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トークイベント「いつのまにか、戦争?―話題の新書、3著者が語る」を聴いて3冊とも読みたくなる

 2016年8月19日に配信した「メルマガ金原No.2543」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
トークイベント「いつのまにか、戦争?―話題の新書、3著者が語る」を聴いて3冊とも読みたくなる

 子どもの頃から本好きであった私は、弁護士になってからもその嗜好は変わらず持ち続けてきたものの、若い頃に比べると、読む時間が圧倒的に少なくなってしまっています。もちろん、時間というのは自分
で「作る」ものですから、努力が足りないということでしょうが。
 ところで、このメルマガ(ブログ)でも時々は本を取り上げますが、その取り上げ方は色々です。
 
【第1パターン 熟読・書評型】
 じっくりとその本を読み込んだ上で、その感想を(書評というのは大げさですが)書くというもので、最近では、以下のような記事がこれに当たります。 
 
【第2パターン とりあえず買ってきた型】
 面白い本、価値のある本だという当たりをつけて、とりあえず買ってきたことをご報告するという、何の役に立つのかやや不分明な記事ですが、もしかすると、これを読んで「自分も買ってみよう」という人がいるかもしれないと思って書いているのですがね。最近ではこういう記事がありました。 
 
【第3パターン できればこれから買おう型】
 とにかく、上記の第2パターンであれば、本を入手はしているので、読もうと思えばいつでも読める訳ですが、この第3パターンは、そもそもまだ入手してもいないのに、メルマガ(ブログ)で紹介しようというのですから、私個人の「欲しいものリスト」を世間に公開するようなもので、いささか「どうかなあ」と思わないではないのですが、言ってみれば、私がよく書くテレビのドキュメンタリー番組の「放送予告」と同じことで、読んで(見て)いないので、中身の保証は出来ないけれど、おそらく「読む(見る)価値があるのではないか」という私の直感をお伝えし、私の感性を少しでも信頼してくれる人に、有益(かもしれない)情報をお届けしようというものです。
 
 前置きが長くなりました。今日ご紹介するのはこの第3パターンであり、最近出版されながら、全然気がついていなかった新書3冊の著者が、東京堂という本屋さんの神田神保町店にある東京堂ホールで開催されたトークショーに出演されたのを機に、その3冊をご紹介というか何というか、出版情報をお伝えしようというものです。
 
 そのトークイベントの概要を、東京堂のホームページから引用します。
 なお、著者紹介については東京堂ホームページから引用しましたが、著書の内容紹介については、各出版社のホームページから引用しました。
 
(引用開始)
いつのまにか、戦争?―話題の新書、3著者が語る
 
 あの夏から七十余年を経たこの夏、奇しくも各出版社から、戦争や武器をテーマにした書が刊行されました。現代を生きる私たちにとって、それは遠い昔、遠い国の話だと感じますが、実際はどうなのでしょうか。著者三人が一堂に会する貴重な機会。ぜひお運びください。
 
日時 8月17日(水)19時開始(開場18時30分)
場所 東京堂ホール 東京堂神田神保町店6階
参加費 500円(要予約)
 
『科学者と戦争』(岩波書店)

 
天文学者 池内 了(いけうち・さとる)氏
 1944年兵庫県生まれ。総合研究大学院大学名誉教授、名古屋大学名誉教授。専攻は、宇宙論・銀河物理
学、科学・技術・社会論。著書に、『疑似科学入門』岩波新書、『科学の考え方・学び方』岩波ジュニア新書、『科学のこれまで、科学のこれから』岩波ブックレット、『大学と科学の岐路──大学の変容、原発事故、軍学共同をめぐって』リーダーズノート出版、『科学・技術と現代社会』みすず書房、『物理学
池内了×宗教学者島薗進 科学・技術の危機 再生のための対話』合同出版、などがある。
(内容紹介)
 本書は、いま日本において急進展しつつある軍(防衛省自衛隊)と学(大学・研究機関)との間の共
同研究(=軍学共同)の実態を描き、今後予想される展開に対して警告を発するために書いたものである。軍学共同と表現すれば、あたかも軍と学が対等な関係のように見えるが、現実に進行しているのは大学等学術機関にある研究者が、軍から支給される研究費欲しさのため軍事研究に手を染めていこうとするものであり、結局のところ学が軍に従属し戦争のための研究に堕していくことは明らかである。(本書「お
わりに」より)
 
『武器輸出と日本企業』(角川書店)

 
東京新聞記者 望月衣塑子(もちづき・いそこ)氏
 1975年東京都生まれ。東京新聞社会部記者。慶応義塾大学法学部卒業後、東京新聞に入社。千葉、神奈
川、埼玉の各県警、東京地検特捜部などで事件を中心に取材する。2004年、日本歯科医師連盟のヤミ献金疑惑の一連の報道をスクープし、自民党と医療業界の利権構造の闇を暴く。また09年には足利事件の再審開始決定をスクープする。東京地裁・高裁での裁判担当、経済部記者などを経て、現在は社会部遊軍記者
防衛省の武器輸出政策、軍学共同などをメインに取材している。二児の母。趣味は子どもと遊ぶこと。
(内容紹介)
 「武器輸出三原則」が見直された。防衛省は法令を検討するなど前のめりだが、防衛企業は足踏みのと
ころも多い。技術流出のリスク、見えない敵への恐れ、ビジネスとしての旨み……知られざる現状をレポートする。
 
 哲学者 西谷  修(にしたに・おさむ)氏
 1950年愛知県生まれ。東京大学法学部卒業。東京都立大学フランス文学科修士課程修了。哲学者。現在
立教大学大学院文学研究科特任教授。戦争論、世界史論、クレオール文化などを広く論じている。著書に『夜の鼓動にふれる――戦争論講義』(ちくま学芸文庫)、監修に『自発的隷従論』(ちくま学芸文庫
)ほか。
(内容紹介)
 軍事力で平和は守られるのか?敵は誰なのか?宗教戦争からテロリストとの戦争まで、戦争の歴史を辿る。日本の戦後が終わり、世界が戦争状態に入ろうとしている今、改めて戦争とは何なのかを考える。
 
司会・企画協力 香山リカ
(引用終わり)
 
 このトークイベントの模様はIWJにアーカイブがアップされており、5分のダイジェストがYouTubeで視聴できます。
 
 
 池内了さんと西谷修さんについては、以下にご紹介した私のブログで、それぞれ今回刊行された新著に関連する講演をご紹介していますので、時間があればご覧いただければと思います。
 いずれも廉価な新書なので、全部購入して読みたいという意欲にかられます。皆さんはいかがですか?
 
(付記)
 このトークイベントに参加した方のブログを1つご紹介しておきます。
本屋は燃えているか ブックストアの定点観測 2016-08-18
 
 

(付録)
『これがボクらの道なのか』『時代は変わる』『遠い世界に』『花をください』『Hard Times Come Again No More』『血まみれの鳩』(「第3回東日本大震災復興支援チャリティコンサート&物産展古都の風にのせてin Zest 御池」より)(30分)
演奏:長野たかし&森川あやこ
 
※来る2016年8月28日(日)午後3時30分~、和歌山市ぶらくり丁の「レモネード・カフェ」に長野たかしさん、森川あやこさんが登場されます(ちょうさんとベースパーティvol.4)。私も行くつもりです。是非ご来場ください。多分、ニューCD『希求』もサイン入りで購入できると思いますよ。

西谷修氏講演「戦争とは何だろうか 2016年夏に考える」を視聴する(「さぁ、安倍政治を終らせよう」8.19.院内集会)

 今晩(2016年8月20日)配信した「メルマガ金原No.2544」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
西谷修氏講演「戦争とは何だろうか 2016年夏に考える」を視聴する(「さぁ、安倍政治を終らせよう」8.19.院内集会)

 昨日(8月19日)お送りした「トークイベント「いつのまにか、戦争?―話題の新書、3著者が語る」を聴いて3冊とも読みたくなる」の続編です。
 8月17日に神田神保町東京堂ホールでトークした3人の著者の内、西谷修さん(立教大学特任教授)が、戦争をさせない1000人委員会と立憲フォーラムの招きにより、「さぁ、安倍政治を終らせよう」8.19院内集会に講師として招かれ、「戦争とは何だろうか 2016年夏に考える」と題して講演されました。
 
 UPLANから動画がアップされていますのでご紹介します。西谷修さんの講演は6分~1時間00分の54分間です。
 
20160819 UPLAN 西谷修「戦争とは何だろうか2016年夏に考える」(1時間07分)
 

 時期が時期ですから、西谷さんが先月、ちくまプリマ-新書から出された『戦争とは何だろうか』(私は未読ですが)の内容に沿ったお話であったようです。
 ということで、昨日紹介したばかりですが、この近著の内容を、あらためて出版社のホームページからご紹介しておきます。
 
『戦争とは何だろうか』(筑摩書房)
(引用開始)
この本の内容
軍事力で平和は守られるのか?敵は誰なのか?宗教戦争からテロリストとの戦争まで、戦争の歴史を辿る。日本の戦後が終わり、世界が戦争状態に入ろうとしている今、改めて戦争とは何なのかを考える。
この本の目次
第1章 戦争って何?
第2章 国家間秩序
第3章 国民と国民の戦争
第4章 世界大戦への道
第5章 世界戦争とその顛末
第6章 冷戦後の世界から9.11に至るまで
著者について
西谷 修 ニシタニ オサム
1950年愛知県生まれ。東京大学法学部、東京都立大学大学院、パリ第8大学などで学ぶ。フランス思想、とくにバタイユブランショレヴィナスルジャンドルらを研究。明治学院大学教授、東京外国語大学大学院教授等を経て現在立教大学大学院特任教授。著書に『不死のワンダーランド』(増補新版、青土社)、『戦争論』(講談社学術文庫)、『世界史の臨界』(岩波書店)、『理性の探求』(同)など、訳書にブランショ『明かしえぬ共同体』(ちくま学芸文庫)、レヴィナス『実存から実存者へ』(同)、バタイユ『非‐知』(平凡社ライブラリー)などがある。
(引用終わり)
 
 出版社(筑摩書房)が、この本の「はじめに」の部分を「ためし読み」できるようにしています。その冒頭の部分をご紹介しましょう。
 
ちくまプリマー新書 ためし読み
戦争とは何だろうか? 西谷 修

(抜粋引用開始)
はじめに
戦争の輪郭
 戦争について考える、というのがここでのテーマですが、後に述べるような理由から、今では「戦争」や「平和」という言葉の輪郭がほとんど崩れてしまっています。そこで、まずは戦争というのがどういうことなのかを輪郭づけることから始めましょう。実際に「戦争」という言葉はどう使われているでしょう?あるいは、戦争という言葉でひとは何をイメージしているのでしょう。
 空襲とか、銃撃戦とか、陣取りゲームとか、召集の赤紙とか、いろいろあるでしょう。でも、それは基本的には国と国とが軍隊を動員して戦い合うということですね。要するに、私たちがふつう「戦争」という言葉で思い浮かべるのは、国家間戦争だということです。とはいっても、戦争がいつも国家間戦争だったわけではありません。むしろ、それはいわゆる近代の世界にできた武力抗争の枠組みです。それはどういうもので、いつ頃にできて、どのように展開されて、今はどうなっているかということについては、順次見てゆきましょう。
 ともかく、戦争では、国と国との間に武力衝突が起こって、そのために国民同士が敵味方に別れて戦うことになります。それが通常のかたちですが、グローバル化以降、状況が変わってきています。グローバルな大きな権力(超大国ですが)が軸になって、それがグローバル秩序を守る、あるいは、グローバルな「文明」秩序を押し付けるというかたちで、国家の軍事力が行使されるようになりました。それは国家同士の戦争ではありません。国家が犯罪者とみなした武装集団を相手に戦うもので、これが「テロとの戦争」と呼ばれ、「非対称的」だと特徴づけられています。これは、今までの国家間戦争とは全く違っていて、世界の秩序を変質させるようなものです。
 そこで戦争はどんなふうになったかというと、文字通り軍事力による人間の純然たる殺戮、殲滅行為になりました。「テロリスト」と呼ばれる敵は、敵としての資格もないし、人間として向き合う必要もない、極悪非道で抹消すべき対象でしかないとされます。何か事件が起きたとき、それを「テロ」と決めつけると、もはや問答無用で理由などは問われません。「テロ」は許しがたい、そんなことをする凶暴な輩は、人間の風上にも置けないから、どんな手段を用いてもやっつける。そのために国家が武力を行使するのは「正義の執行だ」というのです。そうして国家がいわば私人を相手に「戦争」をするようになりました。この種の戦争では、「何人殺したか」ということが「戦果」として発表されますが、その意味では戦争は剝き出しの殺戮になったのです。その雛形はすでにイスラエル国家とパレスチナ人との抗争にありました。じつは植民地独立をめぐる戦争も同じ構造をもっていましたが、詳しい説明は後でするとして、現在起こっている戦争というのは大体そういうかたちです。だから、わたしたちがこれから直面するのも、主としてそういう戦争なのです。

核兵器という限界(略)
日本の「戦後」が終わる?(略)
(引用終わり)
 
 どうでしょう。西谷さんの講演を聴き、「はじめに」の冒頭を読んだだけでも、是非この新刊を購入したいと思いませんか?
 

(付録)
『これがボクらの道なのか』『時代は変わる』『遠い世界に』『花をください』『Hard Times Come Again No More』『血まみれの鳩』(「第3回東日本大震災復興支援チャリティコンサート&物産展古都の風にのせてin Zest 御池」より)(30分)
演奏:長野たかし&森川あやこ
 
※来る2016年8月28日(日)午後3時30分~、和歌山市ぶらくり丁の「レモネード・カフェ」に長野たかしさん、森川あやこさんが登場されます(ちょうさんとベースパーティvol.4)。私も行くつもりです。是非ご来場ください。多分、ニューCD『希求』もサイン入りで購入できると思いますよ。