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忘れてはならない画像がある(2013年11月25日・自民党本部)

 今晩(2013年12月25日)配信した「メルマガ金原No.1584」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
忘れてはならない画像がある(2013年11月25日・自民党本部)
 
 今日(2013年12月25日)の安倍晋三首相との会談を踏まえ、仲井真弘多(なかいま・ひろかず)沖縄県知事は、名護市辺野古沿岸の埋立免許申請を承認する意向を表明する見通しと報じられています。
 
共同通信 2013年12月25日 17時31分
沖縄県知事、首相回答を評価 埋め立て承認の方向
 
 そのこと自体は既に「予想」されていたことではありますが、「21世紀の琉球処分」とも評される安倍政権による強権的な手法が、日本と沖縄(琉球)との関係に決定的な亀裂を与えつつあるということに無自覚であることは許されないでしょう。
 
 まだ、仲井間知事の意向が明確ではなかった今月初旬(12月5日)の段階で、佐藤優氏は、ハフィントン・ポスト日本版に、タイトルからしてそのものずばりの記事を書いていました。
 
佐藤 優 21世紀の「琉球処分」
 
(抜粋引用開始)
 このまま中央政府・自民党の無定見な政策を継続すると、流血の事態に至る。そして、日本の国家統合が崩れる。沖縄で現在進行している政治過程が、国際基で見た場合に民族問題であるという自覚を持つことが焦眉の課題であると私は考えている。
 さて、自民党の石破茂幹事長は、11月29日付ブログで「沖縄における厳しい世
にどう真剣かつ誠実に向き合うのか。私は現地の新聞に『琉球処分の執行官』とまで書かれており、それはそれであらゆる非難を浴びる覚悟でやっているので構わない」と述べた。石破氏は沖縄との関係で自らが21世紀の「琉球処分官」の機能を果たしている現実を正確に認識しているようだ。
(略)
 このような沖縄の現状が、全国紙を通じてはまったく伝わってこない。同じ英語を
いても、連合王国(イギリス)とアイルランド共和国の情報空間がまったく異なるのと同様の状態が、日本と沖縄の間で生じているのである。これも民族問題の典型的な特徴だ。
(引用終わり)
 
 私自身は、(脳裡をかすめることはあっても)「流血の事態」という表現は使いたくないと思っています。
 しかし、結果として安倍政権の「やりたい放題」を阻止できなければ、どんどんと想像したくない「事態」に向かって行ってしまうのではないかと、心の底から恐れています。
 
 場合によっては「破局」に至るかもしれない扉を開いた記者会見を思い出しましょう。
 2013年11月25日に自民党本部で開かれた石破茂幹事長による記者会見です。
 
 その冒頭発言は以下のようなものでした。
 
(引用開始)
 先程9時から、私と沖縄県選出自民党の5名の衆参両院議員の皆さん方との会合を開かせていただいた。結果、普天間基地の危険性を一日も早く除去するために、辺野古移設を含むあらゆる可能性を排除しないということで一致をいたしました。私どもとして、これを受けて、普天間基地の危険性の一日も早い除去のために、沖縄の国会議員とさらに連携を密にしながら、このことの実現のために全力を尽くしてまいります。
(引用終わり)
 
 自民党のホームページでこの記者会見時の「遠景」の画像を探したのですが、残念ながら見当たりませんでした。
 おそらく多くの方は一度はご覧になった方が多いはずですが、私が「忘れてはならない画像」として記憶を喚起したいと考えている画像は以下のサイトに掲載されていますので、しっかりと記憶に留め、できれば画像を保存していただければと思います。
 
YOMIURI ONLINE 11月26日 ニュース写真
沖縄県関係の自民党国会議員5人(右から比嘉、宮崎、国場、島尻、西銘の各氏)とともに記者会見に臨む石破幹事長(左)(25日午前、自民党本部で)=羽尻拓史撮影
 
毎日新聞 11月25日
辺野古移設容認について会見する自民党の石破茂幹事長(左)と沖縄選出国会議員5人(奥)=自民党本部で2013年11月25日午前10時18分、小山由宇撮影
 
朝日新聞デジタル 11月25日
石破茂幹事長(左端)との会談後、会見に同席した沖縄県地盤の自民党所属議員。右から、比嘉奈津美氏、宮崎政久氏、国場幸之助氏、島尻安伊子氏、西銘恒三郎氏=25日午前10時32分、東京・永田町の党本部、越田省吾撮影
 
朝日新聞デジタル 11月25日
石破茂幹事長(左端)との会談後、会見に同席した沖縄県地盤の自民党所属議員。右から、比嘉奈津美氏、宮崎政久氏、国場幸之助氏、島尻安伊子氏、西銘恒三郎氏=25日午前10時34分、東京・永田町の自民党本部、越田省吾撮影
 
 この記者会見の席上「さらし者」になった5人の国会議員の内心がどうであったのか、それは分かりません。
 しかし、選挙の際に彼らに投票したか否かにかかわらず、もしも私が沖縄の人間であれば、公約を反故にした議員に対する非難は当然として、それよりも何よりも、「石破茂と自民党は絶対に許さない」とかたく心に誓うでしょうね。
 12月25日、5人の沖縄選出自民党国会議員、自民党県連に続き、どうやら仲井真知事も陥落したようだという報道に接したこの日、この写真を繰り返し脳裡に焼き付けるべきは、実は私たち本土の人間なのだと思い、今日のメルマガ(ブログ)を書いています。
 皆さんはこの写真を見て何を感じますか?
 これは、安全保障や外交や環境の問題ではありません。ましてや、アメリカや中国との距離感の問題でもありません。人間としての「尊厳」「名誉」が否定されたという痛み、悲しみ、怒りなのだと私は思います。
 これはどう取り繕うこともできません。
 このような政策を平然と強行する政権を打倒するために1人1人が力を尽くす以外に選択肢はありません。
 私たち本土の人間にとってこそ、「忘れてはならない画像がある」というのはそういうことです。