wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

開催予告2/20山口二郎氏講演会「危機をどう乗り越えるか~政治の右傾化が進む中で~」(in和歌山市)

 今晩(2013年1月29日)配信した「メルマガ金原No.1248」を転載します。

開催予告2/20山口二郎氏講演会「危機をどう乗り越えるか~政治の右傾化が進む中で~」(in和歌山市)
 
 和歌山県平和フォーラムの藤原慎一郎さんから、山口二郎北海道大学教授講演会のご案内をいただきましたのでお知らせします。
 
 山口二郎教授といえば、民主党のブレーンというイメージが強く(いや実際そうだったと思いますが)、2009年の政権交代から今回の壊滅的敗北までの総括を聞てみたい、というのが私の個人的関心です。
 もちろん、講演の主テーマが「これからどうするのか?」ということであることは言うでもありません。
 
 講演会の概要は以下のとおりです。
 
(チラシより引用開始)
講演会「危機をどう乗り越えるか~政治の右傾化が進む中で~」
講師:山口二郎北海道大学教授)
2013年2月20日(水)18:00~20:00
和歌山県勤労福祉会館(プラザホープ)大ホール4階
入場無料
主催(お問い合わせ) 和歌山県平和フォーラム
  和歌山市雑賀屋町9 宮田ビル
  TEL:073-425-4180
 民主党の惨敗、自民党の大勝という総選挙の結果を受け、安倍政権が誕生しました。
 日本の政治全体が右傾化の流れを強め、平和と民主主義が危ぶまれる状況を迎えることは必至です。
 憲法改正、国防軍の創設、集団的自衛権の行使が今年7月の参議院選挙の結果次第では具体的な課題としてつきつけられることになります。
 社会運動や労働運動を本気で再生しなければならない年です。
 民主リベラル派の学者として民衆の立場に沿った提言を示しつづけてこられた山口二郎教授にご出席いただき学習交流会を計画いたしました。多くの皆様参加を呼びかけます。
山口二郎 プロフィール
1958年 岡山県に生まれる
1981年 東京大学法学部卒業、同大助手
1993年 北海道大学法学部教授
1997年 イギリス、オックスフォード大学セントアントニーズ・カレッジ客員研究員
2005年 イギリス、ウォーリック大学客員研究員
      イギリス労働党の成果と行き詰まりを観察し、岩波新書「ブレア時代のイギリス」を書く。
【専攻】行政学・現代政治
【現在の関心】グローバル化の荒波の中で、人間の尊厳を守るための政治や政策をいかに実現するかという問いを考え続けている。
【趣味】ギョウザづくり(イギリス留学中はほとんど自炊するなど、料理は得意)
【座右の銘】新しいものはつねに謀叛である(徳富蘆花
       十年一剣そ磨く(頼山陽
【著書】「内閣制度」(東京大学出版会)。「強者の政治に対抗する」(岩波書店)、「ブレア時代のイギリス」(岩波書店)、「戦後政治の崩壊」(岩波書店)ほか多数
(引用終わり)
 
 ところで、山口教授には、「Yamagutijiro.com」という、主に新聞・雑誌への寄稿を掲載するためのブログがあります。
 
 その中から、総選挙直後の「週刊金曜日」(12月21日号)に掲載された「民党政権の崩壊と日本政治の危機」の後半部分を引用します。
 私にしても、必ずしも全面的に賛成という訳ではないのですが、参考とすべもまたあると思いましたので。
 
(引用開始)
 では、民主派(民主党支持者ではない。平和と民主主義を守りたいと思う間のこと)は何をなすべきか。官邸包囲に象徴される運動のエネルギーは高まったが、それは選挙結果につながらなかった。このエネルギーを保ちつつ、政治、に選挙においてはその世界特有のルールに則って少しでも多くを獲得するという、政治のリテラシーを体得しなければならないというのが、民主派にとっての今回の選挙の最大の教訓である。
 第1のルールは、差異化よりも結集である。市民のデモなら、同じテーマにつて思い思いの仕方で表現し、小規模の集団ごとに歩いていけばよい。しかし、治の世界では、思い思いの仕方では無力であり、大きな塊を形成する必要がある。
 福島みずほ社民党党首は、選挙目当てに脱原発を言い出した他党と自分ちは違うと訴えていたが、これなど政治家にあるまじき錯覚と自己満足である。原発という大事を成就するためには、選挙目当てだろうが金儲けだろうが、ともか脱原発を望む者を集め多数を形成することが不可欠である。同じ方向を向くものは、スピード感や経路選択に違いがあっても、ともかく仲間だと捉える大雑把さが政治の世界には必要である。
 第2のルールは、五十歩と百歩の違いを見極めるということである。脱原発鳴する活発な市民のツイッター、ブログなどを見ると、民主党を自民党と同一視し、原発推進勢力と切り捨てるものがなんと多いことか。大飯原発再稼働、大間原発建設再開などを見れば怒るのも当然である。しかし、原子力規制委員会は活断層の存在を明らかにして敦賀原発は廃炉が事実上決まり、東通原発についても同様の可能性がある。自民党政権の下ではありえない事態である。民主党は生ぬるいが、自民党とは異なるベクトルを持っている。五十歩と百歩の違いはあるのだ。その違いを無視して、味方になりうる者を敵に追いやることは日本の左派がしばしば犯した誤りである。
 最善を求めることでむしろ事態は悪化し、ベストを求める姿勢は超越的なヒーロー待望につながるということは、50年以上前に丸山真男が指摘している。日本の左派には、佐高信氏をはじめ丸山ファンを自称する者が多いが、肝心の政治的判断のリアリズムは全く継承されてこなかった。
 最初の具体的課題は、民主党の廃墟をいかに片付け、政権を担いうる勢力を作り直すかということである。大敗は政党の自己変革の契機となるものである。しかし、2005年の大敗の時と同様、前原誠司が出てくるなら、さすがの私も民主党を見限るしかない。原発、憲法、社会保障についての常識を持った中堅の政治家がリーダーとなり、民主党の再建を始めるならば、まだ期待を持てると思う。安倍自民党に対抗する政権戦略を論じる中で、未来や社民などの勢力との提携を追求するしかない。
 絶望とは愚者の結論である。民主主義を守る戦いはこれから始まる。
(引用終わり)
 
ブレア時代のイギリス (岩波新書 新赤版 (979))