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日本学術会議『チェルノブイリ原発事故による環境への影響とその修復:20年の記録』の翻訳を公開

 今晩(2013年3月27日)配信した「メルマガ金原No.1306」を転載します。
 
日本学術会議チェルノブイリ原発事故による環境への影響とその修復:20年の記録』の翻訳を公開
 
 一昨日(2013年3月25日)、日本学術会議は、『チェルノブイリ原発事故による環境への影響とその修復:20年の記録』をWEBサイト上に公開しました。
 公開時の「記録」によれば、本記録は以下のように説明されています。
 
(引用開始) 
※ 本資料は、国際原子力機関(IAEA)が著作権を持つ「Environmental Consequences of the Chernobyl Accident and their Remediation: Twenty Years of Experience, Reports of the Chernobyl Forum Experts Group ‘Environment’」を IAEA認の下、日本学術会議 総合工学委員会原子力事故対応分科会原発事故による環境汚染調査に関する検討小委員会が翻訳したもので、日本学術会議則第二条に定める意思の表出ではない。掲載されたデータ等は、原文のままであり、日本学術会議が確認したものではない。
(引用終わり)
 
 pdfファイルとして公開された本文は以下のとおりです。
 
翻訳全文
 第1章 要約  第2章 序文
 第3章 環境の放射能汚染
 第4章 環境への対策と修復  第5章 人の被ばくレベル
 第6章 動植物に及ぼす放射線影響
 第7章 石棺シェルター【放射線防護壁】解体における環境と放射性廃棄物
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英語原文
 
 朝日新聞の記事によれば、「この報告書は(略)国際原子力機関IAEA)や世界保健機関(WHO)などの専門家グループが2006年に出版した。日本でも東日本大震災後、農林水産業などの専門家の多くが放射能対策の参考にしてきた。原発事故の状況、汚染の広がり、農林水産業や都市生活、動植物に与えた影響、人体被曝(ひばく)の推定、放射能対策など幅広い専門分野を網羅している。翻訳を呼びかけたスウェーデン国立スペース物理研究所の山内正敏研究員は『専門家だけでなく、高校生や大学生にも読んでほしい』としている」とのことです。
 
 国際原子力機関IAEA)が発行したと聞けば、つい色眼鏡で見てしまいそうですが、とりあえずは、虚心に目を通す価値はあるのではないか(総合的な評価はその後のこととして)と思い、ご紹介することとしました。
 
 なお、環境影響というよりは、主として住民の健康影響に関する研究ですが、IAEA、WHOに対するカウンター的な研究成果(の日本語訳)を、メルマガNo.1071として、昨年(2012年)8月19日にご紹介していました。それは、以下の2著です。
 
 1つめは、ロシアのアレクセイ・V・ヤブロコフ博士を中心とした研究グループによって2009年にまとめられた報告書『チェルノブイリ―大惨事が人びとと環境におよぼした影響』(Chernobyl: Consequences of the Catastrophe for People and the Environment)の日本語訳プロジェクトが進められ、部分的にWEBサイトで暫定訳が公開されていました。
日本語訳(暫定) http://chernobyl25.blogspot.jp/
 そして、同プロジェクトによる翻訳作業もいよいよ完了し、 2013年4月26日、岩波書店から『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』として発売が決定し、ネット書店では既に予約受付が始まっています(定価5,250円)。
 
 また、ドイツ放射線防護協会(核戦争防止国際医師会議ドイツ支部)が2011年4月に発表し、原発の危険から子どもを守る北陸医師の会が翻訳した『チェルノブイリの健康被害 原子炉大惨事から25年の記録』(Health Effects of Chernobyl 25 years after reactor catastrophe)もWEB上で公開されています。
 
 以上、WEB上で閲覧・ダウンロードできるチェルノブイリ原発事故による環境・健康影響に関する研究成果の日本語訳をご紹介しました。
 いずれの研究についても、うのみにすることなく、1人1人が自ら考えながら読み進めるという作業が求められるのだと思います。