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wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

「平成25年 長崎平和宣言」を読む

 今晩(2013年8月9日)配信した「メルマガ金原No.1444」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
「平成25年 長崎平和宣言」を読む
 
 3日前の広島に続き、本日(2013年8月9日)、長崎市の平和公園において長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が開かれ、田上富久市長が「長崎平和宣言」を読み上げました。
 市長が最終的に文章を仕上げる広島方式とは異なり、長崎では「起草委員会」方式をとっており、委員会における議論の経過を知ることができます。
 今年は、2度にわたって、長崎平和宣言起草委員会の模様を、ピース・フィロソフィーの記事を引用する形で、メルマガ&ブログでご紹介しました。
 
「今年の長崎平和宣言と改憲問題(第1回起草委員会を終えて)」
「『憲法は、廃墟にたてた誓いです』-長崎市長の平和宣言起草委員会での言葉」
 
 それでは、今年の「長崎平和宣言」全文を読んでみましょう。
 
平成25年 長崎平和宣言(テキスト)
(引用開始)
 68年前の今日、このまちの上空にアメリカの爆撃機が一発の原子爆弾を投下しました。熱線、爆風、放射線の威力は凄まじく、直後から起こった火災は一昼夜続きました。人々が暮らしていたまちは一瞬で廃墟となり、24万人の市民のうち15万人が傷つき、そのうち7万4千人の方々が命を奪われました。生き残った被爆者は、68年たった今もなお、放射線による白血病やがん発病への不安、そして深い心の傷を抱え続けています。
 このむごい兵器をつくったのは人間です。広島と長崎で、二度までも使ったのも人間
です。核実験を繰り返し地球を汚染し続けているのも人間です。人間はこれまで数々の過ちを犯してきました。だからこそ忘れてはならない過去の誓いを、立ち返るべき原点を、折にふれ確かめなければなりません。
 日本政府に、被爆国としての原点に返ることを求めます。
 今年4月、ジュネーブで開催された核不拡散条約(NPT)再検討会議準備委員
会で提出された核兵器の非人道性を訴える共同声明に、80か国が賛同しました。南アフリカなどの提案国は、わが国にも賛同の署名を求めました。
 しかし、日本政府は署名せず、世界の期待を裏切りました。人類はいかなる状況
においても核兵器を使うべきではない、という文言が受け入れられないとすれば、核兵器の使用を状況によっては認めるという姿勢を日本政府は示したことになります。これは二度と、世界の誰にも被爆の経験をさせないという、被爆国としての原点に反します。
 インドとの原子力協定交渉の再開についても同じです。
 NPTに加盟せず核保有したインドへの原子力協力は、核兵器保有国をこれ以上
増やさないためのルールを定めたNPTを形骸化することになります。NPTを脱退して核保有をめざす北朝鮮などの動きを正当化する口実を与え、朝鮮半島の非核化の妨げにもなります。
 日本政府には、被爆国としての原点に返ることを求めます。
 非核三原則の法制化への取り組み、北東アジア非核兵器地帯検討の呼びかけ
など、被爆国としてのリーダーシップを具体的な行動に移すことを求めます。
 核兵器保有国には、NPTの中で核軍縮への誠実な努力義務が課されています。これは世界に対する約束です。
 2009年4月、アメリカのオバマ大統領はプラハで「核兵器のない世界」を目指す決
意を示しました。今年6月にはベルリンで、「核兵器が存在する限り、私たちは真に安全ではない」と述べ、さらなる核軍縮に取り組むことを明らかにしました。被爆地はオバマ大統領の姿勢を支持します。
 しかし、世界には今も1万7千発以上の核弾頭が存在し、その90%以上がアメリカ
とロシアのものです。オバマ大統領、プーチン大統領、もっと早く、もっと大胆に核弾頭の削減に取り組んでください。「核兵器のない世界」を遠い夢とするのではなく、人間が早急に解決すべき課題として、核兵器の廃絶に取り組み、世界との約束を果たす
べきです。
 核兵器のない世界の実現を、国のリーダーだけにまかせるのではなく、市民社会を構成する私たち一人ひとりにもできることがあります。
 「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」という日本国憲
法前文には、平和を希求するという日本国民の固い決意がこめられています。かつて戦争が多くの人の命を奪い、心と体を深く傷つけた事実を、戦争がもたらした数々のむごい光景を、決して忘れない、決して繰り返さない、という平和希求の原点を忘れ
ないためには、戦争体験、被爆体験を語り継ぐことが不可欠です。
 若い世代の皆さん、被爆者の声を聞いたことがありますか。「ノーモア・ヒロシマ、ノー
モア・ナガサキ、ノーモア・ウォー、ノーモア・ヒバクシャ」と叫ぶ声を。
 あなた方は被爆者の声を直接聞くことができる最後の世代です。68年前、原子雲
の下で何があったのか。なぜ被爆者は未来のために身を削りながら核兵器廃絶を訴え続けるのか。被爆者の声に耳を傾けてみてください。そして、あなたが住む世界、あなたの子どもたちが生きる未来に核兵器が存在していいのか。考えてみてください。互
いに話し合ってみてください。あなたたちこそが未来なのです。
 地域の市民としてできることもあります。わが国では自治体の90%近くが非核宣言
をしています。非核宣言は、核兵器の犠牲者になることを拒み、平和を求める市民の決意を示すものです。宣言をした自治体でつくる日本非核宣言自治体協議会今月、設立30周年を迎えました。皆さんが宣言を行動に移そうとするときは、協議会
も、被爆地も、仲間として力をお貸しします。
 長崎では、今年11月、「第5回核兵器廃絶-地球市民集会ナガサキ」を開催しま
す。市民の力で、核兵器廃絶を被爆地から世界へ発信します。
 東京電力福島第一原子力発電所の事故は、未だ収束せず、放射能の被害は拡大しています。多くの方々が平穏な日々を突然奪われたうえ、将来の見通しが立たない暮らしを強いられています。長崎は、福島の一日も早い復興を願い、応援していきます。
 先月、核兵器廃絶を訴え、被爆者援護の充実に力を尽くしてきた山口仙二さんが
亡くなられました。被爆者はいよいよ少なくなり、平均年齢は78歳を超えました。高齢化する被爆者の援護の充実をあらためて求めます。
 原子爆弾により亡くなられた方々に心から哀悼の意を捧げ、広島市と協力して核兵
器のない世界の実現に努力し続けることをここに宣言します。
                             2013年(平成25年)8月9日
                                 長崎市長 田上 富久
(引用終わり)
長崎市ホームページに掲載されていた今年の「平和宣言」のリンク先が、もしかすると昨年の「平和宣言」に戻っている可能性があります。
 そこで、朝日新聞デジタルに掲載された今年の「平和宣言」全文にもリンクしておきます。
 
平成25年 長崎平和宣言(映像)
 
IWJによる祈念式典完全中継映像
 
過去の長崎平和宣言
 
 今年の「長崎平和宣言」を読まれた上での感想はいかがだったでしょうか?
 世界の非核化に消極的な政府を大胆に批判していることを高く評価する人も多いでしょうし、私もそう思います(さすがIWJ!田上市長が読み上げる政府批判を聞く安倍首相の表情をとらえています)。
 他方、福島第一原発事故に言及した部分は、ややとってつけたような印象があるとか、日本国憲法に直接言及した部分が、「『政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする』という日本国憲法前文には、平和を希求するという日本国民の固い決意がこめられています」だけというのはやや物足りず、今年の広島「平和宣言」で言及されたヒロシマは、日本国憲法が掲げる崇高な平和主義を体現する地であると同時に、人類の進むべき道を示す地でもあります」という表現の方が明確ではないかというような意見もあるかもしれません。
 文章としてのまとまりということだけで言えば、起草委員会方式をとる長崎よりも、広島の方が有利かもしれませんが、これは一長一短のあるところですからね。
 ただ、私たちとしては、広島、長崎から発信される「平和宣言」を、決して単なる「夏の風物詩」で終わらせず、自らの今後の行動にどう生かしていくかを真剣に考える素材として読み込む必要があるのだと思います。

 

 そういう思いから、広島、長崎の「平和宣言」をメルマガ&ブログで取り上げました。