今晩(2013年12月28日)配信した「メルマガ金原No.1577」を転載します。
なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
残り2つの企画は既に本メルマガ(ブログ)でご紹介しました。
2014年1月31日(金)午後6時~(和歌山県民文化会館小ホール)
死刑制度を考える~裁判員制度5年を前にして~
2014年2月11日(火・祝)午後1時15分~(和歌山市民会館小ホール)
子どもシェルターるーも開所記念シンポジウム-光り輝く子どもたちの未来-
さて、1月18日に開催するシンポジウムです。
題して「科学的証拠と刑事裁判~和歌山証拠ねつ造事件を契機として~」。
昨年(2012年)8月、以下のようなニュースが和歌山県民を驚かせました。
2012年8月16日 共同通信
和歌山、科捜研職員が証拠捏造か 過去の事件の資料流用疑い
(引用開始)
県警によると主任研究員は、交通事故の自動車運転過失致死容疑などでの捜査で、証拠品の繊維や塗膜片の鑑定結果を上司に報告する際、分析内容を示す図として、実際の鑑定ではなく、過去の鑑定の際に作った資料を流用して添付、決裁を受けた疑いがある。
捏造の疑いがあるのは、2010年5月~12年6月の資料8件。7月初旬に科捜研の同僚が指摘し発覚した。
(引用終わり)
この問題については、和歌山弁護士会も重大な関心をもって見守り、同年9月には、以下のような会長声明を発出しました。
2012年9月12日 和歌山弁護士会 会長声明
和歌山県警科学捜査研究所主任研究員による鑑定書類捏造疑惑に関する会長声明
http://www.wakaben.or.jp/opinion/statement/20120912_kaicho3.html
http://www.wakaben.or.jp/opinion/statement/20120912_kaicho3.html
(抜粋引用開始)
現在、刑事司法は大変革期にある。裁判員裁判を契機とし、また、足利事件などの再審無罪判決を受け、取調べの可視化の範囲を拡大するとともに、供述証拠の過度の偏重から脱却しつつある。刑事司法においては、供述証拠を過度に偏重した事実認定を改め、科学捜査に基づくいわゆる客観証拠によって主要な事実認定を行うことこそ重要であるとされてきているところである。他方で、科学捜査研究所が科学捜査を担っており、科学捜査研究所における鑑定結果が重要な客観証拠であることにも疑いはない。
このように、客観証拠の重要性が叫ばれている中、科学捜査研究所の鑑定という客観証拠につき繰り返し書類の捏造がなされていたとすれば、それは、過去の刑事裁判の事実認定に疑問を生じさせかねない事態であるとともに、刑事司法に対する国民の信頼を完全に失墜させる極めて重大な事態であるというほかない。
そこで、当会は、本件に関し、弁護士等の第三者を参加させた検証組織による徹底した原因究明と、その結果に基づく有効な再発防止策の策定を強く求めるものである。
(引用終わり)
結局、この元主任研究員は、今年の6月13日に執行猶予付きの有罪判決を受けました。
2013年6月13日 スポーツニッポンWEB版
和歌山県警の元科捜研主任に有罪 鑑定データ捏造
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2013/06/13/kiji/K20130613006003870.html
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2013/06/13/kiji/K20130613006003870.html
(抜粋引用開始)
事件の鑑定データを捏造したとして、証拠隠滅と有印公文書偽造・同行使の罪に問われた和歌山県警科学捜査研究所の元主任研究員(50)に、和歌山地裁は13日、懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。
一方で「上司が嫌がらせで鑑定結果に言いがかりを付けてくると考え、それを回避するため不正をした。歪曲が目的ではなく、反省もしている」と執行猶予とした理由を述べた。(略)
(引用終わり)
幸い、基調講演の講師兼パネリストとしてジャーナリストの江川紹子さんに来ていただけることとなり、コーディネーター役の赤木俊之弁護士が今急ピッチでパネルディスカッションの構想を練っているところだと思います。
以下に、チラシの文字情報を転記します。
(引用開始)
シンポジウム 科学的証拠と刑事裁判
~ 和歌山証拠ねつ造事件を契機として~
第1部 基調講演
「証拠ねつ造・改ざん問題にどう対応するか~私の取材ノートから~」
講師 江川紹子氏(ジャーナリスト)
テレビ、報道の場で活躍するジャーナリスト。国際情勢や国内の社会問題、教育問題、人権・平和等に関して、精力的に取材、執筆。近年では、東日本大震災や冤罪事件などの取材、検察の在り方検討会議委員に就任するなど、多方面に活躍中。
主な著書
第1部 基調講演
「証拠ねつ造・改ざん問題にどう対応するか~私の取材ノートから~」
講師 江川紹子氏(ジャーナリスト)
テレビ、報道の場で活躍するジャーナリスト。国際情勢や国内の社会問題、教育問題、人権・平和等に関して、精力的に取材、執筆。近年では、東日本大震災や冤罪事件などの取材、検察の在り方検討会議委員に就任するなど、多方面に活躍中。
主な著書
「坂本弁護士一家拉致・殺害事件」(文藝春秋社)
「オウム真理教追跡2200日」(文藝春秋社)
「特捜検察は必要か」(江川紹子編著)(岩波書店)
「名張毒ブドウ酒殺人事件-六人目の犠牲者」(岩波現代文庫)など
「オウム真理教追跡2200日」(文藝春秋社)
「特捜検察は必要か」(江川紹子編著)(岩波書店)
「名張毒ブドウ酒殺人事件-六人目の犠牲者」(岩波現代文庫)など
第2部 パネルディスカッション
パネリスト
江川紹子氏(ジャーナリスト)
川崎英明氏(関西学院大学法科大学院教授)
小坂井久氏(大阪弁護士会・弁護士)
コーディネーター
赤木俊之(和歌山弁護士会刑事問題対策委員会委員長)
パネリスト
江川紹子氏(ジャーナリスト)
川崎英明氏(関西学院大学法科大学院教授)
小坂井久氏(大阪弁護士会・弁護士)
コーディネーター
赤木俊之(和歌山弁護士会刑事問題対策委員会委員長)
日時
平成26年1月18日(土)
午後1時00分 開場
午後1時30分 開始
(午後4時00分 終了予定)
会場
午後1時00分 開場
午後1時30分 開始
(午後4時00分 終了予定)
会場
シンポジウムの副題として「和歌山証拠ねつ造事件を契機として」としたように、本シンポジウムは、和歌山の事件を契機に企画したのは間違いありませんが、より普遍的な「科学的証拠と刑事裁判」というテーマにどこまで肉薄できる
かと、赤木俊之委員長が日夜(?)頭をしぼっているはずです。
是非、1人でも多くの方にご参加いただき、ともに考える機会にしていただければと熱望しております。