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特定秘密保護法が出来るとどうなるのか?~具体的な想定を知って反対する~

 今晩(2013年11月11日)配信した「メルマガ金原No.1540」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
特定秘密保護法が出来るとどうなるのか?~具体的な想定を知って反対する
 
 11月7日の衆議院本会議で審議入りした「特定秘密の保護に関する法律案」は、いよいよ本日(11月11日)から、衆議院国家安全特別委員会での審議が始まりました。
 今日の審議には、首相、外相の出席はなく、谷垣禎一法務大臣、小野寺五典防衛大臣、古屋圭司国家公安委員会委員長森まさこ内閣府特命担当大臣、岸信夫外務副大臣などが答弁に立ったようです。
※衆議院TVで視聴できる本日(11月11日)の委員会審議
 
 残された時間がわずかしかないという切迫感から、「何をしたらよいのか?」と悩んでおられる方も多いと思います。
 私も、一昨日、小さな集いで特定秘密保護法案の問題点をお話しし、その後、今後の活動をどうしていけばよいのかということについて長い時間語り合ったのですが、れぞという決め手がある訳ではないものの、絶対に絶望して動きを止めてしまってはいけないことを確認し合いました。
 その集いに参加されたある女性は、ネットで見つけたこれぞという反対チラシをダウンードし、何百枚も自宅のプリンターで印刷しては、駅前に出かけて1人で道行く人に布して訴えているということでした。何の組織的背景も持たない家庭の一主婦の「志と行動力」に私は感動しました。
 
 ところで、特定秘密保護法案の問題点は多岐にわたっており、何を一番に訴えるべか焦点が定めにくいことも実は問題ではないのかと、かねがね考えていました。
 そう思っていたところ、今日、弁護士の川口創(かわぐちはじめ)さんが書かれた文章を読み、一つの向性を指し示されたように感じましたのでご紹介したいと思います。
 川口さんの文章は以下のブログに掲載されています。
 
弁護士川口創のブログ 2013年11月10日
イラク派兵の実態と「特定秘密保護法
 
 ご存知のとおり、川口さんは、航空自衛隊のイラクで空輸活動を憲法9条1項違であるとした名古屋高裁判決を勝ち取ったイラク派兵差し止め訴訟弁護団の事務局長を務められた方ですが、その自らの経験から、弁護団が独自に収集した情報や、中日新聞・東京新聞など一部のジャーナリストが精力的にイラクでの航空自衛隊の活の実態を取材をし報道した積み重ねによって、航空自衛隊によるバグダッドへの輸送活動の実態が、武装米兵の輸送であることが分かったのだと回顧し、次のように結論付けられます。
 
(引用開始)
 特定秘密保護法が出来れば、自衛隊が海外に派兵されても、もはやその活動について調査することは不可能になり、活動実態についての情報公開について国は応ずることもないだろう。
 海外で自衛隊が憲法9条違反の行為をしていたとしても、その実態を私達が直
情報収集をしていくことは極めて困難になり、憲法9条違反の活動は国民に隠さてしまうだろう。 そして、国家安全保障基本法の下、9条違反の事実が次々積み重ねられ、その「事実」に合う形で「法律」が次々作られ、憲法9条は、明文改憲手続きを経ることなく、あってもなくても良い規定になってしまう。
 特定秘密保護法は、単に「知る権利」云々、という問題にとどまらない。私達が直面しているのは、「平和憲法」の危機であると同時に、「立憲主義」の危機である。
(引用終わり)
 
 川口さんのブログには、当初の情報公開請求では真っ黒に塗りつぶされていた文書が、違憲判決後の請求で全面開示され、米軍輸送の実態が「隠されてた」ことが、2枚の開示された書類の写真を対比することによって、あざやかに示されています。
 ところが、この航空支援集団司令官から統合幕僚長宛の空輸実績に関わる報告書は、特定秘密保護法が成立すれば、まず間違いなく「別表 一 防衛に関する事項 イ 自衛隊の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究」に該当するとして防衛大臣が「特定秘密」としての指定をするでしょう。
 そうすれば、秘密を隠蔽すべく幾重にも防護された法律の壁によって、この「事実」を明るみに出すことが出来ないうちに憲法違反の実績が着々と積み重ねられ、それを後日、検証することすら出来ないことになってしまうことが、非常に高い確率予想されます。
 私たちが今訴えなければならないのは、特定秘密保護法が出来ることによって、日本がどのような国になってしまうのかを、確たる証拠を示しながら、具体的に明らかにすることなのだろうと思いました。
 
 なお、同じような問題意識を持ってであろうと思いますが、OurPlanet-TVにおいて、以下の映像が公開されていました。約16分の映像ですが、非常に興味深く視聴しました。
 
Fotgazet通信緊急版・シュミレーション「特定秘密」(2013年11月11日 19時00分公開)
(番組案内引用開始)
 特定秘密保護法案が国会で審議入りした。行政が指定した「機密」を漏らした公務員や情報の入手を試みた市民が厳しく処罰されるこの法律。現代の「治安維持法」とも呼ばれ、いったん法律が成立すると法律が独り歩きし、国家による情報統制につながる恐れがある。日本ビジュアルジャーナリスト協会(JVJA)の林克明さんにお話しを伺った。
(引用終わり)
 
 私が特に重要だと思ったのは次の二点です。
 第一は、情報公開請求で開示されなかった情報を、協力してくれる国会議員質問趣意書を提出することによって明らかになったものが、特定秘密保護法成立することによって出てこなくなるのではないかということ。
 第二に、地方自治体が独自の判断で出していた情報も、この法律が出来ることによって「情報の中央集権化」が一挙に進み、一々中央官庁のお伺いを立てることになってしまうのではないかということでした。
 なお、第一の論点については、日本弁護士連合会が公表した「特定秘密保護法案と国会・国会議員に関するQ&A」網羅的に詳しく論じていますので、是非ご参照ください。