今晩(12月2日)配信した「メルマガ金原No.1186」を転載します。
子ども・被災者支援法を真に実効性あるものとするために
去る11月22日、メルマガ金原No.1176として「避難ママの声を国会に届けたい!11・21『自主』避難者の要求を実現させる院内集会」を配信し、すぐにブログにも転載しました。
そこにも書きましたように、今年の6月に成立したした「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(子ども・被災者支援法)実施のために必要な政府による「基本方針」の策定が進んでいます、そして、同法5条3項に定められた「政府は、基本方針を策定しようとするときは、あらかじめ、その内容に東京電力原子力事故の影響を受けた地域の住民、当該地域から避難している者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする」を実質化しようと、様々な団体が政府への働きかけを行っています。
「避難ママの声を国会に届けたい!11・21『自主』避難者の要求を実現させる院内集会」もその一つであった訳ですが、その後も、大阪、京都、東京などで重要な動きがありましたのでご紹介します。
「避難者がつくる公聴会in大阪」
11月27日(火)10時30分~15時30分(於:クレオ大阪中央・セミナー室)
準備の裏方を務められた青木佳史弁護士(大阪弁護士会)が、広域避難者支援ネットワークMLに投稿された報告の一部をご紹介します。
(引用開始)
本日の避難者がつくる公聴会は、無事に全日程を予定どおりに終えることができました。急の開催決定でしたが、ご理解とご協力を、多方面の参加団体からいただき、ありがとうございました。おかでさまで150名の参加で盛会のうちに進めることができました。
内訳は、避難者34名、一般参加74名(ただし、一部加入団体の方あり)、ホッとネットおおさかの加入団体から22名、報道関係者11名、国会議員+秘書5名、大阪市会議員2名、復興庁2名(政策調査官と参事官補佐)でした。
とにかく9名の避難者の様々な立場からの多面的な発言と、みらいずさんからの子どもの声は、いずれもこの日のために復興庁に届けたい切実な内容が、しっかりと準備され、心から絞り出されたもので、聴衆の心をうつものでした。
復興庁からの回答は十分なものはみられませんでしたが、熊本や福井からも避難当事者の方が参加され、これからの動きにつながるいい場を設けることができたと思います。
(引用終わり)
内訳は、避難者34名、一般参加74名(ただし、一部加入団体の方あり)、ホッとネットおおさかの加入団体から22名、報道関係者11名、国会議員+秘書5名、大阪市会議員2名、復興庁2名(政策調査官と参事官補佐)でした。
とにかく9名の避難者の様々な立場からの多面的な発言と、みらいずさんからの子どもの声は、いずれもこの日のために復興庁に届けたい切実な内容が、しっかりと準備され、心から絞り出されたもので、聴衆の心をうつものでした。
復興庁からの回答は十分なものはみられませんでしたが、熊本や福井からも避難当事者の方が参加され、これからの動きにつながるいい場を設けることができたと思います。
(引用終わり)
ちなみに、その翌日には、京都でも「避難者がつくる京都公聴会」が開催されました。
「避難者がつくる京都公聴会」
11月28日(水)13時40分~16時30分(於:京都市呉竹文化センター・創造活動室)
フライヤー http://utukushima.exblog.jp/16762769/
フライヤー http://utukushima.exblog.jp/16762769/
京都公聴会の映像は見つけられませんでしたが、奥森祥陽さんが同じく広域避難者支援ネットワークMLに報告された毎日放送ラジオの報道内容をご紹介します。
(引用開始)
■復興庁の公聴会 福島から避難 経済支援求める
福島第一原発の事故の影響で京都で避難生活を送っている人たちが、復興庁の職員を招いた公聴会に出席し、住宅支援など経済的なサポートを求めました。
この公聴会は、今年6月に制定された「原発事故子ども・被災者支援法」の運用方針を決めていくために開かれたもので、福島県などから京都に避難しているおよそ50人が参加しました。
避難している人たちからは、住宅支援など避難生活への経済的サポートを求める声があがりました。
「福島県民だけでなく、移住者や希望する者は、定期的に健診を無料で受けさせて下さい。子どもの命を守る為にあきらめられません、本当に助けて下さい」(福島県からの避難者)
復興庁は、今回の要望について関係省庁と協議していくとしていますが、選挙で予算編成が遅れるため、内容の決定は来年2月になる見通しです。(11/28 19:05)
(引用終わり)
福島第一原発の事故の影響で京都で避難生活を送っている人たちが、復興庁の職員を招いた公聴会に出席し、住宅支援など経済的なサポートを求めました。
この公聴会は、今年6月に制定された「原発事故子ども・被災者支援法」の運用方針を決めていくために開かれたもので、福島県などから京都に避難しているおよそ50人が参加しました。
避難している人たちからは、住宅支援など避難生活への経済的サポートを求める声があがりました。
「福島県民だけでなく、移住者や希望する者は、定期的に健診を無料で受けさせて下さい。子どもの命を守る為にあきらめられません、本当に助けて下さい」(福島県からの避難者)
復興庁は、今回の要望について関係省庁と協議していくとしていますが、選挙で予算編成が遅れるため、内容の決定は来年2月になる見通しです。(11/28 19:05)
(引用終わり)
さて、11月28日(水)には、東京でも以下のような注目すべき動きがありました。
まずは OurPlanetTV による報道(映像&記事)をご覧ください。
一刻も早く具体策を~平野大臣に福島の被害者訴え
映像(You Tube)(7分19秒)
(引用開始)
東京電力福島第一原発事故の被害者や支援者らは28日、現在、基本方針策定中の法律「原発事故子ども・被災者支援法」に対して、一刻も早く基本方針策定をし実施をして欲しいと平野復興大臣に要望書を提出、政府と交渉を行った。
今回政府に要望したのは、原発事故の被害者や支援者などを含む25の市民団体。復興庁で平野達男復興大臣と面会し、汚染地域で暮らす人の「避難の権利」などを訴えた。また、福島県が12月28日で、県外への借り上げ住宅支援について新規受付を終了すると発表したことに対して、打ち切りをしないよう求める5218筆の要望書を提出。福島から福岡へ母子避難をした宇野朗子さんは、「避難をする人への支援が薄くなることに、大変危機感を感じている。避難を考えている人の状況を把握して欲しい」と訴えた。平野大臣は「意見を受け止め検討していく」としている。
原発事故子ども・被災者支援法は、汚染地域で暮らす人たちの「避難の権利」や子どもや妊婦の医療費を減額したり免除したりすることなどが盛り込まれており、市民や議員らの働きかけにより今年6月21日に成立。しかし、基本方針策定が遅れ具体的な支援はまだ行われていない。
平野大臣との面会後、市民と政府の直接交渉が行われた。
支援対象地域の基準は年間5ミリシーベルト?
市民らは原発事故子ども・被災者支援法の支援対象地域について、年間1ミリシーベルト以上の被ばくが推定される地域は、全て支援対象地域に指定欲しいと強く訴えたものの、これに対して、復興庁の水野靖久参事官は、「政府の中では、5ミリシーベルトという話も聞くが、どんな数字でも根拠を明確にしていかなければならない」と回答した。
被ばく量低減のための保養プログラムと移動教室
福島県内で暮らしている子どもたちの被ばく量低減のため、支援対象地域の学校単位、学級単位で放射線量の低い地域に移動して授業を受ける「移動教室」や民間の保養プログラムの支援などを求めた。水野靖久参事官は、どちらも重要性を認識して検討中とし、「移動教室の事業は、文部科学省の方で、24年度の予算を遥かに上回る数倍の予算要求を25年度にしている。文部科学省でも真剣に検討している」と説明した。
高速道路の無料措置
原発事故の被害者の高速道路の無料措置について、国交省の担当者は、「要望が多く、大臣から実施に向けて検討するように指示を受けている」と話した。
原発事故子ども・被災者支援法市民会議の代表 中手聖一さんは、「今回の選挙で被災者支援が争点になっていない。各党があまり力を入れておらず、孤立感、怖いと感じる。まだ事故からは2年も経っておらず、被害は続いている」と被災者支援への動きに注目して欲しいと訴えた。
(引用終わり)
今回政府に要望したのは、原発事故の被害者や支援者などを含む25の市民団体。復興庁で平野達男復興大臣と面会し、汚染地域で暮らす人の「避難の権利」などを訴えた。また、福島県が12月28日で、県外への借り上げ住宅支援について新規受付を終了すると発表したことに対して、打ち切りをしないよう求める5218筆の要望書を提出。福島から福岡へ母子避難をした宇野朗子さんは、「避難をする人への支援が薄くなることに、大変危機感を感じている。避難を考えている人の状況を把握して欲しい」と訴えた。平野大臣は「意見を受け止め検討していく」としている。
原発事故子ども・被災者支援法は、汚染地域で暮らす人たちの「避難の権利」や子どもや妊婦の医療費を減額したり免除したりすることなどが盛り込まれており、市民や議員らの働きかけにより今年6月21日に成立。しかし、基本方針策定が遅れ具体的な支援はまだ行われていない。
平野大臣との面会後、市民と政府の直接交渉が行われた。
支援対象地域の基準は年間5ミリシーベルト?
市民らは原発事故子ども・被災者支援法の支援対象地域について、年間1ミリシーベルト以上の被ばくが推定される地域は、全て支援対象地域に指定欲しいと強く訴えたものの、これに対して、復興庁の水野靖久参事官は、「政府の中では、5ミリシーベルトという話も聞くが、どんな数字でも根拠を明確にしていかなければならない」と回答した。
被ばく量低減のための保養プログラムと移動教室
福島県内で暮らしている子どもたちの被ばく量低減のため、支援対象地域の学校単位、学級単位で放射線量の低い地域に移動して授業を受ける「移動教室」や民間の保養プログラムの支援などを求めた。水野靖久参事官は、どちらも重要性を認識して検討中とし、「移動教室の事業は、文部科学省の方で、24年度の予算を遥かに上回る数倍の予算要求を25年度にしている。文部科学省でも真剣に検討している」と説明した。
高速道路の無料措置
原発事故の被害者の高速道路の無料措置について、国交省の担当者は、「要望が多く、大臣から実施に向けて検討するように指示を受けている」と話した。
原発事故子ども・被災者支援法市民会議の代表 中手聖一さんは、「今回の選挙で被災者支援が争点になっていない。各党があまり力を入れておらず、孤立感、怖いと感じる。まだ事故からは2年も経っておらず、被害は続いている」と被災者支援への動きに注目して欲しいと訴えた。
(引用終わり)
以上の行動については、IWJによる中継も行われました。
2012/11/28 被災者支援法に関して、平野復興大臣への要請書提出
2012/11/28 「原発事故子ども・被災者支援法」を活かして!市民からの提案
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/42441 (ダイジェスト版 3分18秒)
※完全版(3時間超)の視聴のためには会員登録(有料)が必要
(内容説明・引用開始)
2012年11月28日(水)、東京都千代田区の参議院議員会館で、「『原発事故子ども・被災者支援法』を活かして!市民からの提案」が開かれた。主催は「原発事故子ども・被災者支援法市民会議」。主催者らは、新たに施行された「子ども・被災者支援法」の中身について、復興庁、環境省らの職員らと議論を交わし、安全側に立脚した被曝管理や、支援対象地域の策定を求めた。
■スケジュール
14:00~14:30 事前集会:市民・国会議員による情報共有
14:30~16:00 政府・市民による対話セッション
※復興庁からの出席を予定
※冒頭に市民側からの要請書の提出
16:00~16:30 まとめ&記者会見
■テーマ
・住宅借上制度打ち切りと福島の現状
・支援対象地域
・被災者支援の内容:「移動」支援~高速道路の無料化など/「住宅」「雇用」支援/「保養」支援
・被ばく管理・健康管理・医療支援
■主催
原発事故子ども・被災者支援法市民会議
14:00~14:30 事前集会:市民・国会議員による情報共有
14:30~16:00 政府・市民による対話セッション
※復興庁からの出席を予定
※冒頭に市民側からの要請書の提出
16:00~16:30 まとめ&記者会見
■テーマ
・住宅借上制度打ち切りと福島の現状
・支援対象地域
・被災者支援の内容:「移動」支援~高速道路の無料化など/「住宅」「雇用」支援/「保養」支援
・被ばく管理・健康管理・医療支援
■主催
原発事故子ども・被災者支援法市民会議
(引用終わり)
それにしても、「政府の中では、5ミリシーベルトという話も聞くが」(復興庁・水野靖久参事官)ですか・・・。懸念していたとおりの動きですね。
支援対象地域と線量の関係については、以前のメルマガ&ブログで説明していますのでご参照いただきたいのですが、
要するに、「子ども・被災者支援法」第8条1項によれば、「支援対象地域」=「その地域における放射線量が政府による避難に係る指示が行われるべき基準を下回っているが一定の基準以上である地域」と定義されており、現在政府が策定中の「基本方針」の中で、まさにこの「一定の基準」が定められようとしている訳です(同法第5条2項2号)。
あのチェルノブイリ原発事故の後、ウクライナ、ベラルーシ、ロシアの各国で制定されたチェルノブイリ法制では、「避難の権利」を認める基本的な線量基準は、自然放射線量に上乗せされる汚染による放射線量が「0.1レム(1ミリシーベルト)」を超える場合とされたのですが。
この点については、『チェルノブイリによる放射能災害 国際共同研究報告書』(編集:今中哲二/発行:技術と人間/発売:1998年10月)に収録された以下の論文などをご参照ください。
「ウクライナでの事故への法的取り組み」
オレグ・ナスビット、今中哲二
オレグ・ナスビット、今中哲二
「ベラルーシにおける法的取り組みと影響研究の概要」
ウラジーミル・P・マツコ、今中哲二
ウラジーミル・P・マツコ、今中哲二
「ロシアにおける法的取り組みと影響研究の概要」
イーゴリ・A・リャプツェフ、今中哲二
イーゴリ・A・リャプツェフ、今中哲二
「子ども・被災者支援法」第1条に定める「子どもに特に配慮して行う被災者の生活支援等に関する施策の基本となる事項を定めることにより、被災者の生活を守り支えるための被災者生活支援等施策を推進し、もって被災者の不安の解消及び安定した生活の実現に寄与することを目的とする」という規定が、絵に描いた餅とならぬよう、国民的な運動が必要だと痛感しました。
(参考)