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8/22「子ども・被災者支援法」の早期具体化を求める訴訟提起について

 今晩(2013年8月22日)配信した「メルマガ金原No.1459」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
8/22「子ども・被災者支援法」の早期具体化を求める訴訟提起について
 
 本日(8月22日)、福島県の住民や県外への自主避難者など19名が、国に対て以下の求をするため、東京地裁に訴訟を提起しました(弁護団の河﨑健一弁護士による「解説」から引用)。
 
(1)政府が支援法に基づく基本方針を定めないことが違法であることを確認る。〔違法確認〕
(2)各原告が支援法に基づく各支援策を受ける地位にあることを確認する。
〔地位確認〕
(3)国は原告らに対しそれぞれ1円を支払え。〔国賠請求〕
 
 提訴を報じた毎日新聞の記事をご紹介します。
 
毎日新聞 2013年08月22日 19時48分
被災者支援法:早期の方針策定求め提訴 福島の住民ら
(抜粋引用開始)
 東京電力福島第1原発事故に対応する「子ども・被災者生活支援法」の成立・施行から1年以上が過ぎても国が支援の基本方針を策定しないのは違法として、福島県の住民や県外への自主避難者ら19人が22日、早期の方針策定などを求めて東京地裁に提訴した。
 訴状で原告側は、支援法と同様に、条文で基本方針を策定すると規定された156の法律の94%は、施行1年以内に方針が定められていると指摘。「1年以上も基本方針を策定しないのは違法だ」と主張している。
 また、一般人の被ばく限度が年間1ミリシーベルトであることを踏まえ「追加被ばく線量が年間1ミリシーベルトを超える地域を、支援法に基づく支援対象とすべきだ」と主張。原告全員が支援を受ける地位にあることの確認や、全員に各1円の損害賠償を求めた。
(引用終わり)
 
 「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(平成24年法律第48号)は、あまりに名称が長いので、様々な略称が用いられていますが、なかなかこれという定番はないものの、その中でも「子ども・被災者支援法」というのが、一番ポピュラーな略称でしょうか。
 「名称などどうでも良い。問題は中身だ」と思われるでしょうか?
 この法律に基づく充実した内容の「基本方針」(同法5条)が既に制定され、実際に具体的な支援が始まっていれば、私も「名称などどうでも良い」と思うところですが、実際には完全な「店晒し」状態であり、事実上、法律があってもなきが如しなのですから(だからこそ本日の提訴に至ったのですから)、この問題を1人でも多くの国民に訴えて世論を喚起すためには、「名称(略称)も重要」と言わざるを得ません。
 
 今回の提訴の意義については、河﨑健一郎弁護士が以下の解説記事をアップされているので、是非お読みください。
 
YAHOO!JAPANニュース  2013年8月22日 2時44分 アップロード
河﨑健一郎弁護士『解説:子ども・被災者支援法をめぐる裁判は何を訴えているのか』
 
 また、SAFLAN(福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク)が運営するインターネットTV(You Tube)に、福田健治弁護士(弁護団団長・SAFLAN副代表)と河﨑健一郎弁護士(SAFLAN共同代表)が出演して、提訴に至った事情について説明されています(6分28秒)。
 
 ところで、私がメルマガで「子ども・被災者支援法を真に実効性あるものとするために」を書いたのは、2012年12月2日のことでした(当時は、「弁護士・金原徹雄のブログ」はまだ始めておらず、「wakaben6888のブログ」だけに転載していました)。
 今読み返してみると、よもやここまで「店晒し」にされるなどとは予想しておらず、それよりも、「基本方針」で策定されることになっている「支援対象地域」となるかどうかの基準値が、年間被曝線量5ミリシーベルトになってしまうのではないか、ということに危機感を抱いていたことが分かります。
 
 今回は、やむにやまれず提起された訴訟でしょうし、弁護団としても、訴訟の長期化が、かえって支援法の基本方針策定をさらに遅らせる口実となることのないよう、十分に配慮されていることと思いますが、私たち国民には、この訴訟を契機として、適切な内容の「基本方針」を早期に国に策定させるための運動を一層進めていくことが求められているのだと思います。
 
(参考サイト/子ども・被災者支援法の概要)
Foe JAPAN 2012年 6月21日 [改訂]2013年 1月13日
原発事故子ども・被災者支援法」のポイントと課題
 
2013年03月11日 未来授業~明日の日本人たちへ
河崎健一郎氏  ~原発事故子ども・被災者支援法~