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「自民党改憲案の粗悪な人権感覚」(ビデオニュース・ドットコム)

 今晩(2013年3月3日)配信した「メルマガ金原No.1282」を転載します。
 
「自民党改憲案の粗悪な人権感覚」(ビデオニュース・ドットコム)
 
 先週(2013年2月23日)アップされたビデオニュース・ドットコムのニュースコメンタリーが、自民党改憲案を「人権感覚」の観点から批判していたことにようやく気がきました。
 いつものとおり、神保哲生さんと宮台真司さんが語り合っています。
 
自民党改憲案の粗悪な人権感覚
 
(番組案内・抜粋引用開始)
 人権問題の専門家らが2月21日、都内で会見し、自民党の憲法改正案が、これまで人類が築いてきた国際的な人権の基準から大きく離脱しているとして、その危険性に警鐘を鳴らした。
 明治大学のローレンス・レペタ教授(人権法)は、自民党の改憲案が基本的人
権の尊重を謳った97条や、同じく基本的人権に触れている前文の削除を求めていることなどを指摘した上で、自民党案は「これまで人類が培ってきた人権の理解からの離脱を意味する」と、これを厳しく批判した。
 自民党の改憲案は、基本的人権の概念が削除されている他、表現の自由や
結社の自由なども「公の秩序を乱さない限りにおいて」などの制約条件が設けられている。また、その際の公が何を意味するかも不明確であるため、レペタ教授らは基本的な人権への制約が拡大解釈される恐れがあるとの懸念を表明している。(後略)
(引用開始)
 
 番組案内でも触れられているとおり、明治大学のローレンス・レペタ特認教授が中心となって、外国特派員協会で行われた記者会見を踏まえたニュースコメンタリーでした(ただし、自民党改憲案について語られているのは番組の前半部分だけです)。
 
 その外国特派員協会での記者会見の模様はIWJによって中継されましたが、残念ながら非会員は「さわり」しか見られず、全編視聴するためには会員登録(有料)が必要です(もっとも全編英語で通訳・字幕なしですが)。
 
 弁護士ドットコムが、記者会見でのレペタ教授の発言を要約して紹介してくれています。
 レペタ教授が、自民党「日本国憲法改正草案」の中で特に問題だと指摘した部分を、弁護士ドットコムの中から抜き出してみましょう。
 
(抜粋引用開始)
基本的人権の本質」を規定する憲法97条を削除している点に着目し、「国民に新たな義務を課すため」と指摘。具体例として、国旗や国歌、憲法を尊重する義務を盛り込んだ条文(改正案3条と102条)が新設されたことなどをあげた。また、「何人も、個人に関する情報を不当に取得し、保有し、又は利用してはならない」という文言が付け加えられた改正案19条の2について、「民主主義国家の憲法は、国家権力を制限するもので、国民の権利を制限するものではない」と批判した。
 さらに、改正案で新設された98条の「緊急事態の宣言」について、「武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱」という条文を示し、「この『等』という文字の意味は広範で、何が含まれているかわからない」と指摘。「このような表現が使われる憲法は見たことがない」と苦言を呈した。さらに、改正案にたびたび「公の秩序」という文言が加わっている点について、「公の秩序が何を意味するかは定義がない」と述べ、国家権力が恣意的に介入する可能性について懸念を示した。
(引用終わり)
 
 何度もご紹介してきましたが、自民党の「改正草案」と「Q&A」をあらためてご紹介しておきます。
 
自民党「日本国憲法改正草案」
自民党「日本国憲法改正草案 Q&A」
 
 レペタ教授や宮台教授(首都大学東京の社会学の教授ですね)の指摘をさらに敷衍したいとも思いますが、それはまた別の機会にゆずることとし、以下には、私がメルマガ&ブログで自民党「日本国憲法改正草案」を批判した記事をご紹介しておきますので(既にお読みいただいているとは思いますが)、参考にしていただければ幸いです。
 
憲法記念日に考える(立憲主義ということ) 前編
憲法記念日に考える(立憲主義ということ) 後編
自民党「日本国憲法改正草案Q&A」の呆れた内容(天賦人権説の否定)
日本国憲法と自民党改正草案の“前文”を読み比べてみましょう 前編
日本国憲法と自民党改正草案の“前文”を読み比べてみましょう 後編