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今年の長崎平和宣言と改憲問題(第1回起草委員会を終えて)

 今晩(2013年5月22日)配信した「メルマガ金原No.1364」を転載します。
 
今年の長崎平和宣言と改憲問題(第1回起草委員会を終えて)
 
 毎年、8月6日に広島市で、8月9日に長崎市で開かれる平和祈念式典。
 その際、市長によって読み上げられる「平和宣言」について、長崎市では、かなり以前から「起草委員会」方式をとっており、1980年からは、市長を委員長に学識験者や平和運動の代表、被爆者らが参加する現在の形となっています。
 市長が学者らの意見を聞いて個人的に書き上げる「広島方式」と異なる「長崎式」として定着しています。
 
 もっとも、様々な意見があって当然の委員会方式ですから、委員長である市長判断が「政治的」と批判されることもあり、今年も「改憲問題」をめぐって、委員と長の意見が対立する可能性をはらんでいるというのが、第1回委員会(5月11日)の議論状況であったようです。
 
 第1回委員会の模様を長崎新聞は以下のように伝えました。
 
長崎新聞 2013年5月12日
平和宣言文の起草委初会合
 
(抜粋引用開始)
 8月9日の平和祈念式典で長崎市長が読み上げる平和宣言文の起草委員会(委員長・田上富久市長、16人)は11日、長崎市内で本年度の初会合を開いた。安倍晋三首相が憲法改正の発議要件緩和に意欲を見せる中、委員からは現行憲法の堅持を宣言文に盛り込むよう求める意見が相次いだ。
(中略)
 会合には田上市長ら13人が出席。元長崎大学長の土山秀夫さん(88)は「安倍政権の狙いは9条の改変」との見方を示した上で、「現行憲法の前文にあるように、再び戦争の惨禍がないようにすべきとの意思表示ができれば一番良い」とした。長崎原爆被災者協議会の谷口稜曄(すみてる)会長(84)は「またもや戦争のできる国にしようとしている」と改憲の動きに危機感をにじませた。
(中略)
 田上市長は終了後の報道陣の取材に「共同声明に賛同しなかった日本政府のメッセージと、若い人への呼び掛けは確実に盛り込みたい」とする一方、憲法問題については「一つの候補として検討していくことになる」と述べるにとどめた。
 この日の意見を踏まえ、6月8日の次回、事務局案が示される。
(引用終わり)
 
 委員の1人としてこの会議に参加した西岡由香さん(漫画家)の【起草委員会告】が「Peace Philosophy Center」に掲載されていました。委員会の雰囲気がよく伝わってきます。
 
 とりわけ、被爆者である谷口稜曄(すみてる)氏の発言を伝える部分は心してみたいと思います。
 
(抜粋引用開始)
 特に、被爆者の谷口すみてるさんは、マイクを握って開口一番「日本は、昔は5年おきに戦争をやってきた。それに歯止めをかけたのが9条。いま、憲法を変えるきではない」「原爆の内部被爆は発表されなかった。福島も、内部被ばくは発表されない。どういうことなのか?原爆投下から68年、今まで以上に大きな声で訴えなければ」と、時おり咳こまれながら話されました。去年まで、短い発言だったのですが、今年は長い時間マイクを握られて、その一語一語からもどかしい思いがほとばしるようでした。
(引用終わり)
 
 田上市長が、憲法問題については「一つの候補として検討」と述べたことに触れながら、Peace Philosophy の乗松聡子さんが、日本の「反核兵器」コミュニティ全体に訴えかけた言葉が杞憂であれば良いのですが。
 
(引用開始)
 長崎の平和宣言文は、核兵器はいけないとしながらも戦争は容認というスタンスを世界に示すのであろうか。福島で高汚染地の子どもたちが放置されている状態に目をつぶりながら訴える「反核」とは一体何なのか。そして、世界一の核兵器大国との軍事同盟を容認しながら核兵器に反対するという矛盾にどう向合うつもりなのか。これらは長崎に限らず、日本の「反核兵器」コミュニティ全体が対峙しなければいけない問題ではないだろうか。
(引用終わり)
 
(参考サイト)
 西岡由香さんは、ご自身のサイト「丸い地球のうた♯」において、「放射能っ何?Q&A」を公開されています。