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子ども・被災者支援法「基本方針案」へのパブコメ募集は本日(9/23)締切!

 本日(2013年9月23日)配信した「メルマガ金原No.1491」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
子ども・被災者支援法「基本方針案」へのパブコメ募集は本日(9/23)締切!
 
 昨年(2012年)6月27日に、全会派の賛成により、議員立法によって成立した東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(「子ども・被災者支援法」とぃう略称が普通でしょうか)は、法が定めた「基本理念」にのっとた「基本的な方針」の策定を政府に義務づけました(法5条1項)。
 ところが、確たる理由も示されぬまま、1年以上も「基本方針」が策定されず、店晒し状態となっており、ついに避難住民から、行政不作為の違法確認等を求める訴訟が提起されるに至りました。
 
「8/22『子ども・被災者支援法』の早期具体化を求める訴訟提起について」
 
 ところが、提訴のわずか8日後である8月30日、復興庁は、突然「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)」を発表し、わずか2週間だけパブコメを募集するという発表を行いました。
 さすがに「期間が短か過ぎる」という批判を受けて、締切が延長されましたが、その最終日が実は今日(2013年9月23日)ということで、私自身、今朝大急ぎで以下の意見をメールで送りました。
 「自分も意見を送ろう」という方は、もう「郵送」は間にあいませんので、以下の方法のいずれかをご利用ください(1以外は、氏名・住所・電話・FAX・メールアドレスの記載が求められます)。
 
1 パブコメ募集ページの送信フォームから送る
※ただし、このフォームは「1000字以内」という制限があります。私の意見も1000字を超過していたようで、やむなくメールに切り替えました。
 
2 メールで送信する
  宛先 g.fukko@cas.go.jp
 
3 FAXで送る
  宛先 03-5545-0525
 
 いずれにせよ、今日中に送ろうという方で、「どこか参考になるサイトはないか?」と考えておられる方のために、以下の参考サイトをご紹介しておきます。
 
SAFLAN(福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク)
IWJブログ(FoeJapan・満田夏花さんの特別寄稿付き)
 

(2013年9月23日に金原が復興庁にメールで送信した意見)
復興庁 法制班 御中
 
「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)」についての意見
 
(意見の趣旨)
 政府は、「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)」(以
下「基本方針案」という)をいったん撤回した上で、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(以下「子ども・被災者支援法」または「法」という)の立法目的、基本理念を尊重し、可能な限り住民等当事者の意見を反映させる措置を誠実に実施した上で、早急に新たな「基本方針」を策定すべきです。
 
(意見の理由)
1 政府(復興庁)は、子ども・被災者支援法の成立後1年以上の長きにわたり、
「基本方針」の策定に向けた具体的な作業を怠り、その上、水野前参事官の不適切tweetにより、関係省庁の間で、基本方針の策定を参院選後まで「棚上げ」することが合意されていたこが発覚するに及び、復興庁が発表する基本方針案についての「正当性」の根拠が失われたと理解しなければなりません。
 政府が国民の信頼を回復し、「正当性」を備えた基本方針案を策定するために
は、被災者支援のための真に必要とされる方策とは何かについて、住民の意見に真摯に耳を傾けながら(法5条3項)、早急に方策を積み上げていくということが、一見迂遠なようでいて、結局は最も被災者のためになる王道であることは疑いありません。
 
2 基本方針案については数々の問題がありますが、私がとりわけ問題だと考えているのは、「支援対象地域」を「福島県中通り及び浜通りの市町村(避難指示区域等を除く)」と定めていることです。基本方針案はその理由として、「地域の社会的・経済的一体性等も踏まえ、当該地域では、支援施策を網羅的に行うべきものと考えられる」ということを挙げています。
 しかしながら、この「支援対象地域」の定め方は、妥当性を欠くのはもちろん、明
らかに「違法」です。
 子ども・被災者支援法はその8条1項において、「支援対象地域」を「その地域
における放射線量が政府による避難に係る指示が行われるべき基準を下回っているが一定の基準以上である地域をいう」と明確に定義しているのであって、これ以外の「定め方」を法は予定しておらず、復興庁が示した「中通り及び浜通りの市町村」を「支援対象地域」とするという方針は、行政府が立法府から委任された範囲を明確に逸脱する「違法」な越権行為であることはあまりにも明らかと言うべきです。
 基本方針案が掲げる「地域の社会的・経済的一体性等」を考慮する必要がな
いということではありませんが、このように「法」の規定を行政府が「無視」して良い根拠になり得るはずがありません。
 仮に、法8条1項括弧書きの「一定の基準以上である地域」とそうでない地域が
「中通り・浜通りの市町村」に混在することになった場合、「一定の基準未満となった地域」にあっても、「地域の社会的・経済的一体性等」を考慮して、「準支援対象地域」(法1条の類推)とするということであれば合理性があると言えるでしょうが、基本方針案の考え方は完全に主客が転倒しており、到底容認できるものではありません。
 
3 この他、基本方針案が示した全施策120のうち87の施策が、今年3月15日に公表された「被災者支援パッケージ」と全く同じで、既存の施策の寄せ集めに過ぎないとも指摘されています。また、支援パッケージに入っていなかった施策でも、その多くが「除染」と「健康不安の解消」に関わるもので、「避難の権利」を保障する新たな施策は見当たらず、「被災者生活支援等施策は、被災者一人一人が第八条第一項の支援対象地域における居住、他の地域への移動及び移動前の地域への帰還についての選択を自らの意思によって行うことができるよう、被災者がそのいずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない」(法2条2項)という基本理念を無視し、「帰還促進」に著しく偏った基本方針となっているという看過し得ない問題点を指摘せざるを得ません。
 

 

 以上の理由により、「意見の趣旨」記載のとおり、基本方針案をいったん撤回の上、子ども・被災者支援法の立法目的、基本理念を尊重し、可能な限り住民等当事者の意見を反映させる措置を誠実に実施した上で、早急に新たな「基本方針」を策定することを求めます