかっていうと、「本条(注:国家公務員法第81条の3)の規定により勤務延長が認められる者は、前条(注:同法第81条の2)第1項の規定により、定年で退職することとなる職員である」と書いてるんですよ。ということは、検察官、東京高検検事長は含まれないですよね。延長ができないじゃないですか。違法じゃないですか。
森雅子法務大臣
はい、これにつきましてはですね、検察官は一般職の国家公務員でありまして、検察庁法は特例として定年の年齢と退職時期の2点を定めております。そうしますと、今ご指摘の条文があてはまり、勤務延長について一般法たる国家公務員法の規定が適用されるものと理解されます。
本多平直委員)
そういう風に、森雅子法務大臣のような人が法律家であることを笠に着て素人をだまさないためにこういう本(注:「逐条 国家公務員法」)があるんですよ。この本には反しているということでいいですね。あの、大臣はそれを主張してください、今後とも。この今1冊しかない解説書のさっき読み上げたところにはあてはまらんまいっていうことでいいですね。だけど大臣は、この解説書の、色々あるから、ここは間違ってると、違う解釈をとるといういことでいいですね。
森雅子法務大臣
ただいまご説明したとおりでございますけれども、勤務延長につきましては、一般法たる国家公務員法の規定が適用されるものでございます。他方、勤務延長について検察法上規定が設けられているかと申しますと、特段の規定が設けられておりません。これについてですね、国家公務員、今ご指摘の国家公務員法ができたあとに、検察庁法に検察庁法32(条)の2であったかと思いますが、特別にその特例である条文があげつらわれております。その中に先ほど私がご指摘いたしました22条、つまり定年とその退職時期、これが誕生日ということになっておりますが、それが特例であると書いてあって、それ以外にですね、特例であるということであればここに条文が載るはずなんでございますが、そこに書いていない勤務延長については、国家公務員法の規定を使わないということが特に記載されておりませんので、一般法の国家公務員法に戻りまして、勤務延長が適用されると理解されます。

 弁護士その他の法律家の皆さまに、法相の説明の意味が分かりますか?とお伺いしたいですね。少なくとも私には理解不能です。

 質問者が訊いているのは、定年延長を定めた国家公務員法第81条の3第1項は、勤務延長ができるのは、「定年に達した職員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合」であると限定しており、検察官はそれに含まれないのだから(検察庁法で別に定年が定められている)、黒川検事長の勤務延長は違法ではないか、というものであるのに、森法相の答弁は、その点には全く答えていないのですから議論になりません。

 さらに、森法相の(というか、答弁起案官僚のというか)検察庁法第32条の2の解釈も非常に特異なものです。この条文は、「国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)附則第十三条の規定により、検察官の職務と責任の特殊性に基いて、同法の特例を定めた」8箇条(その中に第22条も含まれる)を列挙しているのですが、その第32条の2に「勤務延長については、国家公務員法の規定を使わないということが特に記載されておりませんので」一般法たる国家公務員法第81条の3の規定を適用して、検察官にも勤務延長ができるというのですが、この論理(?)は筋が悪過ぎます。
 この答弁を視聴した後、検察庁法(昭和二十二年四月十六日法律第六十一号)に第32条の2がいつ追加されたのか調べてみたのですが、私の手持ちの六法を見ても分からず、現在調査中です。ただ、そもそも国家公務員法に定年(第81条の2)と定年延長(第81条の3)の規定が追加されたのが昭和56年、施行日が昭和60年3月31日なので(それまで一般職国家公務員には定年すらなかった)、どう考えても検察庁法第32条の2の方が先でしょう。ですから、森法相(起案官僚)の説明は時期的な先後関係からしてもおかしいし、さらに、「特例であるということであればここに条文が載るはずなんでございますが」と言うけれど、昭和22年の検察庁法制定以来、検事総長は満65歳、その他の検察官は満63歳を定年としてきた検察官については、昭和56年の国家公務員法改正時に、同改正によって新設される定年制度(ここには定年延長も含む)は適用しないという明確な立法者意思があればこそ、わざわざ検察庁法を改正して「国家公務員法第81条の3の規定は検察官には適用しない」というような規定を設けたり、その条項を検察庁法第32条の2に追加する必要などさらさらなかったのですから、「ここ(注:検察庁法第32条の2)に条文が載るはず」などということがあるはずがありません。

 国家公務員法第81条の3を素直に文理解釈すれば、勤務延長が出来るのは、「定年に達した職員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合」と限定されているのですから、昭和63年3月31日に施行された前条(国家公務員法第81条の2)の規定ではなく、昭和22年5月3日の日本国憲法施行と同時に施行された検察庁法に基づいて定年退職してきた検察官に適用がないことは一読して明らかなことです。第81条の3第1項の中には、また「同項(注:国家公務員法第81条の2第1項)の規定にかかわらず、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、その職員を当該職務に従事させるため引き続いて勤務させることができる。」との規定もあり、この「同項の規定」というのは、「(原則満60年の)定年に達したときは、(略)退職する。」という規定なのですから、63歳や65歳で定年となる検察官の勤務延長など想定していないことは明白です。

 と、ここまで書いてきて、政府の見解がどういうものか、うっすらと分かってきたような気がします。黒川検事長の勤務延長を「合法化」するためには、以下のようなロジックをとるしかないと思います(森法相が明確にこのように言っているという意味ではありません)。

1 国家公務員法第81条の2第1項は、原則として検察官にも適用がある。同項に「法律に別段の定めのある場合を除き」とあるのは、定年制を採用しない特殊な国家公務員についての法律の規定がある場合と解釈する。
2 従って、検察庁法第22条の定年の規定は、国家公務員法第81条の2第2項の特例という位置付けとなる。
3 検察庁法第22条は、定年(満65歳または満63歳)及び退職時期(誕生日)を定めた国家公務員法の特例である。
4 検察庁法第22条は、検察官の定年を延長できるかどうかについては何も定めていない。
5 検察官も、国家公務員法第81条の3第1項にいう「前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合」に該当するのであるから(1参照)、要件を満たすと任命権者が判断すれば勤務延長は可能である。

 どうでしょう?森法相や法務省の官僚に尋ねた訳ではありませんから、この推測が正しいかどうかは分かりませんが、このように解釈しないと、勤務延長を合法だと主張することは不可能でしょう。
 もちろん、私はこれは無理筋の解釈だと思います。
 とりわけ、1の国家公務員法第81条の2第1項「法律に別段の定めのある場合」の解釈はアクロバティック過ぎますし、3、4の検察庁法第22条の解釈は、真っ当な論理解釈に耐えないだろうと思います。

 さて、以上が、2月4日の衆議院予算委員会における本多平直議員の質問に対する森雅子法務大臣の答弁を聴いた私の感想です。
 5日、6日、7日も衆議院では予算委員会が開催されていましたが、検事長勤務延長問題を質した議員がいたかどうか確認できていません。
 そして、昨日(2月10日)の衆議院予算委員会に、この問題を追及するための真打ちがいよいよ登場しました。4年近くの検事としての勤務経験を持つ山尾志桜里議員(立憲民主党)です。
 山尾議員は、皇位継承問題に次ぐ2つ目の質問項目として検察官定年延長問題を取り上げ、質問の冒頭で「誰かを念頭に置くというよりは、私は制度の話をしたい」と断ったとおり、豊富な資料博捜の成果を踏まえつつ、理詰めで、政府による勤務延長決定の違法性を浮かび上がらせていきました。
 会議録が公開されれば是非ご紹介したいと思いますが、まだしばらく時間がかかりそうなので、それまでは、以下の衆議院インターネット審議中継をご覧ください。

衆議院インターネット審議中継
2020年2月10日 予算委員会
※山尾議員は4時間36分から登場し、検察官定年延長問題については5時間00分頃から質問が始まります。

 ただ、私も30分近い質疑の内容を文字起こしするだけの時間も気力もないため、今日のところは、この問題を報じた東京新聞の記事の中から、山尾議員の質問に関する部分を引用させていただきます。

東京新聞 2020年2月11日 朝刊
検事の定年延長「違法」? 高検検事長の人事 検察からも疑義

(抜粋引用開始)
 十日の衆院予算委員会では立憲民主党山尾志桜里氏が、国家公務員法に定年制を導入した一九八一年の国会審議を引き合いに「違法な措置だ」と追及した。
 当時の人事院幹部が「検察官と大学教官は、(検察庁法などで)既に定年が定められている。(国家公務員法の)定年制は適用されない」と答弁しており、「今回も適用できないはずだ」と指摘。森雅子法相は「その答弁は把握していない」とし、「定年延長は、一般法の国家公務員法が適用される」と従来通りの説明を繰り返した。
(引用終わり)

 山尾議員が指摘した人事院幹部(政府委員)の答弁というのは、昭和56年(1981年)4月28日の衆議院内閣委員会における神田厚議員(民社党)からの質問に答えたもので、早速、私も調べてみました。
 山尾議員が指摘したのは多分以下の部分です。

第94回国会 衆議院 内閣委員会 第10号 昭和56年4月28日
(引用開始)
○神田厚委員 指定職の高齢化比率が非常に高いわけでありますが、五十四年現在で六十歳以上の者の占める割合は約四〇・一%。定年制の導入は当然指定職にある職員にも適用されることになるのかどうか。たとえば一般職にありましては検事総長その他の検察官、さらには教育公務員におきましては国立大学九十三大学の教員の中から何名か出ているわけでありますが、これらについてはどういうふうにお考えになりますか。
○斧誠之助政府委員(人事院事務総局任用局長) 検察官と大学教官につきましては、現在すでに定年が定められております。今回の法案では、別に法律で定められておる者を除き、こういうことになっておりますので、今回の定年制は適用されないことになっております。
(引用終わり)

 よく探し出したなと感心しますが、これは、国家公務員法第81条の2第1項にいう「法律に別段の定めのある場合」の解釈として、検察庁法など、既に国家公務員法よりも前から独自の定年制を定めている法律がある場合には、「法律に別段の定めのある場合」にあたり、国家公務員法第81条の2に基づく定年制は適用されないという当たり前の解釈を、当時の立法担当者も当然の前提にしていたことの裏付けとなる資料です。
 昭和56年の国家公務員法改正時には様々な議論があったのですから、当時の資料を博捜すれば、同趣旨の資料がもっと発見できるのではないかと思います。

 山尾志桜里議員は、以上の資料なども踏まえ、もしも立法者が、検察官にも定年延長の規定を適用できると考えていたのであれば、国家公務員法第81条の3第1項は、「任命権者は、定年に達した職員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において、(略)引き続いて勤務させることができる。」などとは書かず、必ず「任命権者は、定年に達した職員が退職すべきこととなる場合において、(略)引き続いて勤務させることができる。」と規定したはずという、法律家なら誰でも分かるロジックで法相を追及しています。
 さらに付言すれば、先ほど指摘したとおり、もしも立法者が、検察官にも定年延長の規定を適用できると考えていたのなら、国家公務員法第81条の3第1項に、「同項(注:国家公務員法第81条の2第1項)の規定にかかわらず」というような文言は書きこまなかったはずです。

 とりあえず、今日のところはこれまでとします。多分、(続く)ということになるだろうと思います。

(関連法令)
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)
 (定年による退職)
第八十一条の二 職員は、法律に別段の定めのある場合を除き、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の三月三十一日又は第五十五条第一項に規定する任命権者若しくは法律で別に定められた任命権者があらかじめ指定する日のいずれか早い日(以下「定年退職日」という。)に退職する。
〇2 前項の定年は、年齢六十年とする。ただし、次の各号に掲げる職員の定年は、当該各号に定める年齢とする。
一 病院、療養所、診療所等で人事院規則で定めるものに勤務する医師及び歯科医師 年齢六十五年
二 庁舎の監視その他の庁務及びこれに準ずる業務に従事する職員で人事院規則で定めるもの 年齢六十三年
三 前二号に掲げる職員のほか、その職務と責任に特殊性があること又は欠員の補充が困難であることにより定年を年齢六十年とすることが著しく不適当と認められる官職を占める職員で人事院規則で定めるもの 六十年を超え、六十五年を超えない範囲内で人事院規則で定める年齢
○3 前二項の規定は、臨時的職員その他の法律により任期を定めて任用される職員及び常時勤務を要しない官職を占める職員には適用しない。

 (定年による退職の特例)
第八十一条の三 任命権者は、定年に達した職員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において、その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときは、同項の規定にかかわらず、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、その職員を当該職務に従事させるため引き続いて勤務させることができる。
○2 任命権者は、前項の期限又はこの項の規定により延長された期限が到来する場合において、前項の事由が引き続き存すると認められる十分な理由があるときは、人事院の承認を得て、一年を超えない範囲内で期限を延長することができる。ただし、その期限は、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して三年を超えることができない。

  附  則
十三条 一般職に属する職員に関し、その職務と責任の特殊性に基いて、この法律の特例を要する場合においては、別に法律又は人事院規則(人事院の所掌する事項以外の事項については、政令)を以て、これを規定することができる。但し、その特例は、この法律第一条の精神に反するものであつてはならない。

検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)
第二十二条 検事総長は、年齢が六十五年に達した時に、その他の検察官は年齢が六十三年に達した時に退官する。

第三十二条の二 この法律第十五条、第十八条乃至第二十条及び第二十二条乃至第二十五条の規定は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)附則第十三条の規定により、検察官の職務と責任の特殊性に基いて、同法の特例を定めたものとする。

君島東彦立命館大学教授(憲法学・平和学)講演会のご案内(2020年3月14日@和歌山市河北コミセン/守ろう9条紀の川 市民の会 第16回 総会)

 2020年2月9日配信(予定)のメルマガ金原No.3443を転載します。

君島東彦立命館大学教授(憲法学・平和学)講演会のご案内(2020年3月14日@和歌山市河北コミセン/守ろう9条紀の川 市民の会 第16回 総会)

 私の住む和歌山市北部(紀の川北岸)の市民によって結成された「守ろう9条 紀の川 市民の会」は、2005年1月24日に設立総会を開き、その後、おおむね春に総会を、秋に憲法フェスタを開催するのを恒例として現在に至っています。
 この間、会員の高齢化や行事参加者の固定化など、他の団体と同じ悩みを抱えながらも、中断することなく活動を継続してきたこと自体に大きな意義があると思います(設立以来の運営委員である私が言うのもやや面映ゆいところですが)。

 さて、その「守ろう9条 紀の川 市民の会」の、回を重ねて16回目の総会を開催する時期となりました。今年の総会は、来たる3月14日(日)午後1時30分~、私たちのホームグラウンドである和歌山市河北コミュニティセンターで開催します。
 今年の総会における記念講演の講師には、立命館大学国際関係学部教授の君島東彦(きみじま・あきひこ)先生をお招きし、「激変する東アジアで憲法9条を考える」と題してご講演いただくことになりました。

 君島先生のプロフィールについては、立命館大学大学院国際関係研究科ホームページの指導教員紹介ページの記載を引用させていただきます。

(引用開始)
専門分野・ディシプリン
 憲法学、平和学
研究内容
 憲法国際政治学、国際関係論、平和学の視点から考察しています。とりわけ、日本国憲法の平和主義を平和学の視点、東アジアの文脈、NGO活動との関連でとらえなおすこと、グローバルな立憲主義について考察することが課題です。自分自身でNGO活動もしています。また毎年ノーベル平和賞の候補者をノミネートしています。
大学院を目指す方へ
 わたしはいま、「世界の諸憲法の平和条項の比較研究」「平和構築と憲法制定に関する研究」を行なっています。これらのテーマは世界の中でも日本でもっとも研究されています。また、「ミリタリーと市民社会(シビリアン、NGO)との対話」もわたしのテーマです。これらのテーマに関心があるみなさんを大歓迎します。
(引用終わり)

 以前、私のブログに書いたことがありますが(2017年7月31日/君島東彦立命館大学教授「安倍改憲案とわたしたちの平和構想―9条論の再創造―」講演動画を視聴する)、君島先生は、2013年10月13日・14日に開催された「9条世界会議関西2013」において、発言者、分科会コーディネーターなどとして活躍されました。私も2日目の会場・大阪市中央体育館に和歌山の仲間と一緒に駆け付け、午前中、君島先生が発言される会場に何とか潜り込んだものの、身動きとれぬすし詰め状態で(午後の全体会はそうでもなかったのですが)、すぐに表に避難したため、君島先生のお話はほとんどうかがえなかったことが今でも心残りであり、そういうことからも、3月14日に和歌山市河北コミセンで君島先生のお話をうかがうのをとても楽しみにしているのです。

 今回の演題「激変する東アジアで憲法9条を考える」は、君島先生が各地で行っておられる講演の内容を教えていただいた上で、当会から「激変する東アジアから憲法9条を考える」ではどうでしょうか?と提案したところ、君島先生から、日本も憲法9条も東アジアの外部にあるのではなくどちらも東アジアの内部に位置づけられるのだからとの理由で「激変する東アジアで憲法9条を考える」とすべきでは、とのご意見をいただき、そのように決定した次第です。
 当会会員でなくてもどなたでもご参加いただけます(入場無料)。
 必ずや有意義な学びの機会が得られると思いますので、1人でも多くの方においでいただきたく、情報拡散に何卒ご協力をお願い致します。

 なお、君島先生は、「守ろう9条紀の川 市民の会」がお招きする12人目の憲法研究者です。過去ご講演いただいた11人の皆さんは以下のとおりです。

吉田栄司関西大学教授(2012年憲法フェスタ)
森 英樹名古屋大学名誉教授(2014年総会)
清水雅彦日本体育大学教授(2014年憲法フェスタ)
高作正博関西大学教授(2015年憲法フェスタ)
石埼 学龍谷大学教授(2016年総会)
植松健一立命館大学教授(2017年総会)
本 秀紀名古屋大学大学院教授(2017年憲法フェスタ)
三宅裕一郎三重短期大学教授(2018年総会)
 ※現・日本福祉大学教授
飯島滋明名古屋学院大学教授(2018年憲法フェスタ)
長峯信彦愛知大学教授(2019年総会)
長岡徹関西学院大学教授(2019年憲法フェスタ)

 過去の記念講演の内容については、「九条の会・わかやま」にその要旨が掲載される例となっていますので、レジュメなどをご紹介した私のブログで併せ、過去の11人の先生方の講演内容をご紹介した「九条の会・わかやま」と私のブログへのリンクを巻末に掲載しておきますのでご参照ください。
 それでは、以下に第16回総会の開催を告知するチラシ記載データをご紹介します。

(チラシから引用開始)
守ろう9条 紀の川 市民の会 第16回総会

 トランプ米大統領国連憲章国際法違反のイラン司令官殺害による中東危機の中、安倍首相は自衛隊を中東に派遣しました。集団的自衛権を容認した戦争法のもとで、憲法違反の重大事態です。
 先の参院選で発議可能な改憲派は3分の2の議席を失ったにも拘らず、安倍首相は臨時国会終了後の記者会見で「必ずや私の手で改憲を成し遂げていきたい」と語り、自らの自民党総裁任期の2021年9月までに改憲を実現する決意を語りました。また、「時がきたと考えれば躊躇なく解散総選挙を断行する」とも述べました。改憲派は時期と条件を選んで総選挙を実施し、そこで勝利すれば、安倍首相は改憲が世論に支持されたと強弁し、ありとあらゆる手段を使って改憲発議を実現しようとするに違いありません。いよいよ、「改憲発議」「安倍改憲国民投票」を許すかどうかの正念場になりました。
 どの世論調査を見ても「安倍首相のもとでの改憲に反対」は半数を超えています。この声を一層大きく広げなければなりません。「日本国憲法9条とは何か ─ その人類史的意味」を今一度考えたいと思います。多数のみなさまのご参加を願っています。

※総会は会員でなくても参加できます。もちろん無料です。多くの方にご参加いただきたいと願っています。

日時 2020年3月14日(土)午後1時30分~4時20分
場所 河北コミュニティセンター 2F 多目的ホール
     和歌山市市小路192-3(TEL:073-480-3610)
      無料駐車場あり
      南海本線紀ノ川駅」下車徒歩3分
      (改札口を左折120m、左折し踏切を越え180m、右側)
      和歌山バス・六十谷線
      (川永団地⇔南海和歌山市駅)「梶取東バス停」前

◎第1部
 記念講演 13:40~15:15
 激変する東アジアで憲法9条を考える
 講師 君島東彦(きみじま・あきひこ)氏
      立命館大学 国際関係学部 教授(憲法学・平和学)
◎第2部 総会議事  15:20~16:10

主催:守ろう9条 紀の川 市民の会
お問合せ先:073-462-0539 原 通範

【参考資料】
〇2019年10月20日
公開研究会「安全保障研究の最先端―憲法平和主義への示唆―」(共催:憲法ネット103、政治経済研究所・憲法研究室)
君島東彦氏レジュメ
〇2014年12月 君島東彦氏「安全保障の市民的視点」
〇2018年11月 君島東彦氏「憲法9条と国際協調主義」

【参考動画】
2017年7月30日 第17回左京フォーラム(於:京大吉田キャンパス
講演「安倍改憲案とわたしたちの平和構想~9条論の再創造」  

 https://www.youtube.com/watch?v=SfbVUT7R3Kc


【付録・11人の憲法研究者の講演録を読む~「守ろう9条 紀の川 市民の会」で語られたこと(吉田栄司氏、森英樹氏、清水雅彦氏、高作正博氏、石埼学氏、植松健一氏、本秀紀氏、三宅裕一郎氏、飯島滋明氏、長峯信彦氏、長岡徹氏)】

2019年11月3日(日) 第16回 憲法フェスタ
長岡 徹氏(関西学院大学教授)
戦場へ行く自衛隊~改めて安保法制の違憲性を考える~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」386号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」387号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」388号
金原ブログ「長岡徹氏(関西学院大学教授)の講演「戦場へ行く自衛隊~改めて安保法制の違憲性を考える~」レジュメを読む(第16回 守ろう9条紀の川市民の会 憲法フェスタ)」

2019年6月2日(日) 第15回総会

長峯信彦氏(愛知大学教授)
安倍改憲のトリックを斬る~憲法制定過程の真実と平和憲法を守る歴史的責任~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」376号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」377号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」378号
金原ブログ①「長峯信彦氏(愛知大学教授)「安倍改憲のトリックを斬る~憲法制定過程の真実と平和憲法を守る歴史的責任~」講演レジュメを読む(守ろう9条紀の川 市民の会 第15回総会)」前編
金原ブログ② 同 中編
金原ブログ③ 同 後編

2018年11月11日(日) 第15回憲法フェスタ
飯島滋明氏(名古屋学院大学教授)
自民党改憲案にどう向かい合うか~私たちの具体的な対抗策は~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」363号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」364号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」365号
金原ブログ「飯島滋明さんの講演「自民党改憲案にどう向かい合うか~私たちの具体的な対抗策は~」レジュメ紹介~第15回守ろう9条紀の川市民の会 憲法フェスタにて」

2018年3月24日(土) 第14回総会
三宅裕一郎氏(三重短期大学教授 ※現・日本福祉大学教授)
憲法9条が果たしてきた役割~「自衛隊」の明記によって何が変わるのか?~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」346号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」347号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」348号
金原ブログ「三宅裕一郎氏(三重短期大学教授)「憲法9条が果たしてきた役割-「自衛隊」の明記によって何が変わるのか?-」講演レジュメを読む(守ろう9条紀の川 市民の会 第14回総会)」

2017年11月3日(金・祝) 第14回憲法フェスタ
本 秀紀氏(名古屋大学大学院教授)
安倍政権の9条破壊を許さない~海外で戦争する『自衛隊』は認められない~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」336号
講演録② 会紙「九条の会・わかやま」337号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」338号
金原ブログ「2日連続 名古屋大学大学院教授(本秀紀氏&愛敬浩二氏)から学ぶ憲法をめぐる動向」

2017年4月1日(土) 第13回総会
植松健一氏(立命館大学教授)
安倍首相はなぜ憲法(constitution)を変えたいのか
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」321号
講演録②  会紙「九条の会・わかやま」322号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」323号
金原ブログ「植松健一氏(立命館大学教授)「安倍首相はなぜ憲法(constitution)を変えたいのか」講演レジュメを読む(守ろう9条 紀の川 市民の会 第13回総会)」

2016年4月2日(土) 第12回総会
石埼 学氏(龍谷大学法科大学院教授)
戦争法は廃止、憲法9条が輝く日本を取り戻そう~今、私たちにできること~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」296号
講演録②  会紙「九条の会・わかやま」297号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」298号
金原ブログ①「石埼学龍谷大学法科大学院教授の講演をレジュメから振り返る~4/2「守ろう9条 紀の川 市民の会」第12回総会から」
金原ブログ②「石埼学龍谷大学法科大学院教授の【設問】に答える~「安保法制」講師養成講座2」

2015年11月3日(火・祝) 第12回憲法フェスタ
高作正博氏(関西大学教授)
「戦争法制」で日本はどんな国になるのか~私たちはどう対抗すべきか~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」285号
講演録②  会紙「九条の会・わかやま」286号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」287号
講演録④ 会紙「九条の会・わかやま」288号
金原ブログ「「第12回 憲法フェスタ」(11/3 守ろう9条 紀の川 市民の会)レポートと11月中の和歌山での取組予定のお知らせ」

2014年11月8日(土) 第11回憲法フェスタ
清水雅彦氏(日本体育大学教授)
ちょっと待った!集団的自衛権~日本を戦争する国にさせない~
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」260号
講演録②  会紙「九条の会・わかやま」261号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」262号
金原ブログ「『脱走兵』が日本の現実とならないように~11/8守ろう9条紀の川市民の会「第11回 憲法フェスタ」」

2014年3月30日(日) 第10回総会
森英樹氏(名古屋大学名誉教授)
「国家安全保障基本法」は戦争体制を作りあげるもの
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」243号
講演録②  会紙「九条の会・わかやま」244号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」245号
金原ブログ「森英樹氏講演会を開催しました(守ろう9条紀の川 市民の会・第10回総会)」

2012年11月3日(土・祝) 第9回憲法フェスタ
吉田栄司氏(関西大学教授)
改憲派憲法を変えて日本をどんな国にしようとしているのか
講演録① 会紙「九条の会・わかやま」205号
講演録②  会紙「九条の会・わかやま」206号
講演録③ 会紙「九条の会・わかやま」207号

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東京高等検察庁検事長定年延長問題について~法律の規定は読み間違えようがない

 2020年2月8日配信(予定)のメルマガ金原No.3442を転載します。

東京高等検察庁検事長定年延長問題について~法律の規定は読み間違えようがない

 去る1月31日、内閣は定例閣議において、2月8日に満63歳の検察官としての定年(検察庁法第22条)を迎える東京高等検察庁の黒川弘務検事長の勤務を半年間延長させることを、国家公務員法第81条の3第1項に基づいて決定したと報じられました(閣議の議事録はまだ公開されていません)。
 本稿は、上記閣議決定の「判断の適否」を論じようとするものではありません。純粋に、「法律上そんなことが可能なのか?」という素朴な疑問を自ら検証してみよう、というものに過ぎません。

 そして、その検証といっても、主として郷原信郎、渡辺輝人、海渡雄一各弁護士がいち早く公表された論考に導かれ、関連法条を読んでみたというのが実態であることを予めお断りしておきます。

郷原信郎「黒川検事長の定年後「勤務延長」には違法の疑い」
渡辺輝人「安倍政権による東京高検検事長の定年延長は違法ではないか」
海渡雄一「検察官に国公法の定年は適用されない!」(Facebook)

 この問題を考えるための関連法条は以下のとおりです(条文は巻末にまとめて引用してあります)。

検察庁法第22条(検事正及びその他の検察官の定年)
検察庁法第32条の3(国家公務員法の特例)
国家公務員法第81条の2(定年による退職)
国家公務員法第81条の3(定年による退職の特例)
国家公務員法附則第13条(国家公務員法の特例)

 いやしくも法律家であるならば、上記関連法条を一読するだけで、自ずから導かれる解釈は1つしかないと、少なくとも私は思います。
 ただ、それだけでは、法律家ならざる人にはよく分からないかもしれませんので、少し言葉を補って説明します。

 検察官も国家公務員である以上、国家公務員法の適用がある。そして、必要な場合には定年を延長できるという規定が、検察庁法にはないものの、国家公務員法第81条の3にはある。そこで、黒川弘務東京高検検事長の定年(勤務)延長もできる、というのが1月31日の閣議決定の論理のようです。

 けれども、「本当にそうか?」と多くの法律家が疑問をいだき、声をあげたのは、以下のように関連法条を読み取ったからだと思います。

 今回の勤務延長の根拠となった国家公務員法第81条の3第1項は、「任命権者は、定年に達した職員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において、その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときは、同項の規定にかかわらず、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、その職員を当該職務に従事させるため引き続いて勤務させることができる。」と定めています。
 ここで読み過ごしてはならない最重要部分は「前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において」です。
  前条(第81条の2)第1項は以下のような規定です。
「職員は、法律に別段の定めのある場合を除き、定年(注:同条第2項によって「年齢六十年」と定められています)に達したときは、定年に達した日以後における最初の三月三十一日又は第五十五条第一項に規定する任命権者若しくは法律で別に定められた任命権者があらかじめ指定する日のいずれか早い日(以下「定年退職日」という。)に退職する。」
 つまり、国家公務員法第81条の3第1項によって勤務延長の決定が出来るのは、同法第81条の2第1項「の規定により退職すべきこととなる場合」に限定されているのであって、他の法令によって異なる定年が定められている公務員に適用はないと解釈するのがごく素直な文理解釈というものです。

 そして、検察庁法第22条は「検事総長は、年齢が六十五年に達した時に、その他の検察官は年齢が六十三年に達した時に退官する。」と特別の定めを置き、全ての検察官は、国家公務員法第81条の2第1項ではなく、検察庁法第22条の「規定により退職」しているのですから、国家公務員法第81条の3第1項による定年延長など出来るわけがありません。

 ただし、それにもかかわらず、内閣が黒川検事長の勤務延長に踏み切ったのはなぜか?ということが疑問になってきます。

 この点について、去る2月3日の衆議院予算委員会において、森雅子法相は、国民民主党渡辺周氏の質問に答え、「検察庁法は国家公務員法の特別法。特別法に書いていないことは一般法の国家公務員法が適用される」と説明したそうです(中日新聞・共同)。
 まだこの日の会議録は公開されていませんので、衆議院インターネット審議中継を視聴してみました。
 全部で8時間28分もある中継動画の6時間45分経過頃からが問題の森雅子法務大臣による答弁がありました。書き起こししてみます。

「委員もよくご存知だと思うんですけれど、検察庁法は、国家公務員法の特別法にあたります。そして、特別法に書いていないことは、一般法である国家公務員法の方で、そちらが適用されることになります。検察庁法の22条を今お示しになりましたが、そちらには定年の年齢は書いてございますけれども、勤務延長の規定について特別な規定は記載されておりません。そしてこの検察庁法と国家公務員法との関係が検察庁法32(条)の2に書いてございまして、そこには(検察庁法)22条が特別だと書いてございまして、そうしますと、勤務延長については、同法が適用されることになります。」

 おそらく、法務省の官僚が用意したと思われる答弁用原稿を読み終え、自席に戻る森法相の姿を映像で眺めながら、私の頭には「?」がいくつも浮かんでいました。
 根本的には、「特別法に書いていないことは、一般法である国家公務員法の方で、そちらが適用されることになります。」と言うけれど、検察庁法に(勤務延長のことが)「書いていない」と言えるのか?(勤務延長できないという趣旨も含んでいるのではないか)ということが最大の問題ですが、検察庁法第32条の2を持ち出したことも疑問です。同法第32条の2というのは、同法の最後の条文で、こういう内容です。
「この法律第十五条、第十八条乃至第二十条及び第二十二条乃至第二十五条の規定は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)附則第十三条の規定により、検察官の職務と責任の特殊性に基いて、同法の特例を定めたものとする。」

 具体的に言うと、
第15条 検察官の任免
第18条 二級検察官の任命及び叙級
第19条  一級検察官の任命及び叙級
第20条 検察権に任命できない者の特例
第22条 検事総長及びその他の検察官の定年
第23条 検察官の免官
第24条 検察官に剰員が生じた場合の特例
第25条 検察官の身分保障
などの諸規定が、国家公務員法の「特例」であることを念のために明示した規定です。

 なお、その根拠となった国家公務員法附則第13条は、「一般職に属する職員に関し、その職務と責任の特殊性に基いて、この法律の特例を要する場合においては、別に法律又は人事院規則(略)を以て、これを規定することができる。」という規定です。

 まあ、ここまで読めば、検察庁法第22条が国家公務員法第81条の2の「特例」を定めたものであることは、共通認識(!)であることが確認できたと思いますが、それではなぜ政府は、検察官に国家公務員法第81条の3を適用して勤務延長(定年延長)が出来ると解釈しているのでしょうか?
 正直、森法相の説明を聞いてもさっぱり分かりません。
 元検察官の郷原信郎弁護士も、以下のような論説を書いておられます。

郷原信郎「「検事長定年延長」森法相答弁は説明になっていない」

 森法相の答弁を聞いて私の頭に浮かんだ最初の「?」についても、郷原弁護士は明確に主張されています。

(引用開始)
 問題は、検察庁法22条の「検事総長は、年齢が65年に達した時に、その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する。」という規定が、「退官年齢」だけを規定したもので、「定年延長」については規定がないと言えるのかどうかである。検察庁法の性格と趣旨に照らせば、「退官年齢」と「定年延長は認めない」ことの両方を規定していると解するのが当然の解釈だろう。
(引用終わり)

 私の現時点での最後に残った疑問は、政府は、国家公務員法第81条の3第1項にいう「定年に達した職員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において」という要件をどうクリアしようというのだろうか?ということです。
 もしかしたら、第81条の2第1項「職員は、法律に別段の定めのある場合を除き、定年に達したときは、(略)退職する。」とあるのだから、検察庁法第22条という「法律に別段の定めのある場合」であっても、第81条の2第1項により「退職すべきこととなる場合」に含まれるとでもいうのでしょうか?まさかとは思いますけどね。

 なお、渡辺暉人弁護士や海渡雄一弁護士が引用されている国家公務員法についてのコンメンタール「逐条 国家公務員法」(森園幸男・吉田耕三・尾西雅博編/学陽書房2015年3月刊/2万円+税)に以下のような記載があるそうです(第81条の2についての解説の一部)。

逐条国家公務員法 [大型本]

学陽書房

2015-03-24


 
(引用開始)
「法律に別段の定めのある場合」には、本法の定年制度の対象とはならない。一般職の国家公務員については、原則的には本法に定める定年制度が適用されるが、従来から他の法律により定年制度が定められているものについては、その経緯等に鑑み、それぞれの法律による定年制度を適用しようとするものである。このようなものとしては、検察庁法第二二条による検事総長(六五歳)及び検察官(六三歳)の定年、教特法第三一条の規定に基づく文部科学省国立教育政策研究所の研究施設研究教育職員(六三歳)の定年がある。
(引用終わり)

 ここまで書いてきて、法律の解釈などには慣れていない一般の方にはさっぱり理解していただけなかったのでは、と思えてきました。
 私自身、国家公務員法第81条の3第1項の規定によって、東京高検検事長の勤務延長が出来るという解釈を編み出した官僚(いたはずです)の思考経路を跡づけようと試みたのですが、正直、途上で挫折した思いです。
 いやはや、とんでもない世の中になったものです。

(関連法令)
国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)
 (定年による退職)
第八十一条の二 職員は、法律に別段の定めのある場合を除き、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の三月三十一日又は第五十五条第一項に規定する任命権者若しくは法律で別に定められた任命権者があらかじめ指定する日のいずれか早い日(以下「定年退職日」という。)に退職する。
〇2 前項の定年は、年齢六十年とする。ただし、次の各号に掲げる職員の定年は、当該各号に定める年齢とする。
一 病院、療養所、診療所等で人事院規則で定めるものに勤務する医師及び歯科医師 年齢六十五年
二 庁舎の監視その他の庁務及びこれに準ずる業務に従事する職員で人事院規則で定めるもの 年齢六十三年
三 前二号に掲げる職員のほか、その職務と責任に特殊性があること又は欠員の補充が困難であることにより定年を年齢六十年とすることが著しく不適当と認められる官職を占める職員で人事院規則で定めるもの 六十年を超え、六十五年を超えない範囲内で人事院規則で定める年齢
○3 前二項の規定は、臨時的職員その他の法律により任期を定めて任用される職員及び常時勤務を要しない官職を占める職員には適用しない。

 (定年による退職の特例)
第八十一条の三 任命権者は、定年に達した職員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において、その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときは、同項の規定にかかわらず、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、その職員を当該職務に従事させるため引き続いて勤務させることができる。
○2 任命権者は、前項の期限又はこの項の規定により延長された期限が到来する場合において、前項の事由が引き続き存すると認められる十分な理由があるときは、人事院の承認を得て、一年を超えない範囲内で期限を延長することができる。ただし、その期限は、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して三年を超えることができない。

  附  則
十三条 一般職に属する職員に関し、その職務と責任の特殊性に基いて、この法律の特例を要する場合においては、別に法律又は人事院規則(人事院の所掌する事項以外の事項については、政令)を以て、これを規定することができる。但し、その特例は、この法律第一条の精神に反するものであつてはならない。

検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)
第二十二条 検事総長は、年齢が六十五年に達した時に、その他の検察官は年齢が六十三年に達した時に退官する。

第三十二条の二 この法律第十五条、第十八条乃至第二十条及び第二十二条乃至第二十五条の規定は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)附則第十三条の規定により、検察官の職務と責任の特殊性に基いて、同法の特例を定めたものとする。

タカ派こそ「和平」を進められる~けれどもタカ派にも色々ある

 202022日配信(予定)のメルマガ金原No.3441を転載します。

タカ派こそ「和平」を進められる~けれどもタカ派にも色々ある

 本稿は、昨日(2月1日)書いた「テキスト(印刷教材)は捨てられない」の続編ともいうべきものであり、まずFacebookに投稿し、それを転載することとしたものです。

タカ派こそ「和平」を進められる~けれどもタカ派にも色々ある】

 放送大学の2020年度第1学期で新規に開講される放送授業の中に「中東の政治('20)」(高橋和夫放送大学名誉教授)という科目が含まれており、是非受講しようと考えているのですが、その代わり、4年前から開講されている同教授の「パレスチナ問題('16)」が閉講となるため、「中東の政治」の予習をかねて、録画してある「パレスチナ問題」全15回を再視聴しています。今日は「第11回 ラビン/その栄光と暗殺」と「第12回 ネタニヤフとバラク」を視聴しました。

 思い返せば、2016年度2学期に私が受講した「パレスチナ問題」の単位認定試験で高橋先生が出題された問題は、
「【設問】以下のうちから1問を選び750字以上800字以内で答えなさい。
問1 ラビンについて論じなさい。
問2 エルサレム公開大学について論じなさい。」
というものでしたので、私は①を選び、第三次中東戦争の英雄(参謀総長だった)で、2度イスラエルの首相を務め、2度目の首相在任中の1993年、PLOとの間でいわゆる「オスロ合意」を結び、パレスチナ和平の扉を開きながら、1995年、銃弾に倒れたイツァーク・レビンについて回答し、高橋先生から合格点をいただいて2単位取得したのですが、イスラエルにはもう1人、2度首相を務めた政治家がいます。それが、今も同国の首相の地位にあるベンヤミン・ネタニヤフ氏(1949年10月生)です。

 同氏の最初の首相在任が1996年6月から1999年7月まで。そして、2009年3月に首相に返り咲き、何と2020年の今もまだ首相にとどまっています。もっとも、先月(1月)末にはイスラエルの検察当局がネタニヤフ首相を収賄や背任の容疑で起訴したことが伝えられており、そろそろ年貢の納め時が近いのかもしれませんが。

 ところで、今日視聴した放送授業「パレスチナ問題('16)」は2016年4月に開講されたもので、海外取材を含む番組作りはその前年には終わっていたと思いますが、その中で、イスラエルの平和活動家として高名なウリ・アブネリ氏に対するインタビューが何回分かの授業で使われており、「第12回 ネタニヤフとバラク」においても、同氏のネタニヤフ氏に対する(辛辣な)評価が聴けます(アブネリ氏は、惜しくも2018年に94歳の高齢で逝去されました)。
 私は視聴していて、(インタビューは英語で行われているのですが)思わず日本語字幕を書き写してしまいました。以下に、高橋先生によるウリ・アブネリ氏インタビューの(字幕)書き起こしをご紹介します。

高橋和夫氏「ベンヤミン・ネタニヤフについてお話しを」
〇ウリ・アブネリ氏「ネタニヤフですか・・・。ネタニヤフ氏はイスラエルにとり災いです。
非常に右翼的です。
父親は歴史家でしたが、さらに右翼的でした。極端すぎて右翼の政治指導者とも敵対していましたがね。
そして父親はネタニヤフを高く買わなかった。父親が目をかけていたのは兄の方で、この兄はアフリカでの軍事作戦で戦死しています。
ネタニヤフは政治家として非常に有能です。非常にテレビ映りがよいのです。現代の政治家には必要な資質です。
でもネタニヤフにはビジョンがない。戦略上の現実的な見通しを持ち合わせていないのです。
その取り巻きと言えば、非常に野卑な―右翼の扇動家たちです。ライバルになりそうな人は党から追い出したのです。」

 補足すれば、アフリカで戦死したネタニヤフ氏の兄というのは、1976年に発生したハイジャック事件の人質救出作戦(何度も映画化されたエンテベ空港奇襲作戦として知られる)の指揮官で、作戦に従事したイスラエル軍の中で唯一戦死したヨナタン・ネタニヤフ中佐のことです。

 私が、以上のインタビューをご紹介しようと思い立ったのには、おそらく国民にとっても「意外」なほど長期化した政権を持つことになってしまったイスラエルの事情が、わが国とどのような点で近似しているのかを考えるよすがになるのでは、ということももちろんありました。
 しかし、それだけではありません。
 本講義を受講していると、パレスチナ問題というのはイスラエル問題であるということが否応なく見えてきます。
 そして、高橋先生が強調されているとても印象深い一節を「第11回 ラビン/その栄光と暗殺」から書き起こしてみたいと思います。

「(高橋和夫先生)ラビンの生涯を見ていて、私は2つのアイロニーのようなものを感じます。
 その1つは、「和平」というのは、やはり平和主義者にはできなくて、タカ派であるという人が向いてるんだなあということですよね。
 アルジェリアに独立を与えたのは第2次大戦の英雄ド・ゴール大統領でしたよね。オスロ合意を始めたのもラビン将軍ですよね、67年戦争の英雄です。エジプトと和平を結んだのもタカ派として知られたベギンさんです。
 ですから、タカ派こそが「和平」を進めるというのは、歴史の用意したアイロニーなんでしょうかね。」
(註:もう1つのアイロニーは、ラビンが勝利に導いた第三次中東戦争の結果、多くの占領地を獲得したことが、イスラエル内部に宗教的高揚をもたらし、これが結果的にラビンを倒す銃弾を用意したということ)

 平和主義者(ハト派)ではなく、タカ派こそが「和平」を進めるというのは、ある意味、普遍的真理を含んだテーゼであると思いますが、タカ派なら誰でも「和平」を進めることができる訳ではないということも事実ですよね。
 トータル14年近くイスラエル首相の座にありながら、ネタニヤフ氏が、「和平」を進めるためにどれだけの貢献をなし得たかを思うと、「タカ派にも色々ある」と思わざるを得ません。
 私がネタニヤフ政権の対パレスチナ政策でまず思い出すのは、2014年のガザ侵攻で2000人以上の犠牲をパレスチナ側に強いたことですからね。

 さて、日本の安倍政権です。逆説的に、安倍政権こそ中国や韓国・北朝鮮との関係を劇的に改善することが可能と主張する向きがない訳ではありませんが、私は非常に懐疑的です。
 そのように解する根拠を説明するために、ネタニヤフ氏についてのウリ・アブネリ氏の評価がとても参考になると思ったというのが本稿を書くことにした狙いなのです。
 平和主義者にも色々あるように、タカ派にも色々あるということでしょう。

(弁護士・金原徹雄のブログから/放送大学関連)
2015年1月30日
放送大学(オープンコースウェア)受講の勧め~学ぶことは楽しい
2015年10月22日
放送大学「日本美術史('14)」単位認定試験にかかわる見過ごせない大学の措置について
2015年10月24日
放送大学長「単位認定試験問題に関する件について」を批判的に読む
2016年1月30日
放送大学で学ぶ“貧困”~「貧困と社会('15)」(西澤晃彦神戸大学大学院教授)受講の奨め
2016年8月6日
高橋和夫教授の「パレスチナ問題('16)」(放送大学)受講のすすめ
2017年1月26日
高橋和夫教授(放送大学)の「パレスチナ問題('16)」全15回を是非視聴して欲しい
2017年5月1日
IWJからの緊急メッセージと高橋和夫放送大学教授の4講義「受講」の奨め
2017年5月23日
山部赤人はどこから富士を眺めたのか?~「名歌「田子の浦ゆ・・・」を解釈する
2017年8月17日
高橋和夫教授(放送大学)の「パレスチナ問題('16)」全15回を是非視聴して欲しい(再説)
2018年1月19日
放送大学あれこれ~高橋和夫教授の退任と「子ども居場所づくりで子そだち子そだて支援-学びは生きる力-」(2/10和歌山学習センター)
2019年4月2日
初めて大学の卒業式(学位記授与式)に出席しました
2020年2月1日
テキスト(印刷教材)は捨てられない

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テキスト(印刷教材)は捨てられない

 2020年2月1日配信(予定)のメルマガ金原No.3440を転載します。

 

テキスト(印刷教材)は捨てられない

 

 以下の文章は、本日(2月1日)、Facebookの公開グループ「放送大学バーチャルキャンパス」に投稿したものを(ほぼ)そのまま転載するものであり、放送大学シリーズ(?)の一編となります。

 https://www.facebook.com/groups/OpenUnivJapan/permalink/2875397922522622/

 少し前提として書いておくと、私は昨年3月、在籍年限ぎりぎりの10年ちょうどで放送大学教養学部(社会と産業コース)を卒業し、直ちに同学部(生活と福祉コース)に再入学しました。この再入学の場合、最長6年間在籍できるそうなので、あまり早く必要単位を取ってしまわないように調整しつつ、6年ちょうどで2度目の卒業ができれば良いなと思っています。

 なお、放送大学ではテキスト(教科書)のことを「印刷教材」と称しています。

 

【テキスト(印刷教材)は捨てられない】

 

 ある方の投稿で、単位認定試験が終わった後、テキスト(印刷教材)をゴミ箱に捨てる人を目撃したことが紹介されており、人それぞれとは言いながら、「自分にはとてもできない」という感慨しきりでした。

 1月29日に今期登録していた全2科目の放送授業の試験が終わり、次学期に是非受講しようと考えている「中東の政治('20)」(高橋和夫本学名誉教授)の予習を兼ねて、高橋先生の、中東を扱った講義を再視聴し、テキスト(印刷教材)を読み返すという「自主学習」を始めたばかりだったから、特にそう感じたのかもしれません。

 画像で紹介した2冊がそれで、開講年度(2016年)に受講した「パレスチナ問題('16)」と、その先行科目である「第三世界の政治 パレスチナ問題の展開('05)」です。

 

 ちなみに、後者については、2005年当時私はまだ放送大学の学生ではなく、閉講前に入学こそしたものの、その講義の価値に気が付かず、受講登録しませんでした。

 ただ、何となく気になり、ラジオ授業15回分は全て(今はなき?)ミニディスクに録音していましたが、それをカーオーディオで聴いたのは閉講後のことで、「受講すべきだった」と後悔してもあとのまつりでした。

 

 ただ、その「第三世界の政治」のテキストを何故所有しているかというと、私が所属する和歌山学習センターでは、何年か前までは、閉講した科目の印刷教材を希望する学生に無償提供(希望者多数の場合は抽選)してくれており、そのような機会に入手したもので、背表紙には「禁帯出」というシールが貼ってありますが、当然書き込みもなく、新品同様でした。

 これはとても良い制度だと思い、楽しみにしていたのですが、閉講科目印刷教材の無償譲渡のお知らせが来なくなってかなり経ちますね。何か問題があったのだろうか?

 

 いずれにせよ、自分で受講した科目はもとより、学習センターからいただいた分も含め、テキスト(印刷教材)を捨てるということなど思いもよりません。

 もともと、前期高齢者となった今に至るまで、私の人生で「本を捨てる」というような習慣を持ったことなどなく(さすがに週刊誌などは残していませんが)、おかげで本の収納スペースには苦労しており、今はやりの「断捨離」などどこの世界のことかという旧派です。

 時代遅れではあれ、大事に保存していればこそ、「第三世界の政治 パレスチナ問題の展開('05)」のテキストを再読して、新たな学びの機会が得られることに喜びを感じています。

 

 本稿のテーマ「テキスト(印刷教材)は捨てられない」については以上のとおりですが、余談を2つばかり。

 

高橋和夫先生が単独執筆された以上2冊のテキストは、何が違うといって、何より分量が違います。「パレスチナ問題('16)」が252頁(含索引)であるのに対し、「第三世界の政治 パレスチナ問題の展開('05)」は365頁(含索引)です。「第三世界の政治」の「まえがき」によれば、「本書の前半部分の大半は『アラブとイスラエルパレスチナ問題の構図」(講談社現代新書、1992年)として出版されている。(略)また、後半部分を微修正したものが、『アメリカとパレスチナ問題/アフガニスタンの影で』(角川ワンテーマ21、2002年)として出版されている」ということであり、内容的にも非常に充実しています。「パレスチナ問題('16)」は、「第三世界の政治('05)」を基礎としつつ書き直したそうですが、比較してしまうと、「もう少し分量があれば」という感は否めません。

 印刷教材の分量の圧縮(ページ数の減少)は大学としての方針によるものだったと聞きますが、このように読み比べてしまうと、残念でないこともありません。

 

◎高橋先生の新規開講科目「中東の政治('20)」は受講をとても楽しみにしていますが、ただ、シラバスを読む限り、これが「第三世界の政治 パレスチナ問題の展開」や「パレスチナ問題」とは異なり、中東全域に目配りし、そこで影響力を行使する主要プレイヤーに注目する内容となりそうで、パレスチナ問題は背景に退くことになるのでは、という気がします。

 https://www.wakaba.ouj.ac.jp/kyoumu/syllabus/PU02060200211/initialize.do

 それはそれで仕方がないと思いますが、それなら「パレスチナ問題('16)」を閉講する必要はなかったのでは?

 もっとも、そうすると、「イランとアメリカ('17)」(大学院科目)、「現代の国際政治('18)」、「国際理解のために('19)」と併せ、全部で5科目を高橋先生1人で担当ということになってしまい、どう考えてもキャパシティオーバーですけどね。

 

(弁護士・金原徹雄のブログから/放送大学関連)

2015年1月30日

放送大学オープンコースウェア)受講の勧め~学ぶことは楽しい

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/42554034.html

2015年10月22日

放送大学「日本美術史('14)」単位認定試験にかかわる見過ごせない大学の措置について

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/45780419.html

2015年10月24日

放送大学長「単位認定試験問題に関する件について」を批判的に読む

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/45800425.html

2016年1月30日

放送大学で学ぶ“貧困”~「貧困と社会('15)」(西澤晃彦神戸大学大学院教授)受講の奨め

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/46700298.html

2016年8月6日

高橋和夫教授の「パレスチナ問題('16)」(放送大学)受講のすすめ

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/48175878.html

2017年1月26日

高橋和夫教授(放送大学)の「パレスチナ問題('16)」全15回を是非視聴して欲しい

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/49362105.html

2017年5月1日

IWJからの緊急メッセージと高橋和夫放送大学教授の4講義「受講」の奨め

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/49964524.html

2017年5月23日

山部赤人はどこから富士を眺めたのか?~「名歌「田子の浦ゆ・・・」を解釈する

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/50096424.html

2017年8月17日

高橋和夫教授(放送大学)の「パレスチナ問題('16)」全15回を是非視聴して欲しい(再説)

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/50590924.html

2018年1月19日

放送大学あれこれ~高橋和夫教授の退任と「子ども居場所づくりで子そだち子そだて支援-学びは生きる力-」(2/10和歌山学習センター)

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/51414539.html

2019年4月2日

初めて大学の卒業式(学位記授与式)に出席しました

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/53207518.html

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小田嶋隆さんのコラム「人の結婚に介入したがる彼らは何者なんだ?」を読み、選択的夫婦別姓制度の今後を考える

 2020年1月24日配信(予定)のメルマガ金原No.3439を転載します。

小田嶋隆さんのコラム「人の結婚に介入したがる彼らは何者なんだ?」を読み、選択的夫婦別姓制度の今後を考える

 一昨日(1月22日)の衆議院本会議において、野党統一会派「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」を代表して質問に立った玉木雄一郎国民民主党代表が、選択的夫婦別姓の導入を求める質問をしている途中に、「だったら結婚しなくていい」という趣旨のヤジが飛び、これが自民党杉田水脈(すぎた・みお)議員(比例中国ブロック)によるものではないかということで物議を醸しています。
 杉田議員といえば、「新潮45」2018年8月号に、「LGBTのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり生産性がないのです」などと寄稿して国内外から大きな批判を浴び、最終的に、同誌が休刊(事実上の廃刊)に追い込まれたことが思い出されます。

 ところで、今日の昼食後、Facebookをチェックしていたところ、佐藤康宏先生(東京大学教授・日本美術史)がシェアされている小田嶋隆さんのコラムに気が付きました。小田嶋さんが日経ビジネスに連載されている「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」~世間に転がる意味不明」に今日アップされた「人の結婚に介入したがる彼らは何者なんだ?」という記事であり、早速一読した私はとても感銘を受け、自分もFacebookで「シェア」させていただきがてら、若干の感想を書きました。
 これから書こうとするブログは、Facebookに書いた文章をベースに少し敷衍したものになるはずです。

 この問題の根本は、現在の日本の法制度において、婚姻した夫婦は、必ず元々の夫または妻の氏(姓、名字)のどちらかを名乗らなければならない(夫婦同氏を強制される)ことになっていることに由来します。

 (夫婦の氏)
(民法)第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

 しかし、他の日本の「伝統」と言われるものの多くがそうであるように、「夫婦同氏の強制」も、たかだか明治以降に導入された制度に過ぎず、選択的に夫婦別氏(夫婦別姓)を認めるべきではないのかという議論はかねてからありました。
 しかも、単にそのような説が有力であったというにとどまらず、法務省に設置された法制審議会が議論を重ねた末、平成8年(1996年)2月26日開催の総会で、民法第4編「親族」、第5編「相続」の規定の多くを改正するための「民法の一部を改正する法律案要綱」を決議しました。
 同要綱の改正項目は多岐にわたり、その後改正が実現した項目もありますが、とりわけ注目を浴びた項目を3点あげてみましょう。

第三 夫婦の氏
一 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称するものとする。
二 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、夫又は妻の氏を子が称する氏として定めなければならないものとする。

第七 裁判上の離婚
一 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができるものとする。ただし、(ア)又は(イ)に掲げる場合については、婚姻関係が回復の見込みのない破綻に至っていないときは、この限りでないものとする。
(ア)配偶者に不貞な行為があったとき。
(イ)配偶者から悪意で遺棄されたとき。
(ウ)配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
(エ)夫婦が五年以上継続して婚姻の本旨に反する別居をしているとき。
(オ)(ウ)、(エ)のほか、婚姻関係が破綻して回復の見込みがないとき。
二 裁判所は、一の場合であっても、離婚が配偶者又は子に著しい生活の困窮又は耐え難い苦痛をもたらすときは、離婚の請求を棄却することができるものとする。(エ)又は(オ)の場合において、離婚の請求をしている者が配偶者に対する協力及び扶助を著しく怠っていることによりその請求が信義に反すると認められるときも同様とするものとする。

第十 相続の効力
嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分と同等とするものとする。

 第七の裁判上の離婚要件は「五年別居」で離婚できると受け取る向きもあり、離婚訴訟の実務に与える影響も大きいということで、私の周辺でも、賛否の意見が対立していたという記憶があります。
 ただ、第三の選択的夫婦別姓制度の導入と、第十の非嫡出子相続分差別規定の撤廃につうては、弁護士業界では(よほどの変わり者でない限り)「当然でしょう」ということであったと思います。
 実際、その年(1996年)の10月25日に行われた人権擁護大会において、日本弁護士連合会は、「選択的夫婦別姓制導入並びに非嫡出子差別撤廃の民法改正に関する決議」を採択し、「政府に対し、すみやかに上記民法改正案を国会に上程し、選択的夫婦別姓制の導入と非嫡出子の相続分差別の撤廃を実現することを強く求める。」という意見を明らかにしました。

 しかし、その後の経過はどうであったかと言えば、事態は遅々として進展しませんでした。
 上記2つの懸案のうち、まだしも抵抗が少ないのではと思われた、非嫡出子の相続分を嫡出子の1/2とする規定の改正すら行われずに時間だけが経過していき、平成25年(2013年)9月4日、ついに最高裁判所が「憲法14条1項に違反して」無効との違憲判決を言い渡すに及び、同年12月、国会は判例変更の後追いで民法を改正するに至りました。法制審議会が答申を出してから17年以上が経っていました。

 そして、選択的夫婦別姓制度です。法制審議会の答申から24年、野党が一致して改正を求めても(まあ、全野党ではないかもしれませんが)、現在の政権は全く民法改正に対する意欲を示しません。

 それでは、国民の多くが選択的夫婦別姓に反対しているのかというと、そんなことはありません。小田嶋さんのコラムでも紹介されていましたが、平成29年(2017年)に政府が実施した「家族の法制に関する世論調査」の結果によれば、「婚姻をする以上、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきであり、現在の法律を改める必要はない」と答えた人の割合は29.3%にとどまり、「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望している場合には、夫婦がそれぞれ婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない」と答えた人の割合が42.5%、「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが、婚姻によって名字(姓)を改めた人が婚姻前の名字(姓)を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについては、かまわない」と答えた人の割合が24.4%となっており(法務省ホームページ「選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)について」より)、選択的夫婦別姓制度容認派こそ多数派なのです。

 「非嫡出子の相続分差別規定の撤廃」と「選択的夫婦別姓制導入」が、法制審議会の答申以来、かくも長い間放置され続けた(後者はいまだにそうです)背景には、全く「同根」の事情があったことは明らかだと思われます。
 一昨日、衆議院本会議の議場で飛ばされた「ヤジ」も、そのような長きにわたる抵抗(憲法24条に「家族は、互いに助け合わなければならない」という規定を書きこもうとしたりする人々やその周辺の〇〇会議とかによる)の1つの現れ(「飛沫」のようなもの)でしょう。

 こうなれば、「非嫡出子の相続分差別規定」に続いて、「夫婦同氏の強制」についても、最高裁違憲判決を出すしか仕方がないと思いますけどね。

 最後に、小田嶋隆さんによる「人の結婚に介入したがる彼らは何者なんだ?」の末尾の部分のみ引用させていただきます。ここは、このテーマについての小田嶋さんの「まとめ」であると共に、このコラムのタイトルの由来が明かされています。
 

(引用開始)
 家族を大切にする考え方に異存はない。
 ただ、その「家族」なり「家族観」なりを防衛するために、日本中の家族が、どれもこれも同じスタンダードで再生産される粒ぞろいの斉一的な家族単位であることが望ましいというふうには私は考えない。
 自分の家族について自分が思うことと、他人の家族に関して他人が考えるところは、おのずと違っている。あたりまえの話だ。とすれば、自分自身の個人的な「家族観」とやらを守るために、他人の家族のあり方に注文をつける態度は、少なくとも私には思いもよらぬことだ。失礼にもほどがある。
 不思議なのは、日本の伝統的な家族観を守るためには、伝統的家族観を守りたいと思っていない人たちに対しても伝統的家族観を守ることを強制しないといけないと思い込んでいる人たちがいることだ。
 彼らは、いったい何者なんだろう?
 そういえば、百田尚樹さんの著書『日本国紀』の帯には、
 「私たちは何者なのか」
というキャッチコピーが大書されていた。
 せっかくなので、この場を借りて、私も問うておきたい。

 あんたたちは何者なんだ?
(引用終わり)

(弁護士・金原徹雄のブログから/小田嶋隆さん関連)
2014年1月9日
今こそ読もう!『9条どうでしょう』(ちくま文庫)

1年前の「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」を振り返りこれからを展望する

 2020年1月20日配信(予定)のメルマガ金原No.3438を転載します。

 

1年前の「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」を振り返りこれからを展望する

 

 新春早々、和歌山市では3万世帯以上、8万人余の市民に影響が及ぶまる3日間の断水(1月19日22時から同月22日22時まで)が市水道局から予告され、対象地域となった私の事務所でも、3日間分の飲料水、食器洗い用の水、水洗トイレに流す水などの備蓄に大わらわでしたが、結局、漏水の補修工事を開始したところ、広域断水を要する本管ではなく、支管の取り替えで済むことが分かったということで、断水は何とか回避されました。

 和歌山市内の対象地域では、私の知る限りでも、某女子短期大学が20日~22日の臨時休校を早々と決定しており、私がたまに利用する予約制の割烹でも、3日間の予約を全てキャンセルして臨時休業することを発表するなど、その影響は広範囲に及んでいましたので、断水取りやめ自体は結構なことではあるものの、なかなか喜びきれない人たちも多かろうと思いますね。

 いずれにせよ、水道管の老朽化が進んでいるらしいということが市民の共通認識になったこと、断水がしばらく続く場合に備えて各自がどのような準備をしなければならないかを考えるきっかけとなったことが、今回の「断水」騒動による目に見える効果でしょうか。

 余談ながら、この騒動が、市営水道の民営化という馬鹿げた企てを粉微塵にしたということなら不幸中の幸いなのですが。

 

 以上は単なるマクラであり、以下に2020年初のブログ更新の本編を書こうと思い立ったのですが、年が改まってからほぼ3週間が過ぎようとしているにもかかわらず、なかなかブログが書けなかったのは、大晦日に「憲法をめぐる激動の2019年を和歌山の地から振り返る」をどうにかこうにかアップして、ほっと一息ついたものが、二息も三息も休養したいという癖がついてしまったということでしょう。

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/54185444.html

 

 もっとも、ブログの更新を怠けている間も、Facebookは比較的こまめに投稿しており、昨日も3本アップしています。

 

〇「さつきのあきちゃんねる」から『青空』(THE BLUE HEARTS)のカバー演奏を紹介

 https://www.facebook.com/tetsuo.kimbara/posts/2666829456743010

〇「1年前の今日(1/19)を回顧する」と題し「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」を振り返った

 https://www.facebook.com/tetsuo.kimbara/posts/2667345706691385

〇「2/2(日)和歌山障害者・患者九条の会~人権と平和の学習会」を予告

 https://www.facebook.com/tetsuo.kimbara/posts/2667365983356024

 

 いよいよ1月も下旬となり、このままでは1月中に一度も更新できないのではないかという恐れもあり、とにかく何が何でもアップしようということで、昨日Facebookに投稿した3本のうちの2本を素材に、ブログ用に少し手を入れてアップすることにしました(和歌山障害者・患者九条の会の学習会はまた別の機会に)。

 

 ちょうど1年前の昨日(1/19)、和歌山県民文化会館大ホールで、県下10団体で構成する実行委員会が主催する「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」が開かれました。

 私は、この企画の言い出しっぺであった「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」から派遣されて実行委員会に加わったという行きがかり上、(心ならずも)実行委員会事務局の責任者のような立場になってしまい、構成団体間の意見集約や資金分担の調整など、やるべきことが山のようにあり、開催直前には寝るまもなく(というのは大袈裟ですが)、成功裡に「つどい」が終わって1週間もせぬうちに自然気胸を発症して緊急入院し、さらに再発を繰り返して全快までに1ヶ月半以上を要したということはよく知られている(?)ことと思います。

 

 まあそれはさておき、安保関連法に反対するママの会@わかやま、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合わかやま、9条ネットわかやま、九条の会・わかやま、憲法九条を守るわかやま県民の会、和歌山県地方労働組合評議会、和歌山県平和フォーラム

などの諸団体の他、「第3部 平和を奏でる有志たち」をコーディネートしていただいたなかむらいづみさん、出演してくださった三木久美夫さん(龍絃会)、素和歌、Crowfieldの皆さん、土壇場で「つどいからのメッセージ」の朗読という大役を引き受けてくださった田辺の笠松美奈さんなど、お名前を挙げればきりがないほど多くの方々のご協力をいただきました。もちろん、第1部の桂文福師匠、第2部の小林節先生にも大変お世話になりました。心から感謝致します。

 

 1年前の「つどい」を回顧するため、その式次第及び開催概要を振り返っておきましょう。

当日配布資料PDF

 http://web2.nazca.co.jp/rituko31/190119program.pdf

 

危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい

2019年1月19日(土) 和歌山県民文化会館大ホール

 

開場 12時30分 

 様々なロビー企画がお待ちしています。子どもコーナー(紙芝居、絵本、折り紙)、 インスタフレーム、みんなで作る年表 など

 開会前に場内で、県内での様々な取組を紹介するスライドショーも上映します。

 

開会 13時30分

 

主催者挨拶 柏原 卓さん(九条の会・わかやま)

 

「つどい」へのメッセージ(こくみん民主党和歌山県連、日本共産党和歌山県委員会、立憲民主党和歌山県連合、自由党和歌山県支部連合会、社会民主党和歌山県連、新社会党和歌山県本部) 紹介

 

第1部 相撲甚句河内音頭、そして9条新作落語

     桂 文福(かつら・ぶんぶく)さん(芸人9条の会) 

 

第2部 講演「安倍壊憲をなぜ阻止しなければならないのか」

     小林 節(こばやし・せつ)さん(慶應義塾大学名誉教授・弁護士)

 

 以上、開会~第2部までの動画が視聴できます。

 

危ないぞみんなで止めよう1 19和歌山県民のつどい(1時間45分)

 https://www.youtube.com/watch?v=g7dqSR5vf-Y&feature=emb_title

 冒頭~ 開会(司会:重藤雅之弁護士)

 1分~ 主催者挨拶 柏原 卓さん(九条の会・わかやま)

 5分~ 「つどい」へのメッセージ(立憲野党から) 紹介

 12分~ 第1部 桂 文福さん

 49分~ 第2部 小林 節さん

 

第3部 平和を奏でる有志たち

    津軽三味線 龍絃会(りゅうげんかい)

       Wakayama Peace Band

 

 以上のうち、Wakayama Peace Bandの演奏が動画で視聴できます。

 

2019 01 19 Wakayama Peace Band

 https://www.youtube.com/watch?v=aCv8uCYkXMU&feature=emb_title

 冒頭~ イマジン(ジョン・レノン

 5分~ この島~日本国憲法の歌(Crowfield/オリジナル)

 10分~ Heal the World(マイケル・ジャクソン

 16分~ 風に吹かれて(ボブ・ディラン

 

「あの青い空のように」を歌いましょう

 

「つどい」からのメッセージ 提案 笠松美奈さん 

 

閉会 16時00分(予定) ※実際には10分以上押したと思う

 

賛同団体一覧

安倍9条改憲NO!かつらぎ町民アクション/安倍9条改憲NO!「3000万署名」和歌山市民アクション/「安倍9条改憲を許さない」那賀連絡会/安保条約をなくし、平和と民主主義、生活向上をめざす和歌山県民会議/岩出市九条の会/うたごえオールスターズ/輝け9条!芳養の会/きび9条の会/紀宝9条の会(三重県紀宝町)/紀南9条の会/九条の会いなみ/9条の会・うちた/9条の会・かつらぎ/九条の会・きし/9条の会・高野口/九条の会ゆら/9条ママnetキュッと/キリスト者9条ネット和歌山/くしもと9条の会/くまの平和ネットワーク/憲法9条を守る有田共同センター/憲法9条を守る伊都・橋本連絡会/憲法9条を守る和歌山市共同センター/古座川九条の会/雑賀9条の会/四箇郷9条の会(準)/市役所・水道局退職者九条の会/白浜9条の会/新日本婦人の会有田川支部新日本婦人の会紀の川支部新日本婦人の会西牟婁支部新日本婦人の会広川準備支部新日本婦人の会みなべ町支部新日本婦人の会龍神支部新日本婦人の会和歌山県本部/新日本婦人の会和歌山市支部/田辺・9条の会/治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟和歌山県本部/はしもと9条の会/はしもと9条の会西部/ピース9の会・パープル/広川憲法9条の会/平和と憲法を守りたい市民の声/平和・民主・革新の日本をめざす和歌山県の会/守ろう9条 紀の川 市民の会/守ろう9条 有功・直川の会/みなべ「九条の会」/和歌山うたごえ九条の会和歌山県医療労働組合連合会/和歌山県職員組合牟婁地方支部和歌山県農業協同組合・農業関連団体労働組合連合会/和歌山県母親大会連絡会/和歌山県民主医療機関連合会/和歌山市ひがし9条の会/和歌山司法9条の会/和歌山障害者・患者九条の会/和歌山中央医療生活協同組合(五十音順)

 

「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」実行委員会構成団体一覧

安全保障関連法制の廃止を求める和歌山大学有志の会/安保関連法に反対するママの会@わかやま/安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合わかやま/9条ネットわかやま/九条の会・わかやま/憲法九条を守るわかやま県民の会/憲法9条を守る和歌山弁護士の会/戦争をさせない和歌山委員会/和歌山県地方労働組合評議会/和歌山県平和フォーラム

 

 1年前の「つどい」をどういう趣旨で開催したのかについては、最後に採択された「つどいからのメッセージ」を読んでいただくのが一番でしょう。

 

(引用開始)

「つどい」からのメッセージ

 

 私たちは、この「つどい」で、子どもたちや会場の皆さんと一緒に歌うために、「あの青い空のように」という曲を選びました。この曲の歌詞の1行目は、歌う者が自由に替え歌にして、自分たちの思いを歌い上げることが広く行われています。今日私たちが選んだことばは、「力を合わせよう」と「心をつなげよう」でした。

 

 今、私たちが大事にしてきた日本国憲法が、何だかよく分からない理由で変えられようとしています。私たちが、戦争のない平和な暮らしを子どもたちに手渡すことができるのか、その瀬戸際にあるということも学びました。

 私たち1人1人の力はとても小さいけれど、力を合わせれば、きっとできる。必ず子どもたちに私たちの宝物をひきつぐことができる。そのために「力を合わせよう」というメッセージを送ります。

 

 今は幼い子どもたちも、やがては自分で周りを見わたし、自分で考え、自分の足で歩き出します。

 私たちがみんなで力を合わせるためにも、お互いを理解し合い、心を通わせること、世代を超えて心をつなぐことがとても大切です。

 私たちの思いを子どもたちにつなぎ、成長した子どもたちが、平和を願い、そのために自ら行動する人となるように、「心をつなげよう」というメッセージを送ります。

 

 この「つどい」に集まった私たちは、老いも若きも、女性も男性も、互いに1人1人の人格を尊重し、平和を願い、公正を尊ぶという日本国憲法の理念を守り、より良い世界の実現のために全力を尽くすことを誓います。

 

 2019年1月19日 

 

  「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 

   1・19和歌山県民のつどい」 参加者一同

(引用終わり)

 

 以上が1年前の私たちの決意でした。

 そしてこれからの展望です。

 時あたかも、今日1月20日に召集された通常国会(第201回国会)冒頭で行った施政方針演説の中で、安倍晋三首相は、「国のかたちを語るもの。それは憲法です。未来に向かってどのような国を目指すのか。その案を示すのは、私たち国会議員の責任ではないでしょうか。新たな時代を迎えた今こそ、未来を見つめ、歴史的な使命を果たすため、憲法審査会の場で、共に、その責任を果たしていこうではありませんか。」と、あくまで改憲を目指す姿勢を改めて明瞭に示しました。

 https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0120shiseihoushin.html

 

 安倍首相は、明確に改憲を目指す発言をする際には自民党総裁としてのものという、かつてはかろうじて保っていた建前も完全にかなぐり捨て、今や、「憲法改正というのは、決してたやすい道ではありませんが、必ずや、私自身として、私の手でなし遂げていきたいと、こう考えています。」(2019年12月9日官邸での首相記者会見にて)、

 https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2019/1209kaiken.html

憲法改正を私自身の手で成し遂げていくという考えには全く揺らぎはありません。」(2020年1月6日伊勢神宮での首相記者会見にて)

 https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0106nentou.html

というように、自らの手で改憲をなし遂げるという(「憲法というのはそういうものではないだろう」と言ってもこの人物には全く通じない)妄想を繰り返し明言しています。

 

 昨年は、私たちの「つどい」のおかげもあって(?)、改憲発議に至りませんでしたが、今年から来年にかけて、まだまだ油断がならないことは、以上に引用した安倍首相の発言からも明らかです。

 そのためにどうするのかということについては、早急に具体的な方針を立てて実行に移さねばなりませんが(今月から始まった「安倍9条改憲NO!改憲発議に反対する全国緊急署名」もその1つですが)、ただ、もう一度改憲阻止のための「県民のつどい」をやることになったとしても、私自身二度と実行委員会の事務局長は引き受けられませんので(生命の危険がある)、適任者の人選を今からよろしくお願いします。

 

(弁護士・金原徹雄のブログから/「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」関連)

2018年12月3日

速報!「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)を開催します

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/52768421.html

2018年12月23日

詳報「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/52838979.html

2019年1月10日

日刊ゲンダイのコラムで読む小林 節さん(慶應義塾大学名誉教授・憲法学)の「安倍壊憲」批判と「真の野党共闘」の勧め

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/52904828.html

2019年1月15日

直前情報「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/52921909.html

2019年1月19日

「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」(2019年1月19日@和歌山県民文化会館大ホール)からのメッセージ

 http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/52936631.html

 

(付録)

『青空』 作詞作曲:真島昌利  歌:さつきのあき

 https://www.youtube.com/watch?v=RDuT_jEvGuE

静岡市出身で和歌山市在住のシンガー「さつきのあき」さんが、THE BLUE HEARTSの『青空』をカバーした演奏です(2018年6月1日公開)。「さつきのあき ちゃんねる」は、今年から毎月「5日」「15日」「25日」の3回(去年までは毎週だった)、新しい演奏をアップするとのことです(是非チャンネル登録を)。

 https://www.youtube.com/channel/UChtzT6oCunUZZLcaKYN_SuA

ところでこの『青空』。甲本ヒロトさんの歌唱とは全然似ていませんが、「精神は近い」と思いませんか?私の胸にはとても迫ってきました。

f:id:wakaben6888:20181203110334j:plain

憲法をめぐる激動の2019年を和歌山の地から振り返る

 2019年12月31日配信(予定)のメルマガ金原No.3437を転載します。

憲法をめぐる激動の2019年を和歌山の地から振り返る

 年末(おおむね大晦日)に、その1年間を振り返り、和歌山の市民が憲法問題にいかに取り組んだかを記録に残すため、「弁護士・金原徹雄のブログ」に「憲法をめぐる激動の〇〇〇〇年を和歌山の地から振り返る」と題する記事を初めて書いたのが2014年のことであり、その後、昨年まで5年連続して掲載してきました。

2014年12月27日
憲法をめぐる激動の2014年を和歌山の地から振り返る
2015年12月31日
憲法をめぐる激動の2015年を和歌山の地から振り返る
2016年12月31日
憲法をめぐる激動の2016年を和歌山の地から振り返る
2017年12月31日
憲法をめぐる激動の2017年を和歌山の地から振り返る
2018年12月31日
憲法をめぐる激動の2018年を和歌山の地から振り返る

 しかし、その「2019年版」をまとめるかどうか、色々葛藤がありました。その主たる原因は、2013年1月24日から「ブログ毎日更新」を続けてきた私が、体調不良(1月から3月にかけて3度の入院を繰り返した)から、「2019年1月25日」をもって「毎日更新」を打ち止めとせざるを得なくなり、その後もはかばかしくブログを更新することが出来ない(平均して月に2回程度でしょうか)状態が続いているからです。

 とはいえ、私の体調はさておくとして、憲法をめぐる情勢が少しも楽観を許さないという状況に何ら変わりはなく、そのような中で和歌山の市民が繰り広げた様々な取組みを回顧する意義は相変わらず大きく、幸い、これまでの回顧を作成する際にも非常に頼りにさせていただいてきた「九条の会・わかやま」による発信は、今年も引き続き活発に行われていましたので、例年以上に「九条の会・わかやま」に「おんぶに抱っこ」状態となるでしょうが、今年も「憲法をめぐる激動の2019年を和歌山の地から振り返る」を作ろうと決意し、12月半ばからぼちぼち作業を始めました。
  その際、最も頼りにしたのが「九条の会・わかやま」ホームページであることは上に述べたとおりですが、私自身、「弁護士・金原徹雄のブログ」の更新頻度は激減したものの、その代わり、Facebookでの情報発信(公開設定)には引き続き力を入れ、一部は私の第2ブログ(あしたの朝 目がさめたら 弁護士・金原徹雄のブログ2)に転載していますので、例年より、それらにリンクしているものが増えているはずです。

 以下に取り上げる各行事について参考サイトへのリンクをはる場合、次のような略称を用いました。

 「九条の会・わかやま」ホームページ「県内の取り組み」→県内
 「九条の会・わかやま」ホームページ「会紙『九条の会・わかやま』」→会紙
 「弁護士・金原徹雄のブログ」→金原
 「あしたの朝 目がさめたら(弁護士・金原徹雄のブログ2)」→金原2
 「金原徹雄Facebook」→金原F

 「九条の会・わかやま」事務局の柏原卓さん(ホームページ担当)、南本勲さん(会紙担当)のたゆみないご努力に、今年も深甚なる敬意を表したいと思います。「九条の会・わかやま」による情報の収集と蓄積なくしては、とてもこのような作業は出来ませんでした。
 ただ、「九条の会・わかやま」にしても、全県下から多くの情報が寄せられているとはいえ、全ての企画を網羅している訳でないのは当然です。
 それから、毎月特定の日に行動を行っている団体もありますが、その一々について取り上げることもできていません。毎月実施している「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」を取り上げているのは、たまたま私が毎回(今年は体調の問題から2回欠席しましたが)参加しているからです。
 以上のとおり、様々な「漏れ」があることは否めませんが、このクロニクルが、憲法問題に取り組む皆さんにとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

 前置きはこれくらいにして・・・と言いたいところですが、これも恒例になっているので書かないとどうも座りが悪いのが「和歌山県の人口(推計値)」最新版の確認です。前置きの最後にこの人口問題を書いておきます。
 まず、過去5年の回顧事から該当箇所を引用します。

2014年12月「人口97万人(年明けには96万人台になっている可能性が高い)の和歌山県の人々が、この危機にどのように立ち向かったのかを思い出すよすがとして~」

2015年12月「ちょうど1年後の今、これは「人口96万人(年明けには95万人台になっている可能性が高い)の和歌山県の人々」と改訂する必要があります(2015年12月1日現在の人口速報値960,682人)。」

2016年12月和歌山県のホームページで、2016年12月1日現在の人口(速報値)を調べてみたところ、「952,725人(男性448,153人、女性504,572人)」となっており、前年同月比7,957人の減少でした。」

2017年12月和歌山県ホームページで、2017年12月1日現在の人口(推計値)を調べてみました。その結果は、「943,101人(男443,481人、女499,620人)」であり、対前年比9,624人(男4,672人、女4,952人)の減少ということで、減少の割合は前年よりも大きくなっています。」

2018年12月和歌山県ホームページ(企画部企画政策局調査統計課)によれば、平成30年12月1日現在の人口(推計値)は、「932,687人(男438,663人、女494,024人)」であり、対前年比で10,414人(男4,818人、女5,596人)が減少しており、人口減少のスピードに加速度がついてきたという感じです。」

 これまでのペースでいけば、2019年12月1日現在の人口は当然92万人台になっていると予想されるでしょう?「ご正解」と言わざるを得ないのが残念ですが、まさにそのとおりです。
  和歌山県調査統計課(和歌山県統計情報館)発表の「毎月推計人口(毎月1日現在の人口)」「令和元年12月1日現在」の推計値は「922,489人(男433,846人、女488,643人)」で、対前年比10,198人の減少」でした。
 昨年の回顧では、「一つだけ確実に言えるのは、必要な電気を生み出すために原子力発電所を稼働させることなど全く無用であることは、この人口減少のスピードを見るだけでも明らかであるということです。」というコメントを書きましたが(今でもそう思っていますが)、今年は気の利いたコメントを考える気力もわいてきませんのでパスします。ただ、冷徹な数字から目を背けないようにしたいと思うばかりです。


【2019年 和歌山県における憲法問題への取組】
1月6日(日)11時00分頃~ 和歌山県民文化会館(「はたちのつどい」会場)前
平和と憲法を守りたい市民の声 和歌山市・新成人アンケート2019
 金原(1) 金原(2)

1月16日(水)集合:正午 デモ:12時20分~
第55回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

1月19日(土)13時30分~ 和歌山県民文化会館大ホール
危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい
落語・相撲甚句河内音頭 桂 文福(芸人9条の会)
講演「安倍壊憲をなぜ阻止しなければならないのか」 小林 節氏(慶応義塾大学名誉教授・弁護士)
音楽ライブ~平和を奏でる有志たち~ Wakayama Peace Band
主催 「危ないぞ!みんなで止めよう安倍改憲 1・19和歌山県民のつどい」実行委員会(安全保障関連法制の廃止を求める和歌山大学有志の会、安保関連法に反対するママの会@わかやま、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合わかやま、9条ネットわかやま、九条の会・わかやま、憲法九条を守るわかやま県民の会、憲法9条を守る和歌山弁護士の会、戦争をさせない和歌山委員会、和歌山県地方労働組合評議会、和歌山県平和フォーラム)
 会紙(1) 会紙(2) 会紙(3) 会紙(4) 金原(1) 金原(2) 金原(3) 金原(4)
動画(1)
https://www.youtube.com/watch?v=g7dqSR5vf-Y&feature=emb_title
動画(2)
https://www.youtube.com/watch?v=aCv8uCYkXMU&feature=emb_title

2月10日(日)14時00分~ 和歌山市東部コミュニティセンター(多目的ホール和歌山市ひがし9条の会 第5回平和コンサート
フォーク&カントリー 若林量也さん
スコップ三味線 スコップみだれ組
フォルクローレ マヤウァカ
主催 和歌山市ひがし9条の会
 県内 会紙

2月11日(月・祝)13時00分~ 和歌山市ふれ愛センター 3階 研修室1
改憲阻止の闘いを展望する!和歌山障害者・患者九条の会学習会
講演「改憲4項目の危険性を知り改憲阻止の闘いを展望する」 金原徹雄弁護士
主催 和歌山障害者・患者九条の会
 県内 会紙 金原

2月13日(水)集合:正午 デモ:12時20分~
第56回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

3月10日(日)13時00分~ 串本町文化センター2階会議室B
くしもと9条の会 記念講演会および第5回総会
第1部 講演「戦争とマスコミ」 西谷文和氏(フリージャーナリスト)
第2部 総会
主催 くしもと9条の会
 県内

3月13日(水)集合:正午 デモ:12時20分~
第57回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙

3月24日(日)
和歌山県福祉バスで巡る春の交流ハイキング
「和歌山障害者・患者九条の会」戦跡ツアー
主催 和歌山障害者・患者九条の会
 会紙

4月19日(金)集合:正午 デモ:12時20分~
第58回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

4月26日(金)18時00分~ 和歌山県民文化会館小ホール
青法協憲法記念行事 憲法を考える夕べ
講演「民主主義とは何か 安倍政権とメディア」 望月衣塑子氏(東京新聞記者)
主催 青年法律家協会和歌山支部
 県内 会紙(1) 会紙(2) 会紙(3) 会紙(4) 金原F 金原

5月3日(金・祝)10時00分~ 和歌山城西の丸広場
HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019
メインゲスト:おおたか清流
 県内 会紙 金原(1) 金原(2)
動画(1)
https://www.youtube.com/watch?v=wzxQyF2MsYA&feature=emb_title
動画(2)
https://www.youtube.com/watch?v=MZ7FQt49l4A&feature=emb_title
動画(3)
https://www.youtube.com/watch?v=UGzzsKPw3LM&feature=emb_title

5月15日(水)集合:正午 デモ:12時20分~
第59回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

5月18日(土)13時30分~ 和歌山市民会館市民ホール
2019 We Love 憲法~5月の風に 沖縄から憲法を考える
講演「沖縄はあきらめない!!-沖縄県民はなぜ辺野古新基地建設に抗うのか-」 稲嶺進氏(前沖縄県名護市長)
主催 憲法九条を守るわかやま県民の会
 県内 会紙(1) 会紙(2) 会紙(3)

6月2日(日)14時00分~ 和歌山市河北コミュニティセンター2F多目的ホール
守ろう9条 紀の川 市民の会 第15回総会
第1部 記念講演「安倍改憲のトリックを斬る~憲法制定過程の真実と平和憲法を守る歴史的責任~」 長峯信彦氏(愛知大学法学部教授・憲法学)
第2部 総会議事
主催 守ろう9条 紀の川 市民の会
 県内 会紙(1) 会紙(2) 会紙(3) 会紙(4) 金原(1) 金原(2) 金原(3) 金原(4)
      

6月9日(日) 和歌山市ふれあいセンター
和歌山障害者・患者九条の会 13周年の総会&記念講演会
講演「平和・人権・私たちの活動」 山東浩二氏(和歌山県聴覚障害者協会)
主催 和歌山障害者・患者九条の会
 会紙

6月12日(水)集合:正午 デモ:12時20分~
第60回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

7月1日(月)集合:正午 デモ:12時20分~
第61回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

7月14日(日)10時00分~15日(月・祝)17時00分 和歌山県JAビル1階アグリテラス催し場
第18回 2019年 原爆と戦争展
平和な未来と命を大切にする社会を子ども達に残そう
主催 「原爆と戦争展」を成功させる和歌山の会
 県内 金原2

7月27日(土)13時30分~ 和歌山市民会館小ホール
つながれ!!明日の夢へ ぞうれっしゃコンサート
第1部 チェロとピアノでこんにちは
第2部 合唱構成「そうれっしゃがやってきた」
主催 2019和歌山ぞうれっしゃ合唱団
 県内 金原(1) 金原(2)

7月27日(土)・28日(日) 和歌山県勤労福祉会館プラザホープ
2019平和のための戦争展わかやま
講演・パネルディスカッション(27日)「「ビキニ事件」と日本の戦後~消されたマグロ漁船員たち~」 岡村啓佐(おかむら・けいすけ)氏(高知平和資料館・草の家 副館長)/仲江孝丸氏(紀州語り部の会)/伊藤宏氏(和歌山信愛女子短期大学教授)
主催 2019平和のための戦争展わかやま実行委員会
 県内 金原

8月4日(日)13時30分~ 由良町中央公民館
第15回 戦争体験と平和への思いを語り継ぐ会
「20歳で戦没した叔父への思い」 湯川逸紀氏(美浜町三宝寺住職)
主催 九条の会ゆら
 県内 会紙

8月6日(火)集合:正午 デモ:12時20分~
第62回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

8月10日(土)10時00分~ 県民交流プラザ和歌山ビッグ愛 1階 展示ホール
こどもピースフェスタ2019
主催 こどもピースフェスタ実行委員会
 金原 金原2

8月24日(土)14時00分~ 和歌山南コミュニテイーセンター4階
戦争はイヤ!平和と文化を語るつどい
「本土決戦に備えて 高津子山・秋葉山に砲台や陣地があった」 お話:森崎順臣さん(郷土史家)、藤本清二郎さん(元和歌山大学副学長)
主催 戦争イヤ!憲法9条を守る和歌山市南の会
 県内 会紙

8月25日(日)11時00分~ 和歌山市民会館小ホール
ゴジラ 和歌山上陸!宝田明さんと考える「平和」~これまでとこれからと~
ゴジラ』第1作(1954年)デジタルリマスター版上映と主演俳優宝田明さんの講演
ロビー展示:伊藤宏さん(和歌山信愛女子短期大学教授)秘蔵のゴジラコレクション(フィギュア)
主催 和歌山G&Tプロジェクト、9条ネットわかやま
 県内 会紙 金原

9月18日(水)17時20分~ わかちか広場(JR和歌山駅西口地下広場)
採決強行から4年 戦争法(=安保法制)は憲法違反
みんなで平和のメッセージをつなげよう!とどけよう!
ニコンサート Crowfield
ピースメッセージ(リレートーク
よびかけ 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会(和歌山県平和フォーラム、和歌山県地評)
賛同団体 安全保障関連法制の廃止を求める和歌山大学有志の会、安保関連法に反対するママの会@わかやま、9条ネットわかやま、憲法九条を守るわかやま県民の会、憲法9条を守る和歌山弁護士の会、戦争をさせない和歌山委員会、平和と憲法を守りたい市民の声、ゆいま~る和歌山
 県内 会紙 金原2

9月19日(木)集合:正午 デモ:12時20分~
第63回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

9月20日(金)19時00分~ 和歌山県勤労者福祉会館プラザホープ多目的室
憲法学習会「憲法どおりの日本をつくろう ~連立政権構想へ向けて~」 石川康宏氏(神戸女学院大学教授)
主催 憲法九条を守るわかやま県民の会、憲法改悪阻止和歌山県各界連絡会議
 県内

9月28日(土)13時30分~ 和歌山市ふれ愛センター4階会議室
和歌山障害者・患者九条の会 秋の学習会
講演「安倍9条改憲のねらいと改憲阻止の展望」 坂本文博氏(憲法九条を守るわかやま県民の会)
主催 和歌山障害者・患者九条の会
 会紙

10月6日(日)13時30分~ 和歌山市中央コミュニティセンター
和歌山で考える、沖縄のこと 元山仁士郎さんに聞く沖縄県民投票
沖縄の歴史と基地のはなし(和歌山大学社会科学研究会)、講演(元山仁土郎さん)、対談(元山仁士郎さんと服部涼平さん)
主催 ゆいま~る和歌山
 県内 金原F

10月9日(水)集合:正午 デモ:12時20分~
第64回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

10月15日(火)19時10分~ 和歌山県民文化会館3階特設会議室
憲法学習会 日韓問題の本質とは!!~安倍政権の日韓対応のねらいは何か~
講師:飯田光徳氏(日本コリア協会・大阪理事長)
主催 憲法改悪阻止和歌山県各界連絡会議、憲法九条を守るわかやま県民の会
 県内 会紙(1) 会紙(2)

10月26日(土) 男女共生推進センターみらいホール6階(あいあいセンター内)
映画『沖縄スパイ戦史』上映会(2回上映)
主催 『沖縄スパイ戦史』上映和歌山実行委員会
 県内 金原2

11月3日(日) 和歌山市河北コミュニティセンター
第16回憲法フェスタ 9条をまんなかに~えがこう平和への道~
メイン会場(13:30~16:30)
①「MAYAHUACA(マヤウァカ)」フォルクローレ演奏
②報告「憲法9条ノーベル平和賞を」 江川治邦氏
③講演「戦場へ行く自衛隊~改めて安保法制の違憲性を考える」 長岡徹氏(関西学院大学教授)
映像の部屋(10:30~12:05)
憲法自衛隊」(18分)、「速報 辺野古2018年5月」(27分)
他、展示の部屋、リサイクル広場、写真展示「ヒロシマナガサキ 原爆と人間」など
主催 守ろう9条 紀の川 市民の会
 県内 会紙(1) 会紙(2) 会紙(3) 会紙(4) 金原(1) 金原(2)

11月3日(日)14時00分~  御坊商工会館3階
自衛官募集問題を考える 御坊・日高学習会
講師:布施祐仁氏(平和新聞編集長)
主催 日高平和委員会
 県内

11月9日(土)14時00分~ 和歌山市勤労者総合センター6階
安倍改憲NO!秋の憲法学習会
講演「安倍改造内閣のたくらみと私たちの運動課題」 長峯信彦氏(愛知大学法学部教授)主催 憲法9条を守る和歌山市共同センター(略称:市9条センター)
 県内 会紙(1) 会紙(2)

11月11日(月)集合:正午 デモ:12時20分~
第65回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2

11月23日(土)13時30分~ 南部公民館2階大会議室
第8回 平和を願う町民のつどい
第1部
オープニング ウクレレ弾き語り(嶋田奈津子氏)
戦争を語る
①「戦争―私の父と母」 山中紀子氏
②「戦争・中国 そして戦後」 光吉敏郎氏
第2部 総会
主催 みなべ「九条の会
 県内 会紙

11月30日(土)13時30分~ 和歌山市南コミュニティセンター4階研修室
憲法9条を守ろう 学習会
講演「憲法9条改憲をめぐる最近の動向について~憲法審査会の動きを中心に~」 金原徹雄氏(憲法9条を守る和歌山弁護士の会)
主催 戦争イヤ!憲法9条を守る和歌山市南の会(略称九条和歌山市南の会)
 県内 金原2 金原

12月4日(水)18時30分~ 和歌山市勤労者総合センター6階文化ホール)
講演「ゴジラが伝える日本国憲法の意義-平和・反核・民主主義-」 伊藤宏氏(和歌山信愛女子短期大学教授・学長補佐)
主催 和歌山県平和フォーラム
後援 戦争をさせない和歌山委員会
 県内 金原2

12月7日(土)11時00分~ 紀の川市桃山会館
第15回 好きなんよ 9条まつり
主催 「九条を守ろう」那賀郡の会
 県内 会紙

12月7日(土)14時00分~ 和歌山県民文化会館小ホール
憲法改正問題シンポジウム
基調報告 阪本康文弁護士(和歌山弁護士会憲法委員会委員)
パネルディスカッション「憲法改正について考える」
パネラー
自由民主党和歌山県議団会長 尾﨑太郎県議会議員
国民民主党和歌山県支部連合会幹事長 浦口高典県議会議員
立憲民主党和歌山県支部長 谷口和樹県議会議員
日本共産党和歌山県委員会委員 楠本文郎県議会議員
公明党和歌山県本部副代表 中拓哉県議会議員
日本維新の会和歌山県支部幹事長 林隆一県議会議員
コーディネーター
由良登信弁護士(和歌山弁護士会憲法委員会委員長)
主催 和歌山弁護士会
共催 日本弁護士連合会、近畿弁護士会連合会
 県内 会紙 金原2(1) 金原2(2) 金原

12月7日(土)14時00分~ 橋本市産業文化会館アザレア大ホール
映画『明日へ-戦争は罪悪である-』(藤嘉行監督)上映会
主催 反戦映画「明日へ-戦争は罪悪である-」を観る会実行委員会
共催 「憲法を守ろう 那賀郡の会」
 金原2

12月9日(月)集合:正午 デモ:12時20分~
第66回 憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ
コース:和歌山市役所前→公園前交差点→京橋プロムナード
主催 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
 会紙 金原2