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海渡雄一弁護士の檄文『バーナムの森は動いた』をさらに拡散しよう!

 今晩(2013年12月12日)配信した「メルマガ金原No.1571」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
海渡雄一弁護士の檄文『バーナムの森は動いた』をさらに拡散しよう!
 
 11月21日と12月6日の両日、東京の日比谷野外音楽堂において、秘密保護法廃案を求める「大集会」を2回にわたって開催した「『秘密保護法』廃案へ実行委員会」の呼びかけ5団体は、
 ●平和フォーラム
 ●5・3憲法集会実行委員会(憲法会議)
 ●秘密法に反対する学者・研究者連絡会
 ●秘密法反対ネット
という構成であり、さらに実行委員会参加団体の中には全国労働組合総連合(全
労連)も含まれるなど、現状では、この短期間のうちに結集し得る「最大限」の団体が共に立ち上がったと評価し得ると思います。「連合」はどうした?と言っても仕方がないでしょうしね。
 
 さて、この間、秘密保護法反対運動の先頭に立って獅子奮迅の活動を続けてき海渡雄一(かいどゆういち)弁護士は、日本弁護士連合会秘密保全法制対策本部副本部長の他、様々な顔を持っていますが、よく知られたところでは、福島瑞穂参議院議員の夫(夫婦別姓のため事実婚)、宇都宮健児会長時代の日弁連事務総長といったところでしょうか。
 実は、私が海渡雄一弁護士の名前を印象深く記憶に刻んだのは、海渡さんが、今年の9月に101歳でお亡くなりになった、元灘中学校・高校の国語教師・橋本武さんの教え子の1人であったということを知ったことによります。橋本さんは、中学校の3年間、持ち上がりで1冊の本(中勘助の『銀の匙』)だけを教える国語授業を実践したということで著名な方であり、私は是非その授業を受けてみたかったなと心底思ったものでした。
 
 その海渡雄一弁護士が、特定秘密保護法成立の翌12月7日、「『秘密保護法』廃案へ実行委員会」の肩書付きで発表した文章が注目を集め、「拡散」が続いています。
 実は、私も今日のメルマガ(ブログ)で、遅ればせながら「拡散」の一翼を担おうという訳です。
 本来なら、「全文転載」は、著作者の許諾を要するところですが、内容と文章の目的から判断して、著作者の黙示の承諾があるものと(勝手に)解釈して、以下に全文を引用します。
 
(引用開始)
          バーナムの森は動いた
秘密保護法強行採決安倍政権の終わりの始まりだ!
 
               秘密保護法を廃案へ!実行委員会
                           海渡 雄一
 
1 参議院で法案採決される
 参議院本会議で、法案が可決されました。
 採決結果は、投票総数212、賛成130、反対82でした。
 賛成したのは自民党と公明党。反対したのは、民主、共産、社民、生活、糸数
議員、山本議員などでした。みんなの党は欠席しましたが、一部議員は出席して反対しました(川田さんと寺田さんと真山さん)。維新の会は欠席しました。
 市民の8割が慎重審議を望んでいる中で、日比谷野音に1万5千人が集まり、
全国で抗議集会が続き、数万人の市民が国会を取り巻き、秘密保護法絶対廃案を叫び続ける中での、法案可決です。
 「特別秘密の保護に関する法律案【逐条解説】」という文書が12月5日午前
11時45分に福島みずほ議員の強い要求によって、ようやく開示されました。
 これは、法案の策定段階おそらく公明党との修正協議の前の段階の法案につい
て内閣官房が作成したものと考えられ、合計92頁に及ぶ大部なものです。
 法案の逐条解説を公開して審議していれば、法案の問題点はもっと深く審議で
き、浮かび上がったはずです。作成名義は、内閣官房の作成とされています。
 さらに、内閣と各省庁の間で、この法案の策定の段階で、多くの意見交換が行
われていたことが昨晩わかりました。今のところ人事院と文書のやりとりだけが、公表されています。他の省庁は、各官庁の了解が取れないという理由で、今も不開示なっています。
 このような重要な文書をこれまで秘密にしていたことは、国会軽視として決して許
されることではありません。すくなくとも、このような重要文書について、きちんと国会での審議の時間を確保するべきことは民主主義政治の元での国会運営として、当然のことでした。
 委員会採決は、最後は、全く言葉も聞き取れない、議事録もないような状態での
採決であり、手続的にも違法無効です。
 
2 根本的欠陥法案である
 この法案には根本的な欠陥があります。何が秘密に指定されるかが限定されず、
政府の違法行為を秘密に指定してはならないことも明記されていません。公務員だけでなく、ジャーナリスト・市民も独立教唆・共謀の段階から処罰されます。政府の違法行為を暴いた内部告発者やジャーナリスト、市民活動家を守る仕組みが含まれていません。権威ある国際原則であるツワネ原則にことごとく反しているばかりでなく、ふたりの国連特別報告者とピレー人権高等弁務官からも重大な懸念が表明されています。私たちはこの秘密保護法案の内容も手続も絶対に認めることはできません。
 
3 法案廃止の活動を始めよう
 これからの闘いの方向性について、提起したいと思います。今晩の闘いの力で、
政府の暴走を止めましょう。
 成立した法案は同じ手続で廃止することができます。私たちは、明日から、この
法律の廃止を求める活動を直ちに始めようではありませんか。次の国会には、採決に賛成しなかった多くの政党と共同して、秘密法の廃止法案を提案するための活動を始めましょう。
 
4 弾圧に備えよう
 もうひとつ、大切なことを提起します。
 この法律は、憲法21条、自由権規約19条で保障された表現の自由を侵害
する違憲立法です。この法律が自由権規約19条に違反することは、国連の見解なのです。我々には国際社会が味方してくれています。裁判官も私たちの反対運動を見ていることでしょう。そして、心の内では応援してくれている裁判官も少なくないはずです。
 秘密法違反の被告人は違憲な法律によって起訴されたのですから、絶対無罪
としなければなりません。
 これは、弁護士の仕事ですが、政府があくまで、この法案を施行しようとするなら、
第一号の秘密法違反事件の被告人を弁護するために、1000人の弁護士を組織し、あらかじめ大弁護団を結成しておきたい思います。
 
5 新しい闘いのはじまり
 法案の成立は、私たちの一つの敗北であることは確かです。
 しかし、今日一日の私たちの行動は、政府、国会に私たちの秘密法廃案、安
倍政権NOの怒りをぶつけ、一人一人の市民に秘密法反対の意思を確認する機会となったことと思います。
 まず、私たちは、これだけの多数の市民の反対を押し切って秘密法を成立させ
た政府与党の暴挙を心にしっかりと刻みつけなければなりません。マクベスのバーナムの森は動いたのです。これから、政権崩壊の日が近いことにおびえなければならないのは、勝ち誇ったような顔をしている安倍首相とその取り巻きたちです。
 私たちは、この法律が廃止されるまで、決してあきらめません。明日から、秘密
法のある社会を拒否し、その実質化を食い止めるため、新たな闘いを始めましょう。
(引用終わり)
 
 また、12月9日には、IWJの岩上安身さんによる海渡弁護士へのインタビューも行われました。
 
イントロ動画(冒頭14分だけはサンプルとして無料で視聴できます)
 
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 海渡弁護士の“檄文”に対する全国からの反響は、岩上さんによるインタビューの冒頭で語られています。
 特定秘密保護法反対のために立ち上がった多くの人の気持ちを、海渡さんが座に“代弁”してくれたが故の反響だったのだろうと思います。
 私自身も、海渡さんが提唱されている「第一号の秘密法違反事件の被告人を弁護するため」の1000人の弁護団の一員に加えてもらいたいと考えていますから。
 この「バーナムの森が動いた」は、かなり知られるようになってきたとはいえ、まだまだ知らない人も多いと思いますので、これを読まれた方お1人お1人が、是非「拡散」にご協力いただければと思います。
 
 最後に、知っている方も多いはずですが、「バーナムの森」のいわれを理解していただくために、シェイクスピアの戯曲『マクベス』のあらすじの一部をご紹介しておきます。
 
 スコットランド王を密かに暗殺して王位を簒奪したマクベスが、簒奪をそそのかした魔女たちのもとを再び訪れて予言を求めたところ、魔女たちは亡霊を呼び出し、「バーナムの森が進撃して来ないかぎり安泰だ」と語らせてマクベスを安心させる。ところが、いよいよイングランド軍の助力を得た反乱軍マクベス攻撃に立ち上がると、マクベスのもと「バーナムの森が向かってくる」いう報告が入る。実はイングランド軍が木の枝隠れ蓑にして進軍していたのだが、森が動いているように見えたのである。予言の一つに裏切られたマクベスは自暴自棄となり、最後の決戦を求めて戦場に出て行く。
 
 注目していただきたいのは、マクベスは、正当性を欠いた「簒奪者」として、最後には破滅していく存在だということです。その上、権力欲は人一倍旺盛ながら、3人の魔女のまやかしの予言や妻の唆しに容易に動かされる主体性の薄弱な人間でもあります。
 いよいよ現在の日本の状況に酷似していると言わざるを得ません。
 「バーナムの森が動いた」という比喩には、以上のような意味も含まれている、というのが私の理解です。
 
(参考サイト)
マクベス」 英日対訳 全文
※「バーナムの森」についての魔女の予言は第4幕第1場、「バーナムの森」が動いたとの報告がマクベスにもたらされるのは第5幕第5場です。  

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

(付録)
HK & Les Saltimbanks "On lâche rien" (Japanese subtitles)』
「オン・ラシャ・リアン(あきらめないぞ!)」