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鈴木耕さんの案内で「原発漫画」を読もう(付・『パエトーン』が今でもWEBで読める)

 今晩(2013年10月24日)配信した「メルマガ金原No.1522」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
鈴木耕さんの案内で「原発漫画」を読もう(付・『パエトーン』が今でもWEB読める)
 
 「マガジン9」に鈴木耕(すずき・こう)さんが連載されている「時々お散歩日記」に「『原発漫画』の奥深さ」という記事がアップされました(2013年10月23日)。
 
 鈴木さんが読まれて感銘を受けた「原発漫画」が総ざらえされていて圧巻です。
 鈴木さんの前説を引用します。
 
(引用開始)
 「原発のこと、難しい単行本ばかりじゃなくて、漫画でもかなり鋭いのがあるんだよ」と娘に言われた。カミさんは、今でもけっこう漫画好き。そこで、3人で相談しながら、さまざまな「原発漫画」を探し、集め始めた。古いものには、僕が知っていた漫画もあったけれど、教わった漫画は、もう僕の想像を超えていた。みんなかなりスゴイ!
 というわけで、今回は「原発漫画を読む」の巻。
(引用終わり)
 
 鈴木さんが推奨する「原発漫画」のタイトルは以下のとおりです。
 
『パエトーン』(山岸凉子潮出版社
 
ゴルゴ13 2万5千年の荒野』(さいとう・たかをリイド社
 
『コミック みえない雲』(グードルン・パウゼヴァング原作、アニケ・ハーゲ画、
高田ゆみ子訳、小学館文庫)
※鈴木さんの解説を引用します。 
「1987年、チェルノブイリ事故の1年後に発表され、ドイツでベストセラーになった
説のコミック化作品。ドイツの原発がメルトダウン事故を起こし、逃げ惑う子ど
もたち。淋しげで美しいタッチの描線が印象的で、ことに、放射線障害で髪の毛
が抜け落ちてしまった少女が切なくもいたましい。
 なお、この小説は映画化もされていて、その強い衝撃が、ドイツの脱原発
に大きな影響を与えたともいわれている」
 この「映画化」作品のDVDが「通販生活」カタログの“付録”となって話題を集
ました(実は私もその“付録”目当にカタログを申し込みました)。
 
萩尾望都作品集 なのはな』(萩尾望都、小学館)
 
『はじまりのはる』(端野洋子、講談社)
 
『デイジー 3.11女子高校生たちの選択』(ももち麗子、講談社)
 
『あの日からのマンガ』(しりあがり寿エンターブレイン
 
『COPPELION コッペリオン』(井上智徳、講談社)
 
 
『ヒトヒトリフタリ』(高橋ツトム、集英社)
 
『白竜 原子力マフィア(1)』(週刊漫画ゴラク増刊9月15日号掲載、天王寺大・作、渡辺みちお・画、日本文芸社)
 
『いちえふ 福島第一原子力発電所案内記』(竜田一人、講談社)
 
(番外)
福島原発の闇 原発下請け労働者の現実』(文・堀江邦夫、絵・水木しげる、朝日新聞出版)
 
 鈴木さんは、上記記事の末尾でこう書かれています。
 
(引用開始)
 ざっと、目についた限りの漫画を挙げてみた。むろん、もっとたくさんの「原発画」が産み出されているだろう。もし、ほかにご存じであれば、ぜひ教えていただきたい。
 さまざまな力を集めて、原発の問題に切り込んでいければいい。僕はそう思っ
ている…。
(引用終わり)
 
 「反原発の思い」を創作に昇華しようとすると、映画などの総合芸術の場合、非常な困難が待ち受けていることは、『朝日のあたる家』を造った太田隆文督の悪戦苦闘ぶりをフォローすれば一目瞭然です。
 その点、映画のような制作費をほとんど必要としない「漫画」という媒体の特性を生かし、「黙っているべきではない」という考えを作品に結晶させて発表した人がこんなにいるということを知って勇気づけられました。
 また、これらの作品を発表する場を提供した編集者・出版社があったことも、仄聞する放送局や映画配給・興業会社の対応と比べ、賞賛されるべきだと思います。
 願わくは、これらの創作者の意欲作が、今後とも支障なく発表できる社会であり続けるよう、民主主義社会を支える中核的人権である「表現の自由」を守るための闘いを自らの責務と考える人の1人でも多からんことを!
 
(付記1)
 「マガジン9」サイトの鈴木さんの記事の中で紹介されている漫画作品のタイトルをクリックすると、当該作品のAMAZONでの紹介ページにリンクされていますので、購入を考える方は、同サイトから注文していただければと思います。
 
(付記2)
 鈴木さんが冒頭で紹介されている山岸涼子さんの『パエトーン』は、20113月22日から、WEB上で無料公開され、現在でも読むことができます。
 私は、和歌山市の松永久視子さんから教えていただき、「メルマガ金原No.277」でそのことをご紹介していました。
 以下にその号を再録します。
 

(2011年5月27日午後8時46分に配信した「メルマガ金原No.277」を再録します)
 
 メルマガ金原No.277をお届けします(2011年5月27日現在の読者数124名)。
 
 和歌山市の松永久視子さんから、以下のとおり、山岸涼子さんが1988年に発表された編漫画『パエトーン』が、WEB上で無料公開されていることを教えていただきました。
 松永さん、ありがとうございました。
 早速、読んでみました。
 
 潮出版社無料WEBコミック 『パエトーン』山岸涼子
 
 このページの 「パエトーン」を読む というところをクリックし、適宜拡大機能などを使いながら読み進めてください。
 40ページ余りの作品ですが、チェルノブイリの悲劇を真摯に受け止めた表現者が、素晴らしい作品を発表しておられたのでした(不覚にも知りませんでした)。
 タイトルとなっている「パエトーン」は、太陽神ヘーリオスと人間の女性との間に生まれたが、陽神の息子であることを証明しようとして、父に願って、本来人間に制御できない「太陽の戦車」を操縦しようとしたものの、制御不能となって大地を焼き尽くしたという、ギリシャ神話上の登場人物です。
 もちろん、作者の寓意は明確ですね。
 
※「パエトーン」ウイキペディアより
 
 福島第一原発事故から11日後の3月22日からWEB上で無料公開されたのですが、その経緯が朝日新聞WEB版に掲載されていました。
 
(抜粋引用開始)
原発是非問う漫画「パエトーン」、電子書籍で無料公開 2011年4月16日 
 漫画家の山岸凉子さんが、チェルノブイリ原子力発電所の事故後に原発の是非を問うた作品「パエトーン」を、電子書籍の形で無料公開している。福島の原発事故直後、ネット上で話題になったのがきっかけ。先月25日の公開以来、15万回以上読まれている。
(略)
 公開した潮出版社によると、福島の事故直後、ネット上で「まさにパエトーンの状態だ」と話題になり、山岸さんに知らせると、「ぜひ無料公開したい」と返事があったという。
 チェルノブイリ事故後、山岸さんは原発について本で学び、「今、日本で起きてもおかしくない」と危機感を覚えたという。
 「原発は、ひとたび事故が起きれば人間の力で制御できないほどのエネルギーを持つ。メリットに対するリスクが大きすぎ、25年前と危険は少しも変わっていない。原発について、一人でも多くの人に考えてもらいたい」と話す。
(略)
(引用終わり)
 
 最後に、公開にあたっての山岸涼子さんの言葉をご紹介します。
 
(引用開始)
 東北関東大震災で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 そして、福島原発の最前線で命を賭して従事している皆様に、深い感謝の念を禁じません。
 勇気ある彼らのためにも、25年ほど前の作品ですが、全国の皆さんに読んでいただき、今一度原発の是非を考えてもらえたらと思っております。
 では「パエトーン」をどうぞごらん下さいませ。
   2011年3月22日
       山岸 涼子

 

(引用終わり)