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2010年12月に語られた“日本の原子力政策”(河野太郎トークライブ)

 今晩(2013年10月17日)配信した「メルマガ金原No.1515」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
2010年12月に語られた“日本の原子力政策”(河野太郎トークライブ)
 
 今日(2013年10月17日)の東京新聞社説は、「民主代表質問 『原発』なぜ問い詰めぬ」と題し、開会した臨時国会冒頭の安倍晋三首相による所信表明演説に対す海江田万里民主党代表による代表質問を手厳しく批判していました。
 
(抜粋引用開始)
 原発稼働の継続は、もう既定の路線と考えているのだろうか。きのうの民主党よる代表質問を聞いて、再び耳を疑った。海江田代表の質問に、原発の存廃に関する言及が全くなかったのだ。
 民主党は昨年十二月の衆院選、今年七月の参院選公約で「三〇年代に原
発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入」することを掲げた。
 政権時代に東京電力福島第一原発事故が起きた反省からは当然の対応だろ
う。公約は国民との契約だ。野党に転落したとはいえ、実現に努力するのは当然である。
 しかし、選挙で公約しながら、その公約に反する政策を進めようとする政権与党
を国会で追及しないとしたら、裏切りだ。
(引用終わり)
 
 マスメディアの中の「脱原発派の雄」、東京新聞ならではの主張ですが、「三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入」という政権末期に打ち出した民主党の方針自体、党内原発推進派との妥協の産物としか思われず、脱原発派、原発推進派のどちらから見ても積極的に支持する気にならない中途半端な政策であるため、はなはだ期待値の低い「公約」というのが私の印象です。
 だから、民主党の代表質問の内容などどうでもいい、と突き放すのは、無責任のそしりは免れないでしょうね~と、東京新聞の社説を読んで反省したところですが、この社説に触発されてもう一つ思い出したことがありました。
 今さら民主党の古傷を暴きたい訳ではないのですが、安倍政権が推進に前のめりとなっている原発輸出政策」が脱原発派から「暴走」と非難されていますが、実は同じような非難が民主党政権に浴びせられていたのはそれほど以前のことでもないのです。
 
 以下に転載するのは、私が2010年12月19日に「9条ネットわかやまML」に投稿した記事です。
 この82日後に福島第一原発事故が発生しました。
 

9条ネットわかやまML No.3028 を転載)
 
 金原です。
 沖縄問題や安保問題と同じくらい気になっていながら、私自身の基礎知識が
しいために、非常にもやもやしているのが国の「原子力政策」です。
 何しろ、民主党政権になってからというもの、政府が先頭に立って原子力発電
所プラント輸出に邁進(暴走?)するは、連合まで、現在計画中の原子力発電所の新増設を「着実に進める」とするなど(「平和フォーラムは何をやってるんだ」と言っても詮ないことですね)、「沖縄政策」と同じくらい大変なことになっています。
 さて、何故こんなことになってしまったのかについて、非常に分かりやすい「トーク
ライブ」が行われたことが、池田香代子さんのブログで紹介されていました。

日時 2010年12月13日
場所 新宿ネイキッドロフト
河野太郎トークライブ「これで良いのか日本の原子力政策」
  出演 飯田哲也氏(NPO法人環境エネルギー政策研究所所長)
      鈴木達治郎氏(原子力委員会委員長代理)
      河野太郎氏(衆議院議員)

 全部見ようとすればかなり時間がかかりますが、USTREAMではクリアに視聴で
きます。ちなみに、「クリア」であるのは、画像や音声のことだけではなく(音声はクリアですが画像はそこそこ)、発言者の「論旨」がクリアなのです。
 ということは、視聴するのが苦痛ということは全くなく、良く頭に入りやすいというこ
とです。もっとも、そこで語られている内容は暗澹たるものですが。
 (前半) http://www.ustream.tv/recorded/11414699
 (後半) http://www.ustream.tv/recorded/11415908 (質疑応答)

 河野太郎氏は、安全保障面では「親米リアリズム派」と目されており、その点
が残念ではあるのですが、もしも近い将来、「前原誠司率いる民主党」vs「河野太郎率いる自民党」が総選挙でぶつかるという事態になったとしたら・・・と想像すると、なかなか思案に迷う人も多いことでしょう。
 もっとも、そうなる前に、今の民主党や自民党は解体している可能性が高い
しょうが。

 なお、「原子力委員会」によると、2005年10月14日に策定(閣議決定)
された「原子力政策大綱」を、今後約1年程度の期間をかけて、「新たな原子力政策大綱の策定を目指して検討を開始することとし」たそうで、そのための「新大綱策定会議」の第1回会合が12月21日に開催されるそうです。その議事録も原子力委員会のサイトに掲載されるそうなので、今後とも注目すべきでしょう。
 
(以上 転載 終わり)

 
 3年近く前、原子力発電について何の知識も持たなかった当時の私でさえ危惧の念を抱かざるを得ないほど、民主党政権の「暴走」は目に余るものだったいうことを読んでいて思い出しました。
 政権から転落したとはいえ、現在の民主党議員の大半が政権時代の議員の生き残りなのでしょうから、代表質問の舌鋒が鋭くないのも「当たり前」という気もします(そういえば、海江田代表は3.11当時の経済産業大臣でしたね)。
 
 それから、「『前原誠司率いる民主党』vs『河野太郎率いる自民党』が総選挙でぶつかるという事態になったとしたら」と仮定したのはともかく、「そうなる前に、今民主党や自民党は解体している可能性が高いしょうが」と書いたのは、まことに「不明の至り」と頭を下げるしかありません。
 自民党がこれほど「極右勢力一辺倒」で結集するとは、まさに「想定外」でした。
 
 最後に、「原子力政策大綱」についての後日談を。
 原子力委員会サイトの「原子力政策大綱」のコーナーは、現在はこのようになっています。
 そこには、「福島第一原子力発電所における事故の状況等を踏まえ、審議を中断ました。その後、事故収束に向けた取組等を踏まえ、平成23年8月に審議を再開することとしました」とありますが、結局、原子力委員会による「原子力政策大綱」の策定作業自体、昨年(2012年)10月2日に正式に中止することが定されました。
 
NHK「かぶん」ブログ
 

 

 現在の政権による「原発再稼働」「原発輸出」の動きを真に理解するためには、「3.11以前はどうだったか?」「3.11によって何が変わって何が変わらなかったのか」を振り返ることも大事だと思い、私の古い文章を引っ張り出してきたという次第です。