今晩(2013年9月20日)配信した「メルマガ金原No.1488」を転載します。
なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」が目指すもの
今日(2013年9月20日)の朝日新聞・朝刊で、編集委員・高橋真理子さんによる署名記事「600ページ国会事故調 動画でやさしく 弁護士・学生ら公開」を読まれた方もおられると思います。
(抜粋引用開始)
「わかりやすいプロジェクト国会事故調編」という活動の一環。元銀行員で国会事故調の調査統括補佐を務めた、石橋哲さんらが昨年9月に立ち上げた。これまでに200人以上が活動に参加した。
動画は学生らを中心に議論を重ねて作った。国会事故調の成り立ち、原発で何が起きていたか、事後の対応など全6編。素朴なナレーションが印象的だ。
(引用終わり)
実は、このようなプロジェクトが1年も続けられていたということを、私はこの記事を読んで初めて知りました。
※9月14日には東京新聞でも取り上げられていたようですが、気がついていませんでした。
早速、「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」の公式サイトを閲覧してみました。
サイトをざっと閲覧してみると、今日の朝日新聞で紹介されていた「わかりやすいイラスト動画」(ILLUSTRATED VIDEO)の他に、「わかりやすい国会事故調報告書」( STORY BOOK)のコーナーも設けられていました。
このプロジェクトの目的を知るために、「プロジェクトについて」(ABOUT US)を引用してみます。
(引用開始)
2012年9月に、「わかりやすい国会事故調プロジェクト」を発足して活動を始めました。当時プロジェクトに参加したのは、国会事故調報告書作成に従事した若手プロ集団と、大学生、社会人の18名です。
その後、2013年6月に、「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」と団体名を改め、8名の事務局メンバーを中心に活動を続けています。2013年9月時点で、300名以上の方にご参加いただいています。
その後、2013年6月に、「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」と団体名を改め、8名の事務局メンバーを中心に活動を続けています。2013年9月時点で、300名以上の方にご参加いただいています。
私たちは、おそらく将来も世界史の教科書に残る福島原発事故の教訓から学ぶことが、これからの日本のために、とても大切なことであると考えています。私たちは、原発事故の事実をまっすぐに見つめ、議論と対話を積み重ねることで、未来に関わる選択と意思決定を行いたいと考える良識ある人々が繋がることが、日本の未来にとって、とても大切なことだと考えています。
私たちは、以下の5つの問いに対する対話が、日本中で行われることを願っています。
私たちは、以下の5つの問いに対する対話が、日本中で行われることを願っています。
福島原発事故では何が起こったのか。
福島原発事故の教訓とは何か。
何を残し、何をどう変えていかなければならないのか。
どれだけの選択肢があり、選択肢がもたらす価値は何か。
短期的な視点と、長期的な視点で、私たちは個々人として何をするのか。
福島原発事故の教訓とは何か。
何を残し、何をどう変えていかなければならないのか。
どれだけの選択肢があり、選択肢がもたらす価値は何か。
短期的な視点と、長期的な視点で、私たちは個々人として何をするのか。
私たちは、最初の2つの問い「福島原発事故では何が起こったのか」「福島原発事故の教訓とは何か」を、一人でも多くの方たちと共有するために、情報発信や対話の場づくりを始めています。対話に参加して欲しいのは、未来を担う中学生、高校生、大学生、社会人です。
国会事故調報告書はこう述べています。「福島原子力発電所事故は終わっていない。不断の改革の努力を尽くすことこそが国民から未来を託された国会議員、国民一人一人の使命であると当委員会は確信する。」
一人一人の使命とは何かを一緒に考えませんか。
(引用終わり)
国会事故調報告書はこう述べています。「福島原子力発電所事故は終わっていない。不断の改革の努力を尽くすことこそが国民から未来を託された国会議員、国民一人一人の使命であると当委員会は確信する。」
一人一人の使命とは何かを一緒に考えませんか。
(引用終わり)
それではお待ちかね、「わかりやすいイラスト動画」全6編をご覧ください。
1.国会事故調ってなに?(2分11秒)
2.事故は防げなかったの?(2分27秒)
3.原発の中でなにが起こっていたの?(2分52秒)
4.事故の後の対応をどうしたらよかったの?(3分15秒)
5.被害を小さくとどめられなかったの?(3分01秒)
6.原発をめぐる社会の仕組みの課題ってなに?(2分49秒)
見終わっての感想はいかがでしょうか?
「何だか物足りない」という印象を持たれた人もいるかもしれませんね。もともと2分や3分でこのような複雑な事象を伝えるということ自体、どだい無理な話です。
それでは、このような「わかりやすいイラスト動画」に、どういう意味があるのでしょうか?
そのヒントは、「ABOUT US」の中の「対話」という言葉にあると思います。
「ABOUT US」で、まだ引用していなかった部分がありましたので、ご紹介します。
(引用開始)
主な活動内容
プロジェクトの趣旨に賛同された方々と一緒に以下のような活動に取り組みます。
HPによる「わかりやすい国会事故調報告書」の紹介
ワークショップや講演会の実施
大学における講義やゼミの実施
中学校、高校における講義やプロジェクト学習の実施
その他のイベント
グランドルール
本プロジェクトが主催する活動では、3つのグランドルールを大切にします。
互いの立ち位置は問わない
「なぜ」を追求する
討論型(主張・主張・主張)ではなく、対話型(傾聴・学習・対話)の場とする
(引用終わり)
プロジェクトの趣旨に賛同された方々と一緒に以下のような活動に取り組みます。
HPによる「わかりやすい国会事故調報告書」の紹介
ワークショップや講演会の実施
大学における講義やゼミの実施
中学校、高校における講義やプロジェクト学習の実施
その他のイベント
グランドルール
本プロジェクトが主催する活動では、3つのグランドルールを大切にします。
互いの立ち位置は問わない
「なぜ」を追求する
討論型(主張・主張・主張)ではなく、対話型(傾聴・学習・対話)の場とする
(引用終わり)
私の理解したところでは、「わかりやすいプロジェクト」は、国会事故調報告書について、「これだけ読めば大丈夫」「動画を見れば早わかり」というようなダイジェスト版を作ることを目指しているのではなく、「対話」に主体的に加わろうとする人を1人でも多く継続的に生み出していくための誘導のツールを提供しようとしているのだろうと思います。
それは、「わかりやすい国会事故調報告書」でも同じことです。
1.原発事故そして未来(190枚)
http://naiic.net/sb/b01/
2.規制の虜(30枚)
2.規制の虜(30枚)
3.原発事故の人的被害(18枚)
4.国会事故調査委員会の報告書を読む(18枚)
「わかりやすいイラスト動画」を視聴したら、「もっと詳しく知りたい」と思いませんか?
「わかりやすい国会事故調報告書」を読めば、「実際の報告書にはどう書いてあるのだろう?」と、報告書本体を読んでみたくなりませんか?
そこまで来れば、あとは1人1人が自ら「知りたい」という欲求に導かれて、必要な資料を探索しようとするでしょう。
そして、やがて「国会事故調報告書」が金科玉条のバイブルではなく、一つの「通過点」を示す参考資料に過ぎないということに気がつくでしょう。
そこまで来てこそ、本当に、
何を残し、何をどう変えていかなければならないのか。
どれだけの選択肢があり、選択肢がもたらす価値は何か。
短期的な視点と、長期的な視点で、私たちは個々人として何をするのか。
どれだけの選択肢があり、選択肢がもたらす価値は何か。
短期的な視点と、長期的な視点で、私たちは個々人として何をするのか。
という問いを自らの問題として考える人々が育っていくことになるのだと思います。
これからも、この遠大な「プロジェクト」には注目していきたいと思います。
(参考資料)
「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」リンク集
「国会事故調 報告書」(pdf)
書籍版「国会事故調 報告書」(徳間書店/1680円)
※私も買いました。本気で全部読もうと思う人は絶対に書籍版を買うべきです(価格も非常に低廉に抑えられているし)。
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