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小林節さんの“集団的自衛権についての意見”が知りたい

 今晩(2013年12月20日)配信した「メルマガ金原No.1579」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
小林節さんの“集団的自衛権についての意見”が知りたい
 
ダイヤモンド・オンライン 2013年7月26日
権力者はやりたい放題、国民の義務ばかりが増える
日本人が知らない自民党憲法改正案の意義とリスク
――小林節慶應義塾大学法学部教授に聞く
(抜粋引用開始)
――集団的自衛権の考え方については、どうですか。
 先にも述べた通り、政府は自国の自衛権の存在を認めています。そうなると、自衛権を持つ独立主権国家が「個別的自衛権」と「集団的自衛権」の両方を持っていると考えるのは、国際法の常識です。
 政府は憲法の立法趣旨に照らして、集団的自衛権を自らの解釈で自制していま
すが、このままだと日本は、他国に攻められたときに自分たちだけで自衛しなくてはいけません。しかし、「襲われたら同盟国が報復にゆく」というメッセージを打ち出せる集団的自衛権は、他国の侵略を牽制する意味においてもメリットがあります。だから、改めて「日本は集団的自衛権を持っている」と解釈を変更するべきでしょう。
 今の日本は海外派兵を自制しているため、自国が侵略されそうなときは同盟国で
ある米国に助けてもらえる一方、米国が侵略されそうなときには助けにいけない。日米安保条約は片務条約になっています。これまで日本は、9条のお陰で日米安保にタダ乗りし、米国の傘下で安心して経済発展に邁進することができた。
 でも、これだけの大国になった今、それでは済まないでしょう。今後、集団的自衛
権を認めれば、日米安保が強化され、日本の領土をより安全に守ることができるようになるはず。
――憲法を改正しなくても、集団的自衛権は現段階でも解釈次第で行使することができるというわけですね。
 できます。ただし、念のため制約を持たせるとすれば、同盟国からの要請だけで海外派兵を決めるのではなく、国連議決とさらに事前に国内で国会決議も行うようにしたほうがいいと思います。
(引用終わり)
 
東京新聞 2013年12月13日
秘密保護法 言わねばならないこと】
(1)権力者の責任隠す 憲法学者 小林 節氏
(抜粋引用開始)
 秘密保護法を成立させた安倍政権集団的自衛権の行使容認に突き進むだろう。選挙で得た多数議席を背景に国民投票に委ねることなく、憲法を骨抜きにする考えだ。同盟国である米国のために、自国が攻撃を受けていないのに地球の反対側でも付き合う義務が生じる。世界の警察官を辞めたがっている米国が肩代わりを期待している。私は改憲論者だが憲法を変えるかどうかは国民投票で決めなくてはならないはずだ。究極の解釈改憲である集団的自衛権の行使は断固として反対だ。
(引用終わり)
 
 以上は、改憲論者(ご自身は「護憲的改憲論者」と自称)として名高い小林節(こばやし・せつ)慶應義塾大学法学部教授のインタビュー構成記事2つ、参議院議員選挙後に行われた7月のダイヤモンド・オンラインによるインタビューと、特定秘密保護法成立後の今月(12月)、東京新聞に掲載されたインタビュー構成記事です。
 
 今年の春頃までは、憲法96条(改正規定)先行改憲の是非が、夏の参議院議員選挙の争点になることが当然のように語られていましたが、そんな風潮を逆転させ、「立憲主義」という概念を国民のかなりの層に浸透させることに大きな貢献をされたのが小林教授でした。
 私は、その頃から、「96条」の次は「集団的自衛権」が焦点になると予想し、小林教授のその点に関する意見を知りたいと思っていたところ、目についたのが、上記ダイヤモンド・オンラインによるインタビューであった訳で、正直がっかりしました。
 
 その後の特定秘密保護法問題について、小林教授の意見がどうかのフォローは正直出来ていなかったのですが、12月13日付の東京新聞に上記記事が掲載され、一読して「心強い」と思いつつも、7月の意見との整合性はどうなっているのだろう?と頭をひねったものです。
 もっとも、ダイヤモンド・オンラインのインタビューでも、上に引用した部分に引き続き、「いっそ憲法をすっきり改正して、(1)「侵略戦争はしない」、(2)「ただし独立主権国家である以上、侵略を受けたら自衛戦争はする」、(3)「そのために自衛軍を持つ」、(4)「国際国家として国際貢献もするが、それには国連決議の他に事前の国会決議も必要とする」と明記すればいいのではないか」と述べた部分もあり、これって小沢一郎氏の持論と一緒では?(国連の集団安全保障措置なら認める)、しかも、これは普通に言うところの「集団的自衛権の行使」とは違うのでは?などとも思われ、どうもすっきりしません。
 
 いずれにしても、インタビュー記事、取材構成記事などは、取材する側がどういう風にまとめるかによって、相当違った印象を受けることがあるので、にわかに即断することは避けるべきでしょう。
 出来れば、この問題に絞った小林節教授へのロングインタビューをどなたかに(岩上安身さんが一番可能性があるだろうか)お願いしたいものだと思っているのです。
 

 

 とにかく、「改憲して自衛権行使容認を明文化すべき」という人であっても、立憲主義、法治主義を無視しようとしている安倍政権の企て(解釈改憲、立法改憲)を絶対に許さないという統一戦線に1人でも多く結集してもらわねば、という問題意識からすれば、小林教授を取り上げた12月13日付の東京新聞の記事はやはり「心強い」ものでした。