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成澤宗男氏・「愛国者」をかたる奴隷たち

 去る2012年11月20日に配信した「メルマガ金原No.1174」を転載します。
 
成澤宗男氏・「愛国者」をかたる奴隷たち
 
 最近、長くなりがちのメルマガですが、今日はごく短いコラムをご紹介します。
 「週刊金曜日」11月16日号に掲載された成澤宗男氏(週刊金曜日企画編集委員)の文章です。
 Peace Philosophy Centreに掲載されたものを引用します。
 本当は、これが「国民の選択」の指針になるべきなのですがね。
 
(引用開始)
             愛国者」をかたる奴隷たち
悪い冗談だ。「領土問題では中韓に毅然と対処しろ」だと。その程度の劣情が「ナショナリズム」とは、笑止千番ではないか。ならば、せめて一度でもいいから「毅然」としてみせたらどうだ。「独立」して六〇年も経つこの国の首都圏に巨大軍事基地を点在させ、上空の管制権すら譲らぬどこかの「ならず者国家」にだ。それほど絶海の孤島の帰趨に興奮するのなら、わが「領土」に対して「望むだけの軍隊を、望む場所に、望む期間だけ駐留させる権利」を異人に与えるような条約を、なぜかくもありがたがるのか。ついにこの国は、オーウェル流逆説世界の類例なき生きた見本に相成ったのだ。今や、「愛国者」が売国奴、「固有の領土」が他国の属領、ナショナリズム」が奴隷根性、「同盟」が冊封、そして「毅然」が卑屈と同義になっている現実を見るがいい。あるいは、ナチスの傀儡の分際で「勤労、家族、祖国」などとうそぶいていたペタンの由緒正しき末裔として遇されるべきか。そういえば元首相、実は正真正銘のCIAエージェントの「孫」とやらも、随分と「国家」がお好きなようで。(成澤宗男)
(引用終わり)
 
 こういう威勢の良い文章に注釈を付けるほど無粋なことはありませんが、最低限の常識的なことだけ。
 
「独立」して六〇年も経つこの国の首都圏に巨大軍事基地を点在させ、上空の管制権すら譲らぬどこかの「ならず者国家」にだ。
→横田(東京・空軍)、横須賀(神奈川・海軍)、厚木(神奈川・海軍航空施設)、座間(神奈川・陸軍)がめぼしい首都圏の米軍基地。 
(ウイキペディアより)
「横田進入管制区、通称「横田空域」と呼ばれる1都8県(東京都、栃木県、群馬県、埼玉県、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県)に及ぶ広大な空域の航空管制を横田基地で行っている。「横田ラプコン」「横田エリア」とも呼ぶ。この空域は米空軍の管制下にあり、民間航空機であっても当該空域を飛行する場合は米軍による航空管制を受けなければならない。ただし、事前協議によって飛行経路を設定する必要があり手続きが煩雑なため、羽田空港を発着する民間航空機は同空域を避けるルートで飛行している。羽田空港や成田空港から西日本や北陸方面へ向かう民間航空機の飛行ルートの障害となっているため、航空路が過密化する要因の一つとなっている」 
 
わが「領土」に対して「望むだけの軍隊を、望む場所に、望む期間だけ駐留させる権利」を異人に与えるような条約
→日本との講和条約交渉の米国側責任者であったジョン・フォスター・ダレスが、交渉団内部の会議において、日本との交渉での獲得目標として提示した条件。この条件を吉田茂がのむことによって旧日米安保条約が締結された。
※例えば、豊下楢彦『安保条約の成立-吉田外交と天皇外交-』(岩波新書)47頁以下など参照。
 
オーウェル流逆説世界
ジョージ・オーウェルの「1984年」というよりは「動物農場」の方がこの表現に近いですかね?(自信はありませんが)
 
ナチスの傀儡の分際で「勤労、家族、祖国」などとうそぶいていたペタン
→1940年から44年まで、フランス南部のヴィシーに首都を置いたナチスの傀儡権の首班となったペタン元帥。
 
元首相、実は正真正銘のCIAエージェント
→もちろん岸信介元首相のこと。CIAエージェント説については、ティム・ウィナー『Legacy of Ashes The History of the CIA』などに詳しいらしい。
 
安保条約の成立―吉田外交と天皇外交 (岩波新書)
 
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