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白石草さんのウクライナ報告「低線量汚染地域における健康管理と保養」

 今晩(2013年12月11日)配信した「メルマガ金原No.1570」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
白石草さんのウクライナ報告「低線量汚染地域における健康管理と保養」
 
 あらためて確認しておきたいと思います。現に「有効な」日本の法律です。
 
(支援対象地域で生活する被災者への支援)
第八条 国は、支援対象地域(その地域における放射線量が政府による避難に
係る指示が行われるべき基準を下回っているが一定の基準以上である地域をいう。以下同じ。)で生活する被災者を支援するため、医療の確保に関する施策、子どもの就学等の援助に関する施策、家庭、学校等における食の安全及び安心の確保に関する施策、放射線量の低減及び生活上の負担の軽減のための地域における取組の支援に関する施策、自然体験活動等を通じた心身の健康の保持に関する施策、家族と離れて暮らすこととなった子どもに対する支援に関する施策その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 前項に規定する子どもの就学等の援助に関する施策には、学校における学習
を中断した子どもに対する補習の実施及び学校における屋外での運動が困難となった子どもに対する屋外での運動の機会の提供が含まれるものとする。
3 第一項に規定する家庭、学校等における食の安全及び安心の確保に関する
施策には、学校給食の共同調理場等における放射性物質の検査のための機器の設置に関する支援が含まれるものとする。
4 第一項に規定する放射線量の低減及び生活上の負担の軽減のための地域
における取組には、子どもの保護者等による放射性物質により汚染された土壌等の除染等の措置、学校給食等についての放射性物質の検査その他の取組が含まれるものとし、当該取組の支援に関する施策には、最新の科学的知見に基づき専門的な助言、情報の提供等を行うことができる者の派遣が含まれるものとする。
 
(放射線による健康への影響に関する調査、医療の提供等)
第十三条 国は、東京電力原子力事故に係る放射線による被ばくの状況を明ら
かにするため、被ばく放射線量の推計、被ばく放射線量の評価に有効な検査等による被ばく放射線量の評価その他必要な施策を講ずるものとする。
2 国は、被災者の定期的な健康診断の実施その他東京電力原子力事故に係
る放射線による健康への影響に関する調査について、必要な施策を講ずるものとする。この場合において、少なくとも、子どもである間に一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住したことがある者(胎児である間にその母が当該地域に居住していた者を含む。)及びこれに準ずる者に係る健康診断については、それらの者の生涯にわたって実施されることとなるよう必要な措置が講ぜられるものとする。
3 国は、被災者たる子ども及び妊婦が医療(東京電力原子力事故に係る放射
線による被ばくに起因しない負傷又は疾病に係る医療を除いたものをいう。)を受けたときに負担すべき費用についてその負担を減免するために必要な施策その他被災者への医療の提供に係る必要な施策を講ずるものとする。
 
 書くまでもないと思いますが、子ども・被災者支援法(東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律)の一部です。
 この法律を実質的に施行していくための「基本方針」(同法5条)が長らく店晒しになっていたところ、参議院議員選挙が終わったとたん、言い訳じみたパブコメやった上で、ばたばたと10月11日に閣議決定されました。
 
被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針
 
 この基本方針については、パブコメ募集の段階で非常に大きな疑問を感じ、私からも意見を送りましたが、他の多くの方の意見同様、一顧だにされませんでしたパブコメに寄せられた意見の要約に影も形もありませんでした)。
 
子ども・被災者支援法「基本方針案」へのパブコメ募集は本日(9/23)締切!
 
 とはいえ、「基本方針」の変更を行うことは法的にはいくらでも可能であって、そのためにも、先行事例であるチェルノブイリ原発事故に対処したウクライナベラルーシロシアの経験を学ぶことの重要性はいささかも減じていません。
 
 本日(2013年12月11日)、OurPlanet-TVの白石草(しらいし・はじめ)さんが、11月のウクライナ取材の概要を参議院議員会館で報告され、その模様がUSTREAM中継されました。
 
映像1(7分50秒)
映像2(25分42秒)
映像3(2分28秒)
映像4(80分22秒)
 
 白石さんからの報告は、主として子どもたちの教育現場での施策、子どもたちの健康問題を中心に行われました(映像1から映像4の30分ころまで)。
 それに引き続き、東京学芸大学准教授の大森直樹さんが、日本の教育界における子どもの被ばくへの対応の観点から、貴重なコメントを寄せられており(映像4の39分~55分)、その後は質疑応答です。
 非常に有益な報告や意見が聞けますので、是非視聴をお勧めしたいと思います。
 
 以下にOurPlanet-TVに掲載された番組案内を引用します。
 
(引用開始)
 年間20ミリシーベルトを避難基準としている日本。来年4月には、これまで避難指定されていた地域も解除され、帰還を促す政策がとられています。しかし、原子力規制委員会がまとめた報告には、除染以外の被ばく防護策はほとんど記されず、個人線量計の配布や相談員が配置されるだけです。
 こうした状況の下、OurPlanetTVは、チェルノブイリ原発事故の事例を学ぶためウ
クライナに飛び、低線量汚染地域(年間0.5ミリ~5ミリ)において、どのような被ばく防護策が取られているのか、また子どもたちはどんな暮らしをしているのかを取材しました。
 汚染地域での子どもの健康を守るため、教育科学省や教育委員会、学校がど
のような役割を果たしているのでしょうか。特に健康診断や保養システムに焦点を当てて報告します。
◆日時:12月11日16:30~18:30
◆場所:参議院議員会館B109
◆報告:白石草(OurPlanetTV)
◆コメント:大森直樹さん(東京学芸大学准教授、『東日本大震災と教育界』
『福島から問う教育と命』等を執筆)
◆報告概要
・汚染地域における学校支援策(授業時間の短縮/体育のグループ分け/テ
ストの免除)
・健康被害の状況と事例(低線量汚染地域コロステンの学校/一般家庭取材
から)
・公的な保養の仕組み(夏休み/学期中/教育委員会内の保養委員会)
・健康診断とチェルノブイリ障害者認定システム(学校/地域/州/国の役割)
ウクライナにおけるチェルノブイリ法の現状と日本の政策
(引用終わり)
 
 当然、ウクライナでは映像取材もされていると思いますので、いずれ映像作品としてもレポートがWEBにアップしてもらえるのではないかと期待しています。
 
(参考サイト)
ウクライナでの事故への法的取り組み』 
オレグ・ナスビット(ウクライナ科学アカデミー・水圏生物学研究所)、今中哲二(京都大学原子炉実験所)
ETV特集チェルノブイリ原発事故・汚染地帯からの報告(2) ウクライナは訴える』(内容書き出し)