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加藤寛氏の“ただちに原発をゼロに!“メッセージ

 今晩配信したばかりの「メルマガ金原No.1163」を転載します。加藤寛氏のメッセージのみならず、11月1日に東京ドームで開かれた「日本を明るく元気にする“よい仕事おこし”フェア」というイベントのユースト中継にもご注目ください。
 
加藤寛氏の“ただちに原発をゼロに!“メッセージ
 
 慶應義塾大学名誉教授、千葉商科大学名誉学長の加藤寛氏といえば、日本を代表する新自由主義経済学の論客であるばかりか、経済政策の実践においても中心的な役割を担い、「国鉄分割民営化」(第2次臨時行政調査会第四部会長)、「間接税(消費税)中心の税体系導入」(政府税制調査会会長)などを推進した人物として著名です。
 その上、あの小泉純一郎竹中平蔵の「恩師」でもあり、「郵政民営化」や「小泉構造改革」のブレーンだったと聞けば、私にとって、その発言に注目したいなどという気持ちにはさらさらならないはずの人物なのですが・・・。
 
 ところが今、「脱原発」との関係で、その加藤寛氏が脚光を浴びているのです。
 
 本日(11月9日)付の東京新聞(朝刊)に以下のような記事が掲載されました。
(引用開始)
原発廃炉 経済的にも正しい」 城南信金がシンクタンク
 城南信用金庫(本店・東京都品川区)は八日、シンクタンク「城南総合研究所」を
九日付で本店企画部内に設立すると発表した。「原発に頼らない安心できる社会」目指し、大学教授ら専門家の研究成果を踏まえ、原発がなくても電力不足にならいことなどを情報発信していくのが狙い。 
 名誉所長には「原発の即時廃止」を訴える加藤寛慶応義塾大学名誉教授が就く。研究所には専任のスタッフは置かず、同信金の職員約十人が兼務で活動する。
 脱原発のほか、地域経済や中小企業の研究も手掛ける。
 活動の第一弾として「原発を廃炉にすることが経済的にも正しい」とするリポートを発表した。経済産業省によると、一キロワット時当たりの発電コストは原発が五~六円で、火力の七~八円より安い。だが、これは原発が立地する地域に対して国が支払う交付金などが含まれていないと指摘。
 立命館大学の大島堅一教授の試算によると、原発のコストは一〇・二円で、火力九・九円より割高になっている。加えて、使用済み核燃料の処理や保管に掛かる費も含めて考えると、「原発のコストは恐ろしく高価。将来、大幅な電気料金の値上げにつながる発電方法」と位置付け、コスト面からも原発に頼る危うさに警鐘を鳴らす。
城南信用金庫> 本店は東京都品川区。創立は1945年。預金量は3兆4252億円で、全国の信用金庫で2番目の規模を誇る。東京都と神奈川県に85店舗があり、従業員は2117人。
(引用終わり)
 
 そこで、早速、城南信用金庫のホームページを閲覧してみました。そこにはこのようなリリースが掲載されていました。
(引用開始)
城南総合研究所を設立/名誉所長に加藤寛 慶応義塾大学名誉教授が就任
 当金庫では、11月9日城南総合研究所を設立しました。名誉所長には、元税制調
査会長であり、元経済政策学界会長、元公共選択学会会長として、国鉄の分割民営化や消費税の導入、行財政改革、規制緩和など、歴代政権のブレーンとして活躍した加藤寛慶應義塾大学名誉教授をお迎えし、我が国の抱える諸問題について、グローバル資本主義などのお金の弊害を是正するために生まれた、協同組織金融機関である信用金庫という観点から、独自な分析、提言をして参ります。
 その第一弾として、現下の最大の環境問題である「原発問題」についてレポートを作成しました。加藤名誉所長も、「原発問題」については強い問題意識をお持ちになり、原発は即時廃止すべき、原発ゼロは国民経済の新たな成長発展につながる」という見解、メッセージを発信しています。
 なお、城南総合研究所の設立について、同日付の東京新聞1面、2面に掲載され、その記事をご覧になられました小泉純一郎内閣総理大臣から設立に対しての祝福のお言葉を頂戴致しました。
(引用終わり)
 
 上記に言う、加藤名誉所長が「原発問題」について発信している「メッセージ」とはどいうものかと興味がわき、調べてみました。
※ ちなみに、「ローバル資本主義などのお金の弊害を是正するために生まれた、協同組織金融機関である信用金庫という観点から」発信するシンクタンクの名誉所長が加藤寛氏であるということの整合性がどうなっているのか、いまひとつよく分からないのですが、それはさておき・・・(城南信用金庫の吉原毅(よしわつよし)理事長も、実は慶応義塾大学経済学部出身で加藤氏の教え子なのですが)。
 
 11月1日(木)、東京ドームを会場として、全国の63の信用金庫が共催した「日本を明るく元気にする“よい仕事おこし”フェア」というイベントが行われました。
 その開会式で、フェアの事務局を担った城南信用金庫の吉原毅理事長による挨拶が行われました。
  ※ 吉原理事長挨拶は0分40秒から3分45秒まで。
 
 ただし、この開会式での開会挨拶は型どおりのものでしたが、その後に行われたイベント自然エネルギーによる安心できる社会へ 21世紀・・・新しい日本づくりをめざして」が注目すべき内容でした。
 前半 http://www.ustream.tv/recorded/26590699 (1時間05分02秒)
      2分30秒~ 小出裕章氏 ビデオメッセージ
     9分15秒~ 吉原理事長による加藤寛氏メッセージ 代読
     11分30秒~ 田坂広志氏(元内閣府参与) スピーチ
    17分50秒~ 桜井勝延氏(南相馬市長) スピーチ
    21分30秒~ 三上 元氏(湖西市長) スピーチ
    27分00秒~ 飯田哲也氏 スピーチ
    33分20秒~ 河合弘之(弁護士) スピーチ
    40分30秒~ 高橋洋一(経済学者・元財務相) スピーチ
    46分~ トーク
 後半 http://www.ustream.tv/recorded/26591321 (1時間32分13秒)
    冒頭~ 加藤登紀子氏 ライブ&トーク
           『今どこにいますか』『青い鯉のぼりと白いカーネーション』 
    21分20秒~ 藤田和芳氏(大地を守る会) スピーチ
    26分40秒~ マエキタミヤコ氏(サステナ) スピーチ
    33分10秒~ 田中優氏 スピーチ
    38分40秒~ 落合恵子氏 スピーチ
    45分20秒~ 鈴木梯介氏(鈴廣かまぼこ副社長) スピーチ
    51分30秒~ 池田香代子氏(ドイツ文学翻訳家) スピーチ
    55分40秒~ 鎌田慧氏 スピーチ
    59分20秒~ 小林よしのり氏 スピーチ
    1時間01分40秒~ 広瀬隆氏 スピーチ
    1時間02分40秒~ 山本太郎氏 スピーチ
    1時間05分30秒~ 野中ともよ氏(司会) スピーチ
    1時間07分40秒~ 吉原毅氏(城南信用金庫理事長) スピーチ
    1時間09分40秒~ トーク     
 
 その中で、吉原理事長が紹介していた加藤寛氏の「メッセージ」というのが多分これです。
 この写真には全文が写っていないので、探してみたところ、小林よしのり氏の「ゴー宣ネット道場」サイトに掲載されていました。
 以下に全文を引用します。
 
(引用開始)
『ただちに原発をゼロに!国民の手に安全な電気を取り戻し、日本経済の活化を実現しましょう!!』
 原発はあまりに危険であり、コストが高い。ただちにゼロにすべきです。原発がなくても日本経済は問題ないことは今年の原発ゼロですでに実証されています。火力発電だけで電力は十分に供給可能です。
 燃料費がかかると言いますが日本の経常収支は黒字です。仮に赤字になっても、替レートで収支は調整されるので全く問題ないのです。それに為替レートが円安になれば国内企業にとっては輸出競争力が高まり、かえって経済の活性化につながるのです。
 松永安左エ門のつくった9電力体制は、地域分割で独占の弊害を是正しようとしものですが、今では、政府と癒着し、利用者を無視し、さらに原子力ムラという巨大な利権団体をつくってマスコミ、そして国家をあやつるなど、独善的で横暴な反社会集団になりさがっており、独占の弊害が明らかになっています。これを公共選択論という経済学では、レントシーキング(たかり行為)といいます。かつての国鉄は、独占を排除し分割民営化により、利用者や国民を向いた経営に転換しました。
 太陽光や風力、地熱、バイオマスなどの発電技術、LED、エコキュート、スマートグリッドなどの節電技術、さらには蓄電器などの蓄積技術などにより、電力の技術革新も急速に進み、地産地消や新たな配送方法が発達することが予想されます。こうした技術革新の中で、そもそも、原発に依存したこれまでの巨大電力会社体制も、近い将来は、時代遅れになり、恐竜のように消滅すると思われます。
 このまま「古い電力である」原発を再稼働しても、決して日本経済は活性化しません。むしろ脱原発に舵を切れば経済の拡大要因になる。中小企業などものづくり企業の活躍の機会が増える。新しい時代の展望が開ければ新しい経済が生まれる。脱原発新産業の幕開けをもたらし景気や雇用の拡大になる。経団連が雇用減少というが、脱原発は雇用拡大です。
 その意味でも、ただちに原発をゼロにすべきです。そしてかつての国鉄改革のように、力の独占体制にメスを入れて、発送配電分離はもちろん、官庁の許認可に頼らない、真の自由化を実現し、国民の手に安全な電気を取り戻し、日本経済の活性化を実現しましょう。
(引用終わり)
 
 但し、このメッセージ自体は、11月1日の“よい仕事おこし”フェアのために書かれたのではなく、もっと前に発信されていたようです(「ゴー宣ネット道場」に掲載されたのは9月14日)。
 オリジナルの出典を調べようとしているのですが、まだ調べがついていません。
 
 さて、その加藤寛氏です。
 過去の「業績」への評価はどうあれ、「原発」について正しい認識を持たれていることは素晴らしいことです。
 経済界の中には、加藤氏の「教え子」もたくさんいるはずなのですから、その影響力を期待したいものです。