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前泊博盛編著『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』とIWJ「日米地位協定スペシャル」

 今晩(2013年4月14日)配信した「メルマガ金原No.1325」を転載します。
 
前泊博盛編著『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』とIWJ「日地位協定スペシャル」
 
 大阪市に本社を置く創元社という老舗の出版社があります。心理学や歴史学連の本強いらしいのですが、一般的には、戦後まもなく東京支社が「のれん分け」で独立した東京創元社の方が有名でしょうね(私も中学生の頃からこちらの「創元推理文庫」でお世話になっていました)。
 もっとも、文学好きの人にとっては、1933年に谷崎潤一郎の『春琴抄』を出版し社として記憶している人もいるかもしれません。
 
 ところで、その創元社が、昨年(2012年)7月に出版した1冊の政治関係の本が『春琴抄』以来久々の(?)大ベストセラーとなり、にわかに出版界で脚光を浴びることになりました。
 「戦後発見」双書1と銘打った孫崎享(まごさき・うける)さんの『戦後史の正体』それで、最近の孫崎さんの講演動画での発言などによると、累計22万部は出ているようですから、この種の書籍としては驚異的な売れ行きと言ってよいでしょう。
 
 出版社が宣伝のために著者・孫崎さんが自作を語る映像を You Tube にアップています(12分17秒)。
 
 そして今年(2013年)の2月、その創元社から、「戦後発見」双書2として、『本は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(前泊博盛編著)が発刊されました。
 『戦後史の正体』に引き続き、(編)著者である前泊博盛(まえどまり・ひろもり)ん(沖縄国際大学教授、元琉球新報論説委員長)が自著を語る映像がアップされています(2分27秒)。
 
 ただ、孫崎さんの映像より大幅に短いのが物足りないと思ったわけでもないでしうが、IWJの岩上安身(いわかみ・やすみ)さんが、3月3日に前泊さんにインタビューした映像のアーカイブが視聴できます(2時間07分07秒)。
 
(映像紹介・引用開始)
日米地位協定」から見える属国日本の姿
 日本国憲法よりも上位にあるとされる「日米地位協定」とは何か-3日、『日
地位協定入門』(創元社)が発売されたばかりの、沖縄国際大学大学院教授・前泊博盛氏に岩上安身がインタビューした。オスプレイの強行配備から普天間基地の辺野古への移設問題、さらには原発再稼働からTPP交渉参加まで、日米地位協定」を切り口に、日米間に横たわるいくつもの政治的課題を幅広く議論した。
※IWJ日米地位協定スペシャルのインタビューは、半年間非会員の皆様にも公開いたします。
(引用終わり)
 
 上記にもあるとおり、IWJでは、この前泊氏インタビューを皮切りとして、「日米地位協定スペシャル」という特集ページを設けています。
 現在、前泊さんの他に、太田昌秀(おおた・まさひで)元沖縄県知事、我部政明(がべ・まさあき)琉球大学教授、伊波洋一(いは・よういち)元宜野湾市長に対するインタビューが掲載されており、9月ころまでは、誰でも無料で視聴できるようです。
 
太田昌秀氏インタビュー(3時間26分58秒)
 
我部政明氏インタビュー(3時間15分33秒)
 
伊波洋一氏インタビュー(3時間32分56秒)
 
 正直言って、長時間インタビューばかりなので、私自身、少しずつ「つまみ視聴」しただけなのですが、どれも皆、時間が許せば全編視聴する価値があると思いました。
 特に、我部政明教授に対するインタビューは是非とも通しで視たいと思っています。
 
 それから、この特集ページで特筆ものなのは、出たばかりの新刊『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』から、
  はじめに(11頁)
  目次(2頁)
  凡例(1頁)
  PRT1 日米地位協定Q&A(全17問)から
  ① 日米地位協定って何ですか?(25頁)
  編著書・分担執筆者紹介(1頁)
という40頁分がpdfファイルで無料公開されているということです。
 
 私も、すぐにこの40頁に目を通した結果、IWJサイトを通じてAMAZONにこの本を注文してしまいました(宣伝効果抜群です)。
 なお、もしも関心を持たれて同書を注文したいという方がおられれば、IWJへの支援の趣旨から、同「特集ページ」に貼られたAMZONへのリンクをクリックして購入していただければと思います。
 
 『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』を読めば、孫崎享さんが『戦後史の正体』で跡づけた「対米従属への道」を、日米地位協定を通し再検証できるのではないかと期待しています。
 
 最後に、同書の「はじめに」の末尾の文章(前泊博盛氏)を引用したいと思います。
 政府は4月28日に「主権回復の日」式典を挙行するとしています。
 1952年4月28日のその日は、沖縄、奄美、小笠原を米国の施政権下に置くことを認めた対日平和条約が発効した日であるとともに、日本全体における事実上の「占領体制の継続」を認めた日米行政協定(日米地位協定の前身)が発効した日でもあります。
 「主権回復の日」に向ける沖縄の厳しい視線は多くの人の知るところとなりましたが、これは国民全体の問題であるのだということをどれだけの人が自覚しているでしょうか。
 
(引用開始)
 この本を読んだみなさんは、おそらく、
 「沖縄は日本なのか」
 「沖縄はまだ米軍の占領下にあるんじゃないか」
 という思いは共有してもらえると思います。それはだれの目にもあきらかな現実だからです。
 でも、そこからもう一歩踏みだして、
 「では、日本は独立した主権国家なのか」
 「もしかしたら、日本全体がまだアメリカの占領下にあるんじゃないか」
 という問題に向きあってもらえればと思います。米軍基地やオスプレイの問題だけではありません。冒頭でのべた原発事故やその再稼働問題、TPP参加問題、検察の調書ねつ造事件など、多くの問題を生みだす構造的原因が、そこに隠されているからです。
(引用終わり)
 
(参考サイト)
日米地位協定(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定
 
機密文書「日米地位協定の考え方」(外務省)
琉球新報がその内容を報じたが、政府はその存在自体を否定している。