wakaben6888のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します

2014年・正月に読みたい本 付・「あしたの朝 目がさめたら(弁護士・金原徹雄のブログ 2)」のこと

 今晩(2013年12月30日)配信した「メルマガ金原No.1590」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
2014年・正月に読みたい本 付・「あしたの朝 目がさめたら(弁護士・金原徹雄のブログ 2)」のこと
 
(注)以下の文章は、もともと私の第2ブログ「あしたの朝 目がさめたら(弁護士・金原徹雄のブログ 2)」のために書き始めたものですが、諸般の事情(主には時間の都合)により、「メルマガ金原」及び「弁護士・金原徹雄のブログ」にもそのまま掲載することとしました。
 
 ICTに特別の知識を持っているわけでもない普通の人がブログを始めるのが珍しくなくなってきた頃、ブログとはインターネット上に公開する「日記」だと理解している人が結構いたように思います。私が、電子メールは愛用しながら、なかなかブログに手を出さなかったのも、そういう先入観が頭の片隅にあったからかもしれません。  
 自分の身辺雑記を書くのが嫌いというわけではありませんが、強いて全世界の人に読んでもらいたいとは思いませんからね。
 それが、ひょんなことから、「毎日配信」しているメルマガをブログに転載すれば、「毎日更新」するブログが簡単にできるということに気がつき、「wakaben6888のブログ」による試行を経て、今年(2013年)1月から「弁護士・金原徹雄のブログ」を本格稼働させたという次第です。
 
 ところで、この「あしたの朝 目がさめたら(弁護士・金原徹雄のブログ 2)」は、「メルマガ金原」からの転載以外の記事が書きたくなることもあるだろうから、ということで今年の2月から始めたものですが、なかなかこちらの第2ブログまで書いている時間はなく、1か月以上「更新ゼロ」という月もありました。
 また、メルマガから転載する「弁護士・金原徹雄のブログ」と比べて、特に内容的な特色がある訳でもなく、いわば「弁護士・金原徹雄のブログ 補遺」といったような、落ち穂拾い的な位置付けにとどまっています。
 その当然の結果として、実訪問者数やページアクセス数は、平均してメインブログの10分の1以下といったところです。
 
 そのような中、「人気記事」(過去2週間のページアクセス数が多かった記事)にずっとランクインし続けている記事があります。
 もともと、2010年11月に「9条ネットわかやま」メーリングリストに投稿した文章をブログに転載したものですが(今なら『「尖閣問題」とは何か』(岩波現代文庫)を含めて「国民必読の4冊」とするところです)、ずっと長期安定して一定のアクセスがあります。
 あるサイトで紹介されて一時にアクセスが集中するということは他の記事でも希にあることですが、私が書いた記事の中では、「五日市憲法草案を称えた皇后陛下の“憲法観”」(弁護士・金原徹雄のブログ)と並ぶロングセラーの双璧です。
 
 ということで、2013年もあと2日となった今日(12月30日)、「あしたの朝 目がさめたら」のために(というわけでもありませんが)新しい本を買ってきました。
 だいたい、最近、「本を買う」といえばネットで注文することが圧倒的に多く(特に送料無料となって以来)、書店まで出向いて本を買うことが実に少なくっています。
 午前中、秋の彼岸以来の両親の墓参りを済ませた後、お寺の近くのショッピングモール内にある大型書店(今のところ売り場面積は和歌山県一でしょう)に立ち寄り、文庫本ばかり4冊購入したのですが、その際、財布の中に使いかけの図書カードがあったのでまずそれを使い、不足分を現金で払おうと思い、カードと1万円札を店員に渡したところ、「図書カードだけで足りますが」と店員に指摘され、この前この書店で図書カードを使って以来、何ヶ月も来ていなかったことにあらためて気がつきました。
 「何か面白い本はないか」と思いながら本屋の書棚を眺めたり、立ち読みしたりするという楽しみから遠ざかって久しいのだなという感慨が去来したりしました。
 
 さて、何しろ今日買ったばかりなので、その感想を書くわけにはいきません。
 できたら正月休みに読んで、ブログに感想をアップできたらいいな、という「予告編」とご理解いただければ幸いです。以下に、購入した4冊の文庫本の概要をご紹介します(私が「身辺雑記」を書くと、こういう調子になります)。
 
角川ソフィア文庫 2013年12月25日 初版発行 440円+税
『ビギナーズ 日本国憲法』 角川学芸出版・編

 

 

 以前、メルマガ(ブログ)に「読むためのテキスト『日本国憲法』2種類(小学館&講談社学術文庫)のご紹介」という記事を書きましたが、いわばその「続編」のような文庫本です。

 収録法令は、
  日本国憲法(総ルビ、脚注・補注付き)
  大日本帝国憲法(総ルビ)
  皇室典範(総ルビ)
の3つであり、講談社学術文庫版(300円+税)より少ないのですが、こちらの方の「ウリ」は、「文庫版で唯一、『皇室典範』を収録」(帯にそう書いてあります)と上質紙使用(写真はないが)ということなのですが、それ以上に私が評価するポイントは、日本国憲法のみならず、大日本帝国憲法にも全ての漢字にフリガナが振られていることです。これは、小学館版や講談社学術文庫版にはない大きなメリットです。残念なことですが、明治時代に書かれた漢字・カタカナ・文語体(漢文訓読体が基本)の法令を正確に読める人が非常に少なくなっていますから、大きめのポイントで印刷して総ルビとしている本書は貴重だと思います。
 
岩波現代文庫 2013年9月18日 第1刷発行 740円+税
「あたらしい憲法のはなし 他二編 付・英文対訳日本国憲法」 高見勝利・

 

 

 これも、文庫オリジナルによる編集ものです。
 収録された歴史的文献(小冊子)は以下の3点です。
「新しい憲法 明るい生活」(1947年5月3日 憲法普及会発行)
※2000万部印刷されて日本中のほぼ全世帯に配布されたというのがすごいですね。お、「新しい憲法 明るい生活」の全文(テキスト)は国立国会図書館サイト内「日本国憲法の誕生」コーナーに掲載されています。
「あたらしい憲法のはなし」(1947年8月2日 文部省発行)
※これは復刻版を読まれた方も多いでしょうね。新制中学1年生の社会科用教科書として文部省が発行したもので(慶応大学の浅井清教授が主として執筆)、朝鮮戦争勃発(1950年)にともなう「逆コース」により、1952年3月をもって使用が終わったものです。なお、私はメルマガ(ブログ)で「『あたらしい憲法のはなし』と“立憲主義”(運動の再構築のために)」を書き、同書に「立憲主義」をうかがわせるような説明が少しも見当たらないことを難じたのですが、岩波現代文庫版の編者・高見勝利氏上智大学法科大学院教授)はこの点について以下のように述べておられます(同書153頁)。全面的に賛同できるかはともかく、注目しなければならない意見だと思いました。「なお、『はなし』については、憲法が国家権力を縛るものだという立憲主義の視点が鮮明でないとの指摘がなされている。しかし、『はなし』の企画・執筆当時においては、子供たちがやがて成人したとき、憲法に表明された「民主主義」を使いこなすまでに習熟していることこそが最重要の課題であったはずである。したがって、その記述に『立憲主義』の視点が欠けているとの批判は望蜀に外ならないであろう。後者の視点が徐々に浮上するのは、『戦後民主主義』が『既に生きられた時代』として語られるようになるオイルショック後の1970年代半ば以降だからである
 なお、「あたらしい憲法のはなし」については、青空文庫全文が収録されています。
 ところで、余談ですが、文部省「あたらしい憲法のはなし」発行の7か月後(1948年3月)、朝日新聞社から「あたらしい憲法のはなし」という全く同じタイトルの本が出版されていることをご存知でしょうか?東京大学法学部教授の宮澤俊義氏(憲法学)執筆になる190頁の立派な書籍です。「はしがき」には、「憲法というものは」「少年少女の皆さんにはぜひ知っておいてもらわなくてはならない」とあって、文部省版と同じような読者対象を考えていたのかもしれません。しかし、読んでみると(始めの方だけですが)、どう考えても文部省版よりも想定年齢が数歳は上だろうという気がします。こ
の本は、国立国会図書館デジタル化資料として閲覧できます(テキストデータではなく画像データです)。
 それにしても、タイトルに著作権はないとはいえ、どうして全く同じ書名になってしまったのだろう?(宮澤先生が文部省教科書の存在を知らなかった?そんなことがあるだろうか)
「新憲法の解説」(1946年11月3日 法制局閲 内閣発行 高山書院発売)
※上記2つの小冊子とは異なり、それほど普及もしておらず、知る人は少ないかもしれません(私自身、今日この本を買って初めて知りました)。編者による解説の一部を引用します(157・158頁)。「『解説』は、要綱案に示された『新憲法の根底をなす正しい精神、民主主義に基づく新しい国家制度の内容等』について、枢密院審査や憲法制定議会での答弁をもとに、内閣(法制局)が自ら新憲法の理念とその骨格を手際よく小冊子にまとめ、早々に公刊することで、始動したなかりの憲法普及会やその他の講演会・学習会での活用に供することができたのである。このように『解説』は、『生活』や『はなし』のように多くの読者を得たわけではないが、しかし、憲法制定時における内閣の憲法観が如実に示されている点で貴重なものと言える
 
岩波現代文庫 2013年12月17日 第1刷発行 1420円+税
『「平和国家」日本の再検討』 古関彰一著
(オリジナル本は2002年1月に岩波書店から刊行) 

 

「平和国家」日本の再検討 (岩波現代文庫)

「平和国家」日本の再検討 (岩波現代文庫)

 

 

 獨協大学法学部教授である古関彰一(こせき・しょういち)氏の著書としては、『日本国憲法の誕生』(2009年・岩波現代文部)が代表作でしょうか。中央公論社(その後中公文庫)から刊行された『新憲法の誕生』(1989年)を大幅に加筆・修正し、書名を変更して成ったのが『日本国憲法の誕生』です。
 本書『「平和国家」日本の再検討』については、文庫本の帯に書かれた「憲法9条を論じる私たちは、何を見落としてきたのか-戦後日本の平和主義を総括する」という惹句につられて購入したばかりですから、その概要については、岩波現代文庫編集部による「メッセージ」をご参照ください。
 いずれ熟読して(正月休みで読めるかな?)、感想を書ければと思います。
 なお、古関教授へのインタビューとして、マガジン9(インタビュー当時は「マガジン9条」)によるものがあります。
 また、今年の2月12日にIWJの岩上安身さんによるインタビューが行われ、アーカイブはサポート会員のみ視聴可能ですが、冒頭約8分の映像が無料視聴できます。
 
潮文庫 2014年1月1日発行 590円+税
『話し言葉の日本語』 平田オリザ 井上ひさし
(オリジナル本は2003年1月に小学館から刊行)

 

話し言葉の日本語 (新潮文庫)

話し言葉の日本語 (新潮文庫)

 

 

 文庫の裏表紙にはこう書かれています。「せりふの専門家である劇作家ふたりが、話し言葉について徹底検証。従来の日本語論とは違う角度からその本質に迫るとともに、日本の演劇を真摯に見詰める
 私がこの本を手にとって購入しようと思ったのは、私自身、かつて「日本語論マニア」だった時代があり、本のタイトルに「日本語」という言葉が含まれていると、つい手にとってしまうという習性が抜けていなかったからでもありますが、より直接的には、去る12月24日に日本記者クラブで行われた平田オリザ氏の記者会見の模様を非常に興味深く視聴したばかりであり、しかもその会見の中で、井上ひさしさんとの対談にも触れながら、異なる価値観をすり合わせるための「対話(ダイアローグ)」の言葉を、明治以降の日本が作ってこなかったという指摘に刺激を受けたばかりであったからです。
 鳩山由紀夫内閣における内閣官房参与として、首相の施政方針演説などのスピーチライターを務めた経験を有する劇作家・平田オリザさんの「政治における対話とは何か?」という副題の下で語られた会見は、是非皆さまにも視聴をお勧めしたいと思います。なお、『話し言葉の日本語』で「対話」が論じられているのは124頁以下においてです。
2013年12月24日 日本記者クラブ 記者会見 

平田オリザ 劇作家 2013.12.24 - YouTube