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宗教者・宗教団体と特定秘密保護法

 今晩(2013年12月8日)配信した「メルマガ金原No.1567」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
宗教者・宗教団体と特定秘密保護法
 
 私自身、熱心な信者では全然ありませんが、浄土真宗本願寺派の門徒であるという自覚が少しはありますので、特定秘密保護法について、真宗各派やその他の宗教団体はどのような意見を持っているのか、調べてみることにしました。
 
 さて、肝心の浄土真宗本願寺派です。個々の末寺には、戦時中の体験なども踏まえ、明確な意見を述べた方もおられました。
 
中外新聞 2013年12月6日
特定秘密保護法 宗教界からも懸念の声
(抜粋引用開始)
 浄土真宗本願寺派光照寺(福岡県春日市)の郡島恒昭・元住職(84)は、戦争中の国家による情報統制の厳しさを身をもって知っている。八幡製鉄所があった北九州を通過する列車の窓に工場群を見えなくする目隠しが設けられていた。
 「博多港に軍艦が寄港したことを話題にすれば取り締まりの対象にされる恐れがある」「国家が何もかも取り仕切る状況で、まさにわれわれの経験した戦争と変わらない」と、"暗黒時代"の再来を危惧する。
(引用終わり)
 
 しかし本山(西本願寺)は、あいかわらず、明確なメッセージは発信していません。
 原発の時もそうでしたが・・・。
 
 これに対し、真宗大谷派東本願寺)は、教団の立場を明確にすることを(特に最近は)いとわなくなっており、特定秘密保護法についても、11月27日には、安倍首相宛に「要望書」を提出し、法案成立後の昨日(12月7日)、宗務総長名による抗議のコメントを発表しています。
 
2013年11月27日 「特定秘密保護法案」の廃案に関する要望書
2013年12月7日 第185回臨時国会における「特定秘密の保護に関する法律」の成立についての宗務総長コメント
 
 宗務総長コメントの一部を引用します。
 
(抜粋引用開始)
 この法律は、私たちの「知る権利」や「表現の自由」を大きく損ない、人の言動を委縮させる危険性をもっており、このたびの審議のあり方からしても、国民が国に対する不信や不安の中に暮らさねばならない社会が生み出されるのではないかと深く憂慮するものであります。そのような社会に、人間の真の豊かさや安らぎはありません。
 一切衆生が救われていく阿弥陀仏の仏国土を願いとする浄土真宗の門徒として、同法律が悪用されることのないよう注視するとともに、一日も早い法律の廃止を強く望みます。
(引用終わり)
 
 他の有力仏教教団からの声明は、残念ながら目についていないのですが、キリスト教系の団体からは、既にいくつか発表されています。
 
2013年11月22日 日本キリスト教協議会
2013年11月22日 日本キリスト改革派教会 大会 宣教と社会問題に関する委員会
 
 また、12月5日には、仏教、キリスト教を中心とした宗教者による緊急集会が行われました。
 
2013年12月5日 戦争する国をめざす秘密保護法に反対し、いのちを守ろう~宗教者緊急集会
 
 おそらく、他にもあったと思われますが、目に付いたものだけご紹介しました。
 
 ところで、以上は「特定秘密保護法」について反対する声明を出した宗教団体でしたが、逆に、推進・擁護を明言している、宗教団体と密接な関連を有する聞社説と書籍、それから政党の声明もご紹介しておきましょう。
 
2013年10月30日 世界日報 社説
秘密保護法案/国家安保に不可欠な法整備だ
2013年12月12日 幸福の科学出版 大川隆法著 『「特定秘密保護法」をどう考えるべきか 藤木英雄・元東大法学部教授の緊急スピリチュアルメッセージ』
2013年11月29日 幸福実現党 特定秘密保護法案の今国会成立を求める」
(抜粋引用開始)
 特定秘密保護法案の是非が大きな議論を呼んでいます。政府・与党は12月6日の今国会会期末までに成立させる方針とのことですが、幸福実現党としても、同法案の早期成立を強く求めるものです。
 先般、中国が、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海防空識別圏を一方的に設定、これに対し、日米両政府が直ちに非難するなど、一触即発の状態にあります。すでに成立した国家安全保障会議(日本版NSC)設置法に基づき、来月には、国家安全保障会議が開催される見通しですが、北東アジア情勢について関係国との連携を深めるためにも、情報漏洩を抑止する特定秘密保護法を成立させなければなりません。秘密保護法制は国際標準でもあり、「スパイ天国」と揶揄される状況を放置することの危険性は増すばかりです。
 同法案については、「知る権利」が侵害されるとしてマスコミが反発していますが、国家の存亡がかかる昨今、国の安全保障か報道の自由か、保護法益を比較すれば、報道の自由に十分配慮しつつも、同法案の成立を急ぐべきことは火を見るよりも明らかです。
(引用終わり)
 
 私のメルマガやブログをお読みの方で、統一教会幸福の科学の信者は多分おられないとは思いますが、何というか、要するに自民党や公明党と同じことを言っているだけじゃないか、ということですよね。
 もしも、創価学会信者にお知り合いがいたら、「とうとう、公明党と幸福実現党が同じ政策を推進するようになったんですってね?」と言ってみてください。さぞ、喜んでもらえるでしょう(その後「絶交状態」となっても私は責任を負いませんが)。
 
 冗談はさておき、その創価学会です。
 既に多くの人が指摘していますが、創価学会の初代会長・牧口常三郎氏は、まさに国家による言論統制の犠牲者そのものであったのです。
 創価学会の公式サイトは、その間の事情を以下のように叙述しています。
 
創価学会公式サイト 創価学会について 初代会長 牧口常三郎 より
(抜粋引用開始)
宗教改革と国家権力の弾圧
 昭和17年冬、自宅にて 日蓮仏法の探求を深めるにともなって、牧口は社会・生活の全般を改革する必要性を感じ、教育法の改革は、その一部であると考えるようになりました。創価教育学会は教育者以外の賛同者も増え、日蓮
仏法の実践を主軸とする、宗教改革の団体となっていきます。
 牧口は高齢にもかかわらず、自ら活動の先頭に立ち、北は北海道から、南は
鹿児島まで足を運んで、一対一の対話を実践。会員は全国に4000人を数えるまでになりました。
 しかし、第2次世界大戦への坂を転げ落ちる日本は、国家神道によって宗教・
思想の統制を図ろうとします。創価教育学会の座談会なども、思想犯の摘発当たった特高特別高等警察)の刑事が厳しく監視するようになりました。
 弾圧を恐れて国家神道を受け入れた日蓮正宗宗門を牧口は厳しく諌め、軍
部権力と敢然と対峙していきます。1943年(昭和18年)7月6日朝、牧口は訪問先の伊豆で、治安維持法違反・不敬罪の容疑で検挙され、同日朝、理事長だった戸田も東京で検挙。ともに逮捕・投獄され、会は壊滅状態となりました。牧口、戸田は、厳しい尋問にも屈せず、信念を貫く獄中闘争を続け、牧口は1944年(同19年)11月18日、創価教育学会創立から14年後のその日、老衰と極度の栄養失調のため、拘置所内の病監で逝去しました。満73歳でした。牧口の思想は、1945年(同20年)に出獄した戸田によって受け継がれていきます。
(引用終わり)
 
 このことと、今回の特定秘密保護法の成立を推進した公明党の姿勢とを対比して、どう考えたら良いのでしょうね?
 
 一つの「解」はこういうものです。
→「二度と国家から弾圧を受けないようにしようとすれば、自ら国家権力の側にを置かねばならない」
 
 あくまでも、いくつも考えられる「解」の一つに過ぎませんから、これが公明党・創価学会の「真意」だと言い募るつもりは全くありません。
 宗教団体・宗教者だからといって、絶対に特定秘密保護法に反対しなければならないと言っている訳でもありません。

 

 ただ、あなた方は、憲法の理念が活かされ、1人1人が個人として大切にされる平和な世界を希求する側に立っているのか?ということを尋ねたいだけなのです。