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避難ママの声を国会に届けたい!11・21「自主」避難者の要求を実現させる院内集会

 今晩(11月22日)配信した「メルマガ金原No.1176」を転載します。昨日、行われた院内集会の他に、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」のポイントもご紹介しています。
 
避難ママの声を国会に届けたい!11・21「自主」避難者の要求を実現させる院内集会
 
 昨日(11月21日)、参議院議員会館において、表題の院内集会が開催され、IWJによる中継も行われました。
  http://iwj.co.jp/wj/open/archives/41406 (1時間52分08秒)
 
 「子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク」ブログに掲載された開催案内を引します。
 
(引用開始)
避難ママの声を国会に届けたい!!
11・21「自主」避難者の要求を実現させる院内集会
 福島避難者子ども健康相談会と支援法プロジェクトチームが11月21日(水)院内会を行いますので紹介します。ぜひご参加ください。
~以下院内集会 チラシ内容~
 私たち、福島避難者こども健康相談会は、子どもの健康を案じて自力で福島から
関東へ避難してきた母親の呼びかけに応え、「子どもたちを放射能から守る全国小科医ネットワーク」の協力を得て、昨年2回、都内2箇所で無料の健康相談会をしてきました。
 原発事故が原因でありながら、強制避難区域外であるというただそれだけの理由
で、「自主」避難者は行政諸施策の外に置かれ、見捨てられてきました。健康相談会はめて子どもの健康診断でも、と始められました。
 「自主」避難者は避難先での住居・就労、家族面会のための交通費等、今もって
しい生活を強いられています。そんな時、被災者の生活援助を中心に据えた「子も・被災者支援法」が成立し、基本方針の策定が進められていることを知り、ぜひこの法で救済をと10月26日に復興庁に要望書を提出した次第です。
 そこで下記のとおり、11月21日に、要求実現のための院内集会を開催することとい
しました。院内集会へのご参加よろしく願いします。
◆内容
名称:避難ママの声を国会に届けたい! 
11・21「自主」避難者の要求を実現させる院内集会
日時:11月21日(水)11:00~12:30
場所:参議院議員会館 地階107会議室
◆発言(予定)
福島からの「自主」避難者の訴え(複数の避難ママより)
要望書の要点説明
あいさつ:
支援法発案議員、民主党PT議員
「子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク」(山田真代表)
原発事故子ども・被災者支援法市民会議」 ほか
◆お問い合わせ
主催:福島避難者こども健康相談会・支援法プロジェクトチーム
(引用終わり)
 
 この院内集会での「避難ママの皆さん」の発言、訴えを伺うにつけ、いわゆる「自主避難者」に対する支援をどう実現していくかということは、緊急であとともに、息長く取り組まなければならない重い課題であることをあらためて実感します。
 東電に対する賠償請求という側面でも、原子力損害賠償紛争解決センター(原ADR)に対する申立は、こと「自主避難者」に関する限り、完全に行き詰まっていると言わざるを得ません(私も関与している関西弁護団だけではなく、各地の弁護団とも似たような状況です)。
 そのような中で、6月21日に成立した「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(あまりにも長いので、「子ども・被災者支援法」などと称されます。もっとも定番と言えるほどの略称は定着していないようですが)をどのように「活用」していくかが重要です。
 
総務省データベースに掲載された「子ども・被災者支援法」全文
 
 同法は、誰も異論のない「目的(第1条)」、「基本理念(第2条)」、「国の責務(第3条)」、「法制上の措置等(第4条)」などに引き続き、第5条(基本方針)で以下のうに規定しています。
 
(基本方針)
第五条  政府は、第二条の基本理念にのっとり、被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
 基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
 被災者生活支援等施策の推進に関する基本的方向
 第八条第一項の支援対象地域に関する事項
 被災者生活支援等施策に関する基本的な事項(被災者生活支援等施策の推進に関し必要な計画に関する事項を含む。)
 前三号に掲げるもののほか、被災者生活支援等施策の推進に関する重要事項
 政府は、基本方針を策定しようとするときは、あらかじめ、その内容に東京電力原子力事故の影響を受けた地域の住民、当該地域から避難している者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
 政府は、基本方針を策定したときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
 前二項の規定は、基本方針の変更について準用する。
 
 つまり、この法律は、支援の大枠を定めたものであって、それが実効性をともなうものになるかどうかは、政府の定める(国会ではありません)「基本方針」の中身次第となるのです。
 今回の院内集会も、政府の「基本方針」の策定に向けて、避難者の声を出来るだけ反映させようとして企画されたものでしょう(もっとも、タイトルが「政府に届けたい!」ではなく、「国会に届けたい!」となっていますが・・・)。
 
 なお、第5条2項において、「基本方針」に定めるべき事項が列挙されている中で、第二号として、「第八条第一項の支援対象地域に関する事項」が含まれていることに注目してください。
 長くなりますので全文は引用しませんが、第8条は「支援対象地域で生活する被災者への支援」、第9条は「支援対象地域以外の地域で生活する被災者への支援」、第10条は「支援対象地域以外の地域から帰還する被災者への支援」を定めています。
 それでは、「支援対象地域」というのは、具体的にはどの「地域」なのでしょうか?
 実は、まだ決まっていないのです。
 これについて、第8条1項は次のように定めています。
 
第八条  国は、支援対象地域(その地域における放射線量が政府による避難に係る指示が行われるべき基準を下回っているが一定の基準以上である地域をいう。以下同じ。)で生活する被災者を支援するため、医療の確保に関する施策、子どもの就学等の援助に関する施策、家庭、学校等における食の安全及び安心の確保に関する施策、放射線量の低減及び生活上の負担の軽減のための地域における取組の支援に関する施策、自然体験活動等を通じた心身の健康の保持に関する施策、家族と離れて暮らすこととなった子どもに対する支援に関する施策その他の必要な施策を講ずるものとする。
 
 お分かりでしょうか?「その地域における放射線量が」「政府による避難に係る指示が行われるべき基準(現在は、20ミリシーベルト/年というところに線が引がれています)を下回っているが一定の基準以上である地域」を「支援対象地域」とするとしているのです。
 従って、第5条2項で定めるべき「基本方針」で掲げられている第8条1項の「支援対象地域に関する事項」の中には、どのレベルの放射線量以上(「一定の基準以上」)の地域を「支援対象地域」とするか、ということも含まれているのです。
 そして、それを決定する権限を、「子ども・被災者支援法」は「政府」に委任している訳です。
 この線引きは、非常に重要な判断ですから、政府に委任するのではなく、国会が自ら決定する「法律事項」にすべきだったのではないか、というのが私の個人的な意見なのですが。
 それはともかく、同法第5条2項二号の意味するところは、このように非常に重要です。
 さらに同項三号で「基本方針」に定めることが求められている「被災者生活支援等施策に関する基本的な事項(被災者生活支援等施策の推進に関し必要な計画に関する事項を含む。)」 も、実際の支援の内容を具体化するものですから、どのように定めるかはやはりきわめて重要です。
 
 今回の院内集会の開催趣旨をご理解いただくためにも、この長い表題の法律「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」は、是非一度通読していただければと思います。