今晩(2013年12月21日)配信した「メルマガ金原No.1580」を転載します。
なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
アジアプレス・ネットワーク 2013年10月16日
原発事故「自主避難者」たちは訴える
原発事故「自主避難者」たちは訴える
(引用開始)
2013年9月17日
本日、福島第1原発事故により関西に避難してきた被災者80名(27世帯)が、国及び東京電力に対して、損害賠償請求訴訟を大阪地裁に提訴しました。
この裁判の目的は、福島第1原発事故によって被災したすべての人たちが、事故前の「ふつうの暮らし」を取り戻すために、国及び東京電力の「責任」を明らかにし、「個人の尊厳」を回復することです。
本件事故は、2年6ヶ月を経過した現時点においても、収束の目途すら立たず、福島県からの避難者だけでも15万人を超え、福島県以外からの避難者も加えれば、さらに多くの人たちが放射能被曝から避難することを余儀なくされています。また、放射能汚染地域に滞在する人たちは、日々放射能被曝による健康被害の不安の中での生活を強いられています。とりわけ、放射能に脆弱な子どもたちは、避難元においては、従前のような自然と触れあいながらの生活を奪われ、外で遊ぶことも制限されるなど被曝を意識しながらの行動を強制され、避難に伴っては、多感な時期に、多くの友人や恩師、母子避難では父親との別離を強いられています。
日本国憲法は、すべての国民が「恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利」を有することを確認し、個人の尊厳を基本理念として、幸福追求権、生存権を始めとする人権を保障し、国はこれを実現する責務を追っています。また、子どもの権利条約によって、子どもの生存及び発達を可能な最大限の範囲で確保する責務を負っています。さらに、国内強制移動に関する指導原理に従って、国内避難民に対して、すべての段階における恒久的解決を促進する責務を負っています。昨年6月、子ども被災者支援法が成立しました。しかし、1年2ヶ月以上経過した現時点においても、この法律を具体化するための基本方針が策定されず、ようやく基本方針案が提案されましたが、被災者の意見を十分に反映されたものとは到底言えません。
私たちは、この裁判を通じて、放射能被曝から「避難する権利」を確立し、避難した人も、残った人も、また帰還した人も、みんな同じように、本件事故前の「ふつうの暮らし」を取り戻し、「個人の尊厳」が回復される必要かつ十分な支援策が実施されることを裁判所そして社会に訴えかけます。私たちの裁判に対する市民の皆さんの暖かいご支援をお願いします。
以 上
この裁判の目的は、福島第1原発事故によって被災したすべての人たちが、事故前の「ふつうの暮らし」を取り戻すために、国及び東京電力の「責任」を明らかにし、「個人の尊厳」を回復することです。
本件事故は、2年6ヶ月を経過した現時点においても、収束の目途すら立たず、福島県からの避難者だけでも15万人を超え、福島県以外からの避難者も加えれば、さらに多くの人たちが放射能被曝から避難することを余儀なくされています。また、放射能汚染地域に滞在する人たちは、日々放射能被曝による健康被害の不安の中での生活を強いられています。とりわけ、放射能に脆弱な子どもたちは、避難元においては、従前のような自然と触れあいながらの生活を奪われ、外で遊ぶことも制限されるなど被曝を意識しながらの行動を強制され、避難に伴っては、多感な時期に、多くの友人や恩師、母子避難では父親との別離を強いられています。
日本国憲法は、すべての国民が「恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利」を有することを確認し、個人の尊厳を基本理念として、幸福追求権、生存権を始めとする人権を保障し、国はこれを実現する責務を追っています。また、子どもの権利条約によって、子どもの生存及び発達を可能な最大限の範囲で確保する責務を負っています。さらに、国内強制移動に関する指導原理に従って、国内避難民に対して、すべての段階における恒久的解決を促進する責務を負っています。昨年6月、子ども被災者支援法が成立しました。しかし、1年2ヶ月以上経過した現時点においても、この法律を具体化するための基本方針が策定されず、ようやく基本方針案が提案されましたが、被災者の意見を十分に反映されたものとは到底言えません。
私たちは、この裁判を通じて、放射能被曝から「避難する権利」を確立し、避難した人も、残った人も、また帰還した人も、みんな同じように、本件事故前の「ふつうの暮らし」を取り戻し、「個人の尊厳」が回復される必要かつ十分な支援策が実施されることを裁判所そして社会に訴えかけます。私たちの裁判に対する市民の皆さんの暖かいご支援をお願いします。
以 上
(引用終わり)
弁護士であり、ましてや、今のところ名前だけとはいえ、上記訴訟の弁護団の一員でもある私が言うのも何ですが、訴訟の当事者になるということは、そのこと自体で非常にエネルギーを消耗するものです。ましてや、本件のような世間の耳目を集める訴訟にあっては、必ずしも好意的な「応援」「激励」だけが当事者に寄せられるものでもないだろうと想像されます。
そんな中、訴訟の原告となるだけではなく、対外的に「名前を出す」こと、ましてや「代表」となることには、相当な「覚悟」と「使命感」が必要だと思います。
原発賠償関西原告団代表を引き受けられた森松明希子さんは、2人のお子さんを連れて郡山市から母子避難された方ですが、自主避難者の置かれた状況を少しでも多くの人に理解してもらおうと、様々な機会をとらえて講演活動などもされています。
大学(私の母校でもありますが)公式サイトに掲載された告知から一部をご紹介します。
(抜粋引用開始)
大阪市立大学商学部は、原発避難者講演会(第2弾)を開催します。平成23年年3月11日の東日本大震災発生から3回目の冬を迎えました。しかし、福島第一原発では汚染水問題など、およそ「収束」したとはいえない 状況が続いています。原発事故で避難をしている方々は、今も14万人以上にのぼります。一方、時間の経過とともに、福島の事故の記憶が「風化」し つつあるという危惧も聞かれます。
私たちは、震災発生から2年4ヵ月の7月11日、原発事故で大阪に避難してこられた2人の方々を本学にお招きし、講演会を開催しました。その模様は、新聞、ラジオ、テレビで報道され、大変盛況でした。今回はその第2弾です。第1弾のあと、関西への避難者たちは東京電力と国を相手どって、 訴訟を提起しました(9月)。今回は、そのことに焦点を当てたいと思います。
発災から4年目を迎えようとするいま。私たちの身近にいる当事者の声をあらためて受け止め、原発事故の被害が継続中だという事実を、ぜひ感じ とっていただきたいと思います。
私たちは、震災発生から2年4ヵ月の7月11日、原発事故で大阪に避難してこられた2人の方々を本学にお招きし、講演会を開催しました。その模様は、新聞、ラジオ、テレビで報道され、大変盛況でした。今回はその第2弾です。第1弾のあと、関西への避難者たちは東京電力と国を相手どって、 訴訟を提起しました(9月)。今回は、そのことに焦点を当てたいと思います。
発災から4年目を迎えようとするいま。私たちの身近にいる当事者の声をあらためて受け止め、原発事故の被害が継続中だという事実を、ぜひ感じ とっていただきたいと思います。
(引用終わり)
今回も、前回に引き続き、環境政策論、環境経済学が専門で、3.11以降、原発賠償問題の研究を続けておられる除本理史(よけもと・まさふみ)教授とそのゼミ生が中心になって準備されたようであり、あらためて敬意を表したい
と思います。
なお、IWJによる中継は「期間限定配信」ですが、本部ではなく、IWJ大阪のようなローカルの映像は比較的視聴できる期間は長いものの、やはり出来るだけ早めに視聴されることをお勧めします。
2013/12/19 【大阪】原発避難者講演会 第2弾─講師 森松明希子さん
冒頭~14分 森松さん一家をフューチャーしたTV報道番組(毎日放送)の上映
14分~46分 森松明希子さんの講演
48分~75分 樫葉涼子弁護士(原発賠償関西弁護団)からの解説
75分~85分 除本教授による補足説明と質疑応答
水道水から放射性物質が検出されたというニュースに接しながら、それ以外に飲むものがなく、3歳の息子や5か月の娘に水道水を飲ませざるを得ないという状況に追い込まれたら、あなたは何を考え、後々それをどう振り返るでしょうか?
当事者が語らねば伝わらない真実というものがあるということを、避難されてきた方や福島にとどまっておられる方のお話を伺うたびに痛感します。
皆さまも、是非視聴されますように。
(付記)