wakaben6888のブログ

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2012年1月25日“ダボス会議”での渡辺謙さんのスピーチ

 今晩(2013年7月11日)配信した「メルマガ金原No.1415」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
2012年1月25日“ダボス会議”での渡辺謙さんのスピーチ
 
 スイスに本拠を置く世界経済フォーラム(World Economic Forum)の年次総会は、開催地のスイスの都市名からダボス会議と呼ばれています。
 もっとも、世界経済フォーラムダボス会議と聞いても、我ながらその実態についての知識は乏しく、経済のグローバル化を推進する「新自由主義経済陣営の拠点」だろうか?などと推測したりしているものの、自信はありません。
 関心のある方は公式サイトをご覧ください(英語ですが)。
 
 さて、何故今頃「ダボス会議」なのかと言うと・・・。
 今からもう1年半も前のことなのですが、2012年1月25日に開幕したその年のダボス会議において、俳優の渡辺謙さんがスピーチしたことが話題になったのをご記憶でしょうか?
 実は、その時点で渡辺さんのスピーチ全文が見つかっていれば、メルマガでご紹介しただろうと思うのですが、当時はさがしそこねてしまい、その後、忘れるともなく忘れてしまっていたという次第です。
 
 それが、最近ひょんなことから、渡辺謙さんのスピーチ全文を、翌日の東京新聞が掲載していたこと、それが今でも同紙WEBサイトで読むことができることを知ったのでした。
 まずは、東京新聞【特集・連載 アーカイブ2012】に掲載されているスピーチ全文をお読みください(そんなに長いものではありません)。
 
東京新聞 2012年1月26日 掲載
渡辺謙さん、ダボス会議スピーチ全文】
渡辺謙さん、ダボス会議でスピーチ 原子力からの転換訴える
 
 全文は上記サイトでお読みいただくとして、以下にスピーチの最後の部分、私が「キモ」と考える部分を引用します。
 
(抜粋引用開始)
 いま日本は、少しずつ震災や津波の傷を癒やし、その「絆」を頼りに前進しようともがいています。
 国は栄えて行くべきだ、経済や文明は発展していくべきだ、人は進化して行くべ
きだ。私たちはそうして前へ前へ進み、上を見上げて来ました。しかし度を超えた成長は無理を呼びます。日本には「足るを知る」という言葉があります。自分に必要な物を知っていると言う意味です。人間が一人生きて行く為の物質はそんなに多くないはずです。こんなに電気に頼らなくても人間は生きて行けるはずです。「原子力」という、人間が最後までコントロールできない物質に頼って生きて行く恐怖を味わった今、再生エネルギーに大きく舵を取らなければ、子供たちに未来を手渡すことはかなわないと感じています。
 私たちはもっとシンプルでつつましい、新しい「幸福」というものを創造する力がある
と信じています。がれきの荒野を見た私たちだからこそ、今までと違う「新しい日本」を作りたいと切に願っているのです。今あるものを捨て、今までやって来たことを変えるのは大きな痛みと勇気が必要です。しかし、今やらなければ未来は見えて来ません。心から笑いながら、支え合いながら生きて行く日本を、皆さまにお見せできるよう努力しようと思っています。そしてこの「絆」を世界の皆さまともつないで行きたいと思っています。
(引用終わり)
 
 ところで、この渡辺謙さんのスピーチを伝えた日本の大半のマスメディアが、東京新聞をほとんど唯一の例外として、渡辺さんのスピーチの内の「絆」に触れた部分のみを強調し、「原子力」についての否定的評価の部分はあえて報じなかったと、ネットの世界では指弾されています。
 ただし、こういう問題は、その当時、めぼしいメディアがどう報じたかを相当実証的調べた者でなければ責任をもった発言はできないはずであり、うかつに「孫引き」「ひ孫引き」によってメディア批判をする訳にはいかないだろうと思います。
 ということで、私の目に付いた範囲の中では最も「実証的」なサイトをご紹介しておきますので、「渡辺謙さんダボス会議スピーチを報じた日本のマスメディアの対応」に関心のある方は参考にしてください。
 
カナダde日本語 2012年1月29日
渡辺謙氏の世界経済フォーラム(WEF)スピーチ報道に見られる各メディアの
原発依存度
 
 それにしても、1年半前の渡辺謙さんの「決意」と正反対の政策を日本政府がし進めていることに、あらためて怒りがこみあげてきます。

 

 その怒りを活力に変えるために、あえて1年半前のスピーチをご紹介しました。