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8/31シンポ「区域外避難者は今 放射能汚染に安全の境はありますか」(大阪弁護士会)に参加して

 今晩(2013年9月1日)配信した「メルマガ金原No.1469」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
8/31シンポ「区域外避難者は今 放射能汚染に安全の境はありますか」(大弁護士会)に参加して
 
 昨日(2013年8月31日)午後1時から、大阪弁護士会館10F1001・1002会議室において、第56回日本弁護士連合会人権擁護大会のプレシンポジウムとして、「区域外避難者は今 放射能汚染に安全の境はありますか-低線量被曝被害による分断の構造-」(主催:大阪弁護士会、共催:日本弁護士連合会)が開催され、参加してきました。

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 想定を超える(!)130名以上の参加があり、会場には熱気あふれていました。
 非常に盛り沢山な内容でしたから、総括的な報告を行うのは手に余りますが、幸いIWJ大阪チャンネル2によるUSTREAM中継が行われ、その録画映像が期間限定で配信されていますので、その映像をご覧いただくための目安の時間と簡単なコメントを留めておくことにします。
 シンポジウムの構成に従い、IWJの中継映像も2本に分割されていて見やすくなっています。
 
映像その1(1時間25分41秒)
5分40秒~ 開会
 司会:井坂和香子氏、難波泰明氏(大阪弁護士会災害復興支援委員会委員)
10分30秒~ 開会の挨拶
 針原祥次氏(大阪弁護士会副会長)
13分30秒~ 基調報告
 枝川直美氏(大阪弁護士会災害復興支援委員会委員)
 樫葉涼子氏(同上)
→コンパクトによくまとめられていたと思います。以下には基調報告の章立てをご紹介しておきます。
第1章 避難者の現状(関西への避難の現状)
第2章 「区域」の設定について
第3章 「区域」内外の原賠審損害賠償基準
第4章 「20ミリシーベルト」基準の妥当性
第5章 子ども・被災者支援法をめぐる動き
第6章 近時の情勢
1 国連「健康に関する権利」報告者アナンド・グローバー
  報告書 日本語仮訳(ヒューマンライツ・ナウ)
2 日本学術会議 「原発災害からの回復と復興のために必要な課題と取り組み態勢についての提言」(平成25年6月27日) 
3 日本医師会総合政策研究機構 ワーキングペーパー「福島県『県民健康管理調査』は国が主体の全国的な“健康支援”推進に転換を」(2013年5月8日)
  http://www.jmari.med.or.jp/research/summ_wr.php?no=507
第7章 弁護士会大阪弁護士会、日本弁護士連合会)等の動き 
37分01秒~ 基調講演(1時間21分40秒まで)
「放射線健康影響問題と専門家の信頼失墜」
 島薗 進氏(上智大学教授・グリーフケア研究所所長)
→島薗教授からのお話の最初の部分は、「放射線防護をめぐる科学者・専門家の信頼失墜」の具体例として、日本学術・東日本大震災対策委員会・放射線健康への影響と防護分科会(2011年4月8日設置)が、同年4月25日から28日までに分科会名で1~4報の「まことに不適切な」(島薗教授談)情報発信が行われたことが取り上げられましたが、これは初耳でしたね。
 また、上記「東日本大震災対策委員会」主催により、同年7月1日に緊急講会「放射線を正しく恐れる」なるものが開催されたということで、これは何となくうっすらとした記憶があるような・・・。
 しかし、この日の講演2が「少量(低線量)の放射線は身体(健康)に良いといのは本当か?(岡山大学大学院保健学研究科放射線健康支援科学領域 授 山岡 聖典)」であったというのは呆れますね。
 最後に、島薗教授は、「福島県・県民健康管理調査」の現状についての強い念を示されて基調講演を終えられました。
 
映像その2(2時間16分46秒)
8分10秒~ 第56回日本弁護士連合会人権擁護大会の告知
 カワシマ弁護士(広島弁護士会)
10分20秒~ パネルディスカッション
(パネリスト)
 島薗  進氏(上智大学教授・グリーフケア研究所所長)
 除本理史氏(大阪市立大学大学院経営学研究科教授)
 森松明希子氏(避難当事者 郡山市から大阪府へ)
 佐藤勝十志氏(避難当事者 相馬市から滋賀県へ)
(コーディネーター)
 加藤高志氏(大阪弁護士会災害復興支援委員会委員)
→シンポの後半は、2時間近い充実したパネルディスカッションでした。コーディターを務められた加藤高志弁護士の的確な段取りによって、パネリストの皆さんから有益な発言をたくさん伺うことができました。是非、IWJの中継映像に耳を傾けていただきたいと思います。
 ここでは、私が特に印象深く聴いて、メモに書き留めた発言を2、3ご紹介します(私の要約は不正確かもしれないので、該当部分の映像の目安時間を書いておきました)。
除本(よけもと)教授「政府による恣意的な区域設定がなされているが、被害は来連続的である上に、いずれ避難指示の解除ということが展望されるため、将的には全員が自主避難という時期が来る。従って、今、区域外避難者の権利援ということをしっかりと確立していくことが非常に重要となる」(28分~)
佐藤さん「2011年の秋、娘が卒業した福島の中学校の1年後輩の吹奏楽部の生徒達が京都に演奏旅行でやって来た際、生徒のお母さんたちが集団でいる時には、『もう戻ってきたら。何でもそろってるよ』という話しかしないのに、これが1対1になると、8割方のお母さんから『何かあったら、子どもだけでも避難させるから、安全が確認できるまで預かって欲しい』と頼まれた。このように、中学校の部活の母親同士の間でも、避難したいということを自由に話せない雰囲気がある」(58分~)
森松さん「私や佐藤さん、それに多くの関西に避難してき人たちが、9月、国と東電に対して裁判を起こします。民事訴訟で損害賠償請求という形をとりますが、私は、この裁判は憲法で保障された人権を守るための裁判だと思っています。平和的生存権は、決して戦争とセットの権利ではなく、放射能の恐怖から、低線量被曝の恐怖から免れる権利も含まれていると思っています」(1時間57分~)
2時間06分10秒~ 消滅時効に関する抜本的な立法措置を求める署名へ協力要請
2時間10分00秒~ 閉会のあいさつ
 山西美明氏(大阪弁護士会災害復興支援委員会委員長)
 
 ずっしりと充実した3時間半のシンポジウムでした。この日のために準備してこられ大阪弁護士会災害復興支援委員会の皆さん、ありがとうございました。

 

 そういえば、和歌山弁護士会には、いまだに災害復興に関する委員会が出来てないのだった。南海トラフ大地震も近いと言われているのに、このままで良いのだうか?(とはいえ、今でも委員会の数が多過ぎるという声もあるから、難しいかな)。