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私たちの目標は「国会事故調報告書」を陳腐化させることなんです(石橋哲さんに聞いた)

 今晩(2013年12月27日)配信した「メルマガ金原No.1586」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
私たちの目標は「国会事故調報告書」を陳腐化させることなんです(石橋哲さんに聞いた)
 
 今年(2013年)の9月20日に、このメルマガ(ブログ)で書いた以下の記事をご記憶でしょうか?
 
「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」が目指すもの
 
 3.11が発生した2011年の12月、我が国で初めて、法律によって調査権限を与えられ、完全に独立した事故調査委員会である「東京電力福島原子力発電所故調査委員会」(略称「国会事故調」)が発足し、翌2012年7月に衆参両院議長に対して報告書を提出し、その任務を終えて解散しました。
 その後、国会事故調において調査統括補佐として参加していた石橋哲(いしばし・さとし)さんが中心となって「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」が立ち上げられ、ストーリーブックや「わかりやすいイラスト動画」をWEB上で公開するとともに、輪読会や勉強会、講演活動などに積極的に取り組んでおられることをご紹介したものです。
 
 上記記事にも引用しましたが、「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」の成りちと理念を説明した「プロジェクトについて(ABOUT US)」を再度掲載しておきます。
 
(引用開始)
 2012年9月に、「わかりやすい国会事故調プロジェクト」を発足して活動を始めまた。当時プロジェクトに参加したのは、国会事故調報告書作成に従事した若手プロ集団と、大学生、社会人の18名です。
 その後、2013年6月に、「わかりやすいプロジェクト 国会事故調編」と団体名を
め、8名の事務局メンバーを中心に活動を続けています。2013年9月時点で、300名以上の方にご参加いただいています。
 私たちは、おそらく将来も世界史の教科書に残る福島原発事故の教訓から学ことが、これからの日本のために、とても大切なことであると考えています。私たちは、原発事故の事実をまっすぐに見つめ、議論と対話を積み重ねることで、未来にる選択と意思決定を行いたいと考える良識ある人々が繋がることが、日本の来にとって、とても大切なことだと考えています。
 私たちは、以下の5つの問いに対する対話が、日本中で行われることを願ってい
す。
 
福島原発事故では何が起こったのか。
福島原発事故の教訓とは何か。
何を残し、何をどう変えていかなければならないのか。
どれだけの選択肢があり、選択肢がもたらす価値は何か。
短期的な視点と、長期的な視点で、私たちは個々人として何をするのか。
 
 私たちは、最初の2つの問い「福島原発事故では何が起こったのか」「福島原事故の教訓とは何か」を、一人でも多くの方たちと共有するために、情報発信や対話の場づくりを始めています。対話に参加して欲しいのは、未来を担う中学生、高校生、大学生、社会人です。
 国会事故調報告書はこう述べています。「福島原子力発電所事故は終わって
いない。不断の改革の努力を尽くすことこそが国民から未来を託された国会議員、国民一人一人の使命であると当委員会は確信する。」
 一人一人の使命とは何かを一緒に考えませんか。
(引用終わり)
 
 さて、その「わかりやすいプロジェクト」を立ち上げた石橋哲さんが、マガジン9からインタビューを受け(この人に聞きたい)、2回にわたって同サイトに掲載されました。
 聞き手は、マガジン9に「立憲政治の道しるべ」を連載中の南部義典(なんぶ・よしのり)さん(慶應義塾大学大学院法学研究科講師)です。
 
2013年12月18日up この人に聞きたい 石橋哲さんに聞いた
(その1)国会事故調の報告書は、国民全体の財産
2013年12月25日up この人に聞きたい 石橋哲さんに聞いた
(その2)国会は事故調報告書をどう受け止めてきたか
 
 ところで、私は、9月20日のメルマガ(ブログ)の最後をこういう文章で締めくくりました。
 
(引用開始)
 「わかりやすいイラスト動画」を視聴したら、「もっと詳しく知りたい」と思いませんか?
 「わかりやすい国会事故調報告書」を読めば、「実際の報告書にはどう書いてあるのだろう?」と、報告書本体を読んでみたくなりませんか?
 そこまで来れば、あとは1人1人が自ら「知りたい」という欲求に導かれて、必要な資料を探索しようとするでしょう。
 そして、やがて「国会事故調報告書」が金科玉条のバイブルではなく、一つの「通過点」を示す参考資料に過ぎないということに気がつくでしょう。
 そこまで来てこそ、本当に、
何を残し、何をどう変えていかなければならないのか。
どれだけの選択肢があり、選択肢がもたらす価値は何か。
短期的な視点と、長期的な視点で、私たちは個々人として何をするのか。

という問いを自らの問題として考える人々が育っていくことになるのだと思います。
(引用終わり)
 
 石橋哲さんへのインタビュー全文は、是非リンク先のマガジン9でお読みいただきたいのですが、上に引用した私の問題識から、特に注目した部分を抜粋してご紹介しようと思います。
 
(抜粋引用開始)
 今まで原子力の問題というと、もともと詳しい人が、自分と同じような意見の人に向けて話をするということが多かったように思います。でも、それだと世の中は変わりません。もはや我々は、日本に住むという選択をする限り原発や使用済み核燃料というリスクと真正面から向き合っていくしかないわけですから、一人ひとりが専門家にわかりやすく教えてもらって、理解する。そしてその上で、例えば国会議員に「この問題についてどう考えますか、(その考えを実現するために)いつまでにどんなことを、どんな段取りで誰がやるんですか」と聞く。そして1年くらい経ったらまた「1年前はこうおっしゃってましたけど、どうなりましたか」と確認する。そうした繰り返しをしていくことで、世の中は動くのかもしれない、というふうに思っています。
(略)
 いや、でも「国会事故調編」としては私たちの期限は切りたいと思っています。というか、私たちの目標は「早く報告書を陳腐化させること」なんですよ。
 報告書がいつまでも「バイブルのような存在である」ということは、そこに書かれていることがいつまでも実現されていないという証左ですから。「なに当たり前のこと言ってんの」と言われるようにならないと。その意味で、自滅に向かって突っ走るというか(笑)、「報告書はもういらない。おまえらもういいよ」と早く言われるようになりたい、と願っているんです。
(略)
 私は、こうした独立した第三者委員会がもっとたくさんできて、さまざまな問題に関する資料収集と調査分析・選択肢提示はそこが担当する、議員はそれをもとにした判断だけを担うということになればいいと思っています。それによって、さまざまな利害関係から離れた客観的な調査が可能になるし、議員も本来的な政治活動にもっと時間が割けるのではないでしょうか。
(引用終わり)
 
 ところで、マガジン9に掲載された経歴紹介によると、石橋さんは「1964年和歌山県生まれ」だとか。和歌山県のどちらの方のご出身なんだろう?
 
 最後に、9月20日の「『わかりやすいプロジェクト 国会事故調編』が目指すもの」を書いた時にはまだ完成していなかった「わかりやすいイラスト動画(英語編)」をご紹介したいと思います。日本語を母語とせず、英語の分かる友人・知人に視聴をお勧めいただければと思います。
 

 

国会事故調ってなに? What is the NAIIC?
 
http://youtu.be/Ki6vCEhjAZc(2分11秒)
原発事故は防げなかったの? 
Was the nuclear accident preventable?
 
http://youtu.be/DJVRBkMPlz4(2分52秒)
原発の中でなにが起こっていたの? 
What happened inside the nuclear plant?
 
http://youtu.be/K4IrZY269ro(2分27秒)
事故の後の対応をどうしたらよかったの? 
What should have been done after the accident?
 
http://youtu.be/dtJ8gvnKp-E(3分15秒)
被害を小さくとどめられなかったの? 
Could the damage be contained?
 
http://youtu.be/O-ghbTy_HvY (3分02秒)
原発をめぐる社会の仕組みの課題ってなに? 
What are the issues with nuclear energy?
 
http://youtu.be/0IHL_GIgv1o(2分38秒)