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5/23「96条の会」発足!

 今晩(2013年5月23日)配信した「メルマガ金原No.1365」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
5/23「96条の会」発足!
 
 本日(2013年5月23日)、36名の学者・研究者らが発起人となり、「96条の会」が発足しました。
 
 今日の午後、衆議院第一議員会館において記者会見が開かれました。記者会見に出席されたのは、代表に就任した樋口陽一氏を始め、以下の方々でした(朝日新聞デジタルの報道による)。
 樋口陽一氏、桂敬一氏、小林節氏、千葉眞氏、山口二郎氏。
 
(朝日新聞デジタルより抜粋引用開始)
 代表は憲法学界の長老、樋口陽一東大・東北大名誉教授。衆院議員会館での記者会見で「国会は3分の2の合意形成まで熟慮と討議を重ね、国民が慎重な決断をするための材料を集め、提供するのが職責のはず。過半数で発議し、あとは国民に丸投げというのは、法論理的に無理がある」などと訴えた。
 発起人の一人で、これまで改憲論者として知られた小林節慶応大教授は、安倍晋三首相が96条改正で「憲法を国民の手に取り戻す」と述べたことを批判。「憲法に縛られるべき権力者たちが国民を利用し、憲法をとりあげようとしている」と断じた。
(引用終わり)
 
 まず、「96条の会」の呼びかけ文をご紹介します。
 
(引用開始)
               「96条の会」呼びかけ文
 憲法改正手続きを定めた憲法96条の改正がこの夏の参議院選挙の争点に据えられようとしています。これまでは両院で総議員のそれぞれ3分の2の多数がなければ憲法改正を発議できなかったのに対し、これを過半数で足りるようにしようというのです。自民党を中心としたこうした動きが、「国民の厳粛な信託」による国政を「人類普遍の原理」として掲げる前文、平和主義を定めた9条、そして個人の尊重を定めて人権の根拠を示した13条など、憲法の基本原理にかかわる変更を容易にしようと進められていることは明らかです。
 その中でもとりわけ、96条を守れるかどうかは、単なる手続きについての技術的
な問題ではなく、権力を制限する憲法という、立憲主義そのものにかかわる重大な問題です。安倍首相らは、改憲の要件をゆるめることで頻繁に国民投票にかけられるようになり、国民の力を強める改革なのだとも言っていますが、これはごまかしです。今までよりも少ない人数で憲法に手をつけられるようにするというのは、政治家の権力を不当に強めるだけです。そもそも違憲判決の出ている選挙で選ばれた現在の議員に、憲法改正を語る資格があるでしょうか。
 96条は、「正当に選挙された国会」(前文)で3分の2の合意が形成されるまで
に熟慮と討議を重ね、それでもなお残るであろう少数意見をも含めて十分な判断材料を有権者に提供する役割を、国会議員に課しています。国会がその職責を全うし、主権者である国民自身が「現在及び将来の国民」(97条)に対する責任を果すべく自らをいましめつつ慎重な決断をすることを、96条は求めているのです。その96条が設けている憲法改正権への制限を96条自身を使ってゆるめることは、憲法の存在理由そのものに挑戦することを意味しています。
 私たちは、今回の96条改正論は、先の衆議院議員選挙でたまたま多数を得
た勢力が暴走し、憲法の存在理由を無視して国民が持つ憲法改正権のあるべき行使を妨げようとする動きであると考え、これに反対する運動を呼びかけます。来る参議院選挙に向けて、96条改正に反対する声に加わってくださるよう、広く訴えます。
                     2013年5月23日 「96条の会」発起人
(引用終わり)
 
 どのような人たちが発起人に名前を連ねているかも見ておきましょう。
 
(引用開始)
96条の会 発起人
樋口陽一憲法学者・96条の会代表)
青井未帆(学習院大学教授/憲法学)
阿久戸光晴(聖学院大学学長/憲法学)
新崎盛暉(沖縄大学名誉教授・元学長/沖縄近現代史・社会学)
蟻川恒正(日本大学教授/憲法学)
石川健治東京大学教授/憲法学)
石村善治(福岡大学名誉教授・元副学長、長崎県立大学名誉教授・元学長/憲法学)
伊藤 真(弁護士・日弁連憲法委員会副委員長)
稲 正樹(国際基督教大学教授/憲法学)
上野千鶴子東京大学名誉教授/社会学)
浦田賢治(早稲田大学名誉教授/憲法学)
岡野八代(同志社大学教授/西洋政治思想史・現代政治理論)
奥平康弘(憲法研究者)
桂 敬一(ジャーナリズム研究者)
姜 尚中(聖学院大学教授/政治学)
木村草太(首都大学東京准教授/憲法学)
小林 節(慶應義塾大学教授/憲法学)
小森陽一東京大学教授/日本近代文学)
齋藤純一(早稲田大学教授/政治理論・政治思想史)
阪口正二郎(一橋大学教授/憲法学)
坂本義和東京大学名誉教授/国際政治学・平和研究)
杉田 敦(法政大学教授/政治理論)
高橋哲哉東京大学教授/哲学)
田島泰彦(上智大学教授/憲法・メディア法)
千葉 眞(国際基督教大学教授/西欧政治思想史・政治理論)
辻村みよ子明治大学教授/ジェンダー法学・憲法学・比較憲法学)
中野晃一(上智大学教授/比較政治学・日本政治・政治思想)
西谷 修(東京外国語大学教授/フランス文学・思想)
長谷部恭男東京大学教授/憲法学)
林 香里(東京大学教授/社会情報学・ジャーナリズム・マスメディア研究)
三浦まり(上智大学教授/現代日本政治・比較福祉国家研究)
水島朝穂(早稲田大学教授/憲法学)
山口二郎北海道大学教授/行政学・政治学)
山内敏弘(一橋大学名誉教授/憲法学)
渡辺 治(一橋大学名誉教授/憲法学・政治学)
和田 守(大東文化大学名誉教授・元学長/日本政治思想史)
以上 36名(2013年5月22日現在)
(引用終わり)
 
 憲法学を中心に、多くの研究者が発起人に名前を連ねており、この運動の広がりを実感できます。
 朝日新聞も伝えているとおり、96条改憲に強く反対している小林節慶應義塾大学教授も、当然というべきでしょうか、名前を連ねておられます。
 マスコミの扱いは必ずしも大きなものではないようですが、潮目を変えていくための重要な動きだと思います。
 
 なお、公式サイトもこれからコンテンツを充実させていくところでしょうが、「賛同登録フォーム」は既に稼働しています(私は今日の午後、賛同登録しました)。

 

 賛同いただける方は、是非よろしくお願いします。