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石破茂自民党幹事長による“絶叫戦術=テロ行為”説 その後

 今晩(2013年12月2日)配信した「メルマガ金原No.1561」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
石破茂自民党幹事長による“絶叫戦術=テロ行為”説 その後
 
 11月29日付のオフィシャルブログにおいて、石破茂自民党幹事長が以下のような文章を公表して大きな批判を浴びていることはご承知のとおりですし、私自身、昨日、別ブログで「石破茂自民党幹事長の恐るべき『本音』」という文章を書いています。
 普通であれば、とりあえず当人が「陳謝」した上で、時が過ぎて忘れ去られるのを待つということになると思うのですが、どうも「この人」はそうではないようです。
 とぃうことで、「その後」を書いてみることにしました。
 
 まず、問題のブログの文章をあらためて引用します。「石破茂オフィシャルブログ」に2013年11月29日付で掲載された「沖縄など」と題された文章の一部(ほぼ末尾の部分)です。
 
(引用開始)
 今も議員会館の外では「特定機密保護法絶対阻止!」を叫ぶ大音量が鳴り響いています。いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。
 主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持
の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます。
(引用終わり) 
 
 もっとも、上記は昨日(12月1日)まで掲載されていた文章で、現在、終わりの部分は以下のように訂正されています(ブログでは見え消しで訂正しています)。
 
(訂正前)単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます。
(訂正後)単なる絶叫戦術は本来あるべき民主主義の手法とは異なるように思います。
 
 今日(12月10日10:00)、オフィシャルブログに掲載された「お詫びと訂正」と照らし合わせて読んでみても、まるで「お詫び」になっていないのは、かなり「意図的」なものを感じるのですが、その前にまず、11月29日に掲載されたオリジナルのブログ記事自体がどういうものであったかを、私が昨日書いたことの繰り返しになりますが、振り返っておきます。
 
 この「沖縄など」と題された文章の前半は、沖縄選出国会議員や自民党沖縄県連に公約破りを強要したことの言い訳に、中国による防空識別圏設定を早速「活用」したものです。これに、北朝鮮がミサイルでも発射してくれていればさらに「申し分なし」だったでしょう。
 後半は、特定秘密保護法案がらみの文章ですが、まずは、日本維新の会の衆院採決時の退席という「不可解」な行動に対する非難と牽制(参議院ではちゃんと賛成するようにという)であり、最後に、デモ(絶叫戦術)=テロ発言となっています。
 この文章を素直に受け取れば、沖縄問題への弁明や維新の会への牽制はかなり意図的に書かれた文章であると思われるのに対し、最後のテロ発言は、全体の文脈から考えても、別になければならないものではなく、文章を格好良くまとめるために、同氏のブログにいつも好意的なコメントを寄せてくれる「支持者」が喜ぶような気の利いた文章を書いてみたというところだと思います。だからこそ、つい無防備に「本音を書いてしまった」ものだというのが私の評価です。
 だからこそ、一層許せないのですが。
 
 さて、今日の「お詫びと訂正」です。全文引用します。
 
(引用開始)
 石破 茂 です。
 整然と行われるデモや集会は、いかなる主張であっても民主主義にとって望まし
いものです。
 一方で、一般の人々に畏怖の念を与え、市民の平穏を妨げるような大音量で
自己の主張を述べるような手法は、本来あるべき民主主義とは相容れないものであるように思います。
 「一般市民に畏怖の念を与えるような手法」に民主主義とは相容れないテロとの
共通性を感じて、「テロと本質的に変わらない」と記しましたが、この部分を撤回し、「本来あるべき民主主義の手法とは異なるように思います」と改めます。
 自民党の責任者として、行き届かなかった点がありましたことをお詫び申し上げます。
(引用終わり)
 
 どうでしょう。「お詫び」になっているでしょうか?
 「自民党の責任者として、行き届かなかった点がありましたことをお詫び申し上げます」というのは、誰に対して「お詫び」しているのでしょうね?私には、自民党員や支持者に対してとしか受け取れませんが。
 
 この文章を一読して、「この人」は、自分にとって非常に都合の良い「民主主義」像を勝手に措定しているという印象をぬぐえません。
 「一般市民に畏怖の念を与えるような手法」という表現で、議員会館周辺でマイク等を用いて「特定秘密保護法絶対阻止!」を訴える市民の活動が、あたかも「違法」であるかのような印象を意図的に与えようとしていること自体が、そもそも「卑劣」きわまりないのであって、憲法で保障された(幸いにもまだ「公益及び公の秩序に反してはならない」という制限は課されていない)「表現の自由」の範囲内の集団示威行為を(もしも都条例等に違反していれば、びっしりと過剰警備している警察が放置するはずがないでしょう)「本来あるべき民主主義の手法とは異なる」と言うのですから、石破氏の言う「民主主義」とは、「権力者を煩わせることなく静かに歩いている分には認めてやろう」という体のものだということにならざるを得ません。
 
 特定秘密保護法案の参議院採決阻止が正念場にさしかかっている今、この問題を取り上げるとしても、その目的に適う方向で力を入れる必要があることは言うまでもありません。
 
 本日(12月2日)、「石破発言に対する謝罪と処分及び特定秘密保護法の白紙撤回を求める」自民党に対する申入書と「テロ発言の全面撤回と謝罪、及び幹事長辞任を求める」石破幹事長宛の申入書が、「官邸前で日々特定秘密保護法反対を訴えている市民有志(テロ行為と呼ばれた抗議行動への参加者を含む)と、官邸及び国会周辺の自由な政治的言論を守るために活動している弁護士、及びこれに賛同する市民・弁護士」から自民党本部に送付されるとともに、WEB上で公開されました(武蔵小杉合同法律事務所ホームページに掲載)。
 http://www.mklo.org/20131202/
 是非、リンク先で全文をお読みいただきたいと思いますが、この動きも、特定秘密保護法制定阻止のための力を結集する一手段として緊急に取り組まれたものであると思います。
 ちなみに、末尾の「賛同人」に、「金原徹雄(会社員)」という名前が出てくるのは多分私のことですが、別に弾圧を恐れて身分を偽った訳ではありません(そのうち訂正されるでしょう)。