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半田滋著『集団的自衛権のトリックと安倍改憲 「国のかたち」変える策動』を読む

 今晩(2013年8月23日)配信した「メルマガ金原No.1460」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
半田滋著『集団的自衛権のトリックと安倍改憲 「国のかたち」変える策動』を読む
 
 私が東京新聞の半田滋(はんだしげる)さんのお話を初めて聴いたのは(それが今のところ唯一の機会となっていますが)、2008年10月2日、富山市で開かれた日本弁護士連合会第51回人権擁護大会・分科会におけるパネルディスカッションのパネリストの1人として登壇された時でした。
 半田さんのお話は、長く防衛庁自衛隊を担当して取材を続けてきた経験に裏打ちされ、地に足の着いた説得力豊かな内容であり、非常に納得できるものでした。
 半田さんと対照的であったのが、同じくパネリストの1人として登壇しながら、何をっているのか意味不明の発言に終始して聴衆をイライラさせていた坂元一哉阪大学大学院教授であり、この人は、安倍晋三のお気に入りとして、現在、首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」で2度目の「お務め」をしています。
 
 
 早速、取り寄せて通読しましたが、予想通り、非常に分かりやすく、安倍晋三その取り巻きが言い立てる「集団的自衛権をめぐるまやかし」を暴いて見せてくれています。
 上記、版元(高文研)サイトに詳細目次が掲載されていますので、それをご参照いただければ、おおよそ内容を推測していただけると思います。
 また、「はじめに」も全文立ち読みできますので、是非お読みください。
 半田さんは、東京新聞編集兼論説委員という重い立場にありながら、「はじめに」において、以下のように述べることに躊躇しません。
 
(引用開始)
 二〇〇六年の第一次安倍政権では「戦後レジームからの脱却」を打ち出し、戦後の日本を否定する試みを始めた。再登板した今回、「憲法改正」とともに歴史認識の見直しを公言している。「侵略の定義はさだまっていない」と堂々と述べる安倍首相が「日本を取り戻す」というのだから、「戦前への回帰」を目標にしていると考えるほかない。保守政治が築いた戦後体制を根底から覆すというのである。
 これは首相によるクーデターではないのか。国家が転覆していく様を、なぜか政治
家や官僚、マスコミはうっとりみつめている。
(略)
 本書は、安倍首相にブレーキをかけるため、四類型のいんちきを暴き、「国家安
全保障基本法」の中身を検証して、改憲の狙いがどこにあるかを探り、自衛隊
国防軍」に変わって起こる未来について検証している。
 国会議員選挙、あるいは将来にあり得る改憲のための国民投票の際の参考に
してほしい。
(引用終わり)
 
 最後に、高文研ホームページに掲載された「著者・半田滋さんからのメッセージ」を全文引用します。半田さんの「志」を汲みとり、1人でも多くの方がこの本を手にとられますよう、皆さんも是非ご協力ください。
 
(引用開始)
 参議院選挙の投票日が迫り、遊説の声が街に響きわたります。自民党の圧勝が伝えられる中、安倍晋三首相はことさらにアベノミクスの「成功」ばかりを喧伝し、巧みにその本音を隠しています。2006年の第一次安倍政権教育基本法の改定、防衛省への昇格、国民投票法の制定と次々に改憲へ向けて手を打ってきたことを振り返れば、安倍首相の視線に先にあるのは、日本国憲法自民党憲法草案に置き換えること、と断じざるを得ないのです。
 ご存じの通り、自民党憲法草案は「国民の自由や権利を制限し、国家に服従させる」ことを狙ったトンデモない内容です。ただ、いきなり改憲の発議をしても、安倍首相の狙う憲法9条の改定や基本的人権の制限は、国民投票で否決される公算が大きい。そうなれば正統性を失った安倍内閣は退陣を余儀なくされるでしょう。
 安倍首相と改憲を目指す政党は、そんな危険を冒すことなく、改憲したのと同じ効果があげられる「国家安全保障基本法」の制定を目指すと考えられます。この法律は、集団的自衛権の行使や海外における武力行使を可能にし、秘密保全法や武器輸出を促す、これまたトンデモない内容です。
 法案は衆議院参議院の過半数の賛成で成立します。そして法律の成立は国会の意思とみなされ、行政府は自衛隊の活動を好戦的な方向へとかじを切ったり、武器輸出を始めたりと「国のかたち」を大胆に変え始めることになるでしょう。
 法律によって、憲法を覆す「法の下克上」がそこまで迫っているのです。
 「戦後日本」の断末魔が刻々と近づいているにもかかわらず、安倍首相の狙いがあまりにも知られていない。改憲へ向けたさまざまな策動を、早急に知らせ、日本が日本らしく、日本人が日本人らしく平和を愛し、世界によい影響を与え続けなければならない。そう願い、「集団的自衛権のトリックと安倍改憲」を緊急上梓いたしました。
                            2013年7月15日  半田 滋
(引用終わり)
 
(参考/私のブログで取り上げた半田滋さん)
「マガ9学校・第24回「日本は『平和国家』の看板を下ろすのか?(川口創氏×半田滋氏)」
※特にマガ9学校(2013年3月2日)での以下の映像は是非視聴してください。