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青法協(和歌山支部)憲法連続講座第3回(最終回)のご報告

 今晩(2013年8月21日)配信した「メルマガ金原No.1458」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。

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青法協(和歌山支部)憲法連続講座第3回(最終回)のご報告

 参議院議員選挙が終わった直後から、青年法律家協会和歌山支部は、3回
リーズの「青法協憲法連続講座~完全攻略 深めよう憲法~」を開催することとなり、第1回(7月24日)と第2回(8月7日)とも、このメルマガでレポートをお届けしてきました。
 
第1回 2013年7月24日 テーマ「96条」 
基調報告:岡正人弁護士
 
第2回 2013年8月7日 テーマ「9条」
基調報告:小川裕和弁護士 第2部回答者:由良登信、畑純一両弁護
 
 そして、昨晩(8月20日)午後6時30分から、同じ会場(和歌山ビッグ愛6F603・602)で、前回、前々回を上回る約80名の参加を得て、成功裡に第3回(最終回)を終えることができました。
 今回は、「自民党改正草案の問題点」をテーマとして、伊藤あすみ、重藤(しげとう)雅之という、ともに新64期の新進気鋭の若手会員が第1部で基調報告を行いました。
 何しろ、2005年の「新憲法草案」に比べても、突っ込みどころ満載の2012年版「改正草案」を一通り解説しようというのですから、とても1時間以内には収め切れずに予定時間をオーバーしてしまいましたが、それでも時間不足であったと思います。しかし、伊藤・重藤両弁護士がよく準備してくれた甲斐あって、多くの参加者から、「分かりやすく解説してもらえて良かった」という感謝の声をいただくことができました。
 第1回の岡正人弁護士(58期)、第2回の小川裕和弁護士(新62期)を含め、青法協和歌山支部若手会員のスキルアップにも非常に役立った「連続講座」であったと思います。
 講師の皆さん、お疲れ様でした。
 

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 さて、第2部「質疑応答&意見交換」では、伊藤あすみ、重藤雅之両弁護士に加え、回答者(コメンテーター)として、私(金原)が参加しました。
 今回は、最終回ということもありましたので、第1部のテーマである自民党改憲案ついての質疑応答に加え、改憲問題全般について、今後どのように運動を拡げいったら良いかについて意見交換しました(第2部コーディネーター:畑純一弁護士)。
 
 ここでは、印象に残った3人の方の意見をご紹介します(全員「メルマガ金原」の読者であるのは多分偶然です)。但し、私の走り書きのメモに基づく要約ですから、不正確のそしりは免れません。その点は何卒ご容赦ください。
 
沖縄は日本国憲法によって守られてはいないが、これも「民意」の結果であると言うしかない。1人1人の国民が、こうあるべきだという「意思」をアピールしていくしかない(技術英語翻訳家)。
 
週に1回、現役学生や卒業生らと憲法の学習会をやっているが、それを通じて感じたことを話したい。それは、日本国憲法が語られる時、「制定時」と「現在」の両端に偏り過ぎているということについてである。「制定時」に焦点を当てると、押け憲法としてその成り立ちを批判する言説とそれに対する反論、「現在」に焦点当てると、自衛隊という事実上の軍隊の存在がある以上、規範と現実との乖離消するために改憲が必要という言説と、なお規範性は存在するとして、改憲絶対阻止という論との対立に至ることにならざるを得ない。しかし、実は「制定時」と「現在」との間に、様々な憲法訴訟などを通じて、先人が「憲法(的価値)」を獲得してきた歴史が存在するのであり、そのような歴史を具体的に学んでいくことによって、真の憲法的価値を実感することが重要なのだと考えている(和歌山大教育学部教員)。
 
日本国憲法の英語訳があることは知っており、また、9条について、何カ国語かに訳されたものがあるようであるが、誰が翻訳したものかという出所がはっきり分かっているものは知らない。そこで、(全文が無理なら)「前文」と「9条」だけでも良いので、できるだけ多くの言語に翻訳し、これを(インターネットを通じて)全世界に発信するとともに、「この日本国憲法が変えられてしまそうだ、そうならないうに全世界の人に声を上げて欲しい、HELP!」というアピールができないかとえている。和歌山でも、いろんな人が力を合わせれば、そういう発信が出来るのではないか(NPO職員)。
 
 3つ目の意見など、もしかすると具体化に向けてすぐに動きだすかもしれませんね。
 
 最後に、コーディネーターの畑弁護士に振られて、私が最後のまとめをすることになりました。
 下書きもなく、その場の思いつきで話したので(おまけに自分で話したのでメモもとっていない)、正確な再現にはなっていないかもしれませんが(その可能性は十分ある)、今後の憲法を守る運動について、私が今考えていることを以下のとおりお話しました。
 3回にわたってお届けした「青法協憲法連続講座」レポートの最後を、これで締めくくりたいと思います。
 
(最後のまとめ)
 私たちは、かねてから、護憲派だけではなく、幅広い層と連携をとることの重要を口にはしていたが、実行がほとんどともなっていなかった。“自公政権”と十把絡げにした言い方をついしてしまうが、伝統的な自民党支持層の中にも、同党の改憲案にはついていけない、やはり反対しなければ考えている層がきっといるはずである。また、公明党の支持母体も、平和運動の分野では、尊敬すべき実績を積んできており、連携できる可能性は十分にあると思われる。今後は、あらゆるチャンネルを使って、このような層との連携に向けた働きかけに力を入れることが重要である。
 また、先ほど会場から「憲法を諸外国語に翻訳して全世界にアピールしよう」という提案があったように、あらゆる機会を利用して憲法の価値を訴える広報活動が非常に重要であることも確かなことであり、これまでにない斬新なアイデアを出し合い、次々と実行に移していくべきである。
 さらに、先ほど和歌山大学のK先生からご意見をいただいたこととも関連するが、私たちは、従来からも「憲法学習会」には取り組んできたものの、振り返ってみれば、決して十分なものではなかったと思う。これからは、中身についても様々に工夫する必要があるが、その頻度、対象者、開催方法など、あらゆる面において来の常識を破り、絶えることなく打ち寄せる波のごとく憲法学習会を開催し続けることを提案したい。
 最後に、これらの運動論を考える際に、最も心しなければならないと私が考えていることは、これらの様々な方策は、決して「相互排斥的」ではないし、そうであってはならないということである。少々自分の考えと違ったとしても、大筋として目指す方向が同じであるならば、ともに協力し合うという態度が求められている。「排除の論理」は私たちの力を削ぎ、結果として「敵を利する」ことにしかならない。
 もう一つだけ付け加えるとすれば、「決してあきらめない」ということに尽きる。
 
(参考/講座第3回を伝えてくれたブログ、フェイスブックなど)
「司法書士・戸井洋木の事件簿」
「西郷章 Facebook
「にしでいづみ Facebook
「中里佳世 Facebook
 

(付録)
『大きな壁が崩れる We shall overcome』 中川五郎
 作詞作曲:Zilphia Holton、Frank Hamilton、Guy Carawan、Pete Seeger
 日本語詞:中川五郎
(参考)
中川五郎さんの新しい“We Sall Oercome”=『大きな壁が崩れる』」