今晩(2013年4月19日)配信した「メルマガ金原No.1330」を転載します。
豊下楢彦氏講演会「北東アジアの非核平和の展望-尖閣諸島問題を中心に-」のご紹介
その大きな業績の割には、インターネット環境で視聴できる講演会などの映像があまり見当たらないのが残念でしたが、2012年9月1日(土)、兵庫県保険医協会において行われた学習会での「北東アジアの非核平和の展望-尖閣諸島問題を中心に-」と題された講演がIWJ兵庫によって中継され、今でもアーカイブ映像を視聴できることに気がつきました(最初の28分頃まで音声レベルが低くて聴き取りにくいのが難点ですが)。
豊下氏の上記新著は、名著の誉れ高い
とともに、1人でも多くの国民が味読すべきものだと思います。
なお、この3冊の著書をご紹介した私の旧稿をブログ「あしたの朝 目がさめたら」に転載しておりますので、ご一読いただけると幸いです。
(引用開始)
翻って、石原都知事によるセンセーショナルな「尖閣購入」方針のうちあげは、それがワシントンで行われたにもかかわらず、「尖閣問題」において決定的な鍵をにぎる「米国ファクター」を完全に覆い隠したものであった。石原氏の狙いは、「尖閣問題」をひたすら、日本と中国との「ゼロサム」関係に絞り込み、両国関係の緊張を「軍事紛争」のレベルにまで高めようとするところにあった。
こうした「軍事シナリオ」は、日中間に「尖閣問題」という紛争の火種を打ち込んできた米国にとっては、その策略のツケが回ってきたことを意味しており、中国との戦争に巻き込まれる危険性に直面させるものであった。かくして米国は、「中国の脅威」に対処すべく軍事戦略の再編を急ぐ一方で、中国との戦略対話を深めて協調関係を強化し、問題の「平和的解決」に努めているのである。
つまり、米国がその一部を管理下におく無人の島々をめぐって、世界第二位と第三位の経済大国同士が軍事衝突の危険性を孕みつつ対峙しあうという今日の状況は、まさに「日米関係とは中国問題に他ならない」といわれる本質的な問題が凝縮的に表現されているのである。とすれば、「尖閣問題」とは何かという課題は、つまるところ、戦後日本外交のあり方を根底から見直す必要性を提起している、と言えるのである。
(引用終わり)