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けれど、内田樹氏の“危機感”に共感せざるを得ない

 今晩(2013年12月15日)配信した「メルマガ金原No.1574」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
けれど、内田樹氏の“危機感”に共感せざるを得ない
 
 昨日(12月14日)、ほぼ半日がかりで原発推進を明記する『エネルギー基本計画(案)』を許さない」を書き上げ、今日は今日で、和歌山県第九の会主催による第41回・べートーヴェン交響曲第9番演奏会の裏方をしていたため、ほぼ力尽きた状態であり、メルマガ(ブログ)用のまとまった文章を書いている余力がありません。
 ということで、やや「手抜き」の感は否めませんが、今、私たちがどんな「状況」におかれているのかについての、思想家(神戸女学院大学名誉教授)・内田樹(うちだ・たつる)さんの最近の文章をご紹介することにしたいと思います。
 
内田樹の研究室 2013年12月11日 アップロード
「街場の憂国論」号外のためのまえがき
 
 この文章は、「『街場の憂国論』に」「特定秘密保護法案審議をめぐる一連の書き物をまとめて付録につけることに」した「号外」のための「まえがき」として書かれたもののようです。
 
 「まえがき」の主要部分は以下のとおりです。
 
(抜粋引用開始)
 政権がこれほど強権的に法案採択を強行したのは、まさにこのようなものごとの進方そのものがこれからデフォルトになるということを国民に周知させるためだったからです。
 政体の根幹にかかわる法律、憲法の理念にあきらかに背く法律の強権的な採択
が「合法的だった」という事実そのものが法案以上に安倍政権にとっては「収穫」だったということです。彼らはみごとにそれを達成しました。もう、これからは何でもできる。
 次の国政選挙まであと3年あります。その間に政権は解釈改憲による集団的自
衛権行使(つまりアメリカと共に海外への軍事行動にコミットすること)をできれば実現し、その過程でのアメリカとの交渉や密約をすべて「特定秘密」として完全にメディアからブロックするでしょう。
 多くの人たちは前の民主党政権に対してしたように「自民党が暴走したら、選挙
でお灸を据える」ということができると信じているようです。僕はそこまで楽観的になれません。そのような自由な選挙の機会がもう一度巡ってくるかどうかさえ、僕には確信がありません。
 次の選挙までに日本を戦闘の当事者とする戦争が始まってしまったら、その結果、
国内外で日本人を標的とするテロが行われるようなことがあったら、もう次の選挙はこれまでの選挙のような牧歌的なものではありえないからです。そして、現在の自民党政権は彼らの支配体制を恒久化するシステムが合法的に、けっこう簡単に作り出せるということを、今回の経験で学習しました。
 安倍政権にこれ以上の暴走を許さないという国民の決意は「次の選挙」ではなく、
今ここで、ひとりひとりの現場でかたちにする他ないと僕は思っています。
(引用終わり)
 
※金原注 「まさにこのようなものごとの進方そのものがこれからデフォルトになる」における「デフォルト」の意味が少しとりにくいかもしれません。デフォルト(default)には、金融用語としての「債務不履行」、テニス用語としての「棄権」などの意味があり、基本的には「なにもしない」「なすべきことがなされない」という意味だそうです。また、コンピューター用語として、「ユーザが入力するはずの値に入力が無かった場に使う為に、プログラム側であらかじめ用意しておく値のこと。また、そこから転じて何もしない時に標準的に採用される値・動作などを表す。」(ウイキペディアより)という用法もあるようです。
 以上から、内田さんの上記文章を解釈すると、政権がこれほど強権的に法案採択を強行したのは、まさにこのようなものごとの進方そのものが、これからの標的な政策遂行の手法になるということを国民に周知させるためだったからです」といったところでしょうか。
 
 私もメルマガ(ブログ)において、現在の切迫した危機について色々と書いてきましたが、なかなかここまで思い切ったことは書けないものです。
 「3年後の選挙がある」と思いたい気持ちもどこかにありながら、「それまで持ちこたえられるだろうか?」という弱気が頭をもたげることも事実です。
 しかし、あのナチスですら、1933年に全権委任法(授権法)を議会で通過させるにあたっては、(強権的な手法は用いたものの)ワイマール憲法の改正手続に従ったという外形を取り繕ったのに対し、実質的には憲法の一部効力停止規範であるものを、ただの「法律」制定手続で通過させてしまったのですから、この自民・公明連立政権の方がさらに「悪質」であり、内田さんが「もう、これからは何でもできる」と書かれても、反論のしようがありません。
 今回のタイトルを、「けれど、内田樹氏の“危機感”に共感せざるを得ない」としたのはそういうことです。
 「安倍政権にこれ以上の暴走を許さないという国民の決意は「次の選挙」ではなく、今ここで、ひとりひとりの現場でかたちにする他ないと僕は思っています」という内田さんの「決意」に満腔の賛意を表するとともに、私自身、どうすれば今まで以上に「かたちにする」ことができるか、考えかつ実践していきたいと思います。
 
(参考書籍)
『能はこんなに面白い』 観世清和・内田 樹 小学館
※関連してこのような動画もあります。
 
(弁護士・金原徹雄のブログ から)
元旦に読む『9条どうでしょう』(ちくま文庫) 前編
元旦に読む『9条どうでしょう』(ちくま文庫) 後編
内田樹氏の“グローバリズムによる国民国家解体論”

  http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/26814596.html