今晩(2013年12月10日)配信した「メルマガ金原No.1569」を転載します。
なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
予告1/31「死刑制度を考える~裁判員制度5年を前にして~」(和歌山弁護士会)/伊藤真弁護士と考える“死刑”と“憲法”
1月18日(土) 勤労福祉会館プラザホープ 刑事問題対策委員会 所管
→基調講演をジャーナリストの江川紹子さんにお願いしています。
→メルマガ本号でご紹介します。
2月11日(火・祝) 和歌山市民会館小ホール 子どもの権利委員会 所管
→和歌山県との共催で、子どもシェルターを考える企画です(桐蔭高校演劇部が出演してくれます)
基本的に、弁護士会の委員会活動は年度単位で行なわれることが多く(委員の任期が4月1日~3月31日の1年間であったり、予算が年度単位で編成されて執行されるということによるのですが)、年度初めからシンポジウムなどの企画の検討を始め、準備を積み重ねていくと、開催がどうしても年度末に集中してしまう傾向がありますので、困ったものではあるのですが。
さて、今日は、そのうちの1月31日の企画の内容をご紹介します。要約すると、「伊藤真弁護士の講演と映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』(仲代達也主演)上映の2本立で死刑制度を考える集い」ということになります。
以下にチラシの文字情報(表面)を整理してご紹介します。
(引用開始)
死刑制度を考える~裁判員制度5年を前にして~
日 時 2014年1月31日(金)午後6時~9時(午後5時30分開場)
場 所 和歌山県民文化会館小ホール(和歌山市小松原通り一丁目1番地)
内 容
講演 テーマ「死刑制度を考える」
講師 伊藤 真氏(弁護士・伊藤塾塾長)
映画 『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』 上映
対 象 どなたでもご参加いただけます
費 用 無料です
申 込 不要です
主 催 和歌山弁護士会
お問い合わせ先 電話073-422-0852(和歌山弁護士会)
日本に対しては、国際的に、死刑制度の廃止又は停止が求められています。その一方で、世論調査によれば、死刑を容認すると答えた率が8割を超え、裁判員制度が導入された後も、死刑判決が出され、近年も、死刑執行が相次いでいる現状があります。
そもそも、死刑とはどの様な刑罰なのか。できるだけ多くの方々とともに、改めて考える機会をもつため、死刑制度を考える日を開催することといたしました。
今回上映する映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』は、死刑判決を受け、獄中から無実を訴え続けている奥西勝さんの生涯を描いたドキュメンタリーです。
更に、死刑制度に関する問題について説明し、映画では描かれていない、死刑制度の問題点についても情報を提供いたします。
この日、死刑について考えてみませんか。
皆様の御参加をお待ちしております。
(引用終わり)
映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』については、既に今年の5月29日に和歌山市での緊急上映会が開かれ、ご覧になった方もおられることと思いますが、見逃した方も多いでしょうから、是非ご参加いただきたくご案内します。
弁護士・金原徹雄のブログより
緊急上映5/29映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』(in和歌山市)
映画・予告編
映画・公式サイト
映画・概要
(スタッフ)
監督・脚本:齊藤潤一(さいとう じゅんいち)
プロデューサー:阿武野勝彦(あぶの かつひこ)
音楽:本多俊之(ほんだ としゆき)
撮影:坂井洋紀(さかい ひろき)
編集:奥田繁(おくだ しげる)
監督・脚本:齊藤潤一(さいとう じゅんいち)
プロデューサー:阿武野勝彦(あぶの かつひこ)
音楽:本多俊之(ほんだ としゆき)
撮影:坂井洋紀(さかい ひろき)
編集:奥田繁(おくだ しげる)
製作・配給 東海テレビ放送
それから、講師として招かれている伊藤真(いとう まこと)弁護士については、今さらご紹介するまでもない「憲法の伝道師」として知られた方ですが、「死刑問題」の講師と聞いて、少し意外な思いを持たれた方もおられるかもしれません。
(抜粋引用開始)
憲法の中では第13条が一番大切です。「すべて国民は、個人として尊重される」と規定されています。国家のために個人があるのではない。個人のために国家があるということです。そして、ここには、「人はみな同じ」「人はみな違う」という一見相反する2つの意味が含まれています。
まず、「人はみな同じ」の方ですが、このことを徹底することは難しい。凶悪犯人の人権を尊重しろと言えるのかと主張されたりします。でも、たとえ凶悪犯人であっても最低限、裁判を受ける権利を保障しなければなりません。人権を守るには忍耐が必要なのです。
例えば、10人の被告人の中に、9人が死刑に値する凶悪犯で、1人だけ無実の人が紛れ込み、だれが無実の人かわからないとします。そのときあなたが裁判官だったら、全員死刑にするか、それとも全員無罪にするか、考えてみてください。
憲法の「個人の尊重」からいったら当然全員無罪で釈放することになります。これを無罪の推定という言葉で言い表します、1人の無実の人を救うためには、9人の凶悪犯人を釈放して社会に受け入れるリスクを負う覚悟が必要だと言うことです。そうでなければ人権を守れということはできません。
まず、「人はみな同じ」の方ですが、このことを徹底することは難しい。凶悪犯人の人権を尊重しろと言えるのかと主張されたりします。でも、たとえ凶悪犯人であっても最低限、裁判を受ける権利を保障しなければなりません。人権を守るには忍耐が必要なのです。
例えば、10人の被告人の中に、9人が死刑に値する凶悪犯で、1人だけ無実の人が紛れ込み、だれが無実の人かわからないとします。そのときあなたが裁判官だったら、全員死刑にするか、それとも全員無罪にするか、考えてみてください。
憲法の「個人の尊重」からいったら当然全員無罪で釈放することになります。これを無罪の推定という言葉で言い表します、1人の無実の人を救うためには、9人の凶悪犯人を釈放して社会に受け入れるリスクを負う覚悟が必要だと言うことです。そうでなければ人権を守れということはできません。
(引用終わり)
どうでしょう?今年の4月末に伊藤真弁護士が語りおろしたDVD『憲法ってなあに?憲法改正ってどういうこと?』を視聴された方は、伊藤さんが憲法13条に規定された個人の尊重を非常に重視されていたことをご記憶でしょう。伊藤さんの死刑違憲論の根拠も憲法13条なのです。
正直、この時期に弁護士会が伊藤真さんを呼ぶにあたって、テーマが「死刑制度」というのは「もったいない」と思わない訳ではありませんが、考えてみれば、伊藤弁護士の死刑論は、おそらく憲法論になるはずですから、案外、新鮮な切り口から伊藤さんの憲法論が聞けるのではないかと私は期待しているのです。
この意味からも、既に映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』をご覧になった方にも、是非この集いにご参加いただきたいと思います。
「死刑」という側面から「改憲(壊憲)勢力」に立ち向かうという方向もあるのではないかと考えるきっかけになったのは、石破茂自民党幹事長のこの発言でした。
詳細は私の以下のブログをご参照ください。