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安倍首相が米国に持参した宿題への回答「Japan is Back」

 今晩(2013年3月8日)配信した「メルマガ金原No.1287」を転載します。
 
安倍首相が米国に持参した宿題への回答「Japan is Back」
 
 去る(2013年)2月22日(現地時間)、オバマ米大統領との会談を終えた安倍晋三首相は、ワシントンのCSIS(米戦略国際問題研究所)において「Japan is Back(日本は戻ってきました)」と題する英語の講演を行いました。その映像とスピーチ原稿(英語、日本語、日英語対照)をご紹介します。
 
映像(USTRAM/CSIS
スピーチ原稿(英語/CSIS
スピーチ原稿(日本語/首相官邸)
スピーチ原稿(日英語対照/IWJ) 
 
 なぜ、この講演が注目すべきなのかについては、ジャーナリストの岩上安身さんの文章を引用することで説明に代えます。
 
(引用開始)
 冒頭、安倍総理は、真っ先にジョン・ハムレ(CSIS所長、元米国防副長官)、リチャード・アーミテージ(元国務副長官)、マイケル・グリーンCSIS上席副所長)ら、いわゆるジャパンハンドラーに対して、ひとりずつ名前をあげて、「ありがとうございます」と馬鹿丁寧なほどの礼を述べた。
 続けて、昨年8月に出された『第3次アーミテージレポート』に対して、「お答えしま
す」と述べ、講演を始めた。ジャパンハンドラーが下した「指令」に対する、日本現役総理からのダイレクトの「応答」である。
 実は、安倍総理の訪米に先立ち、2月19日付のウォール・ストリート・ジャーナル
紙に、マイケル・オースリン氏(アメリカン・エンタープライズ研究所日本部長)による安倍総理への公開書簡が掲載されている。
 その中で、マイケル氏は、安倍総理に対して、「防衛予算の増額」と「尖閣諸島
問題で中国を煽らないこと」を表明するよう要求している。「あなたがオバマ氏と会ったときに言うべきことはこれだ」と、驚くほど高飛車な命令口調である。これを見た人は、たかだかシンクタンクの一研究員が、一国の宰相に向かって何を偉そうに言っているのか、と思うだろう。
 しかし、今回のCSISでの講演で、安倍総理は「防衛省予算は増額となります」
とマイケル氏の要求通りに約束し、さらに「わたくしは、(尖閣諸島の問題を)エスカレートさせようとは露ほども思っておりません」などと、注文通りにこれまでの対中強硬姿勢を引っ込めている。まるで、プロンプターを読んでいる大根役者の如しである。
 さらに、米国のご機嫌取りをするかのように、日米同盟を何度も強調し、日本と
米国は「自然な組み合わせ」「頼りがいのあるパートナー」などとも述べている。
 ぜひ、全文を読み通してもらいたい。安倍総理の言う「戻ってきた」日本とは、何
なのか。「あなた方アメリカに忠実な」日本、ではないのか。お考えいただきたいと思う。
(引用終わり)
 
 これに付け加えることは別にないのですが、岩上さんが指摘されている「第3次ーミテージ・レポート」とウォール・ストリート・ジャーナル紙に掲載された「公開書簡」をご紹介しておきましょう。
 
 今回の講演会が行われたCSIS(米戦略国際問題研究所)は、2012年8月、リチャード・L・アーミテージ、ジョセフ・S・ナイ共著による「米日同盟―アジアの安定を保持する―」(いわゆる「第3次アーミテージ・レポート」を発行したところでもあるのですが、同レポートについては、メルマガ金原No.1261で詳しくご紹介していますので、そちらをご参照ください。
 
 また、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に掲載されたマイケル・オースリン氏による公開書簡「米国に伝えるべきは日本の開放性・大胆さ・防衛力」はまだ同紙のサイトで読むことができます。
 
 さて、今回の安倍首相の訪米は、TPP問題ばかりが注目されていますが(これも大問題ですが)、他方では、ジャパンハンドラーから「指令」された「宿題」を持参して「ほめてもらおう」というあさましい姿をさらしてきた訳です。
 この安倍首相の姿を見て、何故右翼が「幻滅」しないのか不思議です(いや、しているかもしれませんが)。
 
 もっとも、今回の安倍訪米については、米国政府の「醒めた対応」が顕著であったようで、2月28日付・毎日新聞「木語(もくご)」欄に、金子秀敏専門編集委員が、「南の島、なぜ消えた」という注目すべき記事を書いていました(天木直人さんのブログで教えてもらいました)。ご一読をお勧めします。
 
 また、3月4日付の「Peace Philosophy Centre」に、「オバマ大統領から冷遇された安倍首相、その背景には」という、今回の安倍訪米を総括した非常に参考になる記事が掲載されました。
 こちらも是非ご一読ください。