本日(2013年9月15日)配信した「メルマガ金原No.1483」を転載します。
なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
9/17締切迫る!「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に関するパブコメ募集
米国の戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies,CSIS)というシンクタンクから、2012年8月15日、リチャード・L・アーミテージ、ジョセフ・S・ナイ共同執筆による「米日同盟―アジアの安定を保持する―」というレポート(日本では「第3次アーミテージ・レポート」と略称されるのが一般的)が発表されたことは、私のメルマガ&ブログでもご紹介しました。
「第3次アーミテージ・レポート『米日同盟―アジアの安定を保持する―』」
この戦略国際問題研究所といえば、今年(2013年)の2月に訪米した際、オバマ大統領から、共同記者会見も晩餐会も用意されないという異例の「冷遇」を受けた安倍晋三首相が、おそらく唯一「心温まる時」を過ごしたと推測される、英語によるスピーチ“Japan is Back”を行ったとろこであったことをご記憶の方もおられるかもしれません。
「安倍首相が米国に持参した宿題への回答『Japan is Back』」
ここで、「第3次アーミテージ・レポート」の「日本への勧告」の部分をもう一度思い出しておくのも無駄ではないでしょう(筑紫建彦氏訳による)。
<日本への勧告>
●原子力発電の慎重な再開は、日本にとって正しく責任ある前進である。原子炉を再起動させることは、2酸化炭素の排出を2020年までに25%削減するという東京の野心的な案を可能にする唯一の方法である。再起動はまた、高いエネルギー価格が円高とあいまって、日本からエネルギー依存型の重要な産業を[海外に]追い出さないことを確実にするのに役立つ賢明なものである。フクシマからの実地の教訓に学びつつ、東京は安全な原子炉の設計と健全な規制の実施を推進するリーダーシップを引き受けるべきである。
●東京は、海賊行為と戦い、ペルシア湾の海運を防護し、シーレーンを確保し、イランの核計画でもたらされているような地域の平和への脅威に立ち向かう多国間の努力への積極的な関与を続けるべきである。
●TPP交渉への参加に加えて、日本は、この報告書で説明されているCEESAのような、より野心的で包括的な交渉を検討すべきである。
●この同盟が潜在能力を十分に実現させるには、日本は、韓国との関係を複雑にし続けている歴史問題に向き合うべきである。東京は、長期的な戦略的展望において2国間の結びつきを検証し、根拠のない政治的声明を出すことを避けるべきである。3カ国の防衛協力を強化するため、東京とソウルは、延期されたGSOMIAとACSAの防衛協定を締結し、3国間の軍事的関与を継続すべきである。
●東京は、民主主義的なパートナー諸国、特にインド、オーストラリア、フィリピン、台湾とともに、地域的フォーラムへの関与を続けるべきである。
●役割と任務の新たな見直しにおいて、日本は、日本の防衛および地域的な不測の事態において米国とともに行う防衛を含む責任分野を拡大すべきである。この同盟は、日本の領域をかなり超える、より強健で、共有され、共通運用可能な「情報・監視・偵察」の能力と作戦を要求している。米軍と自衛隊が、平和時、緊張、危機
●原子力発電の慎重な再開は、日本にとって正しく責任ある前進である。原子炉を再起動させることは、2酸化炭素の排出を2020年までに25%削減するという東京の野心的な案を可能にする唯一の方法である。再起動はまた、高いエネルギー価格が円高とあいまって、日本からエネルギー依存型の重要な産業を[海外に]追い出さないことを確実にするのに役立つ賢明なものである。フクシマからの実地の教訓に学びつつ、東京は安全な原子炉の設計と健全な規制の実施を推進するリーダーシップを引き受けるべきである。
●東京は、海賊行為と戦い、ペルシア湾の海運を防護し、シーレーンを確保し、イランの核計画でもたらされているような地域の平和への脅威に立ち向かう多国間の努力への積極的な関与を続けるべきである。
●TPP交渉への参加に加えて、日本は、この報告書で説明されているCEESAのような、より野心的で包括的な交渉を検討すべきである。
●この同盟が潜在能力を十分に実現させるには、日本は、韓国との関係を複雑にし続けている歴史問題に向き合うべきである。東京は、長期的な戦略的展望において2国間の結びつきを検証し、根拠のない政治的声明を出すことを避けるべきである。3カ国の防衛協力を強化するため、東京とソウルは、延期されたGSOMIAとACSAの防衛協定を締結し、3国間の軍事的関与を継続すべきである。
●東京は、民主主義的なパートナー諸国、特にインド、オーストラリア、フィリピン、台湾とともに、地域的フォーラムへの関与を続けるべきである。
●役割と任務の新たな見直しにおいて、日本は、日本の防衛および地域的な不測の事態において米国とともに行う防衛を含む責任分野を拡大すべきである。この同盟は、日本の領域をかなり超える、より強健で、共有され、共通運用可能な「情報・監視・偵察」の能力と作戦を要求している。米軍と自衛隊が、平和時、緊張、危機
および戦争という安全保障の全局面において十分に協力して対応することを許すのは、日本側の責任当局であろう。
●ホルムズ海峡を封鎖するというイランの意図が言葉で示され、またはその兆候が出た際は、日本は単独でこの地域に掃海艇を派遣すべきである。日本はまた、航海の自由を確保するため、米国と協働して南シナ海の監視を増やすべきである。
●東京は、2国間および国家の安全保障上の秘密を防護するため、防衛省の法的権限を強化すべきである。
●PKOへのより十分な参加を可能にするため、日本は、必要な場合には武力をもって市民や他の国際的平和維持要員を防護することを含めるため、平和維持要員の許容範囲を拡大すべきである。
●ホルムズ海峡を封鎖するというイランの意図が言葉で示され、またはその兆候が出た際は、日本は単独でこの地域に掃海艇を派遣すべきである。日本はまた、航海の自由を確保するため、米国と協働して南シナ海の監視を増やすべきである。
●東京は、2国間および国家の安全保障上の秘密を防護するため、防衛省の法的権限を強化すべきである。
●PKOへのより十分な参加を可能にするため、日本は、必要な場合には武力をもって市民や他の国際的平和維持要員を防護することを含めるため、平和維持要員の許容範囲を拡大すべきである。
上記「勧告」中、下線を引いた部分に注目すれば、安倍政権が現在「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」に報告書を提出させて実現しようとしている集団的自衛権行使容認に向けた憲法解釈の変更(とその後に控えている「国家安全保障基本法(案)」の上程)と「特定秘密保護法(案)”上程とが一体として構想されていることは明らかでしょう。
そこで、9月17日(火)までパブリックコメントが募集されている「特定秘密の保護に関する法律案の概要」です。
自分の意見を送ろうという人は、電子政府の総合窓口「イーガブ」の募集ページから、「法律案の概要」をダウンロードして読み込み(A4で3枚半程度です)、締切まで時間がないので、「イーガブ」該当ページの「意見提出フォーム」から送信するのが良いでしょう(FAX:03‐3592‐2307 という方法もありますが)。
何しろ問題だらけの法案(の概要)であり、その全体像を短時間で把握することは難しいかもしれませんが、幸い、様々なサイトが、法案の危険性を具体的に指摘してくれています。
もっとも、これもあまりに多過ぎて、「どれを読んだら良いか分からない」という人も多いと思いますので、私もそれほど多くのサイトに目を通した訳ではありませんが、お薦めと思われるサイトをいくつかご紹介しておきます。
「とにかく時間がないので、過去からの経緯を含めて短時間で全貌がのみこめるサイトが知りたい」という人にうってつけなのが以下のサイトです。
情報公開クリアリングハウス
「いちからわかる特定秘密保護法案~特定秘密保護法案は秘密のブラックホール?」
※情報公開請求を積極的に進めている団体だけあって、非常に参考になります。72枚のボードを順次読んでいくのですが、じっくり読んでも30分以内で読了できます。
ただ、「72枚のボードはやっぱり多い」という人のためには、同法案に対する批判的な新聞社説を読んで参考にするという方法があります。
NPJに秘密保全法案に関する全国の新聞社説を集積したコーナーがあります。
日本経済新聞 2013年9月7日 社説
疑問点があまりに多い秘密保護法案
東京新聞 2013年9月13日 社説
秘密保護法案 軍事国家への入り口だ
秘密保護法案 軍事国家への入り口だ
逆に、「時間は何とかするのでまとまった論考が読みたい」という人のためには、日弁連が公表した意見書をご紹介しておきます。
日本弁護士連合会 2013年9月12日 公表
「『特定秘密の保護に関する法律案の概要』に対する意見書」(pdf26頁)
さらに、端的にパブコメ送付意見「文例」を参考にしたいという人のためのサイトを最後にご紹介しておきましょう。
秘密保全法に反対する愛知の会
この文例案は、日弁連ホームページを探しても掲載されていないと思います(そのはずです)。
もちろん、4文例を作成した趣旨は、1人でも多くの人にパブコメに意見を送ってもらうためということであることは疑いなく(特に1枚版の3パターンは、一般市民を想定したものでしょう)、その意味で「拡散歓迎」だろうとは思うのですが、日弁連理事会が対外的な公表まで了承した文例とは思いにくく、「(半)公表」というところではないかと思うのです(一般市民には「どうでもよい」ことでしょうが)。
なお、上記の文例は大急ぎで作ったものらしく、「日本弁護士連合会」とすべきところが「日本弁護士会」(という名前の組織は存在しない!)となっているなど、弁護士が起案した(はずの)文章にあるまじきミスが存在したりするのですが、まあ仕方がないですね。
藤原紀香さんも、ブログでパブコメへの意見送付を呼びかけていましたよ。