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日本は米国の通信傍受対象国ではなかった?

 今晩(2013年10月29日)配信した「メルマガ金原No.1527」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
日本は米国の通信傍受対象国ではなかった?
 
 ドイツ政府は23日、メルケル首相の携帯電話が米情報機関に盗聴されていた可能性が高いとして、首相がオバマ大統領に説明を求めたことを明らかにした。独政府のザイベルト報道官が発表したもので、声明で「ドイツ政府は、メルケル首相の携帯電話が米情報機関に監視されている可能性があるとの情報を得て、即座に米政府
に照会し、全面的な解明を求めた」と明らかにした。それによると、メルケル首相はオバマ大統領に電話で「ドイツと米国のような長年の友人の間で、このような監視があってはならない。(真実ならば)信頼を破る行為で、重大な結果を招くことになる」と抗議したという。(朝日新聞デジタル2013年10月24日)
 
 菅義偉官房長官は24日午前の記者会見で、ドイツのメルケル首相の携帯電話が米情報当局に盗聴された可能性がある問題について、「報道以上のことは承知していない。コメントは控えたい」と述べた。その上で、安倍晋三首相の携帯電話については「全く問題ないと思う」と述べ、盗聴の懸念を否定した。 
 菅長官は「政府としてはこれまでも、しかるべき情報保全のために対応を取っている。
引き続きしっかり対応したい」とも語り、機密保全に万全を期す考えを強調した。(時事ドットコム2013年10月24日)
 
 英ガーディアン紙(電子版)は24日、米情報機関が外国の指導者35人の通話を盗聴していたことがスノーデン元米中央情報局(CIA)職員が提供した機密文書により判明したと報じた。
 ガーディアンが、文書の内容として伝えたところによると、要人の電話番号は、米国家安全保障局(NSA)に別の米政府当局から提供されていた。ホワイトハウス、国務省、国防総省のスタッフは、外国政府当局者の連絡先情報を共有するよう求められていた、としている。
 報道について、ホワイトハウスの報道官は、指摘された情報活動に関して公にコメントするつもりはないと述べた。  
(ロイター2013年10月25日)
 
 以上のような報道に接し、皆さんはどういう感想を持たれたでしょうか?
 私の場合、米国による「同盟国」を含む外国首脳の通話盗聴疑惑については、「そういうこがあっても不思議はない」と思いつつ、それにしても、(それなりの思惑はあるにしても)ドイツの毅然とした態度と日本の「米国との間に波風立てぬことしか考えない」パブロフの犬的対応とのあまりの違いに、今さらながら呆れかえったものでした。
 
 ところが、今日(10月29日)、共同通信が以下のような短い記事を配信しました。
 
 ドイツ週刊誌シュピーゲル(電子版)は29日までに、米情報機関が大使館などの在外公館から通信や通話を傍受している80以上の都市名を報道、その中に日本の都市は含まれていなかった。事実なら、日本が米国の重点的な監視対象から外れている可能性がある。
 シュピーゲルは、メルケル首相に対する盗聴疑惑を取り上げたニュース動画をホームページに掲載。この中で「スペシャル・コレクション・サービス」と呼ばれる組織が、各国にある米大使館などでの通信傍受を担っていると指摘し、拠点都市の一覧を報じた。(共同2013年10月29日)
 
 この短い記事だけで、米国による情報機関の通信・通話傍受の重点対象国に日本が入っていなかったと断定する訳にもいきませんが、案外、菅義偉官房長官の発言は、「米国が日本の首脳の通話を盗聴しているはずがない。」という正直な感想を吐露しただけだったのかもしれません。
 シュピーゲルの報じた内容が正鵠を射ているのだと仮定すれば、日本は米国が盗聴という手段を用いてまで情報を収集する必要を感じていない国だったということになり、それだけ日本政府の首脳が「米国にたてつくはずがない」と、そのポチぶりが「信頼されていた」証かもしれないのです。

 

 そういう評価をくだされても、日本の親米政治家や外務官僚は、「名誉」にこそ思え、決して「不名誉」だとは思わないのでしょうね。