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参院選を終えて~こらから何をなすべきか

 今晩(2013年7月22日)配信した「メルマガ金原No.1426」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
参院選を終えて~こらから何をなすべきか
 
 昨日(2013年7月21日)、第23回参議院議員通常選挙が行われ、想定の範囲内というか、想定通りというか、与党圧勝の選挙結果となりました。
 
 まずは、今回の選挙結果を確認しておきたいと思います。改選議席数は参議院定数の半分、121議席です。
 各党の獲得議席数は以下のとおりです。
 
2013年7月21日 第23回参議院通常選挙 獲得議席数
自由民主党   65議席(比例18、選挙区47)
民主党      17議席(比例7、選挙区10)
公明党      11議席(比例7、選挙区4)
日本維新の会  8議席(比例6、選挙区2)
日本共産党   8議席(比例5、選挙区3)
みんなの党    8議席(比例4、選挙区4)
社会民主党    1議席(比例1)
諸派(沖縄大衆) 1議席(選挙区1)
無所属       2議席(選挙区2) 
 
 これに今回非改選の議員(3年後に任期満了を迎える)の数を加えた各党の議況は次のようになりました。

現在の参議院各会派別議席状況
自由民主党      50+65=115
民主党・新緑風会  42+17=59
公明党         9+11=20
みんなの党       10+8=18
日本共産党      3+8=11
日本維新の会      1+8=9
社会民主党・護憲連合  2+1=3
生活の党         2
新党改革         1
各派に属しない議員  1+3=4
 
 参議院で憲法改正発議に必要な2/3は162議席ですので、
  自由民主党(115)+みんなの党(18)+日本維新の会(9)=142
の3党だけでは2/3には届かず、最悪の状況だけはかろうじて回避できたということではあるのですが、それも3年の猶予が与えられたというに過ぎず、それ以前であっても、公明党や民主党改憲派の動き次第では、3年以内の改憲発議の可能性も否定できません。
 
 それから、各政党に対する国民の支持の状況を比較的反映している比例代表における各党の得票数・獲得議席数の推移を、2007年、2010年、2013年とたどってみました。
 
2007年7月29 日 第21回参議院議員通常選挙(投票率58.63%)
比例代表得票数(当選者数)
民主党       23,256,247.299 39.48%  20議席
自由民主党    16,544,671.100 28.08%  14議席
公明党       7,765,329.122 13.18%   7議席
日本共産党    4,407,932.856   7.48%   3議席
社会民主党    2,634,713.506   4.47%   2議席
その他                    2議席
 
2010年7月11日 第22回参議院議員通常選挙(投票率57.92%)
比例代表得票数(当選者数)
民主党      18,450,139.059 31.56%  16議席
自由民主党 14,071,671.422 24.07%  12議席
みんなの党 7,943,649.369 13.59%   7議席
公明党      7,639,432.739 13.07%   6議席
日本共産党   3,563,556.590   6.10%   3議席
社会民主党   2,242,735.155   3.84%   2議席
その他                    2議席
 
2013年7月21日 第23回参議院議員通常選挙(投票率52.61%)
比例代表得票数(当選者数)

自由民主党 18,460,404  18議席
公明党      7,568,080    7議席
民主党      7,134,215    7議席
日本維新の会 6,355,299    6議席
日本共産党   5,154,055   5議席
みんなの党 4,755,160   4議席
社会民主党   1,255,235    1議席
 
 こうしてみると、今回の選挙の投票率が大幅に低下しているにもかかわらず、民党の比例代表での絶対得票数は増加していたのですね(ここが昨年末の衆院選と違うところです)。もっとも、増加しているといえば共産党も過去2回に比べれば(投票率の低下にもかかわらず)、絶対得票数は増加に転じています。
 これをどう考えるかですが、衆院選の場合、民主党を見限った人の多くが棄権もしくは「維新」「みんな」に流れたものが、今回の参院選の場合、棄権した者ももちろん多かったものの、それほど「維新」「みんな」に大量に流れず、自や共産の得票数の増加に結びついたのではないか、という気が(とりあえず)します。
 とはいえ、あれだけ「失策」を繰り返した日本維新の会よりも、共産党の比での得票数が少ないというのが、「いやはや」ではありますね。
 
 さて、本題の「これから何をなすべきか」です。
 
 実は今日の昼休みに、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」の定例会議があり、去る6月26日に行った「新リレートーク 立憲主義と平和主義の危機に立ち向かう~自民党『日本国憲法改正草案』の検証~」で講師を務めた4人の弁護士を始め多くの会員が参加して、参院選後の会としての取組の方向性について議論しました。
 まだまだ具体的な行動・企画が固まるというところまで行きませんが、それでも会員から出された意見の中には、今後の方向性を考える上で貴重な示唆を与えられたものが含まれていたと思います。
 
 特に、某病院の職員研修の一環として、憲法についての講師を務めた複数の若手会員からの報告は興味深いものでした。
 自民党改憲案の問題点について話をした後の質疑の中で、「自民党改憲案の中の良いところはどんなところか?」という質問があったというのですね。
 自民党案の中にも「良いところがあるだろう」というのは非常に素直な発想で、それなりに尊重すべきかもしれませんが、まず、現行憲法についての基礎知識をほとんど持たない者に、自民党改憲案の問題点をレクチャーしても、肝心な部分が「通じない」ということが本質的な問題だろうと思います。
 そこで思い出したのは、私が積極的に普及に協力している伊藤真弁護士の語りおろしDVD『憲法ってなあに?憲法改正ってどういうこと?』のことでした。
 これまでにこのDVDを約150枚販売し、色々な感想を寄せていただいた中に、こういう意見があったのです。
 
「憲法のことをあまり知らない人にとっては『難しくて分かりにくい』という意見がある一方、憲法のことを学ぶ機会がある人にとっては『分かりやすい』ということでした」
 
 たしかに、伊藤真さんの語る内容を十分に理解し、「何て分かりやすい解説なんだ!」と感動するためには、憲法についての一定の知識・素養が前提となっていることは事実だと思います。
 
 今日の議論の中では、小学館が軽装版(500円+税)を再刊してコンビニでも売っている『日本国憲法』を知人に進呈したという会員からの報告もあり、伊藤真さんの語りおろしDVD(税込500円)も含め、様々なツールを利用して、まずは「日本国憲法」そのものを理解してもらうことが重要で、それを踏まえることによってはじめて自民党改憲案の問題点についても真の理解が得られる、というのが、とりあえずの今日の議論の結論であったように思います。
 
 次の課題は、どのようにして憲法の意義を語るべき相手を見つけてその懐に飛び込むのか?ということであり、ここでいつも行き悩むのですが、今度こそ「最後の機会」という覚悟をもって、1人でも多くの理解者を増やす地道な努力を今すぐ始めなければならないと思います。
 

 

 「憲法」以外の課題については、いずれ機会をあらためて考えてみたいと思います。