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憲法学習会レジュメ(2013年11月・45分ヴァージョン)

 今晩(2013年11月13日)配信した「メルマガ金原No.1542」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
憲法学習会レジュメ(2013年11月・45分ヴァージョン)
 
 先日(2013年11月10日)、和歌山障害者・患者九条の会が主催した「憲法しゃべり場」でお話した内容をご紹介しましたが、その日が、今年に入ってから12回目の憲法学習会での講師活動でした。
 
伊藤真さんのDVDを視聴する前に私が話したこと(憲法しゃべり場@和歌山障害者・患者九条の会
 
 そして、今月(11月)24日(日)には、地元の和歌山大学の学園祭(和大祭)の1企画として、前半で私が憲法についてお話し、後半で参加者の皆さんと語り合うという催しが準備されます(午後1時00分~2時30分/和歌山大学栄谷キャンパス義棟G304教室)。
 この今年13回目となる企画が、まだ師走12月を残すとはいえ、私の今年の講師活動の掉尾を飾る(?)ものになるかもしれません。
 ご近所にお住まいの方は、是非のぞいていただければと思います。和大祭期間中、駐車場は事前登録した車しか停められないと思いますので、遠方からお越しの方は公共交通機関をご利用ください。ちなみに、私は大学と同じ栄谷に居住しており、和山大学の裏山から登っていけば15分で会場に到着しますから、当日は散歩がてら
歩いて行く予定です。
 
 ところで、24日の企画では、前半の私のお話は「45分をめどに」と言われています。
 先月(10月)23日、和歌山法律関連労働組合の憲法学習会で講師を依頼された際には、「60分の講演を」というご依頼でした。そのために書いたレジュメは、以下とおりメルマガ(ブログ)で配信しました。
 
憲法学習会レジュメ(2013年10月・60分ヴァージョン)
 
 今回は「45分」ということなので、思い切って構成を変えてみることにしました。
 一つには、11月3日、「守ろう9条 紀の川 市民の会」主催の「第10回 憲法フェスタ」で講師を務めていただいた羽柴修弁護士の講演内容に影響を受けたということもあります。
 
特定秘密保護法に反対するために利用できる配布物について
 
 いささか“悲壮感”あふれる内容になり過ぎているかもしれませんが、それほど事態は切迫しているということだと思います。
 ということで、11月24日のために書いたレジュメを以下にご紹介しますが、当日までに「書き改める」ということも当然あり得るところですから、参加予定の方はご了解願います。
 

 
 
           今、目の前にある憲法の危機
 
                              
                              弁護士 金 原 徹 雄
 
 
【本日のお話の構成】
1 安倍自民党が目指す改憲スケジュール
2 安倍自民党が目指す安保体制
3 安倍自民党の思惑通りとなった後の「日本の姿」
4 この危機を克服するために
1 安倍自民党が目指す改憲スケジュール
① 現在開会中の臨時国会
  「国家安全保障会議設置法(安全保障会議設置法改正)案」
  「特定秘密保護法案」
を成立させる。
 
② 次期通常国会
  「国家安全保障基本法案」
を成立させる。
 
 2012年7月に自民党総務会の了承を得た「国家安全保障基本法案(概要)」によれば、「 国は、我が国の平和と安全を確保する上で必要な秘密が適切に保護されるよう、法律上・制度上必要な措置を講ずる」(3条3項)として「特定秘密保護法」の制定を盛り込んでいる他、第6条の注において、「別途、安全保障会議設置法改正によって、安全保障会議が安全保障基本計画の案を作成し、閣議決定を求めるべきこと、安全保障会議が、防衛、外交、経済その他の諸施策を総合するため、各省の施策を調整する役割を担うことを規定」としている。
 同基本法案(概要)は、個別的集団的自衛権行使容認(10条)、国連の安全保障措置等への参加(11条)、武器輸出の一般的解禁(12条)など、こと安全保障の分野に関する限り、日本国憲法の「効力停止法」と言うしかないとんでもない内容の法案であり、国家安全保障会議設置法及び特定秘密保護法の制定も、この国家安全保障基本法を準備するための必須の前提として国会に上程されたと考えるべきである。
 
③ 2016年衆参同日選挙で両院の2/3を確保し、明文改憲を発議する。
 
 
2 安倍自民党が目指す安保体制
 とりあえずの目標は、自衛隊を米軍とともに戦争のできる軍隊にすること。
 そのための布石として(米軍と共同作戦を実施するため)、米国なみの厳規定を持った「特定秘密保護法」が必要であり、官邸(総理大臣、官房長官)+2(外務、防衛各大臣)に権限を集中した(米国の猿まねだが)日本版NSC(国家安全保障会議)を設置しようとしている。
※マニング上等兵事件やスノーデン事件を想起せよ。
 
 そして、明文改憲には時間がかかるため、「ナチスの手口を真似て」「憲法を眠せる」ための日本版「全権委任法」である国家安全保障基本法の成立を目指ことになる。
 
 以上の「壊憲三法」、なかんずく、国家安全保障基本法が成立すれば、「日本憲法9条」は事実上「仮死状態」になったと言わねばならない。
 ちなみに、本当に「死」を迎えるのは、明文改憲によって「9条」が消滅したとき、もしくは自衛隊が「戦争」に参加したときである。
 
 なお、ここでやや腑に落ちないのは、「東京裁判史観」の否定にやっきとなってい歴史修正主義者たちが、なぜ、東京裁判及びサンフランシスコ平和条約を大提として締結された日米安全保障条約体制にひれ伏すのか?論理的整性はどうなっているのか?ということであるが、これについて納得できる解を提示するだけの能力は残念ながら今の私にはない。
 
3 安倍自民党の思惑通りとなった後の「日本の姿」
 国家安全保障会議設置法、特定秘密保護法、国家安全保障基本法の「壊憲三法」が勢揃いし、もしかすると、自民党が主体となって提案し、国会から発議された「日本国憲法改正草案」が国民投票で有効投票の過半数の賛成を得て、「晴れて」国防軍ができているかもしれない。
 もしも自衛隊のままであったとしても、本当に自衛隊が海外に「出征」する日が来たら、以下のような事態を迎えるということを、どれだけの日本人が「想像」し「覚悟」しているのだろうか?
 
日本の自衛隊員が海外で人殺しをする(殺される者の中には当然「非戦闘員」も含まれる)。
日本の自衛隊員が海外で戦死する。
日本の自衛隊員が負傷して重い肉体的障害を負い帰国して除隊する。
日本の自衛隊員が深刻な精神的ダメージを負い帰国して除隊する。
軍費をまかなうために増税され社会保障費はさらに削減される。
自衛隊に志願する者が減りやがて徴兵制となる(かもしれない)。
軍需産業は戦争依存を強め常に日本が戦争することを望むようになる。
日本及び日本人がテロの標的となる。
つまり日本が米国のような国になる(但し、米国の有する「自由主義的側面からの反発力」は日本社会にはない)。
 
4 この危機を克服するために 
 以上の「予想」は悲観的過ぎるかもしれない。
 しかし、私たちが何の努力もしければ、このような「悪夢のシナリオ」が現実のものとなる可能性は非常に高い。
 このような事態に「無知」でいることは許されない。
 知った以上は、この危機を克服するための努力をする「責任」が生じる。
 ではどうするか?
 それを、今日の集いの後半で語り合いたいと思う。
 

 

(付録)このように鬱屈とした気分の時には、少しでも前向きな気持ちになる曲を聴きたいものです。
 
『世界』 ヒポポフォークゲリラ 作詞作曲:ヒポポ田