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映画『選挙2』と想田和弘監督の憲法を守るための闘い

 今晩(2013年6月20日)配信した「メルマガ金原No.1393」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
映画『選挙2』と想田和弘監督の憲法を守るための闘い
 
 想田和弘(そうだ・かずひろ)さんという映像作家がおられます。最近は、自ら「観察映画」と称するドキュメンタリー映画を監督しておられます。
 とはいえ、私自身は、かけちがって同氏の作品をまだ1本も観たことはないのですが、是非観てみたいものだと思っています。
 また、その経歴を調べてみると、東京大学文学部宗教学科の出身で、大学では島薗進教授に師事したとありました。
 
 ところで、その想田監督の「観察映画」最新作(第5作)『選挙2』が、7月6日から(参議院議員通常選挙に合わせてでしょうね)、順次全国で公開されるそうです。
 
 以下に、参考サイトをいくつかご紹介しておきます。
 
「映画作家・想田和弘 OFFICIAL WEBSITE」
※上記WEBSITEの中で「観察映画」は次のように説明されています。
(抜粋引用開始)
 観察映画とは、簡単に言えば、撮影前に台本を作らず、目の前の現実を撮影と編集を通じてつぶさに観察し、その過程で得られた発見に基づいて映画を作るドキュメンタリー制作の方法論である。出来上がった映画には、ナレーションや説明テロップ、BGMなどを基本的に使用しない。したがって、それは方法論であると同時に、表現形式=スタイルであるともいえる。『選挙』、『精神』、『Peace』といった僕の作品は、すべてこの「観察映画」の方法論と形式にのっとって作られている。
(引用終わり)
 
映画『選挙2』公式サイト
※同サイトに掲載された「ディレクターズ・ノート」を引用します。
(抜粋引用開始)
 いや、実は僕ですら、震災直後の川崎で「山さん」こと山内和彦の選挙運動を撮ったことを、ほとんど忘れかけていた。山さんが徒手空拳で挑戦した川崎市議会選挙を撮ったはいいものの、そこで目撃した風景が何を意味し、それに対して自分がどういう態度を取ればよいものか、僕にはよく分からなかった。そのせいで、長い間、僕には撮った映像素材を編集したいという意欲が湧かなかった。そのうちに、撮った事実すら、記憶から薄れつつあったのだ。
 ところが、2012年の12月16日、その状況が一変した。
 衆議院選挙で安倍晋三率いる自由民主党が圧勝し、政権交代が起きたの
である。
 僕は突然、1年半前に撮った映像を観てみたくなった。そして観ながら、「今な
ら編集できる。編集してみたい」という気持ちがムラムラと湧いてきた。かつて目撃した風景について、「ああ、あのとき観たものは、実はこういうことだったんじゃないか」と、にわかにひらめくものがあったのである。
 そして、その言葉にならないひらめきがどこかへ消えていってしまわないうちに、僕
は一気に編集作業を終えた。ドキュメンタリーの編集が常にそうであるように、それは自らが生きた過去を現在の視点から解釈し編み直すための作業であった。
 その作業をしながら一番驚いたのは、震災直後の未曾有の混乱の中で、しか
し極めて整然と機械的に行われた小さな市議会選挙に、震災後の「ニッポン」の限界と可能性を予見する要素が凝縮されていたということである。
 わたしたちの現在と未来の姿は、すでにそこにあったのだ。
 では、それはどんな姿形をしているのか。僕にはまだ、うまく言語化できていない。
 しかし、『選挙2』には、たしかにそれが映っている。
 僕の目には、祖国・日本とわたしたちの姿が、たしかにこのように見えている。
(引用終わり)
 
映画『選挙2』劇場予告編(2分06秒)
 
前作の映画『選挙』(2007年)予告編(2分01秒)
 
「観察映画の周辺 想田和弘公式ブログ」
 
 実は、私が想田和弘監督の『選挙2』を取り上げようと思ったのは、昨日(2013年6月19日)、「マガジン9」にアップされた想田監督の「今の自民党は『ブラック政党』なのではないか?」を読んだことがきっかけでした。
 
 自民党を「ブラック政党」であるというのは、まさに絶妙な評価であると思いながら読み進めたのですが、この文章の主題はそういうところにあるのではなく、『選挙2』の映像素材を撮影(2011年4月)していた際に自民党関係者から受けた「ブラックな対応」に対し、「ここで自主規制するわけにはいかない、と意を決した」過程が詳しく語られているところにこそあります。
 想田さんは、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」(日本国憲法12条)について、「60年以上の時を超えて、憲法の書き手と、突然、心がつながった。そう思ったら、僕は一歩も引けなくなった。ブラックな自民党に異議を唱えるためにも、僕は日本国憲法で保障された権利を積極的に行使すべきなのである」と書き進めます。

 

 そして、末尾において、以下のように読者に呼びかけます。さて、7月21日には参議院選挙が行われる。選挙権や被選挙権も、日本国憲法で保障された、日本国民の権利である。『投票したい人や政党がいない』という声も聞かれるが、この大切な権利を行使し、形骸化させないためにも、『よりましな』人や党に投票するのはどうか。ブラック化した政党がのさばり、日本国憲法が危機にある今だからこそ、憲法を意識しながら選挙に臨みたいものである」と。