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10回目の新成人アンケート~9条&原発~(in和歌山市)

 今晩(2014年1月12日)配信した「メルマガ金原No.1603」を転載します。
 なお、「弁護士・金原徹雄のブログ」にも同内容で掲載しています。
 
10回目の新成人アンケート~9条&原発~(in和歌山市
 
 好天に恵まれた今日(2014年1月12日)、和歌山ビッグホエールにおいて、和歌山市などの実行委員会主催による「はたちのつどい」(成人式)が行われ、多くの新成人が会場を訪れました。
 会場周辺では、例年、様々な団体がアピール行動を行っており、今年も、日本共産党、和歌山県原水協、民主青年同盟、新婦人の会和歌山市支部などの皆さんが署名要請などに取り組んでおられました(こう書き出してみると、もう少し色んな団体に来て欲しいような気もしますね。別に右翼に来て欲しい訳ではありませんが)。
 この中では、旧知の小野原典子さんが持ち込んで、新成人の若者に協力を求めていた秘密保護法についてのシールアンケートに注目しました。

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 実は、以下でご紹介する「平和と憲法を守りたい市民の声」が毎年行っているシールアンケートでも、事前検討の段階で、「今年は秘密保護法についても質問してみたら?」という意見もあったのですが、「法律の内容を知っている新成人はほとんどいない」という意見に皆が同意し、結局、「憲法9条」と「原発」についての意識調査を行うことにしたという経緯がありましたので、小野原さんの果敢な挑戦に、正直驚きました。
 それで、その結果はいかに?といえば、写真をご覧いただきたいのですが、アンケートに協力してくれた18人の内訳は、
  秘密保護法に
    賛成   0
    反対   1
    考え中 12
    知らない 5
となっています。
 しかも、選択肢の内、「知らない」は、アンケートの終盤に急遽追加したもので、それまでに「考え中」にシールを貼った人の大半は、実質「知らない」だったとのことです。
 結局、私たちの予想通りであった訳ですが、協力してくれた人たちに、「Stop!秘密保護法 共同行動」が作った小型リーフレットを手渡して「読んでくださいね」とお願いする機会にはなったのですから、小野原さんの挑戦には十分意義があったと思います。
 
 さて、「平和と憲法を守りたい市民の声」です。同会世話人代表の松浦攸吉さんから頼まれて報道機関各社にプレスリリースを送ったりしているので、私も今や「嘱託広報担当」といったところですね。
 その広報担当としての初仕事が記念すべき10回目のアンケートであったからでしょうか、朝日新聞(和歌山版)が前日(1月11日)の紙面で取り上げてくれました。
 
2014年1月11日 朝日新聞(和歌山版)
新成人に憲法アンケート、今年で10回目
朝日新聞デジタル・無料会員登録
(抜粋引用開始)

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 アンケートに取り組んできたのは、市民団体「平和と憲法を守りたい市民の声」。自衛隊のイラク派遣をきっかけに04年に結成し、成人式のアンケートのほかにも憲法念日や終戦の日に署名活動や模擬投票を行うなど、平和活動に取り組んでいる。
 アンケートでは毎年約400人の若者に話を聞く。初めは憲法自衛隊に対する質問だけだったが、11年3月の東京電力福島第一原発事故を受け、翌年からは原発問題に対する設問も加えた。昨年は437人のうち、自衛隊については394人が「災害救助隊に専念させる」と答え、「他国の戦争に軍隊として参加させる」としたのは39人だったという。また原発についても7割近い若者が脱原発を訴えたという。
 代表世話人の松浦攸吉(ゆうきち)さん(71)は「これが若者の素直な気持ち。この思いをずっと持ち続けて欲しい」と話す一方で、「政府は若者の気持ちとは裏腹に動いているように思えてならない。集団的自衛権の行使容認を声高に叫び、憲法改正視野に入れる。昨年末には反対の多い特定秘密保護法案も可決。原発についても再稼働を目指している」
 「もしかしたら20、30年後、君たちの子どもが戦地に送られるかもしれない。そのとになって反対しても手遅れ。自分たちの子どもを守るためには、いま声を上げるしかない。そのことを知って欲しい」。松浦さんはアンケートに込めた思いを話した。(宋潤敏)
(引用終わり)
   
 ちなみに、記事を書いてくれた宋記者は、昨年、楠見子連れ9条の会や私のメルマガを記事にしてくれた人です。
 
 それでは、今年のアンケート結果をご報告する前に、上記の記事にあるとおり、原発についても質問することになった2012年以降の結果をご紹介します。
 
2012年1月8日実施
●メインタイトル
「あなたが総理大臣だったらどうしますか?」
Q1:自衛隊について
・アメリカの戦争に軍隊として参加する 17人
・どちらでもない(分からないなど) 8人
・災害救助に専念する 371人
・回答者計 396人
Q2:原発について
原発を存続させる 92人
・どちらでもない(分からないなど) 16人
原発を止めて自然エネルギーを目指す 322人
・回答者計 430人
 
2013年1月13日実施
●メインタイトル
「あなたが総理大臣だったらどうしますか?」
Q1:自衛隊について

・他国の戦争に軍隊として参加させる 39人
・どちらでもない(分からないなど) 4人
・災害救助隊に専念する 394人
・回答者計 437人
Q2:原発について
原発を存続させる 122人
・どちらでもない(分からないなど) 15人
原発を止めて再生可能エネルギーを目指す 294人
・回答者計 431人

 早速、今年(2014年)の集計結果をご報告します。
 
2014年1月12日実施
●メインタイトル
「あなたならどうする?」
Q1:憲法9条
憲法9条」を「知っている」 237名(64.2%)
  「憲法9条」は「いる」 216名 
  「憲法9条」は「いらない」 13名
  分からない 8名
憲法9条」を「知らない」 132名(35.8%)
回答者計 369名
Q2:原発
原発」は「いる」 110名(31.1%)
原発」は「いらない」 210名(59.3%)
分からない 34名(9.6%) 
回答者計 354人
 
 質問の仕方を変えていますので、過去2年間と単純な比較はできませんが、「原発必要」という回答者の割合が増加傾向を示しているのは気になりますね。
 
2012年 92/430=21.4%
2013年 122/431=28.3%
2014年 110/354=31.0%
 
 原発は必要と答える新成人で、現在稼働している原発は1基もないという事実を知っている者はまずいないということからも、彼らの「思いこみ」がどこから来ているのかということについての、もっと精緻な分析が必要だと思います(シールアンケートでは無理ですね)。
 
 憲法9条については、「そもそも、みんな9条って知ってるの?」という素朴なというか、根本的な疑問が会員の中にあり、まずそれを確認しなければ始まらないということで、今年はこういう質問になったのだそうです。
 ただ、この入り口の設問で時間をとられると、9条の評価についての回答がおざなりになりかねないのでは?という懸念を持ちました。
 9条を知っている若者に、9条が「いる」か「いらない」かの2択から答えてもらうのですが(「分からない」という回答も認めます)、回答する方でも、とっさにどう答えれば良いのか迷いませんかね?
 ただ、「憲法9条を知らない」=35.8%というのは、それなりに衝撃的な数字と言わねばなりません。「若者の右傾化」どころの話ではなく、そもそも、戦争も平和も「自分の問題である」という当事者意識の欠落した若者たちが、非常に多数存在している可能性があるということであれば、それこそ真に恐るべき事態です。
 私は、昨年(2013年)、県内各地で合計13回、憲法学習会の講師を務めましたが、今日の成人式会場に集まった世代の若者は、聴衆の中にほとんどいませんでした(皆無だったかもしれない)。

 「9条の会」の運動が、高齢者中心に取り組まれてきたことのツケが回ってきたということでなければ良いのですが。

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