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「憲法は、廃墟にたてた誓いです」-長崎市長の平和宣言起草委員会での言葉

 今晩(2013年6月19日)配信した「メルマガ金原No.1392」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「憲法は、廃墟にたてた誓いです」-長崎市長の平和宣言起草委員会での言葉
 
 8月9日、長崎市で開かれる平和祈念式典において市長によって読み上げられ「平和宣言」の起草にあたり、広島市とは異なり、長崎市では「起草委員会」方式をとっていますが、去る(2013年)5月11日に開かれた今年の第1回起草委員会の模様が「Peace Philosophy Center」に掲載されていましたので、メルマガ金原No.1364「今年の長崎平和宣言と改憲問題(第1回起草委員会を終えて)」として紹介しました。
 
 そこでは、多くの委員から「現行憲法の堅持を宣言文に盛り込むよう求める意見が相次いだ」ものの、田上富久市長が、会議終了後報道陣に対し、「憲法問題については『一つの候補として検討していくことになる』と述べるにとどめた」(長崎新聞)ということであったため、「Peace Philosophy」の乗松聡子さんも重大な懸念を示されていたのでした。
 
 さて、そのような議論を踏まえた上で第2回起草委員会が、去る6月8日に開催されたのですが、そこで、前回とはうってかわり、田上市長から注目すべき発言がなされたということです。
 第1回と同様、「Peace Philosophy Center」に、起草委員である漫画家の西岡由香さんによるレポートが掲載されていましたので、今回もこれをご紹介することとします。
 
 西岡さんのレポートから抜粋して引用します。
 
(引用開始)
 6月8日、今年2回となる平和宣言文起草委員会が開かれました。
 被爆者の女性はマイクを握って開口一番
 「安倍総理は9条を変えようとしていますが、いかなる理由があろうとも9条は保持
するべきです」「被爆者の話を聞いてくださる若者の中に、9条がなくなったら戦地に行かなきゃならない人たちがいます」。
 被爆者の男性も第一声で
 「憲法が変えられたら、戦争ができる状況にもっていかれるのではないか。9条を守
るような文言を」
 3人の被爆者、そして13人の委員のうち7人が憲法について言及したのです。
 委員の意見がひととおりすんだあと、いつもはあまり意見を言わない市長が「私の
意見ですが・・」と前置きして
 「原点から考える、ということが大事だと思います。過去、人類は原爆投下という、
やってはいけないことをしてしまった。あやまちを繰り返さない。そのために、過去に立てた道しるべを確かめなければなりません。憲法は、廃墟にたてた誓いです。」
 どうしたんだーー!市長が護憲派みたいなこと言ってるーー!
 他の委員も「原点という普遍的視点からなら、憲法の記述も(ときの政権に左右
されず)違和感なく入れられると思う」と共感の意見が相次ぎました。
(引用終わり)
 
 「Peace Philosophy」の乗松さんも書かれているように、「長崎の『平和宣言』は、被爆者や、市長、西岡さんのような芸術家、など、多くの市民が何度も顔を突き合わせて議論をたたかわせ、想いを共有することによりできていくプロセスであり、このプロセスを知ることは、結果である「宣言」そのものよりもさらに大切なことなのではないか」と思います。
 第1回委員会において、多くの起草委員が憲法を守ることの重要さを是非盛りむべきだと主張したことが、第2回委員会での市長の発言を引き出したのでしょう。

 

 今年の最終的な「平和宣言」がどのような内容になるかはまだ分かりませんが、果とともにプロセスにも注目することによって、より多くのことが見えてくるのだと思います。